【日本の進むべき道】 

2019.8.22

代表理事 無尽滋、常務理事 井上和明

2017年、アメリカでトランプ政権が誕生しました。2018年に追加関税で対中強硬策が顕在化し、さらにペンス副大統領によるハドソン研究所での講演で、改めて宣戦布告のような形で対中対決の構図を世界に宣言したのです。それを機に世界の政治状況が一変しました。この対中強硬策は、「新冷戦」であり「米中戦争」の始まりと捉えられています。それは確かに単なる貿易戦争ではなく、実際上の武力による戦闘行為を伴っていないだけで、事実上の「戦争」に突入したと認識すべきでありましょう。

アメリカは戦後一貫して対中政策としては親和策をとり続けてきました。ある意味では中国を育ててきたとも言えます。アメリカの仮想敵国はソ連であり、これは西側自由主義諸国対東側共産主義諸国という体制間のヘゲモニー争いでもありました。そして1991年、ソ連の崩壊によりそれは終結しました。しかしアメリカには新たな仮想敵国が立ち現れたのです。それが、自らが仲間になると認識して保護的に扱ってきた中国です。

しかしその中国は、覇権の野望を腹に隠してなりふり構わない手段で力をつけ、ついに「モンスター」に変貌したのです。中国はアメリカの描いた都合の良い方向に向かわず、むしろ逆らったのです。ご存知のように中国の戦略「100年マラソン」は米国と交代してグローバル超大国になろうとする中国の秘密戦略で、その間紆余曲折はあるにしても最終的には100年後に勝利をつかもうとする戦略です。それは決して侮れない遠大な国家戦略といってよいでしょう。そういう意味でも今回の米中戦争は、文字通り「アメリカ対中国」という二大強国のヘゲモニー(覇権)争いなのです。

一方、トランプ大統領はアメリカの外交戦略を大幅に見直して、アメリカはもはやかつての「自由主義諸国の盟主」としての力を失い、一国で世界の警察を担うことはアメリカの富を失うことであるとして、半ばそれを放棄して、アメリカNo.1を維持するために「各国の自助努力で防衛策を考えるように」というスタンスに舵を切り始めました。当然、日本の対アメリカのスタンスも大きく見直されなければならない情勢になってきたのです。

こういう状況の中、日本がとるべきスタンスはどういうものでしょうか。最低限言えることは、日本がいつまでも結論を出さないで優柔不断な対応に終始し、様子見をしつつ態度を決めていこうとするなら、それは良くない方向性であろうということです。それは、同盟国アメリカからの信頼を失う最悪なものになるでしょう。そうではなく、むしろここは積極的に「自主防衛」を標榜した方が戦略的に得策であると言えましょう。

この米中戦争は、別の見方からすれば「ナショナリズム対グローバリズム」の戦いとも言えるでしょう。トランプ大統領は「グローバリゼーションは一国の富を増やすのではなくグローバリストの富を増やすだけである」ということに気が付いたのです。これに基づく「格差の拡大」については、世界的にもどこの国の国民も大きな不満をいだくようになっています。トランプ大統領も、このままグローバリズムの席巻を放置することはしないと決意しているようです。

以上、トランプ大統領率いるアメリカは、①中国との覇権争い、軍事的優位確保、②アメリカ国内を主流とするグローバリズム(ユダヤ金融資本)との戦い、③世界の反アメリカの封じ込め、といった困難で大きな課題に正面から立ち向かっているわけです。

そうであれば、日本は本当にいつまでアメリカの属国的な立場を甘受し続けていればいいのでしょうか。さすがにもうそろそろ日本にとって都合の良い「安上がりの安全保障」という政策を、ドラスチックに変更しなければならない時期に立ち至っていると認識するべきでないでしょうか。今、日本は戦後最大級とも言えるほど重大な局面に立たされているのでないでしょうか。

しかし、そういう重大問題が目の前にあるというのに、既存マスコミはそれを(敢えて言えば意図的に)全然話題にしようともしないのです。彼らはこれを危機として認識していないかのようにさえ見えます。特にテレビが前時代のままに無自覚(結果的に反日的)に動いているのです。

そういう大きなイシューが地上波テレビや新聞などのマスコミにおいて真面目に論じられることもなく、マスコミは目先の「韓国事情」や「香港事情」、あるいは「N国」だの「れいわ新選組」、さらには「芸能話題」や「事件事情」という大衆受けする刺激的な話題だけを追い求めて、隠された真実の動きから国民の目をそらさせようとしているかのようです。正に共産主義・社会主義の常套手段にまんまと乗せられているかのように見えます。

そういう無責任で軽薄な既存マスコミに対して、ユーチューブ動画を主戦場とする新保守の立場の論客たちは元気です。危機感をもって真剣にこれに立ち向かおうとしています。チャンネル桜や林原チャンネル、あるいはDHCチャンネルなど(他にも松田学チャンネルなどの個人ユーチューバーなども含め)、みな、気鋭の論客を揃えて日々刺激的な言論を展開しています。これまで情報は新聞・テレビなど大手マスコミが一手に掌握していましたが、それらマスコミには実はブラインドがかかっていることを大衆は見抜くようになっています。ツイッター、ユーチューブ動画等で政治家や知識人が直接話しかける方が、バイアスがかかることなく正確に情報が伝わるのです。時代はそういうユーチューブ動画などのネット配信に大きくシフトしつつあります。

そういう中、日本のとるべき道は
①中国(共産党)の覇権主義を阻止するべく動く。
すなわち、中国が世界のリーダーになることは日本がチベット、ウイグルと同じになるという事を意味するので、それは断固退けなければならない。
②アメリカの主導するナショナリズムに乗りグローバリズムを阻止する。
グローバリズムの行きつくところは論理的には、一つの超巨大なグローバル企業複合体の出現であり、それが世界経済の頂点に立つことになる。その結果、世界経済はもちろん、世界の政治も司法も軍事力も情報もマスコミも、さらには国家でさえも巨大なグローバル企業に支配されることになる。日本も赤子の手をひねるように飲み込まれる。それは断固阻止しなければならない。
③アメリカの支配から脱却して日本独自の政策をとれる状態にする。
戦後の日本は敗戦国としてスタートし、戦勝国アメリカに隷属してこざるを得なかった。しかしトランプアメリカはナショナリズムを提唱し、日本にも相応の軍隊を持たせ、台湾、フィリピン、オーストラリア等と協力して中国防衛ラインを構築することを展望している。今こそ日本が戦勝国アメリカの隷属国家から脱却できる絶好のタイミングである。
④マスメディアを含め日本を貶めるグループに対抗する。
戦後二度と日本をリージョナルリーダーにさせない仕掛けを張り巡らした結果でもあるが、日本周辺の反日国家へのプロパガンダ対策も含め、粘り強く国民に日本の誇りを取り戻す努力を継続するということが必要である。(※あるネットで見たのですが若者に日本を作った人は誰ですかという質問に正解したものは2%だそうです。しかもマッカーサーと答えたものもいたそうです。教育を含め、「日本を取り戻す」ことが必要です。)
の4項目でしょうか。

そのためには当面、政財官が一体となってアメリカと歩調を合わせる以外にないと考えます。なぜなら今まで見てきたように、アメリカの生き残りをかけた戦いの方向感と日本の国益を守る方向感とは完全に一致するからです。そこで、アメリカが一人単独で中国と戦うことを傍観するというより、日本が積極的にアメリカに協力して共に戦うことが重要であると考えます。

アメリカに、「日本の救けがあってこの戦いに勝利する事ができた」と認識させること(イコール、アメリカが戦勝国として日本を認めること)によってのみ、日本の活路は見えてくると思うからです。財界などは単に損得勘定だけで反日国家である中国や韓国と目先の商売をしているのですが、そのような軽薄な態度は改めてもらわなければならないでしょう。そういう財界や、目先の利得だけを重視するような大衆には、今、日本は戦争状態であることを意識付け、この戦争に勝つことが日本にとって如何に重要であるかを強く認識してもらわないといけません。

どの戦いも決して簡単なことではありません。むしろ大きな困難を伴うシビアな戦いでしょう。しかしトランプ政権が永遠に続くわけではありません。中国もグローバリストも死活問題なので必死に抵抗するでしょう。そういう意味では、つまりトランプ氏が大統領に留まっている今こそが、旗幟鮮明にして果敢に行動することによって日本の活路を見出す戦後最大のチャンスの時期であると言えるのではないでしょうか。時代はきっと想像以上に風雲急を告げているのです、そして日本は伸るか反るかの重大な決断の時を迎えているのでないでしょうか。<了>