事務局次長コラム

~事務局次長の良記事紹介&個人的感想~

12月4日(土)

【中国が「世界の公敵」となる】

さて、今日ご紹介したい記事は石平氏の現代ビジネス誌への寄稿文なのです。

◆現代ビジネス◆
中国外交、11月の「悪夢の9日間」ー連日の敗退と頓挫に習近平蒼白
~「友邦」ドイツまで手のひら返し~

(石平、2021.12.04)
■米中首脳会談終了直後から
今年11月18日からの9日間、世界の超大国であるはずの中国は、外交の面ではほとんど毎日のように深刻な打撃を受けた。まさに「惨事連続、悪夢の9日間」を経験した。
どういうものだったのか。ここでは時列順に、この9日間、対中国で展開された各国の動きを追ってみよう。

[…略…]

■世界の公敵となった中国
 そして11月25日から26日までの2日間、アジアと欧州の約50ヵ国・機関で構成するアジア欧州会議(ASEM)のオンライン首脳会議が開催されたが、この会議においてEU首脳は、自由や人権など基本的な価値を共有する民主主義の国と協力を深める方針を表明した。
 これに関して、日本経済新聞の関連記事は「EUは対アジア政策で中国重視の方針転換を鮮明にした」と評しているがまさしくその通りである。
 アジアにおけるEUの連携する相手は今後、普遍的価値観を共有する民主主義国家群であって、独裁体制の覇権国家・中国はむしろ、EUとアジアの民主主義世界にとっての共通の敵となっていくのではないか。
 このようして、去る11月18日からのわずか9日間、「中国問題」をめぐる各国の動きは空前の活発化の様相を呈している。
 米英豪3ヵ国の「北京五輪外交ボイコット検討」、台湾の国際的地位上昇、フィリピン大統領の中国覇権主義非難、EUの「脱中国」姿勢の鮮明化、ドイツの中国への対抗姿勢。
 言ってみれば、この9日間の一連の出来事は、中国にとってまさに敗退と頓挫の連続であり、習近平主席は毎日のように外交上の悪夢を見る羽目となった。
 これでは、四面楚歌ともいうべき中国の孤立化はより一層明確になっているが、このような哀れな末路を辿ることはまた、習近平政権の展開する覇権主義的戦狼外交のもたらす必然の結果ではないか。<了>

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いやいや、石平氏、冷静な分析です。

それにしても中国共産党、自分たちが世界から「どう見られているか」についての自己反省、自己認識が決定的に欠けていることが致命的な欠陥だと思われるのです。

かつてのソ連共産党もそうでしたが、そして日本共産党もどちらかというとそうなのですが、共産党に特有のDNAなのでしょうか・・・、よく分からないのですが・・・。

国家も個人も、厳しい自己認識こそがもっとも求められる認識だと思われるのですが・・・。

バンクーバーの岡本ヒロ氏が、「ロシアがウクライナで行動を起こし、その隙に中国が台湾奪取に動くという連携のシナリオが、ひそかに考えられている可能性がある」と分析しておられるのですが、そろそろキナ臭い動きが見え始めているのでしょうか。

きな臭いウクライナと台湾問題

そしてまた、安倍元首相のオンライン会議での発言、「台湾有事は日本有事」を捉えて中国外交部が恐ろしい勢いで抗議行動を起こしていることを見るにつけ、「台湾有事」は「ただでは済まない案件」になりつつあるように思われるのです。

“台湾有事は日本と日米同盟の有事”安倍元首相発言に中国抗議

しかし岸田首相は、こういう外交問題についてはあまり頓着しておられないようで、北京オリンピックへの外交的ボイコットも「いや、考えていませんが・・・」というスタンスのようでありまして、どうなのでしょうか・・・。

この件高橋洋一氏は次のように書いているのです。

北京五輪、日本は「外交的ボイコット」を実施すべきだ…バッハ会長と習近平の「狙い」

世界は、やはり少しづつ煮詰まってきつつあるのでしょうか。

それは第一次世界大戦前や、太平洋戦争前の煮詰まりようと同様な構図において・・・。

ご紹介まで。

10月3日(日)

【日本の対中外交スタンスは大丈夫なのか】

日本では岸田新政権が船出したのですが、まだその外交上の基本スタンスがどのようなものになるのか明確ではありません。ですがとりあえずは「安倍→菅政権」の基本路線を踏襲するのだろう、くらいは予想されます。

しかし問題は、仮に中国が日本に対して「踏み絵」を踏ませるような挙に出るとするなら、果たして日本はそれに対して毅然として「断固アメリカ側に付く」という決意を表すことができるのだろうかという、一抹の懸念も拭えない感じがあります。

果たして岸田政権に、「中長期の国家戦略」なるものが用意されているのだろうかというなら、どうなんだろうかと思わざるを得ないのです。

そして果たして岸田氏は、自らの中長期的外交戦略を作り出そうとする時、一体どういう人物群を政策ブレーンに指名するのでしょうか。

アメリカ、中国、欧州、ロシア、そして日本。
世界のメインプレイヤーの中で、安倍元首相はずいぶん信頼される地歩を築くことに成功したのですが、岸田新首相にもそういう各国首脳から信頼されるような長期政権になってもらいたいものと思うのです。

ドイツ在住の評論家川口マーン惠美氏のレポートが興味深いものでしたのでご紹介まで。

◆現代ビジネス◆
潜水艦契約破棄で仏が米英豪に大激怒…!EUの「米中両天秤」が破綻したワケ
~日本はいざという時のための選択肢を~

(川口 マーン 惠美、2021.10.01)
■米国と中国、どちらを取るか
 米国・英国・オーストラリアが結んだ安全保障の協定「オーカス(AUKUS)」をめぐって、フランスが大騒ぎをしている。
 オーストラリア政府が、フランス製ディーゼル潜水艦の購入契約を破棄し、米国の原子力潜水艦に乗り換えたためだが、交渉は米英豪で秘密裏に進められ、フランスは全く気づかなかったという。そのため、フランスの外相は罵倒とも言える勢いでオーストラリア、米国を非難し、両国の大使を召喚した。
 まるで国交断絶のような勢いだったが、どうもフランスお得意の「パフォーマンス」に見えて仕方がない。だいたい、彼らはなぜ英国には怒らないのか? それどころか、米国とオーストラリアの仲を取り持ったはずのジョンソン英首相は、フランスに向かって「冷静になれ」と助言までしている。
 オーストラリアとフランスがディーゼル潜水艦12隻の開発契約を結んだのは2016年。契約時500億豪ドルだった価格が今では2倍近くに引き上げられ、しかし、まだ建造は始まっていないという。これが本当ならキャンセルもありだろう。
 この件について評論家の宮崎正弘氏は、「(フランスは)自分の胸に手を当ててごらん、と言いたい人が多いのでは。西側同盟の団結? ずっとこんなものですよ」と軽くいなした。おそらく確信を突いている。
 ドイツはというと、もちろんフランス側について米国を非難しているし、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長も、「EUの一員が容認できない扱いを受けた。(略)なぜそうなったのかを知りたい」と強く反発。しかし、どの言葉の裏側にも、それぞれの思惑があるはずだ。ちなみにドイツ人、フォン・デア・ライエン氏は、メルケル首相の息のかかった政治家で、メルケル氏の意思は、遠隔操作の如く彼女を通して欧州委員会に反映されている。
 オーカス結成の背景にあるのは、もちろん中国の台頭に対する危機感だ。中国贔屓のメディアが多いドイツでさえ、中国の横暴がようやく昨年あたりから広く報道され始め、EUは中国の専制主義を看過するのか、それとも米国との同盟を強めるのか、という議論が出てきた。
 単純に考えれば、米国の民主主義と組むのが当然に思えるが、しかし、事はそう単純ではない。実はEUを牽引しているドイツ人、フランス人の米国に対する反感は思いの外、強い。だから、マクロン大統領の答えはかねてより、「我々ヨーロッパは、どちらにつくこともしない」というもの。
 言い換えれば、「NATOの一員である我々は、米国の資金力と防衛力の下で安全保障を享受しつつ、商売は米国の敵性国家である中国(およびロシア)と順調に続けます」ということだ。
 一方、メルケル首相はマクロン大統領よりもさらに中国寄りなので、トランプ前大統領とは犬猿の仲となり、それがEUと米国の深刻な関係悪化にまでつながった。
 反米傾向は主要メディアにも見られ、今回のオーカス事件は、米国が相も変わらず冷徹に帝国主義を推し進めようとしている証拠であるかのような報道もある。つまり、EUは米中の覇権争いに巻き込まれた犠牲者であり、アメリカの横暴を逃れるため、ヨーロッパは中国、ロシアに近寄らざるを得ない……といったところだ。

■メルケル首相の対中政策
 しかし、それは真実だろうか?
2020年末、バイデン氏がまだ正式に米大統領に就任していなかった時、メルケル首相は、中国とEUとの相互投資条約の駆け込み合意という離れ業をやってのけた。
 EUの28人の首脳の集まりである欧州理事会では、半年ごとに輪番制で議長国が巡ってくる。どの首脳も、自国が議長国である間に、EU政治に自分の足跡を残そうとするが、去年の後半、議長国はちょうどドイツだった。まもなく引退するはずのメルケル氏にとって、何かするならまさに最後のチャンス。
 メルケル氏の懸案の一つが、自分の対中政策を、是が非でも将来のEUに残すことだったと思われる。ただ、バイデン氏が大統領に就任すれば、米国がどういう対中政策に出るかわからない。
 そこで議長国の任期切れ前日の12月30日、メルケル氏は、マクロン仏大統領と組んで、フォン・デア・ライエン欧州委員長、ミシェル欧州理事会議長(5年の常任)、習近平国家主席を交えたビデオ会議を開き、7年以上も纏まらなかった相互投資協定を力づくで合意に持ち込んだのだ。正式起草は後に回すという駆け込みで、しかも、中国の人権問題については大幅に譲歩する内容だったとされる。

[…略…]

 そうするうちに、今回のオーカス事件。フランスは潜水艦の契約破棄という事態に直面し、ようやく米中の両天秤が破綻したことに気づき激怒した。あるいは激怒した振りをした。ちなみに米国側は、キャンセルについては事前に詳細な説明をしたと主張している。
 なお、オーカスについては、中国やロシアはもちろん、ニュージーランドも、東南アジア諸国も、それぞれに声明を発表しているが、日本は菅首相が歓迎の意を表しただけで、問題意識ゼロ。発言内容もゼロ。当事者意識もゼロ?アジアの海なのに大丈夫だろうか?

■日本のEU追従は危うい選択
 9月26日はドイツで総選挙が行われた。与党CDU/CSUが過去最低の得票率に落ち込み、社民党が鼻の差で首位に立ったが、連立がどうなるのかがわからず、まだ政権の行方は不明だ。いずれにせよ、メルケル氏は政界からは引退すると言っており、これとオーカス成立のタイミングが妙に合う。
 米英豪は、今でさえまとまりの悪いEUは、メルケルという重しが取れれば、さらに分裂が進むと見越しているのかもしれない。だから、大事なことはEU抜きで?
 EUの現在の政策目標の多くは、いずれ近い将来、修正を余儀なくされると思われる。特に現実離れしたエネルギー政策、CO2削減目標、EVへの急激なシフトなどは、内からも外からも破綻するだろう。
 というわけで、日本はEUの掲げる不毛な方針に追従ばかりしていてはマズいことになる。日本には、ソフトにゴリ押しをするメルケル首相のような政治家も、梯子を外されて大芝居を打つマクロン大統領のような政治家もいない。
 だからこそ、エネルギー政策も、対中依存も、CO2削減も、インド太平洋の防衛も、皆が修正してから、ようやく日本も泣く泣く修正するなどという馬鹿げたことにならないよう、いざという時のための選択肢をたくさん作っておくべきだ。
 そういう長期的な判断のできる人が、自民党の総裁になってくれることを切願しているのだが……。<了>

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それにしてもメルケル首相、本当はあまり優れた政治家ではなかったのでないかという疑惑がもたれるのですが、どうなのでしょうか。

今後中国はますます覇権主義の方向に突き進むだろうことが予想されるのですが、日本に対していつかは「踏み絵」を迫る日が来るのだろうと予測されるのです。

その時に慌ててドタバタしなくていいように、国民自身も今のうちから自らの頭で考えて行くようにしなければならないのでしょう。

マスコミにもしっかりしてもらわないと困るのです。

大丈夫だろうかと、いささか心配になるのですが・・・。

ご紹介まで。

7月7日(水)

【赤い貴族の党、中国共産党】

今日は中国関係での良記事を2本、ご紹介したいと。

1本は遠藤誉先生のNEWSWEEK誌への寄稿記事で、もう1本は長谷川良氏のブログ記事です。
どちらも中国共産党の創建100周年大会の様子をルポしてのものなのです。

これが2本とも、趣きは異なるのですがとても示唆的で考えさせられるものでありまして。

◆Newsweek◆
中山服をトップのみが着るのは中国政治の基本:建党100周年大会の構成と習近平演説を解剖
(遠藤誉:中国問題グローバル研究所所長、2021年7月3日)
[…前略…]
――中国人民は正義を敬い、強暴を恐れない民族で、中華民族は強烈な民族の誇りと自信を持っている。中国人民は、一度も他国の人民を虐めたり圧迫したり奴隷のように扱ったりしたことがない。過去も現在も、そして将来もそういうことはしないだろう。同時に・・・

と言った時だ。普通なら演説の段落となる区切りがあるときに拍手をするという暗黙の了解があるのだが、まだ言葉が終わってないのに拍手が起きてしまって、習近平の言葉が遮られてしまった。ようやく静まったので、習近平は「同時に」を二度言って言葉をつないだ。

――同時に、中国人民はいかなる外来勢力がわれわれを虐め、圧迫し、奴隷のように扱うことに対しても絶対に許さない・・・

習近平が息を継いで、次の言葉を言おうとしたときだ。ここでまた歓声と拍手の嵐が巻き起こり、習近平は言葉を中断して、喝采が終わるのを待たなければならなかった。そして次のようにこの段落の言葉を続けた。

――このような妄想を抱く者は、必ず14億の人民の血と肉を以て築いた鉄の長城によって木っ端微塵にやられるだろう!

この最後の「木っ端微塵にやられるだろう」の中国語は「頭破流血」という、『西遊記』に出てくる言葉だが、直訳すれば「頭が破裂し血を流すだろう」となる激しい中国語だ。散々な目に遭うという意味でもある。

この一連の言葉は、中国の国歌の冒頭の歌詞「立て!奴隷となることを望まない者よ!私たちの血と肉を以て私たちの新しい長城を築け!」をもじったものであることは、中国人なら分かるはずだ。

この段落が終わると、天地を揺らさんばかりの拍手喝采が起こり、「いいぞ―!」という意味の「好(ハオ)―!」という歓声がしばらく鳴り響いて、習近平は一時演説を続けるのを止めてしまったほどだ。

これは演説を聞くときのルールを逸脱した行為で、拍手喝采がいかに聴衆側から自発的に発せられたものであるかが窺(うかが)われる。

つまり、これは「人民の声」であることを示唆しており、多くの中国人民、特に若者はアメリカから中国が「虐められている」と感じており、アメリカが対中包囲網を叫べば叫ぶほど若者の愛国心が強化され、中国共産党への声援を強くしていくということを示しているのである。

しかも、あまり効力の高くない対中包囲網だとすると、アメリカは結局、中国人民の党への忠誠心を増強させる結果を招くだけになる。一党支配体制強化につながるのだ。

だから私は日頃から、バイデン政権の「実際には効力のない、表面上の対中包囲網」に対して警鐘を鳴らし続けているのである。

若者の心理を心得ている習近平は、さらに以下のように演説している。

――中国共産党と中国人民を分裂させようとする如何なる外国の企ても、絶対に成功しない。9500万人の中国共産党は絶対にそれを許さない!14億以上の中国人民も絶対に許さない!

これはポンペオ(元国務長官)が言った「中国共産党と中国人民を分離させろ」という言葉に対する抗議で、拍手の度合いが、その非現実性を表していると言っていいだろう。  

[…以下略…]

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◆ウィーン発 『コンフィデンシャル』◆
習近平「党創建百年演説」の怖い部分
[…前略…]
 同時に、「中国共産党」と「14億人の中国国民」を同一視し、党の勝利は国民の勝利であり、党の発展は国民の福祉向上につながるといういつもの論理が適応されていることだ。中国共産党が14億人の国民を奴隷のように酷使し、党幹部だけが特権を享受しているといった批判は絶対に許されないのだ(「習近平氏が恐れる『党と人民は別』論」2020年9月8日参考)。

 旧ユーゴスラビア連邦時代のチトー大統領の側近だったミロヴァン・ジラスは1950年代に出版した著書『新しい階級』の中で、「共産党は赤い貴族だ」と喝破している。元副首相だったジラスは、「共産主義者は決して労働者の味方ではなく、貴族のような生活を享受し、富を貯蓄する者たちだ」と指摘した。同書は欧米諸国で話題を呼び、旧ソ連・東欧諸国の民主改革にも大きな影響を与えた。中国では習近平氏をトップに「赤の貴族たち」の特権階級が14億人の国民を統治しているのが現実の姿ではないか(「世界に浸透する“赤いカネ”」2018年3月8日参考)。

 中国共産党政権は一党独裁政治であり、国民は党の指示に従う限りは生きていけるが、反対すれば粛正されるか、社会から追放される運命を余儀なくされている。中国共産党の過去100年の歴史はその意味で国民への弾圧・粛清の時代だった。歴史は中国共産党側の主張を裏付けてはいない。

[…以下略…]

****************************

中国国民が、諸外国(特にアメリカ)から不当に敵視され、苛められていることに対して大いなる怒りを感じているということが分かるのです。

つまりは、中国国民はますます愛国心を強めているという。

中国国民も、習近平氏と同じように、「屈辱の100年から栄光の100年へ!」というストーリーを我がことのように感じているようです。

それが習近平氏の演説を万雷の拍手で迎えるということに現れているのでしょう。

しかし、「愛国心」がそのままイコール「愛党心」に直結するかというと、必ずしもそうでもないようですが。

そして長谷川氏の記事では、「共産党は赤い貴族だ」という言葉が紹介されているのですが、実態はそうであろうなと。
中国共産党の幹部がほんまに「貴族のような」暮らしぶりをしているのは否定できない事実なのです、昔も今も。

そんな「赤い貴族の党」である共産党を、若い中国人はどういう思いで受け止めているのかと・・・。

いやいやいや、中国・・・、
世界の問題児中国・・・、

どこへ行くのでしょうか・・・。

ご紹介まで。

7月1日(木)

【世界で最も革新的な企業100社】

少し古い記事なのですが、web上にUPされていた興味深い記事をご紹介したいと。

◆@DIME◆
「世界で最も革新的な企業100社」に選ばれた日本の企業29社の顔ぶれ
(2021.03.16)
[…前略…]
 米国からはAppleやGoogle、Microsoft、AMD、Cisco、Facebookなど、世界的企業が並ぶ中、日本からは以下の29社が選出された。

AGC株式会社、アイシン精機株式会社、カシオ計算機株式会社、ダイキン工業株式会社、富士フイルム株式会社、富士通株式会社、古河電気工業株式会社、株式会社日立製作所、本田技研工業株式会社、川崎重工業株式会社、株式会社神戸製鋼所、株式会社小松製作所、三菱電機株式会社、三菱重工業株式会社、日本電気株式会社(NEC)、日亜化学工業株式会社、日本製鉄株式会社、日産自動車株式会社、日本電信電話株式会社(NTT)、オムロン株式会社、パナソニック株式会社、ルネサスエレクトロニクス株式会社、信越化学工業株式会社、ソニー株式会社、TDK株式会社、株式会社東芝、トヨタ自動車株式会社、株式会社安川電機、矢崎総業株式会社

このうち、10年連続受賞は、富士通、日立製作所、本田技研工業、NEC、NTT、パナソニック、信越化学工業、ソニー、東芝、トヨタ自動車の10社となった。

<以下略>

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私にとっては少々意外だったのです。

アメリカがナンバー1であることは意外でもなく、まぁそうなんだろうなということなのですが、ヨーロッパ勢が少なく、日本勢が頑張っていることが意外に思われたのです。

そして最近威勢のいい「台湾、韓国、中国」の東アジア勢も意外と少ないと。

う~む、日本が3分の1を占めているのか~。

いやいやいや、そうなんですか・・・、なるほどと。

そういうことで、実は日本、そこまで「衰退の方向」でもないのかもなと。

「現場力」は健在であるのだなと。

しかしここ20年の日本のGDPの伸びが世界から大きく後れをとっていることは疑いようのない事実でありまして、これはどうしたことなのかと。

どうも元凶は「緊縮財政」にあるらしいという。

菅政権がここに大胆に踏み込んで、日本経済を大きく元気にさせるような方向に舵を切ることが出来るのかどうか・・・。

期待するしかないのですが・・・。

ご紹介まで。

6月23日(水)

【日本が今や米中冷戦の最前線】

松田学政策研究所さんの動画チャンネルでは、毎日素晴らしい対談やニュース解説がUPされているのですが、松田氏ご自身のオフィシャルブログでも読み応えのある良記事がUPされているのです。

20日にUPされた記事も中身の濃い良記事でしたのでご紹介したいと。

◆松田学officialblog◆
【動画ご紹介】ついに路線転換を迫られた日本の安全保障
~自由で開かれたインド太平洋とアジア最前線~

(2021-06-20)

いや、読み応えのある素晴らしい記事でした。
かつて西ドイツが「東西冷戦の最前線」であったように、
いまでは日本が「米中冷戦の最前線」であるという・・・。
それを日本国民が自覚していないことが大問題でなかろうかと。

もう一本ですが、こちらはニューズウィーク誌の日本版記事なのですが。

◆Newsweek◆
復活に向け動き出したトランプに名門一族の御曹司もひれ伏した
(サム・ポトリッキオ、2021年06月22日)

ブッシュ家の御曹司までトランプ氏の軍門に下るような状況であるとか。
アメリカの4年後の大統領選挙は、どうなるでしょうか、興味深いのです。

はてさてコロナ以外にも重要な問題はゴロゴロ転がっているのですが、どうも日本のテレビの中ではそういうことは無視されているようなことでありまして困ったことでありますると。

ご参考まで。

6月20日(日)

「一夫多妻制」もアリなのでは?

つい最近、以下のニュースに触れまして刺激を受けたのです。
それで一考したところがありまして、ご紹介がてら書いておきたいと思った次第なのです。

◆livedooaNEWS◆
一夫多妻を認めるインドの宗教指導者が死去 妻は39人、合計166人の家族 – ライブドアニュース
13日、インドの宗教指導者、シオナ・チャナさん(76)が亡くなった。【映像】インドの“ビッグ・ダディ”(4分45秒ごろ〜)ロイター通信によると、チャナさんは一夫多妻を認める宗教の指導者で、妻が39人、子供
(2021年6月18日)

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いやいやいや、なんというのでしょうか、「遅れているなぁ・・・」という感想と、「一夫多妻も、自然の摂理としてはアリなのかもしれいよなぁ・・・」という矛盾した感想の2つが交錯して不思議な感じなのです。

「遅れている」、という感想は、現代の世界先進国に共通の、キリスト教文明をヨシとして受け入れている、いわゆる「先進国の常識」から来るところの感想です。
つまりは、「一夫一婦制こそ人間社会に普遍の理想的形態である」という価値観こそが、先進諸国に共有されている「常識」なのです。
日本では、明治維新して開国して以来、そういう「西洋文明の導入こそ文明開化である」という認識のもと、その「一夫一婦制こそ常識」という価値観を批判的に吟味することなく、「そうなんだ・・・」として素直に受け入れ、そして我々世代においてももはやその常識を疑うこともなく受け入れてきているのです。
それが、一夫一婦制でない体制をとるイスラム社会などの一夫多妻制を容れている社会の方を、「遅れているなぁ」と思わせている根深い深層意識となっているのでしょう。

しかし、他面、「一夫多妻もアリかのか?」という感想は、それが実は日本でも古代から連綿として続いている「天皇家」や「大名家」などの特殊な家柄における一夫多妻制や、あるいは明治以降の「妾」をもつことを暗黙の裡に認める社会常識という古い常識を、「それもまた合理的なモノである」という、私なりの最新の「多様化許容論」から来るところの感想なのです。

実は私はもうだいぶ以前から、イスラム教の「一夫多妻の許容」を、あながち悪いモノでもないとして受け入れる姿勢でいたのですが、ここに来て、むしろ積極的に「それも多様性の一環」という形で認めていくことの方が合理的でないのか、という風に変わってきたのです。
この記事を読んで、改めてその方向から考えてみると、確かにその方が合理的でないのか、という風に強く思えてくるのです。

インドのシオナ・チャナさんという方は、「一夫多妻を認める宗教」の指導者のようですが、そういう宗教の教義が、現代インドの法律内において許容されるなら、それはもう確かにそれを「ヨシ」として認めていいことになるのでしょう。
なぜならイスラム社会ではもうそれが「全然オッケー」なことであるのですから。
この点においては、むしろイスラム社会の方が先進的で、逆に西欧キリスト教文明を奉じる先進諸国の方が「古い」、「遅れた価値観」に捉われているというべきかもしれないのです。
私はイスラム教のいくつかの教義は否定したい派なのですが、ただ、この点についてはイスラム教の教義の方が合理的で正しいものであると感じているのです。

そういうことで、もし現代日本でも、「一夫多妻を法律で認める」ということになるなら、それなら、皇室における男系男子の存続問題も、この「多妻化」によってクリアしていけることになる訳でありまして、それはそれで合理的な解決になるのでないかと思えてくるのです。
つまり、悠仁親王に複数の女性と結婚してもらうことによって、男系の遺伝子の確保の確率を高めることができるというメリットがあるからなのです。

そういうことで、なぜ法律で一夫多妻を禁じなければならないのかと。
これからもその体制を堅持して行かなければならない必然性など、果たしてどこにあるのだろうかと。それはもはや「それが常識でしょ」という古い価値観そのものでないのかと。

日本はこれまで「均質化、同質化」という方向に振れ過ぎていたのかもしれないのです。
ここにきて時代は「多様化」こそキーワードになっているのです。時代は凄い勢いで多様化に向かっているのです。日本社会も旧来の古い常識を見直すべき時期に来ているのでないでしょうか。

そういうことで、私はこれから「一夫多妻容認主義者」、「一夫多妻推進論者」に衣替えしようなかと思い始めているのです。

動物界でも、鳩のような生真面目な「一夫一婦」的あり方もヨシなら、オットセイやセイウチのような「一夫多妻」制もヨシとしていいのでないでしょうか。
鳩のような生真面目な在り方だけが「ヨシ」で、オットセイのようなハーレム制(ライオンとかサルとか、むしろ結構多い)の在り方が「悪、ダメ」なのでしょうか。
もう従来の常識とされてきた価値観や考え方に、根本的に反省の目を向ける必要があると思えているのです。

「一夫一婦」をヨシとするのか、「一夫多妻」をヨシとするのか、それは法律で国家が決めることでなく、それぞれの夫婦が自由にそれを決めていいのでないか、というよりそれの方が「本来あるべき正しいシステム」なのでないかと、そう思えるのです。

そういうことでありまして、日本もそろそろこの「古い常識」である「一夫一婦制こそ唯一の正しい人間社会の在り方」であるという価値観に、改めて疑義を唱え、そうでない新しい価値観、新しい考え方を導入して行き、そして来るべき未来社会により相応しいシステムを構築し直して行くような動きを始める時なのでないかと、そう思案するものなのです。

ご参考までに。

6月8日(火)

【ゼロリスク神話の弊害】

 昨年より当会と連携させてもらっている松田学政策研究所の代表である松田学氏のオフィシャルブログに、傾聴に値する優れたご主張がUPされていましたので、ご紹介したいと。

◆松田学Оfficial Blog◆
福島から10年、原発放射線リスクの真実
~コロナでも繰り返されたゼロリスク神話の弊害~

(2021-06-06)
 3・11から10年を経て、10年前の福島原発を振り返ると、今回のコロナ騒動で同じことが繰り返されているようです。根底にあるのは「ゼロリスク神話」…。
 ここでは、そもそも放射線に対する過剰な不安が蔓延している中で、世界的に正しい認識が普及していないことが人類社会に様々な災禍をもたらしているとするウエード・アリソン博士(オックスフォード大学物理学名誉教授)に対して、松田政策研究所チャンネルが私が行った独占インタビューの動画をご紹介いたします。前半と後半の2本に分かれます。そして、福島事故に際して担当大臣を務めていた細野豪志・衆議院議員が、当時の検証を行っています。これに関して私が同議員と行った対談番組もご紹介します。
<以下略>

それから、この記事の中に一本の動画が埋め込まれているのですが、そのインタビュー動画も傾聴に値する知見が満載なのでありました。

◆松田政策研究所チャンネル◆
特番【前半】『311から今年で10年、福島原発事故の誤解を解く!ウエード・アリソン博士独占インタビュー オックスフォード大学物理学名誉教授』
(2021/03/11、58分04秒)

余談ですが、この動画におけるアリソン博士の英語を日本語字幕に翻訳されている高山三平氏(動画最後のクレジットに記載)なのですが、我が国家ビジョン研究会の顧問をされている方なのです。(メンバー欄に記載あり)。

高山さん、グッジョブです。

ご紹介まで。

6月2日(水)

【習近平政権が目指す未来】

現代ビジネス誌上に連載されている、近藤大介氏と天児慧氏の対談形式での中国現代政治史の振り返り記事が、今回で最終回を迎えているのです。

優れた分析記事であると思われまして、ご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
中国共産党創建100周年を迎える習近平政権が目指す未来
~「もう一つの100年」まで残り28年~

(近藤大介、天児慧、2021.06.01)
来たる7月1日に、中国共産党創建100周年を盛大に祝う中国。この牙を持った巨龍は、一体どこへ向かおうとしているのかーー。
5月11日に『中国の歴史11 巨龍の胎動 毛沢東vs.鄧小平』(講談社学術文庫)を上梓した中国共産党研究の第一人者・天児慧早稲田大学名誉教授と、現代ビジネスコラムニストの近藤大介が、「巨龍の胎動」について、3時間にわたって対談した。今回は、3回シリーズの最終回「習近平篇」をお届けする。

⇒【第1回】中国共産党研究の第一人者が語る「反逆者・毛沢東」の圧倒的な破壊能力
⇒【第2回】毛沢東の中国を“別の国”へと一変させた鄧小平の「逆境者」人生

■習近平の時代
近藤: これまで2週にわたって、天児先生の新著『巨龍の胎動』をベースに、話を進めてきました。1回目は、「新中国建国の父」毛沢東。2回目は、「改革開放政策の総設計師」鄧小平です。この両雄の数奇な生涯を、知られざるエピソードの数々で振り返りました。

天児: 私は新著で、毛沢東を「反逆者」、鄧小平を「逆境者」と名づけました。この両雄の人生は、そのまま激動の現代中国史でもありました。

<以下略>

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習近平政権がどういう風に幕を下ろすのか、あるいは降ろさないままに何年間も継続して行くのか、誰にも予測できないのでないかと思われるのです。

いずれにしても習近平氏自身は、決して10年の任期を全うした後にでも後進に道を譲ろうなどという殊勝な気持ちでいると思われないのです。

つまりは、「続投」を図ろうとするのであろうと。

もしそれに異を唱える強い対抗勢力がいないなら、おそらくは習氏は「終身独裁者の道」を歩もうとするかもしれないのです。

そしてその可能性が高いと。

果たして中国にとって、そして世界にとってそれがいいことなのか、あるいは悲劇なのか・・・。

はてさて、中国(&世界)はいつまでそんな習近平氏に振り回され続けるのでしょうか・・・。

ご紹介まで。

5月27日(木)

【中国を知るために…】

日本では、コロナ禍により「オリンピックをどうする?!」とか「ワクチン接種が遅い!」とか、相変わらず世の中はコロナコロナで明け暮れているのですが、世界政治の底流ではそういうことは傍流でしかないのです。

来る7月1日は、その一方の主役である「中国」で共産党創建100周年があり、今後の動向に注意しなければならないのです。

そういうエポックを迎える中国なのですが、その歴史的流れを知る優良な記事が現代ビジネス誌に掲載されていましたのでご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
中国共産党研究の第一人者が語る「反逆者・毛沢東」の圧倒的な破壊能力
~ただし、国家建設者としては並だった…~

(近藤 大介, 天児 慧、202105.18)
来たる7月1日に、中国共産党創建100周年を盛大に祝う中国。この牙を持った巨龍は、一体どこへ向かおうとしているのかーー。
先週5月11日に『中国の歴史11 巨龍の胎動 毛沢東vs.鄧小平』(講談社学術文庫)を上梓した中国共産党研究の第一人者・天児慧早稲田大学名誉教授と、現代ビジネスコラムニストの近藤大介が、「巨龍の胎動」について、3時間にわたって対談した。以下、3週にわたってお届けする。第1回目は「毛沢東篇」。

◆現代ビジネス◆
毛沢東の中国を“別の国”へと一変させた鄧小平の「逆境者」人生
~「社会主義市場経済」は発明だった~

(近藤 大介, 天児 慧、202105.25)
第2回「鄧小平篇」。

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「毛沢東」、「鄧小平」、20世紀の中国を率いた巨人二人ですが、この記事は大いに参考になる優れた記事であったと。

ご紹介まで。

5月20日(木)

「労働者」という概念が消える・・・

・人類はこれまで飢え、戦争、病気といった3つの人類の敵を克服してきた
・紛争や飢餓は依然あるが、人類歴史上はじめて、飢えで死ぬ人より肥満が原因で死ぬ人間の数の方が多い
・2010年、世界で300万人が肥満による様々な病気で死去したが、その数は飢え、戦争、紛争、テロで亡くなった数より圧倒的に多い
・欧米人にとって、コカ・コーラはアルカイダより脅威だ
・20世紀までは労働者が社会の中心的役割を果たしたが、労働者という概念は今日、消滅した
・新しい概念はシリコンバレーから生まれてくる
・例えば、人工知能(AI)、ビックデータ、バーチャル・リアリティ(VR)、アルゴリズムなどだ
・労働者という言葉はもはや聞かれない
・労働者が今も有しているのは選挙権だけだ
・その選挙権すら余り意味がない
・世界は余りにも急速に変化しているので、人間は方向性を失ってしまった
(ユヴァル・ノア・ハラリ)

上掲の一文は、ウィーン在住の長谷川良氏のブログ記事にあったユヴァル・ノア・ハラリ氏の言葉なのです。

なかなか興味深い一文でしたのでご紹介したいと。

◆ウィーン発 『コンフィデンシャル』◆
音楽には「ジャズと他の音楽が存在」

[…前略…]

さて、いつものように前口上が長くなったが、米プリンストン大学のハロルド・ジェームズ教授は、「われわれは急激な科学技術と経済変遷に直面する一方、資本主義が世界的にその魅力を失ってきているのを体験している」と述べている。興味深い点は、アンチ資本主義は本来左派陣営から聞こえだすものだが、ポピュリズムの極右陣営から飛び出してきたことだ。グローバリゼーションは結局は貧富の格差を拡大させただけで、一部の資本家、大企業だけが利益を得た、といった声が極左だけではなく、極右の両陣営から出てきているのだ。換言すれば、世界のグローバル化では勝利者は一人であり、他は敗北者だという苦い思いだ。

 時代を逆行できないように、グローバリゼーションは逆行できない。コンピューターや人工知能、インターネットのIT技術は日々急速に発展している。ジェームズ教授は、「近い将来、銀行は消えていくだろう。銀行業務はオンラインプラットフォ―ムで代行されていくからだ」と予想している。資本主義経済の要だった銀行がそのプレゼンスを失っていくと予測しているのだ。

 資本主義、そして共産主義が現れ、後者が姿を消すとリベラル主義とグローバリゼーションが主導権を握ったが、ここにきてアンチ資本主義、反グローバル、反リベラルの動きが出てきた。誰が最後に笑うだろうか。グローバルな風に乗って大儲けした一握りの大資本家か、それともIT革命と人工知能の時代を先駆けて切り開いた人間たちだろうか。

 一部の経済学者、社会学者はコロナ禍を「創造的破壊」と受け取り、新しい世界秩序の建設を主張し、知識人の中には過去の大恐慌などを例に挙げ、現在が「グレート・リセット」(Great Reset)の時だと主張している

(ユヴァル・ノア・ハラリ氏)

 世界的ベストセラー「サピエンス全史」の著者、イスラエルの歴史家、ユバル・ノア・ハラリ氏(Yuval Noah Harari)は独週刊誌シュピーゲル(2017年3月18日号)のインタビューの中で、「人類(ホモ・サピエンス)は長い歴史を経ながらさまざまな進化を重ねてきた。ネアンデルタール人、ホモ・エレクトス 、ホモ・デ二ソワ人を経て、ホモ・サピエンスが生まれ、今日まで生き残ってきた。人類の進化は続いている。科学技術の発展によって、人類は神のような存在ホモデウスに進化していく」と主張し、注目を呼んでいる。ニーチェの「超人」を思い出させる発想だ。

 同氏は、「人類はこれまで飢え、戦争、病気といった3つの人類の敵を克服してきた。紛争や飢餓は依然あるが、人類歴史上はじめて、飢えで死ぬ人より肥満が原因で死ぬ人間の数の方が多い。過去の人類史では見られなかった状況だ。2010年、世界で300万人が肥満による様々な病気で死去したが、その数は飢え、戦争、紛争、テロで亡くなった数より圧倒的に多い。欧米人にとって、コカ・コーラはアルカイダより脅威だ」と指摘する。

 更に「20世紀までは労働者が社会の中心的役割を果たしたが、労働者という概念は今日、消滅した。新しい概念はシリコンバレーから生まれてくる。例えば、人工知能(AI)、ビックデータ、バーチャル・リアリティ(VR)、アルゴリズムなどだ。労働者という言葉はもはや聞かれない。労働者が今も有しているのは選挙権だけだ。そしてその選挙権すら余り意味がない。世界は余りにも急速に変化しているので、人間は方向性を失ってしまった」という。

 当方はこのコラム欄で「人工知能(AI)が「神」を発見する時」(2020年5月29日参考)という記事を書いた。ハラリ氏が主張するホモデウスの到来は既に到着しているのかもしれない。その時、私たちは「無用者階級」(ハラリ氏)になるか、IT技術を駆使しながら、ひたすらホモデウスへ進化していくことができるだろうか(「人類は“ホモデウス”に進化できるか」2017年3月26日参考)。

[…以下略…]

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「労働者という概念は今日、消滅した」というのは、おそらく現時点ではまだ現実味の少ない、ちょいと先走った「言い過ぎ」なのだろうと思うのですが、しかし20年先にはそうなっているに違いないのです。

まさに、AIとロボットが労働者を駆逐して行くだろうと、もう有識者が皆、そういうのですからそうなることを否定することの方が難しいのです。

「世界は余りにも急速に変化しているので、人間は方向性を失ってしまった」ということについては、ウム、そうとも言えるのかもな、くらいには思うのです。

いや、「方向性を見失いかけている」くらいが妥当なのでしょうか、これもまた。

それから、「コカ・コーラはアルカイダより脅威だ」と述べているのですが、これについては、「タバコ(喫煙)は原発より危険だ」ということもあり、また「石炭火力は原発より危険だ」ということもあり、本当に「科学的正しい知見と感情的な常識」の相克が現代の大きな課題に違いないのです。

そしていずれにしても現代という時代が、「グレート・リセット」(Great Reset)の時であることは間違いないのでしょうと。

そしてきっと日本人こそが「時代の指導者」になるべき民族であろうなとも思うのです。

ご紹介まで。

5月6日(木)

【ポスト・メルケル予想】

ドイツでは今秋にメルケル首相の退陣が決まっています。
長くドイツを、そしてヨーロッパを牽引してきた、世界的重要政治家の一人ですが、いよいよ退場の時期がきたのです。

それで時期首相が誰になりそうなのか興味がもたれるのですが、それについてドイツご在住のジャーナリスト川口マーン恵美女史が、読み応えのあるレポートを寄稿してくれていましたのでご紹介したいと。

結論としては、「この女性しかいない」という感じで、アナレーナ・ベアボック氏という若き女性を挙げているのです。

◆現代ビジネス◆
ドイツ「ポスト・メルケル」は緑の党のこの女性になるかもしれない
~時代の空気は、間違いなく味方している~

(川口 マーン 惠美、2021.04.30)
緑の党が立てた首相候補
先週の月曜日(4月19日)に緑の党が予告通り、華々しくもスマートに、次期総選挙における自党の首相候補者を発表したことについては、前回、この欄で書いた。アナレーナ・ベアボック氏、40歳。精悍で若々しい雰囲気を醸し出す女性だ。

[…略…]

ベアボック氏は、これまで州でも郡でも、まだ一度も政治に関わったことがなく、党以外の何らかの組織を率いたこともない。ロバート・ハーベック氏と共に党の幹部になったのも2018年のことで(緑の党は党首を置かず、男女がペアで党の代表を務める)、その時でさえ、無名の女性の一足飛びの抜擢と言われた。

戦闘的なスピーチが上手で、恐ろしく頭の回転が早いのが長所。トークショーでもインタビューでも絶対に罠に落ちず、勇敢な姿で視聴者を楽しませてくれる。ドイツ人は、何と言っても、戦闘的なスピーカーが好きなので人気が高い。

一方、短所は、その発言の内容に中身のないことだと言われているが、なぜか彼女の場合、それさえあまり問題視されない。だから、普通なら、ここまで政治未経験の人間がドイツという大国の首相になるなどあり得ないことのはずなのに、何となく、今、それがありそうな雰囲気になってきた。

[…略…]

■大メディアは絶賛の嵐
さて、ベアボック氏が首相候補として立つと決まった途端、メディアのエキサイトぶりが凄まじい。

主要メディアは前々から緑の党贔屓で、それは私もあちこちで書いていたが、まさか、ここまでとは思わなかった。公営テレビ2局はもちろん、『ディ・ツァイト』紙、『シュピーゲル』誌など、大メディアが軒並み、絶賛の嵐。これほど強力な選挙運動はない。

[…略…]

CDUというのは、戦後、わずかな例外を除いては、ずっと首相を輩出してきた党だ。単独で過半数を取ったこともあるほどで、常にドイツの国民政党という認識だった。それと比肩していたのがSPDで、ドイツでは長らくその二大政党制がうまく機能していたが、今では、どちらも落ちぶれてしまい、ベアボック氏が最後のトドメを刺そうとしているようにも見える。

[…略…]

緑の党政権の不安要因は、前述のように、短期的には国民は元気になっても、長期的には社会福祉や医療保険システムが崩壊に向かう危険が大きいこと。ただ、時代の空気は、間違いなく緑の党の味方だと、私は感じる。<了>

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いやいやいや、そうなのですか、なるほどと・・・。

まぁ、どういう風な結果になるのかは、蓋を開けてみるまでなんとも言えないのですが、とりあえず客観情勢としては「その可能性は極めて高い」ということなのでしょう。

だとするなら、「我が日本としての対応」も早い方がいいのです。

安倍首相がトランプ氏にアプローチしたのは、就任前だったのですが、それでも当時は「素早い対応」でありまして、ずいぶんプラスに作用したのです。

ドイツも、日本にとって決して軽視していてよい外国でなく、できれば「より強い絆を構築しておくに如かず」なのです。

そういう意味では、外務省なり、あるいは政治家なりが、個人レベルであれ公的機関レベルであれ、早いうちになんらかのアクションを起こすことが、日本国の国益に資することになるのでないかと思案するのです。

こういうことを水面下でバリバリ進めるようなことは、中国さんあたりの得意芸なのでしょうが、日本はどうもそういう「水面下での戦略的動き」ということは苦手なのでしょうか。

いや、ご紹介まで。

ご参考までにNHKニュースでは以下のように。

◆NHKニュース◆
ドイツ 今秋引退のメルケル首相の後継争い本格化
(2021年1月16日)

4月23日(土)

EUとバイデンの罠に・・・

昨年、菅首相が高らかに打ち出した「2050年カーボンニュートラル宣言」なのですが、これについて非常に手厳しい批判記事がアゴラ誌上に載っていましたので、ご参考までにご紹介したいと。

◆アゴラ◆
CO2排出46%削減という「日米戦争」
(池田信夫 2021.04.23)
❝首相官邸@kantei·4月22日
日本の政府機関
我が国の2030年度の温室効果ガスの削減目標について、2050年カーボンニュートラルと整合的で、野心的な目標として、2013年度から46%削減を目指すこと、さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていきます。トップレベルの野心的な目標を掲げることで、世界の議論をリードしていきます。❞

気候変動サミットで、菅首相は「2030年までに温室効果ガスを46%削減する」と表明した。これはパリ協定で約束した26%を大幅に踏み越えるものだが、ここまでの経緯は異常である。

■奇怪な「カーボンニュートラル」キャンペーン
2015年のパリ協定の2℃目標も非現実的なのに、それを1.5℃に下げろという圧力が昨年からEUで強まり、それを実現するために2050年カーボンニュートラルが必要だ、と話が急展開した。

この話には科学的根拠がない。今すでに産業革命から1℃上昇しているので、あと80年で0.5℃上昇に収めることは不可能だ。その根拠とされるIPCCの特別報告書で警告している「極端現象」は干魃と洪水だけだが、1.5℃を超えたら急に何かが起こるわけではない。次の表のように1.5℃上昇と2℃上昇にはほとんど差がない。

[…略…]

■京都議定書もパリ協定も罠だった
これは私には既視感がある。1997年に調印された京都議定書がわざわざ1990年という基準年を設定したのは、そのころ社会主義が崩壊して東ヨーロッパがEUに統合され、非効率な国営工場がどんどんつぶれ、EUのCO2排出量は大きく減少したからだ。

ほっておいても目標の2012年までに15%ぐらい減るEUは7%という目標を設定し、省エネが世界一進んでいた日本には6%という目標を押しつけた。アメリカは8%削減をゴア副大統領が約束したが、彼が京都に来る前に上院は全会一致で議定書に反対していた。

それに対して日本は、2011年の福島第一原発事故で原発が止まってCO2排出量が激増し、排出量は10%も増えたため、1兆円以上で排出枠を中国やロシアなどから買い、目標を形式的には達成した。しかし実際に中国やロシアが削減したかどうかは検証できないので、この1兆円はドブに捨てたようなものだ。

2015年のパリ協定のリーダーは、アメリカのオバマ大統領だった。そのリーダーシップで日本は「2030年26%削減」を約束したが、トランプ大統領はパリ協定を脱退してしまった。

こうして日本はEUやアメリカに何度もだまされたが、またこりずにEUとバイデンの罠にはまって46%削減を約束した。今回は京都議定書より2桁大きい約束だが、それが実現不可能なことは、次の図を見れば一目瞭然だろう。

[…略…]

■できるかできないか考えないで始めた戦争
このように「野心的な目標」を指導者が掲げ、それができるかできないか考えないで突入したのが日米戦争だった。それを描いたのが猪瀬直樹『昭和16年夏の敗戦』である。

1941年8月28日に総力戦研究所が「日米戦争は必敗だ」という結論を出したのに対して、東條英機陸相は「戦争はやってみなければわからぬ。日露戦争も勝てるとは思わなかった」とコメントし、それから10日もたたない9月6日の御前会議で日米開戦を決めた。

今回は猪瀬氏も「再エネの旗を高く掲げよう」などと東條のようなことをいっているが、いくら大和魂があっても、あと9年で30%も化石燃料の消費を減らすには、毎年GDPの10%以上のコストが必要だ。コロナで疲弊している日本経済に、そんなコストが負担できると思っているのか。

今年6月にEUの打ち出す国境炭素税にアメリカも乗ると、日本もそれに乗らざるをえなくなるだろう。46%削減を実現するには大幅な炭素税が必要だ。たとえば合成燃料(水素など)の価格はリッター300円~700円なので、ガソリンには100%以上の炭素税をかけないと競争できない。

財界は今のところ表立って反対していないが、トヨタも日本製鉄も日本脱出を示唆している。製造業は新しい工場をパリ協定に参加していない国やEU域内に建てるだろう。これは法人税の低い国に企業が集まるのと同じ非生産的な競争だが、それが脱炭素のもたらす負のグローバリゼーションである。<了>

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果たして池田信夫氏の見解が真実を穿った正しいものなのか、それともそれは誤解や曲解や誤認識なのか、その判別は難しいものでありまして私には一概にどうとも言えないのですが、しかしどうにも池田氏のご主張に理があるような気がするのです。

まさに「EUとバイデンの罠」にはまってしまっているのでないかとの疑念が否定し難いのです。

菅政権、つまりは日本、大丈夫なのか・・・、と。

果たして真相はどうなのでしょうか。

ご紹介まで。

4月13日(火)

ここ最近、日経新聞が「水素」を推しているとか。

◆日経新聞◆
「夢の燃料」水素、炭素超える発熱効率

これについて池田氏が「それは日経新聞の錯覚だ」としてアゴラ誌上で反論記事を書いているのですが、読み応えのある優れた分析だと思われご紹介したいと。

◆アゴラ◆
水素とアンモニアは「夢のエネルギー」か
日本経済新聞は、このところ毎日のように水素やアンモニアの記事を掲載している。宇宙にもっとも多く存在し、燃焼効率は炭素より高く、燃えてもCO2を出さない。そんな夢のようなエネルギーが、なぜ今まで発見されなかったのだろうか?

■水素はエネルギーの縮小再生産
それは日経新聞の錯覚である。水素はエネルギー源ではないのだ。水素は単体では大気中に存在しないので、水を電気分解するか、化石燃料(炭化水素)を熱分解してつくるしかない。その水素を燃やしてできるエネルギーは、水素をつくるエネルギーよりはるかに小さい。水素はエネルギーの縮小再生産なのだ。

水素は零下250℃以下でないと液体で保存できないので、扱いやすいアンモニアに変えて輸送する。だからアンモニアも水素キャリアであって、エネルギー源ではない。最近は発電にも使える技術が開発されているが、それも水素を運ぶ点では同じだ。

[…略…]

これは「グリーン成長」ではなく、納税者や電力利用者からアンモニア企業への所得移転である。安価なLNGから高価なアンモニアに切り替えると電気料金は上がり、製造業は日本を脱出するだろう。

要するにアンモニアは日本のCO2を産油国に付け替えるだけで、地球全体のCO2排出は減らず、温暖化も止まらないのだ。パリ協定で約束した削減目標が、国内で名目的に達成できるだけである。

1970年代の石油ショックのとき、日本人は「省エネ」に一丸となって取り組み、日本の自動車・電機製品は世界を制覇した。それはエネルギーコストを下げて製造業の生産性を上げ、競争力を高めたからだ。しかし今回の「脱炭素」投資は、CO2を海外に付け替えるだけの会計操作である。製造業の生産性は低下し、空洞化は早まるだろう。<了>

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「地球は温暖化している」ということは事実でしょうし、あまりやたらとCO2を排出してはいけないのも当たり前なのでしょうが、それにしても今の世界は狂ったように「CO2は絶対ダメ!」的にCO2を悪玉にしてこれの排出を規制しようとしているのです。

それを受けて日本でも菅首相が「カーボンニュートラル」として、ずい分大胆な目標設定を打ち出しているのです。

その方向線状で注目を浴びているのが「水素」なのです。

日本の小泉環境相なども水素を持ち上げているとか。
そして日経新聞などもこのところ特集しているとか。

しかし、「それで本当にいいのか?」「費用対効果をちゃんと分かっているのか?」と警鐘を鳴らしてくれているのが池田氏なのです。

アゴラ誌には松田学政経チャンネルで収録されたユーチューブ動画がリンクされているのですが、こちらも価値ある話がされているのです。

池田さん、松田さん、グッジョブです。

そして菅首相、大丈夫ですか、
この話をよく聞いて軌道修正した方がいいのではないですかと・・・。

ご紹介まで。

4月3日(土)

小泉環境相の「プラスチック問題発言」が物議を醸しているようです。
アゴラ誌上に池田信夫氏の鋭い批判が掲載されていましたので、ご紹介したいと。

◆アゴラ◆

小泉進次郎氏は「プラスチック容器の絶滅」をめざす
(2021年4月3日 池田信夫)
小泉進次郎環境相の発言が話題になっている。あちこちのテレビ局のインタビューに応じてプラスチック新法をPRしている。彼によると、そのねらいは「すべての使い捨てプラスチックをなくす」ことだという。

❝(フジテレビ)今回の国会でもう1つの目玉なのが、プラスチック資源循環促進法案ですね。プラスチック使用量を削減し脱プラ社会を目指すものですが、プラスチックスプーンやフォークの有料化に国民の関心が集まっています。

(小泉)日本では年間約1000万トンのプラスチック生産があって、そのうち排出、つまりゴミになるのは約900万トンです。そのうち使い捨てプラと呼ばれる容器包装が約400万トンで、その中にはペットボトル約60万トン、レジ袋約20万トンが含まれます。さらに使い捨てプラにはスプーンやフォークなどが約10万トンあります。

「なぜスプーンが狙い撃ちされるんだ」という批判に対しては、答えは明確です。スプーン狙い撃ちではありません。プラスチック全部です。スプーンは一つの例で、プラスチック製品全部が[有料化の]対象だと、説明を理解を広げていきます。❞

ここで彼が「使い捨てプラ」と呼んでいるのは、次の図の「包装・容器・コンテナ類」に使われるプラスチック407万トンのことである。つまりこの新法の目的はスプーンやストローだけでなく、すべてのプラスチック容器・包装をなくすことなのだ。次にねらわれるのは、彼があげているペットボトルだろう。

[…略…]

■環境省がプラスチックを滅ぼす
問題はこのうちサーマルリサイクル(ゴミ焼却による発電)を認めない原理主義者が増えてきたことだ。これを「CO2を排出するのでだめだ」というが、プラスチックを分別回収して再利用するマテリアルリサイクルは多くのエネルギーを消費する。

サーマルリサイクルのエネルギー削減効果はマテリアルリサイクルより大きく、CO2もほとんど増えない。プラごみを分別しないで焼却している東京都の調査でも、次の図のようにサーマルリサイクルで年間53億円のコストが節約でき、CO2排出量は0.01%増えただけである。

しかし環境団体が「サーマルリサイクルは国際的にはリサイクルとは認められていない」と主張して熱回収を排除した結果、出てきたのが今回の「廃プラ絶滅法案」である。

世界的にサーマルリサイクルが少ないのは、日本のような高性能のゴミ焼却炉がほとんどなく、ゴミを埋め立て処分しているからだ。日本の焼却炉は1990年代にダイオキシン問題で高温焼却が義務づけられたため、今は800℃以上の高温に耐えるので、東京都23区ではプラスチックを分別していない。

このような実態を環境省も知っているはずだが、環境原理主義者のいう「世界の流れ」に押されて、膨大なエネルギー浪費を強制しようとしている。小泉氏はその宣伝塔に利用されているが、これを許したらプラスチックの生産量は激減し、石油化学業界は没落する。国民も業界も怒るべきだ。<了>

池田氏の議論が全面的に正しく、小泉環境相が目論むところが全面的にダメ政策であるということではないのかもしれませんが、それでもこれは大いに問題のある政策であると言えるのでないでしょうか。

池田氏は「国民も業界も怒るべきだ」と仰っているのですが、まず最初に「本当はどうなっているのか、本当にそうなのか」という点について、マスコミがきちんとこれを報道する必要があるのでないかと。

マスコミが「権力への監視機能」を有するというなら、こういう問題にこそきちんと追及の姿勢を見せなければならないのでないでしょうか。

ご紹介まで。

過去記事

9月18日(金)

【菅新政権の経済政策は】

さて、世の中「菅新政権」について色々やかましく取り沙汰されているのです。
そんな中、MSNニュースを開いてみましたら以下の一文が紹介されておりまして、読んでみましたらなかなかに興味深い考察がなされておる訳でありまして、これはご紹介したいと。

◆AERA dot.◆
有働アナに対してムキになって…「菅首相」の“野心”が見えた瞬間 池上彰と佐藤優が語る
(2020/09/18 構成/編集部・三島恵美子)
 9月16日に誕生した「菅政権」。この新政権をどう見るのか、AERA 2020年9月21日号では、作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんとジャーナリストの池上彰さんが語りあった。

*  *  *

──モリカケや桜を見る会などの問題の責任の一端を負う菅氏が、問題をうやむやにしたまま新政権を率いることになっても、正当性への疑問が残ります。

池上:これが、日本人だからというのかな。何か、モリカケも桜を見る会の追及も政権が代わったとたんに、昔の話だよねってなっちゃうんだと思うんですよ。政権代わったんだし、まあいいじゃん、みたいな。本来はいけないんだけど、そういえばそんなのあったっけってね。

佐藤:そもそもモリカケや桜を見る会は前政権のスキャンダルです。ですから菅政権については、新しいスキャンダルが出てきたときにどうなるかです。官房長官まででは見過ごされていたことでも、内閣総理大臣になると許してもらえないことってきっとあるはずです。何がスキャンダルになるかは、それに巻き込まれる当事者もわかっていないから、事前に対策を立てることができない。

池上:菅さんは官房長官タイプで、安倍さんが途中で辞めてしょうがないからワンポイントリリーフかなと、最初私は思っていました。それが、本人は野心むき出しですよね。

 先日、日本テレビの「news zero」で、有働由美子さんがピンチヒッターっていう言い方をしたら、菅さんがすごいムキになって「有働さんは選挙わからないと思うけど」って言い出したでしょう。あれで、これはワンポイントリリーフじゃないんだなと。本人、猛烈に野心が出てきたんだなと。だから、なるべく早い段階で総選挙をして本格政権を作ってやっていく気なんだなと思いましたね。絶対自分はワンポイントリリーフなんかにならないぞっていう野心が、あそこでつい見えちゃったな、って私は思いましたね。

佐藤:確かに野心が見えましたね。メディアではいま、菅さんの苦労人という面が取り上げられていますけど、持ち上げたらそのあと落とすっていうのも、メディアの仕事ですから。だから最初は、あんまり竹馬で高く上らないほうがいいんです。

■苦労人礼賛では構造問題見えない

池上:菅さんは出馬表明のときに、自分は秋田の農家の生まれで東京に出てきてって話をしました。これ明らかに、田中角栄を意識してるんですよ。身一つで都会に出てきて、大変苦労して、勉強もして。これも角栄そのものですから。そうすると、自民党の年配の人とかは、これはやっぱり響くわけですよ。田中角栄の現代版みたいなことで自分を売りだそうとしていますね。今後も何とか自分の支持を得るためには田中角栄を彷彿とさせるような、そういう印象操作をするだろうなとは思いましたね。

佐藤:努力家礼賛は危ないと思っています。これは役人でも企業経営者でもそうなんですけど、努力して自分が今の地位をつかんだというところまではいいんです。でもその先、自分の地位までいかないやつは努力が足りないっていう発想になる。そうすると死ぬまで働けみたいな、こういう話になりかねません。そうではなくて、そこには巡り合わせや運という要素がある。努力すれば栄達をつかめるわけではないし、今のその地位に立てない人っていうのは、努力不足ではないんです。

 だから私は苦労人礼賛とか、努力によってここまできたっていう美談に対しては、批判的になったほうがいいと思うんです。努力で解決しない問題はたくさんある。構造の問題が見えなくなる危険性があるんです。

池上:つまり、格差社会が見えてこなかったり、格差社会で所得の低い人たちは、努力してないからだって話につながりやすかったりしますね。

佐藤:その通りです。戦力とは意思×能力で、我々の能力、資質が十分ではないが意思を極大にすれば勝てると言ったのは、東条英機です。でも意思や努力を測る、定量化できる尺度ってないですから。努力重視というのは、つまり、この東条の考え方に近いことになりかねないんですよ。

 菅さんという人がどういう人かを見るとき、僕が記者だったら何を読んでいるかを見ます。小説を全く読んでいないのか、あるいは努力によって成功するという通俗小説が好きなのか。他者への共感とか、そういうふうなことと絡んでいるような小説を読んでおられるのか、とか。総理になる人が、どういう本を読んできたかっていうことは、結構重要だと思いますね。

池上:それでいうと、菅さんは好きな作家をイタリアの政治思想家のマキャベリ(※)って言ったんです。平然と言うっていうのは、すごいよなと思って。

[…略…]

■若手を競わせて次世代を作る

──菅政権に望むことはなんですか。

池上:菅さんには望んでも無駄なんで私が望むことはないですから(笑)。白々しいですよ。

佐藤:菅内閣っていうのは、やはり過渡期の政治家たちによるシステムですよ。わずか菅政権に望むのは、まともに政治を動かすために、きちんと下の世代の政治家を競わせて、人材をとにかく競わせることです。

池上:その点でいえば、それはおっしゃるとおりだと思います。彼が本当に日本のことを考えているのであれば、若手を競争させることによって、自力で這い上がってくる、そういう政治家をどれだけ作り出していくかっていうことをやらなきゃいけないと思います。

佐藤:派閥のしがらみがない無派閥ということを菅さんは謳っているけれど、この総裁選を見ていても、派閥の影響を受けないなんてことはできないでしょう。

 今の官邸官僚には、国民の信頼を失うような問題を抱えている方がいます。こういう官僚は、権力の中心から少し距離を置いてもらったほうがいいと思うんですね。

 それから、二階(俊博)さんと麻生(太郎)さん。このお二人は、日本のために十分に貢献していただいたから、この辺りで「もう十分です。ありがとうございます。あとは我々でやります」ということをきちんと伝えることは、菅総理しかできないですから。これがもしできたらこの政権の最大の功績になるでしょうね。

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ここ数日、私は菅義偉氏について情報収集しているのですが、どうも、氏は小泉純一郎氏と似たような経済観念をもっておられるようでありまして、竹中平蔵氏の経済観を「ヨシ」としているようなことなのです。
つまりは「新自由主義」的なグローバル経済をヨシとする経済観であると。
そしておそらくはそういう経済政策を遂行するであろうと予測されているのです。

そしてもしそうなら、(それは如何なものか・・・)と。
つまりそれは日本を良くすることに貢献しない、むしろ悪くする方向に貢献してしまうのでないかと懸念されるのです。
この点を三橋貴明氏は鋭く追及しているのですが、これについては私も(そうかもしれない・・・。むしろその線が強いのでないか・・・)として三橋氏の懸念を共有するのです。

【ご参考】
三橋貴明オフィシャルブログ

う~~む、どうなんでしょうか、とりあえず注目して見守るしかないのです。

ご紹介まで。

9月12日(土)

【ドイツ、脱原発の末路】

世界中がコロナ禍により大ダメージを受けている中、ドイツはまた別の大問題に頭を悩ませているようです。

それは「エネルギー問題」。
メルケル女史の「脱原発宣言」はもはや立ち行かないほど深刻なエネルギー不足が目に見えているという・・・。

ドイツ在住のジャーナリスト、川口マーン惠美女史が読み応えのある分析記事を現代ビジネス誌に寄稿しておりましたので、ご紹介したいと。

2011.3.11勃発→メルケルこれを機に脱原発宣言→ドイツがエネルギー政策転換→脱原発→エネルギー不足→ノルドストリーム2推進→EU諸国&トランプからの大批判→ドイツ窮地→ナワリヌイ氏暗殺未遂→反ロシアへの口実→反ロシア→そしてメルケル、再び脱・脱原発宣言か、
というストーリーが真実味を帯びて語られているのです。

◆現代ビジネス◆
独メルケル首相がまもなく「脱・脱原発」に舵を切る可能性
~「ナワリヌイ氏暗殺未遂」が繋ぐ点と線~

(川口 マーン 惠美 2020.09.11)
■タブーが覆る可能性
単に私の憶測である。ドイツは「2022年に脱原発」という決定を再び覆すのではないかーー。

2011年の福島第一原発事故の後、メルケル首相が唐突に、全ての原発を22年までに無くすと宣言して以来、ドイツ国民はその達成を、微塵も疑っていない。政治家でさえ、それに関して少しでも疑問を呈すことはタブーとなって今まできた。

しかし、どう見ても、ドイツの「脱原発」政策には、物理的にも経済的にも矛盾が多すぎる。経済的矛盾の方は、お金を注ぎ込み続ければまだ保つ。しかし、物理的な問題は、早晩「停電」という形で露呈する可能性がある。そんなことは産業国では絶対に許されない。

だから、きっとドイツ政府はギリギリになって、脱原発の期限を後ろに倒すのではないかと私は思い、そう発言もしてきた。しかし、どうやって?

まさか、「この政策は誤りだった」などとは言えない。これほど世界に胸を張ってしまった政策を覆すには、ドイツ国民はもとより、世界の人々を納得させる理由が必要だ。おそらく、「我々はもっと良い方法を見つけた」と前向きな表現をするだろう。しかし私には、その「もっと良い方法」が何かがわからなかった。

ところがそれが、突然、透けて見えてきた。「もっと良い方法」は見つからなかったが、ドイツは「止むを得ない事情に見舞われた」のではないかーー。

■産業国ドイツの現実
2011年のメルケル首相の脱原発宣言は、まだ記憶に新しい。しかし、あまり知られていないが、ドイツの脱原発の基礎を作ったのはメルケル首相ではなく、実はSPD(社民党)のシュレーダー前首相だった。

90年代の終わり、緑の党と連立政権を建てたSPDがその青写真を決めたのだが、それは、30〜35年ぐらいかけてドイツから原発を無くしていこうという、比較的緩やかなものだった。

ところが2010年、第2次メルケル政権からSPDが抜けた翌年に、メルケル首相は原発の稼働年数を引き延ばす決定をする。しかし、これが国民の間で思わぬ強い反発を招き、メルケル首相は窮地に陥った。

折しもその翌年、翌々年は、重要な州議会選挙が複数あったため、メルケル首相がこれでは勝てないと頭を悩ませていたちょうどその頃、福島の事故が起こった。

メルケル首相はすかさず「福島がすべてを変えた」というロジックで、22年までの脱原発を宣言し、世界をあっと驚かせる。その結果、彼女の人気は急上昇し、それどころか、世界中の環境派と言われる人たちからの絶賛を受け、今日に至っている。

しかし、現実は違った。産業界では、ドイツは本当に22年までに全ての原発を止めることができるのか、それを再エネで代替するというのは現実的な政策なのかという疑問は常に存在し、それは答えを見出せないまま、時間が経つにつれて膨らんでいった。

再エネは確かに急増しているが、自然が相手なので発電量を需要に合わせることはできない。だから、不足時は石炭・褐炭火力で補い、また、随時、外国の電力も輸入している。ベースロード電源は、原発と石炭・褐炭だ。ドイツが外国の電気を輸入していない日は、1年のうち1日たりとも無い。

■「Nord Stream 2」の重要性
ただ、ドイツは石炭・褐炭の発電所も、遅くとも38年には閉鎖するつもりだから、このままいくと、いずれ頼りになる燃料は天然ガスしかなくなる。

それがわかっているから、ドイツではガスの火力発電所を建て増しており、また、ロシアからガスの輸入を増やすため、バルト海底のパイプライン第2号「Nord Stream 2」の建設も着々と進めてきた。

ところが、そのNord Stream 2が一筋縄ではいかない。

トランプ米大統領は前々より、「我々がNATOの一員としてヨーロッパの対ロシア安全保障に貢献しているというのに、裕福なドイツは国防費をケチり、挙げ句の果ては、ガスビジネスでロシアとウィンウィンの関係を築こうとしているのはおかしい」とNord Stream 2にクレームをつけていた。

もちろんここには、「ロシアのガスではなく、アメリカのシェールガスを買え!」というメッセージも含まれてはいるが、それでも、トランプの言っていることは誤りではない。

その他にもNord Stream 2の建設には反対勢力が多い。EUはロシアのクリミア併合以来、アメリカに歩調を合わせて対ロシアの経済制裁を敷いており、どの国もそのために少なからぬ経済的犠牲を払っているのに、「ドイツだけが強引にガスプロジェクトを進めているのはおかしい」という声は高い。

また、西ヨーロッパ諸国は、ロシアのガスの蛇口をドイツが握ることに抵抗があるし、東欧の国々は、自分たちの領土を通る陸上パイプラインの使用料金が激減することを嫌っている。デンマークも環境問題などを理由に、長らく自国領海内をパイプラインが通過することを許可しなかった。

要するにドイツはすでに四面楚歌だったのだ。アメリカのクレームで、Nord Stream 2の完成は現在、遅れているが、完成すれば、ドイツのみならず、おそらく西ヨーロッパ全体がロシアのガスに依存してしまうことは明らかだ。

■ロシアに圧力をかける手段
さて、ここからが本題である。

8月20日、ロシアの反体制派の活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏が、飛行機で移動中に意識不明になった。毒殺未遂と言われたが、治療に当たったロシアの医師は、ナワリヌイ氏の体内から毒物は発見されなかったと発表した。

ドイツ政府は当初より、ナワリヌイ氏をドイツの病院で受け入れる用意があるといい、22日の深夜、ナワリヌイ氏はベルリンのシャリテー病院(ドイツ最大の大学病院)に移送された。

その10日後の9月2日、メルケル首相が緊急会見を行い、ナワリヌイ氏が神経剤の「ノビチョク」で攻撃されたことが「疑いの余地なし」と発表した。

しかも、とびきり厳しい表情で、「ナワリヌイ氏は口を封じられなければならなかった」、「今、非常に重大な疑問があり」、「それに答えられるのはロシア政府だけであり、ロシア政府は答えなければならない」と、ロシア政府を犯人と決めつけて激しく非難した。

その途端、ルーブルの対ドル・レートが急落。ちなみに、検査をしたのはドイツ国防軍の特別化学実験室(ナワリヌイ氏は9月7日、脳低温治療のための人工的な昏睡状態を解かれ、現在、話もできる状態だという)。

[…略…]

独米関係がここまで悪化したのは、トランプ嫌いのメルケル首相の影響が大きいが、ひょっとするとメルケル首相は、トランプ再選の可能性が無視できなくなってきた今、早急に関係改善の道を模索しているのかもしれない。

さらに言えば、Nord Stream 2の凍結というのは、ドイツのエネルギー政策の見直しを意味する。天然ガスの安定供給なしに脱原発を遂行することは不可能だ。つまり、脱原発の見直し。そうでなくても最近CDUの内部でも、原発は止めるべきではないという声が、無視できないほど高くなってきている。

2021年秋に、メルケル首相は引退の予定だが、22年、予定通り脱原発に突入すれば、メルケル首相のエネルギー政策が無謀なものであったことは早晩露呈する。

メルケル首相はそれを回避するため、「脱原発を遅らせる止むを得ない事情」として、「ロシアのナワリヌイ氏暗殺未遂事件」と「Nord Stream 2の凍結」を使おうとしているかもしれない。2011年、自分の政治的延命のために福島の事故をうまく使ったように。

彼女が周りの反対を押し切るときによく使った言葉が「他に選択肢がない」というものだ。まもなく、それが再び登場するのではないかと私は想像している。<了>

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私の見ますところ、メルケル女史は巷間言われているほどの「凄腕の女性名宰相」ではないのでないかと・・・。

ご紹介まで。

9月11日(金)

【菅(すが)政権誕生に向けて】

この9月は自民党の新総裁選びが大きな話題でスタートしたのですが、もう大勢は菅義偉氏でほぼ決まりなようで、話題は「組閣」や「政策」に移りつつあるようです。

web上の現代ビジネス誌に高橋洋一氏の大変興味深い一文がUPされていましたのでご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
9月14日「菅義偉総裁」誕生に対する、「大きな期待」と「小さな不安」
~「菅さん」の言葉から、わかること~

髙橋洋一(嘉悦大学教授)
■よほどのことがなければ…
現在のところ、自民党総裁選は、菅官房長官が優勢だ。自民党国会議員は、細田98人、麻生派54人、竹下派54人、岸田派47人、二階派47人、石破派19人、石原派11人、無派閥64人の計394人だ(9月6日現在、筆者調べ)。

一時は最強の後継だったはずなのに/photo by gettyimages
これまで、細田派、麻生派、竹下派、二階派が菅官房長官支持を表明している。無所属の一定割合も菅官房長官支持だ。これだけで、300以上になるだろう。よほどのことがない限り、菅総理で決まりだ。

自民党総裁選は9月8日告示、14日投開票の日程だが、党員投票は行わず地方参加の「簡易型」で両院議員総会で選出する。

一部マスコミは、この簡易型を批判していたが、同時に実施される、合流新党(「帰ってきた」民主党?)の代表戦では、国会議員投票だけで党員投票が実施されないので、気まずいのか、報道しなくなった。自民党は「簡易型」とはいえ、国会議員だけでなく地方の意見を聞くだけ、「帰ってきた」民主党よりまともだ。

いずれにしても、今の菅官房長官の支持の広がりなら、フルスペックでも簡易型でもどちらでも圧勝だ。

また、朝日新聞は、これまで安倍政権を批判してきたが、世論調査では、「安倍政権を「評価する」が71%」となって、これまでの報道がなんだったのか。また、石破氏が国民的人気としてきたが、「次期首相ふさわしいのは「菅氏」最多」と、これも自社の世論調査により、自社のこれまで論調が否定されてしまった。朝日新聞は、「安倍ロス」でおかしくなってしまったのか。

それにしても、朝日新聞だけでなく、ほかのマスコミも、安倍政権でインフレ目標と日銀の金融緩和が実施されて7年以上経過したが、2%目標の意味やその効果について、多くのところが正しく評価できていない。
(以下略)

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さて、菅新政権の船出ですが、どういう布陣の組閣になるのでしょうか。

ご紹介まで。

9月6日(日)

【ロシア・中国、無法者国家の系譜】

「台風10号」、「自民党総裁選」、「アメリカ大統領選」、「新型コロナ問題」、「米中冷戦問題」、などなど、日本も世界も難問山積の今日この頃なのですが、今しがた読みに行った長谷川良氏のブログに興味深い記事が2本UPされていましたのでご紹介したいと。

話題は、①ロシア問題、②中国問題、なのです。

◆ウィーン発 『コンフィデンシャル』◆
ナワリヌイ事件が示したロシアの顔
(2020.09.06)

◆ウィーン発 『コンフィデンシャル』◆
欧州駐在の“悲しき中国外交官”
(2020.09.04)

いや、なんというのでしょうか、「世界は昔も今も無法者に振り回される」という構図に改めて気付かされるのです。

ロシア、そのかみはソ連ですが、今も結局「ソ連時代」の「途上国的無法者体質」は全然変わっていないのです。

どれだけプーチン氏が「我が国は民主国家だ」などと内外に宣言しても、今もなお国内では「政敵を毒殺する」という古い無法者国家体質が厳然として存在しているのです。

そして同じく中国も、習近平氏が「中国は再び栄光大国に返り咲いた、今や世界ナンバー2の大国だ!」と誇らしげに胸を張っても、今もなお国内では法輪功の弾圧やウイグル人の弾圧にせっせといそしんでいるのですから何をかいわんやなのです。
無法者国家そのものであると。

そしてプーチン氏も習近平氏も同じく「終身権力者」を目指すことを隠そうともしないという。

そしてドイツ。

かつてヨーロッパで「最も危険な国」であったのですが、実は今もなお「危なっかしい国」であるという。

なぜならドイツは、あの賢そうなメルケル女史その人が、あの危ない中国に最も接近し、最も「中国シンパ」であることを隠そうともしていないのですから。

話は替わって新首相になりそうな気配の菅義偉氏ですが、その基本外交スタンスはどうなのでしょうか。

どうも「私はあまり外交は得意でない」と言いたげな雰囲気なのですが、もちろんそれでもいいのですが、要は菅氏に的確な進言ができる人物を身近に置くことができるかどうかということでしょうか。

安倍首相には何人かの敏腕補佐官が懐刀的に活躍していたようなのですが、はて、菅氏にはどのような補佐官が付くのでしょうか。

14日には新総裁が決まり、そして今度は「組閣」が注目されるのです。

そういえば山本一郎氏の動画チャンネルに「二階俊博という人物」についての興味深い話がUPされていましたので、こちらもご紹介したいと。

二階俊博さんは信頼に足る政治家なのか?【菅義偉さんを総理に導く令和のキングメーカー】 
親中派/コロナ拡大の戦犯?/ザ・政治家/竹中平蔵さんとの対立/幹事長へのこだわり/引退の時期は?
(2020/09/05 約18分)

(へ~、そういう人だったんですねぇ・・・)と。

ご紹介まで。

9月4日(土)

【日本人の古層】

安倍首相が辞任して、今はもう「後継総裁レース」の話題でもちきりなのですが、ちょいとこの安倍首相関係での興味深い論考に出会いましたのでご紹介したいと。

池田信夫氏のアゴラへの寄稿記事なのですが、丸山真男氏の「古層」の概念に触れて政治論を展開しているのです。

安倍首相の憲法改正を挫折させた日本人の「古層」
(2020年08月31日池田 信夫アゴラ研究所所長)
安倍首相の辞任について、世界中から多くの論評が寄せられている。彼の経済政策についての評価は高くないが、外交・防衛政策についての評価は高い。Economist誌の元編集長ビル・エモットはこう評している:

安倍首相は依然として弱い経済を残して去るが、防衛と外交の問題において日本をより強く、独立した国にした。彼の後継者は誰になろうとその道を続ける可能性が高く、これは東アジア全体の平和とルールにもとづく国際秩序の支持者にとって朗報である。

私も同感である。日米同盟の前提だった集団的自衛権を明示的に法制化したことで、日米関係は世界の「ルールにもとづく国際秩序」の一環として位置づけられた。だが皮肉なことに、これで日米同盟との整合性という憲法改正の最大の根拠が失われ、安倍首相の宿願は達成できなかった。

憲法改正は、岸信介から受け継いだ安倍首相の遺伝子のようなものだ。それは右派とかタカ派とかいわれるような政策ではなく、日本が占領から独立する当たり前の手続きだった。憲法第9条はほとんど誤記に近いミスであり、日本が軍備をもたないでアメリカが日本防衛の義務を負う憲法は、日米双方にとってメリットがなかった。

これを訂正することは、1950年代にはむずかしくなかったはずだが、吉田茂が憲法を日米の取引に利用し、社会党左派が政局に利用したため改正できなかった。このため岸は日米安保条約を改正してから憲法を改正しようとしたが、丸山眞男を初めとする知識人が憲法の空想的平和主義を理想化し、野党が国会の1/3を占め、60年代以降の自民党政権は憲法改正を提案さえしなくなった。

■「戦争機械」としてのデモクラシー
こういうボタンの掛け違えはあったが、この変則的な憲法が75年にわたって改正できなかった背景には、もっと深い理由がある。ゼロリスクを求める感情は人類に普遍的だが、日本人には特に強い。それは日本が島国で、対外的な戦争をほとんど経験したことがないという歴史と無関係ではない。

近世から近代初期にかけて数百年にわたって激しい戦争を繰り返したヨーロッパでは、民主国家が生き残り、帝政が没落した。それはデモクラシーが美しい理想だったからではなく、全国民を徴兵で動員できる最強の戦争機械だったからだ。

ここでは中世の騎兵や帝政の傭兵のような弱体な軍事力ではなく、重火器で武装した大量の歩兵が軍事力のコアであり、法の支配は軍の命令を拡張した制度だった。個人を超えた国益のために命を捨てる集団主義を可能にしたのは、死んだら天国に行けるというキリスト教の信仰だった。

近代ヨーロッパでは分権的な封建社会が戦争で破壊しつくされ、法と暴力で支配する主権国家が生き残り、キリスト教がそのイデオロギーになった。この文化は最近500年程度なので、遺伝子には組み込まれていない。教会や学校はそれを国民に刷り込む装置である。

■身内の平和を求める日本人の「古層」
それに対して日本人のゼロリスク志向は、長い歴史の中で生き残った原初的な集団主義だと思われる。これは丸山が「古層」と呼んだ日本人の古代以来の思考様式だが、それほど特殊な感情ではない。

そこでは抽象的な国益のために命を捨てる行動はみられず、忠誠の対象は私的な「家」で、国とは大名家のことだった。これは未開社会では普通で、アフリカの部族紛争をみてもわかるように、他人のために死ねる範囲は、たかだか数百人の部族が限度なのだ。

この状況は日本では2万年ぐらい続いているので、それに適応できない異分子は集団から排除され、子孫を残せなかったと思われる。このような遺伝と文化の共進化は、人類に広くみられる現象である。家族を超える(数百人の)小集団への帰属意識はすべての人間が遺伝的にもつ感情だが、日本ではそれが文化的に強められた。

■快適な「属国」への道
「古層」は国益ではなく身近な家のために命を捨てる感情なので、近代国家の戦争には向いていないが、明治政府はこのアポリアを「天皇」という古代の記号を再利用して乗り超えた。それはキリスト教の模造品だったが、伊藤博文はこれを「機軸」とする国家を意識的に設計したのだ。

天皇という「家長」は驚くほど強い求心力をもち、国民を戦争に動員するイデオロギーとなったが、総力戦には向いていなかった。日本人は中隊ぐらいの小集団では強いが、師団のような大集団になると、全体のために部分を犠牲にする戦略的な決定ができないのだ。

天皇制国家を設計したのが、江戸時代に数少ない軍事国家だった長州の政治家だったことは偶然ではない。安倍首相が受け継いでいるのは、そういう長州の遺伝子だが、日本人の中では少数派である。それを拒否したのは、丸山が否定的に評価した日本人の「古層」だった。

結果的には憲法改正は(おそらく永久に)不可能になったが、実害はそれほど大きくない。現代の大国が核兵器をもたないで自衛することは不可能であり、戦争に向いていない日本人がそれを米軍に外注する日米同盟は合理的である。日本の「属国」としての地位もこれで固定されるが、大部分の国民の「古層」にとっては快適なのではないか。<了>

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いや、なかなか難しい議論を展開しておられるのですが、どうなんでしょうか、「日本人の古層」といって・・・。

ご紹介まで。

9月3日(木)

【松田プラン(MMP)が凄い】

松田学氏のMMPなる経済政策論があるのです。
これが大変興味深く、また大いに有効な素晴らしい経済政策に思えましてご紹介したいと。

MMTならぬMMPというネーミングが面白いのですが、いや、これは大真面目に凄い経済政策でないかと思えるのです。松田氏によればなかなか主要メディアには理解してもらえないそうですが、きっとそれらオールドメディア、マスコミ、政治家は古い経済理論しか頭の中にないのであろうと思われるのです。

◆松田政策研究所チャンネル◆
号外【ニュースを斬る!】夏休み特別企画 疑問・質問に答える!松田プラン(MMP)
(2020/09/02 約46分)

私もこの松田プランの実現に大いに力になりたいと、そう大真面目に思っている次第なのです。

話は替わるのですが、日本では台風よりもずっと重要な政治話題として「総裁選」があるのですが、どうも流れは「菅氏勝利」ということでほぼ決まってきたようでありまして、岸田さん・石破さんのどちらが2位

それに関連してですが、「なぜ石破氏は自民党国会議員の中で不人気なのか?」ということについて、(あ~、なるほどねぇ、そういうことだったのですか・・・)と妙に納得できる動画を視聴しましたのでご紹介したいと。

◆文化人放送局◆
♯102報道特注【石破茂裏切りの歴史】
(925,594 回視聴•2018/04/07 約36分)

話は替わるのですが、もう一本ご紹介したい記事が。
カナダ在住の岡本氏のブログからですが、「世界的にインフレがどこかへ消えてしまっている」という。

日本ではインフレどころかデフレから脱却できずに長年困っているのですが、どうも世界的に傾向は似たようなことであり、マクロ経済的に「困ったことである」という状況であると。

アメリカも「何とかしないといけない」ということで、FRBが先週「『物価2%超』容認決定 ゼロ金利維持へ新指針」(日経)と発表したとか。

◆外から見る日本、見られる日本人◆
インフレを忘れた経済
(2020.09.02)
[…前略…]
日本ではバブルまでに当時の多くの世代において消費の満腹感を感じました。90年代から00年代にかけては次の世代が本来消費の満腹を目指すところでしたが、リストラに倒産の嵐、非正規雇用で満腹は高級レストランではなく、ファミリーレストランやプチ贅沢に変わっていきます。消費も欧州のブランド物から手作りのもの等になり、今ではメルカリでセカンドハンド(要するに中古)の時代になっています。

[…略…]

では北米の金持ちはどうやってお金を使っているのでしょうか?正直、知れています。私が経営するマリーナの顧客連中は尋常ではない水準の資産家の集りです。彼らの様子を間近かに見ています。ぶったまげるような車に乗る人もいますが、それは趣味の世界。金がかかるのはボート、別荘ぐらいであとは使っても知れているのです。旅行や食事では金持ちの懐は全く痛みません。そうするとどうなるか、一本100㌦ぐらいのワインや500㌦のウィスキーを仲間内で飲んでいるぐらいであとはライフをエンジョイするという感じでしょうか?

奥様に使う人も多い気がします。欧州の高級車、特にSUVが目立つのですが、運転するのは品のよさげな女性のドライバーだったりします。もともと当地の中国人の金持ちの奥さんがベントレーのSUVクラスに乗っているのに刺激を受けたのか、ポルシェやアウディクラスのSUVを乗り回すご婦人方は金持ちが多いエリアでは普通に見かけます。日本の方には驚きでしょうが、今日のテーマである国家レベルのインフレという話からすると消費のインパクトはその程度ということになります。

北米では所得格差が更に広がっている点もあるとみています。持てる人は持っている、だけど労働者階級はコロナで政府支援金を貰いながらやっとこさ、であります。つまり、金持ちもさほど使わないし、労働者階級も消費に回りにくくなっているように感じます。

更に「欲しいものがない」という話もあります。知り合いの60代のカナダ人の女性は「私はバッグも洋服も靴ももう十分にあるからこれ以上、欲しいと思わない」と言っていたのですが、割と誰にも当てはまるのかもしれません。労働者階級の人もモールやアウトレットでお買い得品をゲットし続けており、一定の満腹感はあるはずです。とすればコロナから解放されてもなかなかインフレになる程モノやサービスへの消費が膨らむのか、疑問なのであります。

[…略…]

インフレを忘れた経済は日々の私たちの生活に衝撃的な影響は及ぼさないものの経済成長という枠組みの中では相当悩ましい問題であります。そして低金利にすればするほど持てる者と持てない者の格差は確実に拡大するのが現代の社会構造でもあります。こればかりはアメリカが民主党に政権交代しても切り口を変えない限り、改善はできそうにありません。
では今日はこのぐらいで。

**********************

いやいや、世界は大きく変わろうとしているのです。

これはコロナ禍が来たらというより、より本源的に「変わるべき時期」になっているのであろうと思われるのです。

どんな時代も永遠に続くことなどあり得ないのです。

古の故事、「驕る平家も久しからず、ただ風の前のチリに同じ…」という、諸行無常の世界なのですから。

何しろ「働かざる者」でも「食っていいよ」と言われる時代になるのです。

本当に本当に世の中の常識がガラガラと音を立てて崩れ、天動説がひっくり返って地動説が常識になる」ように、世界のスキームが、世界のパラダイムが変わって行く時代なのです。

ご紹介まで。

【おまけ】
(安倍首相の歴史的名演説)
なつき@taji_na
これも地上波は流さないので多くの国民は知らない。
引用ツイート

ShounanTK@shounantk
· 8月29日
日本の総理で初めて米国上下両院合同会議で演説した安倍総理
十数回のスタンディングオベーションが巻き起こった
特に硫黄島で戦ったスノーデン元中将と栗林中将の孫、新藤議員が笑顔で握手する場面は、勝者と敗者の別を乗り越える象徴的な演出と米国内で高い評価を得た

9月2日(水)

【アメリカの現実】

7月の動画なのですが、大変興味深く参考になる動画がありましたのでご紹介したいと。

松田学氏のチャンネルにケント・ギルバート氏が招かれインタビューに答える感じで今のアメリカ政治状況を解説してくれているのです。

現在起こっているアメリカの「ブラックライブズマター」の動きとか「アンティファ」などの動きは、それはもはやかつての中国の「文革運動」のときとそっくりであると。

◆松田政策研究所チャンネル◆
特番『米国で何が起きているのか?Black Lives Matterと米国の本音』ゲスト:カリフォルニア州弁護士 ケント・ギルバート氏
(2020/07/18 約48分)

いやいやいや、アメリカの現在が、民主党支持者を中心に「ポリティカルコレクトネス」をさらに突き進めて、「歴史を遡って正義を実現せよ!」、「奴隷制を支持している著名人を吊し上げて罰を与えろ!」という行き過ぎた正義の追及が行われているという。

しかも、そういう動きを背後から応援しているのが、民主党系の知識人階層であって、全米の大学にそういう学者がはびこっているという。

ま~、まさに毛沢東に利用された紅衛兵が有産階級の改革派知識人を激しく糾弾したことと重なるのです・・・。

毛沢東は何も分からない若者世代の紅衛兵を利用し、今アメリカ民主党は、薄っぺらな正義感だけを頼りにし、反知性的なトランプ憎しだけで、黒人差別まで利用して政権を奪還しようとしているという・・・。

しかしそういう動きは、実はかつての昭和や平成時代の日本知識人階層の中にも見られた動きでもあるのです。

かつて朝日系の都市在住の左派知識人階層は軒並み「戦後民主主義」なる旗の下に「帝国主義を推し進める自民党政権を打倒せよ!」と叫んで社会党を支持し、「労働者よ団結せよ!」「金持ち資本家を妥当せよ!」と叫んで日本世論をリードしようとしていたのです。

そしてそれをヨシと感じた都市部知識人階層や若者が「そうだ、そうだ!」として反自民に一票を投じていたものなのです。

それで大都市部ではみんな野党が第一党を占めることができていたと。

それは今、アメリカで大都市および西海岸など、知識人階層が多く住み進歩的地域が民主党支持地域になっているのと同じ構造なのです。

かつての日本の農村部がみな自民党を支持して、それで自民党政権が長く政権を維持できた本当の理由だったのです。

かつての日本はお百姓さんが自民党を支え、今のアメリカがやはり農村部の古い体質の農民層が共和党トランプ政権をささえるという・・・。

いやいや、私にもだんだん「事の真実」が見えてきたのですが、アメリカ政治においてはやはり民主党より共和党に勝ってもらった方がいいように思えてきたのです。

ドナルド・トランプ氏という珍しいほど反知性的な、粗野で、ナルシストで、自分が世界からどう見られているかなど気にもしない、また自覚してもいない下品な人格であるこの人物が、今やアメリカの正義を守るべくの「ラストマン」の位置にいるとは・・・。

それにしても、どうして左派系の進歩派知識人階層はみんな「弱者の味方」を演じたくなり、そして「リベラル」と呼ばれたくなり、そして常に常に政権の悪口を言いたくなり、政権に協力しようとはせず攻撃だけをしようとし、そして常に「正義は自分たちだけにある!」と叫びあげたくなり、結局国益を毀損するだけの動きしか出来ないようになるのでしょうか・・・。

世の中というのは、なんと複雑怪奇に出来ているのだろうかと・・・。

ご紹介まで。

8月29日(土)

【安倍首相辞任の件】

安倍首相辞任の会見から一夜明け、新聞に黒背景白抜き大見出しで「安倍首相辞任」とあるのを見て、改めて重大ニュースだったんだなと思った次第です。

私としましては、何か一週間ほど前から山本一郎氏の話を聞いていましたので、そういうこともあるかもしれないという感じで(果たしてどうなんだろう?)というスタンスで見守っておりましたので、その報が耳に入ったときもそれほど驚くこともなかったのです。

いずれにしても私は、(ウム、そうか・・・、なるほどね、でも良かったんじゃないかな、日本にとっても安倍首相本人にとっても・・・)という感じでポジティブに受け止めているのです。

それでここでちょっとこの「安倍首相辞任を受けて」ということで感想を書いておこうと思うのですが、その前に、web上での論客諸氏の代表的感想をご紹介しておきたいと。

①安倍首相擁護派
②安倍首相中立客観派
③安倍首相否定派

という基本スタンスの立場の人ということで以下に。

①の立場代表
◆マスメディア報道のメソドロジー◆
安倍首相が創った小さな幸せ
(藤原かずえ)

②の立場代表
◆アゴラ◆
安倍政権はリベラルな「弱い内閣」だった
(池田信夫)

③の立場代表
◆小林よしのりブログ◆
「お疲れさまでした」と言えるわけない

さて、それぞれに皆さん言い分といいますか、ご感想がお有りです。

私の感想は、ということなんですが、まずは「お疲れ様でした」ということですが、在任中のお仕事に対しては、「高く評価できるところもあり、またダメなこともあり」でありまして、総合的には「最高とはいえないが十分グッジョブだった」といえるのでないかと思うのです。

第一の肯定的ポイントは「長期安定政権であった」ということでありまして、それまでの首相が「1年」とか「2年」とかその地位につけていなかったことを鑑みるなら、8年近くも在職されたこと自体が、「素晴らしいです!」として高く賞賛されるべきと。

ただ、中身的には「経済対策」という点ではあまり芳しい評価はできづらいのでないかと。アベノミクスも当初スタートダッシュは良かったのですが、その数年後にはもう何の成果も上げられなかったというべきでありまして、消費税の増税も含めてあかんところもあったと。

それから安保法制、集団的自衛権のような安全保障関係ではグッジョブだったのでないでしょうか、外交面でのトランプ氏との友好関係も含めて高く評価されてしかるべきでありましょうか。

ただ、モリカケ、桜騒動あたりからは、マスコミ、野党一丸となってのダメ攻撃を、上手にかわせなかったということや、また直接の本人責任ではない事がら(ex夫人問題など)などで「不徳」を印象付けさせられて大きく国民からの支持を失うようにもなり、残念なことであったと思っているのです。

いや、それでもとにかく「8年に及ぶ長期安定政権を維持できた」ということ自体が、素晴らしいグッジョブであったと言えるのでないでしょうか。

その間の日本が大きくマイナスしたかと言うなら、確かに長期に及ぶデフレを脱却できなかったという経済面での低評価は、これは受けざるを得ないマイナスポイントなのでしょうが、しかし、誰がその地位にいても出来なかったのであろうとも推測され、これは安倍さん個人の「不徳」や「不見識」というよりも、時代そのものがまだ「正しい経済」の何たるかを分かっていなかったというべきでありまして、あまり責められないものであるかもな、とも思えるのです。

コロナ問題では私もずいぶん低評価をしていたのですが、藤原かずえ女史の目から見るなら「それは違います!」として、もう少し温かい目でみるべきと反論されるかもしれないのですが、ま、それについては仕方ないことかと。

最後に小林よしのり氏が、「コロナの指定解除してくれたらいいのに、何やってんねん!」と厳しく糾弾しておられるのですが、それについては私も「その通り」とそのご意見は支持したいのです。

ですが、まぁ、「総合評価」というなら、「立派な長期政権であった」として高く評価されるべきであろうなと、そう思うのです。

なぜと言って、安倍首相に限らず「完璧な人」など一人もいないのです。
どんな人物が政権に就いたとしても、みんなそれなりに「失政」やら「失敗」やら「不出来」はあるのです、完璧な政治を行える人など絶対にいないのです。

そういうことで、私は安倍首相は十分「立派な仕事をした」と思うのです。そう評価されてしかるべきだろうと。

ただ、歴史上の吉田茂氏のような国葬に値するほどの政治家か、とか、あるいは岸信介氏のような、まさに「妖怪」と形容されるほどの「傑出した」政治家であるか、となると、それには疑問符が付くのですが。

それにしても田中角栄氏以後、中曽根康弘氏級の総理大臣であったとはいえるだろうなと、そう思うのです。

お疲れ様でした、と。

(いやいやいや、私如きが上から目線で偉そうにモノ申してはいかんのですが・・・)

さて、それはそうと、後継総理候補ですが、これがまた・・・、はぁ、もう、どなたにしても、帯に短しタスキに長しでありまして、困ったことでござりんすと。

どういう風に収まって行くのでしょうか、見ものであると。

ではでは。

8月28日(金)

【BLM運動の愚】

アメリカ大統領選関係での良記事を2本、ご紹介したいと。

1つは吉崎氏の記事ですが、相変わらずバランスのとれた優れた分析、見解を述べておられまして。

たとえば、世界的潮流としてはアメリカ民主党支持者のような「とにかく正義を追及するのだ、だから歴史を遡っての悪を糺すことはイイことなのだ!」という「キャンセルカルチャー」的運動に対して、日本はそういうことに対してあまり鋭く突っ込まない国民性であるように見えるが、それはイイことでないだろうか、というご指摘については私も同意であると。

そして「大統領選挙もしみじみ文化戦争の領域に突入しております」と締めくくっておられるのですが、ウム、そういうことなのかいなと・・・。

どういうのでしょうか、2つの相異なる原理を、双方が「俺の主張こそ正しいのだ!」と叫んでいる構図は、もうそれは永遠に交わることのない不毛な抗争だと思えるのです。

ま、それについては深入りせず・・・。

それから2本目ですが、こちらもアメリカ大統領選絡みの記事なんですが、長谷川一彦氏のブログから。

ここでは「BLM運動」(ブラックライブズマター)について興味深いデータを基に優れた考察がなされていまして。

アメリカ大統領選に、この「黒人差別事件」を「選挙に利用する」勢力があるのですが、もちろん民主党系のマスコミや人たちなのですが、それがいかにお門違いでバカげたものであるのか、よく分かる話を展開してくれているのです。

まことに困ったことであると。

こういう話を聞くなら、私も「こりゃ民主党さん、あかんやん・・・」と思わざるを得ないのです。

しかしだからと言って「トランプさんのご人格がバイデンさんよりイイ」、などとならないことが問題なのですが。

◆溜池通信◆
Diary 「文化戦争」New!!
<8月27日>(木)
〇米共和党全国大会、これで3日目を終えたところです。ビデオクリップをちょっとずつ見ておりますが、いやはや、トランプ劇場はいろんなことをやりますなあ。

〇メラニア夫人が、再生なったホワイトハウスのローズガーデンから演説するとか、ポンペイオ国務長官が出張先のエルサレムから演説ビデオを送るとか(ちなみに国務省職員に対しては、政治活動を控えるようにと指示している)、これまでのところ「そんなのありかよ」と言いたくなるような手口が一杯である。

〇本日のペンス副大統領の受諾演説では、米英戦争の舞台となったメリーランド州フォート・マクヘンリー(「星条旗よ永遠に」の歌詞が生まれた場所だ)を舞台に、マスクをしていない聴衆を相手に、何度も拍手による中断を挟みつつ、30分以上(ジョー・バイデンよりも長い!)も語った。いやもう、先週の民主党大会とは世界観が違い過ぎる。

〇この間、8月23日(土)にウィスコンシン州ケノーシャで、またも丸腰の黒人が白人警官に後ろから撃たれ、全米で激しい抗議デモが繰り返されている。スポーツ界もこれに巻き込まれていることはご案内の通りです。とはいえ、こういうことがあるから”Defund the Police”(警察を解体せよ)と考えるか、”Defend our police”(われらの警察を守れ)と思うかは、左と右では大きな違いとなる。

〇日本から見て理解しにくいのは、アメリカの警察は全国均一の組織ではないということだ。もちろんFBIという連邦警察は存在するのだが、地元の安全を守るのは第一義的に州や郡の警察である。西部劇に登場する保安官が、地元で選ばれていたことを想起願いたい。強いて言えば、州知事が警察予算を削ることはできるが、大統領には権限がない。そうそう、わが国の保健所に対して、厚労省が無力であるという問題にちょっと似ている。

〇もうひとつ、共和党系の演者がしばしば繰り返すのは「キャンセル・カルチャー」への非難である。これぞSNS時代の申し子のような習慣で、著名人の過去の発言を引っ張り出して、時代背景とかを全く無視して今の価値観で非難糾弾する現象である。端的に言えば、アメリカ建国の父たちといえども、奴隷を有していたから認めるべきではない、みたいなことになる。歴史上の人物の銅像が、これで引き倒されたりする。

〇民主党の大統領選挙予備選の序盤戦において、カーマラ・ハリスがジョー・バイデンに対して「あなたはバス通学制度に対して反対していた」と迫ったのも、たぶんにこの類ではないかと思う。1970年代には今とは違う時代状況があったのだから、そこは許してあげてほしいと思うのだが、得てしてこういう話はネット上で受ける。「人間は変わるけど、情報は変わらない。だから情報こそが正しいと思い込むバカが居る」という名著『バカの壁』(養老孟司)の指摘を想起させます。

〇わが国は、この手のことには比較的鷹揚であります。それでも、昔の日本を描いた映画で喫煙のシーンが多いと、製作者が叱れたりしますけど。不肖かんべえは歴史は歴史として受け止めるべきであって、「維新の志士たちは女を囲っていた」みたいな議論はあほらしいと思うものですが、それが通らない世界は結構大きいし、そうでない日本がむしろ例外的な存在であるのかもしれませぬ。

〇しかしアイデンティティ政治が強い民主党では、この手の正義がしばしば横行しますので、くれぐれも用心深くあらねばなりませぬ。間違っても、「韓国人が言っている慰安婦問題というのは、ただの娼婦のことですから!」みたいなことを口走ってはなりませぬ。

〇他方、共和党支持者にはこういう言葉狩りのような世界を嫌っている人が多いので、そこをつつくと「ラジカル・レフト」への人々の警戒感を高めることができる。ついでに日々、トランプ攻撃を続ける「メインストリーム・メディア」への敵愾心も刺激することができる。大統領選挙もしみじみ文化戦争の領域に突入しておりますね。<了>

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◆ほそかわ・かずひこの BLOG◆
人種差別11~白人が黒人より、黒人が黒人を殺す確率は50倍
(2020-08-26)
●人種差別問題と2020年米大統領選挙
・・・
 島田氏は、ミネアポリスでの黒人死事件と大統領選挙について、産経新聞令和2年6月15日付に「反警察運動 全米デモの不都合な真実 本当に『黒人の命』のためか」と題した記事を寄稿した。そこに次のように書いている。
 「事件以来、全米各地で『黒人の命は大事だ』をスローガンに警察糾弾のデモが起こり、混乱に乗じた暴徒による略奪放火が数日間続いた。多くの商店やビルが壊され、従業員が職を奪われた。警察官を含め死者も出た。(略)略奪が主目的の暴徒はデモに便乗した犯罪者である。警察と対峙する形でプラカードを掲げシュプレヒコールを上げる本来のデモ隊と違い、彼らは警察を避け、警備が手薄な箇所を狙って商店を襲う。政治的主張は二の次である。店を壊されたある年配の黒人女性が怒りを吐露する動画が、ツイッターで注目を集め、共感を呼んだ。『あなたたちは“黒人の命は大事だ”と言う。見てくれ。この略奪は何だ。私は黒人だ。カネが要るなら私のように働け。盗みはやめろ。この街は私たちが築いた。あなたたちがそれを叩き壊した』 女性の悲痛な叫びの要約である。ホワイトハウスもリツイートしている」
 「今回、極左が編み出した新スローガンが『警察の資金を断て』である。これに動揺し、影響された民主党系の首長や地方議員らが早速、警察予算の削減方針を打ち出している。さすがにバイデン大統領候補はじめ民主党の主だった政治家は『資金を断て』とまでは言わないが、『警察組織には人種差別意識が浸透しており、抜本的改革が必要だ』とのスタンスをとる。一方、トランプ大統領ら保守派は、『法と秩序』をスローガンに治安体制の充実を掲げ、『命を危険にさらして人々の安全を守る警察官を不当な誹謗中傷から守らねばならない』を合言葉とする。主流メディアや民主党側が大統領選などの選挙の争点とするなら大いに歓迎との立場だ」

[…略…]

●白人が黒人より黒人が黒人を殺す確率は50倍
 米国の殺人事件は、低所得層居住地区において黒人が黒人を殺害というケースが最も多い。このことについて、日本再興プランナーの朝香豊氏は、6月10日のフェイスブックの記事で、次のように考察している。
 「FBIの統計によると、2018年の1年間で白人が黒人を殺した件数は234件であるのに対して、黒人が白人を殺した件数は514件であった。ちなみにアメリカの人口の6割が白人で、黒人は13%ほどであることから計算すると、白人が黒人を殺す確率に対して黒人が白人を殺す確率は、ざっと10倍大きいということになる。
 さらに、黒人が黒人を殺した件数を調べてみると2600件で、全殺人のほぼ40%を占めている。ここにも同様に人口比を計算に入れると、白人が黒人を殺す確率に対して黒人が黒人を殺す確率は50倍大きいことになる。
 もう一度繰り返すが、黒人が黒人を殺す確率は白人が黒人を殺す確率の50倍なのだ。黒人を殺しているのは、白人よりも圧倒的に黒人なのだ。人種差別があり、黒人に対する優越意識が白人にまだまだ残っているから、黒人の命が粗末に扱われているというのが本当なら、結果は逆にならないといけないのではないか。白人が黒人の命を大切にしていないように言っているが、黒人の命をもっとも大切にしていないのは黒人だということになる。
 もちろん、アメリカ社会において一般に黒人の社会的地位が低いことがこうしたことに影響を与えていることは理解できる。では、だからといって、白人が黒人を殺すよりも黒人が白人を殺す確率が10倍高く、さらに黒人が黒人を殺す確率が50倍も高いのは、『取るに足らない』話だと言えるのだろうか。」

島田洋一ブログ2 (Shimada Yoichi blog 2)

 朝香氏の挙げている数字について補足すると、米国勢調査局の資料が示す2019年7月9日の推定値では、米国の人口のうち白人は76.5%で、うち非ヒスパニックは60.4%。黒人は13.4%である。
 朝香氏が、白人が黒人を殺すよりも黒人が白人を殺す確率が10倍高く、さらに黒人が黒人を殺す確率が50倍も高いと書いていることは重要である。こうした実態を無視して、単に白人と黒人の人種差別の問題ととらえると、米国社会の複雑さを見落とす。もちろん、低所得居住地区における黒人間の殺人事件も、大きな構図で見れば、白人/黒人の二元構造による経済格差が主要な原因である。貧困の問題と犯罪は切り離せない。だが、現実に起こっている犯罪に対しては、公権力で対処しなければ、ならない。朝香氏が指摘したことを言い換えれば、米国の警察官は、白人から黒人を守る公務よりも、黒人から黒人を守る公務の方が50倍も多いともいえる。その警察に対して「警察解体」や「警察の資金を断て」と主張する要求を容れた自治体では、多くの黒人にとって、今以上に不安で危険な状況が生まれるだろう。<了>

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黒人が黒人を殺す・・・、

それは「弱き者(虐げられた者)が弱き者を苛め、苦しめ、殺す」という構図の象徴でもあると・・・。

そして今、黒人を守っているとも言える白人警官たちの仕事に対して、その仕事に一部の不手際や誤りや偏見が混じっているというだけで、それを拡大解釈して「だから白人は差別者なのだ!」と声高に叫んでそれを選挙選に利用しようとする・・・。

そういうアメリカ民主党系の左派勢力、いわゆるリベラル勢力のやり方は良くないと私は思うのですが、だからといってトランプ流の大人げないプロレス流選挙、また足の引っ張り合いのようなネガティブキャンペーンなども全然買えないのですから、もうどっちもどっちと言うしかないのです。

しかしまぁ、それでも、どちらに投票するかと問われるなら(もちろん選挙権もないところで無意味な話なのですが)、私は「共和党に一票!」と言わざるを得ないと。

ご紹介まで。

8月25日(火)

【中国の統治機構の件】

尖閣諸島問題が先月一時期、大きな話題になったことがあるのです。
私も中国政府の息のかかった漁船が大量に尖閣諸島に押し寄せて来るのでないかと、少々心配していたのですが、何やら、中国側が民間漁業関係者に「尖閣には行くな」という指令を出して抑制的な措置をとったという話も出てきたのです。

私も、どうゆうことかと訝しんでいたのですが、中川コージ氏の話を聞いて、(なるほど・・・)と得心が行ったのです。

中川氏の動画チャンネルなのですが、宇佐美典也氏、鈴木卓実氏との3人でズーム勉強会のような恰好の番組なのです。

大変参考になる情報が詰まった話でしたので、ご紹介したいと。

◆しめんそかTV◆
第38回:尖閣諸島問題と中国の統治機構。日本側ができることは?
(2020/08/23 約33分)

「党」、「政府」、「軍」、「地方党組織」、「武装海警」、などの指揮系統が色々あって、中国の統治機構はややこしいのです。

いずれにしても中国は「政府」の下に「党」があるのでなく、「党」の下に「政府」があるのでして、「法律」よりも「党紀」がより優先的に重視されるということも、我々自由主義諸国が知っておかなければならない点でしょう。

そして外交にしても、公式政府の「外交部」よりも、中国共産党の重要人物と「直」で交渉できる人物が単身北京に乗り込んで話を付ける、というような方式の方が圧倒的に中国人には支持される方式であるとか。

中国は未だに「法治」ではなかく「人治」の国であるとか。

大いに勉強になる話だったのです。

ご紹介まで。

8月24日(月)

【日本のコロナ禍はインフォデミック】

毎日テレビの中では「コロナ感染者数が何人に」と騒いでいるのですが、実はこれが日本経済の立ち直りを大きく損なう、マイナス方向に大きく貢献しているという話があるのです。

何でも日本は世界各国を比較して「コロナ恐怖度」が高いと、なんと世界一であるとのデータがあるという。
この、国民がコロナ感染を恐怖し過ぎることの原因が、どうもマスコミの連日の「煽り」に近い報道にあるのでないかと。

私も以下の池田信夫氏の見解に大いに賛同するものなのですが、ご紹介したいと。

◆アゴラ◆
日本経済を破壊するのはコロナウイルスではなくコロナ脳
(池田 信夫 2020年08月23日)
日本経済は危機だが、ここから脱却することは原理的にはむずかしくない。今回のコロナ不況は100%行政の介入による自粛や休業要請で作り出されたものだから、行政が介入から撤退すれば不況も終わる。問題は撤退が政治的にむずかしいことだ。

【図表】
世界各国の「コロナ恐怖度」(YouGov調査)

これは各国のネット世論調査で「コロナ感染が恐い」と答えた人の比率だが、4月から日本がほぼ一貫して首位で、80%近い人が「非常に恐い」または「かなり恐い」と答えている。

現在の日本の感染者は累計で約6万人(人口の0.05%)だが、その1600倍の人が感染を心配しているわけだ。この数字はコロナ死亡率が日本より2桁多いEU諸国の2倍近い。

主要国でもっとも被害の少なかった日本で、コロナを恐れる「コロナ脳」がもっとも多い原因は、マスコミが毎日「コロナが恐い」という報道を続けているからだ。これが経済の萎縮する最大の原因である。

だから「コロナを撲滅したら経済はV字回復する」というのは錯覚である。ウイルスはゼロにできないので、マスコミが「きょうの感染者数」を報じるかぎりコロナ脳は騒ぎ、経済は萎縮する。日本のコロナ問題はウイルス感染ではなく、マスコミの作り出した情報災害(infodemic)なのだ。

逆にいうとウイルスが残っていても、コロナ脳が消えれば経済は回復する。たとえば100年前のスペイン風邪のウイルス(H1N1)は今も季節性インフルとして残っており、毎年1000万人以上が感染するが、人々はインフルを恐れて自粛しない。

コロナ脳を撲滅するには「指定感染症」をはずす必要がある
だから必要なのはコロナウイルスを撲滅することではなく、コロナ脳を撲滅することだ。情報災害を止める最強の対策は情報操作である。手っ取り早いのは、政府がワイドショーの放送を禁止することだろう。そういう対策のとれる中国では、コロナの経済被害はいち早く回復した。

[…略…]

だが問題を先送りしていると、秋からコロナとインフルの合併した大流行が始まるおそれがある。コロナの症状も寒くなると重症化するので、負担が感染症指定医療機関に集中する。インフルで一般病院に来た患者が検査で陰性になっても、指定感染症の検査が必要なので、インフル患者も指定医療機関に殺到し、医療現場は大混乱になるだろう。

マスコミが騒ぐ大義名分は、政府がコロナを指定感染症に指定して「特別の感染症」と位置づけているからだ。それをやめてインフルと同じ「普通の感染症」にすれば、毎日コロナ感染者が報じられることもなくなり、コロナ脳も消えてゆくだろう。それが最大の経済対策である。<了>

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池田氏は「パンデミック」でなく「インフォデミック」(情報災害)だと仰っているのですが、私もまことに同感なのです。

そしてこういう時こそ政府が強いリーダーシップを発揮するべきときでしょうが、マスコミや国民に強く反発されることを恐れてでしょうか、何ら前向きで有効な施策を実行できないのです。

今こそ安倍首相のリーダーシップが求められるのですが、どうも、何やら、今は健康面でそれどころじゃないような雰囲気も漂い・・・、どうなのでしょうか・・・。

いやいやいや、それにしても日本人の「コロナ恐い」が世論調査では世界一高いというのは、・・・、大丈夫か日本人と・・・。

しかしそれもマスコミ報道による洗脳のような結果であると・・・。

そこにもってきて政府も議会も機能不全状態という・・・。

ほんまに大丈夫かと・・・。

ご紹介まで。

8月23日(日)

【安倍首相の健康問題から…】

しばらく前に安倍首相が何やら検査入院したというニュースが流れたのです。
その後はあまりそれに関するニュースはテレビでは流れてこないのですが、ネット上に大変興味深い動画がUPされていましたのでご紹介したいと。

山本一郎氏のチャンネルなのですが、この山本氏、なかなかに情報通なこともありまして、まんざらいい加減な話でもなさそうに感じられるのです。

安倍晋三総理、退任の意向を固める? 次は菅義偉さんの長期政権の可能性も! 麻生太郎さん、二階俊博さん、野党はどう動く?
(2020/08/22 約16分)

さて、どうなんでしょうか・・・。

ま、あり得る話ではあると・・・。

もう一本、ご紹介したい記事が・

◆Newsweek◆
外国人の「コロナ解雇」で仕送りの途絶えた出身国に大不況が伝播する
The Fear of Reverse Migration

2020年08月19日(水)アンチャル・ボーラ(ジャーナリスト)
<経済環境が急変したぺルシャ湾岸諸国の失業率は13%に上昇する見通し。その最大の痛みを被るのは出稼ぎ労働者になるだろう>
 レバノン人は、犬の散歩も、家の掃除も、トイレから出たときタオルを取ってもらうのも、エチオピア人労働者を使ってきた。一方、石油で潤うぺルシャ湾岸6カ国では、車の運転手やスタジアムの建設作業員、それに石油掘削作業員をインドなど南アジア出身者が占めてきた。
 こうした出稼ぎ労働者は、たいてい過重労働と過少賃金を強いられている。それでも、故郷の家族に送金するため、彼らは苦しみに耐えてきた。
 だが、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)は、この経済モデルを破壊しつつある。長期に及ぶロックダウン(都市封鎖)と、それによる景気悪化で、中東諸国にいる出稼ぎ労働者の多くが、仕事を失うか、無給で一時帰休にされている。
 その結果、既に貧困と高失業率にあえぐ自国に帰ることを余儀なくされる人は多い。この出稼ぎ労働者の逆流が、労働者自身と彼らの出身国、そして出稼ぎ先の国に大きなダメージを与えることを、専門家は危惧している。
 出稼ぎ労働者が中東諸国で稼いだ賃金は、故郷の家族の開業資金、年老いた親に家を買う資金、子供の学費などの形で出身国の経済を潤している。彼らの失業でその送金が断たれれば、出身国の消費がしぼみ、地元経済が打撃を受けるのは必至だ。
 世界銀行は4月の報告書で、出稼ぎ労働者による低・中所得国への送金額は、今年、20%落ち込むとの予測を示した。リーマン・ショック後の大不況のときでさえ5%減だったから、今回の落ち込みはそれをはるかに上回りそうだ。
 レバノン人の家庭で働くエチオピア人労働者は、とりわけ厳しい状況に追かれている。6月のある日、25歳のババカロ(仮名)は、泣きながら首都べイルートのエチオピア大使館前に座り込んでいた。その横には、身の回り品を急いで詰めたスーツケースが2つ。
 ピンクのゴムで髪を束ね、「アイ・ラブ・ユー」と書かれた黒いTシャツを着たバカロは、何の説明もないまま、雇い主に大使館前に置き去りにされたのだという。しかも前月の賃金は未払いで、パスポートも取り上げられたまま返してもらっていない。
 バカロが知るだけでも、ここ数カ月に同じような扱いを受けた家庭内労働者が数人いる。自ら命を絶った女性もいるようだ。「1日16時間働いてきたのに」と、バカロが涙に暮れると、大使館前にいたほかの女性たちが慰めた。
 それでもコロナ禍が終われば、再び雇ってもらい、未払いの賃金を払ってもらえるかもしれないと、バカロは雇用主の名前を明かそうとしなかった。月300ドルの稼ぎは、エチオピアにいる家族の大きな支えになっていたのだ。
 レバノン経済は、コロナ禍でその崩壊が加速する前からひどい状態だった。だが、米ドルと固定相場制を取っていた通貨レバノンポンドが今年、対ドルの闇レートで80%も下がると、多くのレバノン人が家庭内労働者を解雇し始めた。
 レバノンだけではない。近隣の産油国でも、出稼ぎ労働者が大量に解雇されている。

[…略…]

■大量失業が招く大惨事
 ケララ州の研究機関、開発学研究センターのイルダヤ・ラジャン教授は、数十年にわたり湾岸諸国への出稼ぎ労働者を観察している。「政府は人数を過小評価している。少なくとも150万人がインドに戻ってくるだろう」
 「1人の出稼ぎ労働者が故郷で4~5人を養っているということは、大規模な失業が大惨事を引き起こしているということだが、政策立案者は真剣に受け止めていない」
 ウガンダのNGO、労働行動プラットフォームのリディア・ブワイテも同様の懸念を語る。「17年のウガンダへの出稼ぎ労働者による送金額は13億ドルで、ほかのどんな輸出品よりも多い」。政府の推計によると、送金額が減少すれば、「少なくとも200万人以上のウガンダ人が貧困に追い込まれるかもしれない」。
 湾岸諸国の政策立案者は、外国人を解雇すれば国内の失業問題が解決すると考えているかもしれないと、オックスフォード・エコノミクスのリバーモアは述べる。だが、それは近視眼的かもしれない。リバーモアによれば、外国人の国外流出は、湾岸諸国の不動産や賃貸市場の下落を推し進め、既に苦戦している小売りおよび接客部門の需要をさらに減退させるだろう。
 最大の困難に直面しているのは、出稼ぎ労働者自身だろう。湾岸諸国で社会的地位を築いてきた数百万人にとって、新型コロナは一つの時代の終わりを告げている。エミレーツの男性客室乗務員は言う。「インドで同じくらい稼げる仕事があったら、わざわざドバイに来ていない」
<了>

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ご紹介まで。

8月21日(金)

【ウイグル弾圧の実態】

及川幸久氏が、「ウイグルの妊婦に起きていること」ということで、中国共産党(CCP)がウイグル人女性に理不尽な不妊や中絶を強いている実態についての告発動画をUPしているのでご紹介したいと。

◆及川幸久クワイト・フランクリー◆
ウイグルの妊婦に起きていること【中国共産党】
【及川幸久−BREAKING−】

(2020/08/20 14分)

いやいやいや、あきません、中国共産党政権。
ほんまに、なんなんでしょう、この前時代的トンデモ政策は・・・。

渡辺明二冠(将棋の)の名セリフ、「もう、なんなんだろうねというくらい・・・」常識をかけ離れた「トンデモ政策」なのです。

いやいやいや、かつてヒトラーが「ユダヤ民族絶滅作戦」という、これまたぶっ飛んだトンデモ政策を大真面目に遂行したことがあったのですが、この現代において、この中国共産党政権は、ウイグル民族に対して到底考えられないような利己的にして非人道的な、民族浄化(エスニッククレンジング)ともいえる悪辣な政策を遂行しているのです。

いやいやいや、「考えられん!!」と言うしかないのです。

数日前、私はここで中国共産党政権が「法輪功集団」に対して酷い弾圧、迫害を実行していることについて、強い憤りを感じたのですが、今日、また同じような強い憤りを感じざるを得なかったのです。

及川氏の話の最後に紹介されていた「清水ともみ」さんという女性漫画家のことなんですが、ちょいとググってみたらツイッターがあったのです。
ご参考までにこちらもご紹介したいと。

清水ともみ
@swim_shu

CNNの日本語記事です。#ウイグル #Uyghurs
”中国政府は新彊以外の地域に住む女性に対してより多くの子どもを産むよう奨励しているが、政府の記録によると、弾圧が始まる前年の14年には新彊での不妊手術件数は3214件だったが、18年には6万440件に跳ね上がった”

ということで、21世紀の今日において、このような最低な人権無視、人権弾圧、迫害が「国家政策」として遂行されているなど、ほんまに「にわかには信じられない」レベルのことなのです。

いやいやいやいや、中国共産党、ほんまに、「その罪、万死に値する!!」と言いたいのです。
(上記の話が「真実なら」ということなのですが・・・)

ご紹介まで。

8月20日(木)

【ドイツがBIの実証実験開始とか】

ご紹介したい記事がいくつか。

エミン ユルマズ (JACK)@yurumazu
ドイツはベーシックインカムの実証実験をはじめました。先進国はいずれす軒並み導入すると思います。でないと貧富の差が激しすぎてシステム全体がパンクする危険性があります。

新型コロナは結局、本当に「恐ろしいウイルス」なのか…日本人の反応は正しいか
(プレジデントオンライン編集部 2020/8/18)

どんな政権になっても中国は変わらない理由
~政権が変わっても中国は中国、西側とぶつかり続ける~

(川島博之 2020.08.18)

そうですか、そうですか・・・、
色々と、なるほどです。

ご紹介まで。

8月15日(土)

【終戦記念日の真実】

今日は8月15日でして「終戦記念日」なのです。

この終戦記念日について、今しがた視聴した高橋洋一氏の動画チャンネルでの話にちょいと衝撃を受けましたので是非ご紹介したいと思いまして。

[公式] ニューソク通信社
【終戦記念日っていつ?】高橋洋一も驚いた、戦勝国の都合で作られた歴史
(2020/08/15、約7分)

なんと、「日本の終戦日は世界的には9月2日と認識されている」と。
しかもそれは圧倒的事実であって、日本と韓国だけが「8月15日」だと主張しているに過ぎないという。

つまりは、それを事実として尊重するなら、ソ連が8月15日以降に攻め込んできて占領した千島列島北方4島の領有権が「当然のこと」になるという・・・。

いやいやいや、なるほどと・・・。

日本人の多くが知らないこういう重大な事実が、こうして高橋洋一氏のユーチューブ動画で公開されるとは、それにも感慨深いなと。

いや、ご紹介まで。

8月14日(金)

【「東京人はさっさと帰れ」の背景】

夏になりまして、新型コロナへの感染者が予想以上に増えておりまして、官民挙げてこれの対策に四苦八苦しているのです。

そしてお盆の時期にはこれまでは「帰省する」ことが当たり前に行われていたのですが、今年はそれすらも色々な事情から自粛せざるを得ないような状況になっているのです。

そしてそんな中、青森に帰省した人の自宅に、「さっさと帰ってください!! 皆の迷惑になります」という張り紙がなされたというニュースがあったのです。

こういう事態について、とても興味深い分析がなされた記事がweb上にありましたので、ご紹介したいと。

◆文春オンライン◆
「感染は自業自得」「東京人はさっさと帰れ」日本人はどうしてコロナで他人を攻撃するのか?
(「文春オンライン」特集班 2020/08/14)
〈さっさと帰ってください!! 皆の迷惑になります〉

 お盆の帰省シーズンを前に、大都市のみならず地方都市でも新型コロナウイルスの感染が拡大。それにともなって地方では、感染者に対する強烈なバッシングだけでなく、東京から青森に帰省した男性の家に冒頭で紹介したような文面の手紙を投げ込む事態まで起きている。どうして日本では、こうしたコロナをめぐるバッシングが横行するのか。

 社会心理学者で、各国の新型コロナに対する意識を調査した、大阪大学人間科学研究科教授の三浦麻子氏に聞いた。

◆◆◆

■他国以上に「コロナは自業自得」と考える日本
 日本中で新型コロナウイルスの感染拡大が起こる中で、これまで感染が目立たなかった地域では「誰がウイルスを持ち込んだのか」と感染者をつるし上げるような事件が起こっています。 

 感染者への差別が広まれば、感染を隠そうとする人も増える。そうなれば無理をして重症化する人も出かねませんし、感染を隠すことでさらなる感染拡大を招くことも起こりうる。公衆衛生上の危機に発展しかねません。

 こうした社会の空気を裏付けるように、私たちが行った新型コロナウイルスに関する意識調査の国際比較でも、日本は特徴的な結果が出ています。

 私や慶應義塾大学の平石界教授、広島修道大学の中西大輔教授らの研究グループでは、今年3月から4月にかけて、日本、アメリカ、イギリス、中国、イタリアの5か国で、400人から500人規模の意識調査を行いました。

 その結果、日本では「新型コロナウイルスに感染する人は、自業自得だと思う」という質問に対し、「そう思う」(「強くそう思う」「まあまあそう思う」「少しそう思う」の合計。以下同)と答えた人の割合が、11.5%と特に高かった。欧米3か国の割合は1%から2%ほど、中国も4.83%。「コロナは自業自得」と考える人が、日本は欧米に比べると約10ポイントも高かったのです。

 日本で「そう思う」と答えた人の割合は、全体から見ればごくわずかなのですが、他国と比べると驚くほどはっきり高かったわけです。本当なのか、と考えた私たちは、7月から8月にかけて再度、日本、アメリカ、イギリスで今度は1000人から1200人規模の調査を行いました。春とは別の方々を対象にし、対象者数も増やし、日本では性別と年代を人口比に合わせました。

 するとやはり「感染は自業自得だと思うのか」という質問に、「そう思う」と答えた人の割合に大きな違いが現れました。アメリカで4.90%、イギリスで1.36%だったのに対し、日本では17.24%にのぼったのです。この傾向が明確なものであることが示唆されています。

■未知への恐怖から生まれる「被害者叩き」
 そもそも、ウイルスへの感染は誰にでも起こりうるものです。また、症状が重くなれば身体への負担も大きい。感染者は紛れもなく「被害者」であるはずです。ところが、日本では他国よりも感染自体を「本人の責任」とみなし、「被害者叩き」とも呼べる意識が強く見られるのです。

 では、どうして日本ではこうした「被害者叩き」意識が他国よりも強いのでしょうか。いろいろな解釈がありえますが、まず考えられるのが、「不確実性の回避」という観点です。

 感染予防のために“3密”を防ぐなど対策が呼びかけられていますが、依然として新型コロナウイルスは分からないことも多い。まして、これだけ感染経路不明の人が多い状況ですから、偶然感染しても何の不思議もありません。こうした「不確実」で予測できない状態には、怖さを感じて、どうにか回避したい、という心理が働きます。そして、「どうにか原因や予測を立てられないか」と考えてしまう。つまり「感染する理由」を探そうとするのです。日本人のこうした「不確実性の回避」傾向は、世界的に見てかなり高いことが知られています。

 実際にはっきりと原因が分からなくても、何か“それらしい理由”を見つけ出して、「こんな無責任で悪いことをしたから、コロナにかかってしまったんだ」と思い込みたい。そうすることで、先の読めない不確実性に対応し、安心したい。そういった心理から「コロナにかかりそうな悪いことをしているやつには、鉄槌を下さないといけないんだ」とエスカレートして、バッシングに走ってしまう人がいるのかもしれません。

■「日本特有の理由」はあるのか?
 そして日本では、「何か悪い目に遭ったのは、その人が悪い人物だからだ」と考える傾向も強く見られます。これを心理学では、「内在的公正推論」の強さといいます。

 アメリカでは、宗教への信仰心が強い人ほど、この傾向が強く見られます。興味深いことに、日本では宗教などにかかわらず、他国に比べてこの「内在的公正推論」が強い傾向が見られるのです。

 たとえば、日本では通り魔被害に遭った女性に対して、「そんな時間に外を出歩いているからだ」「そんな格好でうろついているからだ」と、被害に遭った原因を被害者に求める声がしばしば見られます。今回の感染者バッシングに対しても、これと同様に「コロナにかかったのは悪い人だからだ。そんな悪いやつには何をやってもいいんだ」という思いが生まれやすいのかもしれません。

[…略…]

 では、どうして日本でも「自粛警察」が、あれほどあふれているように感じられたのでしょうか。

 一部の声の大きな人の意見は印象に残りますから、脅迫状が送られた事例などの極端な例に触れることで、そういう思いが強くなった可能性が考えられます。もっとも、大きな声を上げている人たちに、社会に害をなそうという思いはないでしょう。むしろ、人々に危険を伝えたいという善意から「よかれ」と思って、声を上げていると考える方が自然です。

 強い危機感と善意があるからこそ、繰り返し強く主張することになりますし、受け取った側も批判はしにくくなる。それに加えて、そうした「声」がニュースなどで何度も報じられると、まるで世の中にそういう考えの人が実態以上にたくさんいるかのように見えてしまう。福島第一原発事故の風評被害においても、同じようなことが生じていたかも知れません。

■「一部の人」に振り回されないために
「自粛警察」が実態以上に蔓延しているという考えが広まれば、東京から青森に帰省した男性が「さっさと帰ってください」という手紙を受け取った事態のような、「正義」を背景にした言葉の暴力を恐れながら生活することになってしまいます。

 ここでご紹介した「自業自得」と「自粛警察」に関する調査結果は、他国との差異のパターンは対照的なものでしたが、いずれの場合も、全体から見るとごく少数しかもたないような意見でも、増幅されて社会全体の風潮であるかのような受け取られ方をすることがあるということを示しています。思い込みで作り上げられた社会によって、現実の私たちの命が脅かされるようなことがあってはなりません。

 パンデミックなどの有事に実際に直面した際の社会心理は、研究はおろか記録も少なく分からないことも多いので、ここで申し上げた結果に対する解釈は、推測の域を出るものではありません。私たちは今後も研究を継続し、さまざまな角度から検証していくつもりです。

※取材協力:平石界・慶應義塾大学文学部教授、中西大輔・広島修道大学健康科学部教授

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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いや、良記事であったと。

文春オンラインさん、グッジョブですと。

で、私は記事中の「内在的公正推論」という言葉に興味を惹かれましてちょっとググってみたのですが、どうも以下のような。

「内在的公正推論」
• ある人物に起こった不運な出来事を、そのような因果関係が存在し得ないにもかかわらず、その人物の過去の道徳的失敗に原因帰属すること
「悪いことが起こったのは、その人物が悪い人物だからだ」
• 内在的公正推論は、宗教性が高いほど行われやすいとされている(Harvey & Callan,2014)

これは下記のサイトの記事なんですが。

不運に対する公正推論の日米比較-信仰との関連-
○村山綾(近畿大学国際学部) 三浦麻子(関西学院大学文学部)

どうも日本人は「宗教」とは関係のないところで、この内在性公正推論の比率が他国民に比して高いようなのです。

う~~む・・・、興味深いのです・・・。

この考え方はシンプルには「因果応報論」を信じる人にその傾向が強い、ということなのでないかと思えるのです。

私なども基本的には因果応報論を支持するものなのですが、しかし、あらゆることにこの考え方を適用することについては、さすがに「それはちょっと違うのでないか」と思ってもいるのです。

あくまでも、「起きている結果には原因がある」とは言えると思うのですが、しかし2つの事象の間にどういう因果関係があるのかは、それほど単純に決められことではないだろうと。

つまり、たとえば単純に「人に殺されるのはその人が過去に人を殺しているからだ」というようなシンプルな構図でこれを適用することは誤りであると思っているのです。

ですので、「コロナに感染するのはその人が悪い人だからだ」というような単純な自己責任論、自業自得論を振りかざして人を非難するようなことは、それは間違った考え方であると思っているのです。
人間社会の事象はそれほど単純ではないのです、当然。

イイ人でもコロナにかかるし、悪い人でも平気でピンピンしているのです。
そしてもちろん、「イイ人」、「悪い人」などという判断そのものがいい加減きわまりないのです。

それにしても日本人は他国に比して「内在的公正推論」をする傾向が強いということについては、確かにこのような分析が可能なのでしょうか。

面白いことであるなと。

ご紹介まで。

8月13日(木)

【副大統領候補決まる】

いよいよアメリカ大統領選での民主党副大統領候補が決まってきたようで、カーマラ・ハリス女史になったとか。

それにつけても、トランプ氏にはまだ可能性があるのでないかという見方をする人もいるようでして、確かに前回選挙でも直前まで「ヒラリー女史で決まり!」と思われていたのですから、蓋を開けてみるまで分からないのです。

いずれにしましても「テレビ討論会」が行われて初めて、アメリカ有権者は「やっぱりバイデンか」とか「こりゃバイデンあかんわ」として最終的決定をなして行くのでしょう。

そういうことで、世論調査ではバイデン氏有利には違いないのでしょうが、それでも逆転の目がない訳でなく「まだ全然分からない」と言うしかないのです。

そして吉崎達彦氏、仕事が速いのです。
早速にご紹介したい記事をUPされていたのです。


Diary 「カーマラ・ハリス」New!!

こちらの記事ではトランプ氏がカーマラ・ハリス女史を攻撃する動画まで、もうすでに作成しているという。
いやいやいや、トランプ陣営も仕事が速い。
こちらも伸るか反るか、生死をかけた戦いという感じで大真面目に事に当たっているのです・・・。
(ムムム・・・、いいのか悪いのか・・・)

それはそうと、松田学政策研究所の動画チャンネルに新型コロナ感染問題について非常に興味深い動画を見かけまして、ご紹介したいと。

京都大学に「上久保靖彦教授」という方がおられるようなのですが、この上久保教授が画期的な「説」を唱えていらっしゃるようでありまして、題して「新型コロナ、日本人はもう集団免疫獲得をしている」という。

視聴してみるなら確かにずいぶん説得力がありまして、「なるほど・・・」と納得できるのです。

これにつきましては、松田氏のオフィシャルブログの方にもきちんとしたものが載っており、またそこでも動画が埋め込まれていましたので、そちらをご紹介したいと。

松田学Official Blog
日本では既に「集団免疫が達成」されている
~新型コロナの真相を解明した上久保・高橋説~

(2020-08-10)

また、松田氏がチャンネル桜に出演して手短に解説している動画もありましたので、

【松田学】上久保靖彦教授の唱える「新型コロナ・集団免疫獲得説」に関する問い合わせに答える[R2/8/4]
95,092 回視聴•2020/08/04

そういうことで、ご紹介まで。

8月10日(月)

【尖閣どうする&アメリカ大統領選】

さて、日本では来る日も来る日もコロナ感染拡大問題がメインテーマでありまして、テレビではどこもこの話題しか取り上げていないのですが、世界での大問題はそれだけではないのです。

日本にとって非常に重要な「対中外交」の面では、ここ最近「尖閣諸島への中国のアプローチ」が看過できない状況になっているのです。

今日はこの問題について参考記事をご紹介したいと思いまして。

1つは時事通信のニュース記事です。
1つは高橋洋一氏の現代ビジネス誌への寄稿記事で。

尖閣行き「当局の指示次第」 中国漁民、東シナ海出漁準備
(時事通信 2020.08.10)

◆現代ビジネス◆
なぜ中国は「尖閣諸島」にこれほどこだわるのか…理由が明確になった
~日本が失った「解決のチャンス」とは~

(高橋洋一 2020.08.10)

先日、中川コージ氏にお会いしたとき、私が「尖閣を守るために、そこに日本側が誰か公務員などを常駐させるということはダメ施策なんでしょうか?」と尋ねたのですが、中川氏は「いや、それは私も大賛成です、政府が積極的にそういう手を打ったらいいと思うのですが・・・」ということだったのです。

高橋洋一氏などもそういう方向で色々アイデアを出しているのですが、しかし、安倍政権は現状何もメッセージを発していないのです。

それが果たして、「大丈夫だ。心配するな。水面下ではしっかり手を打っている。余計な口出しは無用だ」というようなことで、凄腕の補佐官氏を中心にNSC(国家安全保障会議)なども交えて「しっかり手を打っている」のか、それとも、「今は静かに敵の出方を待つべき」としてひたすら「待ちの姿勢」に徹しているのか・・・。

しかし、仮に前者であるにしても、一切表に出てこないで、一体どんな手を打っているというのでしょうか・・・。
尖閣に何か具体的にアプローチをしない限り、まさに「座してむざむざ実効支配を許す」ということになるしかないのでないかと。

う~~む、どうなのでしょうか、実際は・・・。

そしてもう一本、こちらはアメリカ大統領選についての吉崎氏のリポートです。

◆溜池通信◆
Report 「米中対立とデカップリング論の実相」
(吉崎達彦 2020.8.7)

副大統領は、結局カーマラ・ハリス女史になるのでしょうか。

もしバイデン氏が勝利するなら、その時副大統領だった人物が4年後の次期大統領候補として事実上確定するようなことになるらしいのですが、そうなると4年後にはハリス女史がついにアメリカ大統領では初の女性大統領になっているのかもしれないと・・・。

いや、どうなんでしょうか・・・。

ご紹介まで。

8月8日(土)

【台湾を国家承認か?】

アメリカ大統領選では、未だ民主党の副大統領候補が正式に決まっていないのです。
ですが、現状の世論調査ではバイデン氏がずいぶん大きなリードを保っているよでありまして、トランプ氏も尻に火が付いた状況になっているのです。

今次の大統領選では「郵便投票がどうなのか」とか、「テレビ討論会を前倒してやる」とか「もうやらないとか」、それぞれに自陣営に都合の良い主張がなされているのですが、

選挙権のない世界中の人々が注目せざるを得ない一大イベントなのですが、当のアメリカにはそういう「重大な責任感」を感じている有権者は少ないような感じでありまして、そこが大きなダメポイントであるのです。

さて、いつも良質な内容の情報を提供してくれている及川幸久氏のユーチューブ動画チャンネル、『及川幸久 クワイト・フランクリー』なのですが、これが今回はなかなかに中身の濃い、聞くに値するグッドな情報が詰まった回でありましたので、是非ご紹介したいと思いまして。

トランプ政権閣僚初の台湾公式訪問いよいよ国家承認?!【及川幸久−BREAKING−】
(171,193 回視聴•2020/08/07 約17分)

この動画では次の3点が語られているのです。
・トランプ政権閣僚初の台湾公式訪問いよいよ国家承認か、
・台湾の駐米大使に蕭美琴女史が就任、
・『哲人政治』なる李登輝氏の生涯を描いた台湾映画、

どうもアメリカ(トランプ政権)は、ここに来てかなり「台湾重視」に舵を切りつつあるようでありまして、なんでも「台湾を国家承認する方向か?」という感じでもあるという。

いやいやいや、もしそれが現実化するなら、「素晴らしい!、ブラボー!」なのです。

いやいやいや、3年前でしたか、トランプ氏が大統領に就任した直後だったでしょうか、いきなり台湾にコンタクトをとって世界を驚かせたことがあったのですが、しかしそれはそれだけで終わってしまっていて、私なども「あれ?、続きの動きはないのか?」などと拍子抜けしたものなのです。

ですが、今回トランプ政権(実質はペンス氏の仕切りか)は、こうして対中強硬路線に舵を切ると同時に、改めて「対台湾応援路線」に舵を切り始めていたようなのです。

そういうことで、確かに「トランプ氏はあかん」けれども「ペンス氏率いるトランプ政権の外交基本路線はけっこうまともで高評価されるべき」ということになるのでしょうか。

果たしてこういう共和党政権が退場して、バイデン民主党政権に移行した時、バイデン政権がこういう「正しい外交政策」を継続できるのでしょうか・・・、見守るしかないのですが。

とりあえずアメリカ議会は全会一致して「対中強硬路線」を強く支持しているようですので、どれだけバイデン氏が個人的に「中国にシンパシーをもち、かつ中国マネーに侵された親中派」であったとしても、そうそういきなり親中路線に転換できるはずもないのですが、それでも共和党政権の基本路線とは大きく異なることになるだろうことは予測されるのです。

そういうことでありまして、やはり「トランプ氏個人は如何なものか」なのですが、「トランプ(ペンス)政権」はこのまま存続して後4年間を託したいと強く思うのです。

それにしても、台湾自身もついに「中華民国」から「台湾」へと国名を変えるような時代になったかと、これには強い感慨をもつのです。

日本も、かつて台湾を統治した「蒋介石への恩」という難しい外交課題を抱えて、中華民国(蒋介石)を斬り捨てて中国人民共和国(毛沢東)をとるか、それとも蒋介石の恩義に報いて台湾(中華民国)を支持し続けるか、という踏み絵を踏まされて、結局「中国共産党政権をとる」という決断を余儀なくされたのです。それが1972年、もう50年ほども前になるのです。いわゆる「日中国交正常化」という外交事案です。

それはその時代、世界中がみな、その踏み絵を踏まされて中国共産党政権を支持し、世界は「台湾を見捨てた」ということになったのです。
そして台湾は「独立国」であると認められず、オリンピックにも独立国として出場できず、もちろん国連にも正式な議席をもてないまま、まさに中途半端なおかしなポジションのままに今日まで来ているのです。

そして中国共産党政権は「台湾は中華人民共和国の一部である」などと、対外的に宣言し、機会を見て香港と同じくいつかは中国共産党政権の支配下におこうという意思を隠そうともしないのです。

しかし、そもそも台湾は日本統治下にあったのです、戦中は。
そこに蒋介石の国民党が乗り込んで行って「支配権」を継承したようなことなのです。
ですので、中国共産党政権が台湾に何か特別の「正当なる既得権」があった訳でも何でもないのです。
しかし世界はそういう中国を「見許してきた」のです。

しかしついにアメリカが、「それはやはりおかしい」と気づき、その誤りを正そうとし始めたということなのです。
これが「ブラボー!」でなくて何なんだと。

いやいやいや、トランプ(ペンス)政権のアメリカさんよ、ここは行っておくんなさい、ドン!と行っちゃっておくんなさい。
私はこの動きを「善きかな!」として大いに賞賛したいのです。
「台湾頑張れ!」とエールを送りたいのです。
「オードリー・タン女史よ、頑張って!」とも。

そしてトランプ氏よ、もうあまり自我を出さないで、ペンス氏とよく相談して、もう少し賢く振る舞って「共和党政権を自ら壊す」ことのないように自重してくれと。
まだバイデン氏に対して逆転する目は、可能性は閉じられた訳ではないので。

いやいやいや、やはり最後までトランプ氏には頑張ってもらう必要があるようです。

ほんまに、頼むでトランプさんよ!
いいかげん、その軽はずみな、軽薄過ぎる「ツイッター発言」を控えて下さいよと。
ご自分が世界に対してどれほど重い責任を有した地位にいるのかを、今こそ痛感して下さいよ。

そして、「及川さん、グッジョブです!、素晴らしい動画です!これからも頑張って下さい!」と。

ご紹介まで。

8月6日(木)

【バイデン政権予想】

いよいよ8月となり、アメリカ民主党のバイデン候補も「副大統領」を誰にするか決めて行かなければならない時期にきているのです。
マスコミ予想ではカーマラ・ハリス氏とかスーザン・ライス氏などが取り沙汰されているのですが、どうなるのでしょうか。

さて、私が最近非常に買っておりますトルコ人経済アナリストのエミン・ユルマズ氏のユーチューブチャンネルで、とても参考になる「もしバイデン氏が大統領になったなら」の予想図を語っていましたのでご紹介したいと。

【どうなる米大統領選2020】バイデンが大統領になったら何が変わるのか?
(エミン・ユルマズ 約25分)
今回の「エミ探」テーマは『バイデンが大統領になったら何が変わるのか?』と題し、2020年米大統領選挙について、トランプ大統領の再選のチャンスから、もしバイデンが大統領になった場合、何が大きく変わるのかについてじっくり探求していきます。
■詳細内容
00:00 オープニングトーク
01:40 どうなる米大統領選挙?
04:11 コロナ対策の失敗がトランプ政権の支持率を大きく打撃
07:05 トランプ大統領の再選のチャンスは?
10:40 バイデンが当選したら何が変わるのか?その①
16:45 バイデンが当選したら何が変わるのか?その②
24:09 アフタートーク

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そもそも「バイデン氏は本当に勝てるのか?」というなら、及川幸久氏などは今でも「まだトランプ氏にも勝利の目はある」と見ているのです。

【米大統領選】バイデンと中国の深い関係。トランプ逆転のシナリオは?【及川幸久−BREAKING−】

その所以は、一つには「息子ハンター氏の中国癒着疑惑」と、一つには「ボケ具合」という。バイデン氏がどうにも「ボケ」が目に余るようであり、もしこれで「テレビ討論会」でトランプ氏にコテンパンにノックアウトされるようなことでもあるなら、それは有権者も「こりゃあかん・・・、ボケとる・・・」ということで、現状の世論調査を大きく覆す大逆転も十分あり得るであろうと。

確かにその二つはバイデン氏のアキレス腱になるかもしれないのです。

はてさて、テレビ討論会ですが、果たして「予定通りに」行われるのでしょうか、それとも・・・。

ご紹介まで。

8月1日(土)

【ポスト・トランプ】

この秋に迫っているアメリカ大統領選の展望ですが、専門家筋の現状での予想・見通しを色々聞いていますと、どうやらトランプ氏の再選可能性は極めて低いということになるようです。

どうにもこうにも、今回の「コロナ禍」がバイデン氏大逆転を演出し、トランプ氏の息の根を止めたという感じなようです。
もしコロナ禍がなく、それ以前の経済状況が続いていたなら、おそらくバイデン氏はひっくり返っても勝てなかったであろうという。

私も現時点で(そうなるだろうな・・・)と、トランプ氏再選の目がなくなったと思うしかないのです。

戦争でもおっ始めれば別なのでしょうが、そう簡単に中国相手に大戦争を始められる訳もなく。

南シナ海の中国軍基地を爆撃するようなことは可能かもしれませんが、それでアメリカ国民が我を忘れて「こりゃトランプ氏支持だ~!」と叫び出すようなことも、さすがになかろうと・・・。

いや、あのご人格のトランプ氏が世界一の大国アメリカのリーダーであるのも、さすがに如何なものかだったのです、確かに。
ですので、トランプ氏が再選されないことは、全世界にとってはそれほど悪いことでもないのでしょう、きっと。
(日本にとっては多少、トランプ政権の方が良かったでしょうが・・・)

そういうことで、日本も世界も、「ポストトランプ」、すなわちバイデン政権の時代に向けて動き始めた方が賢いのでしょうと。

日本の官邸の凄腕の補佐官諸氏にしても、私に言われるまでもなくすでに「おうよ。おめぇ如きにに言われるまでもなくとっくにやっとるがよ、そんなもん!!」ということなのでしょう。

さて、バイデン政権に替わることによってアメリカの対中政策はどれくらい変わるでしょうか。

もちろんバイデン民主党政権にしましても、議会の意向を無視して「親中」に舵を切る訳にも行かず、とりあえず「反中スタンス」は堅持するのでしょうが、それでもペンス演説やポンぺオ演説の基本路線をそのままに、「戦争も辞さず」的な反中最強硬路線をそのままに丸ごと継承という訳には行かないだろうと。

中国は中国でこれから北戴河会議がすぐにも始まるのですが、習近平氏は長老連中をうまいこと丸め込んで指導力の弱体化を防ぐことができるでしょうか・・・。

2021年以降の世界外交事情は果たしてどうなって行くのでしょうか。
世界はまた振り出しに戻ってやり直しから、ということになるのでしょうか。

また腰を落ち着けてウオッチして行くしかないようです。

【参考】
米国の政権交代に備えよ~救国シンクタンク研究会から 
江崎道朗 渡瀬裕哉 倉山満【チャンネルくらら】

(2020/07/28 約16分)
江崎道朗(安全保障・インテリジェンスの評論家、58歳)
渡瀬裕也(政治アナリスト、アメリカ大統領選の分析に優れる、38歳)
倉山満(憲政史家、政治評論家、46歳)

新型コロナ問題についても、以下の記事をご紹介したいと。

◆アゴラ◆
新型コロナは夏のうちに感染したほうがいい
(池田信夫 2020年08月01日)
東京都の新規感染者数が463人で史上最多になったとマスコミは大騒ぎだが、これは検査人数も5665人と史上最多で、検査キットの感度も上がったからだ。東京の陽性率が0.5%としても7万人なので、今後も毎日4~500人の陽性は出るだろう。問題はそこではない。

7月の東京の死者は5人、全国でも31人だった(30日現在)。月間の陽性者数1万5668人で割ると、致死率は0.2%。インフルエンザとほぼ同じだ。「死者が増えるのは感染の1ヶ月後だ」などという人がいまだにいるが、6月下旬に検査が増えた後、1ヶ月たっても死者は増えない。いま増えている陽性者は、微量のウイルスをもって発症しなかった人をPCR検査で見つけているだけなのだ。

小池知事は「都独自の緊急事態宣言を発することも考える」というが、緊急事態かどうかを判断する上で大事なのは、医療資源が逼迫しているかどうかだ。重症患者は増えているが、全国で累計87人。毎日20~25人増えていた4月とは違う。人工呼吸器の使用率も、ピークの1/3以下である。

これは、ある意味では想定されていた状況である。2月24日に専門家会議の出した方針では、こう書いている。

<略>

コロナを恐れるなとはいわないが、インフル程度に恐れれば十分だ。やみくもにウイルスを撲滅しようとするのではなく、専門家会議の原点だったピークシフト戦略に戻るべきだ。<了>

ご紹介まで。

7月31日(金)

【人口百万人当たりの死者数】

どう考えても日本を含む東アジア地域の死亡率が異様に低いのですが。

個人ブログですが、「木走日記」さんにとても参考になる優れたデータが載っておりましたので、是非ご紹介したいと思い。

◆木走日記◆
欧州(西部)558人と、東アジア4人では、140倍近くの死者数の違いが現れていることを検証〜日本政府はこの事実を科学的に検証し今後の日本のウィルス対策に生かして欲しい
(2020-07-26)
 ジョンズ・ホプキンス大学のサイトの公開データによれば、新型コロナウイルスによる死者数は全世界で179ヵ国・145,546人(7/25/2020 AM現在)を数えています。
 その公開データを分析中なのですが、予想以上に地域差が顕著なのに驚かされます。

[…略…]


[…略…]


 驚くべきことに、最悪の欧州(西部)558人と、最も少ない東アジア4人では、実に140倍近くの死者数の違いが現れているのです。
 同じ疫病による死亡率に、地域によりこれだけの顕著な差が現れているということは、統計学的にははっきり優位性があると考えられます。
 原因はわかりませんが、日本の属する東アジア地域は、他地域に比べて明らかに新型コロナウイルスに対して人口当たりの死亡率が低いのです。
 日本政府にはこの科学的事実をしっかり検証していただき、願わくば今後の日本のウィルス対策に生かして欲しいものです。<了>

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とにかく「原因は分からない」のです。
その原因である「ファクターX」が何かは未だ全ての説が仮説の域を出ないのです。

しかし現実的「事実」として、死んでいないのです。

テレビでは連日「新規感染数が~~」であると騒いでおりますし、小池都知事なども「特別警戒~~」などと仰っているのですが、果たしてこういう騒ぎは日本にとって「有益な」ことになっているのでしょうか・・・。

もう少し冷静にこの「新型コロナウイルス」を見つめて、より合理的な政治を行うことが望まれるのでないかと、木走りさんだけでなく私も考えるところなのです。

ご紹介まで。

7月30日(木)

【米中対立を読み解く二つの論考】

アメリカのポンぺオ国務長官の演説が世界に流され、さすがに緊張感も高まっているのです。

この動きをどう見るかについて、識者の大変参考になる2つの論考をご紹介したいと。

1つは、読売新聞出身の在米ジャーナリスト、高濱賛氏のJBpress誌への寄稿文と、もう1つは中国通ジャーナリスト、福島香織女史の同じくJBpress誌への寄稿文です。

◆JBpress◆
領事館閉鎖は序の口、バイデン政権が狙う中国潰し
~大統領選対策のトランプ芝居とは異なる強硬な対中政策へ~

(高濱 賛 2020.7.27)
■米中の「カブキ・プレー」とは
 中国の習近平政権は7月27日、四川省成都の米総領事館(総領事以下現地雇い中国人を含むと200人)を閉鎖、米外交官を国外追放した。
 米国のドナルド・トランプ政権によるテキサス州ヒューストン総領事館(総領事以下60人)閉鎖に対する対抗措置だ。
 米政府高官によると、同総領事館は米国の知的財産を窃取する一大拠点。
 同総領事館の幹部は、学生や研究員という肩書を隠れ蓑に米国の学術機関に入り込んでいる中国人スパイに具体的な指示を出し、情報収集活動を支援していたという。
 また米国に「亡命」している中国の反体制民主派活動家を本国送還させるタスクフォースの滞在拠点にもなっていたという。
 ヒューストンの地元メディアによると、閉鎖命令が出された直後、領事館の裏庭ではドラム缶に大量の文書が投げ込まれ、領事館員が焼却しているのを隣人が目撃。
 黒煙が立ち込めたため市の消防隊が出動したが、外交特権を行使して館内には入れさせなかった。
 いずれにせよ、米中の在外公館閉鎖の応酬は、ヒューストンと成都といったローカルな話でとどまりそうにない。少なくとも米大統領選の行われる11月3日まではさらに強まりそうな雲行きになってきた。
 トランプ大統領は、次の手としてサンフランシスコ総領事館閉鎖を考えており、これに対し、習近平主席は米国の香港総領事館閉鎖を検討しているとの憶測も出ている。
 中国が米国の学術機関や民間企業が開発している先端技術情報、いわゆる米国にとっての知的財産を盗み出そうとするスパイ活動は今に始まったことではない。
 それは諜報員を使ったものもあればサイバー攻撃によるものもある。
 また中国だけがそうした窃取活動をしているわけでもない。
 特にサイバー攻撃は中国以外、ロシアやイラン、北朝鮮といった「敵対国」も活発だ。さらにはイスラエルなど米国の同盟国も先端技術情報を盗み出そうと必死だ。
 米国もこれら諸国にスパイを送り込み、同様の諜報活動を行っている。
 スパイ活動は送り出した国にとっては「愛国者」であり、「英雄」だ。米中メディアも今回の在外公館閉鎖を大きく報道している。
 米サイドは、トランプ大統領をはじめマイク・ポンペオ国務長官、ロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)、ビル・バー司法長官、クリストファー・レイ米連邦捜査局(FBI)長官が相次いでこの件について公の場で言及し、中国の窃取活動を激しく非難している。
 だが、中国やロシアによる米国内での諜報活動はこれまでにも摘発され、外交官が国外追放になったケースは少なからずある。
 みな穏便かつ冷静に行われ、処理後は何事もなかったかのように外交関係は続けられてきた。
 中国の蔡偉ヒューストン総領事が指摘するように「国際法と国際関係の基本的なルールに違反して」在米中国公館を閉鎖するのは異例だ。
 しかも大統領自らがこれを命じたことを公言するのも例がない。

■中国と「小さな戦争」望むトランプ支持層
 いったいトランプ政権内部で何が起こっているのか。
 北京の米国大使館に勤務したこともある国務省の元高官は今回の事件をこう見ている。
「ポンペオ国務長官が7月23日にカリフォルニア州ヨーバリンダのニクソン記念図書館で行った演説を読めば分かることが一つある」
「ポンペオ長官はこう言っている。『もし我々が中国に跪けば、これからの世代、我々の子供たちの子供たちは中国共産党のご慈悲の下で加護を受けることになる』」
「知的財産窃取から南シナ海での軍事示唆活動に至るまで、中国の独善的な行為について米国民は苛立たしく思っている。それは労働者層、ビジネス界、エリート層に共通している」
「ピュー・リサーチ・センターの世論調査でも中国が米国にとって『最大の敵』と答える米国民は62%に上っている」
「新型コロナウイルス感染症発生以後、こうした傾向はますます強まっているようだ」
(https://www.pewresearch.org/global/2020/04/21/u-s-views-of-china-increasingly-negative-amid-coronavirus-outbreak/)

「それを今、トランプ政権は徹底的に批判し、積極的に中国に是正を求めている、というジェスチャーは大統領選には効き目がある」
(https://www.state.gov/communist-china-and-the-free-worlds-future/)

 今回の事件はトランプ大統領が打ち出した新たな選挙キャンペーン的要素がある。
「米国内、特にトランプ支持層には中国との(大規模な戦争ではなく、限定されたいざこざといった意味の)『スモール・ウォー(小さな戦争、小競り合い)』を望む者が少なくない」
「反中は、彼が食らいつきたいくなる『レッド・ミート』*1だからだ」

*1=調理前の赤みががかった肉。そこから望んでいる政策や主張を意味している。

「新型コロナウイルス感染症対応のまずさ、白人警官による黒人男性殺害事件以後の『ブラック・ライブズ・マター』運動、デモ鎮圧措置など、トランプ氏は何をやってもうまくいかない」
「支持率は降下、目玉商品だった経済も低迷と、大統領選に向けて明るい材料はゼロ」
「そこでこのタイミングで、米世論の反中ムードに乗っかる形で中国に対する強硬姿勢を見せたわけだ」
「中国による知的財産窃取問題はトランプ政権発足以前からあり米中首脳会談でも何度も取り上げられた懸案だ。今急にこうなったわけでもない」
「米中外交当局はそんなことは先刻承知。目下のところは総領事館閉鎖の応酬でメディアは騒いでいるが、外交当局者がやっているのは『カブキ・プレー』*2だ」
「問題なのはその『カブキ・プレー』、が実際の米中外交関係にインパクトを与え始めていることだ」

*2=米政治用語で「言い争っている双方がともに落としどころは分かっていながら世論向けにはあたかも対立しているかのように見せる政治交渉」という意味。

[…略…]

■「バイデン対中外交」の青写真
 トランプ大統領の有権者に対するメッセージは一つ。
「中国をここまで傲慢にさせたのは、バラク・オバマ政権と民主党だ」
「なぜこれほど米国の財産である先端技術情報を中国が盗むのを手をこまぬいて見逃していたのか」
「しかもコロナ禍発生以後、中国人民解放軍直轄の諜報機関が米国が開発中のコロナ特効薬やワクチンに関する情報を盗もうとしている」
「中国の野望に立ち向かえるのはトランプ大統領を再選させる以外にない」
 オバマ政権が中国によるスパイ活動阻止に無関心であったわけではない。ところが当時は中国側も米国によるサイバー攻撃があると反論、そうした事例も明るみに出ていた。
 結局、2015年9月の米中首脳会談では、商業利益を得ることを目的としたサイバー攻撃を行わないことで合意、そのための新たな対話メカニズムを創設することでお茶を濁した経緯がある。
 それから5年。中国はスパイ投入とサイバー攻撃の両面から米国の知的財産窃取活動を活発化させてきたのだ。
(https://www.politico.com/story/2017/11/08/trump-obama-china-hacking-deal-244658)
 米中関係の現状を踏まえれば、ジョー・バイデン前副大統領が次期大統領になっても中国のスパイ活動に厳しい対応をとることは必至だ。
 問題はトランプ政権の手法とは大きく異なることだろう。

[…以下略…]

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◆JBpress◆
中国が憎み恐れる米国の対中政策ブレーンの“正体”
(福島 香織:ジャーナリスト 2020/07/30)
 マイク・ポンペオ国務長官が7月23日、カリフォルニア州のニクソン大統領図書館で行った演説「共産主義中国と自由世界の未来」はなかなか強烈だった。米中関係のフェーズが明らかにこれまでとは変わったことを印象付けるものだった。

 この演説で一番印象に残ったのは、次の部分だ。
❝私は新疆の強制収容所から脱出してきたウイグル人とザフ人に会ったことがある。香港の陳(日君)枢機卿からジミー・ライ(黎智英)まで、民主活動家のリーダーたちと意見交換したことがある。2日前、ロンドンで香港の自由闘士のネイサン・ロー(羅冠聰)と面会してきた。先月、私は天安門事件の生存者の物語を聞いた。そのうちの1人が今日ここに来ている。
 王丹はキーマンである学生リーダーだった。彼は中国人民の自由のための闘争をずっと続けてきている。王さん、立ってください。我々にわかるように。・・・
 もう1人、中国の民主運動の父、魏京生がいますね。彼は民主を主張したために中国の労働改造所で数十年を過ごしました。魏さん、立ってくれますか? 
 (中略)
 共産党員はほとんどいつもウソをついている。彼らがばらまく最大のウソは、自分たちが、監視され、弾圧され脅され、本当のことを何も言えない14億人の人民の代弁者だとしていることだ。それどころか、中国共産党は中国人民の誠実な意見をいかなる敵よりも恐れているのです。彼らが権力のコントロールからはずれてしまうのを恐れているのです。
 考えてみてください。もし我々が武漢の医者たちの声を聞くことができたら、もし、彼らが新型コロナのアウトブレークについて警告を発することが許されたなら、全世界、中国国内にいる人たちにとっても、ずっと良くはなかったですか? 
 非常に長い時間、我々の指導者は、中国の勇敢な異見人士の言論を無視したり、軽く見たりしてきました。彼らは、我々が直面するこの政権の性格についてずっと警告してくれていたのです。我々はもうこれを無視することはできません。・・・
 しかし、中国共産党の行動を変えることは、単に中国人民の使命であるだけではありません。自由国家が自由を防衛するためにするべき任務でもあります。これは決してたやすいことではありません。
 しかし我々にはできると、私は信じています。・・・なぜなら中国共産党は、まさにソ連と同じ過ちを繰り返しているのです。・・・潜在的な同盟国と疎遠になり、国内外で信頼を損ない、財産権と予見性のある法治を拒絶しています。・・・
 何より自由、それ自体が完備で魅力的なのです。我々は自由を守ることができる自信がある。
 ・・・中国共産党が香港に対する傲慢な都市コントロールを強化した際に、移民を試みた香港人を見てください。彼らは星条旗を振っていたのです。
 この違いは、ソ連のときと違います。中国はすでにグローバル経済に深く入り込んでいます。しかし、北京は我々が彼らに依存しているよもずっと我々に依存しているのです。
 (中略)
 今がそのときです。・・・今こそ自由国家が行動するときです。すべての国が同じ方法で中国の挑戦に対処するわけではないし、そうすべきではない。 どの国もいかに主権を守り、経済の繁栄を守り、そしていかに中国共産党の触手からそれらを守るかを自分で考える必要があります。
 しかし、わたしはすべての国家のすべての指導者に、米国がすでにやっていることをやり始めるよう呼びかけます。つまり中国共産党に対し、その対等性、透明性、説明責任を求めることです。彼らは一枚岩には程遠い、小さな統治者なのです・・・❞

■「中国共産党」と「中国人民」を区別
 ちょっと長いが、抜き出してみた。ポンペオ演説の場に、王丹と魏京生が招かれ、ポンペオがネイサン・ローと面会していたことにも驚いたが、この演説の最大の特徴は、中国共産党と中国人民を区別し、中国共産党と中国を区別している、ということだ。そして中国人民に、国際社会とともに、自由のために中国共産党と戦おうと、大胆にも呼び掛ける内容である。今まで、こんな発想の政策を、米国が取ったことがあっただろうか。
 実は、中国共産党が最も恐れているのは、その政権のレジティマシー(正統性)の揺らぎを人民に気づかれること、そして人民そのものである。中国共産党にとって人民は最大の敵。だから、言論統制、大プロパガンダで、世論をコントロールしてきた。外敵から国家を守る国防予算よりも、国内の異見分子を鎮圧する治安維持部隊に国家予算を割くのはそのためだ。
 ポンペオのこの演説を聞いて私も確信したのだが、トランプ政権は昨年(2019年)後半から、中国共産党と、中国および中国人民の分断を意識して行っており、敵を中国ではなく中国共産党と認定している。
 米国はニクソン訪中から始まった中国との国交の基本を「一中政策」に置いてきた。つまり、中国共産党の中国が唯一の中国という方針だ。だが中国共産党と中国と中国人民を区別してとらえれば、中国共産党以外にも中国を統治する政権があり得る、ということだ。トランプ政権の台湾蔡英文政権への急激な肩入れとあわせ考えると、これほど中国共産党の神経を逆なでするやり方はない。

■ 中国を知り尽くしている対中政策ブレーン
 こういう発想を誰が政策に入れてきたのか?  ということが最近、明らかにされた。統一教会系保守紙の米ワシントン・タイムズがインタビュー記事を掲載し、その存在が初めて国際社会に知れわたった。
 その人物とは、国務省7階のポンペオのオフィスと同じフロアにオフィスを構える華人ブレーン、余茂春である。
 あの人種差別的な言動をし、いかにも白人至上主義の、中国人はみんなスパイ、と言いかねないようなトランプ政権内に、中国語ネイティブの華人ブレーンがいて、対中政策の肝になる部分に影響を与えているということに、けっこう驚いた人は多かったのではないか。
 そして、このインタビューに一番震撼し、過激に反応したのが習近平政権であろう。外交部報道官の反応や、環球時報の反応を見るとそれが伝わってくる。
 余茂春は1962年重慶生まれ、1979年に天津南開大学に入学、1985年に米国に留学、ペンシルバニア州スワースモア・カレッジに入学し、カリフォルニア大学バークレー校で研究生となった。天安門事件のときは、サンフランシスコで民主化運動家の移住を支援し、中国の論壇の司会なども務め、1994年にバークレーで歴史学の博士号を取得し、その後、メリーランド州アナポリスの海軍アカデミーで現代中国と軍事史の教授を務めた。
 3年前からトランプ政権の対中政策ブレーンのチームに入っている。文革で迫害された経験をもち、だからこそ中国共産党政権の性格ややり方に知悉しており、今やポンペオとトランプの信頼を一身に得ている。

[…略…]

■ 日本にも華人ブレーンが必要
 さて、私はつくづく米国政府の懐の深さに思いいたった。日本の政権に、文革で中共に恨みを持つ経験をしているからと言って中国語ネイティブの学者を政策ブレーンに入れ対中政策を立案させることができるだろうか。たぶん、右からも左からも非難囂々だろう。
 また、おそらく日本政府の方がそんな人材を使いこなせない。なぜなら、華人の1つの処世術として、強いものになびく、という性質があるからだ。米国は強い。だから中共を捨て米国のために働く華人も多く出てくるのだ。
 そして、今のタイミングで、こういう政策に打って出るのは正解である。なぜなら習近平政権の党内の求心力はかつてないほど弱まり、離反者が増え始めている。ヒューストンの中国総領事館がいきなり閉鎖になった背景には、総領事館の中国人職員が「手土産情報」をもって米国へ亡命申請したことが直接のきっかけになったと言われている。
 もちろん、“ダブルスパイ”のような獅子身中の虫が増えるリスクもあるのだが、「中国人を見たら「信用できない」と決めつけたり、中国語を学ぶだけで「あいつは中国のスパイ」などと揶揄し、敬遠するだけでは決して対抗できないのが中国なのだ。
 米国がはっきりと中共打倒を打ち出したこの際に、日本政府も、中共を熟知した華人知識人の意見に耳を傾けてみたらどうだろう。<了>

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ご紹介まで。

7月29日(水)

【近藤大介氏、高橋洋一氏が中国を語る】

ジャーナリストの長谷川幸洋氏が主宰するユーチューブチャンネルがあるのですが、これが最近は断然有意義な配信を行っているのです。

昨日は、中国問題に深い関りをもつジャーナリスト近藤大介氏と高橋洋一氏がゲストに招かれて非常に深い情報を開陳されていたのです。

本当に知るべき情報が満載されている有意義な番組なのです。
是非ご視聴頂きたいと思うのです。

最新7/28(火)長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル
#12『中国の侵略戦略??? 中国暴走を徹底討論!』

(2020/07/28 約51分)
【7/28番組概要】
香港国家安全法違反として睨まれること間違いなしの長谷川×高橋Newsチャンネル
・激化する米中冷戦!断固たる自由主義防衛の意思・ポンペオ国務長官演説
・習近平を全体主義者として徹底批判
・高橋洋一を中共の罠が襲う!中国GDP統計の信憑性・ハニートラップの生々しさ
・中国共産党独裁の権力闘争・習近平と李克強の関係は?
・習近平の貧困撲滅で半永久政権を敷くという計画を李克強が記者会見で完全否定
・中国はなぜ、全方位で侵略を繰り返すのか?香港、南シナ海、尖閣、台湾、フィリピン、インド・・・
・中国の暴走ぶりについに近藤さんも右派に転向!?
・中共幹部個人に対する米国の制裁は効いているか?~反米は仕事だ、生活は米国だ!?~
・米国政府によるファーウェイ規制の効果は?
・梅宮万紗子の「ここが聞きたい!」
・中国はどう仕掛けるのか?近藤大介氏の中国視点からの解説

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もう一本、最新記事をご紹介したいと。

こちらは、その近藤大介氏の現代ビジネス誌への寄稿文ですが、事情がよく解説された優れた記事であると。

◆現代ビジネス◆
ポンペオ長官“怒りの演説”が中国共産党に突きつけた「究極の選択」
~中国が「国家体制」を替えなければ…~

(近藤大介 2020.07.28)
・・・
■はじめて「一線」を越えた
 今回のポンペオ演説が「米中新冷戦」を決定づけた第二の理由は、中国という国家に加えて、9100万中国共産党員のトップに君臨する習近平(Xi Jinping)総書記個人を攻撃したことである。
 これまでトランプ政権と中国側との間では、一つの「暗黙の了解」があった。それは、アメリカが中国をいくら非難しても、習近平総書記個人は非難しないということである。
 どこが違うのかと思うかもしれないが、これは大きな違いである。
<以下略>

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いやいやそれにしても長谷川氏ではないですが、この高橋洋一氏の底知れない情報と豊富な経験と知識、その見識は恐るべきであると・・・。

この高橋氏に「今の安倍首相はちょっと腰砕けですね・・・」と言われてしまっては安倍首相も・・・。

安倍政権には本当に「腰を入れて」この緊張高まる外交戦争に取り組んでもらいたいものであると。

ご紹介まで。

7月28日(火)

【ポンぺオ長官の呼びかけに中国活動家が応える】

中国の民主化を求める海外在住の中国人活動家が、ポンぺオ国務長官の呼びかけに答えてワシントンに集結というニュースがNTDの動画で配信されたのでご紹介したいと。

◆NTDjapan◆
ポンペオ長官「中共は中国ではない」民主活動家らが支持集会
(動画、約3分 2020年7月27日)
ポンペオ国務長官は7月23日、カリフォルニア州のニクソン大統領図書館で対中政策に関する演説を行い、中国国民に対して世界各国とともに中国共産党政権に立ち向かうよう呼びかけました。演説の後、魏京生(ぎ・きょうせい)氏、王丹(おう・たん)氏など中国の民主活動家と会談を行いました。 中国人民主活動家らも集会を開き、長官への支持を表明しました。
ポンペオ国務長官は、カリフォルニア州のニクソン大統領図書館で魏京生氏、王丹氏などの中国の民主活動家と会談を行いました。

魏京生氏は、ポンペオ国務長官は「中共と中国はイコールではない」ということを常に強調しており、たとえこれが原因で中共が米国大使館をすべて追い出したとしても、中共の暴政に立ち向かい続ける決心は揺るぎないものであると述べています。

■民主活動家 魏京生氏
「ポンペオ長官はいつも、中国の庶民と共産党を分けて考えるべきだと強調している。米政府はいま、中国政府を支持する政策ではなく、中国の人民が中国の民主主義を推し進めることを支持する政策をとっている。これは非常に重要な概念上の変化だ」

■民主活動家 王丹氏
「国務長官の演説から、米国が西側世界のリーダーの役割に戻る決心をしていることがわかる。非常に人心を励ますことだ。必ず米国のような大国が西側世界をリードして中共に対抗しなければならない」
<以下略>

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中国共産党を倒すには、アメリカなど外国がそれと果敢に戦うだけでは無理なのです。中国国内の人民が自ら立ち上がって「共産党支配からの脱却を目指す運動」を始めなければならないのです。

なのでそういう動きに火をつけて、燃え上がらせようとするこのポンぺオ長官の演説は戦略としては大いに有効なはずなのです。

しかし当然中国政権にとっては「許せない」ものでしょう。

「内政干渉はよせ!」と、中国政権が猛反対することは、それはそれで当然の反発でしょう。その通りなのですから。

それでもそういう動きに呼応する中国国内の国民がどれほどいるだろうか、と問うなら、おそらく「微々たるもの」ということでしかないように思われるのです。

それはきっと北朝鮮の政権と北朝鮮の国民との関係と似たようなことになっているのでしょう。

北朝鮮国民が、あまり金正恩体制に反抗心や敵対心を有していないのと同様に、中国国民の多くは共産党政権に「あきらめ」や「無力感」や、あるいは「いいんじゃない?」というくらいの受け止めしか持てていないのでないでしょうか。

ですので、こうしたポンぺオ長官の「攪乱作戦」は、作戦としては「悪くない」ものなのでしょうが、おそらく実効性という点では「やらないよりマシ」というくらいのものでしかないのでしょうと。

中国国民の内部から、共産党政権に対して「大きな不満」や「大きな敵対感情」が沸々と沸き起こってくるまでには、もう少し時間がかかるでないかなと。

「共産党」は、おそらく凄まじい深さで中国国民を「骨抜き」にしているのでなかろうかと、そんな風にまで感じられるのです。

いや、そうではなく、逆に、中国国民が恐ろしいほどまでに深く、「自分さえよければ国家や全体などどうでもいい」と思い込んでいるがゆえに、そういう国民性の人々にとっては、もはや政府が「いい政府」であろうが「悪い政府」であろうが、もうどうでもいいという感じで無関心に特化しているのかもしれないのです・・・、とにかく目先、自分が儲かりさえすれば政府のことなどどうでもいいと。

それはつまりは、かつての鄧小平の言葉、「黒猫だろうと白猫だろうと、ネズミを捕る猫はいい猫なのだ」ということと同義であると。

果たして中国国民が「自力」で立ち上がって「共産党は倒すべきだ!」として反旗を翻すような日が、来るのでしょうか・・・。

「・・・、きっと来ない」、に一票・・・。

ご紹介まで。

7月27日(月)

【世界に誇るべき社会主義国、日本】

日本で活躍している中国人ビジネスマンの周来友氏がニューズウェーク(日本版)誌に興味深い一文を寄稿しているのです。
題して「日本は世界に誇るべき「社会主義国」です」という。
で、ご紹介したいと。

◆Newsweek◆
外国人リレーコラムTokyo Eye
日本は世界に誇るべき「社会主義国」です

(周 来友 2020年07月27日)
<貧しくとも豊かな生活が昔の中国にはあった。だが私の祖国はあれから大きく変わった。移り住んだ日本で、まさか理想の社会主義を見つけるとは思ってもみなかった>

ご存じの読者も多いと思うが、中国は完全なる社会主義国だった。1978年に改革開放が始まるまでは、贅沢こそできないが、皆が平等に暮らせる社会がそこにはあった。

1963年に浙江省紹興市で生まれ、23 歳で来日するまで紹興と北京で生活していた私にとって、思い出深いのが配給制度だ。肉の配給は月に1回、つまり肉にありつけるのは1カ月に1度だけだった。年に1回は「布票」と呼ばれる布の引換券が配られ、それを元に布を購入していた。その布を使って母が、ミシンで新しい服――いわゆる人民服――を作るのだ。

こんな話をすると同情する人もいるかもしれないが、私自身に嫌な記憶はない。むしろ配給は待ち遠しいイベントだったのである。そんな、貧しくとも豊かな生活が昔の中国にはあった。しかし中国は、あれから大きく変わった。

今はむしろ日本のほうが「社会主義国」だ。配給制度こそないけれど、平等で弱者に優しい社会がそこにある。少なくとも私はそう感じる。資本主義の悪い面ばかり取り入れ、社会主義の悪い面ばかり残してしまった祖国。まさか日本で、理想の社会主義を見つけるとは思ってもみなかった。

社会主義が嫌で中国を脱出してきた人の中には、日本が中国よりも社会主義的だと知ってガッカリする人もいる。しかし私は、むしろ最近の中国にガッカリしており、その思いはこの新型コロナウイルス禍でますます強まった。「特色ある社会主義」などとうたっているが、弱者ばかりが割を食うあの弱肉強食社会のどこが社会主義なのか。

日本では教育の機会がおおむね保障されており、大卒で会社に入れば、だいたい皆同じくらいの給料からスタートする。中国もアメリカも過酷な競争社会だが、日本では正社員ならそうそうクビになることはない。また、日本に人種差別がないとは言わないが、中国人として日本で学び、働いてきた私自身は、これまで差別された経験がない。中国ではアフリカ系の人々への差別が深刻だが、それと比べるのはおかしな話だろうか。

それに、日本では医療費が安いため、病気になれば貧しくても医者にかかれるし、スーパーやコンビニ、ファストフード店も多いので、食べ物も割と安価に購入できる。東京ではあちこちでホームレスの人たちを目にするが、彼らも他の国でよく見掛けるような「物乞い」ではない。

もちろん、そんな日本にも貧困から抜け出せない人は大勢いて、とりわけ最近は格差が拡大していることを私も知っている。それでも、貧しい人や苦しんでいる人を助けようとせず、逆に石を投げ付けるような者が多い今の中国と比べれば、ずいぶんましだと思ってしまう。

コロナ禍での経済補償に対しても、額が不十分だ、給付が遅過ぎると怒っている人が多いが、補償はゼロではない。ロックダウン(都市封鎖)で国民の経済活動を封鎖しながら何の補償もしない中国を知る私からすれば、中国籍でも給付してくれる日本の特別定額給付金制度は大変ありがたい。


このコラムで韓国出身の李娜兀(リ・ナオル)さんも書いていたが、外国人にもコロナ支援の手を差し伸べているのは非常に素晴らしいことだ。韓国でも外国人には支給していなかったし、アメリカの給付金も留学生の多くが対象外だったらしい。どうです? 私も中国とだけ比べて日本が素晴らしいと褒めているわけじゃないんです。

日本のメディアは格差拡大の現状を憂い、それに対する政府の施策を厳しく批判する。それ自体は報道環境が健全であることの証しだ。ただ、私のような見方があることも知ってもらいたい。日本は日本流の「特色ある社会主義」を誇りに思い、それを世界にもっと「輸出」すべきだ。<了>

<2020年7月21日号掲載>

周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「地球ジャーナル ゆあチャン」)としても活動。

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読んでみれば(なるほど…)という記事ですが、確かに日本は欧米や中国と比べればはるかに「格差」は小さいのです。

もちろんかつての、バリバリの社会主義国家であったソ連や中国と比べれば、そうでもないのでしょうが、しかし現代金融資本主義に犯された欧米型資本主義社会の中では、そして社会主義とは名ばかりになっている現代中国に比べれば、はるかに「社会主義的社会」が実現していると言えるのでしょう。

現代日本は、知らず知らず、つまり自分たちが無自覚でいる間に、いつのまにか世界でもトップクラスの「格差小社会」=「社会主義的社会」を作り上げていたのかもしれないのです。

グローバル経済化している現代欧米のトップ企業のCEOの年収たるや、みな軽く「億」を超える金額を手にしているのです。
それにひきかえ、日本ではあのトヨタの社長ですらカワイイものなのです。
あのカルロス・ゴーン氏も、そういう日本的慣行に嫌気して、陰で巨額の報酬をもらうべくきわどい手法をとっていたのです。

そういうことで、私はそんな日本でもまだまだ格差は小さくない、といいうより「底辺レベル」=「貧困層」が拡大している現実を憂うのです。
それは「平等を願う」というより「貧困層があること自体がダメである」という主張なのです。

ですので私はベーシックインカムを一日も早く実現できるように、政治家には頑張ってもらいたいと思っているのです。

ご紹介まで。

7月25日(土)

【中国外交政策の戦略的分析】

中国分析でユニークな知見を有する戦略科学者の中川コージ氏が、松田学氏のチャンネルに登場して優れた見識を披歴しておりましたので、ご紹介したいと。

◆松田政策研究所チャンネル◆
特番『思惑通り!?香港は損切り/ダム問題は?/英国、対中外交変更は本気か? 月刊戦略論的中国最新情報7月号』ゲスト:戦略科学者 中川コージ氏
(2020/07/24 約35分)

香港問題についての分析では「それは中国政権にとっては損切りである」という見方は大いに納得できる話だったのです。

そして一つ、唸らされた指摘が「中国政権は西側自由主義諸国が結局“忘れてしまう”ことを知っている」ということだったのです。
確かに今どれほど香港に同情を寄せていても、いつしか人々は香港のことなんか忘れてしまうのです。しかし中国政権は決して忘れないという。

イギリスが今回、対中政策を強硬なものに転換したのですが、しかし「対ファーウェイ」ではその本気度にクエスチョンが付くという話にも納得させられるのです。

いずれにしても、かつての冷戦時代の抗争では共産主義ソ連が自滅するが如く倒れて行ったのですが、今、中国共産党は経済においてかつてのソ連型経済の弱点を克服しているのです。
そういう意味では今次の「自由主義VS共産主義」の争いは、かつての冷戦時以上に難しい覇権争いになっているのです。

自由主義、民主主義諸国は改めて共産主義中国のある意味での「強さ」に対抗して行く必要があるのです。
そういう意味でも、中川氏のような冷静で戦略的な分析が価値あるものとして認められて行くのでないかと思えるのです。

ご紹介まで。

7月24日(金)

【米、ヒューストン中国領事館に閉鎖命令】

なにやらずいぶん危険度の高いニュースが飛び込んできているのです。

◆NHK◆
ヒューストンの中国総領事館 閉鎖命令を認める アメリカ政府
(2020.07.23.)

米中の対立の構図がどんどんエスカレートしている感じです。
もちろん、それはアメリカ側の意思でありまして、中国側にそういう積極的意思はないのでしょう、むしろできればことを穏便に収めたいと思っていることでしょう。

しかし 「メンツ至上主義」 の中国共産党は、このアメリカの挑発的な動きに対して「断固受け入れられない、むしろ報復措置をとる!」というように応じざるを得ないことになっているのです。
つまりは対立の構図を「自ら望むところよ」的に、より強硬な態度を示すということになるのです。本音ではそうでないにもかかわらずです。

いずれにしてもトランプアメリカ政権は、トランプ氏自らの大統領選への対応という目先の事情も相まって、「ここは対中強硬策に打って出るに限る」という底意もありまして、こうして次々と対中強硬策を打ち出しているのだろうと指摘する向きもあるのです。

そんな米中の緊張が高まっている今、日本は日本で尖閣を如何にして守るべきかという問題にも直面しているのです。

こういう事態に対して、評論家の長谷川幸洋氏が現代ビジネス誌上に連載で色々とご見解を発表しておりますのでご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
長谷川幸洋「ニュースの真相」
習近平の暴挙が止まらない…尖閣侵入の「次」に起きるヤバすぎる事態
~このままでは、日本の漁船が危ない…~

長谷川氏と高橋洋一氏のweb上での対談動画も非常に有意義な意見交換でありまして、こちらも是非ご視聴して頂けたらと思うのです。

最新7/21(火)長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル
#11『尖閣中国艦船侵入、GoToトラブル!?高橋洋一の秘策!』

(約1時間)

いや、しかし私は思うのですが、日本政府は「尖閣は断固守る!」というような意思を決して見せることはないのでないかと。
それは「したくてもできない」のか、それとも「そもそもしようと思わない」のか、そのどちらなのか知りませんが、結果として「ただ手をこまねいているだけ」ということになるのでなかろうと。そして「気が付いたら尖閣は中国によって実効支配されていた」ということになるのだろうと・・・。

そうならなければいいのですが、どうもそうなりそうか気がしまして歯がゆく思えるのです。全て杞憂ならいいのですが・・・。

ご紹介まで。

7月23日(木)

【BBCが在駐英中国大使を公開で大追及】

イギリスでBBCが在英中国大使をスタジオに招いてインタビューをしたそうなのですが、その中でずいぶん鋭い追及をした動画が公開されているのです。

これが各国でも紹介されているようでありまして、ネット上では大反響を巻き起こしているとか。

もちろん習近平氏ら中国側は苦虫を噛みつぶしながらこれを見たに違いないのです。

私も番組中の「ウイグル人連行」の様子はすでに別なツイッターで視聴していたのですが、BBCはよくぞこういう番組を公開したものと驚くのです。

◆アゴラ◆
BBCの中国大使へのウイグル追及に日本のネットも大反響
(アゴラ編集部 2020年07月21日)
イギリスBBCの政治トークショー番組が19日朝(現地時間)、ゲストの駐英中国大使に対し、ウイグル人の強制収容所を撮影したとされるドローンの映像を見せながら、中国政府のウイグル政策を追及した様子を放映。世界中のネットで大反響となり、日本のネット民もBBCに喝采を送る一幕があった。

この番組は「アンドリュー・マー・ショー」。BBCで政治取材を長年行ってきたジャーナリスト、アンドリュー・マー氏が15年来、司会を務める日曜朝の名物番組。国内外の閣僚クラスの要人のほか、ときにはエルトン・ジョンのような著名人もゲストに招き、時事問題を討論する。

動画(日本語字幕付き)

19日の番組では、中国の劉暁明・駐英大使が出演。マー氏は、ネット上で拡散していた、新疆(ウイグル自治区)の強制収容所と思われるドローン動画を大使に見せて「何が起きているのかお話しいただけますか」と追及した。

劉大使は不意を突かれたのか、「私にはこれが何かわかりません」と答え、マー氏に新疆に「いらしたことはあるか」と話をすり替え、「新疆を見るまで中国の本当の美しさはわからない」という自国の“風説”を強調。しかしマー氏は「大使、これは美しい映像ではありませんよね」と言い返し、西側情報機関への確認に基づき、映像に写っているウイグル人が電車に押し込まれ、移送されているなどと追及し続けた。

さらに劉大使が新疆の人口が40年で倍増したと述べたが、マー氏は中国政府の地元当局の統計を引用、新疆のウイグル人自治区の人口が2015〜18年にかけ84%減少したと真っ向から否定した。劉大使が「倍増」と強調したのは漢民族の人口を含めてのミスリードだったとみられる。

番組ではさらに、ウイグル人女性への不妊手術の強制疑惑を取り上げ、手術を受けたという女性の生々しい証言映像も放送。劉大使が「広範囲に大々的に強制手術が行われていることはない」と否定すると、マー氏は「彼女がウソをついているとでも?」と反論。さらに国連のジェノサイド禁止・処罰条約に基づいて「中国が追及されることになる」のではと畳み掛けると、劉大使は最後まで懸命に否定していた。

一連のやりとりはネット上にも配信され、たちまち世界的に拡散。BBC Politicsのツイッター動画の再生回数は1日で585万回を記録した。

<以下略>

もう一本、

◆BBCnewsjapan◆
英外相、中国がウイグル人に「おぞましい」人権侵害と非難
イギリスのドミニク・ラーブ外相は19日、中国西部の新疆ウイグル自治区で「おぞましく、甚だしい」人権侵害が起きているとして、中国政府を非難するとともに、関係者への制裁措置もあり得ると表明した。

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かつてナチスドイツが突如ポーランドに侵攻して第2次世界大戦が始まったのですが、その前には英仏などはヒトラードイツの動きについて「危険視」してはいたのです。

しかし、当時のチェンバレンイギリス政権は「宥和政策」ということで、ドイツに対して強硬な反抗措置を講じることなく半ば見許していたようなことだったのです。

それはもちろん「内政干渉はするべきでない」という国際外交の大原則に則していうならもっともな対応ではあったのです。

80年後の今、中国共産党政権はかのナチスドイツと同じような強硬な自国益追及と他民族への弾圧と迫害を遂行しているのです。

そして国際社会がそれを指弾するなら、「内政干渉は止めろ!」として逆切れするかのように強硬な声明をその外交部のスポークスマンが発信するのです。

アメリカが今、そういう中国に対して「断固、もう勝手な真似は許さない!」として強硬反発政策に転じているのですが、ドイツは未だ「傍観者」の立場を崩さず、フランスも見て見ぬ振りに終始し、プーチンロシアはそんな中国に「いいんじゃない?」として手を握っているのです。

ここにきてジョンソンイギリスが「アメリカに追随する!」と宣言してファイブアイズとして連携して「反中国」のスタンスを鮮明にしている中から、BBCがこういう番組を制作してきたということなのでしょう。

日本のNHKに、こういう真似ができるのだろうか、というなら、そりゃもう聞くまでもなく「ノー」なのです。

果たして国際社会はこれからも「反民主主義、反人権、反平和主義」の粗暴な強権国家の利己的な振る舞いを見許し続けるのでしょうか、「内政不干渉の原則」を盾にして。

80年前の教訓は生かされるべきなのでしょうか、それとも「歴史は繰り返す」のでしょうか・・・。

いや、我が日本は本当にどういうスタンスを採るべきなのでしょうか。

アメリカやイギリス、オーストラリアにエールを送るのか、それとも暴君中国のご機嫌を損ねないように、「内政不干渉の原則は守られるべき…」としてダンマリと無視を決め込んで尖閣諸島を取られてから後に、ようやく「それはダメだ!」と始めて声をあげるつもりなのでしょうか。

テレビ、新聞を含むマスコミが、こういう事態に対して一体どういう了見でそのスタンスを決めようとしているのか・・・。

いやいやいや、本当にマスコミ中枢の見識が問われるべきなのでないかと・・・。

もはや中国共産党政権はナチスドイツの全体主義、強権主義、いうならファシズムと同等な危険性をもった国家であることは明らかなのです。

国際社会はこういう国家に対してどういうスタンスをとるべきなのかと。

かつてアメリカ、ケネディ大統領は、フルシチョフソ連のミサイル搬入に対して「断固阻止する!海上封鎖する!それでも強行するなら戦争も辞さず!」と宣言してアメリカ海軍にそれを命じたのです。

世界はその時「第三次世界大戦勃発の危機!」として固唾のを飲んでフルシチョフの出方を見守ったものなのです。

そんなケネディーの決意に負けたソ連はすごすごと撤退して行かざるを得なかったのです。

そして今回もアメリカが立ち上がろうとしているのです・・・。

そんな中、我が日本は政権中枢のどなたかが、「いやいや、中国を刺激してはいけない・・・」とのたまわって、配下の国会議員に「余計なことはするな」と言明しているとか・・・。
もちろん、多様な意見と見解、考え方があっていいのですが・・・。

それにしても世界は少しずつ「対中国包囲網」を構築しつつあるようです。

それはいいことであると。

ガンバレ、トランプアメリカ!
ガンバレ、ジョンソンイギリス!
ガンバレ、モリソンオーストラリア!

考え直せ、メルケルドイツ!
目を覚ませ、マクロンフランス!
買収されちゃあかんぞ、コンテイタリア!
中国とは手を切るべきだぞプーチンロシア!

そして頭大丈夫か、日本の政治家&マスコミ中枢経営者たちよ!

ご紹介まで。

7月21日(火)

【尖閣は取られる運命…】

こういうニュースがあったのです。

中国政府が「漁船侵入」阻止要求 尖閣巡り、地名変更中止も
(共同通信社 2020/07/19)
中国政府が「漁船侵入」阻止要求 尖閣巡り、地名変更中止も
中国政府が今月、日本政府に対して沖縄県・尖閣諸島の領有権を主張し、周辺海域での日本漁船の操業は「領海侵入」だとして立ち入らせないよう外交ルートを通じて要求していたことが19日、分かった。沖縄県石垣市議会が議決した尖閣の住所地の字名を10月から変更する措置の中止を求めたことも判明。日本は即座に拒否した。日中外交筋が明らかにした。 中国が日本政府に同海域での漁船管理を要求するのは異例。尖閣に対する日本の実効支配を弱め、領有権主張を強める狙いがある。中国公船の周辺海域での活動も活発化しており、日本は現状変更を試みる動きと判断し、警戒している。

中国政府が今月、日本政府に対して沖縄県・尖閣諸島の領有権を主張し、周辺海域での日本漁船の操業は「領海侵入」だとして立ち入らせないよう外交ルートを通じて要求していたことが19日、分かった。沖縄県石垣市議会が議決した尖閣の住所地の字名を10月から変更する措置の中止を求めたことも判明。日本は即座に拒否した。日中外交筋が明らかにした。
 中国が日本政府に同海域での漁船管理を要求するのは異例。尖閣に対する日本の実効支配を弱め、領有権主張を強める狙いがある。中国公船の周辺海域での活動も活発化しており、日本は現状変更を試みる動きと判断し、警戒している。

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このような動きが当たり前に起こってきているのです、最近は・・・。

こういう中国の露骨な挑発、露骨な野心を我々日本人はどう受け止めたらいいのでしょうか。

で、一体政治家は何をしているのか、と思いましてネットで情報を探していたのですが、どうも自民党の青山繁晴氏がこの問題でご自身のブログに「国会事情」を教えてくれていることが分かりまして、ついてはご紹介したいと思ったのです。

で、一体政治家は何をしているのか、と思いましてネットで情報を探していたのですが、どうも自民党の青山繁晴氏がこの問題でご自身のブログに「国会事情」を教えてくれていることが分かりまして、ついてはご紹介したいと思ったのです。

◆青山繁晴の道すがらエッセイ◆
遅くなりました。尖閣諸島をめぐる国防議連の詳報です。
(2020-07-18)
▼きのう7月17日金曜に自由民主党本部で開かれた「国防議員連盟」勉強会について、約束通りに記しておきます。
 きのう再び、海外の同胞への一律10万円給付をめぐって、水面下で烈しいバトルがありましたから、すっかり遅くなりました。
 産経新聞のネット版で、この国防議連の勉強会が報じられていました。ぼくと山田宏参議院議員 ( 護る会幹事長 ) の発言が紹介されていましたから、読まれた方もいらっしゃるかも知れません。

▼この勉強会は、防衛省、外務省、内閣官房 ( NSS国家安全保障局など ) 、海上保安庁、環境省、総務省が出席し、まずそれぞれの立場の説明を行いました。

▽防衛省は、中国が軍事力を海軍、空軍と核兵器・ミサイル戦力を中心にどれほど強力に増強しているかを説明しました。
 軍事予算は23兆6千億円ほどに達しているという見方もあることを紹介し、具体的な新戦力の情報も開示され、このままでは米軍を凌ぐ規模になりかねない実態が、良く伝わりました。(ただし規模イコール実力ではありません)
 ちなみに日本の防衛予算は、5兆と688億円です。中国のわずか5分の1強ほどということになります。

▽外務省は、日本の尖閣諸島で領海侵犯を続けている「中国海警」が、もはやコーストガード ( 沿岸警備隊。日本では海上保安庁 ) ではなく、軍の一部になっている実態を報告しました。
 ということは、尖閣での領海侵犯は、軍事侵略に等しいことになります。

▽海上保安庁は、中国のこの尖閣侵略態勢に対峙するために巡視船を大型化し、無人機による監視も導入して、態勢を整備していることを説明しました。
 どこか悲壮感の漂う報告でした。

▽海上保安庁はまた、中国の武装船が領海侵入した航跡を図で示し、さらに日本のEEZ(排他的経済水域)で中国の海洋調査船が日本の同意がないまま勝手に、不当に海洋資源調査を行っている実態を、その調査船の写真付きで報告しました。
<以下略>

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いや、政治家諸氏も色々動いているようなのでいいのですが、でも果たしてこれが野党を含めた国会議員全体まできちんと情報共有されているのかと言いますと、ちょっと違うのだろうと思われるのです。

おそらくこういう動きは「自民党の中でも一部の議員」しか分かっていない話で、大部分の国会議員はノー天気にその他のコロナだなんだ、国内問題にうつつを抜かしているのでなかろうかと。

いやいや、どうなんでしょうか、実際は・・・。

「国防議連」ですか・・・、

う~む・・・、

それにしてもマスコミがどうしてもっとこういう問題について国民を啓発するような動きをしないのか・・・、

ほんまに「金になることしかしない」のか・・・。

いや、もちろんテレビなどは「視聴率が全て」ということでしょうから、こんな問題を積極的に取り上げようなどとは思わないのでしょうが・・・。

それにしても各社テレビ局の中枢部(経営トップ)は何を考えていますことやらと・・・。

国のことなどどうでもよく、自社が視聴率トップを取れればそれでいいのかと・・・。

しかし、

「そんなこと言われてもこっちゃスポンサーの意向次第やねん!スポンサーから降りられたら潰れるねんで!そのスポンサーが嫌うような番組なんか作れるわけあるかぁ!、スポンサーが「金払うからこういう番組作ってくれ」言うのやったらバンバン作ったるわ、そんなもん!スポンサーがアホやからこっちかてアホな番組作らなしゃないねや。分かってんのか!!」

などと言うのでしょうか・・・

もちろん、NHKにしてもそのトップはどんな国防意識でいますことやらと・・・。

いやいや、何もかにもが「難しいことだらけ」ということになっておりますようで・・・。

ご紹介まで。

7月19日(日)

【果たしてアメリカは本気か?】

7月に入り、アメリカの対中国外交姿勢がずいぶん強硬なものに変わってきているのです。中でもポンぺオ国務長官の13日、15日の発言が過去に例を見ない踏み込んだものになっており、世界はこれに反応せざるを得ないのです。

ヨーロッパでも、中国が強行した香港法案の件では「それは許されない!」として人権擁護を第一義に掲げるリベラル勢力が声を挙げ始めているのですが、ドイツのメルケル首相が沈黙を守ったままなことに対しても疑念の声が挙がり始めているのです。

いずれにしても、今回アメリカが「同盟国の領有権問題については、アメリカがそれを守る!」と言明したことは、そこには当然「尖閣」も含まれる訳でありまして、我が日本にしても有り難い演説だったことは間違いないのです。

さて、問題は我が日本の政権中枢がこういう事態に対してどう向き合おうとするのか、なのですが・・・、どうなのでしょうか。

どういう訳か政府も自民党も野党もマスコミも、そんな重大な世界的潮流の変化など無かったかのように「完全スルー」なのです。
いったいこれをどう受け止めればいいのでしょうか・・・。

とりあえずこの問題についてよく研究されておられる及川幸久氏の動画をご紹介したいのです。

◆及川幸久クワイト・フランクリー◆
トランプ政権本気モード!米国が南シナ海 尖閣を守るポンペオの歴史的発言【及川幸久−BREAKING−】
(2020/07/18 約15分)
トランプ政権本気モード、米国が南シナ海、尖閣を守る、ポンぺオの歴史的発言

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◆産経新聞◆
尖閣めぐり日本が動く好機
(小森義久 2020.7.19)
 米国政府は南シナ海の諸島における中国の領有権を否定した。だが米国議会がすでに沖縄県石垣市の尖閣諸島への中国の領有権を明確に否定し、中国艦艇の日本側領海への侵入に制裁を科す政策を超党派の法案で宣言したことはあまり広く知られていないようだ。
 同盟国の米国が超党派で尖閣に対する日本の立場をこれほど強く支持するいまこそ、日本が領有権と実効支配の明示のために尖閣で自主的な行動を取る絶好の機会だろう。
 ポンペオ国務長官が13日に発表した米国政府の公式声明は南シナ海の紛争対象の諸島すべてへの中国の領有権主張を「完全に違法」として否定した。
 トランプ政権のこの動きは実は、議会下院の共和党有力議員たちが6月に公表した強力な政策提言に誘導されていた。
 「米国の強化とグローバルな脅威への対抗」と題された同提言書は南シナ海、東シナ海での中国の海洋活動を危険な侵略行動と断じて、米国政府が軍事手段をも含めての対抗を強化することを勧告していた。
<以下有料記事>

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◆NTDtv◆
「香港国安法」に対し沈黙を続けるメルケル首相 ドイツ各界が中共寄りの首相を非難
(2020年7月19日)
 欧州連合(EU)は13日、中共の香港国家安全維持法の制定に対し、対抗措置を準備していることを明らかにしました。一方、ドイツのメルケル首相はこの件に対し、沈黙を続けています。ドイツの政界、経済界、メディア界、社会団体などが声を上げ、中共が国際協定に違反していることを非難し、メルケル首相が中共への批判を阻止しようとしていることに強い不満を表明しています。国際人権協会のフーベルト・ケルパー代表は、メルケル政府に対し、まだ遅くないので米国や英国に倣って中共への制裁措置を講じるべきだと提案しています。
<以下略>

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◆日経新聞◆
米、南シナ海介入へ転換 中国の領有権主張「違法」
(2020/7/14)
 トランプ米政権が南シナ海の海洋権益に関する中国の主張を「完全に違法」と否定した。従来の中立的な立場を転換し、中国と権益を争う東南アジア諸国の支持を明確にした。違法な活動に関わる中国企業などへの制裁へ環境整備を進める。
 中国は新型コロナウイルスへの対処に追われる周辺国の間隙を突く形で南シナ海での勢力圏を伸長させている。米国の立場転換はその動きを食い止めるのが狙いで、南シナ海での米中対立は新たな段階を迎えた。
 ポンペオ米国務長官は13日の声明で「世界は中国が南シナ海を自らの海洋帝国として扱うのを認めない」と明言。南シナ海での領有権を巡る中国の主張を否定した2016年7月のオランダ・ハーグの仲裁裁判所の判決に「米国の立場を一致させる」と強調した。
 今回の声明は判決から12日で4年を迎えたのにあわせて出した。南シナ海を巡っては、これまで米国は当事者に国際法を尊重した平和的な解決を促してきた。ポンペオ長官はフィリピンやベトナムなど中国と海洋権益を争う国を支持し、中国の主張を初めて全面否定する立場を明確にした。<了>

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さて、アメリカはトランプ政権が対中国強硬姿勢を見せてくれておりまして、私などは結構なことだと思っているのですが、しかし、それもこれも「来年はどうなるのか?」ということでありまして、もしこれでバイデン氏が大統領になるならどうなって行くのだろうかと、それが心配になるのですが、どうなりますでしょうか・・・。
そして肝心のトランプ氏が、もし「対中国、強硬姿勢より柔軟姿勢の方が再選には好都合だ・・・」などと判断するなら、いきなり「やめた!」と言い出しかねない人ですので、それもまた心配なことでもあるのです。

いずれにしても今現在の状況は、日本にとってはずいぶん好都合な状況になっておりますので、ここで一番「尖閣に自衛隊を常駐させる」などという思い切った戦略転換を図ったらいいのでないかと、単純にはそう思えるのですが、もちろんことはそんな簡単ではないのです。

いずれにしましても、日本はなぜにこんなにスルーなのか、訝しむしかないのです。
どこかのテレビ局がこの問題について取り上げて国民に広く周知させて欲しいのですが、マスコミはほぼスルーという。そして野党政治家も。

マスコミは「それどころじゃない。そんな問題では視聴率も取れないし部数も伸びない。今はコロナだ、コロナだ、コロナだ!」ということなのでしょうか・・・。

う~む・・・、それが不思議だ・・・。

ご紹介まで。

7月18日(土)

【原爆投下、トルーマンも拒否できず…】

もしコロナ禍がなければ今日から日本中の生徒は夏休みに入っているはずだったのです。
そしてそろそろ梅雨明けも近い、夏目前の7月18日という日だったのです。
そして広島・長崎では「75周年」を迎える夏、8月がもうすぐ来るのです。

そんな今日、とても興味深い記事がJBpress誌にUPされておりましたのでご紹介したいと。

◆JBpress◆
原爆投下、少しは反省し始めた米国の民度
~広島、長﨑75周年を迎えて米国で問題作相次いで出版~

(高濱 賛 2020.7.18.)
■原爆投下を支持する米国民は年々減少
 史上初、そして今のところ唯一の原爆投下から75周年が近づいている。
 1945年8月6日ヒロシマ、8月9日ナガサキ。投下直後の死者数は米国の発表では21万人とされている。
 この日を迎える日本人と米国人の心情は大きく異なる。
 米国人の大半は今もなお米国の原爆投下を多くの米将兵や日本人の犠牲者を出さなかったのだから正しかったと考えている。
 それに対し、日本人の大半は米国の蛮行を今なお憎んでいるか、というとそうでもなさそうだ。
「原爆許すまじ」という言葉は風化はしない。だが米国への憎しみを露骨に表す日本人は少ないように見える。
 筆者がかって広島平和記念資料館を訪れた時、意図的に外国人向けのガイドツアーに参加したことがある。
 その日本人女性ガイドは最初から最後まで誰が原爆を投下したか、を言わなかった。
 ガイドを終えたその女性にその理由を聞いた。

「それが誰かは皆さんご存知でしょうし・・・。私たちのメッセージは『原爆許すまじ』ですから」と真顔で答えた。
 そう言うように指示されているのだろう。
「外国人客でそういう質問する人はいますか」と聞くと、「時々あります。中国やロシアから来た方です」とすらりと答えた。
 この時、同行した米国人の知人(中年白人男性)にこの話をすると、こうコメントしていた。
「日本人は原爆を投下した米国に対しての怒りや憎しみを一生懸命、押し殺しているように見える」

 米ジャーナリストのオリビア・ワックスマン氏は『タイム』誌に原爆投下とその後の日米関係の現状についてこんなふうに問題提起をしている。
「米国は広島、長崎に原爆を投下し、多くの罪のない民間人を殺戮したにもかかわらず、今日米は史上稀に見る同盟関係を結び、それを強化しているのはなぜか」
(https://time.com/5358113/hiroshima-nagasaki-history-reconciliation/)
 同氏は記事の結語として、日米関係研究の一人者、米外交問題評議会のシーラ・スミス上級研究員の以下の言葉を引用している。
「原爆投下が正しかったかどうかという議論は外交関係上はすでに決着がついているかもしれない」
「だが原爆投下が正しかったかどうかというモラル上の問題は引き続き存在するだろうし、私は永遠に決着はしないだろうとみている」

 日本人の84%、米国人の87%は緊密な日米同盟関係を支持している。その一方で米国人の「原爆投下正当論」は年々減少している。
 65歳以上の米国人の10人に7人は「原爆投下の正当性」を支持しているが、30歳未満で支持する人は53%。
 30歳未満の米国人は、真珠湾攻撃を「だまし討ち」とは書かなくなった歴史教科書で育った世代だ。

[…略…]

 トルーマン大統領の驚きと戸惑い。知らず知らずのうちに軍部や側近たちの敷いた路線に乗せられて、気づいた時には退路を断たれていく様子が描かれている。
 総額20億ドル、関係した人の数10万人余とされる「マンハッタン計画」が生み落とした原子爆弾という「鬼っ子」は広島、長崎に落とされる宿命から逃れられなくなって行くのだ。
 ルーズベルト第32代大統領の急逝で大統領に昇格したトルーマンに原爆開発に関するトップシークレットについて最初に報告したのはヘンリー・スティムソン陸軍長官。
 その後、詳細に説明したのは、24ページの極秘文書を手にしたグローヴス少将だった。

「大統領は『私は文書を読むのが嫌いだ』とグローヴス少将に言った。『大統領閣下、これ以上、簡素に要約できる文書はありません。それだけ(マンハッタン計画は)壮大なプロジェクトなのです』」
「少将は45分間にわたって原爆開発の経緯を説明した。少将はソ連が過去2年間にわたり、米国の原爆に関する極秘情報を盗み出そうとしていることも付け加えた」
 その後、追い打ちをかけるように、グローヴス少将はトルーマンに日本への原爆投下計画が進められていることを報告する。

 トルーマンは日記にこうしたためている。
「原爆は日本の軍事施設や将兵を標的にするもので、女や子供は標的にはしない、との報告を受けている」
 ところが実際には原爆は軍港や日本軍司令部ではなく、広島市の中心地、T字形の橋(相生橋)を目標に投下された。
(原爆を投下したB29爆撃機「エノラ・ゲイ」のポール・ティベッツ機長は「今度の戦争でこれほど完璧な標的はこれまでになかった」と回顧している)

<以下略>

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トルーマンはなぜ原爆投下にゴーサインを出したのか・・・。

「仕方ない流れだった・・・」というしかないような事情だったのでしょうか。

何もかにもが「仕方ない」事情だったように思えるのです。

日本がアメリカと全面戦争に陥ってしまったことも、誰が悪かったのかとか、誰のせいだったのかとか、どの時点でならリターンできたのか、などなど色々と振り返ることはできるのですが、しかし、全体としては「もうどうしようもなくそこへ行き着かざるを得ない」ようなこととしてそれが出来きたったのでないかと。
そう言うしかないような気がするのです。

もう、「それが定めであった」というような。

そしてトルーマンも、気が付いたら自分がその命令書にサインするしかないような立場に立っていたのでしょう・・・。

あの第二次世界大戦と太平洋戦争は、誰にとっても何においても、もう「どうしようもなくそこに行かざるを得ない事情」においてそうなっていたのだろうと思えるのです。(もちろんヒトラーという突出した代表者はいたにしても、です)

あの2発の原爆投下も、もうどうしようもなく、開発されざるを得なく開発され、そしてもうどうしょうもなく落とさざるを得なくなって落とされたのでしょう・・・。

トルーマンだけが悪いのでなく、米軍中枢部だけが悪いのでなく、もちろん開発した科学者が悪いのでもなく・・・。

歴史というのは、ときにそういう「不可避的にそうならざるを得ない事情」において大きな出来事が生じ来たることがあると、そう理解しなければならないのであるかもしれないのです。

そうなると、ひょっとすると「これからも」、つまり未来においてそういう事態が生じて来ないとも限らないと認識しておくことも大事なことかもしれないと。

中国があたかも当時のドイツのような振る舞いをしている今、そういう危惧も生じるのを禁じ得ないのです。

ご紹介まで。

7月17日(金)

【尖閣防衛を考える】

ジャーナリストの長谷川幸洋氏と数量政策学者の高橋洋一氏の動画チャンネルがあるのですが、そこに前統合幕僚長だった河野克俊が招かれての「防衛問題を考える」特集があったのです。

なかなか聴きごたえのある優良な番組でしたのでご紹介したいと。

◆長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル◆#10
『中国・香港問題、敵基地攻撃能力議論と尖閣諸島防衛』
ゲスト:河野克俊(前統合幕僚長・元海将
(2020/07/14 約56分)

話を聴く限りでは、どうも日本側の最高責任者である安倍首相本人の「考え」が明瞭明確に発信されていないようでありまして、皆さん安倍首相が何を考えているのか「訝しんでいる」という具合だったのです。

つまりは、「尖閣は断固守る!」という固い決意なのか、あるいは「中国の出方によってはもう取られても仕方ない…」というような柔軟な発想なのか(もちろんその考えの是非は別ですが)、それが分からないということのようなのです。

高橋氏も、「以前は明確に守ると言っていたのだが、最近はなにも言っていないのでよく分からない」と。
そこへもってきて習近平主席国賓で招聘することを今でも「断固実現するぞ」と思っているらしい2F氏が幅を利かせておりますので、ひょっとすると安倍首相は反中スタンスと親中スタンスの間で板挟みになって揺れている、というようなことかもしれないのです。

そういうことでありまして、国家の政治指導者が明確な意思を示さない限り、おそらくこの問題はウヤムヤのうちに「ついに取られたか…」という結果になって行くのだろうと予測されるのです。
なぜなら相手側には「断固たる意思」がありますので。

私は、もし日本国民の総意が、「戦争(武力行使が不可避)になるなら尖閣は中国に取られてもいい」と思っているなら、それならそれでもいいと思うのです。
「尖閣を守るために戦争しなければならないのなら、そんな犠牲を払ってもまで守る必要などない」と、そう国民の多くが思うのなら、それが仮に間違った判断であれ何であれ、とにかく「民意こそ主権者」という観点からするなら、政治はそれに従わなければならないのですから。

で、もし安倍首相が、(日本国民は尖閣であれ竹島であれ、もう国土防衛になどに価値を見出していないのだ。とにかく戦争だけはしたくないと思っているのだから、もう毅然として中国に立ち向かうことなどできる訳がないのだ。よって尖閣を断固守ることなど無理だ」と考えて、それで諦めているとするなら、それもまた十分分かる話なのです。

それは要するに国民の過半数が、マスコミと野党によって「何が何でも戦争反対!」という価値観に洗脳されているという現状を冷静に見るなら、もう「そうだよね・・・」と納得するしかないのだろうと。

中国は「戦争?武力行使?当たり前でしょ・・・」と考えているのです。
そんな彼らに対抗して、「戦争?ダメダメ!」と叫んでいる日本が尖閣など守れる訳ないのです、元々。

そういうことでありまして、もし日本国民が目を覚まして、野党とマスコミの一大「戦争反対キャンペーン」の愚を分かって、目覚めて、「不正義と邪悪には断固戦うのだ」という強い国家意思をもつようなことになるまで、もう無理なんだろうと思うのです。
なにせ憲法一つ変えられないのです。

そういうことでありまして、早晩、中国は尖閣を強奪するでしょう。日本国民はそんな時、「なぜアメリカは守ってくれないのだ!」とか言ってアメリカの無責任を非難するのでしょうか・・・。

「じゃあどうやって日本国民の目を覚まさせることができるのか?」

まことに難しい問題であるなと・・・。

ご紹介まで。

7月16日(木)

【来るべき時代…】

❝深遠で哲学的な問い、すなわち、どこの学校へ行くのか、どこに就職するのか、誰と結婚するのか、といった人生の中で最も重要な決断において、人間ではなくアルゴリズムが決めるようになる可能性がある。哲学的には、これは我々の時代の本当に大きな問題である❞

上記は現代世界で最も先鋭的な「知の巨人」としてしられるユヴァル・ノア・ハラリ氏の言葉です。

◆Newsweek◆
ユヴァル・ノア・ハラリ×オードリー・タン対談(1/3)──「ピンクのマスクはカッコいい」、誰もがルールづくりに参画できる社会の到来
(湯川鶴章 2020.07.15)
エクサウィザーズ AI新聞(2020年7月12日付)から転載

イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏と、最先端のコロナ対策で一躍世界の注目を集めた台湾のIT推進大臣、オードリー・タン氏。私が個人的に今、最も注目している二人の知の巨人だ。この二人によるAIや民主主義の未来に関する対談が、RadicalxChange財団の手で実現した。過去から未来を読むハラリ氏と、テクノロジーの現場から未来を読むタン氏。非常に多くの示唆を含む対談になっているため、二人の許可を取って、対談内容をすべて和訳して掲載することにした。

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◆Newsweek◆
ユヴァル・ノア・ハラリ×オードリー・タン対談(2/3)──母親より自分のことを知る存在にどう対処すべきか
(湯川鶴章 2020.07.16)
<歴史学者ハラリ氏と、台湾のIT推進大臣タン氏による対談の第2回。アルゴリズムに脳や心をハッキングされる脅威には、透明化と複数の視点で対抗できるとタン氏は指摘する>

❝私たちが21世紀に直面し、今後ますます直面するであろう大きな課題は、今、人間をハックする技術があるということ。それらの技術が、今後われわれの欲望や感情をますます操作する可能性があるということです

・人間は、人間の脳の中で何が行われているのかを理解するための、生物学や脳科学の知識を十分に持っていませんでした。結局、人間の脳はブラックボックスで、スターリンや毛沢東やヒトラーのような人でさえ人間の脳の中で何が起こっているのかを本当に理解できませんでした

・しかし今、コンピュータ科学のブレークスルーとともに生物学の分野でもブレークスルーが起こり、このブラックボックスを開けようとしています

・繰り返しになりますが、人間をハッキングする完全な能力、それはまだ未来の話です。私たちはまだそこには到達していませんが、ここ数年で起きていることは憂慮すべきことです。最近のアルゴリズムやアプリ、デバイスが、実際には既に人間をハッキングしているのです。世界で最も賢い人たちが、どうすれば大衆の感情のボタンを押せるのかという問題に取り組んでいます

・もう一つ。私たちはこれまでにも、ある意味でこのような存在を持っていました。母や父、教師などです。私の母は、私が14歳の時、私がゲイであることを知らなかったかもしれませんが、私自身気づいていない私自身のことをたくさん知っていました。

・しかし、母は私のこと一番に考えた上で、そうした情報を活用してくれました。過去何千年もの間、人類はこうした有益な親子関係を築いてきたのです

・ところが私たちは突然、実際には母よりも遥かに私のことを知っている、全く新しい種類の「存在」を作り出しているわけです。しかもその「存在」であるAIのメンターと私が、どのような関係性になるのか。そのことについては、文化的、歴史的な事象で参考になるものが全くないんです

・私はこの件に関して、ディストピア的、ユートピア的なことを言いたいわけではなく、ただこの新しい技術からどのような関係性が生まれてくるのか、歴史学者として非常に興味深く感じているということです

・なぜアルゴリズムがこの人を起用したり出世させたりするのか、党員のだれも理解できないままにアルゴリズムを信頼する。いずれそんな時代になる可能性があるように思います

・そしてついにはアルゴリズムが党を支配するようになります。ある日、党のトップがはたと気づきます。 「どうしよう。やり過ぎだ。もはやコントロールできなくなった」。気づいたときは、もはや手遅れ。アルゴリズムが下級官僚を全員任命してしまっています。

・この種のアルゴリズムによる乗っ取りは、ロボットの反乱のSFシナリオよりも、はるかに可能性が高いと思います。また実際には、民主主義政権よりも権威主義政権の方がアルゴリズムによる乗っ取りが、はるかに簡単に起こります❞

***************************

ハラリ氏の対談相手は、これまた今回の新型コロナウイルス問題で世界に衝撃的なデビューを果たした台湾のIT推進大臣、若き天才オードリー・タン氏なのです。

そして私にとって衝撃的だったのが、タン氏がLGBTで女性になっていたことなのです。

私は昨年の段階でハラリ氏がやはりゲイであることを公表していることを知って驚いたものなのですが、ここではゲイである男としてのハラリ氏と、女性のいで立ちで現れたタン氏とのハイレベルな知性的対談が行われていたことに、また違った意味でも衝撃を受けたものなのです。

時代は、明らかに近未来になっていたのです。

それにしてもハラリ氏の指摘する「人間をハックする技術」がもうすぐそこまできているということなのです。

これまでは単に「ビッグデータの活用」などという表現でお気楽にそれを受け止めていたのですが、実はそれが深刻な課題を孕んでいることにおそらく政治家が全然気が付いてもいないということこそ、大問題なのでないかと思われるのです。

果たして日本の与党野党のお気楽国会議員たちは、こういう知の巨人たちが感じている「来るべき時代への深刻な課題」をどこまで知っている、分かっているのだろうかと・・・。

いや、話が逸れましたが、ご紹介まで。

7月15日(水)

【バイデン氏の闇、か…】

以前からここでご紹介している及川幸久氏の動画にとても興味深い話がありましたのでご紹介したいと。

【米大統領選】バイデンの中国政策はズバリ!中国との共存!【及川幸久−BREAKING−】


「なぜ中国共産党が南シナ海を侵略(浅海を埋め立て人口島を作りそこに軍事基地を建設した)することができたのか?」
「なぜオバマ政権はそんなことを許したのか?」

「それはオバマ政権で中国担当責任者の人間がそれを許したからだ」

「誰がその責任者だったのか?」

「副大統領だったバイデンだ」

「中国共産党はそのバイデンと取引したのだ」

「どういう?」

「それはオバマ政権の副大統領であったバイデンが実弟や息子(ハンターバイデン)を使って中国から巨額の資金を引き出して受け取る、そしてその見返りに中国共産党のその政策を支持することを約束したということである」


いやいやいや、もしこれが事実ならバイデン氏はトンデモナイ悪辣な政治を行っているということなのです。
まさに、「バイデン、許すまじ!!」という。

もちろん、「それが事実なら」という仮定の上でのことではあるのですが。

ただ、どうにも「本当なんじゃないの?」という疑念が拭えないのです。

その話は香港の実業家エルマー・ユエン氏の話であるのですが、このユアン氏の話は以下のように続くのです。

【現中国は国ではなく巨大権力を持つマフィアファミリー】中共「非合法組織化」の動き始まる!香港実業家(エルマー・ユエン氏)の戦略


・中国は「国家」ではない
・中国という「国家」は「ファザード(飾り物)」に過ぎない
・国家もファザード、憲法もファザード、誰も信じていない
・全てをコントロール(支配)しているのは共産党である
・その共産党をコントロールしているのは誰なのか
・それは江沢民一族のような巨大な権力をもつファミリーである
・そういうファミリーが50ほどある
・そのファミリーのボスはいうならマフィアのボスのようなもの
・いうなら共産党9000万人の党員は暴力団の構成員
・14億人の国民はその奴隷のようなもの
・それが中国の正体である
・中国をまともな「国家」であると思うことは間違いである

だから私は中国共産党を滅ぼすために立ち上がったのである。


というような。

ユエン氏の話はなかなかに説得力があるのです。
そのユアン氏の話なのですから、「証拠がない」というだけで簡単に切り捨てる訳にはいかないとでないかと・・・。

なぜなら当時のオバマ政権がこの中国の南シナ海の軍事基地化という「暴挙」をなぜ見許していたのかが、合理的に説明できないからなのです。

あれはあまりにも不可解な出来事だったのです、当時から。

やはり外交音痴のオバマ氏はバイデン氏に「対中政策は丸ごと全面的に委ねていた」としか考えられないのです。

それをいいことにバイデン氏は裏取引をしていたという・・・。

果たして真実が奈辺にあるやら定かではないのですが、それでも、バイデン氏にはこういう疑惑がある、ということまでは知っておくべきことなのでないかと。

さて、そういうバイデン氏がアメリカの大統領に就任するのは、アメリカにとって、そして日本にとって、世界にとって幸せに通じることなのであろうかと。

アメリカの良識ある国民はみなトランプ氏のクレイジーさに辟易しているのです。
そうなら、見た目も善良でまともで真面目そうなバイデン氏の方が、多少古ぼけてはいても断然いいのでないかと思うことは自然なことなのでしょう。

そして何より、「中国と敵対するより仲良くやって行く方が平和的でいいのでないか?」と思うことも、良識あるリベラルな人たちには受け容れやすい構図でしょう。

しかし、アメリカ国民はこういうバイデン氏の「闇」に近い疑惑を知っているのでしょうか。
あるいは、「そうかもしれないが、もう今のバイデンは昔のバイデンじゃないので大丈夫」と思っているのでしょうか。

さて、エルマー・ユエン氏は、「中国共産党は1989年には滅んでいるべきものだった、ソ連やその他の共産主義諸国と一緒に」と言うのです。
それが「アメリカがそれを延命させたのだ」というのです。
「ビジネスを優先させたのだ」と。
そして「もう中国共産党は滅ぶべき時期だ」として、闘う意思を闡明にしたのです。

私は「全面的に」ではないのですが、それでもユアン氏にエールを送りたいのです、頑張れと。

そしてアメリカ大統領選では、やはりクレイジーでトホホな人物ではあるのですが、トランプ氏に勝利してもらいたいものであると。

まだ可能性はあるようなので・・・。

【参考】
エルマー・ユエン氏がポーランドのテレビ局のインタビューを受けている動画

ご紹介まで。

7月13日(月)

【空売りの件】

「ブラボー、正しいことだ!空売りは違法にすべきだ」とツイッターで評価(byイーロンマスク)

テスラが時価総額でトヨタを抜いたというニュースがあったのですが、テスラが今一番勢いのある企業であることは間違いないようです。

「米電気自動車(EV)専業メーカー「テスラ・モーターズ」が、7月1日に時価総額が約22兆円に達し、トヨタ自動車を抜き自動車業界トップに躍り出た」

そんなテスラの社外取締役の1人として日本人が抜擢されて活躍しているというニュースがありましたのでご紹介したいと。

「テスラ」が時価総額トヨタ超え 巨額の報酬を得た日本人とは?
(文春オンライン 森岡 英樹 2020/07/13)

米テスラ、GPIF元幹部の水野氏を社外取締役に
(日経新聞 白石武志 2020/4/24)

冒頭の「空売りは違法にするべきだ」という言葉はイーロンマスク氏の言葉なのですが、私はそれに対してとても賛意を表したいのです。

私も思っているのです、空売りはどうにもダメ手法なのでないのかと。

かつてリーマンショックの時にも、空売りで空前の巨額マネーをゲットしたプロ投資家たちがいたのですが、それは映画化(『マネー・ショート』)されてもいるのですが、単純に野次馬的にそれを眺めているなら、それはそれでドラマチックな物語でいいのでしょうが、しかし、悪質であることも多いのです。

そういえば、アメリカでも歴史ある資産家の名家である「ケネディー一族」も、その大富豪になる過程では世界恐慌時代に空売りで巨額の資産を得たことがきっかけであるということも、一部有名な話でもあるのです。

テスラが空売りに悩まされていたことは知りませんでしたが、とにかく空売りは「やられた方にしたら恨み骨髄」という結果を招くものですので、なんとかした方がいいと思うのです。

そういえば、かつて東南アジアが通貨危機に見舞われたときにも、ウオール街のプロ投資家たちはこの空売りで巨額の利益を手にしていたのです。

それに対して各国政府は対応を迫られたのですが、東南アジアの国々は資金力において対抗することもできず、なすがままに自国通貨が暴落して行くのを眺めるしかなかったのです。

有名なジョージ・ソロスやジム・ロジャーズあたりも空売りで巨額マネーを手にしていたのです・・・。

【参考】2019年の市場はどうなる?悪者扱いの「空売り」の歴史に学ぶこと
(小出美奈 2019.02.04)

いや、もちろん「空売り」にも一定のプラス意味はあるのでしょうが、それにしても基本的にはよろしくない手法のような気がするのです。

これを何とか規制することはできないものかと。

そういう意味で、水野氏がGPIFで行っていた「空売りに使われる外国株の貸し出し停止を決める」というような手法が、一般化されて空売りのダメさを緩和するような法律ができないものかと。

いや、私もまったくの素人なのであまり深いことは分かっていないのですが。

ご紹介まで。

7月11日(土)

【トホホな人物orトホホな政策】

何やらトランプ氏の実の姪ごさんが暴露本を出版したとかで、全米が憂鬱な気分に包まれるような感じです。

ボルトン氏の暴露本はそれほどトランプ氏にダメージを与えなかったような感じですが、こちらはちょっと深刻なダメージを与えそうな気配です。

その件でちょっとした紹介記事がありましたのでそれを読んだのですが、トランプ氏が知られている以上にどうしようもなくダメダメ人格であることが完璧に暴かれてしまっているという。

私はこれを知って特段に驚くようなこともなく、(まぁ、きっとそれは真実なんだろうな・・・)というくらいの感想しかもたないのですが、問題はこれが再選への大障害になることは間違いないだろうなということなのです。

いやいやいや、ボルトン氏の暴露本といいメアリー女史の暴露本といい、どこまでトランプ氏は「知られたくない真実」を暴かれて行くのでしょうか・・・。

さて、そういう記事を読んだ後で、私はいつものwebチェックで吉崎氏の溜池通信を読みに行ったのですが、そこでは逆にバイデン氏の方の政策実態がレポートされていたのです。

そして吉崎氏の結論的感想が、
「・・・ということで、ワシ的にはあんまりバイデン新政権を歓迎したくはありませぬ。少なくとも経済政策の面で優れているとは思えない。しかるに「ひるあんどんのジョー」は、見かけ以上に抜け目のない仕事をしているという点には注意が必要でしょう。自分は目立たなくていい。トランプを自滅させればそれでOK、という戦略は、概ね正しい方向であると思います。」
と述べているのです。

そして私もおおむね似たような感想をもつのです。

そうなると最終結論が、「政策的にトランプ氏の方がましだが、人物的には圧倒的にバイデン氏の方がまし」ということになるのです。

アメリカ社会は分断されているとよく言われるのですが、分断というならこっち分断(人物か政策か)の方が圧倒的に重大な分断であろうなと。

いずれにしてもこの分ですとさすがにもう、秋11月の本選ではトランプ氏は勝てそうもないのです・・・。
(もちろん、それ以上に何か別件の事情でも生じるなら話は別なのでしょうが、今のところはという条件付きで)

私も、(それが正解、ということなんだろうな・・・)と思うしかないのです。さすがにここまでクレイジートランプの正体を見せつけられるなら、「政策>人物」という訳にいかなくなるのです。つまりは、「老いぼれ昼あんどんジョー」の方がまだましだと・・・。

できればトランプ氏に2期目もやってもらった方が世界にとっては(そして日本にとっても)ベターなのだろうとは思うのですが、もう仕方ないと。

◆溜池通信◆
Diary 「ひるあんどんのジョー」New!!

◆JBpress◆
身内からの暴露本で万事休す、トランプ大統領
(高濱 賛 2020/07/11)
■「叔父は社会病質人格障害者です」
 ドナルド・トランプ米大統領のただ一人の姪、メアリー・トランプさん(55=臨床心理士、博士)の「Too Much and Never Enough: How My Family Created the World’s Most Dangerous Man」(尽きることなき貪欲さ:わが一族はいかにして世界一危険な男を作り上げたか)が14日、全米各地の書店の店頭に並ぶ。

 メアリーさんは、トランプ大統領の長兄、フレッド・ジュニアの一人娘だ。

 メアリーさんの本には2つの「爆弾」が装填されている。

 一つは、臨床心理士として叔父トランプ氏が「社会病質人格障害者」(Sociopathic Tendencies)であると断定した「カルテ」。

 もっともこれまでにも精神科医や心理学者ら37人が共同研究・執筆し、トランプ氏の不安定な精神状態が異常なことを指摘した本は出版されている。

 しかし、それらの診断材料はすべて公表されたデータ。どこまでも一歩離れたところで診断した「カルテ」だ。

 一方、大統領と濃い血でつながる姪の臨床心理士の「カルテ」とは迫力が違う。

[…略…]

 今一つの「爆弾」は、祖父フレッド・シニアの遺産相続をめぐってトランプ氏が税金詐欺と脱税を率先して行っていた「事実」を立証する納税申告書を含む財務記録文書。

[…略…]
 
 危機感を感じたのか、トランプ氏は判決直後、ツイッターで激しく反発した。

「これは明らかに検察による職権乱用であり、大統領に対するハラスメントだ」

「裁判所はこれまで(歴代大統領に対して)広範囲な敬意を払ってきたが、私にはそうしていない」

 大陪審は召喚した財務記録については秘守義務がある。審理が長引くことは必至なことからその全容が11月3日の大統領選までに明らかにはなりそうにない。

 そこでメアリーさんの本が暴露した財務記録文書が重要な意味合いを持ってくる。

 本で指摘されたトランプ氏の「カネの流れ」で、大陪審に開示される財務記録の内容が透かして見えてくるからだ。

 大統領選までに大陪審がいくら秘守義務を守っていても、有権者はメアリーさんの本でその中身が手に取るように分かってしまう。

 有権者の間に「トランプは脱税・税金詐欺の常習犯」といったイメージが広がるのは避けられそうにない。

特ダネ報道のニュース源はメアリーさん
 実は、この「カネの流れ」を示す納税申告書や遺産相続に関する記録を最初に暴露したのはニューヨーク・タイムズ(2018年10日付)だ。

「1990年代、トランプ大統領があからさまな詐欺行為による税金対策に加担し、両親から受け取った資産を水増ししていた」

 ニューヨーク・タイムズは、某筋から入手した膨大な資料と関係者の証言を得て「トランプ一族の巨額脱税の全貌」を特報した(現在もニュース源は秘守している)。

(https://www.nytimes.com/interactive/2018/10/02/us/politics/donald-trump-tax-schemes-fred-trump.html)

 今回メアリーさんは本の中で、そのニュース源が自分だったと告白している。

 無論、ニューヨーク・タイムズ報道をなぞる形でその全容を暴露している。

一、トランプ氏はよちよち歩きの子供の頃から今日に至るまで、父親フレッド・シニアから現在の価値に換算すれば、4億1300万ドルに相当するカネを得ている。

一、そのカネの多くは父親の脱税を手伝ったことから得たものだ。トランプ氏は兄弟、2人の姉と一緒に画策して数百万ドルの贈与を偽装するためにダミー会社まで設立していた。

 また父親が数百万ドルの課税控除を受けられるように手伝ったり、納税申告上、不動産資産を何億ドル分も低く見積もる工作もしていた。

 税務専門家によると、脱税はすでに時効が成立しているが、税金詐欺に対する民事訴訟には時間の制限はないという。

 司法省の申し渡し事項*2では、現職大統領は訴追されないが、トランプ氏が再選に失敗し、市井の人になれば、直ちに訴追されることになる。

 大陪審での審理はおそらく「百日裁判」になる。主要メディアの司法記者F氏は筆者にやや控えめにこう解説する。

「今回の最高裁判決が実際にトランプ氏にどのような影響を与えるかはまだ即断できない。長い審理になるだろうし、11月3日以降、来年の新大統領就任以後もずっと続きそうだ」

「ただ一つ言えるのは、再選を狙うトランプ氏にとっては、またまた新たな心配の種が増えたということだ」

「最高裁がゴーのサインを出したことで、トランプ氏とその一族はこれから数え切れないほどの法廷事案に直面するに違いない」

コロンビアで文学修士

アデルファイで臨床心理学博士

 メアリーさんの本に装填されている、もう「一つの爆弾」は「トランプという男は世界で最も危険人物だ」と臨床心理学的診断を下した「カルテ」の中身だ。

 メアリーさんはトランプ大統領とは血でつながる唯一の姪。アル中の父親フレッド・ジュニアとドナルド氏との不仲、祖父の築き上げた「トランプ不動産」の跡目争いでドナルド氏が見せた強引なやり口には憤りすら感じていたのだろう。

 だがメアリーさん自身も遺産相続では、トランプ氏と守秘義務を取り交わしてまで莫大なカネを得たはずである。

 そうした経緯があるにもかからず、今なぜドナルド氏の不正を暴こうとしたのか。

 大統領選を前に有権者に「叔父な危険な男を再選させてはならない」と警鐘を鳴らしたかったのか。あるいは印税を得るためか。

 いずれにせよ、メアリーさんは、父親フレッド氏を亡くした16歳の頃から叔父を定点観測してきた。

 自分の目と耳だけではなく、トランプ一族の人たちの記憶や実体験を聴取しながら専門の臨床心理学の知恵と経験を酷使して診断書を書き上げた。

 メアリーさんの臨床心理学をはじめとする知力はすでに立証されている。

 メアリーさんは優秀な成績で高校を出るや、名門タフト大学に進み、その後コロンビア大学院で文学修士号を取得している。

 メアリーさんがこの本の中で明かしているが、叔父のドナルド氏のように不正入学でペンシルバニア大学ウォールトン校(通常経営大学院として有名だが、トランプ氏が在籍したのは学部)に入ったのとは大違いだ。

 コロンビアでは米文学の巨匠、ウィリアム・フォークナー研究(特にフォークナーの小説に登場する架空の家族コンプソン・ファミリー研究)に没頭する。

 その後、メアリーさんは、アデルファイ大学大学院で臨床心理学を学び、博士号を取得している。

(臨床心理学を学ぼうとしたのは、フォークナーの描くコンプソン・ファミリーの家族崩壊・機能マヒの研究に触発されたのではないか、と見られている)

 大学院では発達心理学、トラウマ、精神病理学を講義する傍ら、カウンセリングやストレス解消などを指導するライフコーチング・クリニックを経営している。

金正恩やプーチンにおもねる理由
 その臨床心理士が本書に記述したトランプ大統領のメンタル(精神、心、心理)は以下のようなものだ。

一、ドナルド氏は、幼少期に母親マリー・アンさん(極度の精神病を患っていた)が他界しため、母親の愛情を「喪失」していたのに加え、起伏の激しい父親フレッド・シニアの厳格なしつけと溺愛を受けるという異常な環境に育った。

一、父親は長男のフレッド・ジュニア(メアリーさんの父親)よりも何でも言うことを聞くドナルド氏を可愛がった。

一、ドナルド氏はそうした父親の性癖を知り、父親の顔色をうかがう狡猾さを幼い頃から習得し、失敗した責任はほかの人間に擦り付け、自己防衛のためには平然とウソをつくようになった。

一、学校の成績は思わしくなかった。中学や高校の時には宿題は姉のマリアンヌさんにやってもらっていた。

一、大学はフォーダム大学に入ったが、その後名門ペンシルバニア大学に編入した。大学受験に必修なSAT(学習基準標準試験)を他人に受けさせて不正入学した。当時は写真付き受験生IDなど必要なかった。代替え受験した学生には高額の謝礼金を払った。

一、ドナルド氏のこれまでの生きざまを臨床心理学から診断すれば、社会病質人格障害者である。

一、叔父のような向こう見ずで無謀な指導者が出現した原因は、家族としての機能がマヒし、残虐な行為がまかり通ってきたトランプ一族の暗黒の歴史にある。

一、黒を白と言い張り、責任をすべて他人に擦り付ける欺瞞と不正を貫く叔父のような人間を作り上げたのはこの暗黒の歴史だった。

一、商売上、ドナルド氏に助言を与えたのはトランプ家の顧問弁護士、ロイ・コーン*3だった。ドナルド氏の不誠実さや感性の欠如はまさにコーンの影響を受けたといえる。

*3=当時有名な弁護士だが、弁護士になる前には「赤狩り」で名をはせた反共主義者、ジョセフ・マッカーシー上院議員の秘書として働いたことがある。

一、ドナルド氏が大統領になってから北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長やロシアのウラジーミル・プーチン大統領といった権力主義者に惹かれるのはコーンの影響大だ。

 だからドナルド氏はこうした権力主義者におもねり、おべっかを使って接近したがるのだ。深層心理の中に権力者指向があるからだ。

一、ドナルド氏にとって成人したのちの人生は慣行化している。

 その意味ではドナルド氏が現実の社会で自己流を貫き通しつつ目的を達成する方法を解明するのは困難だ。その解明には心理学や神経物理学を総動員した本格的な診断が不可欠だ。

客引き、ペテン師、極悪人
 すでにメアリーさんの本を通読したというリベラル系ニュースサイト「デイリービースト」の編集主幹、モリ―・ジョンファスト氏はこう評している。

「メアリー・トランプ氏はトランプ大統領がいかにクレージーな叔父であるかを白日の下に曝した」

「この本を読んで、我々はトランプというこの地球上では遭遇することはないと思っていた人種に出くわした現実を思い知らせてくれた」

「トランプという男がカーニバルの客引き、ペテン師、極悪人であることを再認識させてくれた本だ」

<了>

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いやいやいや、アメリカ国民でなくとも、全世界が憂鬱な気分に打ちひしがれる暴露本の発売であるなと・・・。

ご紹介まで。

7月9日(木)

【中国の困惑】

中国ウオッチャーのジャーナリスト富坂聰氏が『現代ビジネス』誌にたいへん読み応えのある分析記事を寄稿しておりましたのでご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
習近平が「ボルトン回顧録」に激しく狼狽している…その意外なワケ
~「ガバナンス重視の国」中国の困惑~

(富坂 聰 2020.07.09)
■騒然とする「東アジアの火薬庫」
 トランプ政権で大統領補佐官(安全保障担当)を務めたジョン・ボルトン氏が記した暴露本「それが起きた部屋(The room where it happened)」が世界に衝撃を与えている。
 各国メディアがこぞって報じる一方で、ホワイトハウスからは「数多くの嘘を拡散している」(ポンペオ国務長官)との批判も出ているが、それでも超大国アメリカの本音が垣間見える内容なのは確かで、世界の注目度も高い。
 とりわけ東アジアの国々の関心は高い。東アジアは、朝鮮半島と台湾という火薬庫を抱え、アメリカの出方次第ではそこに瞬時に火が点きかねないからである。
 もちろん、日本での注目度も高く反応もさまざまだ。ボルトン氏が暴露した対中、対北朝鮮外交の実態を「既知のことで驚くに足らない」とする冷ややかな見方から、大統領のさじ加減一つで政策が大きく揺らぐ危険性を指摘する声、はたまたボルトン回顧録で日本外交の答え合わせをする、通知表を受け取る子供のような反応まで見られた。
 暴露本では、世界をあっと驚かせた米朝首脳会談の実現がトランプ大統領の選挙対策であったという内幕や、G20大阪サミットで実現した米中首脳会談において、トランプ大統領が習近平国家主席に「アメリカの農産品を大量に購入し自身の再選に協力してほしい」と要請した裏話が紹介されている。またウイグルや香港など人権や民主化の絡む問題に、実は大統領が冷淡であったことも暴露されている。

 国際政治のリアリズムと言ってしまえばそれまでだが、日本人にしてみれば梯子を外されたショックは否めない。ここからどんな教訓をくみ取るべきかについては今後も議論の的となるだろう。

■中国は困惑している
分析すべき点の多い著書だが、本稿では日本ではあまり紹介されていない、「この本を中国がどう受け止めたか」ついて考えてみたい。といっても肝心の習近平政権が多くを語っていないなかでは推測に頼ることになるが、あえて断じれば中国はこの暴露本を「アメリカの劣化」ととらえたはずだ。

しかもその「劣化」をほくそ笑んで見ているのではなく、むしろ深刻に受け止め、「困っている」というのが正確だろう。

なぜ、そう考えられるのか。答えは簡単だ。「ボルトン砲」がこうも簡単に発せられるということは、現在のアメリカの権力の中枢でガバナンスの緩みが存在している証左でもあるからだ。

ボルトン氏は現在ホワイトハウスから裏切り者と呼ばれているが、それでも2018年3月から大統領の隣にいて世界で最も重要な外交交渉の場面の多くに立ち会ってきたことは間違いないのだ。その人物が暴露本で大統領に不利になる内容を世界に目にさらしてしまうということは、組織の視点から明らかな「綻び」であり、「弱さ」の象徴である。

なぜ、そう考えられるのか。答えは簡単だ。「ボルトン砲」がこうも簡単に発せられるということは、現在のアメリカの権力の中枢でガバナンスの緩みが存在している証左でもあるからだ。

ボルトン氏は現在ホワイトハウスから裏切り者と呼ばれているが、それでも2018年3月から大統領の隣にいて世界で最も重要な外交交渉の場面の多くに立ち会ってきたことは間違いないのだ。その人物が暴露本で大統領に不利になる内容を世界に目にさらしてしまうということは、組織の視点から明らかな「綻び」であり、「弱さ」の象徴である。

一方、中国という国は、ガバナンスの強化を非常に重視している。四中全会(第19期中央委員会第4回全体会議)でも大々的に取り上げている。

事実、これまで海外から習政権の内情を暴露する人物は出てきているが、どれも権力の中枢からはほど遠く――それでも日本では盛んに引用されるのが不思議なのだが――時間の経過と事実の検証に耐えうるものではなかった。

ここからもわかるように中国は、秘密主義の国なのである。とりわけ外交問題ではその「秘密の壁」は一段と高くなる。

たとえばボルトン砲は、トランプ大統領が香港の民主化運動に興味がなかったことを暴露している。つまり香港の民主化デモは、とっくの昔に梯子を外されており、中国はトランプ大統領の言動を利用して民主派勢力にダメージを与えようと思えばそうすることができたはずだ。

しかしそうはしなかった。中国にとっては、外交交渉を秘密にしておくメリットがはるかに大切だったからだ。

<以下略>

************************

いやいや、なるほど、その通りであろうなと思えるのです。

「だからどうした?」ということなのですが・・・。

まぁ、よからぬ緊張がますます高まることになるに資する暴露本であったなと。

つまり、ボルトン氏は何を思ってこの書を書いたのか知りませんが、結果としてはアメリカをも中国をも困らせ、結局「世界にプラスに貢献する」どころか、逆にマイナスの貢献をしていることになるのでないだろうかと思える、ということなのです。

ただ、「ひたすらマイナスだけか?」というなら、そうでもなくプラスの側面も併せ持つのだろうなと。

それが、「こりゃもう秘密交渉などこれから先誰が相手であろうともするべきじゃない」として、各国首脳はこれまでよくあった「秘密交渉」というものに距離を置くようになるのだろうと。

これからの時代は、仮にボルトン氏のような暴露屋が本を出版するというようなことをしなくても、おそらく、まず間違いなくあらゆる秘密が秘密のままでいられない時代になって行くのであろうと思われるのです。(理由は色々あるのですが)

個人も、国家も、同様に、秘密が秘密のままでいられなくなるという。

そうなら、国家間の交渉事も「全てが白日の下に晒されながらの公開交渉」のような恰好で行われていかざるを得なくなるのでしょう。

しかしそれはむしろイイ事であると思われるのです。
これまでの秘密交渉によって重大な事がらが決められてきた、ということの方が良くないことであったのであって。

そういう意味で、ボルトン氏暴露本がそういう流れに決定的に大きな影響を与えたとするなら、それはそれで長期的にはプラス価値にカウントできるものであるかと。

それにしても中国政権は中国政権でダメ政権でありますし、アメリカ政権はアメリカ政権でダメ政権であるのです。
何なのでしょうかこの「二大国家」がそろってダメ政権であるという愚は。

いや、厳しい目で見るなら、イギリスであれドイツであれフランスであれどこであれ、そして我が日本ですら、「ダメ政権でない政権などあるのか?!」と問われるなら、「そんな政権は1つもない、どこにもない!」と答えるしかないような感じなのです。

そして実はそれは現代の今、という時に限ったことでなく、ひょっとしたら古代から連綿として続いている「変わらない真実」なのかもしれないのです。

「ダメ政権でない政権など、あった試しがない」と・・・。

いやいやいや、政治というものは、困難なものであるなと。

ご紹介まで。

7月8日(水)

【バイデン氏、認知症疑惑の件】

ここ数ヶ月、バイデン氏はあまり露出せず、コロナ禍を理由に自宅にこもっていたようです。

ところがそのコロナ禍の故にトランプ氏の支持率が急落し、いつのまにか世論調査せはバイデン氏がトランプ氏に対して大きくリードしてきているのです。

バイデン氏はまだ副大統領候補者も決めていないですし、これから先何が起こってくるか予断を許さないのですが、ここに来て「バイデン氏、認知症か?」という話題がアメリカで浮上してきているとか。

それについて、ワシントン駐在のジャーナリスト小森義久氏が読み応えのあるレポートを寄稿されておりましたのでご紹介したいと。

◆JBpress◆
なぜ今? 米国で囁かれるバイデン氏の認知症疑惑
~大統領選を前に民主党に突き付けられた衝撃の世論調査とは~

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)2020.07.08)
 大統領選挙を4カ月後に控えた米国の政治舞台で、民主党候補と目されるジョセフ・バイデン前副大統領が認知症なのか否かという生々しい議論が熱を帯びてきた。

 バイデン候補が3カ月ぶりで臨んだ公式の記者会見で、共和党寄りのメディアの記者による質問が、認知症を指摘するかのような内容だったことに対して、民主党寄りのメディアが「そんな問題を提起することは不公正だ」と反発した。だが、米国のある世論調査では「米国有権者の4割近くがバイデン氏はなんらかの認知症を病んでいると思っている」という結果が出ている。本格的な選挙戦を前に、バイデン氏の健康問題がにわかに浮上してきた。

■FOXテレビの記者が投げかけた質問
 11月3日の米国大統領選挙の本格的なキャンペーンが始まるのは9月からである。キャンペーンまではまだ時間があるが、共和党候補のドナルド・トランプ大統領は、全米規模の人種差別抗議のデモの広がりとともに、6月はじめから支持率が顕著に下がり始めた。

 一方、最近の一連の世論調査では、民主党候補に目されるバイデン前副大統領が支持率を高めている。接戦が予想される複数の州でも、トランプ大統領に大きな差をつけるまでになった。

 ただし、バイデン氏は新型コロナウイルスを理由に、デラウエア州の自宅からほとんど出てこない。有権者に直接接する選挙活動はきわめて少なく、記者会見はここ3カ月の間、皆無だった。だからトランプ大統領の支持率低下は、単独の“自損事故”のように評されることも多かった。

 そのバイデン氏が6月30日、自宅そばに姿を現し、有権者たちに接して、公式の記者会見に臨んだ。この会見でFOX(フォックス)テレビの記者が「認知の衰えについてテストを受けたことがあるか?」と質問した。するとバイデン氏は「いつもテストされている」と答えた。記者は明らかに医学的なテスト受診の有無について尋ねていたが、バイデン氏は日常の活動で試されている、という意味の返事をした。

 FOXテレビはこのやり取りを、バイデン氏の認知症疑惑と絡めて大きく報道した。するとCNNテレビやワシントン・ポストが、「トランプ政権や共和党を支持するFOXが、バイデン氏の認知症疑惑を持ち出すのは不公正、不適切だ」としてFOXを批判した。

 FOXは日ごろからCNNやワシントン・ポストを「民主党支援の偏向報道が多い」と非難してきた。メディア間のこの争いが、バイデン氏の認知症疑惑をめぐって燃え上がったわけだ。

■民主党に衝撃を与えた世論調査結果
 実はバイデン氏の健康状態には、米国の一般有権者も疑惑の目を向けている。バイデン会見の前日の6月29日に、大手世論調査機関ラスムセン社による、バイデン氏の認知症疑惑に関する、ある調査結果が大きく報じられた。

 ラスムセン社は、「ジョー・バイデン氏の頻繁な失言や混乱した発言は、なんらかの形の認知症を病んでいるからだという批判があります」と前置きの説明をつけたうえで、一般有権者に「あなたが見たこと、読んだことから判断して、あなたはジョー・バイデン氏がなんらかの形の認知症を病んでいると思いますか」と質問していた。回答は「そう思う」「思わない」「わからない」からの選択だった。バイデン氏に認知症の症状があると思うか? というストレートな質問である。

 ラスムセン社の発表によると、「そう思う」と答えた人が全体の38%だった。一方、「そうは思わない」が48%、「わからない」が14%となった。注目すべきは、「バイデン氏がなんらかの形の認知症を病んでいると思う」と答えた人が4割近くもいたことである。

 同調査では、「そう思う」と答えた人たちを政党支持別に分けると、民主党支持層では全体の20%、共和党支持層は66%、無党派層は30%という結果が出ていた。つまり、民主党支持者でも5人に1人はバイデン氏が認知症を病んでいると思っているのだ。

[…略…]

■間違いだらけのアフガニスタン戦争体験談
 なぜ、バイデン氏の認知症疑惑がこれほど語られるのか。それは、77歳のバイデン氏が事実と異なる発言や物忘れを頻発するからである。

 たとえばバイデン氏は6月下旬、珍しく自宅を離れ、隣のペンシルベニア州の小さな集会に出た。そのときバイデン氏は「アメリカではコロナウイルスで1億2000万人が死んだ」と発言した。だが、実際のアメリカの死者はその時点で12万人だった。また、予備選の最中にバージニア州内にいたとき、「ここノースカロライナ州では」と発言した。オハイオ州とアイオワ州を間違えたこともあった。さらには、自分の副大統領時代の体験を語るなかで、当時の大統領だったオバマ氏の名を思い出せず、「私のボスだった大統領」と言いつくろったこともある。

 とくに有名なのは、2019年8月にニューハンプシャー州での予備選関連の集会で演説した「アフガニスタン戦争体験談」である。

 この集会で同氏は次のように語った。「私は副大統領としてアフガニスタンを訪れ、米軍将兵の激励に赴いた。コナー地域では、20メートルほどの深さの谷間に取り残され敵の猛攻撃を受けている兵隊がいた。米海軍大佐がロープを伝って、その部下を助け出す場面を私は目撃した。その後、私は副大統領としてその海軍大佐に銀星勲章を授与することになった。だが大佐は、助けた部下が結局死んでしまったことを理由に勲章を辞退しようとした」。

 しかしその後すぐ、この話は多くの部分が事実とは異なっていることが判明した。バイデン氏がアフガニスタンを訪れたのは、副大統領としてではなく、上院議員としてだった。部下の救出にあたったという軍人は海軍大佐ではなく陸軍士官だった。その士官がバイデン氏から銀星勲章を受けたという事実はなかった。バイデン氏が救出の場面を目撃したという話も根拠がなかった。だが、バイデン氏は同じ話を他の場所でも何度も繰り返していた。

 こうした事例が重なり、バイデン氏には認知症の兆候が出ているのではないかという疑問が提起されるようになった。そしてついには、米国有権者の4割と目される人たちが「バイデン氏は認知症」という認識を持つまでに至ってしまったのである。

 いずれにしてもバイデン氏のこの問題が大統領選キャンペーンで主要な課題となる見通しは確実とみられる。今回のラスムセン社の世論調査は、バイデン陣営にとって厳しい逆風の材料となりそうだ。<了>

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さてアメリカ国民は、少々加齢で記憶力に衰えがみられる「後期高齢者」であるバイデン氏を本当に大統領に選んで行くのでしょうか。

それにしても「クレイジー&超エゴイストトランプ」と「老いぼれスリーピージョーバイデン」と、ほんまにアメリカ国民は究極の罰ゲームを選択させられているようでありまして、心からご同情申し上げるのです。

しかし同時にそれは日本にも世界にも深刻な影響を及ぼす重大事であり、単なる対岸の火事ではなく我がことでもあるのを知るとき、「なんだかなぁ・・・」と深いため息をつかざるを得ないのであります。

しかし仮に私たち日本人に投票権があるにしても、結局「どっちにも入れたくないわな・・・」となるのでありまして、再び「なんだかなぁ・・・」となると。

本当にもうこのアメリカ大統領選ときたら、東京都知事選のふざけた「ダメ選挙」を何百倍にもスケールアップした「超ダメ選挙」であると断じざるを得ないのです。

なんなんでしょう、このバカバカしい茶番劇は・・・。

いっそのこと選挙も「AI任せ」にした方がどれほどスッキリ合理的な指導者選びになるかと・・・。

時代はもう21世紀でありますのに、「政治の世界」だけは近世というおかしな錯誤なのです・・・。

いやいやいや、困ったことであると。

ご紹介まで。

7月7日(火)

【香港没落と東京復活】

香港問題が世界に広汎な影響を及ぼし始めているのです。

先ほど見かけたロイターニュースでは、次のような記事が。

中国、香港巡る英国の対応を非難 「重大な内政干渉」
(2020年7月7日 / 07:27 )
[ロンドン 6日 ロイター] – 中国の劉暁明・駐英大使は6日、「香港国家安全維持法」を巡り英国は無責任な発言を繰り返しているとし、英国の対応は中国の内政への「重大な干渉」だと批判した。
<以下略>
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中国共産党政権が「香港の民主化を許さない」という強い意思の下に可決した法律が、アメリカやファイブアイズを中心とする先進諸国から強い反発を受けているのです。

そういう流れの中では、これまで強力な国際金融の大きなハブとして機能してきた香港の地位が低下するのは避けられないのです。

この状況の中で、経済評論家の高橋洋一氏がきわめて建設的な提言をなされていましたのでご紹介したいと。

この中で見出しに「小池圧勝」ということがあるのですが、それは特段高橋氏がそれについてどうこう論評している訳ではないのです。

そこよりも「小池氏よ、東京の復活に大きなチャンスが転がっているのをみすみす逃すな!」ということが眼目になっているのです。

その中でも「金融英語特区」というアイデアには目を見張らされたのです。「素晴らしい!」と。

◆現代ビジネス◆
都知事選「小池圧勝」は、日本と東京の「復活への道」かもしれない
~香港の自由が失われゆく中で~

(高橋洋一 2020.07.06)
■東京の復権は「一石三鳥」になる
 5日に投開票された東京都知事選は、投票締め切りの20時ちょうどに小池百合子都知事の再選確実の速報が出る、小池氏の圧勝だった。
 目下の都民の関心は、コロナ対策である。
後で述べるように、今は第二波がきていると言っていい。前回の第一波の時、東京都は1兆円弱あった財政調整資金を使った。これをもって、各方面から既に財政規律を指摘する声も上がっている。
 しかし、東京都の財政は、6月22日の本コラムで示したように、バランスシートをみると資産34兆6265億円、負債6兆7486億円、資産負債差額27兆8779億円という「超健全」な状況だ(2018年度、https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/08/30/documents/01_01.pdf)。
 つまり、もう1、2回程度前回のような休業補償対策をしても、東京はびくともしない。場合によっては都債を発行してもいいし、それと経済的には同義であるが、都の資産売却や証券化をしてもいい。
 その上で、小池氏の2期目の目玉は、来年7月の東京五輪・パラリンピックだ。こればかりは、コロナが世界的に落ち着くことが絶対条件なので、神のみぞ知るという世界である。
 東京都としては、五輪・パラリンピックの中止という最悪の状況も想定しておかなければいけない。筆者としては、東京を国際金融センターとして復権するという小池氏の一期目の構想を、是非実現させてほしい。
 それが、最悪の状況の助けにもなるし、最悪が避けられたとしても、落ち込むことが確実なポスト五輪の景気回復を担ってくれる。なにより、香港の自由が奪われた現在、日本が世界に貢献できるという「一石三鳥」にもなるのだ。

■香港国家安全法の異常さ
 中国は香港国家安全法を制定してしまった。これにより中国は、香港の一国二制度を2047年までの50年間続けるという、国際社会への公約を破ったことになる。
 中国国内では世界の情勢と関わりなく、この国家安全法を「習近平の業績」とたたえる向きさえある。しかし私たち民主主義国の住人からすれば、法文が明らかになるにつれて、実にとんでもない法律を制定してしまったものだ、という思いが強まる。
 特に筆者が度肝を抜かれたのは、「域外適用」の項目である。
4日の大阪朝日放送の番組「正義のミカタ」でも、これは話題になった。中国事情に詳しい評論家の石平氏が、次のように解説したのだ。

[…略…]

 これを読んで驚いた。38条をみると、中国は地球どころか、全宇宙まで支配しているかのように読めてしまう。とても正気とは思われない。
 中国の香港政策については、日本や英国、フランス、ドイツなど27ヵ国が、6月30日の国連人権理事会の会合で「強い懸念」を示す共同声明を発表した。一方中国メディアは、パキスタン、エジプト、ミャンマーなど53ヵ国は、中国に賛意を示していると報道している。
 この「域外適用」を認めるなら、もはや国家の主権を捨て、中国の属国になったも等しいだろうが、中国に賛意を示した国はその点を認識しているのだろうか。
 このような法律が生まれて、中国と犯人引渡条約を締結している国は、今後の対応が大変になるだろう。民主主義先進国ではフランス、スペイン、イタリア、韓国が中国との犯人引渡条約を結んでいるので、どうなるだろうか。
 石平氏がいうように、フランスで中国批判をしたら犯罪とみなされ、中国当局に逮捕される、という話が冗談ではなくなってくるのだ。実際カナダは、香港との犯罪者の引渡しを停止としたと報じられている。

■東京は「漁夫の利」を狙える
いずれにしても、先週の本コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73668)でも書いているが、香港国家安全法の代償は大きい。香港は、中国にとってもモノ・カネ両面で世界と中国をつなぐ重要なゲートウェイだったが、今後は香港ドルが自由に取引できなくなる可能性が高く、国際金融センターとしては没落するだろう。
 香港の企業、金融機関や人々は、これから中国に従うか、それとも香港から脱出するかの二択を迫られることになる。香港の人口750万人のうち半数程度は、香港に居づらくなるだろう。一方東京にとって、これは国際金融センターとして復権するための「漁夫の利」を狙える状況だ。
 イギリスのシンクタンクが、2007年3月から「国際金融センター指数」を公表している。それによれば、ニューヨークとロンドンが毎年1位と2位を争い、東京は香港、シンガポールの次、最近では上海にも抜かれていた。
 しかし、この3月に公表されたランキングでは、香港が順位を落としたので、東京は3位まで回復した。もう香港はこのまま復活しないだろうから、東京は香港の代替を狙い、さらにEU離脱で地位が落ちるであろうロンドンの上を目指すべきだ。

[…略…]

 小池都知事には、絶好のチャンスである。東京での金融行政をすべて英語にしたらいい。
 そのためには、東京都で「金融英語特区」をやればいい。これは、金融行政での届出書類などを英語で書けるようにする、というものだ。

[…以下略…]

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いやいや、高橋洋一氏が凡百の経済評論家でないことがよく分かるのです。素晴らしいアイデアだと思うのですが、もしこういうアイデアを本気で実現しようと思うなら、確かに小池百合子女史が「圧勝」劇で都知事に再選されたことは、「強力なリーダーシップを発揮」しようとする上においてはプラスの方向に作用することでありましょう。

私個人としましては小池女史を都知事として積極的に支持、応援しようとは思っていなかったのですが、もし小池知事がこの池田プランを積極的に採用しようと思うなら、それは素晴らしいことであるとして私も積極的に応援して行く方向に舵を切らなければいけないのです。

そして是非そういう方向に向かって頂きたいものであると。

それにしてもフランスやドイツ、イタリアといった親中国スタンスを崩さないEU諸国は、今後どういう方向に動いて行くのでしょうか。
やはり中国市場と中国マネーの魅力に抗しきれずに「人権よりマネー」を優先して「中国支持」を継続して行くつもりなのでしょうか、よく分からないのです・・・。

ご紹介まで。

7月5日(日)

【北海道が中国資本に侵食されている件】

さて、東京都知事選というダメ祭りも終わり、予定調和的に小池都知事が再選されて明日からまた日常が戻ってくるようです。
それにしてもこの何十億とかけて行う無意味に近いバカ選挙は、なんなんでしょう・・・。
もしAIに独裁的に全権を委ねて政治を行わせるなら、小池女史の再選が確実と判断された時点で、「じゃ、もう選挙は意味ないですので中止しまう。都民の皆さん、日常にお戻り下さい♪」と宣言してチャンチャンとするのでしょう。そしてそれが一番無駄のない合理的政治だろうと思われるのです。

もし選挙システムをこのままにして、これからもこういうバカ選挙を行い続けていくなら、近い将来は「税金の無駄使い以外の何ものでもないダメ選挙は中止にした方がマシ」という国民世論が形成されるかもしれないなと、そんなことすら思えてくる今回の都知事選挙だったのです。
もちろんそんな未来は来るはずのない絵空事の妄想でしかないのですが。

さて、昨日放映されたチャンネル桜の「闘論!倒論!討論!」をご紹介したいと思うのです。

テーマは「グローバリズムの現在」というものなのですが、その中で「
北海道が危ない」という警告が発せられているのです。

◆SakuraSoTV◆
【討論】グローバリズムの現在[桜R2/7/4]
パネリスト:
 小野寺まさる(元北海道議会議員)※Skype出演
 河添恵子(ノンフィクション作家)
 林千勝(戦史研究家)
 藤和彦(経済産業研究所 上席研究員)
 三橋貴明(経世論研究所所長)
 室伏謙一(室伏政策研究室代表・政策コンサルタント)
司会:水島総

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どういうことかというと、北海道の夕張や釧路や小樽という地域で、何やら中国資本がどんどん進出していて現地の不動産や家屋などを取得しつつあるという話なのです。確か冬のリゾート地のニセコもずいぶん外国資本に買い漁られているようですが、似たような傾向がその他地域でも目立ち始めているという。

人口減少と地域経済の沈滞化に悩む地方都市では不動産を売りたい人も多く、そういう人にとっては買い手が中国人であるか日本人であるかはあまり問題にならないのです。むしろ「買ってくれて有り難い」話なのです。

しかし、こういう傾向が続いて行く先に見える景色は、「気が付いたら北海道の各地にミニチャイナタウンが出来ていた」、「そしてそういところでは日本人がそれを嫌って今度はその地域から流出し始める」、「そしてついには立派なリトル香港が現出していた・・・」という事態が懸念されるのです。

何でもすでに李克強首相自ら北海道に来ているらしいのです。


李克強首相の北海道視察の狙いは? 日本の代表的な農業地視察で米牽制か(2018.5.10)


北海道が中国の32番目の省になる日
~李克強、王岐山に続き習近平も「来道」か。中国資本の国土買収の水面下で何が起こっているのか~

(2019年12月号)

いやいやいやい、もちろん中国が「侵略の意思」をもってそういう振る舞いをしている訳でないことは当たり前なことでありまして、私はそこに中国共産党政権の「深遠な戦略的意思」を読み取ろうなどと思っている訳ではないのです。
それは単に中国民間が純粋に「経済合理性」の観点から有望な投資先として北海道に白羽の矢を立てているだけ、という解釈こそ正当なものだろうと思ってはいるのです。

ですがしかし、「結果として」北海道の中国化、北海道が中国資本によって買い漁られてなんとも情けない実態になるという将来予想は否定し難い現実なのです。

そうなる根源的理由は、なぜといって「中国人13億人の人口圧力は常に出て行くところを求め動く」という本能的欲望があるからなのです。

つまり、「隙あらば狙われる」のです。
もちろん、「狙う」というのは戦略的な動きとしてでなく、「とにかく儲かるところへ進出するのは当たり前」というロジックなのです。

そういう事態を、「それはもう仕方がないよね、止めようがないよ」という感じでそれをあえて否定的にとらえずに、「仲よくやれればいいんじゃないの?」とい感じで好感して受け止めるということも、それはそれで一つのスタンスとして認めるべきスタンスではあるのでしょう。

しかし逆に、「それはまずい」、「それはヤバイ」、「それは何とか阻止するべき由々しき事態である」と受け止めることも、一つのスタンスなのです。そして私は後者のスタンスをヨシとするのです。

自民党親中派の政治家諸氏や、経団連などの経済界の諸氏などはみな「経済合理性」をこそ優先して「政治的判断」を二義的に考えているのです。

もちろんそれはそれで一つのスタンスではあるのです。

しかしチャンネル桜のこの番組に出演している諸氏はみな「保守派」でありまして、そういう傾向に強い危機感をおもちなのです。

しかし、自民党はもう何年も前からこういう事態になんら積極的な対応策を採ろうとはしていないのです。
いうなら、「なすがまま・・・」という。
それは「地元の人たちが喜んでいるならいいんじゃないか?」という楽観論に基づいているのかもしれないのですが。

ドイツは戦後一時期、トルコからの経済移民を大規模に受け入れていたのですが、それ故にまた付随して多くの困難もまた引き受けざるを得なかったのですが。さらにまたメルケル女史は最近になって再び中東シリア系難民を100万人規模で受け入れて、再び大きな困難に直面しているのです。

何かを受け入れるということは、決してメリットだけがあるのではなく、同じくらい大きなデメリットを引き受けなければならないのです。

果たして北海道諸地域、そして中央政治の国会議員諸氏、そして何より主権者である日本国民は、そういう「中国人が北海道を我が物顔で動き回るようになる」ことを、そういう未来図を「ヨシ」として受け止めているのでしょうか。

それとも、国会議員諸氏はそんな危機感もなく、何も知らず、「もりかけ」だ「お花見」だとして与党も野党も目先の「党利党略」だけにかかずらわっているのでしょうか・・・。

もちろん、1階でも3階でもない自民党大幹事長氏は「それがどうした?」と嘯いて、さらなる親中国スタンスを堅持しようとするのでしょうか・・・。

コロナ問題も大ごとではありますが、深く、静かに潜航して行われている北海道侵食の事態は、それはより深刻な危機でないのだろうかと・・・。

ご紹介まで。

7月3日(金)

【殺せば生きられる】

中国の不法臓器取引について、ウィーン在住の長谷川良氏が鋭いご指摘をされておりましたのでご紹介したいと。

併せて中国がウイグルで女性に不妊手術を強制しているというニュースもご紹介したいと。

◆ウィーン発 『コンフィデンシャル』◆
中国の「不法臓器取引」を許すな!
(長谷川良 2020年07月03日)
 正直言って、少し驚いたが、この場合はいい意味でだ。オーストリア議会人権委員会で先月23日、中国の不法な臓器移植取引問題がテーマに上がったというニュースを聞いたからだ。
[…略…]
中国は、2007年の臓器移植法により、臓器移植を目的に訪中した外国人に手術を行うことを禁止したと表明してきたが、例えば、天津市では臓器移植を受ける外国人旅行者が多い。韓国の人気番組「調査報道セブン」は2017年11月15日、中国臓器移植の闇を取り上げた番組『殺せば生きられる』を放送した。同番組によると、過去20年間で毎年約1000人、総計2万人が移植目的で韓国から中国へ渡ったという。移植を希望する韓国人は今日、天津市の病院でウイグル人から摘出された臓器を大金を払って移植してもらっている(「移植臓器は新疆ウイグル自治区から」2019年1月12日参考)
[…以下略…]

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中国さんのやることは、なんだか、もう野蛮といいますか無茶苦茶といいますか、あるいは「欲望に素直過ぎる」といいますか・・・。

中国共産党政権のウイグルでやっていることもまた、私たち民主主義先進国標準の感覚でいうなら無茶苦茶以外の何ものでもないのです。

ですが彼らは「内政干渉するな!」と声を荒げて自分たちの正当性を声高に叫ぶのです。

いやいやいや・・・、

かつてナチスドイツはユダヤ人をガス室送りにするという前代未聞のとんでもない野蛮な愚行を敢行していたのです。

あのドイツが、です。
あの優秀な民族、ドイツがです。

いやいやいや、人類と言うのは、分からないのです・・・。

そして今、中国はナチスドイツと同じような愚行、蛮行を「バンブーカーテン」の向こうで平然と行っているのです。

国際社会がこういう中国を非難しようにも、たとえば国連では中国マネーにやられた途上国諸国が「中国さん、支持しまっせ♪」として中国支持を平然と打ち出してくるのです。

もはや国連やWHOという機関まで中国マネーに侵食されているのです。

いやいやいや、世界は中国共産党政権にいいようにあしらわれているのです。

これは確かに「ナチスドイツの蛮行を許すな!」式に中国共産党政権の横暴に断固立ち上がってこれを成敗しなければならないだろうと思われるのです。

しかし、我が日本ですら「中国マネー」が欲しくて経団連などは「余計な刺激はしない方がいい」として安倍政権にプレッシャーをかけているとか・・・。

いやいやいや・・・。

そしてウイグルでは女性たちが「強制不妊手術」まで受けさせられているとか。
彼らは長期的にウイグル人を絶滅させたいとでも思っているのでしょうか・・・。

【中国、人口抑制でウイグル人に不妊強制か 報告書】2020年6月30日

【中国がウイグル人に不妊強制との報告書、ポンペオ長官「衝撃的」】2020年6月30日

ご紹介まで。

7月2日(木)

【コロナ、第2波を迎えるに当たって】

どうも最近東京都では新規感染者が順調に増加傾向にあるとか。

果たして私たちはこういう現実を前にどのような心構えでこれを受け止めたらいいのでしょうか。

ちょいと古い記事になるのですが、とても示唆的な鋭いご意見を述べている記事を見かけましたのでご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
あの山中伸弥教授すら首をひねる、日本の奇跡「ファクターX」の正体
~これが解明できないと、何も始まらない~

(週刊現代 2020.06.19)
世界中の研究者が調査を始めた「日本の奇跡」。日本人がコロナに強いなら、第2波、第3波への対策も変わってくる。安倍総理は、宣言解除の会見で「日本モデルの力を示したと思います」と胸を張った。だが、日本のコロナ死者数の少なさは、自粛とは関係がなかった。多くの日本人は、免疫を持っていたからだ。

■世界が注目している
これは日本の奇跡だ――そう評したのは、アメリカの一流誌『フォーリン・ポリシー』である。

安倍総理が緊急事態宣言の解除を発表した5月25日、日本のコロナウイルスによる死者は851人だった。

アメリカの9万7720人、イギリスの3万6793人、イタリアの3万2785人といった死者数と比べると、桁違いに少ない。同誌いわく、日本はPCR検査も少なく、ロックダウン(都市封鎖)も非常に甘く、国民の大多数も政府の対応に批判的である。なのに、どういうわけか死亡率は世界最低水準で、100万人あたり5人しか死んでいない……。

コロナ禍が落ち着きを見せ始めた今、世界は日本の状況を「奇妙な成功」として注目している。

厚労省クラスター対策班の4月時点での発表では、何もしなければ41万人の日本人が死ぬはずだった。ところが結局851人にとどまったまま、緊急事態宣言解除の日を迎えられたのはなぜだろうか? 宣言による自粛が効いたからか? 専門家会議が正しかったからか? アベノマスクが効いたのか?

いずれも誤りである。

そもそも、緊急事態宣言じたいは、感染者数や死者数の減少にはほとんど寄与していないことが分かってきたからだ。

最近、政府によって公表された資料によれば、日本で新規感染者数がピークとなったのは、発症日ベースで見れば3月27日だった。その日から今日に至るまで、連続して感染者数は減少し続けている。実効再生産数(実際に1人の感染者が感染させる人数)は、その日を頂点として減り続けて0・5まで落ちた。

「宣言」の2週間近く前から、日本では新規感染者数は減っていたのだ。

世界的にみて、なぜ日本は感染者数も死者数も少ないのか。ノーベル賞を受賞した京都大学教授・山中伸弥氏は、最近の対談でこう述べている。

「日本の感染拡大が欧米に比べて緩やかなのは、絶対に何か理由があるはずだということです。何が理由かはわからないのですけれど、僕は仮に『ファクターX』と呼んでいます」

あの山中氏ですら分からない「ファクターX」とは何か?

これまで、いくつかの仮説があった。だが、「これからどんどん死ぬから」とか「隠れコロナ死が多い」といった説は、現在では明白な誤りだといえる。さらに、「クラスター対策が成功した」「日本人の生活習慣」といった理由も、100倍近い死者数の差を説明できるものとはとても思えない。

いま、世界の研究者により、ようやく「ファクターX」の正しい輪郭が分かってきた。欧米に比べて、なぜ日本人はコロナにかかりにくいのか。なぜ日本人はコロナで死ににくいのか。これをまず知ることが、「宣言解除」以降の私たちの生き方を決める。

最近の研究でほぼ明らかになってきたのは、日本人の多くは、コロナウイルスに対して、広い意味での「免疫」を持っているという事実だ。

京都大学特定教授の上久保靖彦氏らが発表した研究がその嚆矢だ。

上久保氏らは、今回の新型コロナウイルスには大きくS型、K型、G型の3種類があることを突き止めた。

日本では、弱毒のS型が昨年12月下旬の段階で、すでに流行していたが、通常の人ならばほとんど無症状だったため、当時は気付かれることがなかった。このS型が変異したのがK型で、1月中旬から日本に広がった。

欧米の場合、2月1日以降、中国からの入国制限を行ったため、S型は入ってきたが、K型の流入は食い止めた。対照的に日本では、入国制限の時期が3月9日まで遅れたため、S型もK型も3ヵ月近くにわたって流入し続けた。

S型にせよK型にせよ、無症状や軽症がほとんどだから、気付かないまま治癒した場合が多い。

問題はここからだ。

■「ミス」が日本を救った
K型が中国でさらに変異したのが、重症の肺炎を引き起こすG型で、世界を恐怖に陥れている新型コロナである。

日本は、S型とK型の両方の免疫を獲得していたことにより、G型の発生は食い止められた。だが、S型だけではG型を予防できない性質があるため、K型が入ってこなかった欧米では、猛毒性のG型が蔓延した――。

つまり、日本人の多くは、すでにコロナウイルスに対する免疫を獲得していたため、感染者数や死亡者数が非常に少なかったというのが上久保氏らの結論である。

中国・武漢が封鎖された1月23日以降も、1ヵ月以上にわたって中国からの入国制限をしなかった日本政府の対応は、批判された。その時期に日本にやってきた中国人は実に190万人近い。

これがK型の蔓延につながったが、結果として、凶悪なG型コロナへの「免疫」獲得につながったというわけだ。

入国制限をしなかったミスこそが、日本を結果的に救ったことになる。

「日本の感染対策は、予算が大幅に削られ、臨床現場は脆弱でした。しかしS型とK型の2つが市中で流行したことにより、重症患者を減らすことができたのではないか」(経済産業研究所上席研究員・藤和彦氏)

また、そもそも東アジアにはSARSの流行以降、さまざまなコロナウイルスが流行しており、その抗体が新型コロナに反応したという仮説(東大名誉教授・児玉龍彦氏)も示されはじめた。別のウイルスにかかっていたのが、結果的に新型ウイルスの免疫となった「交差免疫」という考え方だ。

人種に起因するという説も出てきた。慶應大学医学部教授の金井隆典氏は、白血球の血液型にあたる「HLA(ヒト白血球抗原)」の遺伝子の違いが、死亡者数に関係するとみる。人が持つHLA型はそれぞれ異なるが、人種や民族間での偏りも大きく見られるからだ。金井氏が説明する。

「日本、韓国、台湾、中国といったアジアだけが、人口当たりの死亡者数が圧倒的に少なく、欧米諸国の100分の1です。コロナでの死亡には、人種間での遺伝的な違いが関与している可能性が大きいとみます。日本人特有の遺伝子そのものの特徴が、欧米の人のそれとは違うのではないか」

従来から言われてきたBCG接種が免疫をつくりだしているという考え方も、いまだ有力だ。

以上のような要因が、複合的に起こってきたようだ。ポイントは、日本人は、基本的にコロナウイルスに対する大きな意味での「免疫」ができているということだ。

歴史学者の與那覇潤氏は言う。

「日本での死者自体は、欧米に比べて圧倒的に少ない。3月上旬までは政府の専門家会議も、中国でも感染者の8割は軽症だから、過剰に恐れないでと説明していた。その方針をきちんと貫けなかったのが問題です」

自粛下でも、多くの人は薄々気付いていたはずだ。政府が公開したデータや、国際比較を行ったグラフは、連日のようにテレビや新聞に踊った。

■マスクも必要ない可能性
「にもかかわらず『まだ大したことないだけで、これから危なくなる』と煽る人々が、混乱を加速していった。知識だけでは安心できず、大丈夫だという身体感覚を求めてしまう人間の弱さが利用されたのです。

自粛でガラ空きになった街路を見て、『ソーシャルディスタンスが実現した』と安心する。そうした主観的な安心を『買う』ために、倒産・失業など多大なコストが払われました」(與那覇氏)

緊急事態宣言を出し、「8割減」を煽り続けた人たちの責任も重い。

「病気は本来『かかっても治せばよい』もので、感染自体は悪じゃない。重症化しやすい高齢者や持病のある人を防護しつつ、それ以外の人はウイルスと共存してゆく発想を持つべきでした」(同)

しかし、政府にせよ、小池百合子都知事にせよ、ことここに至っても、細かな感染者数にこだわり続け、活動再開にあたっても、やれステップ1だ、やれステップ2だ、と感染者数「ゼロ」に対する信仰を捨てきれていない。

だが、感染リスクをゼロにするまで防ぎ続けるのは、あまりにも現実離れした判断だ。もはや景気後退は決定的となり、戦後最悪の不況に突入するのは必至の情勢になってきたからだ。

「コロナで死ぬのも、経済苦で首を吊って死ぬのも、同じ命です。もし行政のトップが『リスクゼロ』を目指したら、経済苦で死ぬ人が出るのが分からないのですか?」

こう語気を強めるのは、京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸氏だ。

「公表されている陽性者数がいったん減っても、通常の生活に戻せば必ず感染者数は増えます。しかしそのときに、また『自粛』生活をやるのか。永遠にそれを続けるわけにはいかないのです」

これまで述べてきた理由により、日本人の多くが広い意味での免疫を獲得しており、これから集団免疫が徹底されていくというのは、少なからぬウイルス研究者の共通見解だ。順天堂大学特任教授の奥村康氏が語る。

「新型コロナでは、PCR検査で陽性反応が出た人でさえ、9割以上は無症状です。それは、感染後5日~1週間で抗体ができるからです」

集団免疫というと、まず犠牲者を出さねばならない恐ろしい考え方のようにも聞こえるが、専門家のあいだでは、ほとんど常識的な考えだという。

「インフルエンザをみれば分かります。ワクチンを打っていない人も、抗体検査をすれば必ず引っかかる。電車や街中で知らず知らずのうちにかかり、症状が出ないうちに治ってしまうからです」

奥村氏は、すでに日本人の多くは知らず知らずのうちに抗体を獲得しているはずだと言う。

「たいていの人は、感染をしなくてもコロナの集団免疫はできます。私は今やマスクすらする必要がないと考えています」

[…略…]

■第2波にこう備えよ
日本人がコロナに強いことがデータとして明らかになっている以上、第2波、第3波に対しての対応もはっきりしている。コロナは冬に活性化するウイルスであるから、年内に必ず来るだろう。

基本的に元気な人には、集団免疫でウイルスと共存してもらう。もちろん、ほとんどの場合、無症状のまま、病気にかかったことも知らずに抗体ができていく。そして、医療資源は、徹底的に弱者のために使うのだ。

「日本人は固有の免疫力をつけているアドバンテージの可能性があるので、このタイミングを活かすべきです。第1波でわかったのは、中堅病院での感染対策が脆弱だったことから、院内感染が生まれてしまったこと。中小病院などの感染対策を徹底的に整備すべきでしょう」(中央大学教授で医師の真野俊樹氏)

法政大学経済学部教授の小黒一正氏は言う。

「世界的に見ても、報告感染者数から推計される致死率は1%を切る水準で、ニューヨーク州でさえ0・7%です。日本の死者数の少なさを科学的に究明できることが前提ですが、より重症化しやすい高齢者や糖尿病などの疾患を持つ人々を中心とする感染対策に転換するという政治判断もある」

前出の宮沢氏も言う。

「弱者がいる老人ホームやリハビリ施設、病院といったところの医療従事者、介護者には、抗原検査やLAMP法(PCRの簡易版)などを定期的に実施すべきです」

宮沢氏は、宣言緩和後も、まだ日本が「ゼロリスク」症候群に脅かされていることを嘆く。

「緊急事態宣言の前にピークアウトしていたことが分かった以上、各事業者が知恵を絞っているのに『飲食店は午後10時まで』とか『ライブハウスは営業停止』という問答無用のロードマップを、東京都が示したのは理解できません」

日本人は従順すぎた。すべてはデータが明らかにしている。本当の収束を見るためには、一刻も早く私たちが日常に戻らねばならない。自粛中の空虚な2ヵ月は、それを教えてくれたのだ。<了>

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政府は「専門家会議」を解体して新たに「分科会」などを創設するようですが、どうなんでしょうか。

ファクターXについてのきちんとした検証や分析がなされないことには、正しい対処方法も確立しないと思われるのです。

とにもかくにも、そこらへんを早急に解明して世の中にきちんとアピールしてもらいたいと思うのです。

とりあえず私はこの記事にあるように、「日本人はコロナウイルスに強い」ので、従来型のインフルエンザに対すると同様な対処でいいのだろうと思っているのです。

とりあえず人込みや密な状況ではマスクを着け、そして手洗いを励行し自衛することだけで十分なのでないかと思えるのです。

ただ、マスク警察などのような過剰な反応は如何なものかと。

ご紹介まで。

6月30日(火

【アメリカ大統領選&日本の通ってきた道】

昨日私はアメリカ大統領選の行方について、渡部裕也氏のインタビュー動画をご紹介したのですが、今日はそれと正反対の方向での「バイデン氏勝利予想」を基にしての記事を見かけましたのでご紹介したいと。

ここ最近はテレビでも見かけなくなっているのですが、高名な高野孟氏のweb上での寄稿記事なのです。

◆MAG2NEWS◆
再選率9%。負け犬のトランプに尻尾を振り続けた安倍首相の大罪
(高野孟 2020/06/30)
 11月に迫った米大統領戦ですが、トランプ大統領の再選は厳しい状況となっているようです。これまでもトランプ政権に対してさまざまなデータを元に冷静な批判を展開してきたジャーナリストの高野孟さんは今回、自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で、各国のメディアによる調査やデータの解析結果を引きつつ、トランプ氏の落選が避けられない背景を解説。さらに安倍首相については「トランプ政権に対して二重の過誤を犯した」と非難しています。

■ほぼ確定的となったトランプ敗退――世界は「バイデン政権」への対応準備へ
 11月の米大統領選挙までにはまだ4カ月もあり、その間に何が起きるか分からないが、現時点での各種調査を見る限り、トランプ大統領が敗北し民主党候補のバイデン元副大統領が勝利することは、ほぼ確定的である。
 ニューヨーク・タイムズがシエナ大学と共同で6月17〜22日に、登録済み有権者を対象として行った世論調査では、バイデン支持は50%でトランプ支持の36%に対し14ポイントの大差がついた。「これは、トランプが大統領となってから最も惨めな結果で、彼が2期目を目指す戦いで負け犬となることを示す現時点での明確なサインである」と同紙は指摘した(写真1)。
 また英エコノミスト誌は、独自のモデルを立て毎日のようにデータを更新して選挙の行方を追っているが、選挙人団総数538人(過半数270人)に対して6月27日現在、バイデンが345人を獲得する見通しであるのにトランプは193人で、従ってバイデンが勝利する確率は91%、トランプのそれは9%である(写真2)。

■ラストベルトでもトランプ離れ?
 このようにトランプ劣勢は押し留めようもない有様で、それはコロナウイルス対応のどうにもならない大混乱への失望に加えて、「ブラック・ライブズ・マター=BLM(黒人の命を大切に)」デモへの徒らな強硬姿勢への反発のためである。ニューヨーク・タイムズ調査の中身(写真3)を見ると、・・・

[…略…]

■トランプ後の世界のリハビリ
 バイデンは、人柄としては穏健、政治家の資質としては凡庸で、誰がなってもトランプよりはマシという程度の大統領にしかならないだろう。とはいえ、大統領自らが国内を分断し対立を煽るという前代未聞の異常事態にともかくもストップがかかるのだから、そこから先、偉大なるアメリカ社会は自己修復能力を発揮するに違いない。
 バイデン大統領は、世界にとっても朗報である。英フィナンシャル・タイムズのフィリップ・スティーブンス論説委員長は6月11日付の「米同盟国はバイデン大統領に備えよ」で、バイデンが勝つ見込みは現時点で50%を超えていて、さらにこの先、経済が勢いよく回復するのが難しく、新型コロナの死者数がかなり増えそうなことを思えば、「米国民の怒りのツイートが雪崩のようにトランプを襲って大統領の座から引き摺り下ろす可能性」が高いと指摘。その上で、バイデンは「同盟関係を重視し、米国を地球温暖化対策の国際枠組みパリ協定に復帰させ、欧米を中心とするリベラルで開かれた秩序の強化に意欲を見せるだろう」と予測しつつも、米国がそのように立ち直るのを「米国の同盟国は手をこまぬいていてはいけない。ルールに基づく国際秩序を復活させる上で、米国とどう協力できるか真剣に考えるべきだ」と提言している。
 とはいえ、・・・

[…略…]

なお、日本政府はこのような国際的な戦略的な議論では完全に蚊帳の外で、冷戦型の日米同盟強化を追求してきた時代錯誤の路線が壊れてどうしたらいいか分からないでいる。安倍晋三首相が、ただ単に日本を脅して最新兵器を爆買いさせたいだけのトランプを親日と錯覚したこと、途中からホワイトハウスに入り込んで北朝鮮やイランなどに戦争挑発的な強硬路線を持ち込んだネオコンの教祖=ジョン・ボルトンが米国の主流だと思い込んでそことのパイプで物事を判断していたこと――という二重の過誤があり、この4年間の外交を総括できなくなっているのがこの国である。<了>

**************************

今のアメリカの主要メディアが、口を極めてトランプ氏を攻撃している図は、それは昭和の時代の日本左翼系マスメディア(朝日などを筆頭に)が、口を極めて自民党政権を攻撃していた図に重なるのです。

都市部では左翼系野党が選挙で勝利するのに、地方では田舎のおじいちゃんおばあちゃんが断固として自民党を支持していたのです。

それゆえ知識人階層であるリベラル左派の人たちは、「都市部知識人階層は分かっているのに田舎の人たちが全然分かっちゃいない・・・」として、内心では大いに田舎の人たちを軽蔑していたのです。

今、アメリカの知識人階層、都市部の人ほど民主党支持、反トランプなのです、つまりリベラルなのです。そして逆に工場労働者や田舎の農民などは断固与党共和党支持なのです。

それはもう昭和後期から平成前期の日本とそっくりな構図なのです。

日本で自民党が長期安定政権を維持できた直接的な重要要因は、それは「田舎のおっちゃんおばちゃん達が自民党に投票してくれたから」なのです。田舎のおっちゃんおばちゃん層が、農協の強力な自民党支持という背景事情を受けて、みんな自民党に投票してくれたおかげで、自民党は都市部では負けてもトータルでは常に過半数を維持できて、それで政策的にも大過なく、混乱なくやってこれたのです。

もし農村部までが野党支持に傾いていたなら、まず間違いなく自民党は長期政権など維持できているはずはなかったのです。

そしてそういう構造を左翼系インテリ階層やマスコミは切歯扼腕、歯ぎしりして眺めていたのです。
「田舎の無知なおっちゃやおばちゃん連中が、農協に騙されて・・・」と嘆いてもいたのです。
ただあからさまにそういう言辞は吐けないので、苦虫を噛み潰したような顔で選挙後の自民党勝利を呪っていたのです。

もしこれで今回もトランプ氏が勝利するなら、アメリカの知識人階層はみんなそういう感慨を胸に苦虫を噛み潰すのでしょう・・・。前回の選挙でもそうだったのですが。

あ~、果たして今回はどういう結末を迎えるのでしょうか・・・。

願わくば日本のように「結果的に良かった良かった」、となるといいのですが・・・。

ご紹介まで。

6月29日(月)

【アメリカ大統領選の現状分析など】

アメリカの大統領選については、「とりあえず」はどうも「バイデン氏優勢」という世論調査の結果がもたらされているのです。

ですが、それもあくまで「とりあえず」ということでありまして、それがそのまま11月の結果に直結するなどとはならないのです。

アメリカの大統領選については、日本人のジャーナリストやが研究者諸氏が何人か「専門家」的にテレビなどに呼ばれてコメントしているのですが、私は個人的に早稲田の渡瀬裕也氏の知見を買っているのです。

その渡瀬氏が松田学氏のユーチューブチャンネルに招かれて色々話している動画がありまして、これが大変参考になる優良動画でありましてご紹介したいと。

約30分の動画ですが、前半15分ほどが大統領選について、後半15分ほどが東京都都知事選についての話になっているのです。
この都知事選についてもなかなかユニークな分析がなされておりまして傾聴に値すると思われるのです。

◆松田政策研究所チャンネル◆
特番『黒人抗議運動の背景と現状、そしてトランプ再選は?』ゲスト:早稲田大学公共政策研究所招聘研究員 渡瀬裕哉氏
(2020/06/28 約27分)

現状、
・「アメリカのサイレントマジョリティーはトランプの政策を支持している(黒人差別への対応など)」
・「CNNなど主要メディアが全部反トランプなので、日本にはその線での情報しか入ってこないことが問題である」
・「トランプの演説会場は熱気があってけっこう人もいる」、しかし「バイデンの会場では人の入りが少ない、しかも熱気もない」
・「トランプ一人で賛成者もつくり同時に反対者も作っている」
・「民主党ではバイデンは一期限りと思われていて、今回副大統領に選ばれた人物が次の大統領選では本命に浮上する可能性が高い」
・「その本命がカーマラ・ハリス女史であるが・・・」
・「トランプ政権は実質ペンス氏が支えているのでないか・・・」
というような。
・「都知事選、いいかげん旧時代の遺物のような宣伝カーで名前連呼ような旧態依然の選挙運動はやめるべし。それよりネットを利用した選挙運動をどんどんして行くべし」

この話を聞いて、私はここ最近「トランプ氏よりバイデン氏の方がマシなのでないか・・・」と思いつつあったのですが、どうもそうでもないような感じになってきたのです。

これはやはり民主党政権はマズイのでなかろうかと・・・。
トランプ氏の人格はともかく、ペンス氏などに支えられて結構まともな政治を行っている共和党政権の方がやはり良いのでないかと。

そしてバイデン氏のソフトな人格はいいのですが、しかし副大統領以下、過激なリベラル系の政治家に主導権を握られかねない民主党は、やはりマズイのでなかろうかと。ポリコレの傾向もますます強くなりそうですし・・・。

それから、この渡瀬氏と松田氏が、実はまったく新しい政党である「参政党」なる政党の5人のボードメンバーに入っているということがありまして、これはこれで次の時代に大きなインパクトを与える動きであろうなと、私は高く評価しているのです。
来年くらいにはきっと大きな存在感をもってテレビにも登場してくるであろうと。

ご紹介まで。

6月28日(日)

【ドイツ、大丈夫か・・・】

昨日、「イタリア、大丈夫か・・・」という記事をご紹介したのですが、今日は「ドイツ、大丈夫か・・・」系の記事をご紹介したいと。

先週もここでご紹介させてもらったドイツ在住の川口マーン惠美女史の記事なのですが、いささか危険な兆候が見られるという切迫感のあるレポートなのです。

◆現代ビジネス◆
シュトゥットガルトの暴動が示唆する「ドイツ左傾化」の行き着く先
~まもなく「ソフトな全体主義国家」に~

(川口 マーン 惠美 2020.06.26)
■常軌を逸した破壊活動
 21日の日曜日、ドイツのテレビニュースを見て我が目を疑った。私のドイツの故郷シュトゥットガルトで、前日の土曜の夜、大規模な暴動が起こっていた。
 シュトゥットガルトはダイムラーとポルシェの本社がある豊かな町で、治安も良好、これまで暴動などとは無縁の土地柄だった。
 ところが、ニュースで流れたのは、数百人の男性によって壊せる器物がすべて叩きのめされ、商店が略奪され、駆けつけた警官隊やパトカーも攻撃されているという想像を絶するシーン。これまでのシュトゥットガルトのイメージがガラガラと崩れ落ちるほど衝撃的だった。
 しかも、私にしてみれば、襲撃されている店がどこの何であるかが手に取るようにわかる。とても遠い国の他人事とは思えず、何か恐ろしいことが始まっているという畏怖と、ひたすら悲しい気持ちの両方に襲われた。
 それにしても、暴動の理由はいったい何なのか。ただの憂さ晴らしにしては、いくら何でも凶暴すぎる。
 しかし、翌日の警察の記者会見を聞いても、「これまでになかった規模」とか「新次元の暴力」というだけで、そのきっかけも、誰がやったのかも、まるではっきりしない。
 その夜、町の中心に大勢の若者が集ってパーティー気分で騒いでいたところ、17歳のドイツ人の少年を麻薬所持の疑いで職務尋問していた警官が群衆に取り囲まれたのが事の始まり、というような説明だったが、それが、たちまち400〜500人もの暴徒の常軌を逸した破壊活動につながったという筋書きには、かなり無理がある。
そもそもメディアで流れていた暴動前の映像を見ると、ものすごい数の人たちが集まっているが、すべて若い男性ばかりで、パーティーという雰囲気でもない。
 その結果、警察は多勢に無勢。一時的に制御不能に陥り、警官の負傷者は19人。拘束された暴徒はたったの24人で、うち半分がドイツのパスポートを所持していた。
 ただし、その中の3人はドイツに帰化した移民。そして、その他の12人の国籍は、イラン、イラク、クロアチア、ソマリア、アフガニスタン、ボスニア。国籍と年齢と性別を見れば、難民として入った人たちである可能性は極めて高かった。

■難民政策の後遺症
いずれにしても、この事件は国民に大きな衝撃を与えた。

[…略…]

 ただ、まもなく言われ始めたのは、暴徒には「パーティーから脱線した若者たち」だけでなく、「アンティファ」など過激な極左が含まれていたということだ。
 アンティファとはアンティ・ファシズムの意で、既存の社会秩序の破壊を目的とする組織だ。彼らは、一度全部壊して、革命によって新しい秩序を作ろうとしている。それは、簡単に言えば、かつてソ連の共産党が夢見た世界だ。つまり、今回、そういう明確な政治的意思を持っている過激派が、ただ暴れたい若者をうまく誘導し、羽目を外させた可能性は大いに考えられた。
 アンティファは、革命のためには暴力をも厭わない。そして、ドイツの政治の複雑なところは、こういう極左に対して、緑の党や、左派党、それどころか現在与党にいるSPD(社民党)までが、極めて甘いことだ。ドイツの主要メディアも同様で、アンティファのことは悪くは書かない。ドイツという国は、国民が自覚しているよりも、すでにずっと左傾化している。
 今回のシュトゥットガルトの暴動に関して緑の党が出したコメントが興味深い。もちろん暴力を非難しているが、「誰がやったのかは重要ではない」という苦しい留保付きだ。緑の党にとっては、難民がやったとしても、極左がやったとしても、どちらも都合が悪いのだろう。
 なお、最近、SPDの党首コンビの一人は、ドイツの警察に人種差別的兆候があるなどと主張し、大々的な改革を要求している。
[…略…]

■メルケル首相の本質
 現在のドイツでは、極左の言論の自由は何重にも守られている。一方、右派の意見はたとえ言論の自由の範囲内であると思われるものでも、フェイスブックやユーチューブからあっという間に削除されてしまうのが実情だ。
 ちなみに、ドイツの警察というのは決して暴力的ではない。しかも国民の信頼を得ており、SPD党首の主張は国民感情からかなり遊離している。ましてやtazと共に、警官をゴミ扱いして喜ぶような国民がそれほどいるとは思えない。
 メルケル政権が成立して現在15年目。ドイツがここまで左傾化してしまった一番の原因は、メルケルという人物にあると見る。彼女が本当に連立したいのは緑の党だというのは公然の秘密だ。CDUと緑の党のコラボなど、これまでの常識ではあり得ない話だった。
 メルケル首相は、難民を無制限に入れればドイツという国がどうなるか、おそらくわかっていたのだろう。また、この国ではこれから徐々に原発と火力発電所が停止されていくが、その結果、ドイツがどうなるかも、ちゃんとわかっているはずだ。
 すでに徴兵制はなくなったし、同性婚の合法化も手品のようなやり方でするりと成立させた。メルケルの下、かつての保守党CDUは、もう保守ではない。
 その結果、左派の野党は軒並み、左傾化したCDUに飲み込まれ、意味を失った。そして、唯一の右派政党AfD(ドイツのための選択肢)には極右のレッテルが貼られ、様々な工作で、窒息寸前にまで追い詰められている。
 政府の認めたくない意見は、どれもヘイトスピーチやフェイクニュース、あるいは、国家主義的危険思想として、「民主的に」葬り去られる。このままでは、ドイツはまもなく、選挙という民主的な装置を持つソフトな全体主義国家になるだろう。
 シュトゥットガルトの暴動は、いったい何を示唆しているのか? メルケル首相を一度、違った角度から見てみたら、答えは自ずとわかるような気がする。<了>

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全文はそちらに行ってお読みになって頂ければと思うのですが、ポイントは、「本来治安のいいはずのシュトゥットガルトで、難民の若者らを中心とする暴徒が警官隊と衝突し、しかもアメリカのような商店襲撃などの乱暴狼藉を働いた」ということなのです。それが21日の日曜日のこととか。

川口女史の見立てによれば「それは究極的にはメルケルの確信犯的政策のせいであろう」ということなのです。
川口女史はこのような言葉で最後を締めているのです、曰く、
「・・・このままでは、ドイツはまもなく、選挙という民主的な装置を持つソフトな全体主義国家になるだろう」と。

ドイツ、ほんまに大丈夫か・・・、なのです。

昨日は、大丈夫なのか、イタリア・・・、と書いたのですが、それにしてもドイツもイタリアも、昔の日本の同盟国じゃないですか、しかも敗戦国グループのという・・・。

いずれにしても世界は、どうにも流動化しつつあるのです。
もちろん、いい意味でも悪い意味でも。

いや、ご紹介まで。

6月27日(土)

イタリア、大丈夫か・・・】

アゴラに外交評論家の白石和幸氏の大変興味深い記事がUPされていましたので、ご紹介したいと。

ポイントは、「中国によるイタリア人の洗脳が上手くいっている」という。
データとしましても、
「4月17日に実施された統計によると、イタリア人の50%が中国を「友達の国だ」とみなしているというのである。米国の友達という回答は17%だったそうだ。また37%のイタリア人が中国にもっと接近すべきだという回答に対して、米国との関係強化は30%だったそうだ」
というようなことであるとか。

イタリアは、自分のやっていることの意味が分かっているのでしょうか・・・。

ほんまに、大丈夫なのか、イタリア・・・、であると。

◆アゴラ◆
「中国の木馬」を率先して受け入れたイタリア
(白石 和幸 2020年06月26日)
ギリシャ神話に「トロイアの木馬」というのがある。ギリシャがトロイアを陥落させるのに大きな木馬を用意した。ギリシャ軍が撤退したかと思わせるようにしてそこにその大きな木馬を残した。「木馬は女神アテネの怒りを鎮めるためで、トロイアに奪われないように城内には入らないほどの大きなものにした」ということを、そこから逃げ遅れたと思わせるような一人のギリシャ人がトロイア軍に説明した。

トロイアではその大きさの前に門を壊して勝利の印としてそれを城内に入れた。ギリシャ軍が撤退したことを祝福すべくトロイア人は祝宴を挙げて酔いしれた。

寝静まっている間に木馬の中に潜んでいたギリシャの兵士が外に出て来て、待機していたギリシャ軍を中に引き入れた。酔いしれていたトロイアの軍人らはギリシャ軍の攻撃の前に何もできずトロイアは滅亡した。

このギリシャ軍に相当するのが中国、一方のトロイアというのが現在のイタリアだ。中国はヨーロッパを征服するのにイタリアをその入口と見なしている。その前に中国はギリシャを手中に収めている。しかし、ギリシャではヨーロッパを征服するにはその重みがない。イタリアとなれば、EUにおいてGDPでは英国が抜けるとドイツ、フランスに次いで3番目の国となる。イタリアはギリシャに比べ遥かに影響力のある国だ。

現在のイタリアは長期の不況に喘ぎ、金融事情も良くない。現在のイタリアにとって中国は期待できる国だ。それを証明するかのような発言が五つ星運動のルイジ・ディ・マイヨ外相より3月12日夜にあった。

その日、イタリア・ローマのフィウミチノ空港に中国から医療品第一便とコロナウイルスに取り組む専門医9人が中國東方航空にて到着したのだ。その到着にルイジ・ディ・マイヨ外相は「我々は一人ぽっちではなかった」と言って喜びを表明し、「多くの国がイタリア向けのフライトそして接触を中断した。今、我々の側についてくれる全ての人たちのことは忘れない。我々はそれを将来も温存して行くつもりだ」と述べて、コロナ感染拡大で危機的状態にあるイタリアを助けてくれる中国に感謝を表明したのである。

この救援到着の2日前に、彼は中国の王外相と電話会談をもってイタリアの要望を伝えたのが今回の到着に繋がったのであった。

その中身は人工呼吸器1000台、防護服2万着、コロナウイルス検出試薬5万キット、マスク200万枚とその内10万枚は高性能マスク。イタリアを優先して提供したものだという。(参照:hoy.es)

中国から医療物資そして専門医がローマ・フィウミチノ空港に到着した時のイタリア人の歓迎ぶりは中国でも国営放送で映像されたという。そこでは中国国歌が演奏され、イタリア人が「中国ありがとう」と叫んでいた。中国が恰もイタリアの救世主のごとく演出されたのであった。中国の方で映像が操作されていたというのは後日フィナンシアル・タイムズが明らかにしている。

トランプ大統領の補佐官だったマクマスターも彼の著書「The Fight to Defend the Free World」の中で「イタリアはヨーロッパにおける中国の木馬になってしまった」と指摘しているという。

フランスの高官のひとりも最近のル・フィガロに「中国はヨーロッパにおける浮力地帯としてイタリアを選んで、その筋書きに従って動いている」と述べた。イタリアで自由自在に動こうとしているということだ。

同様にドイツ紙ビルトも中国が医療物資を優先的にイタリアに送ったことについて、「それは友情ではない。微笑みの中に隠されたインペリアリズムだ」と指摘した。(参照:es.gatestoneinstitute.org)

そのような批判はイタリア政府には眼中にはないと言った感じで、シルクロード開発プロジェクトにイタリアが参加することを昨年3月に五つ星運動と同盟の連立政権下で中国と合意している。この合意にはEU委員会は快く感じていなかったが、特に同盟はEUからの離脱を支持している政党でこの合意を率先して進めた。

さらに、中国とイタリアの関係が強化されつつある裏付けとして、五つ星運動の創設者ジュセッペ・グリロはローマの中国大使館を頻繁に訪れている。また、マテオ・レンツィー元首相も中国から招待されて講演で北京を訪問している。

2015年には中国国有化学が143年の歴史をもつイタリアのタイヤメーカーピレリを買収した。この5年間に中国がイタリアで買収に使った資金は100億ユーロ(1兆2000億円)。その期間中の中国のイタリアでの投資額は全投資額の3分の1だという。このような出来事から中国はイタリアを征服することが狙いだというのは明白である。それはあたかも南米におけるブラジルのような存在になることにイタリアが向かっているということを意味するものだ。ラテンアメリカにおいて中国のブラジルへの投資はトップを占めている。

[…略…]

観光で潤っているベネチアまで中国は進出を開始している。ベネチアの中心地区にある伝統ある3つのバルも中国人が買収したそうだ。筆者が在住しているバレンシアと同じように気が付いた時には一区画には中国人が経営している店舗ばかりになったということが今ベネチアで始まっているということだ。(参照:elconfidencial.com)

4月17日に実施された統計によると、イタリア人の50%が中国を「友達の国だ」とみなしているというのである。米国の友達という回答は17%だったそうだ。また37%のイタリア人が中国にもっと接近すべきだという回答に対して、米国との関係強化は30%だったそうだ。(参照:es.gatestoneinstitute.org)

これが意味するものは、中国のイタリア人を洗脳するのがうまく行っているということである。イタリアの繊維産業は安価な中国製品の前に犠牲にされたということは、今のイタリア政府や多くの市民の間ではもう過去のことだと思っているようだ。<了>

********************

ご紹介まで。

6月22日(月)

【ボルトン氏暴露本】

世に“暴露本”というのがあるのですが、今回はアメリカ外交の中枢にあった人物であるボルトン氏がなかなか刺激的な内情暴露本を出したとかで話題になっているのです。

この件につきまして、大変興味深い記事を2本、ご紹介したいと。
1つは双日の吉崎達彦氏のブログから。
もう1つはJBPRESS誌から。

◆溜池通信◆
かんべえの不規則発言
<6月22日>(月)
〇話題のジョン・ボルトン本の電子版を入手しました。これってご本人的には暴露本のつもりではなくて、国家安全保障担当補佐官として真面目に書いた証言のようなんですが、そこはそれ、いろんな読み方ができるわけです。
〇例えば本書には日本のカウンターパートである谷内正太郎氏が頻繁に登場します。そこで軽い気持ちで”Yachi”を検索してみると、おいおいおい、こんなことが書いてあるけど、いいんですかっ?

Later in the morning, I met with my Japanese counterpart, Shotaro
Yachi, who wanted me to hear their perspective as soon as possible.
Tokyo’s view of the looming Trump-Kim meeting was 180 degrees from
South Korea’s — in short, pretty much like my own. Yachi said they
believed the North’s determination to get nuclear weapons was fixed, and
that we were nearing the last chance for a peaceful solution. Japan wanted
none of the “action for action” formula that characterized Bush 43’s failed
Six-Party Talks. “Action for action” sounded reasonable, but it inevitably
worked to benefit North Korea (or any proliferator) by front-loading
economic benefits to the North but dragging out dismantling the nuclear
program into the indefinite future. ・・・<以下略>

〇ホントにパラパラ見ているだけなんですが、昨年のトランプ大統領国賓訪日のことやら、大阪G20サミットからDMZでの米朝首脳の会合まで、かなーり機微に触れることが書いてあります。おそらくトランプさんに関する暴露は「んなこたぁ~みんな知ってるよ」ということで大勢に影響しないのでしょうが、こういう外交上の内幕をこんなに早いタイミングでバラされてしまうのは同盟国としては困ります。普通さあ、こういうのって書くとしても普通は10年後くらいじゃないですか。

〇でもまあ、ボルトンは印税に目がくらんだのでしょうな。「大統領は私益と国益の区別がつかない人だった」と言いたかったのかもしれないけど、それは後付けのような気がします。<了>

*********************

何やら谷内正太郎氏は我が国の“日本版NSC”の初代ボスになっているとかで。
いやいや、私は英文を流暢に翻訳できないですのでよく分からないのですが、それでも谷内氏にとってはこれがプラス方向の話題なのかどうかと・・・。

◆MSN◆
核心突かれ狼狽?ボルトン回顧録に猛反発の文在寅政権
李 正宣 2020/06/24
・・・この本は、トランプ米大統領にはかすり傷を、文在寅(ムン・ジェイン)韓国政権に致命傷を与えた、と言われている。
<以下略>

***********************

文在寅(ムン・ジェイン)大統領があまり賢明な大統領でないことが世界に知れ渡ってしまうようなことでありまして、それは韓国も「狼狽する」しかないのでしょう。

それにしてもボルトンさん、吉崎氏の仰るように「金に目が眩んだ」ということなのでしょうか。

ご紹介まで。

6月21日(日)

【トランプorバイデン】

今年前半のコロナ禍騒動のおかげで、今秋のアメリカ大統領選の行方が混沌としてしまい、どちらが勝利するのかの予測がずいぶん難しい状況になっているようです。

世論調査などでは最近ではバイデン氏がトランプ氏をリードしているようなのですが、それがそのまま秋までその調子で行くか、となるとそこはもう誰にも読めないような感じなのです。

さて、そんな中、双日の吉崎達彦氏がとても参考になるレポートをネット上にUPされていましたのでご紹介したいと。

ここにはいわゆる「YA論文」のことや、外交評論家の宮家邦彦氏の見解なども資料として入っているのです。

◆溜池通信vol.693◆
Biweekly Newsletter
特集:トランプとバイデン、どちらが良いか?

 本日から都道府県を越える移動の自由が復活し、今宵はプロ野球も開幕になります。「平常への回帰」が進んでいることに、感謝あるのみです。本誌もこのところずっと「新型コロナ」ばかり取り上げてきましたが、そろそろ目先を変えてみたいところです。
 そこで取り上げるのは、「11月3日に当選する米大統領はトランプとバイデン、どちらがいいか」というベタなテーマです。日本外交はこれまでトランプ大統領とうまくやってきたけれども、将来の世界秩序を考えればバイデン新大統領の方が良いかもしれない。とはいえ、今後の米中関係も気になるところ。ここでは「YA 論文」とそれを批判する「宮家論文」
を手掛かりに、次期大統領と米国外交について考えてみたいと思います。

● 現役公務員が匿名で伝えたかったこと
 4月 10日、米国の外交論壇誌”American Interest”に「YA 論文」が掲載されたとき1、世間の注目度は高くなかった。新型コロナウイルスの話題ばかりが飛び交う時期であったことを思えば、それも無理からぬことであったといえよう。発表から 2 カ月も経過した後ではあるけれども、あらためてご紹介することにしたい。
<以下略>

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はてさてどなたも決定的に「こうだ」という結論は提示されていないのですが、とりあえずは日本にとってはトランプ氏の方が良さそうに見える、ということくらいのことは言えるような感じです。

ですがバイデン氏に変わった途端にいきなり「親中」の方向に大きく舵が切られるということも予想しづらいことでもあり、必ずしもバイデン氏だと日本は沈没だ、というようなことはならないようではあるのです。

それにしてもトランプ氏がもう少し「常識的な振る舞い」をしてくれる人なら、その政策的な部分はそれほど悪くない方向性でありますので、世界も大きく安心できるのですが、いかんせんその人格と発言があまりにもぶっ飛んでいますので困ったことなのです。

アメリカの進歩派民主党支持層の知識人階層には、とてもじゃないが「あいつだけは支持できない」という感じでいるように思われるのです。

政治家の「政策」と「人格」は本来は切り離して考えられるべきなのでしょうが、しかし、下半身問題などもそうですが、「人間として」という部分で受け入れ難いということもよく分かる話ではあるのです。

しかしバイデン氏もずいぶん「老人過ぎるだろ」感を醸し出しておりますので、こちらも積極的に支持しづらいこともあるのです。

アメリカ国民にしてみるなら、「どちらもやめてくれ・・・」ということが本音になるのでしょうか。

東京都の都知事選もそうですが、もう「誰にも入れたくない!」というダメ立候補者ばかりなっておりまして、ほんまにいつまでこういうバカ選挙をし続けなければならないのかと思うと、暗澹たる気分になるのです。

ほんまに「どうしてこうなった・・・」のだろうかと・・・。
誰のせいなのだろうかと・・・。

ご紹介まで。

6月19日(金)

【ウイグル人権法案の件】

アメリカから一つの大きな決定のあったことが世界中に流されたのです。

◆NHK◆
トランプ大統領「ウイグル人権法案」署名 中国反発必至の情勢
(2020年6月18日)
 アメリカのトランプ大統領は、中国でウイグル族への人権侵害があるとして、これに関わった中国の当局者に制裁を科す「ウイグル人権法案」に署名し、法律が成立しました。
 「ウイグル人権法」は、中国の新疆ウイグル自治区で、大勢のウイグル族の人たちが不当に拘束されているとして、アメリカ政府に対しウイグル族の人権侵害に関わった中国の当局者に制裁を科すよう求める内容で、先にアメリカ議会の上下両院で可決されていました。
 これについて、トランプ大統領は17日、法案に署名し、「ウイグル人権法」が成立しました。
<以下略>

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この件につきましては、かつての大統領選にも立候補していたマルコ・ルビオ上院議員などの尽力で成立したようですが、アメリカの人権派の人たちの熱心な活動で中国政府に対して断固とした決意を表明するべく、まさに「正義のために立ち上がった」という格好なのです。

さて、これについて及川幸久氏が背景事情について詳しく分析してくれている動画をUPされていましたので、ご紹介したいと。

中国がどれほどウイグル問題で酷い、悪辣な政策を遂行しているのかが知れるのです。

本当にCCP(中国共産党)は大真面目に「民族浄化」的な、まさに人類の正義に反する最悪の政策を遂行しているのです。

◆及川幸久 クワイト・フランクリー◆
米国ウイグル人権法成立歴史的な一歩
(109,057 回視聴•2020/06/18)

中国は、本当に「世界の問題児」以外の何ものでもない存在になり下がっているのです・・・。

ご紹介まで。

6月18日(木)

【メルケル女史の失敗…】

世界情勢は日々刻々と変化しているのです。
新型コロナ禍に見舞われた世界は、今現在の目先では各国ともに自国の経済の立て直しに必死であり、あまり「世界の政治情勢」というものには目が向いていないようですが、しかし実際的には「中国問題」がこれまで以上に重要なファクターになっていることは疑いを入れないことでしょう。
というのも、今回のコロナ禍が「中国発」のものであることが厳然たる事実だからなのです。

そしてその中国ですが、先に香港問題を大きく変えるような法律を制定して、台湾問題までも視野に入れてこれまでの政治スタンスを大きく変えてきているのです。
つまり、「今後は香港も台湾も、腕づくでも言うことをきかす」という決意を見せたということなのです。

そういう国際社会での問題児になりつつある共産主義独裁国家である中国と、いかにも親密なままにこれからも乗り切って行こうとするドイツの在り方には、自由主義諸国でもクエスチョンを付ける向きが多かったのですが、これまではどういう訳かスルーされてきていたのです。

しかし、ここにきてドイツ国内から、そういうメルケル氏の方針に対して真正面から批判する動きが出てきているらしいのです。

ドイツからいつも優れた記事をレポートしてくれている川口マーン女史の一文をご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
ドイツの「2大タブー」に切り込んだあるドイツ人学者の新聞記事
~やはりメルケルの中国政策は失敗だった~

(川口 マーン 惠美 2020.06.12)
■中国とメルケルを痛烈批判
メルケル独首相ほど中国と良い関係を保ち、中国から誉めたたえられている先進国の首脳はいない。当然、ドイツの他の政治家はもちろん、主要メディアも、本当に的を射た中国批判はしないことで知られている。

しかし、そんなドイツで、ほぼ唯一、中国について、堂々と他紙とは違った認識を著す主要メディアがWelt紙だ。Welt紙は、人権問題も、香港問題も、最近ではコロナの問題でも、中国に遠慮はしない。

そのWelt紙のオンライン版(6月9日付)に、「『本質的な問題はメルケルの中国政策である』」というタイトルの記事が載った。タイトルの下にある写真は、メルケル首相と習近平主席が、両国の国旗の前で握手をしている写真。

この記事がなぜ斬新かというと、これまで同紙は中国で起こっている理不尽を報道していただけだったのに比べて(それだけでも立派だが)、今回は、中国の横暴に歯止めがかからなくなっているのはメルケルの対中政策が原因であると指摘した研究者のことを紹介しているところだ。

これは、ドイツでタブーの中国批判だけにとどまらず、やはりドイツでタブーのメルケル批判でもある。あまりに衝撃的だったので、今回は、この記事を紹介したいと思う。

このドイツ人研究者はアンデレアス・フルダ(Andreas Fulda)氏。現在、英ノッティンガム大学の助教授だ。専門は民主主義政治で、ヨーロッパと中国の関係を研究しており、中でも独中関係に特化している。博士論文のテーマもそれだった。

21世紀の初め、中国はまだドイツ人の興味の対象ではなく、北京で起こっていることがドイツに影響を与えるなど想定外。政治家たちの間でも、「中国」は票にならないというのが常識だった。ところが今では、経済政策も、インフラ建設も、もちろん国際機関での駆け引きにおいても、すでに「中国の呼吸の一つひとつをドイツが気にしている」とフルダ氏。

そうするうちに中国はその政治的性格を変え、デジタルによる監視、少数民族の抑圧、香港自治の無視と、全体主義国家としての完成を遂げつつある。

「さらに大きな問題は、中国のこの変容がドイツの政治家に認識されていないこと」。「ベルリンでは北京を今なお“戦略的パートナー”とみなし、中国の全体主義的傾向について言及することを徹底的に避けている」。

ドイツの対中政策の肝は、以前から“交易による変革”だ。これは、商売をしているうちに、中国もだんだん国を開かなくてはならなくなり、自然に民主化されていくという理論。しかし、それが誤りだったことは明らかだ。フルダ氏いわく、今や「ドイツの対中政策は現実から遊離してしまった」。

■メルケルの失敗に付き合うべきではない
4月、フルダ氏は、「共産主義政府の行っている恐怖政治は、中国の市民と世界を危険に陥れる」というタイトルの書簡を公開した。主な内容は、中国政府が新型肺炎の発祥をいかに隠蔽したかというものだ。200人以上の政治家と科学者が賛同の署名をしているという。

さらに、氏はインターネットで、「ヨーロッパは、ドイツの“交易による変革”という失敗の政策にこれ以上つきあうことはできない」というタイトルのプラットフォームを立ち上げ、署名を集め始めた。こちらはコロナではなく、ドイツの対中政策に焦点が当てられている。

フルダ氏がいうには、「今回、香港に導入される予定の『国家安全法』により、1984年に中国と英国の間で結ばれた『一国二制度』が踏みにじられようとしているのに、EUはそれに対してほとんど反応していない」。

「メルケル首相は、中国共産党政権の支配が、中国だけでなく、全世界での平和、安全、公衆衛生を、いかに危険に陥れているかを理解していないようだ」。「我々は、中共軍が台湾に侵攻するまで何も言わずに待つつもりなのか?」。

世の中では、イタリアやギリシャの中国との接近ばかりがしばしば批判されているが、氏の見るところ、真の問題はドイツの対中政策だ。というのも、ドイツの対中政策は、完全に交易の利益を元に作られているからだ。

商売を邪魔する要素は無視するというのがドイツ人のやり方であることは、私もすでにいろいろなところで書いてきた。もちろん、それで一番儲けたのがドイツである。しかし、そうなると、他の国も同じようにしなければ、儲けに有り付けなくなる。ドイツの対中政策がヨーロッパ全体に影響しているというのはそういう意味だ。

しかも、メルケル氏が中国と仲良くし、トランプ米大統領を毛嫌いし続けた結果、現在、米独関係が最悪になっている。そして、それも、ドイツのみならず、ヨーロッパ全体の国益を損ねている。

フルダ氏は、メルケル首相は、習近平主席の方がトランプ大統領よりもましだと思っているだろうというが、メディアもそう解釈できる報道ばかりするため、多くの一般国民もそう思っているはずだ。

■ドイツメディアは完全に無視

[…略…]

本稿を書くために、フルダ氏のことを調べたのだが、中国情勢や香港の動乱の解説などをしている数多くのビデオがあり、英国ではかなり注目されている学者であることがわかる。ただ、ドイツ語で出てくる彼に関する記事は、このWelt紙のものだけで、他はすべて中国語と英語で、イタリア語が少しだけ。つまり、ドイツでは、彼の公開書簡はもちろん、署名運動のことさえ一切報道されていないようだ。

氏は、去年の8月に『The Struggle for Democracy in Mainland China, Taiwan and Hong Kong: Sharp Power and its Discontents (China Policy Series) 』という著作も上梓しているが、これもドイツ語は未翻訳。ドイツメディアは、彼を完全に無視している。

そのフルダ氏、現在、殺害予告をも含めた熾烈な攻撃にされされているそうだ。彼の名前で偽のメールも発信されているという。拘束される可能性が大きいため、もう中国にも香港にも行けない。氏の主張していた、中国政府がいずれヨーロッパ人の自由まで危険に陥れるということが、現実になっている。

それでも現在、ドイツメディアが熱心に報道しているのは、香港でも台湾でもなく、アメリカの反差別デモばかり。しかも、なぜかトランプ大統領が悪者とされている。日本でも、親中派の行動はときに眼に余るが、ドイツの親中政治家やメデァアも負けていない。この調子では、フルダ氏の声が広くドイツ国民の耳に届く日は、まだまだ遠いだろう。Welt紙には頑張ってほしい。<了>

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長くドイツ帝国に君臨していたメルケル女史ですが、ことこの中国政策については大きく見損じていたようです。

さてドイツ、これからどういう風にドイツに対峙して行くつもりなのでしょうか。
ポストメルケルが誰になるかも含めて、こちらもアメリカ大統領選と同様に注目するべき重要ファクターではあるでしょう。

ご紹介まで。

6月17日(水)

【亡くなったときにこそ人は評価される】

世の中には多くの社長、経営者がいるのです。
その中にはボンクラの2代目社長も多くいるでしょうが、初代には優れた人格や思想の人が多いのです。

そんな優れた大物社長にファミリーマートを率いる澤田貴司氏がいるのです。
氏のインタビューを記事にしたよ見応えのある記事が東洋経済オンライン誌上に掲載されていましたので、ご紹介したいと。

◆東洋経済オンライン◆
父親の葬儀で知った「人は何のために働くのか」
~20年前の辞表がつないだファミマ社長就任~

(上坂徹 2020.6.17)
成長の鈍化、店舗数の飽和、24時間営業問題、人手不足……。逆風が吹き荒れるコンビニ業界だが、その厳しさを最初から承知して3兆円もの巨大ビジネスの変革を引き受けた男がいる。ファミリーマート社長の澤田貴司だ。澤田は2016年9月に社長に就任しているが、この直後のインタビューで、すでに問題を指摘していた。それなのに、なぜあえて社長を引き受けたのか。そこには、実は20年以上前から持っていた、澤田の小売業への熱い思いがあった。その「思い」を、このたび『職業、挑戦者:澤田貴司が初めて語る「ファミマ改革」』を上梓した上阪徹氏が明らかにしていく。

■もう二度と逃げない
・・・
澤田は27歳で父親を亡くしている。まだ59歳。教育者だった。好きだった山歩き中の転落死だった。

「驚いたのが、葬儀でした。人口2000人ほどの小さな村で、約2000人の方が来てくださったんです。しかも僕に、『お父さんには本当にいろんなことをご指導いただいた』『何から何までお世話になった』と初めて会う人たちが声をかけてくださって」

衝撃を受けた。父親は、自分の知らないところで多くの人たちを支援していたのだ。

「死んでから人に感謝されるのは、すごいことだと思いました。亡くなったときにこそ、人は評価されるのかもしれないな、と。たくさんの人に感謝してもらえるような生き方をしたい、と」

父親が利害関係のない周りの人たちに慕われたのは、きっと日頃から周りの人の幸せを優先するという「利他」の精神で生きた証しだろうと澤田は思った。

「いまも僕には、自分さえよければいいという『利己』の部分がたくさんあります。でも、実際には、人のことを幸せにしないと、自分は幸せになれないんですよ。人に感謝すること、人のために尽くすことが、いかに大切か。親父の死が、それを教えてくれました」

<以下略>

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「人を幸せにしないと自分が幸せになれない」
「人のために尽くすことがいかに大切か。親父の死がそれを教えてくれた」

突き詰めれば、「利他の精神で生きることがその人を幸せにする根源である」となるでしょうか。

人はどうしても、他人の幸せより自分の幸せを優先して考えてしまいがちなのですが、真実は逆であると。

幸せになりたければ、まずもって人を幸せにすることを考えよと。

素晴らしい思想であるなと。

ご紹介まで。

6月15日(月)

【アメリカの極左の闇(2)】

今日もアメリカから「黒人男性が警官に撃たれて死亡」というニュースが入ってきたのです。

米アトランタで警官に撃たれ死亡した黒人男性、背中に2発


これはますますややこしい状況になる要因になってしまうのでしょうか。

さて、前回「シアトル占拠」問題をご紹介したが、それについて色々詳しく解説してくれているサイトを見かけたのです。

及川幸久氏という方ですが、なかなか素晴らしい考察のように思われましてご紹介したいと。

◆及川幸久 クワイト・フランクリー◆
スコミが報道しない人種差別反対デモの正体シアトル自治区
(15分10秒 2020/06/13)

◆及川幸久 クワイト・フランクリー◆
黒人差別デモで報道されない香港警察の暴力
(18分30秒 2020/06/14)

問題はシアトル市長(ジェニー・ダーカン氏)にありそうなのですが、その他にも極左系の政治家がどうも大きな影響力を行使しているようでありまして、中でもクシャマ・サワント議員(社会主義オルタナティブグループのメンバー)という女性が背後で実行部隊を操っているとか。

そして及川氏が強調しておりますのが、「黒人差別反対デモを極左が政治利用していることが大問題。つまりこれを利用してトランプ氏を大統領選で負けるように仕向けているだけだと。そして大手マスコミがそれを追及しようとしていないのも大問題。香港警察の同じような暴力行為もマスコミは無視している。なぜか」と。

そして及川氏はアメリカのNBAのスター選手であるレブロン・ジェームズ氏の名前を出して、「NBAやスター選手も中国マネーににしてやられている」と警告もしているのです。

果たしてANTIFAそのものに中国マネーが入っているかどうか、そこまでは分からないのですが、しかし、あのハーバード大学までもが中国マネーにやられている現実を見るなら、ANTIFAなどの左派系活動団体に中国が触手を伸ばすのはむしろ当然な話ですので、その可能性はきっと高いのだろうと推測されるのです。

いやいやいや、それにしてもアメリカの極左、そこまで行かなくても民主党系の政治家諸氏はみな中国マネーにどっぷり浸かっているような感じでありますので、果たして大丈夫なのかと心配になるのです。

クリントン夫妻にかなりの中国マネーが流れているということは周知のことなのですが、バイデン氏の息子氏にもどうも多額の中国マネーが入っているとかで、危ないのです・・・。

いやいやいや、人格はともかく、やはりここはトランプ氏に再選してもらわなければしょうがないのでしょうか・・・。

世界情勢はほんまに難しいのです・・・。

ご紹介まで。

【参考】
バイデン氏息子、中国投資会社の取締役辞任も「数百万ドル資産保有」
(2019年10月15日)

6月13日(土)

【アメリカの極左系の闇】

5月末より、アメリカでは黒人差別に反対する抗議デモや、それに付随する過激な反政府活動が活発化しているのです。

何より驚かされたのが「シアトル警察署が過激派により占拠される」というニュースです。

<youtube動画>
◆NTDtv◆
極左勢力が「シアトル占拠」
大統領は無政府状態の解決を促す

(2020年6月13日、3分11秒)

◆YAHOO!JAPANニュース◆
米デモ、シアトルに「自治区」 一帯占拠、大統領が非難
6/12(金)8:37配信
【ロサンゼルス共同】米中西部ミネソタ州での白人警官による黒人男性暴行死事件への抗議デモに絡み、西部ワシントン州シアトルでデモ隊が警察管区の建物周辺を占拠し「自治区」を設置したと主張している。インズリー州知事は11日、大きな混乱はなく「平和的解決策が見つかると期待している」と強調。トランプ大統領は対応を非難し介入も辞さない姿勢で強硬な対応を迫っている。
 トランプ氏は10日「国内のテロリストがシアトルを奪い取った。操っているのはもちろん急進左派の(野党)民主党員だ」とツイッターに書き込み、シアトルでの占拠を問題視している。<了>

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◆YAHOO!JAPANニュース◆
市議会、警察解体を宣言 男性暴行死受け 米ミネソタ州
6/8(月) 14:37配信
【ワシントンAFP時事】米ミネソタ州ミネアポリスの市議会議員団は7日、同市で黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官による暴行で死亡した事件を受け、市の警察組織を解体し、再生すると宣言した。
 フロイドさんの死亡で、市警の人種差別的行動に反対する抗議活動が全米各地に拡大。デモ隊の一部からは警察を維持するための資金拠出を停止すべきだとの声も上がっている。
 ベンダー市議会議長はCNNテレビに対し、「ミネアポリス市警を解体する決意だ。真の社会の安定を実現するため、公共の安全の新しいモデルを構築する」と述べた。また、カノ市議会議員はツイッターで、市警は改革が難しく、現在の警察組織を終わらせるべきだとの意見が賛成多数を占めたことを明らかにした。
 ミネアポリスでは昨年にも、オーストラリアの白人女性を射殺した市警の警察官が禁錮12年6月の判決を受けている。<了>

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「市の警察組織を解体し、再生する」とか、これはもう無政府主義者(アナーキスト)のやることじゃないでしょうか。

経済アナリストのエミン・ユルマズ氏もツイッターで次のように述べているのです。
「ミネアポリス市議会は警察を廃止。コミュニティー主導の公共安全システムに切り替えるとのこと。カッコよく聞こえるけどお金持ちのところは銃を持った警備員を雇い、貧乏なところは警察がいなくなってカオスになるということです」と。

しかしNewsweek誌ではこれを「悪いのはトランプだ」というような記事にしているのです。

◆Newsweek◆
全米抗議デモでトランプが「宣戦布告」した極左集団アンティファの脅威は本当か
(サム・ポトリッキオ 2020年06月10日(水))
<共和党も無政府主義的と非難する勢力の意外な実態と怖れられる真の理由>
 警察官に首を押さえ付けられて死亡したジョージ・フロイド事件に対するアメリカでの抗議活動は激化の一途をたどっている。
 このデモの背景に極左集団アンティファの存在がささやかれているが、実態を見れば本当に恐ろしいのは「彼ら」を不必要にテロリスト扱いする現政権と、マイノリティー化を恐れる白人至上主義者の存在だ。
・・・
 にもかかわらず、トランプは白人至上主義者による暴力とその被害には関心を示さず、アンティファが今回の暴動騒ぎで器物損壊行為に関与したという証拠のない陰謀論を耳にすると、すぐさま彼らにテロリストのレッテルを貼ろうとした。法と秩序を守るべき警察官による黒人男性殺害に対する抗議の声を、トランプは独裁者のように振る舞う機会として利用した。
 この6月初めの行動は、現代アメリカ民主主義に対する最も明白な挑戦だ。6月1日、ホワイトハウス前では黒人への差別反対を訴える「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事)」運動の参加者が平和的なデモを行っていたが、トランプは彼らを催涙ガスで排除するよう命じた。理由はただ1つ、全員白人のスタッフを引き連れて教会まで歩き聖書を持つ自分の姿を写真に撮らせるためだ。教会指導者はトランプの行動を非難する声明を出した。
・・・
 トランプが「黒人の命も大事」やアンティファを脅威と見なすのは、白人至上主義にとっての脅威だからだ。トランプのコアな支持層は、人口動態の変化に不安を抱いている。50年前はアメリカ人の88%が白人だったが、数十年後には少数派になる。いま白人で最も多い年齢は58歳だが、アジア系は29歳、黒人は27歳、中南米系は11歳だ。
 トランプは、白人が多い支持層の恐怖と不安をあおることが再選の鍵だと理解している。2020年はアメリカ最大の試練の年になるかもしれない。
<2020年6月16日号掲載>

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さて、この件を及川幸久氏がご自身のユーチューブチャンネルで解説してくれているのが、とても参考になりましたのでご紹介したいと。

◆及川幸久 クワイト・フランクリー◆
マスコミが報道しない人種差別反対デモの正体シアトル自治区
(15分10秒 2020/06/13)

◆及川幸久 クワイト・フランクリー◆
黒人差別デモで報道されない香港警察の暴力【及川幸久−BREAKING−】
(18分30秒 2020/06/14)

問題はシアトル市長(ジェニー・ダーカン氏)にありそうなのですが、その他にも極左系の政治家がどうも大きな影響力を行使しているようでありまして、中でもクシャマ・サワント議員(社会主義オルタナティブグループのメンバー)という女性が背後で実行部隊を操っているとか。

そして及川氏が強調しておりますのが、「黒人差別反対デモを極左が政治利用していることが大問題。つまりこれを利用してトランプ氏を大統領選で負けるように仕向けているだけだと。そして大手マスコミがそれを追及しようとしていないのも大問題。香港警察の同じような暴力行為もマスコミは無視している。なぜか」と。

そして及川氏はアメリカのNBAのスター選手であるレブロン・ジェームズ氏の名前を出して、「NBAやスター選手も中国マネーににしてやられている」と警告もしているのです。

果たしてANTIFAそのものに中国マネーが入っているかどうか、そこまでは分からないのですが、しかし、あのハーバード大学までもが中国マネーにやられている現実を見るなら、ANTIFAなどの左派系活動団体に中国が触手を伸ばすのはむしろ当然な話ですので、その可能性はきっと高いのだろうと推測されるのです。

いやいやいや、それにしてもアメリカの極左、そこまで行かなくても民主党系の政治家諸氏はみな中国マネーにどっぷり浸かっているような感じでありますので、果たして大丈夫なのかと心配になるのです。

クリントン夫妻にかなりの中国マネーが流れているということは周知のことなのですが、バイデン氏の息子氏にもどうも多額の中国マネーが入っているとかで、危ないのです・・・。
【参考】バイデン氏息子、中国投資会社の取締役辞任も「数百万ドル資産保有」
(2019年10月15日)

いやいやいや、人格はともかく、やはりここはトランプ氏に再選してもらわなければしょうがないのでしょうか・・・。

世界情勢はほんまに難しいのです・・・。

ご紹介まで。

6月12日(金)

【今日の香港は明日の台湾】

なぜ中国はアメリカを刺激してまでも台湾を我がモノにしようとするのか?

「もしも中国側が台湾の武力統一を決断した場合、アメリカ軍は台湾を守るだろうか? 守らないだろう。なぜなら、太平洋の反対側の一つの島のために、中国と全面戦争することなど、アメリカの有権者は望まないからだ。それは、2014年にロシアがクリミア半島を併合した際、NATO(北大西洋条約機構)軍が出動しなかったのと同じだ。逆に中国では、どんな犠牲を払ってでも、14億国民が諸手を挙げて、台湾統一事業に賛同するだろう。だからわれわれは、アメリカが何と言おうと、台湾統一に向けて行動を進めていく」

上の一文は現代ビジネス誌上での近藤大介氏の記事の一節です。

蔡英文民進党革命」進む台湾が、「米中新冷戦の火薬庫」になる日

今は香港問題がクローズアップされているのですが、実は中国は「香港」より「台湾」の方を重要問題として位置付けているようなのです。

台湾人はそういう事情を知っているので、「今日の香港は明日の台湾」ということで危機感を募らせているとか。

それにしても中国共産党の「覇権主義」というのでしょうか「対外膨張主義」というのでしょうか、それはかつての「ソ連」と本当に似たようなスタンスに見えるのです。
その理由は結局「共産主義だから」ということになるのでしょうか。

藤原かずえ女史が11日付けのツイッターで次のように述べているのですが、同意したいと。

「世界が中国に強い懸念を持つ中、機は熟したと言えます。世界が結束して中国包囲網を形成できるかどうかのポイントは、日・独・伊・仏です。安倍首相がG7共同声明をまとめる意義はここにあります。平和裏に中国共産党を崩壊させることは、この時代の人類の使命と考えます」と。

いずれにしてもCCP(中国共産党)の水面下での動きは民主主義諸国への挑戦のように映ることは間違いないのです。

そしてもう一文、今度は長谷川幸洋氏の記事の中からご紹介したいものが。

「これは「明日の北京」かもしれない。その証拠もある。中国共産党の幹部たちは絶対に口にしないが、自分たちの人民元をまったく信用していない。みんな米ドルに変えて、米国やカナダ、英国などに隠している。あるいは、ダイヤなどの宝石に変えている。いざとなったら、持って逃げるためだ。そんな中国がいくら空威張りしようと、米国に勝てるわけがない。中国が調子に乗れば、米国はいずれ「米ドルとの交換停止」という宝刀をチラつかせるだろう」

CCPの幹部たち自身が、自分たちの国の通貨「元」の弱さを痛感しているとか。そしてそれゆえ「米ドル」に資産を移しているという。

中国という国の根幹をなしているCCPの幹部連中自らが、自分たちの国を信用していないのです。いざとなったら「国より自分」なのです。みんな自分の資産を国外に移管して、つまり「逃げ切り」を図っているのです。

そういう幹部たちがほとんどだという現実が、中国共産党の正体であるという。

そう考えるなら、藤原女史ではないですが「そういう中国共産党を崩壊せしめることが人類の使命」という言葉が、空言、戯言でないことが痛感させられるのです。

日本は、安倍首相は、そういう根幹をしっかりと見つめて、日本と世界を誤った方向に導かないように頑張って頂きたいものであると。

そして中国国民自身にも、しっかり目を開いてもらって、自国の政府政権が世界に大きな不安と不満を与えている現実を自覚してもらいたいものなのです。
14億国民が諸手を上げて「台湾統一事業に賛同する」などとなっては困るのですから。

ご紹介まで。