事務局コラム

~事務局次長の良記事紹介&個人的雑感~

6月11日(木)

【デモと暴動の真実】

ジャーナリストの小森義久氏のたいへん興味深い一文がネット上にUPされていましたので、ご紹介したいと。


◆Japan In-depth◆
~古森義久の内外透視~
アメリカでのデモと暴動の真実とは
(古森義久:ジャーナリスト・麗澤大学特別教授 2020/6/4)
【まとめ】
・トランプに黒人差別の実例なし。反対勢力が意図的な政治宣伝。
・黒人の利益を代弁すると称する勢力が、略奪や破壊繰り返す。
・暴動の裏に左翼過激派「アンティファ」の暗躍。

アメリカでの白人警官による黒人容疑者への暴行致死事件を契機とした抗議活動は日本でも大きく報道されるようになった。

「強硬トランプ氏に反発」「首都で平和的抗議に催涙弾」「トランプ氏は挑発的行動」・・・と、いずれも朝日新聞記事の見出しだが、もっぱら非はトランプ大統領にあるという論調も目立つ。

だが現地での実態は異なるようである。各都市でのデモは暴動や略奪となって、一般の商業施設などが大幅に破壊されているのだ。だからトランプ大統領の対応も当然、「法と秩序」の維持のために違法行動を取り締まるという基本線になるわけだ。しかも暴動の背後では暴力革命を唱える過激派左翼組織の動きも明白となってきた。

日本の主要メディアの論調は例によってアメリカの反トランプ・メディアの基調をなぞって、「トランプが悪いから」という浅薄な非難に傾いている。つまりトランプ大統領が黒人差別や貧富の格差を強め、そこにコロナウイルスでのこれまたトランプ政権の誤った対応が加わって、アメリカ国内の分裂を深め、黒人など少数民族の不満を増大したために、こんな騒動が起きるのだ――という趣旨の「人種差別抗議説」である。

ところがいまアメリカで起きていることは上記の推測の構図とは異なる。

まず今回の騒動の契機となった事件が起きたのはミネソタ州、全米でも最もリベラル色、民主党傾斜が強い地域なのだ。そのミネソタ州でふだんから黒人への差別が顕著だったという事実はない。たまたま白人の警官が黒人の容疑者に過剰な力を加えたという犯罪事件だったのだ。

ましてトランプ大統領が就任して3年半、黒人など少数民族を明らかに差別した政策をとったという事実はない。もしあるのならば、提示してほしい。反トランプのメディアがトランプ氏の片言隻句を捕らえて「トランプは黒人を差別している」と断じるだけなのだ。その背景には黒人層は歴史的に民主党支持が多いという事実がある。だから黒人のなかでトランプ嫌いという人は多い。

かといってトランプ大統領が具体的に黒人差別の法律や条例を作ったという実例はない。むしろ政権の閣僚や枢要ポストに黒人の男女を起用した実例も多い。

ただし一般的には黒人の側に長年、差別されてきたという意識はなお強いから、今回のように「黒人だから虐待された」と思える事件が起きれば、全米の黒人層が過敏に反応する傾向はあるわけだ。1960年代から2010年代まで、その種のトラブルが全米規模に広がる例は多かった。それらの実例は時の政権が共和党か、民主党かの区別もなく、起きてきた。

しかし今回の事件はその黒人容疑者を虐待したとされる白人警察官の行動は犯罪とされ、当人は逮捕され、刑事訴追の手続きがすでにとられた。トランプ大統領もその白人警察官を明確に非難した。だがそれでもいかにもトランプ政権がこの種の黒人虐待を奨励しているかのような抗議の下でのデモや集会が広がるのはたぶんに共和党対民主党、保守対リベラル、そしてトランプ支持層と反トランプ勢力の政治的な対立のためだといえよう。

反トランプ勢力は今回の事件を利用して「トランプ大統領は黒人の差別や虐待を奨励する」という政治宣伝を広めようとするわけだ。

その構図では日ごろからトランプ大統領の動きにはすべて猛反対というトランプ叩きのメディア――ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、CNNテレビがその典型――が率先して、「トランプの人種差別」というイメージを濃縮して拡散してきた。

だがいまアメリカ各地で起きているのは黒人の利益を代弁すると称する勢力が単なる抗議デモだけでなく、違法な略奪や破壊を繰り返すという現象である。一般の商店に侵入し、商品を略奪する。ホワイトハウスのような公共の施設に乱入を図り、警官隊に暴力をふるう。市街にある自動車を破壊し、放火する。そんな無法の破壊行動なのである。

政府当局がこんな違法行為、犯罪行為を放置できるはずがない。どんな政府でも大統領でも自国内の「法と秩序」は守らねばならない。今回の「抗議デモ」が明らかに「無法な暴動や略奪」へとエスカレートしたことは明白だからである。

ミネソタ州で白人警官の虐待を受けて死亡した被害者の弟が同州ミネアポリス市の事件現場で周囲の人たちに訴えた言葉には重みがあった。

「みなさんの怒りは理解できる。でも私にくらべれば怒りは半分だろう。それでも私は物を壊したり、地域社会を破壊したりはしていない。なのに、みんななにをしているんだ」

被害者の弟は近くの民衆たちに破壊や略奪を止めることを求めたのだった。彼の言葉にはまちがいなく、今回の騒動の真実が反映されていたといえよう。

まして騒動を起こす側には危険な左翼過激派「アンティファ」の暗躍が目立ってきたのだ。この点についてはまた新たな報告で伝えよう。<了>

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アメリカでは今秋、大統領選挙があるのですが、この問題がどうも選挙の争点の一つに浮上しかけているとか。

トランプ氏にはどうもマイナス要因になりそうな感じなのですが、果たしてどうなるのでしょうか。

私個人としましては、日本にとってはバイデン氏よりトランプ氏に再選してもらった方がずいぶんいいのでないかと思っておりますので、この問題がトランプ氏の足を引っ張るようなことにならなければいいなと。

ご紹介まで。

 

6月6日(

【ワイドショーとコロナ対策の理系的考察】

気鋭の理数系評論家、藤原かずえ女史による「データとロジックで読み解く日本モデルの分析」というテーマでの一文がネット上にUPされておりまして、たいへん読み応えのある考察でしたのでご紹介したいと。

◆月刊Hanadaプラス◆
致死率と死亡率を混同 危機煽るワイドショー|藤原かずえ
(2020年06月02日 公開)
日本は世界の主要国に比べて死亡率が極めて低い。にもかかわらず、日本国民の日本政府への評価が低いのはなぜなのか。ひとつの理由が、常識的な安倍政権のリスク管理をワイドショーがヒステリックに罵倒し、情報弱者をミスリードしたことにある――。新型コロナをめぐる日本政府の一連の対応を、データとロジックで読み解く!日本モデルは成功したのか、それとも――。

目次
● 新型コロナはブラック・スワン
● 矛盾した中国共産党の勝利宣言
● 感染を遅らせた“日本モデル”
● 中国以外からの流入でまさかの事態に
● 致死率と死亡率の混同
● なぜ日本は政府への評価が低いのか
● 「経済よりも命」というありがちな主張
● 安倍政権で自殺者が1万人も低下
● 民主主義国の日本がとるべき道

<以下略>

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藤原かずえ女史はご自身のツイッターでは羽鳥モーニングショーを厳しく追及、断罪しておられるのですが、公平に見ましても藤原女史の言説の方に「理がある」と思えるのです。

テレビが自分自身を厳しく自己批判することなど考えられないことですので、結局どんな番組(&コメンテーター)も言いたい放題で、その責任を追及されることなどないのです。

この藤原女史のように「ロジック」でそれを追及することは大いに意義あるグッジョブであろうと思われるのです。

ご紹介まで。

 

6月3日(水)

1.【米中対立の深層をえぐる】

香港問題を巡って、アメリカと中国の対立が先鋭化しているのですが、その問題と日本の今後の経済情勢などを含めて、専門家が質の高い議論を展開している動画がありましたので、ご紹介したいと。

どなたかのコメントに「日本の政治経済と国際情勢の現状と実情を知る上で最も正確で偏見無く重要な情報が得られる」動画と、ありましたがその通りの動画です。

◆NEWSチャンネル◆
【最新】長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル
#7『新型コロナ 米中対立🇺🇸🇨🇳どうなる?国際情勢と安倍政権🇯🇵』

(2020/6/2収録 57分)
司会:長谷川幸洋
メインコメンテーター:高橋洋一
中国 を中心に東アジアの豊富な取材経験を持つ講談社特別編集委員近藤大介氏と、アメリカ外交 に強い 同志社大法学部教授村田晃嗣氏を招き、新型コロナ後の米中対立を徹底討論!

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一見すると中国が攻勢に出ているようですが、実のところ追い込まれているのは中国の方でないのか、というような分析だったでしょうか。

太平洋戦争の開戦前には、日本がアメリカから追い込まれて「窮鼠猫を噛む」状態になって、いかんともしがたくついに開戦を決意するに至ったというような事情があるのですが、今日の中国も実は日本と同じような事情を抱えているのでないか、という話も・・・。

そうであるかもしれない、そうでないかもしれないのですが、いずれにしても一聴に値する優れた討論だったのです。

ご紹介まで。

2.【スタンレー・ホーの死】

何やら「マカオ、カジノの帝王」と呼ばれた人物が最近亡くなったそうなのです。
その名をスタンレー・ホーと言いまして、知る人ぞ知る20世紀香港の中国系ビジネスマンの大物だったとか。

今、香港が大変な歴史的岐路に直面しているのですが、この大物の死が
「香港とマカオにとって新たな殖民地の始まりを奏でるレクイエム…」のように聞こえてくる、という情緒あふれる一文がネット上にUPされておりましたのでご紹介したいと。

◆WEDGE Infinity◆
「マカオ・カジノ帝王の死」
(樋泉克夫:愛知県立大学名誉教授 2020.6.3)
 人の死は飽くまでも個人的なものである。だが個人的である死が、時として彼を育み、生きた社会環境、つまり一つの時代の終焉を暗喩することもあるだろう。

 2020年5月26日、香港島のハッピーバレー(跑馬地)に在るサナトリウム・ホスピタル(養和医院)で98年の人生を閉じたスタンレー・ホー(何鴻燊)の死を、内外メディアは挙って「マカオの帝王の死」「マカオのカジノ王の死」と報じた。

 だが一族の家系を遡り、波瀾の生涯を振り返るなら、やはり彼の死は「金の卵を産む鶏」を演じ続け、1世紀半を超える繁栄を謳歌してきた香港に黄昏が迫っていることを告げる晩鐘にも思えてくる。

 スタンレー・ホーは、上海のフランス租界の一角で中国共産党が結党された1921年、上海を遠く離れたイギリス殖民地の香港の超富豪一族に生まれた。共産党イデオロギーの対極にあった環境で生まれ育った彼だったが、その後半生を彩った華麗な企業家人生は不思議なことに共産党政権と歩調を合わせてこそ築かれたのである。

 祖父のホー・フック(何福)の兄に当たるサー・ロバート・ホートン(何東卿)は19世紀末から20世紀前半の英国殖民地行政を支え、“影の総督”として香港における政治・経済活動の全般に亘って圧倒的影響力を揮っていた。香港の超エリートとして、あるいは名誉英国民として、一族は殖民地香港に君臨し栄耀栄華を誇っていたのである。

 中国にとっては「屈辱の近代の起点」でもあるアヘン戦争の結果、1842年にイギリスと清朝間で結ばれた南京条約によって清国から切り離された香港は、イギリス殖民地としての歩みを始めた。

 18世紀半ばにイギリスで起こった産業革命が作り出した大量の綿製品の販路を、マンチェスターの生産業者は膨大な人口を抱える清国に求めた。清国の対外閉鎖体制を軍事力でこじ開け、国際市場に引きずり出し、巨大な消費市場に変質させる。殖民地化した香港を貿易拠点として、マンチェスター産の綿製品を売り込みを狙った。これがアヘン戦争開戦への動機の1つだった。

 殖民地化された香港には、「一攫千金の夢」を胸に抱く野心に充ちた欧州の若者がやって来た。大英帝国の圧倒的軍事力を背景に、彼らは中国にアヘンを売り込み、中国から「苦力」と呼ばれる無資本労働者を海外に送り出す。これが中国南部の名もなき小島を「金の卵を産む鶏」へと飛躍させ、莫大な富を生み出すキッカケだった。

 香港に住み着いた彼らが広東人女性との間で儲けた英中混血児の多くは家庭の外ではイギリス人としての教育を受け、家庭の内では中国人として育てられる。英中両言語を巧みに操り、英中両文化を身に付けた彼らはイギリス商社の買弁(代理商人)に就き、殖民地経営を下支えし、不動産、海運、保険などのビジネスに進出し、やがて香港経済の根幹を握ることになる。

 彼らの子弟は“もう一つの祖国”に送られ英国紳士として育ち、弁護士、医者、学者、企業家となって世界各地に移り住み、一族のネットワークを広げる。娘たちはイギリス人や中国人はもちろん、ユダヤ人やポルトガル人などと結婚し、様々な民族の血が入り混じった大家族に成長を遂げる。

 やがて香港を舞台にして、R・S・エレガントが描いた『DYNASTY 大王朝』(TBSブリタニカ 1981年)のような華麗なる一族――世界の王族と親交を結び、列強首脳と太いパイプを持ち、地球規模に張り巡らした人脈・情報ネットを駆使して国際ビジネスを展開する――が生まれるのであった。

 その頂点に立ったのが、当時の東アジア一円に強固なビジネス・ネットワークを張っていたジャーデン・マセソン商会で総買弁を務めたサー・ロバート・ホートンだった。彼はホー・ダイナスティー(何王朝)の“初代皇帝”として、イギリス殖民地の香港に君臨することになる。

 1927年に香港を訪れた魯迅は、当時の殖民地香港の姿を「中央には幾人かの西洋のご主人サマがいて、若干のおべんちゃら使いの『高等華人』とお先棒担ぎの奴隷のような同胞の一群がいる。それ以外の凡てはひたすら苦しみに耐えている『土地の人(原文は「土人」)』だ」(『而已集』人民出版社 1973年)と綴っている。魯迅が「高等華人」の代表にサー・ロバート・ホートンを思い描いていただろうことは想像に難くない。

 スタンレー・ホーに冠された苗字のホー(何)には香港に君臨した何一族の栄光が鋳込まれているゆえに、彼は香港を代表する企業家の誰にも真似のできないような“由緒正しき血統”を誇っているのだ。単なる「マカオの帝王」「マカオのカジノ王」ではないという強い自負が、彼を支えていたはずだ。たとえ「高等華人」の「高等」に魯迅特有の鋭い皮肉が込められていたとしても、である。

■父親が全財産を失う
 10代になったスタンレー・ホーを悲劇が襲う。

 殖民地経営の一翼を担っていた父親の何世光が株取引に失敗し全財産を失ったばかりか、一家は栄光の何一族から放擲されてしまう。日頃は相互扶助を掲げる一族の在り方に反するようだが、あるいは何世光が一族の家訓を破ったことで、「溝に落ちた犬に石を投げろ」とばかりの過酷な仕打ちを受けざるをえなかったのかもしれない。この時、スタンレー・ホー少年の心に芽生えたであろう二律背反的な心情――何一族に対する誇りと恨み――が、あるいは後の企業家人生を支えていたようにも思える。

 苦学して香港大学(理学部)に進んだ頃、日本軍統治下に置かれた香港を離れマカオに移る。彼の回想録からは、当時の彼が日本軍と蔣介石軍の権力の真空地帯を利用して密輸に励んだ姿が浮かび上がってくる。

 第2次大戦が終わりイギリス殖民地として再出発した香港に戻り不動産業を始めたが、1960年代初頭には再びマカオへ。・・・

[…略…]

■「粤港澳大湾区」構想
 1990年代半ばに完成したマカオ空港関連プロジェクトとこれを補完する形で進められたマカオ再開発事業なども、やはり「愛国」ビジネスの典型と言えるだろう。周辺海域を大規模に埋め立てマカオの面積を20%ほど拡大させ、マカオを香港に次ぐ中国南部への“第2のトールゲート”に変貌させることを目指したのである。

 この巨大プロジェクトを推進する南湾発展有限公司株式の49%は中国側が保持し、スタンレー・ホーが25%を押さえ筆頭個人株主に就いた。中国とスタンレー・ホーとのジョイント・ベンチャーに近いような同社の事業が、中国政府が近年になって強く推し進める「粤港澳大湾区(広東・香港・マカオ・グレーターベイエリア)」構想に繋がっていると見做すなら、彼の「愛国」ビジネスは「企業家」としての彼にハイリターンをもたらすことになるはずだ。

 こう見てくると、彼はマカオに第2の何王朝を築いたとも言える。かくて個人的には幼き日に味わった屈辱を晴らしたようにも思える。

 スタンレー・ホーもまた、同世代の他の華人企業家の例に違わず艶福家として浮名を流してきた。前後して娶った妻はポルトガル人や中国人を合わせて4人で、17人の子供がいるとされる。

 華人企業家一族が多く経験するように、家長の高齢化に伴って権威低下が見られるようになると、家族の間で経営権と資産を巡って争いが起きる。大家族であればあるほどに、争いは複雑化し泥沼化するのが常だ。スタンレー・ホーの家族も例外ではなかった。だが2009年に脳疾患で倒れた後、彼は財産の均等配分を打ち出した。かくて一族内の争いは終息に向かった。

 彼の事業を引き継いでいるのは、2番目の妻であるルシア・ラム(藍瓊瓔)との間に生まれた長女パンシー(何超瓊)、次女デイシー(何超鳳)、それに後継者として育てられたローレンス・ホー(何猷龍)の3人だが、最後に娶った4番目の妻であるアンジェラ・リョン(梁安琪)も経営陣の一角に参画していると言われる。

 スタンレー・ホーによって築かれた第2の何王朝が今後、どのような道を歩むことになるのか。それは不明だ。だが、スタンレー・ホーと同じような手法がこれからも通用するとも思えない。それというのも、特別行政区に「高度な自治」を保障する「一国両制」の骨抜き化が習近平政権下で急速に進んでいるからだ。

■上下関係の色合いがより強くなる
 香港が香港であり、マカオがマカオであった最大の要因であり、香港を「金の卵を産む鶏」として振る舞わせた経済の自由放任主義は、やはり共産党政権による一元的統治の対極に位置するはずだ。かくて政治も中央政府のタガがガッチリと嵌められることになる。

 2014年秋の「雨傘運動」を起点とする一連の民主化運動は、1年前の「逃亡犯条例」反対運動にみえるように過激化・長期化の道を辿り、「金の卵を産む鶏」の魅力は色褪せ始めた。

 かつて香港と北京との間で問題が起きた場合、包玉剛(Y・K・パオ)や霍英東のような有力企業家が“個人的人脈”をテコにして仲介役を果たし、「双嬴(ウイン・ウイン)関係」の構築を目指した。だが時代は確実に変化する。すでに香港では彼らのような企業家は鬼籍に入ってしまったし、北京にも彼らを受け入れた鄧小平のような老獪な指導者はいそうにない。なによりも共産党独裁政権の幹部、つまりガチガチの党官僚ということだろう。

 であればこそ、これからの北京の中央政府と香港、マカオの両地方政府の関係は、統治機構としての上下関係の色合いがより強くなることは避け難い。

 スタンレー・ホーの死から2日が過ぎた5月28日、香港における反体制活動を禁ずる「香港国家安全法」の制定方針が、全国人民代表大会(全人代=国会に当たる)で採択されている。このニュースを聞いた時、己の尾に喰らいつき我が身を環のようにくねらせる竜(あるいは蛇)を図案化したウロボロスの像――強欲に突き動かされるように我が身を喰らい、やがて心臓から脳までも喰い尽くすことになる――が浮かんだ。

 スタンレー・ホーの死が、香港とマカオにとって新たな殖民地の始まりを奏でるレクイエムのように思えた。<了>

樋泉克夫 (ひずみ・かつお)profil:愛知県立大学名誉教授
中央大学法学部、香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士後期課程を経て外務省専門調査員として在タイ日本国大使館勤務。著書に『華僑コネクション』『京劇と中国人』『華僑烈々―大中華圏を動かす覇者たち―』(以上、新潮社刊)など。

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おそらく、香港はもう二度と立ち上がれないほどのダメージを負うのでしょう。

さすがのアメリカもこの趨勢を覆すほどの荒療治は選択できないのです。
もちろん、「武力に訴えても」というくらいの決死の覚悟をアメリカトランプ政権がとるなら、話は別ですが・・・。

おそらくトランプ氏も自身の大統領再選こそが至上命題でありまして、それに有利な展開に持ち込むことだけに心血を注ぐのでしょうから、中国と大上段に事を構えて「戦争も辞せず」的な覚悟を決めることはまずないでしょう。

そうなりますと、結局香港の主要ビジネスマン諸氏、民主化勢力は「もう見限るしかない・・・」となりまして、後はどんどん香港から退去していくだろうというのが大方の予想になりそうなのです。

はなやかなりし香港の100万ドルの夜景は、そろそろその幕を閉じるときであるようです。
まさに、レクイエムと・・・。

ご紹介まで。

 

6月2日(火)

【アメリカの黒人男性殺害抗議デモ】

アメリカでの黒人殺害抗議デモに関するレポートを2本ご紹介したいと。
1本はニューヨーク在住の安田佐和子女史のレポートで、もう1本はロサンゼルス在住の長野美穂女史のレポートです。

◆My Big Apple―NEWYORKー◆
全米抗議デモへ発展した陰で、扇動者の存在あり?
(by Sawako • June 1, 2020)
Is There Anyone Behind The Protests That Have Expanded In The US?
陰謀論のようなタイトルで、失礼致します。

今回の黒人男性死亡事件に端を発した全米抗議デモは、ソーシャルネットワークの普及を追い風にあっという間に広がっていきました。

その裏で、SNSを中心に扇動者の存在が疑問視されつつあります。

扇動者として浮かび上がっているのは、アンティファ(Antifa)です。反ファシズムを謳う彼らは極左とされ、2017年8月にバージニア州銃乱射事件をきっかけに白人至上主義者(オルト・ライト)がデモを展開した時、彼らがアンティファに対峙し一触即発となったことでも知られます。

2016年の米大統領選でトランプ氏が頭角を現す頃に誕生したとも言われるアンティファですが、ミネソタ州ミネアポリスでの抗議活動に火を点けた黒幕と指摘する声が上がっています。

なぜアンティファなのでしょうか?その理由は、事件発生後まもないミネアポリスで民衆が平和な生活を満喫していた最中に目撃された男性の姿と行動にあります。注目の動画は、Youtubeやツイッター以外に英インディペンデント紙などでも取り上げられました。

ご覧のように、アンティファのメンバーの衣装と言える頭のてっ辺から爪先まで黒装束に身を包んだ男性が、突如ハンマーでガラスを割る姿が捉えられたのです。淡々と割っていく様子は、異様という言葉がピッタリ。周囲にいた黒人青年が声を掛けても相手をせず、振り向いた時に頭巾のからのぞく肌の色から白人である様子が伺えます。
<以下略>

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◆DIAMONDonline◆
「これは内戦だ」黒人男性殺害抗議デモの激化に、震えて眠るLA市民
(長野美穂:ジャーナリスト 2020.6.2)
■警官の膝の下で息絶えた黒人男性、コロナ禍の米国に渦巻く「怒り」
「息ができない!」「撃たないで!」「殺さないで!」

 5月30日(土曜日)の午後1時過ぎ、ロサンゼルスにある巨大ショッピングセンター「ビバリー・センター」の脇に到着すると、2万人以上の男女が口々にそう叫んでいた。見渡す限り一面、人・人・人だ。マスクをしている人も多いが、3密を遙かに越えて、軽く1000密ぐらいの感覚だ。

 ロサンゼルス市が自宅待機令を発令して70日以上たつが、こんなに大勢の群衆が一斉に集合したのを見るのは初めてだった。

「この場で取材したらコロナに感染するかもしれない」という不安が一瞬、筆者の脳裏をよぎったが、この歴史的瞬間を目撃しないわけにはいかない。

「I can’t breathe」――この言葉は5月25日、ミネソタ州ミネアポリスの道路脇で、白人警官の膝の下に首を組み敷かれた黒人男性のジョージ・フロイドが死亡する前の断末魔に発した一言だ。「息ができない」「プリーズ」。彼は息絶え絶えに何度もそう哀願したが、白人警官は自らの膝をフロイドの首の上にプロレス技のように固定して体重をかけ、気道を塞ぎ続けた。
 8分46秒後、フロイドは警官の膝の下で息絶えた。

 白人警官による黒人男性の殺人は、この国では目新しい事件ではない。そのたびに抗議の「BLMデモ」が起きる。BLMとはブラック・ライブズ・マターの略で「黒人の命を尊重せよ」という意味だ。

 だが今回のBLMデモは、これまでとは違い、規模が桁違いに大きいのだ。

 フロイドの断末魔の声と姿を撮影したビデオが公開され、またこの警官が「第三級の殺人罪」(殺す意図はなかった殺人)の疑いで起訴されると、多くの人々の怒りが爆発した。「なぜ第一級殺人罪ではないのか」と。

 まず事件後、地元ミネアポリスで最初に抗議デモが起こった。最初は平和的だったデモだが、数日後には、警察署の建物や街の店への放火、暴動に変容していった。暴動の逮捕者の追跡調査をすると、ミネアポリスやミネソタ州圏外からの「越境者」ばかりだったと、ミネソタ州政府は発表した。つまり、地元民中心の抗議デモと、暴動や略奪の当事者が違うようだということがわかったのだ。
<以下略>

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どうもアメリカは「コロナどころではない」騒動になりつつあるようで・・・。

果たして今回はどういう収まり方をするのでしょうか・・・。

ご紹介まで。

 

5月29日(金)

【米中の緊張高まる…】

香港問題が、どうにも厄介な方向に向かっているのです。
中国習近平政権はいよいよ「一国二制度などもうどうでもいい」的に、とにかく「香港の無謀な民主化要求は断固容認できない!」として、香港の民主化に対して全面戦争的に強硬手段に訴えたのです。

それに対して「香港を守るのが民主主義諸国の共通の意思」であるとして、アメリカは「香港を断固支援する!」との決意を固めたようです。

そしてアメリカ、トランプ氏は「で、日本はどうするのだ?一緒に中国に向き合ってくれるよな?安倍首相・・・」として踏み絵を迫ってくるでしょう。
そして中国は中国で「安倍首相、習近平主席の国賓待遇訪日は来年は実現させてくれるのですよね?」といずれ言ってくるに違いないのです。
つまりは、中国は中国で日本に踏み絵を踏ませてくるのです。

米中の緊張の高まりについて、長谷川幸洋氏が現代ビジネス誌上に連載文を寄稿しておりますので、ご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
「激突コース」を突き進む米中、ついに見えてきた「軍事的選択肢」
~売り言葉に買い言葉…~
(長谷川幸洋 2020.05.29)
■香港の「一国二制度」は崩壊か
米国のドナルド・トランプ政権が中国との対決姿勢を一段と強めている。米国防総省は最新の報告書で「外交が成果を出せないなら、米国の利益を守るために、必要な行動をとる」と表明した。軍事衝突も辞さない覚悟なのか。

米国は新型コロナウイルスの発生源をめぐって、マイク・ポンペオ国務長官が「武漢の研究所から流出したのではないか」と繰り返すなど、中国批判を強めていた。そこへ、中国が香港に「国家安全法」を導入する方針を決め、火に油を注ぐ形になった。

[…略…]

・・・これだけでも、トランプ政権の対中政策がかつてなく強硬論に傾斜したことがうかがえるが、報告書の中身をみると、それは一層、明白になる。もっとも目を引いたのは、次のくだりだ。

〈米国は象徴主義やこけおどしによる中国への関与には、何の価値も見出していない。そうではなく、我々は目に見える結果と建設的な結論を求める。我々はタイムリーなインセンティブとコスト、あるいは信頼できる脅威を活用して、中国の駆け引きに対応する。静かな外交が成果を出せないなら、米国は自国の利益を守るために、必要とあれば、適切なコストを払って、中国政府への圧力を増大し、行動を起こす〉

■「外交」でダメなら…どうなるか
この文章は、何を意味するのか。

「中国があの手この手で米国を脅したとしても、我々は相手にしない。こけおどしのような反論もしない。硬軟両様で対応するが、必要とあらば、オマエたちが脅威と感じるような行動も起こすぞ」という話だ。一言で言えば「オレたちを甘く見るな、やるときはやるぞ」という通告である。

とりわけ「外交が成果を出せないなら」という前提は、いかにも不気味に響く。外交手段が尽きた先に「戦争」があるのは、国際社会の常識だ。「脅威」という、キナ臭い単語も使っている。はっきりと「武力に訴える」とまでは言っていないが、軍事的選択肢を匂わせているのだ。

[…略…]

そんな組織が米国と「軍事衝突する可能性」を指摘した報告をまとめ、ロイターにリークしたのは、米国に向けて強い警告を発した、とみていい。以上のような背景の下で、習近平政権は香港をめぐって強硬突破を図ってきたのだ。

米中はいよいよ「激突コース」に突入している。
<了>

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安倍首相はこの難題にどう対処するのでしょうか・・・。

ご紹介まで。

 

5月26日(火)

【CCPの意思】

アゴラ誌に岡本裕明氏の「憂う香港は21世紀の火薬庫となるのか?」という記事が掲載されておりまして、香港情勢の行方について論じているのです。

確かに香港情勢は少々緊迫の度を増しつつあるのです。

そして何やら今月8日には、安倍首相はトランプ米大統領と電話会談を行ったようなのですが、この件につきましては以下の記事に詳細がUPされておりまして、ご紹介したいと。

◆FORBESjapan◆
安倍首相が電話会談で沈黙した「トランプ大統領の要求」
(牧野 愛博 2020/05/26)各国が新型コロナウイルス問題に関心を集中した、世界保健機関(WHO)の年次総会(WHA)が5月18、19の両日、テレビ会議の形式で行われた。今年のWHAの特徴は、米国による激しい「WHO・中国叩き」だった。欧州など、米国の友好国は軒並み、米中の覇権争いに巻き込まれることを嫌がり、どちらとも距離を置く姿勢を取った。米国を最大の友好国とする日本はどうしていたのだろうか。

今月8日、トランプ米大統領と安倍晋三首相は電話会談を行った。外務省はホームページで「両首脳は,新型コロナウイルス感染症に関し,両国内の状況や感染拡大防止策,治療薬やワクチン開発,経済の再開に向けた取組等における日米協力や情報共有について意見交換を行い,引き続き日米間で緊密に連携していくことで一致しました」と説明した。

ただ、日米関係筋によれば、トランプ氏はWHAへの台湾参加やWHO改革に強い意欲を示していたという。台湾のオブザーバー参加などに向け、日米で共同戦線を張ろうという呼びかけだった。安倍首相は、トランプ氏の考えを否定することはしなかった。同時に、トランプ氏と共同行動を取るという言質も与えなかった。関係筋の1人は「トランプ氏は、安倍氏の発言の正確な意味を理解していなかったかもしれない」と語る。

[…略…]

結局、安倍首相はWHAで演説を行わなかった。同様に演説を拒んだトランプ氏への最大の配慮だったのだろう。欧州諸国も、メルケル独首相のように演説はしたものの、ごく手短に済ませて、米国とも中国とも距離を置こうとする国が目立った。加藤勝信厚労相はWHAで、台湾のコロナ対策を評価したが、中国を直接批判しなかった。延期になっている習近平主席の訪日を含め、日中関係をこれ以上悪化させることは得策ではないという安倍政権の判断があったのだろう。

米国とも中国とも距離を置いて、とりあえず11月の米大統領選まではやり過ごす。今の日本にはこの方法しか残されていないのかもしれない。<了>

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さて、そういう米中対立の構図の中、中国共産党政権の「国家意思」についてよく分る解説動画がありましたのでご紹介したいと。

NTDTVjpというサイトが作っている動画なのですが、全編英語でありまして、そこに日本語字幕が付いているのです。

 

◆NTDTVJP◆
中共:その計略=中国共産党の世界支配への3ステップ
【ドキュメンタリー】The CCP Method
(2020/04/27 約33分)
NTDTVは世界の主流メディアが報道しない中国の真相を伝え、社会の存続の柱である伝統文化を弘めています。NTDTVは米NYに本部を置く、中国共産党の検閲を受けない独立した放送局(非営利団体)です。皆様からのご支援をお待ちしております。番組制作の励みになります。
【新唐人NTDTV=米NYに本部を置く中国語衛星放送。 https://www.ntdtv.jp/ 】

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「CCP」とは、Chinese Communist Party、の省略のようでして「中国共産党」の意であるとか。

はたして安倍首相は習近平氏の国賓待遇を今後とも要請し続けることになるのでしょうか。

香港情勢が緊迫の度を増している現在、ますます注視する必要が増していると。

ご紹介まで。

 

5月24日(

【あるテレビ番組への痛烈批判】

藤原かずえTwitter

いつも鋭いご批判です。

ご紹介まで。

 

5月23日(

【MMTは実施段階である件】

双日の吉崎氏がブログで読み応えのあるレポートをUPしていましたのでご紹介したいと。

◆溜池通信◆
vol.691 Biweekly Newsletter May 22nd 2020
【特集:アフター・コロナの米中対立を考える】
(双日総合研究所 吉崎達彦)

(抜粋紹介)
・・・今回のコロナショックに対し、米議会の動きは速かった。既に合計 3 兆ドル程度の景気対策が採られている。
民主党主導の下院はさらに 3 兆ドルの追加刺激策を可決し、共和党主導の上院は「1 兆ドルが上限」としている。それでも当面の危機を乗り越えるために、財政支出の拡大は続くだろう。同時に歳入も減少するので、財政赤字の拡大は止まらないはずである。他方、米連銀は国債などの買い入れを増やして、バランスシートを一気に 6.7 兆ドル(5月 11 日時点)まで膨らませている。いろいろ理屈はあるのだろうが、これはもう政府の赤字を中央銀行が引き受けているとしか思えない。一時期流行した現代貨幣理論(MMT)は、既に実施段階に入っていると考えていい。
<以下略>

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日本でも早急に「100兆円レベル」での財政出動を決断してもらいたいものであると。

それから現状でのドイツにおけるユニークな労働政策についてもご紹介したいと。

◆カラパイア◆
パンデミックによる不況の最中、雇用を守るため実施されているドイツの政策

日本では未だに「10万円給付」が全然行き渡っていないようなのですが、一体何をしているのでしょうか・・・。

もたもたしているうちに、街に失業者が溢れだして来るのが目に見えているのに。

ご紹介まで。

 

5月22日(金)

【憂国三銃士】

いよいよ日本経済が本格的に大ピンチな状況が目に見えつつある今日この頃、本当に政府政権が「的確な経済対策」をとれるかどうか、大注目しなければならないのです。

しかしマスコミ、ワイドショーは「検察庁問題」、「黒川氏問題」、「コロナ第二波は」などなど、あまり重要でもない問題に飛びついて真に重大な問題にはあまり興味も関心もないような感じで気楽なものなのです。

そんな中、ユーチューブ世界では「日本を救う三銃士」的な憂国の士が緊急鼎談という形で色々経済問題を論じているのです。
その3人とは①藤井聡氏、②三橋貴明氏、③安藤裕氏です。

なかなかに聞きごたえのある鼎談でしたのでご紹介したいと。

◆「新」経世済民新聞 三橋貴明 公式チャンネル◆
(2020/05/19、約30分)
【緊急LIVE鼎談】徹底解説1−3月期GDP速報
政府が絶対に知られたくない日本経済の真実
三橋貴明×藤井聡(京都大学大学院教授)×安藤裕(自民党衆議員)

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この3人と高橋洋一氏の4人が連携して、本当に「政治パワー」を結集して政治を動かしてもらいたいものであると思っているのです。

藤井氏は関西圏(というより関東以外)では有名なのですが、残念なことに東京圏では全然知られていないのです。

理由は簡単で、東京では藤井氏がレギュラーで出ている地上波番組が一本も放映されていないからなのです。
東京で「藤井聡氏を知っていますか?」と街頭で聞いても、おそらくほとんどのおばちゃんは知らないだろうなと。

それはそうと、3人に共通する経済問題認識が、「緊縮では日本が潰れる。ここは大規模な財政政策を打たねばならない。しかし財務省がそれを許さない。それが癌である!」ということでしょうか。

藤井氏と三橋氏と、そこに高橋洋一氏を加えれば現状日本でももっとも強力な経済トリオになると思われるのです。

安倍政権がこの3人を経済諮問委員会に加えればいいものをと、今回の専門家会議に入ったメンツを見ると大いなるガッカリ感を禁じ得ないのです。

ご紹介まで。

 

5月21日(木)

【100兆円はすぐ出来る】

新型コロナウイルス対策で各国がしのぎを削っている「ワクチン開発」の最新情報と高橋洋一氏の経済対策の話が聞ける動画がありましたのでご紹介したいと。

本当に高橋洋一氏の話はさらりと凄いことを言っているのです。
「100兆円くらいすぐ作れるんですよ…」
「100兆円を刷って休業補償とか家賃補償、給付金などでバラ蒔くことです」

◆長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル◆
【最新】長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル
#6『新型コロナウィルスワクチン開発動向と経済展望』
ゲスト森下竜一氏(大阪大学大学院寄附講座教授・臨床遺伝子治療学)
(動画の字幕がちょっと酷いのですが・・・)

ご紹介まで。

 

5月17日(

【専門家会議に選ばれた経済学者】

先日、政府はコロナ対策の専門家会議に以下の4人の経済学者を追加招集したのです。

◆朝日新聞DIGITAL◆
政府、コロナ諮問委に経済学者を追加へ 慶大教授ら4人
(2020.5.12)
新型コロナウイルス対応のため政府が設置した「基本的対処方針等諮問委員会」に、竹森俊平・慶大教授ら経済の専門家4人を加える方向で政府が調整していることがわかった。緊急事態宣言の一部解除を見据え、今後課題となる感染拡大防止と経済活動の両立について、見解を求めるのが目的だ。

 政府関係者が明らかにした。竹森氏のほかに政府が起用を調整しているのは、小林慶一郎・東京財団政策研究所研究主幹、大竹文雄・大阪大大学院教授、井深陽子・慶大教授の3人。オブザーバー参加も含めて検討されている。竹森氏は経済財政諮問会議の議員、大竹氏は政府の新型コロナ対策を検討する専門家会議にも参加しており、それぞれの組織をつなぐ役割も期待されている。
[…以下略…]

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中でも小林慶一郎氏が初回の諮問委員会で「検査体制を拡充するよう主張した」ことを明らかにしたようです。

この件小林氏のご主張に対して真っ向から「それは違うのでないか」と疑義を呈している篠田英朗氏の記事がアゴラ誌に掲載されておりまして、私も「一理ある」と思えましてご紹介したいと。

さらに、この小林氏については、藤井聡氏が「この人選は如何なものか」としてこれまた痛烈に批判している記事も見かけましたので併せてご紹介したいと。

◆アゴラ◆
渋谷氏と全国民PCR検査推進の小林慶一郎氏が諮問委入りの騒然
(篠田 英朗 2020年05月15日)
緊急事態宣言が39県で解除されることになった。国際的にも目を見張る新規感染者数の減少を果たしたからだ。通常であれば、これまでの「日本モデル」の成果が確認されてしかるべきところである。

ところが、「別の動き」が、注目を集めてしまっている。新たに「経済学者」として諮問委員会に加わることになった小林慶一郎氏が、初回の諮問委員会で、「検査体制を拡充するよう主張した」ことを明らかにしたからである。

なぜ「経済学者」が、自分の役割とは無関係な、テレビのワイドショーのレベルの話の実現に強い意欲を見せるのか?

小林氏は、「一日500万件の大量のPCR検査を行い、濃厚接触者を追跡し、陽性者を確実に隔離すること」の実現に意欲を示している。

参照:医療のためだけではなく、社会の不安を取り除くための「検査と追跡と隔離」(キャノングローバル戦略研究所 小林氏寄稿)

小林氏自身、この計画を、「非現実的な夢物語」と描写する。しかし、言う。「医療界以外の『人、もの、カネ』を総動員して半年ほどの時間をかければ」、「国内だけでなく、検査システムを拡充して新型コロナ感染症の封じ込めに現時点で成功している諸外国との協力(技術提携や検査のアウトソーシングなど)」すれば、相当に可能になるのではないか、などと言っている。

どういうことなのか?イギリスの渋谷健司氏に巨大契約「アウトソーシング」でも計画しているのだろうか?

[…略…]

ところが小林氏は、まず「100兆円の損失が出る」と脅かす。そして、WHOや首相や尾身諮問委員会会長の「長期戦」への備えの呼びかけを真っ向から否定し、数兆円を投入して検査職員を大量に作って雇用を拡大させ、さらに外国にアウトソーシングするお金も使って、安心を得よう、などと呼びかけ、「国民運動」を提唱する。

小林氏は、筋金入りの増税派として知られ、頻繁に「消費税30%」以上にする必要性を語っている。

消費税率50%超が要求される日本財政「不愉快な算術」(nippon.com 小林氏寄稿)

その大増税派の小林氏が、コロナ危機を契機にして、数(十)兆円の巨大事業の導入を、政府資金で行うことを主張しているのである。この様子を見て、ネットで多くの人々が、新型コロナの「諮問委員会」を通じて、小林氏が増税の実現を企むのではないか、と騒然としているのも無理はない。(参照:ツイッターまとめ)

これまで日本の新型コロナ対策は、熟慮ある尾身茂・専門家会議副座長・諮問委員会会長の指導を基本として、成果を挙げてきた。

その尾身会長が、経済学者の参加を望んだのは、医療面での対策の経済効果を政府に専門的に助言してもらうためだ。効果の怪しい巨額事業の導入を主張し、増税をめぐる論争を諮問委員会に持ち込んでもらうためではない。

新しい委員は、自説を主張する場として諮問委員会を使うのではなく、尾身会長を助けるために諮問委員会に入るべきだ。

「経済学者」として諮問委員会に入った人物は、医学専門家の助言の経済的意味を政府に助言することに専心してほしい。関係のない政策的願望を実現するために諮問委員会の場を利用しようとするのは控えるべきだ。<了>

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◆「新」経世済民新聞◆
【藤井聡】経済専門家会議の「人選」を通して、政府は「補償・減税はやらない」と宣言した!
(2020年5月13日)
東京の緊急事態宣言の解除はもう少し先になりそうですが、政府は今、急速に、緊急事態宣言の「出口戦略」に向かって調整を進めています。

そんな中で、感染症の「専門家会議」から提案されたのが、「経済についての専門家会議」。専門家会議・尾身副座長が、自分達は経済の事がよく分からないから経済について別の人がちゃんと考えて欲しい、と申し入れ、今回実現したわけです。

それ自身は結構な事ですが、重要なのは、その「メンバー」。

例えば当方は、尾身さんがこの会議設置を要請した当日、下記をツイート

「作られる「経済」専門家会議が「財政規律が大事だから民主導の対策を!」「コロナ後のV字回復のためにお肉券ダ~」等と財務省や竹中平蔵が喜ぶ事だけ言うものになれば作らない方が断然マシ。っていうか99%そうなります。なのでしっかり監視しましょう!!」
https://twitter.com/SF_SatoshiFujii/status/1257444475196059651

で・・・どんなメンバーになるかをこの度確認したところ・・・「あぁ、もう日本オワッタ」と思ってしまう程に惨いメンバー。
https://www.asahi.com/articles/ASN5D41XYN5DUTFK003.html

以下、一人一人について解説さし上げましょう。

まず、最初にご紹介しないといけないのは、この方。

1.小林慶一郎・東京財団政策研究所研究主幹
元 慶應義塾大学経済学部教授で、現、東京財団政策研究所研究の主幹。彼は、コロナショックに対する「経済政策についての共同提言」を東京財団にて取り纏め公表しています。
https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3361
この提案で彼は「(コロナ後に)大きく急速な産業構造変化が起きると予想されるが、それには企業の退出(廃業、倒産)と新規参入による新陳代謝が不可欠である」と主張。つまり、このコロナ禍の機会を利用して、潰れるべき中小企業にはいっぱい潰れてもらおう、と言っているわけです(スゴイ人ですよね 苦笑)。

また彼は東日本大震災の直後には、「復興支援への合意が得られやすい現在は、政治的には増税の好機である。」と、『増税したいけど、国民がバカでなかなか賛成しないから増税できなかったけど、今は増税できるビッグチャ~ンスダ~~!」という主旨の発言をされていたわけです。
https://www.canon-igs.org/column/macroeconomics/20110426_829.html

だから彼は大なる可能性で「コロナ増税」を言い出すことでしょう。

さらには、「財政再建が経済成長率を高める」という記事を公表していた前歴もありますから、やはり大なる可能性で「コロナ不況から脱却するには財政再建が必要だ。だから、増税と支出削減が必要ダ~」と主張することでしょう。

ちなみに当方は上記の東京財団の提案書があるということから、「コレまでのパターンを踏まえると、この小林氏はきっと選ばれるだろう・・・と予期していたのですが、その嫌な予感は完全的中してしまったわけです。

もうこれで、日本経済崩壊はほぼほぼ確定したような気分になってしまいますが、それ以外の三人の人選もまた凄い。ざっとご紹介しましょう。

[…以下略…]

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一体誰がこういう人たちを人選して官邸に推薦したのでしょうか。
そして官邸では誰が主導してこの人選にゴーサインを出したのでしょうか。
そして安倍首相はどこまでこういう中身について承知してこれを受け入れているのでしょうか・・・。

ご紹介まで。

 

5月16日(

【中国&ドイツ事情】

NTD(新唐人電視台)というサイトがありまして、wikiによれば「アメリカ合衆国ニューヨークに本部を置く中国語専門のテレビ局」らしいのですが、ここに興味深い動画がありましたのでご紹介したいと。

なにやら武漢のP4実験室が昨年10月に「危険な事故」が生じていた可能性があるとか。

◆NTD新唐人テレビ◆
携帯端末のデータ通信ゼロに交通封鎖 武漢P4実験室で何が起きたのか【禁聞】
(2020年5月16日)
中共肺炎は武漢ウイルス研究所P4実験室から出たものではないかとの疑問があちこちから上がっています。NBCが入手した報告書によると、昨年10月に武漢P4実験室で「危険な事故」が起きた可能性があります。
<以下略>

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それからJBpress誌には「中国がドイツに報復開始」という話が載っていまして、こちらもなかなか興味深い記事でしてご紹介したいと。

◆JBpress◆
中国がドイツに「報復」、経済的攻防がコロナで激化
~「企業版社会信用システム」で外国企業の命運握ろうと画策~
(譚 璐美:作家 2020.5.16)
4月15日、欧州でコロナ禍が吹き荒れる中、ドイツ最大のタブロイド紙「ビルト」が社説「私たちへの中国の負債」を掲載して激しく中国を批判した。コロナウイルスが世界中に拡大したのは「中国が全世界を欺いた」からであり、ドイツが受けた経済的損失の約1650億ドル(約18兆1500億円)を、中国は支払うべきだとも要求した。

 翌日、中国は「劣悪な要求だ」と反論したが、同紙は一歩も引かず、習近平主席を名指しして、「あなたの友好とは・・・微笑で偽装した帝国主義であり、トロイの木馬なのだ」と、激烈な批判を展開し、激しい舌戦はなおも続いている。

■“経済的パートナー”ドイツからの厳しい言葉
メルケル首相も4月20日、「中国がウイルスの発生源について、より透明性を持てば、各国がよりくわしく学ぶことができる」と、控えめながら中国政府に「透明性」を求めた。

 習近平主席にとって、メルケル首相の言葉は予想外のものだったろう。というのも、ほんのひと月前の3月22日、習近平主席はドイツに電報を送り、コロナウイルスの感染が拡大中のドイツに慰問の意を表し、「ドイツと共に努力することで両国の全方位的なパートナー関係を深め、中国とヨーロッパの関係発展を促進していきたい」と強調したばかりだったからだ。
<以下略>

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もう1本、現代ビジネス誌に連載の川口マーン惠美女史の連載から、ドイツの最新事情がレポートされていましたので、ご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
ロックダウン緩和直後に「集団感染」…ドイツで何が起こっているのか
透けて見えるのは「貧富の格差」だった
(川口 マーン 惠美:作家 2020.05.15)
■ドイツの食肉工場で何が
ドイツでは、5月半ばから、そろそろお店やレストランなども開き始め、国民がほっと一息ついている。ただし、もし、どこかで集中して感染が発生した場合、その自治体では再び制限措置を取るという決まりになった。

ところが、そんな発表のあった2日後、突然、食肉の加工工場で大量のコロナ感染者が出ているとの報道。しかも、一ヵ所だけではなく、全国の複数の食肉工場で感染が起こっているというのである。

なぜ、そんなことになっているのか?

[…略…]

エマニュエル・トッドが、著書『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』の中で、「EUの東方拡大によってドイツは、社会主義政権下で高い水準の教育を受けた良質で安い労働力を活用し、経済を復活させ、ヨーロッパを支配するに至っている」という意味のことを主張していたが、真実を突いていると思う。

しかしながら、それがたとえ真実でも、ドイツ国民はその恩恵はそれほど受けていない。安い労働者が入って来れば、当然、自分たちの賃金も上がらず、儲かるのは資本家ばかり。

そして、さらに言うなら、その資本家たちだって、グローバリズムが引き起こした熾烈な価格競争に耐え抜くために、当然の努力をしているに過ぎないのではないか。

幸か不幸か、今回のコロナでいろいろなことが見えてくる。いずれにしても、食肉産業を価格競争に追い込んだ産業構造が、現在、全世界が陥っている貧富の格差という問題と根は同じであることだけは確かなようだ。<了>

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それはそうと、レナウンが倒産したというニュースも飛び込んできたのですが、おそらくこれからどんどん倒産劇が拡大して行くと予想されるのです。

そしてレナウンの倒産劇の裏には、なにやら中国資本の怪しい動きもあるとか・・・。

どうなっているのでしょうか、真相は。

ご紹介まで。

 

5月15日(金)

【中国の愚かな外交戦略】

JBpress誌にたいへん興味深い記事がUPされているのです。
題して「この状況で平然と周囲にケンカを売る中国の不可解」という。

日本にとっても最近「尖閣諸島」で中国公船がずいぶん大きな顔をして近海を遊弋しているようでありまして、他人事ではないのです。
で、ご紹介したいと。

◆JBpress◆
この状況で平然と周囲にケンカを売る中国の不可解
~南シナ海での中国の行動が示す危険な兆候~
(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問、 2020.5.15.
 日本で大きく報道されることはないが、世界が新型コロナウイルス問題に揺れる中で、南シナ海において緊張が高まっている。

 2020年4月2日に中国の巡視船がベトナムの漁船に体当たりして沈没させる事件が発生した。近くで操業していたベトナムの漁船が救助に駆けつけたが、その中の2隻が巡視船に拿捕されて乗員が一時拘束された。幸い死者は出なかったが、ベトナムは漁船1隻を失い、拿捕された漁船も船内の機器を破壊された上に漁具を没収された。

 4月13日、中国新華社は空母「遼寧」などが南シナ海で訓練を行ったと発表した。空母セオドア・ルーズベルトで乗務員に新型コロナウイルスの感染が広がったことから、米国海軍の太平洋での影響力は低下している。その隙をついて中国海軍は南シナ海でのプレゼンスを高めようとしている。
 4月18日に衝撃的な発表があった。中国は海南省の三沙市に「西沙郡」と「南砂郡」を設置すると発表した。西沙諸島は「西沙郡」に、南砂諸島は「南砂郡」に含まれる。問題になっている島々を自国の行政区画に組み込んだ。

 また、5月1日から8月16日まで南シナ海での漁獲を禁止すると一方的に発表した。このような措置は1999年以降中国が毎年発表していることだが、新型コロナ問題で世界が揺れるこの時期に、平然と東南アジア諸国の神経を逆撫でするような発表を行った。

これらの一連の動きに対してベトナム政府は反発を強めて、強く抗議している。ベトナムの民衆も中国の態度にひどく憤慨している。それはベトナムだけではない。南シナ海に面するフィリピン、マレーシアも中国に対する不信感を強めている。

■国際的な孤立を厭わない中国
 南シナ海でこのような行動をとりながら、中国は海外にマスクを援助したり医師団を派遣したりするなど、国際社会において感謝される国になろうとしている。しかしマスクの援助は、かえって世界の反感を呼んだようだ。それは、世界に感染が広がり始めた時期に中国政府がマスクを強権的に買い占めて、世界中でマスクが不足する状況を作り出したとの噂が広がったからだ。その真偽は分からないが、中国政府が世界に信頼されていない証左であろう。また、中国の医療水準を考える時、医師団の派遣に感謝するのは貧しいアフリカの国ぐらいだ。

 そんな中国は、世界が新型コロナに揺れている中でも南シナ海に対するこだわりを捨てていない。捨てないどころか、一層強化している。

 このような中国の一連の行動は不可思議である。それは南シナ海の島々の領有権を強硬に主張することは、東南アジア諸国の中国に対する不信感を増大させ、かつ「航行の自由作戦」(FONOP)を行う米国や英国の不快感を助長するだけだからだ。

 中国が経済発展を遂げる上で工業製品の輸出、海外からの投資、そして海外からの技術の導入は欠かせない。そうであるなら、経済発展するためには世界の国々、特に米国や日本、西欧の国々とは良好な関係を保っていかなければならない。国際的に孤立すれば輸出が難しくなり、海外からの投資も減少する。それは経済の低迷につながる。その結果として失業率が上昇すれば、治安問題が深刻化する。それは中国共産党が最も恐れていることである。

 その一方で、南シナ海の島々の領有は中国にとって核心的な利害とは言いかねる。多くの民衆は南シナ海の領有にそれほどの関心はない。その一方で、新型コロナ問題やそれが引き起こした経済の低迷は民衆にとって切実な問題になっている。

 そうであるのなら、この時期においては、南シナ海の問題をそっとしておくのが上策であろう。しかし、中国はベトナムなどを怒らせる行為を次々に行っている。

<以下略>

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中国のこういう態度は、はっきり言うなら「稚拙」、「拙劣」、「愚か」ということになるのかと。

どうして中国共産党政権は、自分たちが国際社会から「どう見られているのか」ということについて無神経といいますか、無頓着なのでしょうか。

そもそも「世界をリードする良識ある優れた国家である」、と言われたいと思っている国家のとるべき態度、振る舞いでないのです。

そういう自国のバカ外交戦略について、何んの反省もないというか、思慮もないということが不思議なことなのです。

そういう拙劣な愚かしい振る舞いをしておりながら、「我が国は世界でナンバー2の大国である!」と胸を張りたいようなのです。

いやいやいや、中国共産党政権さん中枢の要人たちは、そういう構図を理解しているのでしょうか・・・。
そんなことにも思いを馳せられない低レベルな人たちなのでしょうか・・・、習近平氏や李克強氏、王岐山氏などという書記局の要人たちは・・・。

まぁ、習近平氏などは「終身総書記でいよう」などと思う人物でありますので、推して知るべしなのかもしれないのですが・・・。

いやいやいや、それはもはや「七不思議」的なレベルでおかしな政権であると・・・。

スティーブン・バノン氏ではないですが、中国共産党政権は早晩歴史から退場を宣告されなければならない運命です。

問題は「遅いか早いか」だけで・・・。

できれば早い方がいいことは言うまでもないのです。
ウイグルのためにも、チベットのためにも・・・。
そしてベトナムやフィリピンという周辺諸国のためにも。

ご紹介まで。

 

5月13日(水)

(1)【スティーブ・バノン氏吠える!】

大変刺激的で興味深い動画をご紹介です。

バノン氏はこの中で、「これはバイオロジカル・チェルノブイリである」と言っているのです。

(さもありなん)と。

 

◆NTDTVJP◆
スティーブ・バノン:多くの中国人が告発している
【Zooming in】Bannon: Chinese People Want to Be Whistleblowers
(39分39秒)

(2)【武漢ウイルス研究所の怪】

今、アメリカを始め世界の各地から中国政府に対して「賠償請求の訴訟」がおこされようとしているようです。

そんな中、アメリカではそれ以上に強硬な「ウイルスは武漢のウイルス研究所から漏出したものである」というような主張もなされておりまして、トランプ大統領なども一時はそれらしいことを話していたのです。

果たして新型コロナウイルスの発生の真の原因は「人為的、人工的」なものなのか、それとも「自然発生」のものなのかついて、未だに確定されていないのです。

そんな真偽不明の事がらですが、それについて大変興味深い考察が以下のサイトに載っておりましたのでご紹介したいと。

◆ほそかわ・かずひこのBLOG◆
武漢でのウイルス研究にフランス・米国が協力していた
(2020-05-08)
[…略…]
端的に言えば、フランス当局が中国共産党政府を信頼できると思って協力し、まんまと騙されて技術を盗まれたということです。フランスの外務省、国防省、インテリジェンス機関、生物兵器研究の専門家らは、中国への協力に賛成しなかったが、フランスのバイオ企業の創業者アラン・メリュー氏が政界工作をして協力を進めたが、中共政府にいいように利用されたということでしょう。

[…略…]

この記事をもとに記者から質問を受けたトランプ大統領は「先ほど、報告を受けた。重要なことなので、調査を始める。武漢の研究所に送金した金額は、年間で320億ドル以上とも聞いている」と回答しました。
 トランプ大統領側は、大統領選挙を有利に進めるために、本件を使って民主党の親中姿勢を批判することが考えられます。民主党の有力候補バイデンは、オバマ政権の副大統領でしたから、本件への関与があったかどうかも注目されます。
 科学技術の研究において国際協力は必要でしょう。しかし、軍事に転用が可能な技術については、規制が必要です。特に共産主義や全体主義の国家が相手である場合、最大限に慎重でなければなりません。
 トランプ大統領は、中国が情報技術等の盗取や知的財産権の侵害をして経済成長してきたことを問題とし、追加関税を課すなどして、米中貿易戦争を開始しましたが、この問題と武漢ウイルス問題には同じ構造があります。中国共産党の目的は、単なる経済的利益や技術的優位の獲得ではなく、世界的な覇権の拡大、そして世界支配にあり、その目的のためには手段を選ばないのが、彼らのやり方です。ところが、政治家・企業家・科学者の中には、彼らの目的や手法を見抜くことが出来ず、安易に共産中国に協力する者たちがいます。私的な利益を求めて手をむすぶ者たちもいます。感染症の研究では、フランスもアメリカも、あまりにも安易でした。今後、世界の指導層は、中国共産党の目的と手法をよく理解して、共産中国に対処していく必要があります。

◆ほそかわ・かずひこのBLOG◆
中国を脱出したウイルス研究者は最低5人とも
(2020-05-07)

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はてさて、細川氏のご主張である次の部分ですが、ここが一番のポイントになりそうです。

「中国共産党の目的は、単なる経済的利益や技術的優位の獲得ではなく、世界的な覇権の拡大、そして世界支配にあり、その目的のためには手段を選ばないのが、彼らのやり方です」

ここをどう見るか、これを「その通り」と見るか、「いや、そこまでの意図はないのでないか」と見るかが、その他の情報をどう受け止めるかの相違を作る根本的理由になるのでしょう。

そして日本の政治家、国会議員諸氏の中でも「親中派」と言われる人たち、あるいは外務省の「チャイナスクール」と言われる人たちは、そういう「悪意ある見方」でなく、むしろ「善意での中国観」をもっていらっしゃるのでしょう。つまり、「中国政権はそこまで悪じゃない・・・」と。

しかし私などはどちらかというなら「反中」のスタンスでいますので、中国共産党政権の「底意」については、たとえば「一帯一路」などときれいごとを言っていても、結局それは「中国の国益優先でしかない羊の皮を被ったオオカミ的な政策」であると思っているのです。

かろうじて中国を擁護する見方をするなら、中国政権には「世界制覇とか、世界を支配する」などという野心も意思もないけれど、しかし「中国を世界ナンバーワンの国にしたい」という欲求はもっているということになるでしょうか。
そして実はその欲求を基に生きていると、それは自ずと他者には「支配欲を基に生きているようにしか見えない振る舞い」をするはめになっている、ということなのです。

つまりは「中国を世界一の国にしたい」というナイーブな欲求が、実はイコール「中国の世界制覇の野心」になってしまうという。

そういうことで、中国政府のそういう「子どもじみた欲求」というものが、実は「それはオブラートに包んでいるだけで底意は野心である」と見なされても仕方ないことになっていると思えるのです。

そしていずれにしても決定的に指弾されなければならないダメポイントが、「中国国益最優先の外交スタンス」です。
「相手国が将来どうなっても関知しない。目先中国が儲かればいい」というスタンスで外交を行うのですからひどい話です。アフリカ諸国などはその犠牲になっていると言えるような状況でしょうか。

それはまずもって変えてもらわなければならないダメスタンスに違いないのです。

果たしてこの新型コロナウイルスの発生原因は「自然発生」なのでしょうか、それとも武漢ウイルス研究所内での人工的産物なのでしょうか。

将来的にはそれが明るみに出ることが望まれるのですが、どんな形でそれが表に出てきますことやらです。

ご紹介まで。

 

5月12日(火)

【茶番劇というしか・・・】

「#検察庁法改正案に抗議します」がtwitter上でえらい盛り上がっており、それがテレビのワイドショーでも取り上げられて話題になっているのですが、どうもこれはお粗末な茶番劇でしかないというのが真相なようで。

 

Twitterで検察庁法案がトレンド入りしたカラクリを完全解説!といってもWEBマーケティングの定番テクニックですが、、、 上念司チャンネル ニュースの虎側

◆JBpress◆
抗議殺到の定年延長法案がそれでも成立に向かう理由
(政策コンサルタント:原 英史 2020/05/12)
 5月9日深夜から10日朝にかけて、ハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」がtwitter上で広がった。著名な芸能人らも参戦し、一時は500万ツイートにも達したという。その後、なぜか大量のツイートが削除されたらしいが、不可思議な出来事だった。

 経過はともかく、広まった内容はフェイクニュースの類だ。「安倍内閣が、政権に近い黒川弘務氏を検事総長につけるため、改正案を成立させようとしている」といった話は、完全に間違い。「黒川氏の定年延長」と「検察庁法改正案(定年延長の法改正案)」とは別の話だ。

黒川氏の定年延長はすでに決定されてしまっている
 論点の整理は、別稿『「#検察庁法改正案に抗議します」にも法案にも、反対する』に書いたが、ポントだけかいつまんで記しておく。

(参考)http://agora-web.jp/archives/2045969.html

1、「黒川氏の定年延長」は、現行制度のもとで、今年1月に閣議決定済み。国家公務員法の特例延長の規定を検察官に適用したのが妥当だったかは疑いあるが(私は違法だと思うが)、ともかく決定されてしまった話だ。

2、一方、「定年延長法案」は、以下の内容だ。

・公務員一般は60→65歳(国家公務員法改正)

・検察官は63→65歳、定年の特例延長の規定追加(検察庁法改正)

 これは10年以上前からの懸案課題であり、人生100年時代に向けた働き方改革の流れで法案提出されていた。

3、「#検察庁法改正案に抗議します」の抗議の多くは、両者をごちゃまぜにした的外れなものだ。また、「検察官を官邸に従属させることになる」との批判もある。これは大事な点だが、定年延長の問題ではない。そもそも検察庁法上、検察官の任命権は内閣または法務大臣にある(ランクにより異なる)。もしこの点を議論をするなら、定年延長への反対ではなく、検察官の人事権のあり方を論ずべきだ。

4、他方で、この法案を成立させるべきかといえば、私は全く賛成しない。今国会で成立させるべき緊急性があると思えない。また、本来は、公務員の定年延長より、能力実績主義の徹底が先だ。年功序列のまま定年延長すれば、能力実績の伴わない公務員も60歳以降に給与保障することになりかねない。コロナで多くの人が仕事を失う中、国会で優先すべき法案ではない。

 そのうえで、今後の見通しを展望したい。これだけの批判が高まり、法案成立はもはや風前の灯火なのだろうか? 結論からいうと、そんなことはない。定年延長法案は成立に向かう。

野党のほうが熱心な公務員の定年延長
 なぜかというと、立憲民主党など野党も、本音ではこの法案を通したいからだ。事情を知らない人にはわかりづらいかもしれないが、誰が公務員の定年延長を長年求めてきたのかを考えたらいい。公務員の労組、いうなれば野党が最も頼りにする支持基盤だ。つまり、この法案は実は、少なくとも国家公務員法改正(公務員一般の定年延長)に関しては、与党以上に、野党にとって何としても成立させたい法案なのだ。

 国会質疑などをみても、これはすでに垣間見える。

・5月11日の衆議院予算委員会で枝野幸男議員は、「火事場泥棒」と厳しく首相に詰め寄りつつも、「国家公務員法改正には大筋賛成」と表明。

・同日の参議院予算委員会で福山哲郎議員は、検察庁法改正案の部分を削除する修正に言及。

・その後、野党側は「検察官の特例延長の規定を削除」する修正案を提出したと報じられる。

 いずれもポイントは、国家公務員法改正はそのまま成立させることだ。野党は、政権にダメージは与えつつ、果実は得られる。上記をみて、「立憲民主党は反対しながらも、部分修正で収めてあげようとしている。心が広い」などと思っている人がいたら、勘違いだ。

Twitterの抗議、与野党に上手く利用されている可能性
 この構図を理解したうえで、「#検察庁法改正案に抗議します」を振り返ると興味深い。

・「黒川氏の定年延長」とごちゃまぜにすることで、野党は政権を有効に攻撃。

・検察官の問題だけを争点にして、本来ならば想定される「こんなときに公務員優遇」との批判は回避。

・一方、政権支持層は、「抗議」の反作用で、法案成立を強く支持に誘導される。

 国家公務員法改正の成立に向けて、もはや何の障害もない。結果からみる限り、巧妙な情報工作がなされたように感じるのは、私の考えすぎだろうか。いずれにしても、「#検察庁法改正案に抗議します」に反発した保守・政権支持層の人たちが一斉に「抗議は筋違い、公務員の定年延長は正しい」と唱えたのは、野党にとっては本当に有難かったはずだ。

 コロナで多くの人が仕事を失う中、空騒ぎの陰では与野党が手を携え、公務員の65歳まで給与保障に注力する。飛んだ茶番劇だ。<了>

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日本の国会はいったい、いつになったら「マトモ」になるのやらと、まったく頭が痛くなるのです。

それにしても、乗せられる方(芸能人など)は「分かっていない」のでしょうが、実は乗せる方も「分かっていない」のでないかと・・・。

誰が得して誰が損しているかも、もうどうでもいいレベルの話でしなかいと。

ワイドショーも、どこまで分かって取り上げているのかというなら、実は詳しい背景事情などコメンテーター諸氏は何も分からずにコメントしているのでないのかと・・・。

ご紹介まで。

 

5月9日(

【失敗の本質】

双日の吉崎達彦氏がブログにてとても読み応えのある考察をUPしておられまして、ご紹介したいと。
題しまして「失敗の本質」と。
35 年前の名著『失敗の本質~日本軍の組織論的研究』(ダイヤモンド社)を読み返しての考察なのですが、とても素晴らしいご考察であると。

◆溜池通信◆
Report 「コロナ対策に見る『失敗の本質』」New!!
特集:コロナ対策に見る「失敗の本質」
 自分史上、もっとも予定の少ないゴールデン・ウィーク(Staying home Week)が終わりました。そしてこの間に、政府の「緊急事態宣言」は今月末まで延期となりました。
 しかるに対策は後手後手で頼りない上に、大事な判断を「専門家会議」に丸投げしているように見えます。日本における新型コロナウイルス感染の被害は、他国に比べればかなり軽微であるといっていい。ところが、政府の機能不全ぶりはいったい何事なのでしょう。
 連休中に、35 年前の名著『失敗の本質~日本軍の組織論的研究』(ダイヤモンド社)を読み返しました。ここにいくつものヒントが詰まっているような気がします。過去の失敗に学ばないと、コロナ対策も新たな「負け戦」になってしまうのではないでしょうか。

● 今こそ読み返すべき『失敗の本質』

<以下略>

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学校の新年度を9月にしたらどうかという案につきましても、なるほどなと思わせる考察だったと。

ご紹介まで。

 

5月8日(金)

【財務省の決意】

経済評論家の三橋貴明氏が氏のブログで警鐘を鳴らしているのです。
「財務省が今年度は一円も新規貨幣は発行しないと決意している」と。

コロナ禍に対する日本政府の経済対策はどうにも中途半端でありまして、素人目にも諸外国の思い切った対策と比して首を傾げたくなる感じです。

そして政府は国民一人当たり10万円の給付を決定しているのですが、それには第2弾、第3弾が必要なように思われるのですが、どうも財務省(&政府)にはまったくその気がないような感じだと、三橋氏はそこに目を向けているのです。
仮に三橋氏のご指摘が正しいとするなら、由々しきことであると。

◆新世紀のビッグブラザーへ◆
100兆円の第二次補正予算実現と、その後
(三橋貴明 2020.5.8)
・・・
多くの読者の皆様には信じられないでしょうが、実は先日、成立した25.7兆円の補正予算、つまりはPB赤字の拡大=新規国債発行=新規政府貨幣発行の時点で、財務省は「徹底的に敗北した」という空気になっています。そして、困ったことに、敗北に打ちひしがれた財務官僚は、
「もはや、今年度は一円も新規貨幣は発行しない」
 と、狂った決意に身を投じているようなのです。

  冗談でも何でもなく、財務官僚たちは「今後、絶対に新規国債発行は認めない」と政治家に働きかけ、あるいは圧力をかけているのでございます。国民が次なる財政支出、新規国債発行を大声で叫ばない限り、自民党の政治家の多くは「財務省様に逆らってまでなあ・・・・」というわけで、「国民を救う」ためには動かないでしょう。

 あるいは、動くふりだけをして、せこい追加予算でお茶を濁す。

『自民、2次補正へ来週から議論 100兆円規模求める声も
 自民党の岸田文雄政調会長は7日、新型コロナウイルス感染拡大に対応する2020年度第2次補正予算編成について、11日の週から本格的な検討に着手すると表明した。同党の要望を今月中旬にも取りまとめて政府に提言し、今国会中の成立を急ぐ考えだ。
アマゾン中心都市がSOS 安倍首相らに緊急支援訴え―新型コロナ
 岸田氏は政調審議会で「緊急事態宣言が延長され、新しいフェーズに入った。第1次補正予算が成立したが、次を考えていかなければならない」と指摘。「来週から次の経済対策の議論を始めたい」と説明した。
 これに先立つ、同党の経済成長戦略本部・新型コロナ対策本部合同会議では出席者から100兆円規模の財政支出を伴う補正を求める声が相次いだ。2次補正では、国民への新たな現金給付、学生支援、地方自治体向けの「地方創生臨時交付金」の上積みなどが焦点となりそうだ。 』

 というわけで、自民党内の財政拡大派(少数派、です)、野党の財政拡大派、さらには困窮した国民、将来、困窮する国民、つまりは「全国民」が声を大にして、100兆円規模の「新規国債発行=政府貨幣発行=財政赤字拡大」を伴う第二次補正予算を成立させなければなりません。さもなければ、我々は「恐慌と疫病」そして「財務省」に殺される。

 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストによると、緊急事態宣言が5月6日から1カ月間延長された場合の経済損失額は、累計45兆円とのことです。5月6日までの損失額(21.9兆円)から上積みされ、ほぼ倍増になります。

 4月、5月「だけ」で、GDPの一割近くが吹き飛ぶわけです。昨年10月の消費税増税以降、ひたすら落ち込んでいく日本経済。2020年9月末までのGDP損失は、最低でも「二割以上」と想定するべきです(そして、恐らく二割では済まない)。

 というわけで、25.7兆円の新規国債発行に100兆円を加えても、
「昨年10月以降のGDP縮小を補えるかどうか微妙」
 というのが現実なのでございます。

<以下略>

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ご紹介まで。

 

5月6日(水)

【米中対決はどうなって行くのか】

中国問題に詳しいジャーナリストの近藤大介氏が現代ビジネス誌に一文を寄稿しておりまして、なかなか読み応えのあるレポートでしたのでご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
コロナ後の米中対立、中国の外交専門家が語った「近未来予想図」
~2大国間の理性と本能の戦い~
(近藤大介 2020.05.05)
■「時間は中国に有利に働く」のか
[…略…]
ところが2020年に入って、大混乱が起きてしまったのである。まさにいま世界で蔓延している新型コロナウイルスだ。

正直言って、この災厄は、中国にとって「死角」だった。「地球上で危険な存在はアメリカだけ」という固定観念があったからだ。ましてや今回のウイルスは、中国が発生源なのでなおさらである。

その結果、中国は今年に入って「3つの戦い」を同時に強いられることになった。従来のアメリカとの戦いに加えて、新型コロナウイルスとの戦いと、それによる計り知れない自国の経済損失との戦いが加わったのである。そのどれもが、対応を誤れば習近平政権が吹っ飛びかねない重大問題であり、しかもそれぞれが微妙に絡み合っている。そのため、中国の未来は俄然、混沌としてきたのだ

[…略…]

■「3つの必要」と「3つの不要」
というわけで、ここからは、3人の中国の外交専門家を登場させて、中国の立場を解釈したい。

一人目は、楽玉成(Le Yucheng)外交部副部長(副外相)だ。3年後に外相に就くと目されている楽副部長は4月28日、米NBCテレビのインタビューに答えた。そこで強調したのは、「3つの必要」と「3つの不要」だった。楽副部長の発言要旨は、以下の通りだ。

「アメリカ国内には、たしかに中国に対するマイナスの論調が一部ある。だが同時に、多くの有識者たちが中米協力を呼びかけ、『デカップリング』や『新冷戦』に反対している。
 われわれが終始考えているのは、一度の(大統領)選挙によって、重要な大国関係をどう処理するかを決めてしまうことはできないということだ。さらに、大統領選挙のために中国を引っ掻き回したり、両国の協力を破壊したり、両国の国民の対立をもたらしたりしてはならない。そのようなやり方はあまりに短絡的で、無責任だ。
 中米間の矛盾や相違点は大きいが、両国の国民の福祉や、よりよい未来を追求するのに支障があるほど大きくはない。中米は完全に、協力関係を展開できる。アメリカは『再びアメリカを偉大にする』と提唱し、中国は『中華民族の偉大なる復興』の実現を目標にしている。この2つは完全に並走しながら成就できるものであり、われわれは共同で『偉大な』実現をするのだ。
 両国にはそのための知恵と信頼がある。間違っても極端な勢力に引っ張られて偏った方向に向かったり、やり方を誤ったり、両国の国民の前途、運命を葬ったりしてはならない。
 中米関係をさらに発展させるためには、『3つの必要』と『3つの不要』が大事だ。『3つの必要』とは、第一に、両国のトップ同士が頻繁に連絡を取り合い、関係部門も対話と協調を保持すること。第二に、双方が各分野での実務協力を深化させること。第三に、両国間及び国際的に、新型コロナウイルスの対策において協力を強化することだ。
 また『3つの不要』とは、第一に、中国に汚名を着せたり、コロナ問題を政治化させないこと。第二に、人為的な破壊行為によって両国の協力の大局を冒さないこと。第三に、コロナ問題を利用してゼロサム和の競争を起こさないことだ」

以上である。「次期外相候補」がわざわざ、アメリカのテレビ局のインタビューに応じたということは、それだけ中国外交部に焦燥感がある証左と思われる。

現在、再選を狙うトランプ大統領と、虎視眈々と大統領の座を狙う民主党のジョン・バイデン前副大統領は、どちらがより中国に強硬かを競い合っているような選挙運動を展開中だ。そのため中国としては、火消しに追われているのである。

■米中のデカップリングは荒唐無稽
さて、二人目は、元外交官で中国外交学院元党委書記(大学トップ)の袁南生(Yuan Nansheng)教授である。袁教授は先月下旬に、「地中海魚児公号」というネットメディアのインタビューに答えて、米中関係について詳述した。

[…略…]

袁教授はまた、トランプ大統領が、新型コロナウイルスの発生源である中国を非難し、敏感になっていることについて、興味深いエピソードを披露している。
「トランプ大統領の祖父は、1918年にスペイン風邪に感染して、49歳で死去した。スペイン風邪と呼んでいるため、少なからぬ人々がスペインが発生源と思っているが、実際は、スペインはアメリカの犠牲になったに過ぎない。1918年3月、米カンザス州の軍事基地でインフルエンザが感染爆発した。世界最初の感染者は、そこの軍属のコックだった。そのアメリカ軍が第一次世界大戦に参戦し、ヨーロッパで感染爆発させた。この時、アメリカは1ドルも賠償金を払っていないのだ。(トランプ政権が)いまになって(感染源の)中国の責任追及を吹聴しているのは、中国を抹殺したり、中国から搾取したいだけだ」

[…略…]

■お先真っ暗の米中関係
・・・
ではお先真っ暗の米中関係に、中国はどう対処していくのか。王教授は、「第3の大国」ロシアや、発展途上国、国際機関を味方につけること、そしてアメリカと対決していく確固たる決意を持つことを提起している。

「中ロ関係はすでに、新時代の全面的戦略協力パートナーシップ関係にまで引き上げられた。双方の政治的信頼は前代未聞の高みに達している。中国は発展途上国との関係をさらに重視し、『国際統一戦線』の観念を再度、樹立するのだ。
 同時に、国連やその付属機関のWHO(世界保健機関)などとの協力関係を強化することも、効力を発揮するだろう。さらにアメリカが加盟していない国際機構、BRICS、SCO(上海協力機構)、AIIBなどでリーダーシップを発揮し、『一帯一路』建設を積極的に推進していくのだ。
 アメリカの対中政策の巨大な変転を、中国はすでに認識し、目覚めている。そしてそれに対応する戦略、思考、具体的な政策の調整を行っている。方向としては、さらに確固たる競争、闘争だ。アメリカに対する幻想を捨て去ることを強調し、大荒れとなる挑戦に直面する準備を整えるのだ。必ずや闘争に向かって行き、闘争をうまく行い、競争意識を高めるのだ」

何だか熱っぽい決意表明で発言を終えている。

■日本はどう動くべきか
冒頭の命題に話を戻せば、世界中を襲ったコロナウイルスによって、パイは大幅に減った。中国はアメリカに、「皆で協力し合って、少しずつ我慢しよう」と呼びかけたが、アメリカは「お前のせいなのだから、お前が我慢して犠牲になれ」と突き放した。

中国は「それならこちらもわが道を行くぞ」とタンカを切る準備を始めた。だが、実際にはまだそこまで行かず、アメリカを説得し、変心を待とうとしている――。

そんなところではないだろうか。われわれが恐れるべきは、新型コロナウイルスが起爆剤となり、米中対立の時代が一足飛びに訪れることだ。

思えば、100年前のパンデミック、世界で約4億5000万人が死亡したスペイン風邪の時は、この新型インフルエンザのおかげで、第一次世界大戦が終息した。100年経って、新型コロナウイルスによって米中新冷戦に突入したとなれば、これは歴史の皮肉というものだ。

アメリカも中国も、頭を冷やしてもらいたいと願う。そして「第3の経済大国」である日本も、少しは米中の仲介役を果たす外交を執り行ってもらいたい。コロナも大変だが、米中衝突もまた、日本にとって耐えきれないほどの負荷がかかってくるのだから。<了>

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一読すれば、アメリカにはアメリカの主張があり、そして中国には中国の主張があるということが分るのです。

およそ何か一つの揉め事、あるいは事件が生じるなら、そこには「加害者」と「被害者」の関係が生じるのでありまして、双方が裁判で自己の正当性を訴える訳です。

国家同士の揉め事にしましてもしかりでありまして、双方が自国の正当性を声高に訴えるのです。
そして双方の立場においてはそれなりの正当性があるのも確かなことです。

今現在は中国が、あまりにも強引に自国の国益を追求するあまり、世界中で顰蹙を買い評判を落としているのですが、残念なことに中国政府も中国知識人階層もそういう自国のマイナス要因には反省の目を向けようとはしていないようです。
中国は昔も今も「強いもの勝ち」の世界観の中に生きているような気配です。

そして片やアメリカも、建て前はいつも崇高な理念を掲げて世界に自国の立派さを宣伝しているのですが、実際には、これまで大失敗と言えるような迷惑を世界に振りまいていることへの反省もないのです。
それはブッシュ政権にしろオバマ政権にしろ、あるいはそれ以前の政権にしろ、そうなのです。
伊藤貫氏によれば、実はアメリカはトランプ以前からずっと「自国ファースト」でやって来ているに過ぎない偽善的な国なのです。

そういうことで、米中ともに「自国ファースト」で生きているのですが、そんな米中に挟まれた日本はどういうスタンスをとればいいのでしょうか。

近藤氏はそこまで踏み込んだ見解を述べていないのですが、あえて言うならやはり「それでもアメリカとの同盟を重視するべき」ということになるのでしょう。

それにしても世界、国際政治のリアルは、なんともはぁ、100年前、200年前から全然変わっていないことに驚くのです。
結局「パワーポリティクス」です、結局「自国ファースト(利己的国益至上主義)」です。

はてさてこれから何十年、何百年そういう愚かしい国際政治が展開されて行くのでしょうか。
日本が独自のオリジナルスタンスでの生き方を貫こうと思うなら、そこには何らかのオリジナルな哲学が必要なのでしょうが、果たして・・・。

ご紹介まで。

 

5月5日(火)

【メルケル首相も血迷っている?】

昨日に続いて今日もドイツ話題です。

今般のコロナ惨禍では、世界中で「感染終息後の経済」が大混乱するのです。日本でも経済対策が大わらわで講じられているのですが、それでも中小企業の多くは倒産の危機を免れることができるかどうか。

そんな中、ドイツでも似たような状況であることが川口マーン女史によってレポートされているのでご紹介したいと。

日本でもアメリカでも、世界中で航空産業が絶対絶命状態の危機を迎えているのですが、欧州でもドイツのルフトハンザやオランダのKLM、フランスのエールフランスが軒並み瀕死になりかけていると。
そして「将来は国営企業になっているかもしれない」と。

そこへもってきて、何やらメルケル首相が「諸経済の封鎖解除」に強硬にブレーキをかけているとか。もはや「何を血迷ったのか?」と疑問符が付くようであると。

いやいや、日本でも安倍政権のコロナ感染対策、そして経済救済策には諸方面から「なんだそりゃ?!」的な強烈な批判が出されているのですが、ドイツでも政権を揺るがすような大問題になるような気配です。

◆現代ビジネス◆
行動制限緩和のドイツを苦しめる「経済とコロナ予防のさじ加減」
~雇用調整制度の対象者は1000万人超~
(川口マーン惠美 2020.05.01)
[…略…]
たとえば、かつての優良企業であったルフトハンザ・ドイツ航空もその一つ。短縮労働などではとても追いつかず、7000人のレイオフが計画されている(最初は1万人と言っていた)。しかし、それでも政府の救済なしにはどうにもならなくなっており、現在、折衝中だ。

ルフトハンザが必要としている額はとりあえず100億ユーロ(約1.2兆円)で、交渉は難航しているという。救済がどういう形になるかの結論が出たら、それを今度はEUの該当の委員会が承認しなければならないので、まだ時間はかかるだろう。

なお、エールフランスやKLMオランダ航空も同じような状況で、フランス政府とオランダ政府が保証を与え、110億ユーロの融資が決まった。

一方で29日、ドイツ政府は、移動の制限を6月14日まで伸ばしてしまった。それまで人々は旅行できないし、その後も、旅行熱が早急に戻ってくる保証はまるでない。どちらかというとその反対だろう。

だとすると、ルフトハンザも、エールフランスもKLMオランダ航空も、巨額の融資を返済できるのかということになる。下手をすると、そのうちヨーロッパの航空会社は、軒並み国営企業になってしまうかもしれない。

[…略…]

■経済と感染予防のバランス
なお、ドイツでは当然、失業率も急速に上がっている。29日、政府は失業手当の交付期間の延長も決めた。

[…略…]

このままでは、未曾有の倒産の波がやってくると、多くの企業の団体が政府に対して、一刻も早いロックダウン解除、あるいは、少なくともその計画の公表を陳情している。緑の党は、国民全員に、たとえば250ユーロ分の買い物・食事クーポンを配布してはどうかと言い出した。

野党だけではなく、与党の中でも、「経済と感染予防のバランス」を考えた政策をとるべきだという声は日増しに高くなっている。このままでは経済が破綻し、コロナ患者は減っても、国民の生活も健康も守れなくなる恐れがあると。

ドイツではすでに新規の感染者数は激減し、集中治療用ベッドは全国で1.3万床も余っているという。しかし、なぜかメルケル首相は、早急な解除はもとより、段階的な解除にさえ強硬にブレーキをかけている。コロナ対策の陰で、政界では何を巡ってどんな綱引きが起こっているのか、まるで見えなくなってきたと感じる。<了>

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ご紹介まで。

 

5月4日(月)

【ドイツ有力新聞が中国に巨額賠償金を請求】

ジャーナリストの小森義久氏が、とても興味深い情報をネットにUPしてくれているのです。

題して「ドイツ紙が衝いた中国の真実」という。
ドイツの有力紙であるビルト誌が、紙面上で公然と中国政府を攻撃し始めているという。
そして中国政府も俄然反論し始めて、ただならぬ舌戦が展開されているとか。

◆Japan In-depth◆
ドイツ紙が衝いた中国の真実
(5/4(月) 11:05配信)
【まとめ】
・ドイツ紙が中国に対し、ドイツの被害に対する巨額賠償金を要求。
・ドイツ紙の「中国は全世界をあざむいた」に中国は激しく反論。
・一新聞と中国の激烈な非難の応酬はウイルス拡散の異様性を反映。

新型コロナウイルスの感染がなお全世界に広がるなかで、ドイツで最大部数を有する新聞が社説で中国政府に対しドイツが受けた被害の賠償金支払いを要求した。だが中国政府は即時に「まったくの不当な要求だ」と反論した。

すると同新聞の主筆は中国の習近平国家主席あての公開書簡を公表して、中国政府の隠蔽工作こそがコロナウイルスを全世界に広げたのだとする激烈な非難をぶつけた。中国側はそれにまた反論し、ドイツの新聞対中国政府の、国際的にも珍しい険悪な論争が続き、欧州全体の注視を集めるようになった。

発端は4月15日、ドイツ国内で最大の発行部数を誇る日刊新聞「ビルト」が社説ふうの記事で「私たちへの中国の負債」と題して、中国を発生源とする新型コロナウイルス感染でドイツがこうむった被害への賠償を要求したことだった。

[…略…]

「習近平氏よ、あなたは国家を監視によって支配している。監視制度がなければ、あなたは国家主席とはなっていない。国民の行動すべてを監視しているのに、武漢の海鮮市場での感染症をきちんと監視することを怠った」
「あなたは自分の統治に批判的なすべての新聞、すべてのウェブサイトを閉鎖してきたが、コロナウイルスの発生源だというコウモリのスープを売る屋台を監視も閉鎖もしなかった」
「あなたは自国民を監視して、抑圧するだけでなく、感染についての重要な情報を抑圧することで、全世界を危機にさらしたのだ」
「武漢で発生したコロナウイルスは市場ではなく同じ市内のウイルス研究所から安全基準の欠落によりコウモリのからむウイルスが流出したという情報もある」
「ドイツにあるあなたの大使館は私が中国の国民との伝統的な友好を傷つけたと非難する。だがあなたの友好とはマスクを全世界に輸出することではないか。それは友好ではなく、微笑で偽装した帝国主義であり、トロイの木馬なのだ」
「あなたは疫病を輸出することにより中国を強化することを計画しているのだろう。だがあなたは成功しない。やがてはコロナウイルスはあなたの政治的な生命の終わりとなるだろう」

[…以下略…]

***********************

いやいや、どうなるのでしょうか、この抗争・・・。

アメリカはアメリカでこのコロナ問題でも公然と中国政府に非難の声をあげているのです。

ドイツではメルケル政権がこれまでずっと「中国贔屓」のスタンスで中国政権と仲良くやって来ていたのです。

しかしここに来てドイツ国民もアメリカ国民と同じように中国共産党政権のアコギな政治に気が付き始めたのでしょうか・・・。

世界は少しづつ地殻変動を起こし始めているのでしょうか。

いい傾向であると。

ご紹介まで。

 

5月2日(

【欧州の自信喪失とアジアの勃興】

今回の新型コロナウイルス惨禍では、いくつか不思議な点が指摘されるのです。

その最たる不思議が、「なぜ東アジア諸国での死亡率がここまで低いのか」ということでしょうか。
これについては「BCG接種が効いているのでないか」という仮説も出されていまして、まだ科学的には何も検証されていないのですが、逆にそれを否定するエビデンスもないですので、今の時点では「そうかもしれない」という程度に、強く肯定も強く否定もできないままに聞き措くということになるでしょうか。

いずれにしましても東アジア(韓国、台湾、日本、それに中国も含め)諸国のコロナ対策といいますか、対コロナの人的被害が欧州に比べて格段に低いことから色々な考察がなされることになるのです。

今回、ジャーナリストの笠原氏が『現代ビジネス』誌でとても興味深いご見解を披歴されておりましてご紹介したいと。

全面的に首肯できるような話ではないのですが、それでも色々と鋭い指摘もありまして大変勉強になるご見解であると。

 

◆現代ビジネス◆
深刻すぎるコロナ危機で、ヨーロッパが自信喪失している
~「アジアに学べ」という声も…~
(笠原敏彦 2020.05.02)
■欧州の惨状
新型コロナウィルスのパンデミック(世界的大流行)をめぐり、欧州では最悪期は脱したとの現状評価に基づき、都市封鎖や行動制限が徐々に緩和され始めた。

欧州最多の死者を数えるイタリアでは5月4日から製造業、建設業の事業再開や各州内に限定した人の移動が認められる。外出に必要書類の携帯を義務付けたフランスでも5月11日から段階的に制限解除を進める予定だ。

一方、スペインではすでに4月13日に首都マドリッドで職場復帰が始まり、致死率の低さから感染症対策が評価されるドイツでは4月20日に一部地域で小規模店舗の営業が再開されている。

しかし、どの国も手探りでの制限緩和であり、仮に制限が完全に解除されても、「ソーシャル・ディスタンシング(人と人の距離を取ること)」は当面、新たな常態となりそうである。

それにしても首をかしげざるを得ないのは、世界の他地域に比べた欧州の惨状の深刻さだ。

米ジョンズ・ホプキンス大の集計(5月1日現在)では、・・・

[…略…]

■欧州の自信喪失
最後は欧州に話を戻して締めたい。

欧州は20世紀に入り、大規模テロの続発、欧州債務・ユーロ危機、難民危機、イギリスの欧州連合(EU)離脱に伴う混迷、そして今回のパンデミック危機と相次ぐ危機に見舞われ続け、その度に危機対応能力が問われてきた。

筆者には欧州はかっての自信を失いつつあるように見える。

少々大風呂敷を広げるなら、今回の危機は、国際政治の基軸が欧米を中心にした「大西洋世界」から、中国の台頭などに伴い「太平洋世界」へ移行する大潮流の下で進行しているものだ。

EUという欧州統合プロジェクトは、国民国家同士が国境、ナショナルなものを意識しなくなることへの期待を込めて、グローバル化世界における新たな国家像、地域統合のモデルとして注目されてきた。

そのEUが輝きを失い、国際的地位を低下させるなら、世界は目指すべき一つの理想像を失うことにならないだろうか。

パンデミック危機をウォッチしながら、そんなことが気になっている。<了>

笠原 敏彦ジャーナリスト
長崎県立大学教授・元毎日新聞欧州総局長

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ご紹介まで。

 

4月30日(木)

(2)【生き残りの鍵は「社会主義化」か?!】

政治経済経済思想研究家の中野剛志氏が、ロイターのインタビューに答えてとてもユニークなご主張を展開されているのです。

コロナ恐慌を克服し経済を回復させるには「労働者の給与を財政から直接支払うほか、政府が雇用を拡大、医療物資の生産・調達を主導し、重要産業へ資本を注入」する必要があると。
そしてこの政策は、「もはや社会主義と言ってよい。しかし、イデオロギー上の好悪を超えて、一時的に社会主義化しないと、このコロナ恐慌は到底、克服できない」と述べているとのこと。

非常に強烈な中野氏のご主張ですが、その記事を以下にご紹介したいと。

◆REUTERS◆
〔コロナ後の日本〕生き残りの鍵は「社会主義化」、中韓が市場奪取=中野剛志氏
(Reuters Staff 2020年4月29日)
[東京 29日 ロイター] – 評論家の中野剛志氏は、ロイターとのインタビューで、新型コロナウイルスによる「恐慌」を乗り越えるには国内総生産(GDP)の5割を超える大規模な財政出動が必要で、政府が重要産業に資本を注入するなど社会主義的な措置が求められるとの見方を示した。感染拡大期が主要各国より遅れて訪れた日本は終息のタイミングも後ずれし、先に経済活動を正常化させた中国や韓国に市場を奪われる恐れがあるとの見通しも示した。

政治経済思想を専門とする中野氏は、政府がいくら借金しても破たんしないとして積極的な財政出動を唱える経済理論、「現代貨幣理論(MMT)」をいち早く日本に紹介したことで知られる。

<強いデフレ圧力>
中野氏は新型コロナによる日本経済への影響を、雇用面から2008年の世界金融危機の際と比較。非正規雇用の割合が当時の33.7%(2009年)から38.3%(2019年)へと増加していることから、失業率はあの時より悪化しやすい状況にあり、「おそらく5%台では済まない」と指摘した。

さらに日本のGDPの6割を占める個人消費について、7都府県に非常事態宣言が出された際に、全国で4兆9000億円の減少が予測されるとした、りそな総合研究所の試算にも言及、「消費税によりさらに10%も購買力が奪われるわけで、想像を絶する事態だ」と語った。

中野氏は、一部医療物資の不足やサプライチェーン(供給網)途絶による物価高騰の懸念を指摘する一方、経済活動の停止と需要不足による「デフレ圧力の方がはるかに強い」と指摘。「特に中国、韓国、台湾が先に生産活動を再開し、余剰の製品を安い価格で大量に輸出するだろうから、さらなるデフレ圧力が加わる」と予想した。

中野氏はこれを「恐慌」と表現し、「政府支出を空前の規模で拡大する以外にない。GDPに占める政府支出の比率を5割以上、あるいは6割以上にしてでも、事業を継続させ、雇用を維持する必要がある」と語った。さらに、労働者の給与を財政から直接支払うほか、政府が雇用を拡大、医療物資の生産・調達を主導し、重要産業へ資本を注入する必要性も出てくるとした。

中野氏は「もはや社会主義と言ってよい。しかし、イデオロギー上の好悪を超えて、一時的に社会主義化しないと、このコロナ恐慌は到底、克服できない」と述べた。

<優良企業が淘汰される矛盾、日本企業のバーゲン>
中野氏は危機終息後について、日本経済がV字回復することは望めないと予想する。企業倒産や失業の増大で供給側の能力が毀損されてしまうためで、「需要が回復しても、供給が追い付かず、停滞が続く」と語った。

廃業や倒産が経済の新陳代謝を促すとする一部の主張に対し、「今回のコロナ危機でより生き残りやすいのは、内部留保がより大きい企業」と反論。「積極的な設備投資、R&D(研究開発)、労働分配を行ってきた優良企業が逆に淘汰されてしまうため、企業の廃業や倒産を放置すると、かえって非効率な経済となってしまう」とした。

さらに、拡大期が早く訪れた国ほど終息時期も早いとし、主要国では中国、韓国、欧州、米国、日本の順番になると予測した。「先に復活した中国や韓国の企業が世界市場を奪ってしまい、日本が生産活動を正常化させた時には、もはや海外市場の取り分はないという事態が想定される」と語った。その上で「日本企業やその資産や技術は、お買い得のバーゲンセール状態であろう」と述べた。

<グローバリゼーションは死語に>
[…略…]

中野氏は「コロナ危機後の世界秩序は、コロナ危機の下で社会主義化を決断し、実行した国が生き残り、社会主義化できなかった国が凋落する」と述べた。<了>

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ご紹介まで。

 

(1)【中国の戦狼的外交に欧州反発】

新型コロナウイルス問題が世界中を混乱の極みに陥れている中、中国政権はこれを奇貨としてヨーロッパに恩を売るかの如くのマスク外交を展開しています。

これは新型コロナが中国の武漢発であることを見れば「中国が火付け役」で、それを鎮火するのに中国が一役買うことになるとするなら、それは「中国が消防士」のような格好になり、見事なマッチポンプ」を展開していることになるのです、中国外交部はそれをマッチポンプなどとは決して思わず、大真面目に「世界に貢献している」として自画自賛しているのです。

イタリアなどはだいぶ助かったようで「中国、有り難う!」などと感謝しているようですが、逆にチェコなどは大いに反発して、逆に台湾との友好関係を深めるような動きをしているとか。

[参考]
①日経:中国「マスク外交」波紋 欧州、歓迎の一方で警戒感
②動画:中共の「戦狼的外交」に反発 チェコなどが中国大使の退去要求

そんな中国は今、「戦狼外交官」なる言葉が流布しているとか。
どういう意味かと言えば、「タカ派外交官、中国軍特殊部隊『戦狼』の元隊員が海外で大活躍するという中国の大ヒット映画シリーズにちなんでそう呼ばれる」ということだそうですが、これが中国国内では大いに人気を博し、逆にヨーロッパではそういう中国政権の強圧的外交姿勢には反発が出ているとも言われているようです。

石平氏が今朝の産経新聞紙上で、この「戦狼外交」について論じているのですが、困ったことであります。

さて、国際投資アナリストの大原浩氏が夕刊フジ誌上でとても興味深い提言をされていましたので、ご紹介したいと。
題して「国連“再編”で中国追放を!」という。

WHOが中国のロビー活動にしてやられて機能不全に陥っているようですが、実は「国連本体」もそうでありますし、また「ユネスコ」などの下部機関の多くが、中国のロビー活動にしてやれていることはよく知られたことです。

そしてまた過去においてはソ連が安保理事会で常に拒否権を行使して、安保理が存在価値を見せたことなどほとんどなかったのです。
つまりは、どうにもこの「ロシア」「中国」の2ヶ国が国連を機能不全に陥れている元凶であることは多くの人の認めるところでしょう。

そんな中での、「もうその2ヵ国を追放してしまえ!」という提言は説得力があるのです。

◆夕刊フジ◆
国連“再編”で中国追放を! 「二大独裁国家」が常任理事国にいる異常…G7参加国ベースに民主主義国主導へ
(大原浩 2020.04.28)
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)をめぐり、中国と世界保健機関(WHO)に対する国際社会の怒りは強まるばかりだ。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、根本的な問題として、共産党独裁の中国が大きな権限を持ち、日本を敵国とみなす国際連合の機能不全があると指摘。中国を「追放」して民主主義国家による「新国連」の再編を提言する。

 トランプ米大統領は4月14日、新型コロナウイルスのパンデミックへの対応を誤ったとしてWHOへの資金拠出を少なくとも一時的に停止すべきだと述べた。

 WHOとその背後にいる中国共産党の「火元隠蔽(いんぺい)」のための情報工作に振り回されていた日本国民だけではなく、世界中の多くの人々が喝采を送った。もっとも、WHOや中国と同じように左翼偏向したメディアはお気に召さないようだが…。

 日本も米国に続いて拠出金の停止を行うべきだ。今は「有事」だからという声もあるが、有事だからこそ、信頼のおけない情報をバラまく組織をサポートすべきではないし、WHOに拠出する資金があるのなら、新型コロナウイルスで多大な被害を受けた日本国民に還元すべきである。

 自虐歴史観で洗脳されてきた日本人は、「世界の人々は立派で“お花畑”に住んでいる」と思い込まされているが、実際に「お花畑」といえる世界に住んでいるのは、戦後75年間も平和で豊かな社会を維持してきた日本人である。その周りを邪悪なオオカミがうろついているのが現実なのだ。

 国連はもともと第二次世界大戦の戦勝国が「戦勝利権」を確定するために創設した組織である。母体は戦争に勝った「連合国」であり、連合国に歯向かった日本などは、今でも国連憲章の中の「敵国条項」で差別的扱いを受けている。

 中韓との歴史戦争で日本が不利な立場に立たされているのは、歴代日本政府の弱腰のせいだけではない。日本を「敵国」として扱う国連も「日本たたき」を事実上サポートしているからなのだ。

 端的な例が、2015年に中国申請の「南京大虐殺文書」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)記憶遺産に登録されたことである。「資料としての信憑(しんぴょう)性が低い」「登録を決める審議の場に、文書の原資料もそのコピーもなかった」などずさんな申請内容にも関わらずごり押しで登録されてしまった。日本人は世界遺産をありがたがっているが、その程度の組織に過ぎない。

 実際米国は、2015年にユネスコが「聖地エルサレム」の管理をめぐってイスラエルを非難する決議を採択したり、2017年に一部をイスラエルが管理している「ヘブロン旧市街」を、「パレスチナの世界遺産」として登録したことに激怒し、ユネスコを脱退している。

 その背後には、戦勝国である本当の中国(中華民国、台湾)に背乗りして、常任理事国になってしまった共産主義中国がいる。

[…略…]

われわれはこの現状に対処しなければならない。国連を解体した後には、「自由主義」「民主主義」を堅持する国々がリーダーシップをとる組織の構築が必要だ。現状の国連では、中国とロシアという「世界二大独裁国家」が常任理事国の地位にあるという異常な状態が続いている。

 「新国連」のベースはG7参加国であるべきだ。フランス、米国、英国、ドイツ、日本、イタリア、カナダの7つの先進国がリードすれば、世界はもっと良くなる。この中に「反民主主義国家」は存在しない。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

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まことにもっともであると。

ご紹介まで。

 

4月29日(水)

【自由と監視の相克】

斬り込み隊長こと山本一郎氏が、氏のブログで大変興味深いご主張を展開しておられますので、ご紹介したいと。

◆山本一郎オフィシャルブログ◆
ポストコロナ時代へ向けてのNFI提言「新しい民主主義を形作るのは、新しい情報制度である」
(2020/4/28)
さっき、Nathanさんに金子勝せんせが馬鹿にされていたけれど、でも金子勝せんせの問題意識って国家が個人情報を利活用することには一定の理解は示しつつも、でも権力が国民を監視することは許せないという一件矛盾した心理をうまく表現していると思うんですよ。

[…略…]

 まあ、左派からすれば憎むほど憎い安倍晋三政権が為す横暴を目の当たりにして、個人情報を自由にさせるなんて許せない! って言いたいのも分かるんですけどね。

 で、そんなすったもんだも含めて、コロナウイルス対策を機に国家による国民の情報をどう扱うべきかという論考を森田朗先生が執筆されています。

国家による保護と統制をどこまで許容できるか
令和版「この国のかたち」:NFIからの提言Vol.1(1/3) | JBpress(日本ビジネスプレス)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60314

[…略…]

 大事なことは、感染症対策や地震のような災害時に、必要に応じて個人に関する情報を国家や都道府県、自治体、あるいはこれらが委託した民間企業が使えることで、国民の生命や財産の安全が守られ、必要な補償や手当てが行き渡り、死ななくて良い、倒れなくて良い人たちが無難に危機を乗り越えられるという目的に限定することです。

 問題は、一党独裁の専制主義か、議論を尽くして個人の権利を前提とする民主主義かという選択の問題ではなく、民主主義を大前提としながら、危機にあっては適切に情報管理がなされる情報法制の完成度にあります。

 そのために、マイナンバーを使い、国民の口座情報や健康情報を管理し、位置情報によって安全かどうかを判断できるサービスに繋げていく。あるいは、補償を行ったり健康を維持するのに必要なマッシブデータを活用するためにどのような政策を実現するのが望ましいのか、公共政策と公衆衛生の両面から最適解を図るべきだと思うんですよね。

 解決には自治体ごとに個人情報に関する条例が異なる2000個問題もありますし、もっと包括的に情報法をすべての法体系のうえにかぶせる必要も出てくるかもしれない。データ資本主義の幕開けと言いながらも、いま目の前の公的書類をオンライン上で済ませられないからせっせと実印を捺し、各種証明書を窓口で貰ったり郵送してもらったりする不合理がまだ現実にそこにあるのです。しかも、それを手掛けるのは公務員の皆さんであり、病院でも、大企業でも、あらゆるところで不合理がそのままになっていて、情報化が進まない。

[…以下略…]

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いや、「新しい民主主義を形作るのは、新しい情報制度である」というご主張ですが、確かに一理あると。

ご紹介まで。

 

4月28日(火)

【国は休業補償せよ!】

経済評論家の高橋洋一氏が現代ビジネス誌にまことに傾聴すべきご主張を開陳していますので、ご紹介したいと。

要旨は、「連休明けの段階での緊急事態宣言解除は早すぎる。よってしばらくは3密を避けるべく自粛を継続するべき。ただし、休業補償をしないでの要請はダメである。本格的な補償をするべきである」という。

◆現代ビジネス◆
緊急事態宣言「休業補償ナシで解除」の愚策を絶対に避けるべき理由
~死者数とコストはトレードオフ~
(高橋洋一:経済学者、嘉悦大学教授 2020.04.27)
■「人と接触しない」ことの重要性
政府は4月7日の緊急事態宣言を受けて、人との接触の「最低7割、極力8割」削減を呼びかけ、大型連休中の地方への旅行も自粛を呼びかけている。緊急事態宣言からほぼ3週間が経過したが、終息へのめどは立つのか。

人との接触を減少させるのは、感染症対策では基本中の基本だ。感染症がどのように広がるかについては、かなり昔から研究があり、短期的な流行は数理モデルで記述できる。それは、Susceptible(まだ感染していない人)、Infected(感染している人)、Recovered(感染から回復した人、死亡もモデル上含む)の動きを表しており、SIRモデルという。

[…略…]

■死者数とコストは「トレードオフ」
ここで問題になるのは、基本再生産数を1より小さくするための措置には、コストがかかることだ。

例えば、先のプランAは、何もしないので基本再生産数は1より大きく2~5程度だが、コストレス。一方、プランBは、基本再生産数は1より小さく、コストは100兆円以上。

ここでわかることは、死者数とコストの間には上図のような二律背反(トレードオフ)があることだ。

こうした理論的な考察から言って、今の政府の態度は解せない。というのは、誰かがコストを負担しないと、基本再生算数を1より小さくできなくなる可能性があるからだ。

例えば、休業助成金や休業補償である。財政の豊かな東京都はそれなりに出せるが、他の府県は東京都のようにやるのは無理だ。

■なぜ国は休業補償をしないのか
前回の本コラムでも指摘したが、国には通貨発行権があるので、3ヵ月程度の休業補償を満額行ってもコストは10兆円程度であり、対応できる。しかし、政府は休業補償については地方自治体任せにしており、自らは負担しようとしていない。

本日27日、日銀は政策決定会合を行う。本来は27日と28日の2日間行う予定であったが、コロナショックもあり、27日の1日だけとし、9時に開始して昼頃を目途に終了する予定と発表されている。

すでに、一部新聞では「国債購入制限なく、日銀議論へ CP・社債購入倍増」との記事も出ている。

当然である。米FRBは既に無制限国債買入を決めている。企業債のみならず、地方債まで購入対象になっている。ここで日銀が動かなければ、世界の笑いものだ。もっとも、日銀は地方債も購入対象とするのだろうか。筆者の関心はそこしかない。

[…略…]

■緊急事態宣言解除は「愚策」だ
となると、人の移動を強制的に禁止することはできないが、休業補償、休業協力金などにより、「三密」状態を回避する措置が当分必要なのではないか。緊急事態宣言を拙速に解除するより、コストをかけてでも宣言を継続する方が、結果として経済パフォーマンスもいいだろう。

もし、国が休業補償を一切負担せずに、5月6日に緊急事態宣言を全面的に解除したら、とんでもない愚策となってしまうことを指摘しておきたい。

今後、経済は落ち込む。昨年10-12月期は▲7.1%(年率換算以下同じ)。1-3月期は▲5%程度、4-6月期は▲25%程度と筆者は見込んでいる。昨年10月-今年6月は▲37%だ。

ちなみに、アメリカは昨年10-12月期+2.1%だったが、米議会予算局は1-3月期▲3.5%、4-6月期▲39.6%と見込んでいる。昨年10月-今年6月は▲41%で、日米は同じような落ち込みになるだろう。

こう考えると、今回の補正予算では、真水はGDP5%程度なので、とても足りない。いずれ追加補正は必要になる。であれば、早く休業補償の手当をやるべきだ。戦力の逐次投入はマズい。<了>

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以前から高橋氏は「真水での20兆円などショボ過ぎる」と言っておられるのです。
もっともっと大胆な、100兆円くらいだせるはずともご主張しているのです。

ここは日本政府も腹をくくっての大盤振る舞いをするべき時でありましょう。
国民も大きく声を挙げるべき時であると。

ご紹介まで。

 

4月27日(月)

【政治家たちの変身をどう受け止めるべき】

ネット上、文春オンラインに興味深い記事が寄稿されておりましてご紹介したいと。

河野真太郎氏という英文学専攻の専修大学教授が「ジョンソン英首相、小池都知事、橋下徹氏……突然「福祉」にシフトする政治家たちを信用できるか?」という刺激的な表題で一文を寄せているのです。

本文はサイトに行かれてお読み頂ければと思うのですが、要旨は大体以下のような。

・政治家たちが新型コロナ問題で「福祉重視」に転向している、(たとえばボリスジョンソン氏であり小池百合子女史であり橋下徹氏など)
・しかし彼らはそれ以前はみな福祉を切り捨ててきて張本人である
・彼らはこのコロナ禍を契機にいかにも自分たちが福祉を重視しているようなことを主張するが、「どの口がそれを言う?!」と批判されても仕方ない話である
・そういう政治家を国民はどのように評価するべきなのか
というようなことでしょうか。
非常に鋭いご指摘であろうかと。

特にイギリス研究者だけあって、ボリスジョンソン氏への批判は痛烈であると。

 

◆文春オンライン◆
ジョンソン英首相、小池都知事、橋下徹氏……突然「福祉」にシフトする政治家たちを信用できるか?
(河野 真太郎 2020/04/26)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はパンデミックとなって世界を覆っている。

 戦争との比較を忌避する人もいるが、国家の役割、そして国家と市民との関係がこれほどまでに厳しく問われる事態は、戦争を除いてはそうそうない、ということは確かだ。そして、COVID-19の危機をどうやって脱するかという喫緊の問題と同時に、私たちはその国家と市民との関係をもう一度根本的に問いなおさなければならない。

 それを考える上でひとつ、気になる傾向がある。それは、世界の多くの政治家たちが、ここ数十年の傾向とは逆行する形で、国家による福祉を重視し強調し始めているという、とりあえずは理解の難しくない傾向だ。

■大反響の「社会というものはある」発言
 それを象徴したのが、イギリスの首相ボリス・ジョンソンであろう。ジョンソン首相は3月27日に、新型コロナウイルスに感染していることが発表され、首相官邸に自主隔離していたが4月5日に入院。一時は病状の悪化が伝えられたが、12日には退院した。

 自主隔離中の3月29日、ジョンソン大統領はビデオメッセージを発した。そこで注目されたのは、彼が締めくくりの言葉で、医療関係者に感謝を述べつつ、「コロナウイルスが証明したのは、本当は、社会というものはあるということでした」と 述べたことだった。

 これがなぜ話題になったのかは後で述べるとして、退院した12日、彼は再びビデオメッセージを公表した。

 その冒頭で彼は、「間違いなくNHSに命を救われた」(NHSとはNational Health Service(国民保健サービス)のこと)と切り出し、メッセージの後半を「私たちのNHS」への賛辞と、それを守ることの必要性の訴えに費やした。

 みずから新型肺炎に罹患し、それを克服しながら、イギリスの共同体精神とその体現としての医療体制を称賛することによって、ジョンソン首相はかなり株を上げたように、私の目には映った。

■リベラル系の知識人がジョンソン首相を称賛?
 イギリス在住で、ジョンソン首相とは政治的に相容れない立場の人びとも、とりあえずこの間のジョンソン首相を批判することにはためらいが見られるようになった様子であるし、また日本でも、とりわけリベラル系の知識人がジョンソン首相のメッセージを称賛する姿が見られたのに驚いた(それは、返す刀で日本の首相のふがいなさを批判するためだったとはいえ)。

 そのような様子を見て、私自身は非常に居心地の悪い思いを抱かざるを得なかった。ジョンソン首相は、そのような称賛に値する政治家だったのか? 「社会」発言や退院後のメッセージは、それまでのジョンソン首相の政治性とはずいぶんかけ離れているのではないか?

 この違和感を説明するために、まずはジョンソン首相のメッセージの文化的意味を説明しておこう。最終的には、これはイギリスだけの問題ではなく、日本も含む、コロナ禍に覆われた世界全体の問題だと分かるだろう。

■イギリス人の驚くべきNHS愛

[…略…]

■2010年代、保守党の改革で受診待ちの患者が急増
 しかし、私自身、そしておそらくイギリス人の多くがジョンソン首相の発言に対して感じたことを一言で言えば(ちょっと口汚くて申し訳ないが)、「どの口が言うか」だったろう。というのも、とりわけ2010年代に、NHSを含む福祉をさらに削減し続けたのは、保守党(キャメロン首相)と自由党の連立政権だった。この間の福祉カットの政策は「緊縮(政策)(austerity)」と呼ばれる。

 たとえば、NHSへの資金カットにより、かつての労働党政権のあいだに減少していたNHS受診の順番待ちの人数は、2010年代の保守党政権のあいだに労働党政権前の水準まで再上昇している。

 おそらく人びとの神経を逆なでしたのは、そのような保守党のジョンソン首相が、「私たちの」NHSという言葉を使ったことではないだろうか。というのもたとえばSave Our NHSだとか、Keep Our NHS Publicといった形で、「私たちのNHS」と叫んできたのは、保守党の緊縮政策に反対する運動の側だったからだ。ジョンソン首相の「私たち」はそれを横領するものだった。

[…略…]

 さて、そのようなフェイクで実現したEU離脱はNHSを助けるどころか、移民排斥によってそれを危機に陥れている。その主犯たるボリス・ジョンソンが、移民のNHS看護師に自分の命を救ってくれたと謝辞を述べる。「どの口が」と言いたくもなろう。

■小池、橋下の福祉シフトを信用できるか
 ただし、イギリスの例えば労働党支持者の中にも、私がここで述べたほどに口を極めてジョンソン首相を批判することはためらわれる雰囲気があると感じられる。それは、現状があまりにも危機的であるためでもあろうが、もう一方で、ジョンソン首相なり保守党なりが、コロナ危機を受けて実際にこれまでの緊縮政策を改める可能性があると感じられているからであろう。

 このような図式は、イギリスだけではないように思われる。例えば東京都知事の小池百合子は、コロナ危機が生じる前までは、都知事としての公約がほとんど実現されていないなど、存在感を失っていた。また、3月までは、東京オリンピックの実現に足を取られてコロナ対策が後手に回ったということで批判もあった。

 ところが、私の感覚では、おそらく国に先んじて新型コロナウイルスによる休業への補償を打ち出したあたりから、小池都知事のリーダーシップの評価はうなぎ登りになったように思われる。小池都知事がこれまで、手厚い福祉を訴える政治家として人気を得たなどということは、さらさらないにもかかわらず、である。

 他にも、ジョンソン首相の例を彷彿とさせるような事例がいくつか生じている。例えば、元大阪府知事・大阪市長の橋下徹が、ツイッターで以下のように述べたことである。

僕が今更言うのもおかしいところですが、大阪府知事時代、大阪市長時代に徹底的な改革を断行し、有事の今、現場を疲弊させているところがあると思います。保健所、府立市立病院など。そこは、お手数をおかけしますが見直しをよろしくお願いします。
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) April 3, 2020

 府知事・市長時代に、2010年代イギリス保守党と同様に、徹底的な緊縮と新自由主義改革を行った橋下徹が、このような反省を述べる。これには一方でやはり「どの口が」という反応も出てくるだろうが、もう一方ではコロナ危機の現状において、状況の読みに長けたポピュリスト政治家たちが、緊縮・新自由主義一辺倒ではまずいということを悟りはじめている事例として、受けとめることもできる。

■ポピュリストとどう向き合うか
 このコロナ危機は、国家や公的なものの役割を大きく変えていくだろう。新自由主義と民営化=市場化一辺倒だったここ数十年の流れがついに変わっていくかもしれない。例えば航空会社の破綻と、その国有化・公有化などは十分にあり得ることであるし、欧州ではじつはすでに起こっていた、さまざまな産業やインフラの再公営化(岸本聡子『 水道、再び公営化! 』(集英社新書)などを参照)が、世界各国で加速していくかもしれない。

 そのような「福祉シフト」に、一部のポピュリスト政治家たちは敏感に応答しようとしている。これをシニカルに、懐疑の目だけでもって見るのは、それはそれで間違っている。福祉シフトはそれ自体必要なのだから。

 だが、その一方で、当該の政治家がつい数ヶ月前まではとっていた政治的路線をあっけらかんと忘れて、福祉シフトを演ずる彼ら/彼女らを称賛することも、危険なのである。私たちは、民主主義社会の成員としての力を今こそ試されている。<了>

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いや、「民主主義社会の成員としての力を試されている」といことについては、そうかもしれないのです。

しかし、だからと言って彼らを「つまらない政治家だ・・・」として切り捨てる訳にもいかず・・・。

かといって称賛する訳にもいかず・・・。

政治というのは、結局有権者が優れた知性をもたない限り「優れた政治」は実現しえない、ということなのでしょう・・・。

しかし、風に吹かれるような、小泉劇場を喜んで受け入れるような、流行を喜んで追い求めるような軽薄な民衆大衆を、どのようにすれば啓蒙でき、どのようにすれば「優れた知性を有する」ようにできるのかというなら、もうそれは根源的に「無理でないのか・・・」と言いたくもなるのです。

河野氏ではないですが、それこそ「シニカルに眺める」しかないと。

いや、政治というものは、難しいものであると・・・。

ご紹介まで。

 

4月26日(

【感染拡大と集団免疫】

政治評論家で元衆議院議員の松田学氏のチューチューブ動画チャンネルに池田信夫氏がゲストとして招かれ、特番として30分ほど語っているのです。
大変興味深い知見が語られておりまして勉強になるのです。
以下にその動画が見れるサイトをご紹介したいと。

◆アゴラ◆
ロックダウンでコロナ感染は止まらない
(池田信夫 2020年04月26日)
緊急事態宣言が始まって20日たったが、「8割削減」の劇的な効果はみられない。感染者は宣言の前と同じペースで、ゆるやかに減っている。それに満足できない人は「中途半端な自粛でだらだらやってもだめだ」とか「ロックダウンで一挙にウイルスを根絶すれば元の生活に戻れる」などというが、これは無知である。

ウイルスは害虫のように殺虫剤で「根絶」できるものではない。新型コロナウイルスがゼロになる日は絶対こないと断定してよい。人類が根絶した感染症は、天然痘とポリオぐらいだが、それもウイルスがゼロになったわけではなく、予防接種で免疫を維持しているのだ。

ではどういう状態になったら、感染症の流行が終わるのか。その目安になるのが集団免疫(再生産数<1)である。これも誤解している人が多いが、政府がめざす目標ではなく、望ましい状態でもない。ウイルスを根絶することは不可能だから、感染がそれ以上拡大しない状態をめざすのだ。

これは「感染を許容している」と受け取られるので政治的には困難で、イギリス政府は挫折した。ヨーロッパではスウェーデン政府だけがロックダウンしないで頑張っているが、これは集団免疫をめざすものではない。スウェーデン政府のGiesecke科学顧問は、この点についておもしろいコメントをしている。

彼はロックダウンで感染の拡大が防げるというエビデンスは見たことがないという。これは政治家が発明した言葉で、科学には存在しない。都市を閉鎖しても一時的にウイルスが減るだけで、閉鎖を解除するとまた増える。死亡率の増加がゆるやかになるのは、最初は病弱な高齢者が死ぬからで、長期的にはロックダウンしてもしなくても大した違いはない。問題は社会的距離ではなく医療資源なのだ。

スウェーデンは集団免疫を目標にしているわけではない。無意味なロックダウンをしないで医療を支援し、高齢者や病弱な人を守る。それ以外の集会禁止などの措置はほとんど取っていないので、人々はいつものように街で集まって食事を楽しんでいる。多くの人が免疫をもてば、感染はやがて収束してゆく。集団免疫はその副産物であり、収束の必要条件ではない。

WHOはコロナの抗体をもつ人がもう一度感染しないという証拠は今のところないと発表した。もともとコロナのように変異の速いウイルスで、国民が集団免疫をもつことはむずかしいが、それでスウェーデンのような「非ロックダウン戦略」の有効性が失われるわけではない。どういう経路をたどっても、十分多くの人が免疫をもつまで感染は止まらないのだから、それを一時的に止めることに意味はない。

ただスウェーデンの死亡率は・・・<略>

これに比べて死亡率3人の日本は、圧倒的に有利な立場にある。もともとロックダウンも緊急事態宣言も必要なかったのだ。日本の再生産数は低いので収束にも時間がかかるが、それは大した問題ではない。大事なのは集団免疫ではなく、感染のピークを下げて医療資源を守ることである。<了>

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さて、今後は緊急事態をいつ解除するかということに問題が移って行くと思われるのですが、安倍首相が難しいこの判断を適切に決断されて行くといいのですが、注目されるのです。

ご紹介まで。

 

4月23日(木)

【徳のある国などどこにもない】

双日の吉崎達彦氏のブログ(『溜池通信』)の22日(水)の記事に読み応えのある良記事が載っておりましたのでご紹介したいと。

◆溜池通信◆
●かんべえの不規則発言<4月22日>(水)

〇今週号のThe Economist誌が今日になって家に届いた。以前は日曜日に届いていたのだが、最近はコロナウイルス蔓延のせいで到着が遅いのである。たしかアジア版は、シンガポールで印刷していたのではなかったか。飛行機の便も減っているから、その辺は仕方がないのであろう。

〇実を言えば年間購読者は、前の週の金曜日の時点でネット上で読めるので、本誌の到着を待つ必要はあんまりないのである。何しろ最近は、「電車の中で本誌を読む」という機会が失われているのだし。それに正直言うと、今の私には、この雑誌は字が細か過ぎるのだ。電車の中で読むときも、ホントはiPadの方がありがたい、なんてことになっている。

〇最近のThe Economist誌は、Covid-19関連の記事はフリーにします、と宣言している。だって全世界が必要としているでしょ、ということである。その意気やよし。長年の読者として申し上げると、世の中がひっくり返るようなこと――9/11とかリーマンショックとか、今回の新型コロナといったことが生じたとき――この雑誌の論考はいつも感心させらます。

〇で、今週号のカバーストーリーは”Is China winning?”(中国が勝つのか?)である。これは外交専門家の間で流行の議論で、戦争や大きな自然災害があった後には国際関係が変わる。ひょっとしてアメリカの指導力が低下して、これから中国の時代が来るんじゃないのか。これはよくある議論だが、The Economist誌は「そうじゃないだろう」としている。

〇確かにアメリカときたら、「WHOにもうカネは払わん!」などという低次元な腹いせをやっている。トランプ政権下のアメリカは、エイズやエボラ熱のときのように世界を先導するつもりなどさらさらない。その点、中国は他国に先駆けて疾病を封じ込め、全世界にマスクを配ったりしている。これでは「地政学的転換点」になっても不思議はない。

〇ただし、そうはならんだろう。まず、中国がそんなに上手くやったかどうか、われわれには確認のしようがない。ごまかしがあるかもしれないし、台湾や韓国のような民主主義国の方が対処は優れていたのではないか。(ここで日本の名前がスルーされるのは当然だが、ちょっと寂しい)。これから先に中国経済が復調するかどうかだってよくわからない。

〇しかも、中国のプロパガンダはまことにウザい。他国の悪口を言うし、「病原菌アメリカ発生説」みたいな陰謀論もほのめかす。逆に西側先進国は、中国に対する猜疑心を深めている。それに中国は、アメリカに代わる力を有しているとは思われない。中国にはグーグルもなければハーバード大学もない。というか、本気で世界のリーダーを目指しているのだろうか。

〇おそらく中国は、世界の経綸を担いたい、などとは思っていない。今の秩序を維持するだけで結構で、そこで中国が邪魔されることがなければいい、と割り切っているのではないか。トランプのアメリカは確かにお粗末だが、その後釜が中国だったらこりゃあ悲劇である・・・てなことを言っておる。うむ、まとめかたが少々カジュアル過ぎたかな。真面目な読者は、ちゃんと原文に当たられますように。

〇で、ワシが思ったのは、「中国のプロパガンダは国内向け」だということである。「わが国は共産党の指導のよろしきを得て・・・」というお題目は、聞かされるほうはいい迷惑である。特に国内が阿鼻叫喚の状態になっている今の欧米諸国にとっては。ただし、あれは国内向けに言っているのだと思えば、そんなに腹は立たない。

[…略…]

〇The Economist誌はまことに辛辣で、こんなことも言っている。”In the past China has haggled over debt behind closed doors and bilaterally, dragon to mouse, to extract political concessions.”「かつての中国は債務国に対し、二国間だけの密室において、龍がネズミを睨みつけるようにして政治的譲歩を迫ってきた」と。まあ、確かに「徳」のない国なのです。もっとも今の世界は、どこを見渡しても「徳」なんてありませんけど。<了>

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なるほど、中国の「大言壮語」、「自画自賛」記事は、それは世界に向けて発信しているのでなく、中国国内向けのプロバガンダだったのかもしれないのです。

そしてそんな中国には、「世界の覇権国」になる意思などなく、同時にそんな「実力」もはなから無いのであると。

つまり、世界は中国を必要以上に恐れる必要もないのであると。

ご明察です、と。

ちなみに23日(木)の記事は原油価格暴落に関する記事なのですが、こちらも大層ためになる記事なのです。

いや、吉崎さん、いつもグッジョブです。

ご紹介まで。

 

4月22日(水)

【政治家は給付金の10万円を受け取るべきか】

昨日の東京都の新規感染者数が123人であったことを受け、産経新聞では一面トップに次の見出しが載ったのです。

「7都府県、感染勢い鈍る」と。

もちろん「今後も警戒必要」と付け加えているのですが、いずれにしても「宣言後の2週間でおおむね減少か横ばいとなり、感染者の伸びが鈍化傾向にあることが分かった」としているのです。

5月7日に、公立学校の授業再開が無事にできるかどうか、ここ1週間の感染者数の増減にかかっているのです。
願わくばすんなり再開が決まって欲しいところです。

それはそうとしまして、政治家や富裕層が「一人当たり10万円の給付金を受け取るべきか辞退するべきか」という問題が巷で浮上しているのです。

「私は受け取らない」と宣言する政治家も多いのですが、これについて三橋貴明氏が痛烈なご批判をしていましたのでご紹介したいと。
「国民一人当たり10万円の現金給付について、相変わらず愚かな政治家たちが異様な発言を繰り返しています」という趣旨の話です。

 

◆新世紀のビッグブラザーへ◆
ピンハネ税により、現金給付は実は9万円
(2020.4.22)
・・・
 三回の鼎談の中で、今回が最も重要になります。理由は、未だに、ありもしない「財政問題」を理由(というか言い訳)に、「国民を救うための経済対策」を拒否、否定する国会議員が多数派だからです。
 国民一人当たり十万円の現金給付について、相変わらず愚かな政治家たちが異様な発言を繰り返しています。

『菅氏、10万円申請「常識的にはしない」受け取らぬ意向
菅義偉官房長官は20日午前の記者会見で、国民1人当たり10万円の一律給付金について、自身が受け取るかどうかを問われ、「常識的には(申請は)しないと思う」と述べた。(後略)』

 いや、常識的に申請し、全額、消費に使え。菅官房長官が10万円を使ったとき、必ず「別の国民」の所得になる。
 国民が所得激減に苦しんでいる以上、申請しない、あるいは預金するという選択肢は、少なくとも政治家の場合はあり得ない。

[…略…]

 菅官房長官が給付金を受け取らないと、その分(わずかですが)国債発行+財政支出が減り、国民の貨幣が増えない。所得も増えない。

 こんな基本的なことすら理解せずに、政治家をするのはやめて欲しい。官房長官自ら、国民の所得を減らす行為に手を染めるな。

 もっとも、より愚かというか、率直に言って「頭がおかしい」としか表現できないことを言っているのが、広島県知事。

[…以下略…]

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この問題は難しいのです。

というのも、三橋氏の言うように「経済を回す」という観点から皆が10万円を使うべしとしても、「何に使うのか?!」ということが次なる問題として浮上してくるからです。

つまりは、「今、それを使えということは、それは感染拡大に資するということになるのでは?」という疑問も生じるからなのです。

これはトレードオフの関係になっているような感じでもありますので、どうも一筋縄ではいかないものかと。

 

こちらの記事もご参考までに、

◆BLOGOS◆
菅官房長官「常識的に現金給付10万円申請しない」 政治家として市民として大変無責任な発言である
(藤田孝典 2020.4.21)

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もう一つネット上にUPされていた興味深い記事をご紹介したいと。
池田信夫氏が、原油価格の暴落を受けて一文を寄せているのです。

 

◆アゴラ◆
「逆石油ショック」は日本のチャンス
(池田 信夫 2020年04月22日)
20日のニューヨーク原油市場は、国際的な指標WTIの5月物に買い手がつかず、マイナスになった。原油価格がマイナスになったと言う話を聞いたとき、私は何かの勘違いだと思ったが、次の図のように一時は1バレル当たりマイナス37ドルの値がついた。

[…略…]

これは世界経済全体としては好ましい流れとはいいがたいが、短期的には日本にとって有利である。これを機に生産性を高め、資本効率を上げれば、世界のリーダーに返り咲くことも不可能ではない。

先進国がロックダウンから脱却できない中で、日本はコロナの被害も軽く、緊急事態宣言も不要だった。5月6日以降は経済を正常に戻し、世界経済の主導権を握るチャンスである。<了>

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もう一本、ご紹介したい記事が産経新聞に。

竹内洋氏の寄稿文が『正論』欄に載っておりまして、こちらも(なるほどね…)と思える話でしたのでご紹介したいと。

 

◆産経新聞◆
【正論】
コロナ禍後の未来射程に方策を 
(社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋 2020.4.22)
≪77年周期「ガラガラポン」≫

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いや、確かに今般の「コロナ禍」は、世界的は第二次世界大戦に匹敵するほどの「ガラガラポン」になるかもしれないのです。

日本にとっては黒船襲来や太平洋戦争敗戦級のガラガラポンになるかもしれないのです。

いやいやいや、「コロナ以前の社会は二度と戻ってこない」と誰かがさらっと言っていたのですが、本当にそれくらいの大崩壊、大変革が世界中で起こってくるような気がするのです。

そしてそれは「大変素晴らしいことである」と、私は思っているのです。
まさに『塞翁が馬』であると。

さて、皆さん素晴らしいご考察をなされている訳でありまして、大変勉強になるのです。

ご紹介まで。

 

4月21日(火)

【働かざる者食うべからずの呪縛】

経済評論家の三橋貴明氏のブログに、とても興味深い記事が載っていましたのでご紹介したいと。テーマは「国を救わない政治家=自己責任論者と緊縮在主義者」という。

併せて藤和彦氏(独立行政法人経済産業研究所上席研究員)の「政府はなぜ休業補償に消極的なのか」もご紹介したいと。

◆新世紀のビッグブラザーへ◆
国民を救わない政治家はいらない(三橋貴明 2020-04-20)
[…前略…]
 改めて考えてみると、財務省が主導する「緊縮財政路線」あるいは「財政均衡主義」は、国民や政治家に健全なナショナリズムがあれば、正当化できない発想です。ナショナリズムに基づく財政の考え方は、「困っている国民がいるならば、政府が救う」が基本となります。つまりは「国民全体」を念頭に置いた上で、財政について考える必要があるのです。

 緊縮財政やPB黒字化、財政均衡論とは、国民全体、あるいは国家の「一部」に過ぎない政府を抜き出し、収支を計算する発想です。そもそも、政府は国民の一般意志を実現するためのNPO(非営利団体)なのですが、それにも関わらず「政府の収支のみ」しか見ないのが財政均衡論であり、緊縮財政なのです。

 国家・国民という「全体」を考えない、ナショナリズムが欠如した「政治家」を選んだのは、我々日本国民自身です。というわけで、我々の責任といえばその通りなのですが、自己責任論の自民党の政治家たちとはいえども、「国民や日本企業を見捨てる政治家」とのレッテルを貼られるのは嫌なようです。(さすがに、次の選挙への危機感があるのでしょう)

 ここが、突破口です。例えば、ツイッターで「全額休業補償をすれば、国は、財政破綻します」などと書いていた礒崎陽輔参議院議員が、猛反発されて、いきなり、「私は、国債を使って経済対策を強力に推進すべきだという立場の人間であり、決して緊縮財政主義者ではありません」などと言い出すのを見ていると、緊縮財政主義者、自己責任論者といったキーワードが、明らかに「ネガティブな印象を与える」ことに気が付き始めているようです。

 疫病と恐慌という二つの危機に直面している我々が、何をするべきなのか。政治家をびびらせ、危機感を持たせなければなりません。
 国民を救わない政治家はいらない。お前は、国民を救わない政治家なのか? という問いを突き付けられたとき、「はい、そうです」と言ってのける政治家は、いないという話でございます。

 生き残るために、声を上げて下さい。特に、地元の政治家を、「お前は国民を見捨てる自己責任論者、緊縮財政主義者なのか?」と、容赦なく締め上げる。もちろん、地元の政治家相手でなくても構いません。昨日も書きましたが、今こそ日本国民が攻勢に転じるべき時なのです。<了>

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◆デイリー新潮◆
【コロナ禍】政府はなぜ休業補償に消極的なのか
~「働かざる者食うべからず」の歴史的背景~
藤和彦:経済産業研究所上席研究員
(配信デイリー新潮 4/12(日))

[…前略…]
 だがその休業要請について、休業補償の是非を巡って国と地方自治体が対立している。
 財政に比較的余裕がある東京都を除く6つの府県知事は「休業要請と休業補償はセットである」との態度を明確にし、これが認められなければ休業要請を行わない構えであるのに対し、国は「休業補償は現実的ではない」として応じる姿勢を示していない。
 自民党の有力若手衆議院議員によれば、政務調査会の場で「休業補償を実施すべきだ」と主張したところ、「働かざるもの食うべからず」という自己責任論を振りかざす議員が圧倒的多数を占め、賛同者はほとんどいなかったという。
 国は「欧米でも休業補償制度は存在しない」と説明しているが、英国やフランス、ドイツでは実質的に休業補償が行われていると言っても過言ではないだろう。
 欧州と日本の間の休業補償についての温度差はどこにあるのだろうか。筆者は社会福祉に関する歴史的変遷の違いがその背景にあると考えている。
 欧州では働きたくても働けない者を救う役割を古くからキリスト教会が果たしてきたが、「囲い込み運動」により大量の失業者が発生したことにより、16世紀の英国で初めて政府主導の救貧行政が実施された。英国ではその後も制度の拡充が図られ、革命など社会の混乱が生じなかったことから、欧州の他国も「貧民を救済することによって社会秩序が保たれる」との認識が広まり、こぞって類似の制度を導入した。
 これに対し日本にはこのような歴史を有していない。

■「働かざる者食うべからず」
 貧困の公的救済に関する歴史に詳しい奈良大学教授・木下光生氏は、「日本の社会は恒常的で十分な生活保障を良しとする歴史的教訓を積み重ねてこなかった」と主張している。
 木下氏によれば、江戸時代、貧困に陥った者が村の公的救済を受ける場合、金銭的な負担のない施しよりも低利な貸し付けをあえて選ぶことが多かったという。「タダで助けてもらう」ことに対する忌避感が社会全体に広がっていたからだろう。労働に対する社会の価値観も公的救済についての考え方に影響を与える。
 日本の庶民史に詳しい歴史民俗学研究会代表の礫川全次氏によれば、「戦後の奇跡の復興という成功体験によって、日本人の間で『勤勉性』という価値観は不動のものになった」という。1970年代から欧州では「勤勉」は反社会的な行為であるとの考え方が広まったのに対し、日本では過労死など数々の社会問題を生み出してもなお「勤勉」に対する評価が変わることはない。
「働かざる者食うべからず」という格言は新約聖書の一節に由来する。聖パウロがキリスト教の信者に対して怠惰な生活ぶりを戒めるくだりがもとになっているが、キリスト教徒の比率が1%程度に過ぎない日本で、この教えが本家以上に堅く守られているのはなんとも皮肉な話である。
 しかし愚痴を言っているばかりでは何も始まらない。労働を通じて組織に忠誠を尽くすことを重んじる日本社会で休業補償制度を導入するには、「社会の中で新たな役割を与える」ことを条件として金銭給付を行うやり方しかないのではないだろうか。
[…以下略…]

週刊新潮WEB取材班編集
2020年4月12日 掲載

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21世紀型の社会保障制度の新しいシステムである「ベーシックインカム論」は、言葉を換えて言うなら「働かない者にも給与を支払う」という常識外れの考え方をヨシとする政策なのです。

それはこれまで当たり前」、常識と思われてきた「働かざる者食うべからず論」を真っ向から否定する新理念なのです。

今、麻生財務大臣を始め、自民党の古い政治家たちはみな「自己責任論」の呪縛に囚われたままなのです。

そしてそれは20世紀までは誰も疑問をもたないほどに強力な常識だったのです。

その常識を覆すのですから、まさにそれはガリレイが宗教裁判にかけられたように、(体制側からするなら)体制への否定、常識への挑戦になっているのです。

本当に、「貧困は自己責任でなく体制、システムの不備」なのであるという新常識を、国民の側から政治家に突き付けていかないといけないのでしょう。

三橋氏はそれを見据えて動いているようです。
応援したいと。

ご紹介まで。

 

4月20日(月)

【菅官房長官の胸のうち】

週刊誌の『週刊ポスト』誌、そのWEB版にとても興味深い記事がUPされていましたのでご紹介したいと。

◆MSNニュース◆
【週刊ポスト】
菅官房長官 安倍首相との関係微妙で「やってられるか」状態か
(2020.4.20)
 非常時には強力な政権基盤を持つ「強い総理」でなければ危機を乗り切ることは難しい。新型コロナ危機にあたって国民は「一強」と呼ばれる安倍晋三・首相のリーダーシップに期待した。
 安倍内閣は大臣を首相のイエスマンで固め、官僚はいちいち指示しなくても総理の意向を忖度して動く。それは平時には批判の対象になるが、危機にはトップの号令一下、政府が一致団結して危機対応に当たる“原動力”になると思われたからだ。

 ところが、この総理はやることなすこと国民の神経を逆なでしている。466億円の“アベノマスク”に続いて、今度はギターを弾きながら歌うミュージシャン・星野源と、私邸のソファーで愛犬を抱いてくつろぐ自分のコラボ動画をツイッターに投稿し、たちまち「貴族動画」「現代のルイ16世」と批判が殺到した。総理の女房役の菅義偉・官房長官は記者会見で“火消し”に追われた。
「星野源さんが歌を公開したことに総理が共感をし、今般の配信を行なった。若者に外出を控えてもらいたい旨を訴えるにあたり、SNSでの発信は極めて有効。過去最高の35万を超える『いいね』をいただくなど、大きな反響があり、多くの皆様にメッセージが伝わることを期待している」
そう擁護した。

「いや、あの会見はとても総理を擁護しているようには見えなかったな」
 自民党ベテランは、菅氏の様子に別の印象を持ったという。
「菅さんが総理を本気で守るときはもっと高圧的で断定的な言い方をする。加計学園問題では文科省資料を『怪文書みたいなもの』と一刀両断してみせた。それに比べて、今回は役人のメモをボソボソと読み上げただけ。マスクもコラボ動画も安倍側近官僚の入れ知恵といわれており、菅さんは役人を重用する総理と距離を置きたいんじゃないか」

 これまで菅氏は安倍政権の大黒柱として国の危機管理に手腕を発揮してきた。とくに「初動が早く、指示も的確だった」と官僚に強い印象を残しているのが4年前の熊本地震(2016年4月14日)の対応だ。
 一報を受けると真っ先に官邸に駆けつけ、被害状況の把握と応急対策を指示し、発生から1時間半後には官邸で対策会議を開く準備を整えた。
 時には総理の“女房役”として耳に痛いことも直言する。昨年秋、萩生田光一・文科相の「身の丈」発言で英語民間試験を導入する大学入試改革に批判が高まると、菅氏は「今からでは間に合わない」という文科省官僚の抵抗を押し切って安倍首相に導入延期を進言し、延期を決断させて批判を封じ込めた。

 しかし、首相は菅氏が「令和おじさん」として注目されると警戒して次第に遠ざけるようになり、今回のコロナ危機では、菅氏は安倍首相から危機管理の指揮権も情報さえも与えられていない。

◆安倍官邸への決別宣言
 それを物語るのが、安倍首相が全国一斉休校要請を突然発表したとき、休校に慎重だった菅氏が決定を直前まで知らされていなかったことだ。最終判断は発表当日(2月27日)、官房長官がいない席で、首相と今井尚哉・総理補佐官らごく一部の側近だけで決定されたとされる。

 菅氏自身がその経緯を参院予算委員会でこう説明している。

「どうするか(首相と)議論した。『最終的には首相のご判断ですよ』とも申し上げた。4~5日間議論して、首相がその日午後、判断されたと聞いた」

 全国の小中高校を休校させるには文科省、総務省をはじめ多くの役所が関係する。その重大な決定を行なう会議に、「行政各部の総合調整」を所掌事務とする内閣官房長官が呼ばれないというのは異例中の異例だった。

 菅氏に近い議員は、それ以上に菅氏が自ら内情を明らかにしたことに驚いたという。

「菅さんの反対を・・・

[…略…]

 政権を支えてきたと自負する菅氏が、安倍首相の仕打ちに屈辱を感じなかったはずがない。菅氏は首相を“支え甲斐がない上司だ”と愛想を尽かした。それからの官房長官会見は精彩がなく、会見でも役人が書いたメモを棒読みするばかりになった。政権を支えるモチベーションを失っていることが傍目に見て取れる。

「総理の動画アップについても菅さんが相談を受けていたら止めていたでしょうが、知らされないまま、批判を浴びると会見で説明責任だけ押し付けられた。菅さんは感染対策が一段落した時点で官房長官を辞任する腹を固めているでしょう」(同前)

 こうして総理と官房長官が「官邸内別居」の状態になったことが、政府のコロナ対応を迷走させていく。政治ジャーナリスト・野上忠興氏が指摘する。

「安倍首相は“強いリーダー”像を掲げてはいるが、もともとトップダウン型ではなく、バランス型の総理。政策判断ではブレーンや部下が提案した案のうちどれにするかを選ぶ。その案に役人が反対すれば官僚人事を握る菅官房長官が抵抗をはねのけて実行していくという役割分担だった。だが、決定するのは安倍、実行するのは菅という政権運営の仕組みが崩れ、口うるさい“女房役”がいなくなった安倍首相が自ら危機管理の司令塔になると、政府の方針がコロコロ変わるようになった」

 この肝心なときに官邸は機能不全に陥った。

※週刊ポスト2020年5月1日号

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はてさて真実、真相はどうなのでしょうか、それは将来的にはいずれ明らかになるのでしょうが、当面は上の観測記事は「推測」でしかない訳ですので、あまりそれを重大視することは良くないのでしょう。

ですが、それにしても安倍政権が身の回りを安倍氏のイエスマンで囲い込んで、補佐官頼みになっているらしいことは見て取れるののです。

権力者にとって、耳に痛い苦言を呈してくれる、いわゆる諫言をしてくれるサポート役の人物を近くに置いておくことはとても重要なことなのですが、しかし、それは権力者にとって「目障りな存在」になることも確かなことなのです。

気持ちは分からなくないのですが、残念なことであると。

ご紹介まで。

 

4月18日(

【ヨーロッパに忍び寄る中国の影】

新型コロ助騒動で世界中が大揺れの中、いち早くこれを乗り越えた中国が、今度は「助けてあげましょう」としてヨーロッパ諸国に手を差し伸べているとか。

そんな中国の動きを、それを有り難がる国もあれば危険視する国もあるという形で鋭く分析している一文が、現代ビジネス誌に掲載されておりましたのでご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
コロナ危機のEUに「救世主ヅラ」で忍び寄る中国・習近平の狙い
~共存共栄など絶対にあり得ない~
(川口 マーン 惠美 2020.04.17)
■胡散臭い「救世主」
現在、よりによって新型コロナウイルス発祥国の国家主席である習近平氏が、寛大で理想的な「救世主」という役を世界のあちこちで演じている。まさか皆、その胡散臭さに気づいていないはずはなかろうが、気づかないふりをしている政治家はたくさんいる。

イタリアのディマイオ外相は自身のフェイスブックのビデオで、空港に到着した中国からの医療物資に感動している自分の姿を流したし、セルビアのヴチッチ大統領は、「我々を助けてくれるのは中国だけ」と公言した。

中国が世界中に送っているのは、マスクなどの防疫グッズ、人工呼吸器、さらに医師や看護師など衛生スタッフ。これらがEU諸国はもちろん、イラクからペルー、アメリカ、そして日本にまで届けられている。ここのところ『人民日報』は、それらの国々が、どれほど中国に感謝しているかという記事で、毎日、てんこ盛りだという。

現在、日本でも品薄のマスクだが、今年1月、まだ日本人がぼんやりしていたころ、中国人旅行者が大量に買い込み、中国へ運んでいたと言われる。そういえば、1月はドイツでも、薬局でマスクが大量に買われ、品切れになっているというニュースが盛んに流れた。

ドイツ人はマスクをする習慣がないし、そもそも街でマスク姿の人など一人も見なかった。しかも、当時は、ドイツでコロナウイルスが流行るという話もまだなかったので、誰が買い占めているのかと怪訝に思ったものだが、これも中国人のなせる業だったかもしれないと、今になって思う。ドイツにも中国人は非常に多い。

前述のセルビア政府はEUに対してかなり頭にきているらしく、大統領いわく、「ヨーロッパに連帯などないことがはっきりとわかった」。その一方で、中国に救援を求めた書簡の中では、習近平氏に「友人で兄弟」と呼びかけ、その後も、中国からの救援物資を両国の友好の証として大仰に演出した。

ちなみにセルビアとEUの間では、2012年からEU加盟交渉が進んでいるが、まだ加盟の予定は立っていない。

■EUに走る亀裂
EUに頭にきている国はセルビアだけではない。EU本部はベルギーのブリュッセルにあるが、EU政治を実質的に牛耳っているのは、ドイツとフランスの二国だ。そこに、スウェーデン、オランダ、ルクセンブルク、オーストリアなどといったヨーロッパ北部の経済優良国がくっついて、いわゆるEUエリート群をなしている。

それに対して南部には、イタリア、ギリシャ、スペインといった経済破綻国が並ぶ。なぜ彼らが経済破綻国になってしまったかというと、ユーロを使っているからだが、今さらこれはどうしようもない。

ユーロには構造的な問題がある。経済力の異なる国々が一つの金融市場で単一通貨を使い、一律の金融政策の下にある。これでは、経済力の弱い国は競争力を失い、いずれ破綻するしかない。そして、それが実際に進行している。

これを解決するには、通貨や金融政策だけでなく、財政も統合するしかないが、そうなると、強い国の税金が弱い国に際限なく流れることになるため、当然、北方エリート組が大反対する。一番強硬に反対しているのは、ドイツとオランダである。

なお、フランスはEU政治をドイツとともに率いてはいるが、経済的には南欧の破綻国側に属する。経済が破綻していながら、政治大国であり得るというところが、まさにフランスの凄さだが、しかし、この国が重篤な金欠に悩んでいることには変わりがない。

だからマクロン大統領はおそらく、EUのシステムを、北方エリート組のお金が南方破綻組に滞りなく流れるように作り変えることが、自分の使命だと思っているだろう。財政統合が本当の意味でのEUの統合であるという理屈はもちろん正論だが、その主張の陰には裕福なドイツに対するフランスの反感がくすぶる。

なお、南欧の国々がブリュッセルに反発するもう一つの大きな理由は、どんどん増えていく難民だ。海から来る膨大な数のアフリカ、および中東難民のせいで、特にギリシャとイタリアが完全に疲弊している。しかし、北方エリート組は口では偉そうなことを言いつつも、本当の意味ではあまり手を差し伸べていない。これも、南北のあいだに大きな亀裂を作っている。

一方、EUには東西の対立もある。東欧の国々はまだユーロを使っていないので金融の問題は起きないが、EUのエリート国が推し進めるリベラル政治に対する政治的反発が大きい。彼らは自国の重要事項は自分たちの主権で決めたいと思っているし、そもそも、エリート組の優越的態度が鼻に付くようだ。東欧組の雄は、ハンガリー、ポーランド、チェコである。

■中国の本当の狙い
今年の3月初め、コロナ患者の急増にイタリアが苦しんでいたとき、まだ死者など一人も出ていなかったドイツは、マスクや人工呼吸器などが国外に出ることを禁止した。EUの連帯とは無縁の行動だ。

これに腹を立てたフランスがすぐさま同じような措置を取り、慌てたその他のEU国も続いた。セルビアが「助けてくれるのは中国だけ」といった背景には、そういう事情もあった。

そして、ここ10年余り、そういうEUの不協和音を巧みに利用しつつ進出してきたのが中国だった。

すでに2012年、中国・・・

[…略…]

■さすがのドイツもEU防衛に
とはいえ、これまでは、そういう中国の動きをメディアが否定的に取り上げることはあまりなかった。ドイツ経済はあまりにも中国に依存し過ぎており、産業界も政界も中国批判など望んでいない。ドイツの主要メディアは、政界の望まないことは基本的に深くは追求しない。

ところが、コロナがそれを変えつつある。独大手紙「Die Welt」に4月13日、香港の女性人権活動家、鄺頌晴氏の寄稿が載った。過激な反中論者である。
https://www.welt.de/debatte/kommentare/plus207205965/Propaganda-Alarmierend-wie-China-Profit-aus-der-Corona-Krise-zieht.html?wtrid=onsite.onsitesearch

タイトルは、「危機の救済者として名乗りをあげる中国は、吸血鬼だ」。記事中には、「マクロン仏大統領に医療機器支援を要請された中国が、ファーウェイの5Gテクノロジーを認めることを交換条件にした」などという、一見信じがたいことも書いてある。

なお、同紙は保守系の新聞だが、最近は他紙にも、中国が民主主義の原則を悉く踏み躙っている独裁国家であることを読者に思い出させるような記事が急に増えてきた。ドイツが、EUの防衛に本気になってきた証拠かもしれない。

ただ、ドイツメディアが中国批判をするとき、二つのハードルがある。一つは経済界の親中性。そして、もう一つは、中国を批判すると相対的にトランプ大統領に近づいてしまうというジレンマだ。ドイツメディアのトランプ嫌いは激しく、これまでは、習近平の方がトランプより民主的であるかのように聞こえることさえ少なくなかった。

今後、そこらへんをどう調整していくのかは見ものだ。私は、メディアはコロナ問題を使いつつ、おそらく我々が思っている以上に柔軟に方向転換をするのではないかと想像している。<了>

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中国という国の経済力は大変魅力的だが、人権蹂躙を顧みない反民主主義的な共産党独裁政権の覇権主義体質は否定せざるを得ないというジレンマに、ドイツが悩まされ始めているのです。

しかし中国に助けられているイタリアなど中東欧諸国は、もう露骨に「親中派」に鞍替えしようとしているとか。
そこはまさに習近平政権の目論見が実現しつつあるという。

さて、EUがもはや機能不全で崩壊寸前の様相なのですが、これからヨーロッパはどこへ向かって歩み始めて行くのでしょうか。

新型コロ助は世界経済も大混乱に陥れたのですが、同時に世界政治、国際政治も大混乱に陥れるようなことになりそうです。

ご紹介まで。

 

4月17日(金)

【ダメだこりゃ、安倍政権…】

今回のコロナ禍経済対策について、政府が迷走気味になっているのです。

世論の反発が予想以上に厳しく、二階氏や公明党が強硬に「変更」を要求したことで、安倍政権も折れざるを得なくなったという。

この件に関しまして以下の2本の記事がとても参考になる分析をしておりましたのでご紹介したいと。

1本目は双日の吉崎達彦氏、2本目はバンクーバーの岡本裕明氏の記事です。

◆溜池通信◆
Diary 「10万円!」New!!<4月16日>(木)
〇うーん、不思議なことがあるもんだ。
〇一昨日の産経新聞「正論」に載った拙稿の提案が実現しつつある。まさか当日朝にアレを読んだから、ではあるまいが、14日の夕方に二階幹事長がぶら下がり会見で「一律10万円の給付」をぶちあげた。

■自民・二階幹事長、一律10万円給付を政府に要求「強力に申し入れ」(4月15日、産経新聞から)
[…略…]
〇自民党の総裁と幹事長は、会社でいえばチェアマンとプレジデントの関係なのだから、普通だったら直接、官邸に行って直接進言すればいい。ところが敢えてメディアに向けて言った、というところが尋常ではない。二階さんは官邸に喧嘩を売っているのか、本気で心からそう思っているのか、それとも単にボケているのか。(全部ありそうなところがますますコワい)。

〇ところがこれで慌てふためいたのが公明党であった。翌日にはこんなことになった。

■公明・山口代表、1人10万円の現金給付を政府に要請 安倍首相「方向性を持って検討」(4月16日、産経新聞から)

 安倍首相は15日、公明党の山口代表と官邸で会談した。山口氏は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策として、所得制限を設けない国民への一律10万円の現金給付を求めた。首相は「方向性を持って検討する」と応じた。会談後、山口氏が記者団に明かした。
 山口氏は「先が見通せずに困っている国民の状況に励ましと連帯のメッセージを伝えるべきだ」と強調。「緊急事態宣言を出してからの苦しみや影響を政治が敏感に受け止めなくてはならない」とも語った。
 公明党は現金給付をめぐり、政府の緊急経済対策に、収入が大幅に減ったことなどを条件に「1人当たり10万円給付」を盛り込むよう求めていた。ただ、政府は「減収世帯に30万円」を採用。党内からは「給付額が少なすぎる」「世帯単位への給付では国民の理解は得られない」などと異論が出ていた。

〇公明党としては、自分たちの主張を自民党に取られてしまう、手柄の横取りになってしまう、と焦ったようである。そこで、「追加補正で10万円配布」じゃなくて、今の補正をすぐに組み替えろ、と凄んだ。そんなこと言ったって、既に閣議決定した経済対策の中身を組み換える、なんて聞いたことがない。

〇確かに「減収世帯に30万円」という今の案はヒジョーに評判が悪い。「全世帯にマスク2枚配布」や、「安倍さんが自宅で過ごすインスタグラム」と同じくらいによろしくない。いや、マスク2枚の配布というのは、「これで全国の高齢者に安心してもらって、毎朝、マスクを買うために薬局の前で行列するのをやめてもらいたい」という深あぁぁぁい意図があるのだ、という解説もあるのだが、とにかくこれが賢い政府だとはとても思われない。

〇そこで今日になって、安倍さんは急きょ緊急事態宣言を全国に広げることにして、それもあるから「1人当たり10万円給付」に切り替えるという理屈をひねくりだしたらしい。いや、その方がずっといいですよ。老人から子供まで、全員に配られるのですから。四人家族であれば40万円です。せっかく108兆円という事業規模の予算を組んだのに、「ドケチ安倍」などと言われている現状はあまりにも情けないです。

〇過ちを改めるに憚ることなかれ。でも、これで補正予算の成立は1週間は遅れるでしょう。大型連休の直前くらいになりますでしょうか。問題はいつおカネが届くかで、リーマンショック時の定額給付金は、2008年12月に補正を通して、おカネが届いたのは翌年3月だった。同じことをやったらまた呆れられますぞ。あのときは住民基本台帳を使ったそうですが、もっといい手があるはずだと思います。

〇シンガポールでは「21歳以上の大人1人に600シンガポールドル(4~5万円)」の給付金が銀行口座に振り込まれ、アメリカでは間もなくトランプさんのサイン入り小切手が届き始めるそうです。これで10万円が届くのが夏だったら、また日本政府は無能だと言われますぞ。そこはしっかりやってくださいまし。

[…略…]

〇もっとも今度のことでは、自民党政調会長のメンツは丸つぶれですな。まあ、しばらくはポスト安倍どころではありませんけれどもね。

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◆外から見る日本、見られる日本人◆
どうした自民党?
これは新型肺炎に端を発した政治崩壊と言われかねません。減収世帯への30万円給付が一転して10万円給付の方向となりました。このところ、どうしちゃったのでしょう、と本当につぶやいてしまいました。

[…略…]

では自民党。細かい話は抜きにしますが、今回の印象を一言で申し上げるとかつて民主党に政権を取られる頃に戻ってしまいそうな弱体感すらあるのです。勿論、今、野党にまともなところはありません。が、今回、公明党に押し切られたそのふがいなさ、そしてそのトリガーが二階幹事長の発言だったという点です。とすれば二階さんは岸田政調会長を潰す気なのでしょうか?

NY州のクオモ知事が「アメリカにはKINGはいない」と発言していましたが、「自民党には二階がいる」ということになります。

政権の動きも遅いです。「10万円の支給は5月下旬から6月に届くスピード感が大切だ」と公明党の議員が発言していますが、私にすれば???なのです。カナダでは経済支援関係の支払いは申請から3日から1週間程度でバンバン支払いが行われています。日本は政治と官僚と役所の仕組みが機能しておらず、これだけITや技術大国だといっても実際の作業は50年前から全然変わっていないのであります。(カナダでは個人、法人の銀行口座と税務当局がネットでつながっているので処理が早いのです。)

緊急事態宣言も結局全国に広げました。安倍首相の今回の一連の流れは(海外の衝撃的状況を見て)経済的インパクトを最小限に止めないと日本経済が崩壊する、と考えた節があります。ですが、そのズルズル感が世界の先進国の対策ではもっとも遅延し、周回遅れとなってしまったのです。中途半端だったのです。(それとも中国発西回りで日本が最終地という説明なのでしょうか?それではあまりにもお粗末です。)

一言でいえば「安倍首相も孫正義も柳井正もバトンが繋げない」であります。7年半近く走って最後にとんでもない向かい風の中の上り坂なのにゴールにはタスキを渡す相手がいないということです。今は新型肺炎対策を優先しなくてはいけませんが、崩壊しつつある政治の回復劇も早急なる対策が求められます。

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ということでありまして、安倍政権の今回のコロナ禍対策につきましては、もうまことに「お粗末な対応」しか出来ていないと言わざるを得ないと。

支持率が急落するのも仕方ないことであると。

そしてさすがにもう「安倍4選」の目はなくなったのであろうなと。

ご紹介まで。

 

4月16日(木)

【イギリスも中国のプロバガンダを警戒】

中国による対外プロバガンダの実態はよく分かっていないのですが、しかし中国政権が「シャープパワー」なる用語で言われる「対外ロビー活動」などの情報戦を展開していることは周知の事実なのです。

たとえば世界中に展開されている「孔子学院」などもその一つとして機能しているのです。

そんな中国の情報戦を警戒し始める記事がイギリスから届きましたので、ご紹介したいと。

 

◆大紀元◆
英デイリー・テレグラフ紙、中国のプロパガンダ記事を掲載中止
(2020年04月16日)
英紙デイリー・テレグラフはこのほど、中国国営英字紙「チャイナ・デイリー」が提供した記事コンテンツを削除した。

英紙デイリー・テレグラフは、中国国営メディアが提供したプロパガンダ記事の掲載を中止したことが明らかになった。同国ガーディアン紙が4月14日報じた。

報道によると、過去10数年、デイリー・テレグラフ紙は、中国国営英字紙「中国日報(チャイナ・デイリー)」の「チャイナ・ウォッチ(China Watch)」のコラムを掲載してきた。中国側は、このコラムの掲載のためにデイリー・テレグラフ紙に資金を提供している。チャイナ・ウォッチの執筆者は中国の記者や編集者で、内容は主に国際社会で中国当局がリーダーシップを発揮していると称賛するものだという。デイリー・テレグラフは、これらの記事を紙新聞と電子版に載せていた。

デイリー・テレグラフ紙電子版は、同コラムをすでに削除したという。また、「中国共産党機関紙・人民日報電子版の記事を収載する別のコンテンツ」も削除した。

ガーディアン紙は、背景には、中共ウイルス(新型コロナウイルス)のパンデミックを利用して、欧米メディアを通じて、影響力を拡大しようとする中国当局の下心に、欧米各国が警戒感を強めたことにあると分析した。

デイリー・テレグラフ紙が削除したコラムの記事は、「なぜ一部の人は、新型コロナウイルスを阻止しようとする中国の英雄的な努力を非人道的なものとしてけなすのか?(Why are sone framing China’s heroic efforts to stop coronavirus as inhumane?)」「漢方薬は新型コロナウイルスとの戦いに役に立つ(Traditional Chinese medicine ‘helps fight coronavirs’)」と題するものだった。

デイリー・テレグラフ紙は、中国メディアが出資したコラムの掲載中止についてコメントしていない。

中国当局が毎年、外国の主流メディアにプロパガンダ記事を掲載するために莫大の資金を支払っているとみられる。一部の報道では、デイリー・テレグラフ紙が、「チャイナ・デイリー」が提供した記事を掲載したことで、毎年約75万ポンド(約1億109万円)の収入を得ている。

<以下略>

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ご紹介まで。

 

4月14日(火)

【新型コロナは恐れるに足らず・・・】

経済学者の池田信夫氏が大変興味深い一文をアゴラに寄稿しておりまして、ご紹介したいと。

 

◆アゴラ◆
なぜ人々は新型コロナをインフルエンザ以上に恐れるのか
(2020年04月13日 池田 信夫)
私は新型コロナの感染が日本で始まった1月下旬から、一貫して「コロナはインフルエンザ未満の風邪だ」といってきた。一時はたくさん罵詈雑言が飛んできたが、このところおとなしくなった。現実がわかってきたからだろう。

4月12日現在の日本のコロナの患者数は4257名、死者は98名だが、今シーズンのインフル患者数は約700万人、死者は1000人を超えると推定されている。患者数はコロナの1600倍、死者は10倍である。次の図のようにインフル関連死を含む「超過死亡数」でみると、1998年には3万7000人が、昨シーズンは3000人がインフルで死んでいる。

「ワクチンも特効薬もないから恐い」というのは錯覚である。インフル予防接種の受診率は25%ぐらいで、治療薬の効果は感染から2週間以内。インフルはワクチンがあってもコロナの10倍死ぬのだ。

アメリカでもインフルでコロナの3倍死んでいる

では人々は、なぜこれほどコロナを恐れ、政治家は緊急事態宣言を出すのだろうか。その簡単な説明はマスコミが騒ぐからだが、今回は世界各地で流行し、WHOが「パンデミック」と宣言した影響が大きい。最悪の流行が続いているアメリカでは、これまで56万人が感染して2万2000人が死んだ。これをインフルエンザと比べてみよう。

この表はCDCが今シーズンのアメリカのインフル被害をまとめたものだが、患者は3900~5600万人、そのうち死者は2万4000~6万2000人。最大値をとるとインフル患者はコロナの100倍、死者は3倍である。ただCDCはコロナの死者を20万人と推定しているので、死者はインフルを超えるかもしれない。

ヨーロッパでも状況は同様で、国によって差があるが、最悪のイタリアでも、図のように今シーズンはコロナが増えた分だけインフルが減り、65歳以上の死亡率は下がった。これも今後増えるだろうが、空前の大災害というわけではない。

では「東京は2週間前のNYと同じで、これから感染爆発が起こる」という話は本当だろうか。次の図のように日本の新規死者数の増加率は、ほぼ一次関数だ。これに「これから東京でオーバーシュートが起こって新規感染者が30日で30倍になる」という西浦博氏のモデルを(死者数に換算して)接ぎ木すると、こんな感じだ。

<以下略>

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いや、日本の死亡者数の少なさは本当に首を捻るレベルです。

後日その理由、原因が解明されて行くのでしょうが、いずれにしても今後の日本の死亡者数は決して欧米ほどの「何万人」レベルにはいかないだろうと思われるのです。

そういう意味では池田氏の仰ることに一理あるのです。

ご紹介まで。

 

4月12日(

【自民党の若手がNO!を突き付けた】

自民党の若手が安倍首相の経済政策にはっきり「NO!」を突き付けた、とのことが現代ビジネス誌に載っていましたのでご紹介したいと。
これはひょっとすると自民党が割れる前兆になるのでないか・・・、などと思えたりするのです。
世界は新型コロ助問題で大騒動であり、もう何から何までしっちゃかめっちゃかになっているのです。
一人日本だけが、一人自民党だけが安泰でありえるはずがないのです。
もう日本は、経済だけでなく政治でもしっちゃかめっちゃかになるような気がするのです。
そして、それでいいと。

◆現代ビジネス◆
安倍政権のコロナ経済対策、なんと自民若手たちが「批判」を始めた…!
~「108兆円」を鵜呑みにすると危ない~
(2020.4.12)

コロナ問題は収束に向かうどころか日に日に感染者が増加。安倍首相が緊急事態宣言を発令するまでに至った。一方、安倍政権は過去最大規模となる108兆円の経済対策を発表したものの、その内容には自民党の中からも批判の声が上がり始めている――。

身内である自民党若手議員からいま安倍政権のコロナ経済対策に「NO」が突き付けられているのはいったいなぜか? 自民党内で「消費税減税」の旗振り役を担い、若手有志として提言をまとめた安藤裕衆院議員が語った。

<以下小見出し>
■108兆円のうち「真水」はわずか17兆円弱です…
■危機感が薄すぎる
■やるべき経済対策は3つ
■現金は「一律10万円」を支給すべき
■「消費税ゼロ」はできる!
■「経世済民」の意識が問われる政治家

今、政治家に問われているのは消費増税とコロナショックで苦しんでいる様々な立場の国民の声を聞き、想像力を働かせ、「苦境に陥っている人々をどうやったら助けることができるか」に知恵を絞ることであろう。

間違っても「108兆円」などという空虚な数字だけに踊らされてはいけない。<了>

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他にも2本、現代ビジネス誌に興味深い記事がありましたのでご紹介したいと。

 

◆現代ビジネス◆
外出制限1ヵ月、ドイツに迫る「コロナ不況」と「EU崩壊」の足音
~結局、「貧すれば鈍する」ということか~
(川口 マーン 惠美 2020.04.10)

◆現代ビジネス◆
コロナ後の世界…パンデミック収束後に訪れる「新世界秩序」とは
~監視社会か、グローバルな連帯か~
(近藤大介 2020.04.07)

本当に世界はとんでもない事態に陥っているのです。
2020年は、確かに第二次世界恐慌として歴史に刻まれる年になるでしょう。

ご紹介まで。

 

4月11日()その2

【高齢者は適当な時に死ぬべきなのか?】

新型コロ助問題では、世界中で多くの人が亡くなっているのです。

ですが、圧倒的に高齢者の方が多いのです。

そんな中、ダイヤモンドオンライン誌の2016年の2月に掲載された竹井善昭氏の記事がとても考えさせられるものでありまして、また本当に素晴らしい良記事に思えまして、ご紹介したいと。

◆DIAMONDinline◆
『高齢者は適当な時に死ぬべきなのか?』
[竹井善昭:ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

(2016.2.9)
 今回は、人の「生き様」について考えてみたい。「生き様」という言葉は今の日本ではほとんど死語になってしまっていると思う。だが最近も、女性支援プロジェクトを通じて「女子とは、女性の生き様のことだ」ということに気づき、あちこちでその話をしているが、そんなときに決まってこんな質問をされる。「それって、女性の生き方とどう違うの?」と。

 簡単に言えば「生き方」とは生きるための方法論だが、「生き様」とはどう生きるかの表現論だ。「女子」とは「女性の、あるひとつの表現論」である。表現論であり表現スタイルであるので、年齢は関係ない。だから、50代女子とか60代女子というものも成立する。このあたりはいずれ詳しく論じたいと思うが、つまり今の日本では「生き方」と「生き様」の違いもわからなくなってしまっているということだ。

 しかし今の日本にこそ、この「生き様」という言葉を復活させるべきだと思う。高齢化社会がますます進むこの日本という国においてそれは重要な課題だし、もっと議論されるべきではないのか――。僕自身、そのことについてずっと考え続けていて、当連載でも何度か触れたことはある。だが最近、作家の曽野綾子氏の発言が話題(というか騒動)になったこともあり、今回改めて論じてみたいと思う。

 この騒動は、曽野氏が1月24日付の産経新聞で書いたコラムと、それを受けた形で週刊ポスト2月12日号に掲載された記事が発端となったものだ。産経新聞のコラムでは、曽野氏が「90代の高齢者がドクターヘリを要請した」という話を引き合いに出し、「何が何でも生きようとする利己的な年寄りが増えた」と指摘。それを受けて週刊ポストが付けた記事タイトルは、「高齢者は“適当な時に死ぬ義務”を忘れてしまっていませんか?」というものだ。

 この発言をめぐって、まるで「老人は早く死ね!」と言っているかのように捉えた人も多いようで、「Twitterでは批判続出」と報道するネットニュースもあった。一方、意外にも「2ちゃんねる」の関連スレッドでは曽野さんの発言に同感する発言が多いという印象。反対に、ブログには批判的な内容のものが多いように見える。

 ちなみに当記事では曽野氏の発言の是非は論じない。ただ、彼女の発言を批判しているブログにはある共通の(社会貢献の視点から見て)誤謬が見られるので、それはここで正しておきたいと思う。

■「人は平等に命を救うべき」それは絶対的な正義なのか?■
 僕が指摘したいポイントは大きく2つある。

 まず1つ目は、曽野氏へ反論する人たちの論拠だ。おそらくその反論の背景には、「高齢者だろうが何だろうが、人は平等に命を救うべき」という思想があると思う。「それが絶対的な正義である」と疑ってかかったことがない、という印象だ。

 しかし、これは少なくとも欧米一般の考え方とは異なる。これについては以前に、当連載の第115回でもお伝えしたことがあるが、欧米ではいわゆる「寝たきり老人」がいない。それは生きる力をなくした老人は「殺してしまう」からだ。たとえば、イギリス、デンマークなどでは自力で食事ができなくなった高齢者に対し、延命のための胃ろうは施さない。スウェーデンも同様。また、肺炎を起こしても抗生剤の注射はしないという。ニュージーランドでは、ある年齢(たしか75歳だったと記憶している)を越えると病気になっても治療しないそうだ。つまり、「人間は死ぬべき時に死ぬべき」という考え方だ。

 こうした国では、90代の高齢者のためにドクターヘリを飛ばすのか飛ばさないのか、脳血栓で倒れた高齢者を救急車が病院に搬送するのかしないのか、そこまで詳しくはわからないが、前述した基本的な考え方から言えば、曽野氏の主張のようにドクターヘリや救急車の出動を拒否してもおかしくない話である。

 このようなことを書くと「かわいそう」という感情から反発する読者もいるかと思うが、「かわいそう」という感情は極めて主観的なもので、往々にして当事者の意向を無視して「自分の正義の押しつけ」になりがちだ。「高齢者のドクターヘリの要請を批判すること」に対して反論する人たちには、「人は誰でも生きたいと思っている」という認識がベースにあると思うが、それでは世の中にたくさんいるかもしれない「1日も早く死にたい」と考えている老人たちの苦しみについては全く視野に入っていないとも言える。

 曽野氏が引き合いに出したドクターヘリを要請した90代の高齢者にしても、ヘリを要請したのが一体誰だったのかは報道からは判別できない。当人は脳血栓や心臓麻痺で意識を失っていて、家族が要請したことも考えられるわけで、むしろ常識的に考えてその可能性のほうが高いだろう。もしそうであれば、ドクターヘリで搬送されたことが当人にとって本当にラッキーだったかどうかは、当人にしかわからないことだ。

■「社会に貢献していない人たち」という誤解■
 そして、僕が指摘したい2つ目のポイントは、彼らの主張のなかにある「社会に貢献していない人は死ねと言うのか?」という点。これも「かわいそう」という「正義」による誤謬だ。ここで言う「社会に貢献していない人」は現役引退した高齢者だけでなく、障害者や引きこもりの人たちを想定していると思われる。そしてその根底には、「社会に貢献していない人たちはかわいそう」という感情が潜んでいる。しかしこれはある種の差別意識だし、このような当事者を無視した同情、憐みが、逆にひどい差別を生むこともある。

 たとえば、昔の日本では障害者は「かわいそうな人たち」であり、そのような人たちを働かせることは「虐待」だと考えられていた。だから、障害者は家に閉じ込めて何もさせないことが正しいことだと考えられていた。だが、今は違う。ご存じのように、今の障害者支援のメインテーマは「障害者雇用」だ。障害者の人たちに、いかに多くの働くチャンスを提供するか、働く場を作るかがテーマだ。もちろんこれは、日本の労働力不足のために行政の都合でそうなったわけではない。障害者自身が働きたい、社会に役立つ人間になりたいと願うからこそ、そこを支援する人たちが増え、障害者雇用が障害者支援のメインストリームになったのだ。

 障害者支援の最前線を走る株式会社ミライロの垣内俊哉氏は、かねて「バリアフリーからバリアバリューへ」と提唱している。これはすなわち「障害者には特有の価値があり、その価値を高めていける社会にしよう」という主張だ。ここでいう「価値」とは、何かの形で社会に貢献できるということだ。障害者は健常者の庇護や支援を受けるだけの存在ではない。自らが何かの価値を生みだせる存在なのだ、という思想である。どのような人間にも価値はある。それは、「人は誰でも社会に貢献する力がある」ということだ。

 曽野氏を批判するブロガーの多くは「社会に貢献していない人は死ねというのか?」と怒るが、僕自身は社会に貢献できなくなったらとっとと死んでしまいたいと思っているし、これまでの社会貢献活動でわかったことだが、社会に貢献していないと思われている当事者のほとんどが「社会に貢献できる人間になりたい」と願い、そうなれない自分に苦しんでいる。

 社会貢献の本質は、尊厳を奪われた人たちが尊厳を取り戻すためのお手伝いをすることだと僕は思っており、それは高齢者に対しても同じだ。ちなみに僕の父親は75歳まで船乗りとして働いていたが、高齢のために引退した後、ボランティア活動をやろうとして近所の市民団体のボランティア募集に応募したのだが、高齢を理由に断られた。昔の男らしく、その話を淡々と語ってくれた父だったが、社会貢献を標榜して活動している僕はその話を聞いてとてもいたたまれない気持ちになった。なぜなら、自分の父親がまるで「あなたはもう社会からは必要とされてない人間です」と、こともあろうにボランティア団体から突き付けられた気がしたからである。

 と話がそれて恐縮だが、ともあれ後期高齢者だって社会に役立ちたいと考えている人間は多いし、人間はいくつになっても可能な限り社会に貢献して生きていくべきだ。たしかに曽野氏の今回の表現には、僕も多少疑問を感じる部分もある。大作家に対して僭越ではあるが、もっと違った伝え方をすればよかったのに、とも思う。「高齢者は適当な時に死ぬ義務がある」ではなく、「死ぬ覚悟を持て」と言っていれば、もっと真意が伝わったのではないだろうか――。

 しかしどのような表現であれ、それに批判するにせよ賛同するにせよ、言わんとしていることの本質を汲み取る「リテラシー」は必要だと僕は思う。

■「覚悟」をまっとうする最期を迎えるということ■
 ちなみに、「生き様」ということに関して言えば、僕は昨年、父と母の両方を亡くした。父親は一昨年の夏、末期癌が発見され、余命4ヵ月と宣告された。昔の日本男子らしく恥を知っている父親は、自分がただ死を待つだけの存在になってしまったことを恥じて、病院のスタッフに恐縮しまくって入院生活を送り、医者の予告通り、ほぼ4ヵ月後の昨年正月に静かに息を引き取った。死ぬ前日、家族で見舞いに行ったのだが、そのときはもうほとんど意識がなかった。それでも、娘に対してかすかな声で「ありがとう」と言ってくれた。父親の最後の言葉である。

 母親も3年くらい前から認知症を発症し、自宅で転倒し腰を骨折したせいか、身体もすっかり弱り、ほとんど寝たきりの状態だった。父親が亡くなって以降、認知症は進み、身体もさらに弱った。昨年春頃からは自力で食事ができなくなり、点滴で栄養を補給。しかし、ついにそれもできなくなり、鼻に経管をしていた。認知症患者が経管をすると自分で外してしまうことがあるので、そうさせないために大きなミトン(手袋)をはめられていた。母親はそれを嫌がり何度も外してくれと僕や弟に懇願していたが、そうすると母親は栄養がとれなくなってしまう。なので、僕らはミトンを外せなかった。

 しかし、やがて経管も難しくなり、・・・
<以下略>

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竹井氏のご尊父の最期ですが、
「父親は一昨年の夏、末期癌が発見され、余命4ヵ月と宣告された。昔の日本男子らしく恥を知っている父親は、自分がただ死を待つだけの存在になってしまったことを恥じて、病院のスタッフに恐縮しまくって入院生活を送り、医者の予告通り、ほぼ4ヵ月後の昨年正月に静かに息を引き取った」、という部分に、私はとても胸を打たれたのです。

素晴らしいですと。

ご紹介まで。

 

4月11日()その1

【真水とは、解説by高橋洋一氏】

この度の新型コロナ問題では早急に経済対策が必要だったのですが、安倍政権が発表したそれについては、どうも芳しい評価を聞くことはないのです。

そこで「真水」なる言葉をあちこちで聞くのですが、「それは一体どういうことか?」という疑問が生じるのです。

これについて評論家の高橋洋一氏がとても要領を得た解説をなされている動画を見かけましたので、ご紹介したいと。

 

◆[公式] ニューソク通信社◆
【緊急経済対策】高橋洋一が「真水」をわかりやすく解説!「真水」が足りないとこうなります…
(2020/04/10 約14分)

高橋氏の見立てでは、「これだと6月くらいには政局になるかもしれない」などとも。

いや、ごもっともな分析かなと。

ご紹介まで。

 

4月10日(金)

【感染者数と死亡者数】

新型コロ助問題では、テレビのワイドショーだけでなく、ネット上の言論界でも百家鳴争状態です。

そんな中、悲観論的見方と楽観論的見方の両方があるのですが、以下にその象徴的な記事をご紹介したいと。

悲観論的立場からの発言は医師の渋谷健司氏で、楽観論的立場からの発言は評論家の池田信夫氏。

◆DIAMONDonline◆
「東京は手遅れに近い、検査抑制の限界を認めよ」
~WHO事務局長側近の医師が警鐘~
渋谷健司 英国キングス・カレッジ・ロンドン教授、WHO事務局長上級顧問インタビュー(2020.4.9)
【要旨】
・ロックダウンやるべし、不可避
・当初のクラスター追跡は非常に有効だったけど、すでにステージが変わっている、今後は「検査」と「隔離」
・3密だけにこだわりすぎるのは危険

◆アゴラ◆
西浦博氏の「8割の接触削減」という本末転倒
(池田信夫 2020.4.9)
【要旨】
・感染者数が爆発的に増えたとしても、肝心なのは「死亡者数」であり「感染者数」ではない、
・世界中に150万人も感染者のいる現状で、日本の感染者数を減らすことに意味はない、大事なのは重症患者を医療資源の制約の中に収めることだけである
・東京都の新規感染者181人のうち、重症患者は1人だけである
・空想的なシミュレーションで恐怖をあおるのはやめるべき

**************

厳密にはこの両氏のご主張は決して対立している訳でなく、双方にそれぞれのご主張がある訳でして、それを並立的に並べることは無理がある話ではあるのですが、あえて並べたのは、将来的見通しという観点で両方に一定の「理」があるからなのです。

というのは、「日本のコロナ禍の見通しは今後どうなるのか」という問いにつきましては、そこに2つの意味があるという。

つまり1つは、「感染者数がどうなるのか」ということであり、もう1つは「死亡者数がどうなるのか」という。

前者の「感染者数がどうなるか」という点につきましては、おそらく渋谷氏や西浦氏が予想するように、きっと日本も結構大きな「数字」が出るのだろうと思われるのです。

しかし、後者の「死亡者数がどうなるか」ということでは、おそらく池田氏が予想するように日本はとても少ない数字で収まるのだろうと思われるのです。

で、私はその両者のご主張は矛盾しないだろうと思うのです。

そもそもこの新型コロ助ですが、「感染者の8割は軽症」なのです。
ただ致死率が問題でありまして、その点ではどうも各国でずいぶん異なった数字になっているようなのです。

どういう訳か日本とか東アジアではどうもそれが異様に低い数値でありまして、それゆえ「BCGが効くのでないか」という仮説があるくらいなのです。

そういう観点から池田氏などは、徹底的に感染者数を抑える政策には懐疑的になっているのでしょうか。

そうは言っても「感染者数が増えると医療崩壊して結果として死者数が増える」という構図はその通りでしょうから、やはり感染爆発は避けたいところではあるのです。

しかし、日本においてもそれはもう不可避のような感じです。
ですので、感染爆発が生じない、緩やかなペースでの感染者数の増加という理想形はもう望めないのでしょうから、やはり欧米並みの感染爆発は避けられないのでしょう。

そしてそれにともなって一定数の死者も出ると。
ただそれでも率としては日本の死者数は欧米に比べて驚くほど少ないのでしょうが。

私は元々楽観論ですので、この新型コロ助騒動を深刻に受け止めていないのです。

ただ、そうは言っても死者数があまりに甚大であればそんなことも言っておれないのですが、でも従来型のインフルエンザ流行による毎年の死者数を見るなら、今回の死者数などは世界的にそれほど大騒ぎするほどのことはないのです。

そういうことで、やはり結論的には「あまり大騒ぎする必要はない」話だろうと思うのです。

ただ、「何人死んだかでなく、どれほど世界経済を破壊したか」という点では、それはかつての世界恐慌に匹敵する、ないしは大きくオーバーする重大惨事であるとは思っているのです。

それはもう、とんでもない「歴史的事件」として記憶されるに間違いないのでしょう。

問題は、あくまでも「何人死んだか」でなく「どれだけ世界経済が打撃を受けるか」であると。

ご紹介まで。

 

4月9日(木)

【ベーシックインカムをスペインが検討】

世界中が新型コロナウイルスで大揺れの今、コロナ後の経済を考える動きも出ているのです。

今しがたネットで聞き知った注目するべきニュースをご紹介したいと。

それはスペインで、「ユニバーサル・ベーシック・インカム(最低所得保障制度)を導入することを迅速に導入することを決定した」というものなのです。

◆Forbes◆
スペインで「ベーシック・インカム」導入、経済大臣が宣言
(2020/04/08)
新型コロナウイルスの感染者数が世界2位に達したスペインは、経済の立て直しに向け、可能な限り迅速に「ユニバーサル・ベーシック・インカム(最低所得保障制度)」制度を導入することを決定した。

4月5日、経済大臣のナディア・カルビニョが発表した新たなスキームは、終了期限を設けずに導入されることになる。カルビニョは現地メディアの取材に対し、感染拡大の脅威が去った後も、ユニバーサル・ベーシック・インカム制度は継続すると述べた。

予算規模などの詳細は未定というが、政府は既に導入に向けた調整を進めている。感染拡大による経済的ダメージからの復興に向け、スペインのペドロ・サンチェス首相は3月17日、2000億ユーロ(約24兆円)の支援策を発表していた。

支援策には1000億ユーロの政府による信用保証のほか、企業に対する無制限の流動性供給などが含まれていたが、ユニバーサル・ベーシック・インカムでこれを補完する狙いがあるとみられる。

スペインではロックダウンの開始から3週間で90万人が失業し、3月の失業者数は過去最大を記録していた。

カルビニョ経済大臣は現地メディアLa Sextaの取材に「ユニバーサル・ベーシック・インカムの導入に向けた手続きは、非常に煩雑なものになるが、我々のチームは決意をもって取り組んでおり、可能な限り迅速に導入する」と述べた。

スペインにおける新型コロナウイルスの感染者数は13万人を突破し、死者は1万2600人を超え、欧州ではイタリアに次ぐ規模の被害を受けている。ただし、全土にわたるロックダウンを4月26日まで延長することを決めたスペインでの死者は、イタリアやフランスと並んで減少傾向にあり、わずかな希望の光が見えつつある。

編集=上田裕資

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さて、この決定が本当に近い将来においてスペインで真面目に検討されて、そして実際に導入されていくかどうかは定かではないのですが、それにしても大いに注目すべき事柄でしょう。

まだまだ世の中の大多数の人はベーシックインカムという言葉さえ知らないままにいると思われるのですが、しかし、時代はおそらく確実にその方向に動いて行くでしょう。

我が日本が世界に先駆けてその先鞭をつけるような動きを見せることができるなら、素晴らしいことであると思えるのですが・・・。

ご紹介まで。

 

4月8日(水)

【緊急経済対策について】

ようやく政府より「緊急事態宣言」が出された訳なのですが、これについてはもう巷で様々に論評されておりまして、もはやどうでもいいレベルでの話になっているのですが、問題は「緊急経済対策」の中身についてであります。

これにつきまして、経済評論家の高橋洋一氏が大変優れた分析を開陳されている、ユーチューブ動画配信サイトを見つけましたのでご紹介したいと。

 

◆長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル◆
【緊急配信】長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル#3 『高橋洋一のコロナ展望!緊急事態宣言と緊急経済対策』
(2020/04/08 約44分)
〇緊急事態宣言発動!元文科省関連団体統計数理研究所にて感染症研究者だった高橋洋一のコロナ展望を皮切りに、コロナ問題を分析、未来予測、経済対策も討論してまいります。

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氏の結論としましては、「どう考えてもシャビ―」ということになると。

これまで首相は「前例に捉われない思い切った対策」だとか、ずいぶん期待をもたせる発言をしていたのですが、確かに数字的には100兆円を超える金額の対策などと、人々を「お~!」と思わせるような対策案になっているのですが、実は「真水」で見ますれば、どうにも実態は「20兆円」になるかならぬかくらいのショボイものであるのです。

しかも、一律給付でなく、何か「特段に困窮している人たち」ですとか、しかも「申請に手間がかかり過ぎる」とかの問題もあるようで。

この点を長谷川氏が高橋氏に「政府小切手をあなたは提案しているがどうなのか?」と問うているのです。(それについてはこのコラムでも先日現代ビジネス誌への寄稿文でご紹介してある話です)

これに対しても高橋氏は明快に答えているのですが、やはり高橋氏の政府小切手を一律に給付するというのが、ベストな解であるように思われるのです。

それにしても高橋氏の広汎な政治的経済的知見はどこから来るのでしょうか、端倪すべからざる知性のように思われるのです。

ご紹介まで。

 

4月7日(火)

【ヨーロッパの最新現況】

日本では、これから本格的な感染爆発が起きて、そして医療崩壊という事態が現出してしまうのかどうなのか、その瀬戸際的な状況にあるのですが、すでにその感染爆発を起こしているヨーロッパの最新状況についてのレポートがありましたのでご紹介したいと。

◆BBC News◆
フランス、日別の死者833人で最大に イタリアの死者も再び増加
(2020年4月7日)
フランスは6日、新型コロナウイルスにより833人が前日に死亡したと発表した。同国の1日あたりの死者数としては最大となった。

新型ウイルスの感染症COVID-19によるフランスの死者は8911人、感染者は9万8010人に上った。

オリヴィエ・ヴェラン保健相は、「感染拡大の終わりの終わりには至っていない」と警告を発した。

一方、イタリアではここ数日、1日あたりの死者数が減少傾向にあったが、6日に再び増加に転じた。スペインは4日連続で減少した。

イギリスでは同日、新型ウイルスに感染していたボリス・ジョンソン首相の症状が悪化し、ロンドン市内の病院の集中治療室に移された。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は6日、新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)を欧州連合(EU)にとって過去最大の難局と表現。

「ドイツがうまくいくのは、欧州がうまくいくときだけだ」と述べ、同国はEUを経済的に支えていく覚悟だと述べた。

BBCのデイミアン・マクギネス記者(ベルリン)は、ドイツは10年前の金融危機の際、欧州北部の国々とともに、経済的に比較的弱い南部の国々との協調を嫌った過去があると説明。メルケル氏の発言の意図をめぐって議論が起きていると伝えた。

■フランスの状況
フランス保健省の6日夕の発表によると、COVID-19により過去24時間に同国の病院で605人が亡くなり、高齢者施設で228人が死亡した。ともに前日より約10%増えた。

ヴェラン保健相は、「まだ終わりではない。終わりからはほど遠い。道のりは長い。発表した数字がそれを示している」とし、「家から出ず、封じ込めの努力を続けよう」と呼びかけた。

フランスにとって明るいニュースもある。集中治療室に入っている患者は7072人で、増加率が1.3%にとどまったのだ。

ヴェラン氏は、死者の27%が出ている高齢者施設を点検する「大がかりな取り組み」を、政府が開始すると表明した。

一方、マルレーネ・シアッパ平等担当相は、ロックダウン(都市封鎖)で家庭への負担が高まっていることを受け、家庭内暴力(DV)をめぐる支援を目的としたホットラインを開設したと述べた。

■欧州の他地域では
新型ウイルスによる欧州の死者は5万人を超えている。

最大はイタリアで、世界最多の1万6523人に上っている。

同国政府は6日、新たに636人が死亡したと発表。3月19日以降で最少だった前日5日より111人増えたが、4日と比べると45人減った。

感染者は新たに1941人が確認されたが、減少傾向が続いている。

イタリアに次いで世界で2番目に影響が大きいスペインでは、日ごとの死者数が減り続けており、流行のピークを超えたとの期待が高まっている。

6日の死者は637人で、過去13日間で最少だった。これまでの死者は1万3055人となっている。

スペイン保健省で緊急対応を担当するマリア・ホセ・シエラ氏は、国内の「ほぼ全地域で」感染拡大は落ち着いているようだと述べた。

イギリス保健省は6日、新型ウイルスにより国内の病院で439人が亡くなり、死者は5373人となったと述べた。

1日あたりの死者数は2日連続で減少した。ただ、政府の科学顧問を務めるデイム・アンジェラ・マクレーンは、社会的距離戦略によって流行が収まりつつあると判断するには、時期尚早だと述べた。

<以下略>

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朗報なのは、イタリアとスペインでは死者数が減少傾向に転じていることです。

アメリカでもニューヨークのクオモ知事が5日の記者会見で、「退院する人が増えているほか、集中治療室で治療を受けている人や入院が必要な患者の数の増加ペースも落ちてきている。もう数日、様子を見る必要があるが、われわれは流行のピークにさしかかっている可能性がある」と述べているなど、少しく光が見えてきているような感じです。

・感染者最多のNY州知事「流行ピークにさしかかりつつある」

どれほど感染力が強いコロナウイルスにしても、いつかは沈静化して行くのでしょうから問題はそのピークがいつになるのかということなのです。

しかし日本ではまだまだ感染のピークは見えておらず、1週間先か2週間先になるのでしょうか。

おそらく日本では欧米ほどの死者数にはならないだろうと予想されるのでしょうが、仮にそうだとしてもこと「経済面」での打撃は似たり寄ったりであろうと予想されるのです。

ですから全然喜べたものではないと。

ご紹介まで。

 

4月5日(

【アメリカ歴代大統領の通信簿】

世の中は新型コロナ問題で上を下への大騒ぎなのですが、それはそれとして、それに関係のない価値ある情報がネット上に出ていることもあるのです。

歴史家にして評論家の八幡和郎氏が、デイリー新潮に寄稿している一文が素晴らしく読み応えのある良記事でありましたので、ご紹介したいと。

◆デイリー新潮◆
アメリカ歴代大統領の通信簿 人気投票ではなく実績で5段階評価
(八幡和郎 2020年4月4日)
 アメリカ大統領選挙は、現職のドナルド・トランプと前副大統領のジョー・バイデンの戦いになりそうな気配だ。新型コロナウイルス流行という予想外の事件が起きたことは、自慢だった経済の好調さを吹き飛ばし、トランプ大統領にどちらかといえば不利な材料と見る人が多い。だが、常識にとらわれないアイディアを出して実行するのは得意な人だから、常識外れの大胆な景気刺激策をとって喝采を浴びる可能性もあり先行きは不透明である。

 これから、シーソーゲームが続くだろうが、アメリカ国民には、時事的な問題に振り回されず、人気投票に堕することもなく、世界にとってもアメリカにとっても好ましい大統領像はどんなものかよく考えて投票して欲しい。

 私はかつて『歴代総理の通信簿』(PHP文庫)と『アメリカ歴代大統領の通信簿』(祥伝社黄金文庫)を書き、それぞれ改訂版も出しているのだが、そんなときに政治家の評価基準としているのは、
(1)優先的に取り組むべき課題が何であるかを正しく把握したか、
(2)その課題を解決するための方策を正しく立てたか、
(3)それを実行する政治力を発揮したかどうかということだ。

 この種のランキングでしばしば勘違いしていると思うのは、本来は首相や大統領としての任期中に行ったことで評価すべきところを、人間として魅力的かどうかとか、その人の人生を通じての仕事で評価していることだ。

 たとえば、アメリカの第39代大統領ジミー・カーター(1977~81)は離任ののちに世界平和に貢献しノーベル平和賞を獲得して「最高の元大統領」と皮肉られたが、大統領時代の外交はお粗末だった。第18代大統領ユリシーズ・グラント(1869~77)の軍人としての栄光や第3代大統領トーマス・ジェファーソン(1801~09)の独立宣言への貢献も大統領としてのものではないから考慮すべきでない。

 反対に、任期中に世界に良い影響を与えたか、状況がどれだけ難しいものであったのか、いかに得難い才能や業績があったか、は考慮しなくてはならないと思う。

 また、大きな成果があっても、誰がやっても遅かれ早かれそうなったというのと、その人がいなければまったく違う展開になっていたかでは大違いだ。

 歴代アメリカ大統領でとくに偉大な存在は誰かと聞くと、アメリカ人でも日本人でもワシントン、ジェファーソン、リンカーン、ウィルソン、フランクリン・ルーズベルトなどを上げる人が多い。しかし、これでは世界史の教科書に出てくる有名人を並べただけだ。戦争を始めた大統領ばかりなのもよろしくない。

 静かにしておくべきときに余計なことをしないのも、政治家の美徳である。たとえば、田中角栄が失敗したのは、「日本列島改造」が間違っていたのでなく、金余りという金融情勢であるにもかかわらず、長年の夢だった日本列島改造を実行に移すのを我慢できなくてインフレを引き起こしたことである。

■A評価の5人
 さて、それでは、アメリカ大統領に通信簿を付けるとして、私が5段階でAを与えているのが誰かと言えば、ワシントン、ポーク、リンカーン、セオドア・ルーズベルト、フランクリン・ルーズベルトの5人である。

 初代大統領ジョージ・ワシントン(1789~97)。アメリカ合衆国大統領というポストは、ワシントンという適任者がいたから創始されたと言われるくらいであるから、別格的存在である。風貌、物腰、人望などどれをとっても、「あらゆるヨーロッパの王侯より君主らしかった」といわれる。

[…略…]

■【戦後篇】戦後の大統領はすべて低レベル
アメリカ歴代大統領のうち、戦後の大統領については、非常に高い評価の人もいないし、どうしようもないほどひどい大統領もいなかったというのが一般的な評価だ。厳しい予備選などを戦って選ばれただけに、あまり無能では候補者選びの途中でボロが出て大統領になれないということもあろうし、補佐官などに優れた人材が就くようになったこともあるだろう。

 逆に常に厳しい批判にさらされるものだから、思い切った政策ができないとか、無難な人が大統領になっているので、偉大な大統領も登場しにくいのかもしれない。

 その意味では、トランプ大統領はそういった傾向へのアンチテーゼとして登場したともいえる。

 ケネディ、レーガン、クリントン、オバマといったあたりの人気が高いということはあると思うが、任期中の仕事の評価というより、キャラクターの魅力によるところが大きいと思う。

アメリカ歴代大統領の通信簿D、E、評価不能
アメリカ歴代大統領の通信簿D、E、評価不能(他の写真を見る)

 第33代大統領ハリー・トルーマン(1945~53)は、私はDランクだが、アメリカ人の間での評価は割に高い。副大統領時代はお飾り的な存在で、原爆開発といった国防機密も教えてもらえなかったという立場から急に大統領になったが、ポツダムでソ連に対日参戦を促し、日本に原爆を投下し、比較的、早い終戦に持ち込んだことは、日本人にとってはともかく、アメリカ人からはポジティブに評価される要因になっていそうだ。

 また、最初はスターリンに甘い前任者ルーズベルトの路線を引き継いだが、巧みに共産主義と対決する路線に転換し、東西冷戦が始まってからは断固とした態度が成果を上げたということだ。かつては、レッド・パージなども批判されたが、ソ連崩壊で秘密文書が公開され、「無実の罪」に問われたとリベラル派の一部が擁護していた人々の多くが実は本当に工作員だったことが明らかになったことも雰囲気を変えた。

 日本にとっては、朝鮮戦争の処理で対立するまでは、トルーマンがマッカーサーの仕事を支持していたというのは、たとえば、ルーズベルトがそのまま生きていたよりは、好都合だったといえる。

 第34代大統領ドワイト・アイゼンハワー(1953~61)は人間的にも見識についても最高レベルであるのは確かなのだが、そのことが業績に反映されたとはいえない。経済的な好調さを将来への投資に結びつけられなかったし、外交では東側諸国に押され気味だった。軍産複合体への警告も言葉だけで終わったので、アメリカ人の好感度は高いが、あえてDとした。

 第35代大統領ジョン・F・ケネディ(1961~63)は世界に通用する言葉で新しい時代の理念を謳い上げたが、実現には至らず暗殺され、議会対策に優れた手腕を持った第36代大統領リンドン・ジョンソン(1963~69)が公民権法案や社会政策などケネディの遺産をよく実現した。だが、ケネディが始め、ジョンソンが泥沼化させたベトナム戦争は、アメリカの評判を最低の水準に貶めた。

 この2人の大統領のリベラルな姿勢をどう評価すべきかだが、植民地独立などが進み社会主義陣営が全盛期を謳歌していた時代にあって、もしアメリカが反動的な政治に終始していたら、世界的にも孤立は避けられなかっただろう。彼らでなくともよく似た路線を選択せざるを得なかったと私は思うので、2人ともCランクとしたが、違う評価もあるだろう。

 第37代大統領リチャード・ニクソン(1969~74)は、国家安全保障問題担当大統領補佐官ならびに国務長官にキッシンジャーを抜擢して東西冷戦を見事にコントロールし、少なくとも西側が負けることがないことを確信できることになった。これは相当に大きな功績である。Bランクとしたいところだが、ウォーターゲート事件があるのでワンランクのダウンとした。アメリカ人の評価はもっと厳しい。

 ただし、盗聴とその隠蔽工作が、それほどの大犯罪とは、ヨーロッパ人などには理解できないところだろう。あるいは、外国要人の殺害計画など平気でやってきた他の大統領の行状と比べたときのバランスも納得いかない部分がある。

 第40代大統領ロナルド・レーガン(1981~89)は外交についても経済についても、一時的な効果は認めるものの、副作用も大きかったと見るべきだろう。ソ連でゴルバチョフのペレストロイカが始まり冷戦が終結に向かったことについて、レーガンの強硬姿勢が功を奏した結果と見るのかどうかで評価が分かれるだろうが、私はむしろソ連側の自滅を重く見る。

 社会主義は優先分野への集中的資源投入で成功したが、1960年代には目標が多様化したので相当に市場化することが妥当となっていた。そこで、フルシチョフや劉少奇が改革に着手したが、守旧派に失脚させられた。

 その矛盾がこのころ両国で吹き出し、それぞれの形で市場経済の取り入れが進んだと見るべきである。だが、高い評価をしている人も多い。今後も、評価が分かれ、また、時代によって変化する大統領だろう。私はCランクだ。

 第38代大統領ジェラルド・フォード(1974~77)、第39代大統領ジミー・カーター(1977~81)、父親の方の第41代大統領ジョージ・ブッシュ(1989~93)については、外交も経済などの内政問題も低調で、いずれも再選に失敗しており、Dランクという評価もいたしかたないところだ。

 第42代大統領ビル・クリントン(1993~2001)は、戦後の大統領としては、相対的に最高の大統領だったのではないか。ブッシュ(父)政権の経済での無策を批判して1期だけで引きずり下ろしたのであるが、これまで貧困層にだけ目が向きすぎていた民主党の伝統的な経済・社会政策を修正して、中間層の育成に成功した。

 また、民主党が労働組合に弱く保護貿易に傾きがちだったのを、NAFTA(北米自由貿易協定)を結ぶなど自由貿易の拡大に成功したし、アメリカがいち早くIT社会の波に乗れたのもクリントン政権の功績だ。また、環境問題への取り組みもクリントン政権の功績だ。

 一方、外交については、十分な関心を持っていなかったようにみえる。中東問題について「パレスチナ暫定自治協定」を締結させたのは大きな功績だった。アジア、特に中国については、自由貿易秩序への前向きな組み込みに成功したともいえるし、ただそのときに条件設定が甘かったともいえ、両方の評価がありうる。ただし、私は中国に甘すぎたのは、そのあとのブッシュ、オバマだと思っている。

 また、ルインスキー事件というスキャンダルがマイナス評価の対象であることはいうまでもない。

 子どもの方の第43代大統領ジョージ・ブッシュ(2001~09)は、外交、内政、経済のどの分野においても評価すべきことが見あたらないし、イラク戦争もお粗末だった。地球環境問題への後ろ向きの姿勢も人類に対する背信行為といわれても仕方ない。ただし、2008年の金融危機においては、意外に素早い対応を見せ、もしかするとフーヴァーにならずに済み、評価を少し回復するかも知れない。

 第44代大統領バラク・オバマ(2009~17)は、可もなく不可もなくCランクだ。演説の上手さでは史上最高の大統領であろう。政策は内政では、経済政策は無難だった。財政再建と経済成長を数年単位の景気循環に合わせて巧みに運営し、まずまずの成果を上げた。ただ、成長戦略には見るべきものがなかった。いずれにせよ、日本のように成長戦略もないまま、平成の30年間、景気刺激などといって無駄な支出をばらまいたあげく財政赤字を積み上げても経済成長なんぞするはずがない。

 医療については、オバマ・ケアの実現で皆保険への道筋はつけたが、彼にもっと政治力があったら、さらなる成果を上げただろう。

 外交では、気難しさが禍して、世界のほとんどの首脳と関係がよくなかった。そこそこ信頼関係があったのは、メルケルと安倍晋三くらいであったが本当に親密だったわけでもない(メルケルはヒラリーの盟友だったし、安倍とは安倍の方で上手にオバマに取り入っただけだ)。中東問題ではリビアのカダフィ政権を倒して中東の春だとか粋がったが大混乱に陥れただけだ。ウクライナを支援しすぎてロシアとの関係を壊した。

 パリ協定の締結、イランとの核合意、核廃絶宣言などはヨーロッパや日本を喜ばせたが、アメリカ国内のコンセンサスを得ていたわけでなかったので、政権が変わったらゴミ箱行きになった。中国を最初は甘やかし、ついで警戒に転じたが、常に無策だった。

 第45代大統領ドナルド・トランプ(2017~)について評価をいま固めるのは無理であるが、私はこれまで惰性でやってきたことへの反省を一度するという意味では悪いことばかりでないと思う。中国がアメリカと並ぶスーパーパワーになることは不可避だが、力をつけすぎ得る前に、外交・経済・人権といった各分野で身勝手な論理を修正させておいたほうがいい。

 世界で拡大しているリベラルな価値観といわれるもののなかには、正義を振りかざして十分な議論や検証のないまま拡大しているものも多く、立ち止まって考えた方がいいことも多い。

 たとえば、最近、私は『歴史の定説100の嘘と誤解 世界と日本の常識に挑む』(扶桑社新書)という本を出したが、その最後に置いたテーマは、移民・難民について欧米がなぜ非論理的な情緒論で甘い対処をし、その結果、世界の秩序を崩壊させつつあるかということである。

 トランプの論理も乱暴だが、彼がいなかったら、人類は間違った取り返しのつかない方向にいっていたのではないかと後世の歴史でいわれることは多いのではないか。

 イギリスでは、サッチャーの破壊力と、その仕事を上手に取捨選択して修復したブレアのコンビのおかげで再建に成功したが、アメリカもそうだといいと思う。

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さて、トランプ大統領でありますが、この新型コロナ問題では大いに悩まされているのでしょうが、この秋の大統領選では再選されるでしょうか。

日本にとっては民主党のバイデン氏より、安倍首相と合っているトランプ氏の方がいいのは明らかなのでしょうが、世界にとって、となるとどうなるのでしょうか。

ご紹介まで。

 

4月2日(木)

【政府振出小切手を国民に配れ!】

経済学者であり、我が国家ビジョン研究会の委員先生でもある高橋洋一氏の寄稿記事が現代ビジネス誌に載っていましたので、ご紹介したいと。

安倍政権の新型コロナ問題での対策案についての痛烈な批判なのです。

◆現代ビジネス◆
遅すぎ、ショボすぎ…安倍政権のコロナ対策は、まるで話にならない
はっきり言おう。このままでは危ない
(髙橋 洋一 2020.03.30)
■もう1ヵ月以上遅れている
安倍首相は28日に記者会見し、「緊急経済対策の策定と、その実行のための補正予算案の編成を、このあと指示する。今まさにスピードが求められており、10日程度のうちに取りまとめて速やかに国会に提出したい」と述べ、今後10日程度でリーマンショックのときを上回る規模の緊急経済対策を策定し、新年度の補正予算案を編成する考えを示した。

筆者の結論を言おう。これまでの本コラムを読んでもらえればわかると思うが、「あまりに遅すぎで、シャビー(みすぼらしい)」だ。

まず「遅すぎ」からいこう。28日に記者会見が行われたのは、27日に2020年度予算が成立したからだ。この段階で、財務省の手順に従ってしまっており、「遅すぎる」のだ。

筆者はこれまでの本コラムでも、3月中の2020年度予算の「修正」を主張してきた。2020年度予算を成立させてから「補正」で対応すると、1ヵ月以上も遅れるのだ。

また、中身に関わる話でもあるが、安倍首相は、現金給付の規模や対象について「リーマンショックの時の経験や効果などを考えれば、ターゲットをある程度おいて、思い切った給付を行っていくべきだと考えている」と述べ、すべての国民に一律の現金給付には慎重な考えを示した。

これは、所得制限したうえで現金給付をするつもりなのだろう。今回のような大きな経済危機の時には、何よりスピードが優先される。なので先進国では、まず現金給付をする。具体的には、筆者が本コラムで書いてきたような政府振出小切手を国民に配るというやり方だ。

所得制限とは、通常は配布前に所得制限をかけて行うものだ。具体的には、所得に応じて給付金を配布するという方法になる。しかし、実際に行うにはかなりの時間を要する。そこで、政府振出小切手を一律に配布するという方法がとられる。この方式は、アメリカなら2週間程度で実施可能だ。
<以下略>

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その通り!、と。

ご紹介まで。

 

4月1日(水)

【日本は異常な肩書社会】

Newsweek日本版に、ユニークな教育者として高名な出口治明氏(立命館アジア太平洋大学学長)へのインタビュー記事が掲載されておりまして、大変ためになる話でありましてご紹介したいと。

◆Newsweek Japan◆
インタビュー第1回:出口治明「日本は異常な肩書社会。個人的な人脈・信用はなくても実は困らない」
(2020年3月30日(月)ニューズウィーク日本版ウェブ編集部)
<……しかし退職後の人生も長い。個人としていかに信用を高められるか、何を判断軸に人とのネットワークをつくればいいか。立命館アジア太平洋大学の出口学長に聞いた>

収束の気配がない新型コロナウイルス騒動は、期せずして「自分さえよければ」とばかりに利己的な行動に走る個人の存在を浮き彫りにし続けている。

マスクやトイレットペーパーの買い占めにとどまらず、他者が困っている状況に便乗して、それらを転売して利益を上げようとする者が後を絶たないというニュースに暗澹とした気持ちになった人も多いだろう。

かつて「自分さえよければ」という態度は一端の大人として恥ずかしいものであり、たとえ建前であっても「人のために」と動くことが美徳ではなかったか。

個人レベルでも、会社などの組織レベルでも、利己ばかりを追求していては人から信用を得られない。SDGsの推進など、世界的には以前に増して利他を重んじる傾向が強まっていたはずだった。

経済記者として多くのトップ経営者や財界人の取材をしてきた栗下直也氏は、成功者と利他の関係に注目して『得する、徳。』(CCCメディアハウス)を執筆。

昔から「ビジネスには信用が大事だ」と言われ、昨今では「信用があれば生きていける」といった議論までなされているが、信用とは一体なんなのか? 漠然とした「信用」を読み解くヒントを渋沢栄一や土光敏夫などの名経営者が実践してきた「徳を積む」行為に求めた。

利己主義者の悪い面が目立つ昨今だが、4月には社会人となり新生活をスタートする人も多いだろう。働き方改革や採用の多様化が進む今、社会人はどのように気持ちよく企業社会を生きるべきだろうか。

ここでは、『得する、徳。』の刊行を記念して、労働と信用のバランスや、カネと信用の関係について、立命館アジア太平洋大学(APU)の出口治明学長に3回連載で聞く。1回目は「信用を高めるにはどうすればよいか」。

◇ ◇ ◇

――「信用があればカネはいらない」「信用を積めばカネはついてくる」との主張を最近、あちこちで耳にするようになりました。

「その通りです。信用はとても大事ですよ」と言いたいところですが、今日は、それって本当ですかというところからお話ししましょう。グローバルに見たら、信用なんてどうでもいい社会もあるわけですよ。

――いきなり、ちゃぶ台をひっくり返されるんですね。

立命館大学の小川さやか教授が興味深い指摘をしています。彼女は香港に住むタンザニア人の商売を調査研究したのですが、彼らはお金がない仲間にはおごるし、住む場所に困っていれば、自宅に泊める。

とはいえ、彼らがお人よしで、人を裏切らないというわけではないんですよ。信用し合っているわけでもない。むしろその逆で、仲間を欺いてでも商売に食い込めないか、かすめ取れないかと常に考えを巡らす。

困っている人を助けるのは、あくまで「生きる知恵」であって、「信用を積もう」とは思っていない。やり過ぎず、ずる賢く、たくましく生きている。だから、政治家とも付き合えば売春婦とも付き合う。

つまり、信用が大事といっても、世界では信用という概念が必要かどうかも、信用が何によってもたらされているかも全部違うわけですね。

――日本の場合、長らく企業が生活の中心の社会でしたから、特殊ですよね。

ええ、特に、日本は不思議な社会です。例えば僕が、ある会社に電話して、「大学のゼミの友達ですが、〇〇君を呼んでください」というと、電話に出た人は、「どちらの出口さんですか」と聞き返すんですね。

それでAPUの出口です、ライフネット生命の出口ですというと、「はい、わかりました」と納得して、つないでくれる。所属がすごく価値を持つんですよ。これは今でもあまり変わりませんよね。

――仕事に全く関係のないプライベートの集まりでも名刺交換したがる人がいますし、会社の話ばかりする人もいますね。

海外は全く違いますよ。初めてロンドンに行った時に気がついたんですが、名刺をくれないケースがたくさんあるんですよ。「トムと呼んでくれ」で終わりです。要するに、「お前は俺に興味があるんだろ、俺はトムだ」と。

――肩書はどうでもいい。俺と付き合うならトムでいいじゃないかという話ですね。

はい、でも、考えてみれば、むしろ、その方が自然なんですよ。日本はやっぱり異常な肩書社会で、その人を信用しているのではなくて、「〇×会社の課長」というポストで信用しているわけですね。例えば、その人に多少の違和感があっても、○×の課長ならそれはそれで問題ないと収めるわけです。

個人的な人脈や信用は、なければないで、普通の職場で普通に働いていれば、特に困らない。組織に所属していれば、その肩書でどうにかなる。反面、肩書がなくなったら、途方に暮れる人が多いわけですが。

――昔は「会社辞めればただの人」でも、退職後の人生は短かったですからね。これからは人生100年時代ですから、途方に暮れるには長過ぎます。そうした中、個人という単位では、いかにして信用を高められるのでしょうか。

結局、中長期的に評判をいかに高めるかです。人は皆、好き嫌いがあるから、味方もいれば敵もいます。みんなに好かれようとしても無理です。普段から言行一致を心がけてある程度実践できていれば、足を引っ張る人はそんなに出てこないでしょう。

敵が多くなければ信用は少しずつ増えていきます。プラスマイナスでプラスになればいい。そのぐらい、ゆるく考えておいたらいいのではないですかね。

――あまり、いろいろ考えないほうがいいわけですね。『得する、徳。』でもあれこれ考えずに利他的に振る舞って評判を高めることが、巡り巡ってプラスになる事例がいくつも紹介されています。ただ、会社員の場合、上司に媚び売ったり、打算的にいろいろしたりした方がよいのかなど余計なことも考えてしまいます。

打算的に、信用を積むなんてできっこないですよ。打算的に考えれば考えるほどうまくいかないのではないでしょうか。

例えば、会社であなたの上司が出世コースに乗っているとしましょう。あなたが一所懸命、その人に近付こうと努力したところで、権力闘争でその上司が敗れたら、むしろ、あなたの努力はマイナスに働きます。権力闘争に敗れれば、その仲間や部下は一掃されますからね。

だから、打算的に、人脈とか信用とかはつくれません。中には結果的にうまくいくこともあるかもしれませんが、確率からしておすすめできませんね。

人間は総じて思ったほど賢くないのです。打算的に行動したところですぐばれてしまいます。だが、悲しいかな、打算に走る人間は「人間が賢くないことを知らない」んですよ。

それは歴史が証明しています。社会主義が失敗したのもそうですよね。人間が賢ければ社会主義、つまり計画経済の方がいいに決まっています。

僕は保守主義者で、エドマンド・バークの思想がベースにありますが、バークはフランス革命を「伝統の破壊」と批判したわけです。「賢くない頭で、自由、平等、友愛なんて考えたところで、そんなもん、うまくいかんぞ」と。実際、うまくいかなかったわけですが。

――人間、基本はアホだと……。

[…以下略…]

※インタビュー第2回:出口治明「人間は皆そこそこに正直でかつずる賢いしお金に汚い。基本的には信頼するしかない」に続く。

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いや、次の出口氏の言葉には(なるほど・・・)と感じ入るのです。

「人間は総じて思ったほど賢くないのです。打算的に行動したところですぐばれてしまいます。だが、悲しいかな、打算に走る人間は「人間が賢くないことを知らない」んですよ」

そして結局、「あれこれ考えずに利他的に振る舞って評判を高めることが、巡り巡ってプラスになる」ということなのでしょう。

ご紹介まで。

 

3月30日(月)

【これは第三次世界大戦級の大戦争?】

“メイロマ”なるハンドルネームをもつ谷本真由美さんという女性(イギリス在住)が、現代ビジネス誌に一文を寄稿しておりまして、それがとても興味深いものなのでご紹介したいと。

何やら今回の新型ウイルス問題は「第三次世界大戦」並みの大戦争であるという(イギリスでは…)。

◆現代ビジネス◆
「日本も3週間後、地獄を見る」まるで戦争…欧州に住む日本人の警告
~「ロックダウン」中のイギリスから~
(谷本真由美 2020.03.30)
■もう、楽しい毎日は戻ってこない
日本では先週末、ようやく東京都が外出自粛の呼びかけを行いました。しかし、海外在住の日本人は、このような日本の「ゆるい対策」にドン引きしている人が大半です。

現在、私が住んでいるイギリスを始めとする欧州では、空気は何とも重苦しく、「もうコロナ以前の世界は終わったのだ」という意識の人が大半です。

もう、あの平和で気楽な世界は戻ってこないのです。

我々は現在、世界中を舞台とした大戦争の最中にいます。

これはただの「感染爆発」ではありません。はっきりいって、第3次世界大戦です。煽っているわけではありません。大げさなわけでもありません。

これは残酷な事実です。我々はこのウイルスに試されているのです。

世界大戦はテロリストとの戦いでもなく、スカイネットとの戦いでもありませんでした。相手は理性も交渉も全く通用しないウイルスだったのです。よくできたSF 映画もパニック小説も吹き飛ばしてしまう現実です。

どうか日本の皆さん、この深刻さと恐ろしさに気が付いてください。 これはただの病気ではないのです。

[…略…]

■冗談を言う気力もなくなった
いつもなら、厳しい局面でも冗談ばかり言って乗り越えるイギリス人たちの間からも、この日以来ジョークが消えました。

テレビでは、もうコロナ以外のことはやっていません。

普段は有名人の不倫情報や、隣の家の垣根を切りすぎて喧嘩になった、というような他愛もないネタばかりやっているワイドショーも、朝から晩まで深刻な議論しかしていないのです。もう誰一人、余裕も笑顔もありません。

そしてさらに衝撃的だったのが、チャールズ皇太子だけではなく、ボリスや保健相までもが感染してしまったことです。このニュースはイギリスのメディアでは淡々と伝えられました。

もう装飾する気力も、ジョークで切りかえす力もないのです。

この国の人達には。毎日トイレットペーパーの残りを計算しつつ、ワクチンと治療薬が登場することを祈ることだけしかできないのです。

(つづく)

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いやいや、イギリス、あるいはヨーロッパの雰囲気がよく知れてとても興味深かったのです。

そして、ひょっとするなら、このメイロマ女史の言っていることが、「本当」になるかもしれないな、とも思えてきまして・・・。

いや、私個人としましては、そこまでの大動乱とまでは思っていなかったのです。

ただ私はあくまでも「経済面に限っての大動乱」であるという認識でありまして、社会全般をクラッシュさせるほどの、いうなら「第三次世界大戦」並みの、いうなら世界史上に特筆される特大級の大動乱になるとまでは想像していなかったのです。

しかし谷本女史によるなら、「それは甘い」となるのですが。

どうなんでしょうか・・・。

とりあえず今日の東京は新規感染者の数は大人しいものではあったのです。

しかし今、BSテレビの中からは、中国南京からの中継で、「もう南京は平常運転に戻っています」という話が流れてきているのです。

いやいやいや、本家の中国はもう平常運転に戻っているという。

どうなんでしょうか、・・・

もしメイロマ女史の予想が正しいのなら、一人中国だけがこうして呑気に暮らしていけるなら、それがこのまま続くなら、欧米だけが第三次世界大戦に陥るようなことがおかしいことになるのです。

う~む・・・、中国・・・、
真相はどうなっているのだろうかと。

とりあえずご紹介まで。

 

3月29日(

【中国で民衆が警察と衝突騒ぎ】

中国は何やら不穏な空気が漂っているようで、これはやはり「このまますんなり一件落着」とはならないような感じです。

 

◆NTDTVJP◆
湖北住民+警察VS江西省警察 湖北省封鎖解除 江西省との境で大規模衝突発生
(約8分、226,216 回視聴、 2020/03/28)
3月25日 、#湖北省 (武漢を除く)の封鎖が解除。湖北省住民は健康証明を提示することで他省へ行くことが許された。3月27日午前 、湖北省の住民が長江大橋を渡り、江西省九江市に入ろうとしたところ、江西省警察に阻止された。

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それにしても日本も、東京を中心に感染者数がうなぎ上りになりそうでして、これは来週月曜日からの新学期再開が延期になる可能性も・・・、ということでありまして、いやいや、事態は深刻の度を増してきつつあるのかと。

とりあえずご紹介まで。

 

3月27日(金)

【家賃支払いを凍結すべし!】

大西つねき氏のユーチューブ動画チャンネルに大変興味深い提言が載っておりまして、ご紹介したいと。

◆大西つねきチャンネル◆
コロナウイルスに対する緊急提言(40分)
【要旨】
・アメリカが1兆ドルの財政支出を決めたが、日本も100兆円くらい出すべき、そうでないとドル円の相場が円高に振れてしまう、1人当たり80万円分くらいする必要がある、
・今の状況では「借金支払い、家賃支払い」が非常に重荷なる、今は緊急的に家賃返済の凍結、借金返済を凍結するような施策をするべき、
・2年間くらい、家賃支払い(住宅ローン含む)の凍結を決定するべき、その分を財政支出で賄うようにするべき、それが100兆円ほど、
・この状況で家賃収入などの不労所得を野放しにししてはいけない、借金の元本返済も凍結する、銀行は全然困らない
・世界の経済は借金経済、家賃(不労所得)経済になっているが、そういう経済の仕組みがダメ、
・本質的には借金経済が一番悪い、借金でマネーが作り出されるよう経済の仕組みがそもそもダメ、
・さらにもう100兆円ほどを個人に給付金で出すべき、
・この私のアイデアをブラッシュアップして、それを政策決定権のある政府に意見提言してもらえたらと、

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素晴らしいアイデアであると思われまして、ご紹介したいと。

<参考>
大西恒樹(フェア党党首)公式サイト

 

【世界政府とな】

ネットニュースなんですが、興味深い記事を見かけましてご紹介したいと。

◆MSN◆
(時事通信)
元英首相が「世界政府」を提案=新型コロナ、医療・経済危機に対応
(2020/03/27)
【ロンドン時事】
英国のブラウン元首相は世界の主要国の指導者に対し、一時的に「世界政府」を設立するよう呼び掛けた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、医療・経済両面での危機に対応するためだという。英紙ガーディアンが26日に報じた。

 報道によると、ブラウン氏は「これは一つの国で対応できる問題ではない。協調した世界的な対応が必要だ」と指摘。まずは医療で緊急対応が必要だとしながらも「医療に介入すればするほど、経済を危機にさらすことになる」と述べた。

 その上で、強い権限を持つ世界的な「タスクフォース(特別作業班)」をつくり、ワクチンの共同開発のほか、中央銀行による金融緩和や政府による財政出動での協調、新興国からの資本流出の阻止などに取り組むよう求めた。

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いずれ、遠い将来には、「世界政府」、「世界連邦」などというような形で、現在の主権国家を統合する形での「超政府」が成立しているのであろうと予測されるのです。

それが果たしていつのことになるのかまでは、なんとも言えないのですが、それでも多くの人がそういう世界を予測するだろうと思えるのです。

今ある「国連(国際連合)」などは、まことに機能不全の 「ないよりまし」レベルのものでしかないのですが、その国連をズンと強力なものにした、最終的には「世界政府」ということになるのでしょうが、そういうモノが実現するのだろうと。

おそらくこのブラウン氏の提案は「完全スルー」されて誰の記憶にも残らないものになるのであろうと予測されるのですが、でも世界はきっとそういう方向に向かっていくに違いないのだろうなと。

はてさて「世界政府」100年先なのか、それとも200年先なのか。
いずれにしても現行「国際連合」を、その機能不全状態をなんとかしなければいけないのでないかと。

ご紹介まで。

 

3月24日(月)

【いつまで自粛を続けるべき】

新型コロナウイルス問題の終息がいつ頃になるのか、だいぶ不透明になっているのです。

とりあえず学校は4月新学期から通常運行に戻すのが正解なのでしょうが、ビジネス関係での「自粛継続」と「通常復旧」の境目の判断が難しいようです。

感染拡大を防ぐにはもっと長い期間の自粛が必要になりそうですが、しかしそれだと経済損失、経済面での打撃がとんでもなくなる訳でしてバランスをとるならそれはどうするべきかという。

池田信夫氏がアゴラにとても興味深い記事を寄稿しておりますのでご紹介したいと。

◆アゴラ◆
新型コロナ自粛の「出口戦略」が必要だ
(池田信夫 2020.3.24)
新型コロナの新規患者数は日本ではピークアウトし、3月22日には初めて退院数を下回った。もちろんこの傾向が今後もずっと続く保証はないが、今の厳戒態勢を半年も続けると経済はボロボロになる。現実には今月中に、自粛の「出口」を検討するときが来るだろう。問題はどういう手順で自粛を解除するかである。

いま実効再生産数Rが1を下回っているとすると、R =1になったときが一つの目安だが、それが長期的に維持できるかどうかは疑わしい。自粛をすべて解除したときの基本再生産数R0は1より大きいからだ(そうでなければ感染は拡大しなかった)。ここで重要なのが集団免疫の考え方である。

<以下略>

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世界中で大問題になっているこの感染問題ですが、それ以上に経済面での打撃はやはりリーマンショック以上のスケールになりそうです。

逆に考えれば、「これを奇禍として」ということも言えるかもしれないですので、各国政府は旧習を覆す勢いで、よりよき社会を構築するべくの大胆な政策をとるチャンスになると受け止めることもできるのでないでしょうか。

いや、どうなんでしょうか・・・。

ご紹介まで。

 

3月22日(

【日本経済再建の方策(2)】

ユーチューブ動画で、素晴らしく勉強になる経済解説をしてくれているのですご紹介したいと。

1本は京都大学の藤井聡氏、そして経済評論家の三橋貴明氏、が国会議員の安藤議員と鼎談している動画であり、もう1本は数量経済学者の高橋洋一氏がしゃべっている動画です。

いやいや、この話を聞くと、もう日本の国会議員のレベルの低さにため息が出るのです。
そして安倍政権の至らなさにもため息をつくしかないのです。

いやいやいや、藤井氏が怒りで吠えているのですが、その気持ちはよく分かるのです。

それにしてもユーチューブ動画、勉強になるのです。グッジョブです。
もうテレビ(地上波もBSも含め)は全然イケてないのです。

◆三橋貴明 公式チャンネル◆
「“消費税ゼロ”緊急鼎談」令和恐慌で中国が一人勝ち?メディアが言わない消費税の真実(56分)

(こちらは三橋氏の司会で、藤井氏と自民党国会議員の安藤氏の鼎談です)

◆文化人放送局◆
188前半【怒っていいとも】加藤×高橋×江崎(16分)

188後半【怒っていいとも】加藤×高橋×江崎(14分)

 

三橋氏は今回の新コロ騒動をきっかけとしての経済不況を「第二次世界恐慌」と言っているのですが、どうやらそういう事情になりそうです。

安倍政権が給付金で1人10万円、などと言っているのですが、そんなもんでは追い付かないと。

ここはもう消費税をゼロにするべきと。

高橋氏も日本政府の対策費が先進諸国に比して「桁が違う」として嘆いているのですが、そうだろうなと。

いやいやいや、藤井氏、三橋氏は「ここは日本の運命がかかっている」とも。

ご紹介まで。

 

【日本経済再建の方策(1)】

野に隠れた優れた経済アナリストである、のらねこまさん(駒田氏)のツイッターに以下の記事がありましてご紹介したいと。

◆ツイッター◆
のらねこま@noranekoma
資本主義経済において、ほとんど間違いなく言えることは、「世の中のカネの量を増やすと経済が成長して豊かになり、減らすと経済が縮小して貧しくなる」ですにゃ。もちろん細かく言い出せばきりがないけど、大きくはこれが基本ですにゃ。

だから、大きく言えば、ここから外れる行為は、まず間違いなく、経済を縮小して人々を不幸にするにゃ。シンプルにその視点から政策を見るだけでいいのですにゃ。

現代の経済は「借金経済システム」だから、絶対に誰かが借金を負う宿命にあるにゃ。だから、財務省が政府の債務を減らしたいなら、正直に、こういうべきにゃ。

「政府が借金を減らしたいから、民間がもっと借金しろ、民間が借漬けになれ」BY財務省。

そう言わない財務省は偽善者。

本当の事だから、自分が怒られる筋合いはないにゃ。それが嫌なら「借金経済システム」の方を改善すべきですにゃ。別に難しいことじゃなくて、国債の代わりに、政府通貨(政府コイン)を発行すればいいだけですにゃ。

「誰かが銀行から借金しなければ、世の中のカネが増えない」という馬鹿な制度は、改めるべきにゃ。そうしなきゃ、永遠に誰かが借金漬けになる。それが財政赤字の根本的な原因にゃ。

こんなことは、バランスシートを少し理解すれば、小学生でもわかることですにゃ。ただし、バランスシートを知らなければ、どんな天才博士でも理解できないにゃ。

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駒田氏のご主張は、
①ベーシックインカムを導入せよ
②政府は通貨(政府コイン)を発行せよということなのですが、私も個人的には大いに同意したいと。

ご紹介まで。

 

3月21日(土)

世界の超富裕層が株式爆買い】

ここ最近、新コロ問題ではその「感染という疫学的問題」と、派生して生じる「経済的大問題」の2つの側面でビッグニュースが目白押しになっているのです。

感染問題ではEUやアメリカなどが本格的に危機感を強めて、水際作戦など国際間の移動を禁じる方向に動いていたり。
そして各国が国内的にも「外出禁止令」など出して非常事態宣言です。

また経済面では、収入が途絶える自営業者や観光業者の問題や、ニューヨーク市場での株価の乱高下やドル円など為替相場でも大きな動きが生じているのです。

そういう世界的大混乱の中、次のようなニュースがブルームバーグに載っていたのです。

◆Bloomberg◆
「一生に1度の大バーゲン」、世界の超富裕層が株式爆買い
(Anders Melin、Ben Stupples 2020年3月20日)

→アイカーン氏やバフェット氏、市場混乱の中で株式買い増し
→アックマン氏、株式反発は政府の危機対応にかかっていると指摘

世界各地の市場が混乱する中で、世界の超富裕層の一部は投資先企業の株式買い増しに合計10億ドル(約1100億円)以上を投じた。

 当局に提出された文書によると、アクティビスト(物言う投資家)のカール・アイカーン氏は米レンタカー会社ハーツ・グローバル・ホールディングス、家庭用品や事務用品などを手掛ける米ニューウェル・ブランズの持ち株比率をそれぞれ引き上げた。ウォーレン・バフェット氏の持ち株会社はデルタ航空の株式を追加。テトラパックの親会社テトララバルの資産相続人らは、香料メーカーの米インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス(IFF)の株式に3億1700万ドルを投資した。

 過去数週間に世界各地の株式指数は急落。新型コロナウイルス感染拡大による長期的な影響への不透明性が主な理由で、航空会社やショッピングモール運営会社などは時価総額が半分以下に減少した銘柄もある。

 だが、企業幹部や取締役会メンバー、大株主らは自らの企業の株式をハイペースで買い進めている。売却に対する購入の比率は、2011年以来の大きさ。アクティビストのビル・アックマン氏らは、新型コロナ感染拡大に歯止めをかける措置が強化され、それが効果を表していることが判明し次第、株式は急速に反発すると楽観している。

 アックマン氏は18日、「現在の危機が正しく制御されるなら、一生に1度あるかどうかの大バーゲンだ」とツイート。そうなるための条件に、米国が一時的に国境を閉鎖することなどを挙げた。<了>

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いやいやいや、おそらく記事の見出しは「その通り」だと思われるのです。

世界各国の投資家の大部分が頭を抱えている中、一部富裕層だけが「今こそ大チャンス・・・」とばかりほくそ笑んでいるという。

これもまた「現実の一部」であると。

この現実に対してのらねこまさんが鋭く反応してツイッターで次のようにコメントしているのです。

◆のらねこま◆
[…略…]
これはバブル崩壊と同じ。バブルが崩壊すると、みんなが被害を被っているようにマスコミが報道するが、実際には、富裕層は金儲けの最大のチャンスですにゃ。こうして馬鹿な投資家が株を売ったり、政府が株の買い支えに投じたカネを、富裕層が吸い上げて丸儲け、というのが、今日のシステム。

とはいえ、こういうことを正直に喋る投資家は、好感が持てますにゃ。普通は密かに買いあさるものだし、すごいのになると、マスコミに出てきて、マスコミと一緒に不安を煽って株安を誘導するでしょw。それで政府が国民のカネ(日銀の現金)で、もっともらしく、株を買い支えたりする。

善良な国民は、そんなこと思いもよらないから、一緒になって騒いでいるけど、ちょっと裏から物事を見る目を持っていると、ばかばかしくて、厭世主義や鬱になるのですにゃ。

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ということで、かつての世界恐慌やリーマンショックの時にでも、多くの投資家が資産を失って路頭に迷っていた中、一部目ざとい人たちが「空売り」で巨額な利益を上げて、逆に資産を築いていたりもしたのです。(例えばケネディー一族などもそのようなことであったとか)

そういうことで、現代資本主義の金融システムでは、いいか悪いか別にして、そういう事象が生じえるということなのです。

とにかく、「誰かが資産を失っている時に、誰かがぼろ儲けをしている」ということのようなのです。

いやいや、世の中というのは、常にそういう「システムの裏側」をもっているということなのでしょう・・・。

どんなシステムにも一長一短があると。

こんな時に、きっとジョージ・ソロス氏やウォーレン・バフェット氏あたりがまたぼろ儲けをしているのでしょう。

それは非難されるべきことなのか、それとも賞賛されるべきことなのか・・・。

いや、難しい問題であるなと。

ご紹介まで。

 

3月19日(木)

【国連通貨のアイデア】

大村大次郎氏という経営コンサルの方が面白いアイデアを披露しているのです。ご参考までにご紹介したいと。

◆MAG2NEWS◆
新型コロナ蔓延の今、安倍首相が「国連通貨」発行を提案すべき訳
(2020.03.19. by 大村大次郎)
<もはや世界の人と物の流れを断ち切りつつある、新型コロナウイルスによる感染症。この新しいウイルスがここまで蔓延した原因のひとつとして、巨額な拠出金を提供する中国に「忖度」したとしか思えぬWHOの後手に回った対応が挙げられています。今後再発するとも限らないこのような事態を防ぐため、各国はどのような対策を取るべきなのでしょうか。元国税調査官で作家の大村大次郎さんは自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で今回、「国連通貨」の発行を提案。その完璧とも言えるシステムを詳しく解説しています。>

■今こそ国連通貨の発行を!
国連通貨についてのお話です。

今回、新型コロナが世界的に被害が拡大した背景には、WHOの対応のまずさが大きな原因の一つになっています。WHOがもっと早い段階でパンデミックを宣言したり、中国との渡航に警戒を呼び掛けていれば、これほど早く被害が世界に広がることはなかったはずです。WHOの対応が後手に回った背景には、中国に対する遠慮があります。

世界各国がWHOへの拠出金を渋ろうとしている中で、大金を出してくれる中国は大事な「顧客」でもあります。またWHOのテドロス事務局長の母国はエチオピアであり、エチオピアは中国から多額の支援を受けています。テドロス氏がWHOの事務局長になれたのも中国のおかげだという見方もあります。

それもこれも元はといてば、国連機関が独自の財政基盤を持たないからでもあります。国連機関は加盟国の拠出金によって運営されています。必然的に拠出金の大きい国ほど発言力が強くなります。これでは真に世界に役に立つ機関がつくれるはずがありません。先進国はどこも財政赤字を抱えて国連の拠出金を出し渋るようになっています。一方、経済成長が著しい中国は財政に余裕があり、国連への拠出金も積極的に増額しています。だから国連の諸機関は、中国の影響が非常に強くなっているのです。

■欠陥だらけの現在の通貨システム
また現在の世界の金融システムというのは大きな矛盾を抱えています。

現在の金融システムというのは、銀行から誰かがお金を借りることによって社会に回るようになっています。そして驚くべきことに、お金が社会に出るためのルートは、これ一本しかありません。社会で使われているどんなお金も、元をたどれば、誰かの借金なのです。貿易などで得た外貨を円に交換するときにも、新しいお金が社会に出てくることになりますが、その外貨は外国において誰かの借金により社会に流れ出たものなので、煎じ詰めれば、「誰かの借金」ということになるのです。

世の中に出回っているお金というのは、実はすべてが借金なのです。借金というものは、いずれ返さなくてはならないものです。しかも利子をつけて、です。

が、銀行が貸し出しているお金は元金だけです。社会には元金しか流れていないのに、利子をつけて銀行に返還することは数理学的に不可能です。

なのに、なぜ社会が銀行にお金を返せているかというと、常に誰かが新たに借金をしているからです。借金によって社会に流れるお金が増え続けているので、とりあえず「そのときそのときの利子」は返せるというわけです。

しかし、逆に言えば、我々の社会は常に借金を増加させ続けなくては回っていかないシステムなのです。そして、社会が銀行からあまり借金をしなくなれば、社会の金回りは非常に悪くなります。実際に、バブル崩壊後の日本の社会では、企業が借入金を減らしたために金回りが非常に悪くなり、不景気が続きました。

だからといって、必要もないのに借金を増やすということはなかなかできるものではありません。特に先進国では、それほど大きな巨額のインフラ整備や設備投資などは必要ありませんから、企業の借入金は減る傾向にあります。それを補うためには、政府が借金をしてお金を社会に回さなくてはなりません。現在、先進国の多くは赤字財政となっていますが、ある意味、社会にお金が流れるようにするためには、仕方ないことだともいえるのです。

かといって、政府の赤字があまり大きくなりすぎれば、政府の信用が揺らぎ、国債の価値が下がり、金融不安を招くこともあります。

■新しい通貨を創設することとは?
この矛盾を解消するためには、「銀行から借金する」以外の方法でお金が社会に流通するルートをつくらなければなりません。一番手っ取り早いのは、政府が独自に通貨を発行することです。

「銀行融資以外での通貨の発行」は、著名な経済学者の間で有効な経済政策としてたびたび提言されてきました。たとえばノーベル経済学賞を受賞したブキャナン・ワグナーなども政府通貨の発行を勧めたことがあります。

が、この政府通貨というのは、国レベルではなかなか発行できません。一国がそれを採用した場合、他国との為替などの問題が生じるからです。どの国も、「銀行融資による通貨」しか発行していない中で、一国だけが銀行融資によらない政府通貨などを発行した場合、果たして他の国がその通貨を認めてくれるかという懸念が生じます。もしそれを通貨として認めてもらえなければ、その国は貿易などで大きな支障をきたすことになります。そのため、どの国も踏み込めないでいるのです。

■国連通貨とは?
が、国連ならば、それは可能だといえます。国連が通貨を発行し、それを国連加盟各国が了承したならば、全世界で支障なく使用できるはずなのです。何の保証も担保もない「仮想通貨」が、通貨として流通している現状を見たとき、国際社会が了承した「国連通貨」が流通しないはずはないのです。

具体的に言えば、現在世界経済のGDPは9,000兆円前後なので、この1~5%を目安に国連通貨を発行します。国連通貨は、アメリカ・ドルとのペック制にします。ドル・ペック制というのは、通貨の価値がドルと固定して連動するということです。そうすることで、これまで世界の中央銀行の役割を担ってきたアメリカのメンツも立つはずです。そして、各国はドルとの交換相場で自国通貨と国連通貨を交換することを保証するのです。どこの国も拠出金を出す必要はなく、たったこれだけのことで世界GDPの数%の財源が創出できるのです。

9,000兆円の1%としても、90兆円です。日本の国家予算に匹敵する規模です。その巨額の財源を国連は得ることになるのです。

またアメリカとしても、このままずるずる中国に国連でのイニシアティブを握られるよりは、今、座長となって国連通貨の発行をした方が得策なはずです。

■あらゆる世界の災厄に役立てる
そしてこの国連通貨を、国連関係の諸経費に充てたり、貧困国の国民への所得補償を出したりするのです。そうすれば、国連は独自の財源を持つことになり、拠出金のことを気にすることなく、本当に世界に必要な施策を講じられるようになるはずです。

また今回のような世界的な大災厄において、世界各国は予算の制約もありなかなか有効な手立てが講じられません。が、国連が独自の財源を用いて、世界規模の対策を講じればかなりの効果が得られるはずです。

さらに世界通貨を発行すれば、世界経済に大きな好影響をもたらすことは間違いありません。というのも、貧困層に支給されたお金のほとんどは消費に向かうからです。貧しい人々、貯蓄をする余裕のない人々というのは、お金をもらえばそのまま消費する傾向が強いのです。これは発展途上国の産業だけじゃなく、先進国の産業にも大きな好影響をもたらすはずです。

■先進国の負担が大幅に減る

[…略…]

■世界通貨の量を調整できるようになる
国連通貨はさらにもう一つ大きな長所があります。それは、「世界の通貨の量をある程度調整できるようになる」ということです。

[…略…]

もちろん、「世界の人々に直接支給する金額」をあまり大きく増減させれば、人々の生活に大きな影響を与えることになるので、基準額は儲けておき、ある程度の幅の中で増減させるのです。この通貨量の調整をうまく使えるようになれば、リーマンショックや世界大恐慌のような金融災害はほとんどなくなるはずです。

もし安倍首相が日本からこの提言をすれば世界はどれほど喜ぶかと思います。

(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)

プロフィール:大村大次郎(おおむら・おおじろう)
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

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この件、到底今すぐ実現できる話とは思えないのですが、将来的にはこういうアイデアも多くの人に知悉されるようになって、いずれ実現して行くのでないかと考えるのです。

ご紹介まで。

 

3月17日(火)

【GPIFの運用が危ない件】

今しがた読んだ現代ビジネス誌で、経済評論家の近藤駿介氏の記事がとても興味深いものでしたのでご紹介したいと。

話の要点は以下のような。

【要点】
パンデミックマーケット発生 → 世界経済の危機深刻化 → 金融システム危機に発展 → 結果的に日本がババを引く(巨額の公的年金基金が吹っ飛ぶ・・・)

◆現代ビジネス◆
新型コロナ「世界同時株安」最もヤバいのは「日本人の年金」の可能性
~パンデミック・マーケットと信用緩和~
(近藤駿介:経済評論家/コラムニスト 2020.03.17)

■パンデミックで金融市場大荒れ
WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスの世界的な感染拡大について「パンデミック」を宣言した先週(9~13日)の金融市場は大荒れの展開となった。

トランプ大統領が就任した2017年1月以降116回も史上最高値を更新し、世界の株式市場を牽引してきた米国株式市場も過去最大の下落と上昇を繰り返し、史上初めて5日連続で1日の当落幅が1000ドルを超えるなど大荒れの展開となっている。

・・・

この発言の本質は、利下げと量的緩和に留まっている金融政策に「信用緩和」を加えるというものであり、「経済危機」を「金融システム」を切り離すことで「金融システム危機」を回避することを目指したものである。

■「金融システム危機」とどう向き合うか
興味深いのはこうした発言をしたローゼングレン総裁が、昨年FRBが行った3回の利下げに全て反対票を投じてきた「タカ派」だったことだ。

最も金融緩和に反対してきた「タカ派」の代表格である地区連銀総裁が、米連邦準備法を改正してまでFRBがリスクの高い証券を購入することを提唱するということは、FRBが「経済危機」を「金融システム」から切り離すことで「金融システム危機」を回避する強い意志を持っていることの現れだと理解するべきだろう。

・・・

■GPIF過去最大の損失20兆円?
「パンデミック・マーケット」から最も深刻な影響を受けるのは、新型コロナウイルスの震源地である中国でも、急激な感染拡大に見舞われている欧州でもなく、「緊急事態を宣言する状況ではない」日本である可能性が高い。その中でも直撃を受けるのは公的年金の運用である。

日本の公的年金資金の管理運用を行っているのはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)である。その運用資産額は2019年12月末で168兆9897億円と国家予算の1.6倍という巨額なものになっている。

安倍総理が「世界最大の機関投資家」と豪語するGPIFは、今回の「パンデミック・マーケット」によって巨額の損失を抱えた可能性が高い。

・・・

「パンデミック・マーケット」の影響によってGPIFがこの1~3月期に20兆円ほどの損失を出したとしたら、2019年12月末時点の38兆7104億円の評価益の半分以上が消し飛ぶことになる。

・・・

新型コロナウイルスの感染拡大の状況は「非常事態を宣言する状況ではない」のかもしれないが、日本の株式市場は「非常事態を宣言する状況」に確実に近付いている。<了>

************************

危ない状況が刻々と近づいてきているような気配ですが・・・。

ご紹介まで。

 

3月16日(月)

【リーマン級のリアル】

前回、黒川氏の警告について紹介させて頂いたのですが、先ほど読みに行きました双日の吉崎達彦氏のレポート記事に同じような分析がなされていましたのでご紹介したいと。

ポイントは「ハイイールド債」という危険な武器であると。
CLO(ローン担保証券)という商品は、実はサブプライムローン時のCDO(債務担保証券)とそっくりな仕組みであるとか。

ここ最近、世界では大幅な原油安という事態が進行しておりまして、これは新コロ問題とは直接は関係しない経済事象なのですが、しかしこれが実に大きな危険を孕んだ問題であるとのご指摘です。

そして「第2のリーマンショック」並みのインパクトをもって世界を襲う可能性があるというお話です。

 

◆溜池通信◆
Report 「世界経済『リーマン級』事態のリアル」
特集:世界経済「リーマン級」事態のリアル
 今週は世界同時株安の 1 週間。NY ダウ平均は 1 日に 1000 ドル以上も下げたり、上げたりの繰り返し。そして 3 月 11 日夜、トランプ大統領のコロナウイルス対策への失望感から、翌 12 日の下げは史上最大の 2,352 ドル(下落率▲9.99%)となりました。こんな下げ方はまさしくリーマンショック以来のことです。
 WHO は今週になって、新型コロナウイルスをようやく「パンデミック」と認めましたが、既に感染はグローバルなものになっている。この間に動揺は全世界に広がり、各国政府の対応もポピュリスト的なものが多くなっている。今後の世界経済を見るうえで、何に気を付けるべきかを考えてみました。

[…略…]

●石油に関する「ハイイールド債」にご用心
 ところでロシアやサウジ以上に、原油価格の下落によって打撃を受けるのは米国経済であるかもしれない。むしろこれは、産油国が米国に対して「価格戦争」を仕掛けているのではないか、という観測さえある。
なんとなれば、今や世界最大の産油国は米国である。それを実現したのは、規模は小さくても、たくましい経営力を有する無数のシェール企業群である。
 前回、2015~16 年の石油下落局面では、シェール企業は 100 社以上が経営破綻したといわれている。それでも多くの企業は、しぶとさを発揮して生き残った。むしろ痛い目に遭ったのは、安値攻勢をかけたサウジ側であった。シェール企業は効率の良い井戸に集中して開発したり、あるいは掘削済みの井戸をそのまま放置しておき、値段が上がって採算が取れるときだけ採掘したりする、といったゲリラ戦を展開した。この辺がいかにも米国企業らしいのだが、開発手法もどんどんイノベーションが進み、予想を超えた安値でも対応できたのである。
 もうひとつ、彼らにはハイイールド債という武器があった。そこは米国の金融市場だけあって、ちゃんと危ない企業に対してもリスクマネーを提供する仕組みが存在するのである。ちなみにこのハイイールド債、昔はジャンクボンドと呼ばれていた。物は言いようで、「途上国」を 90 年代から「新興国」と呼び換えたのと似ている。
 心配なのは、このハイイールド債市場がどう見てもバブル化していることだ。この手の格付けの低い社債をパッケージにして、高利回りの高格付けにして売る CLO(ローン担保証券)という金融商品が人気になっている。それも超低金利の長期化により、運用難に直面している日本の金融機関が多く買っているらしい。
 しかるに CLO とはその昔、サブプライムローンを世界中の投資家に売りつけた CDO(債務担保証券)とそっくりな仕組みである。ハイリスクの社債も数多く入れておけば、一度に全部が悪くなるということはない、だからトータルでは安全です、という説明である。
 しかるにサブプライム問題が浮上した時には、CDO の値段がつかなくなって金融市場が大混乱した。あのときと同じことが起こり得るのである。
 ハイイールド債市場の約 15%はエネルギー関連銘柄だと言われている。ゆえに石油価格の下落は、「第 2 のサブプライム問題」を招きかねない。コロナウイルスだけではなく、石油安が金融不安の引き金となる、というのが最悪のシナリオと言えるだろう。ここまでくると、「リーマンショック並み」という言葉が現実味を帯びてくる。
 それくらいあの事件は遠くなってしまった。何しろ 2008 年と言えば、ひと回り前の子年のことである。その翌年から、長くゆるやかな経済成長と株高が続いてきた。なおかつ金利は低いままだった。この間にリスクを取ってはいけない人たちが、リスクを取ってしまった。これぞバブル崩壊の物語ということになる。<了>

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ご紹介まで。

3月14日(土)

【アメリカ投資銀行の悪辣と日本のナイーブ…】

新コロ問題がいよいよ経済に強烈に影響を与え始めているのですが、ニューヨークの株価の乱高下は確かにリーマンショック以来なのです。

そんな中、この金融危機では日本の保険会社が危ないのでないかと警鐘を鳴らす動画がUPされたのです。

「オリーブの木」という政治団体代表の黒川敦彦氏がユニークな動画を上げているのです。
(※黒川敦彦は日本の実業家、政治活動家。市民団体「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表。政治団体「オリーブの木」代表)

その動画ではゴールドマンサックスなどの大手投資銀行が、どれほどあくどい手法で金儲けに邁進していたのかを、分かりやすく解説してくれていたのです。

そしてリーマンショックの当時の「サブプライムローン」と同じ構造が今日でもアメリカ金融商品では普通に行われていると。

そして日本の保険会社などがいいように食い物にされていると。
なんとアホなことになっているのかと・・・。

◆オリーブの木◆
保険会社が倒産の危機。金融危機。;;;;
<要旨>
・現状基軸通貨のドルが金利ゼロ=投資運用で利益出ない、
・だから大手外資はCLOなどの怪しげな金融商品を作って、他人を騙して買わせている、

・まさにサブプライムローンと同じ構造、
・他人を騙して買わせて爆発するということ、

・サブプライムローンとは、お金を貸してはいけない人にローンを組みました、ということ、

・返せなくなること分かっている、
・何でそんなことをするのかというと、それは誰かに損を押し付けると誰かが儲かる、
・だから売って来たということ、

・そしてまた金融危機が来た、今回のそれはリーマンショックの10倍以上・・・、

・日本国の資産がどんどん海外流出している、
・しかも為替リスクと外資の怪しげな金融商品のせいで、何百兆円単位で損失が出る、
・それを見過ごしてきた政治家と官僚…、

・そういう政治家を選んでしまった国民全体の責任でもある・・・

・日本は世界一お金持ちの国、
・それがどんどん外資に貢いでいる、
・そしてそのお金は返ってこない・・・、

・このまま若い世代に投資しないと沈没する・・・、
・今こそピンチをチャンスに変えて劇的な政策転換をするべき時

****************

いやいや、大丈夫ですか日本生命さん、農林中金さん・・・、

私は「オリーブの木」なる政治団体に特段シンパシーをもっている訳ではないのですが、この動画はとても勉強になる有意義なものであると思われまして、ご紹介まで。

ご参考までに。

 

3月12日(木)

【弱者を救わない政治、アメリカの現実】

いよいよ新コロ問題がアメリカでも深刻化してきたのです。

しかし、アメリカの医療制度は世界的にみて、とても先進国とは言えないようなひどいレベルでありまして、この新コロ問題ではそれがどうにもあぶり出されてくるような感じです。

トランプ大統領は再選がかかっているので必死なようですが、しかしとてもじゃないですが、国民を納得させられるような対策は講じられないのでないでしょうか。

つまり、バイデン氏に大きな可能性が出てきているのでないかと。

Newsweek誌(日本版)になかなか興味深い分析記事が掲載されておりましたのでご紹介したいと。

◆Newsweek◆
迷信深い今のアメリカは新型コロナウイルスに勝てない?
Can This America Handle a Public Health Crisis?
by ダーリア・リスウィック(司法ジャーナリスト、米連邦最高裁判所の法廷記者)2020年3月11日
<今のアメリカは、子供の予防接種は毒だと言い、貧困は自己責任だとし、予防も医学的事実もあざ笑うような保守派に牛耳られている。公衆衛生軽視でCDCの予算を削減したトランプは、未だに事の重大性を十分にわかっていない>

アメリカは、新型コロナウイルスが来る前からすでに、重い病に感染している。それは新型コロナウイルスよりはるかに重く、感染力も強い病だ。

その病のせいで、アメリカは「新型コロナ」ショックのように大規模な公衆衛生上の危機に対応しきれない可能性がある。最先端だが高額な医療費や、数千万人の無保険者をかかえる医療保険制度、医療従事者の偏在だけでも手に余るが、その上この国は今、このウイルス危機が現実で、危険で、政争より重要だと認めることさえ万死に値する、と言われかねない心理的社会的な信念に罹患している。そのせいで、国民の大半が科学やファクト(事実)や報道を信じなくなっているのだ。

ガスマスクを着けて議場に表れ、悪ふざけが過ぎると批判を浴びたマット・ゲーツ下院議員(共和党)(その後彼は感染者と濃厚接触があったことが判明し、自宅で自主隔離を行うはめになった)もひどいが、ドナルド・トランプ大統領はもっとひどい。21人の感染者が出てカリフォルニアの沖合で「隔離」されていたクルーズ船「グランド・プリンセス」はそのまま沖合にいて欲しいと言った。戻ってきて「アメリカの感染者数」が増えるのは困る、と言ったのだ。

トランプ政権は以前から公衆衛生を軽視しており、国家安全保障会議(NSC)のパンデミック専門家のクビを切り、米疾病管理予防センター(CDC)の予算を削減した。またウイルスのリスクを軽く見せかける組織的な取り組みの一環として、検査キットの数と入手可能性について「たくさんある」と、完全なウソを全米に発表した。

■弱者を救わない政治
すべてがひどい話だが、それでも、パンデミック(世界的な流行)を招きかねない最悪の状態に陥ったのは、すでにアメリカ社会が病んでいたからだ。その病とは、イデオロギーによる分断だ。

新型コロナウイルスの流行が拡大するか終息するかは、貧困層や移民、高齢者など近年のアメリカでひどい扱いを受けてきた人々に、アメリカが私利私欲なく手を差し伸べられるかどうかにかかっている。金持ちや強者しか相手にしないやり方では、公衆衛生の危機は回避できない。

それは結局、自分自身をに救うことにもつながるのだが、今のアメリカにそんなことができるとは思えない。

世論調査によると、コロナウイルスを差し迫った脅威と信じる可能性は、共和党員より民主党員のほうがも2対1の割合で高く、民主党員は感染拡大を抑制する予防措置を取ろうとする可能性が高い。

それは民主党員が共和党員よりも「善良な人間」だからではない。保守派メディアがウイルスのリスクを過小評価し、予防や封じ込めに金を使うことはリベラル派が垂れ流すフェイクニュースに屈することを意味する、というデマで貴重な時間と国民の信頼を浪費してきたせいだ。

人々がパンデミックの危機に目覚め、関心をもつことが、裕福な人間のためだけの医療制度の欠陥を露呈することであってトランプにとって政治的にマイナスであるならば、感染のリスクを否定し最小化するしかない、という理屈になる。どんな代償を払っても。

<以下略>

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どう収束して行くでしょうか、新型コロナ感染は。

リーマンレベルの大経済問題化するのと同時に、アメリカ大統領選の行方を左右する、まことに大きな、まさに怪物級の大問題になってきたのです。

本当にこの世のことは、一寸先は闇であるなぁと。

 

3月11日(水)

【今こそヘリマネを!】

かつて一部識者からは「トンデモ学者」などと陰口を叩かれて、何かと批判も多い経済学者の池田信夫氏ですが、私は個人的には大いにその見識を買っているのです。(ただ、他人を遠慮会釈なく厳し過ぎる口調で批判、断罪するのはよろしくないと思ってもいますが)

その池田氏が、これまた正統派経済学者からは批判の多い「ヘリマネ」について大真面目にこれを推奨している記事を見かけまして、ご紹介したいと。

 

◆アゴラ◆
日銀は「ヘリマネ型量的緩和」に転換するとき
(池田信夫 2020年03月09日)
新型コロナは日本では鎮静化に向かっている(重症患者は27人に減った)が、世界に拡大してきた。特にアメリカの感染者が542人と日本を抜き、死者も22人で世界第5位になった。これで全世界がパニックに陥るだろう。

これは2009年の新型インフルエンザのように、健康被害はそれほど大きくないが経済に大きなダメージを与える経済的パンデミックになるおそれが強い。こういうとき必要なのは、人々の萎縮した心理を回復させることだ。

昨年10~12月期の成長率は年率マイナス7.1%に下方修正されたが、これにはコロナの影響は含まれていないので、1~3月期のGDPは年率10%以上の減少になることは確実だ。この大きな需給ギャップを埋めるには、数兆円規模の総需要追加が必要である。

日本ではマイナス金利が続いているので、大胆な財政出動ができる。問題は何に使うかだが、感染症対策だけでは数千億円が限度だろう。国会には補正予算が出ているが、これでは足りない。それより早いのは、日銀が国民の銀行口座に直接入金することだ。それがブランシャールも提言している国民の量的緩和である。

■「国民の量的緩和」はヘリマネと同じ
これはフリードマンのいうヘリコプターマネーで、その名前ほど荒唐無稽な政策ではない。今は日銀がいくら銀行にマネタリーベースを供給しても、銀行の日銀当座預金に「ブタ積み」になってしまうので、日銀が直接、個人にばらまけばいいのだ。

日銀が銀行に現金を供給するとき、その一部を国民への定額のクーポンとし、銀行はそれをすべての顧客の口座に入金する。これはもともとイギリス労働党で検討された政策だったが、今のEUでは規制があってできない。ブランシャールはEUに規制を変えるよう提言しているが、日本では可能である。

たとえば1人10万円のクーポンを全国民に発行すると約12兆円になるが、これは日銀の供給しているマネタリーベース510兆円の2%程度なので、日常のオペレーションとしてできるだろう。名寄せはマイナンバーを使えばいい。クーポンの発行は昨年の消費増税のときのポイント還元で経験があるので、実務的にはそうむずかしくないだろう。

クーポンのコストは統合政府部門(政府+日銀)全体で12兆円になるが、これは一般会計に計上して国債を発行し、日銀がそれを買い取る。これは金融政策ではなく財政政策なので、日銀の通常業務を逸脱するが、日銀法43条で可能だ。内閣が決定して国会が事後承認すればいい。

マクロ経済的には、これは統合政府部門の赤字を12兆円増やすが、日銀の民間に対する債務(日銀当座預金)を増やす量的緩和と同じだから、国民が合理的なら量的緩和とヘリマネは同じである。

■「財政と金融の協調」への転換が必要だ
しかし心理的な効果は、ヘリマネのほうが大きい。日銀が量的緩和で出した資金はいずれ「出口」で回収されるが、ヘリマネは国民が直接受け取るので、人々はそれを使ってしまうからだ。この心理的効果が量的緩和とヘリマネの唯一の違いである。

ただ効果が大きいということは、インフレ予想に与える影響も大きいということだ。これは12兆円の財政赤字を日銀が「先食い」するオペレーションなので、政府の決定が必要だ。安倍首相が「すべての国民に10万円配る」 とアナウンスした途端に、激しいインフレが起こるかもしれない。

それが心配なら、最初は5万円ぐらいから始めて徐々に増やしてもいいが、今は需給ギャップがGDPの10%ぐらい発生するおそれがあるので、12兆円ぐらいの財政支出でインフレになるおそれは少ない。むしろ何も起こらない可能性がある。

しかし10万円で何も起こらないからといって、次は20万円、30万円…とバラマキを増やしていくと、どこかで激しいインフレが起こる。これは資金需給で決まるのではなく、財政についての予想の変化で起こる財政インフレなので、連続的に起こるとは限らない。その基準はインフレ目標ではなく、長期金利を見たほうがいい。

今のように長期金利がマイナス(金利<成長率)のうちはヘリマネは無害だが、1%になると金利と成長率が逆転するので要注意である。こういう金利目標でヘリマネをコントロールするのがフィッシャーの提案だが、日銀の「イールドカーブ・コントロール」と親和性がある。

これは財政赤字を日銀が埋める財政ファイナンスであり、黒田総裁も認めた財政と金融の協調である。日銀はその財政=金融ルールを明示し、従来の量的緩和とは違う基準でコントロールすることを明らかにしたほうがいい。

そのためには日銀政策委員会で方針を変更する必要があるが、これは実質的にはいま日銀のやっていることを大きく変えるものではない。ターナーもいうように、日銀はすでに世界最大規模のヘリマネをやっているので、必要なのは正直になることだけである。<了>

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確かに、リーマンショック級、3・11級の大災害になっている新コロ騒動ですので、お茶を濁すような対策では追い付かないのです。

今こそ政府は世界が括目するような「素晴らしい対策」を断行して欲しいと思うのです。

(ま、無理でしょうが・・・)

ご紹介まで。

 

3月9日(月)

【世界経済大崩壊への序曲…】

パソコンをつけ、アウトルックを開いたら以下の速報記事が日経から送られてきていたのです。

・【速報】円急伸、一時101円台に(03/09 11:12)
・【速報】日経平均、1200円超安 午前終値1万9473(03/09 11:51)
・【速報】NY原油、20ドル台に下落 4年ぶり(03/09 12:29)

それでさっそく日経の電子版を読みに行けば以下の記事が目に入り。いやいや、これから世界経済がどんな風に転がって行くのやらと・・・。

◆日本経済新聞◆
コロナショック 世界が陥る「封鎖のパラドックス」
(藤田 和明 編集委員 2020/3/9)

新型コロナウイルスの感染拡大が世界規模で広がり、金融・証券市場の動揺が続いている。日経平均株価は1年2カ月ぶりに一時2万円の大台を割り込み、円相場も一時1ドル=101円台と約3年4カ月ぶりの円高水準になった。原油相場も1バレル30ドル台に急落。新型コロナショックは、世界景気の悪化懸念に結びつき、マネーが逆回転する動きが止まらない。

【関連記事】
・長期金利、マイナス0・2%に低下 4カ月ぶり
・円急伸、一時101円台 長期金利はマイナス0.2%

「ロックダウン・パラドックス」。市場でこんな言葉が出始めた。ロックダウンとは封鎖。新型コロナの感染拡大を封じ込めるために、各国政府は渡航を制限し、学校などを閉鎖する。民間企業は出勤停止や出張・会合の取りやめに動く。行動としては正しい必要な判断のようにみえるが、結果として、経済や社会活動が止まり、必要以上に傷めてしまうパラドックスだ。

それが中国にとどまらず、世界規模で広がりつつある。日本政府は9日、感染が広がる中国と韓国からの入国を制限する措置を発動した。欧州ではイタリアが、ミラノを含む北部を広範囲に封鎖する措置に踏み切った。

米国でもニューヨーク州の感染者が100人を超え、同州知事は非常事態を宣言した。サウジアラビアも中国や韓国、イタリアなどを対象に入国を停止した。人やモノの行き来が止まる事態が広域かつ長期間に及べば、世界景気を冷やす懸念は一段と強まる。

「最悪の事態はまだ来ていない」。野村グローバル・マーケット・リサーチは先週末、新型コロナが与える影響を踏まえた世界経済のシナリオ分析を改めて出した。2020年4~6月期に世界景気が「V字型」の回復へ向かうシナリオが基本だとしつつも、回復時期が遅れる「U字型」、その先も回復して来ない「L字型」という厳しいシナリオも分析に付け加えた。「この異常な経済のスランプを、マクロ政策では十分には支えられない。もしも新型コロナを封じ込められなければ、金融市場は、世界的な景気後退を避けられない結論として受け止めなければならなくなるかもしれない」

こうした高まる懸念が世界の株式市場を揺らしている。9日午前の日経平均の下げ幅は1200円を超え、2万円の大台を割り込んだ。

[…略…]

米国は「中国の6週間遅れ」とみられる。中国で湖北省を中心に感染が拡大し、武漢などの封鎖に踏み出したのが1月下旬。そこから経済活動は著しく落ち込んだ。その背中を追うように、米国まで厳しい事態に陥ってしまうのか。

一方で、中国の感染者の増加ペースは鈍りつつある。このまま感染者数の再加速もなく、中国が封じ込めることができれば、日本や米国など他国の先を照らす手掛かりになる。どちらに向かうか。市場の緊迫は続く。<了>

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もう1本、面白い記事をご紹介したいと。

◆MSNニュース◆
米国が日本の二の舞、新型肺炎大流行の兆し
(高濱 賛 2020/03/09)

ご紹介まで。

 

3月8日(

【現代資本主義の欠陥】

ネット上で、あまり知られている人ではないのですが駒田朗氏という方がブログを書いているのです。(世に知られていないだけで、優れた経済アナリストであると私は思っているのですが)

その駒田氏のブログ記事に「現代資本主義の欠陥」と題する一文がありまして、なかなか傾聴に値する議論であると思われご紹介したいと。

◆ネコでもわかる経済問題◆
コロナ騒動に見る現代資本主義の欠陥
(駒田朗 2020年1月31日)
中国発の新型コロナ肺炎ウィルス騒動によって、世界経済が大きな悪影響を受けるとマスコミが報道しています。最も卑近な例を挙げるなら、観光産業への影響です。中国からの観光客の減少により、観光産業の売り上げが減少し、景気に悪影響を与えるというのです。

つまりこうです。新型コロナウィルス騒動によって中国からの観光客が減ると、観光産業を中心に売り上げが減少し、そこに関連する人々の所得を押し下げ、購買力を減らします。すると、それらの人々の消費が減り、社会全体としての消費も落ちてしまう、というわけです。つまり観光産業から連鎖的に社会全体の景気が悪くなる、ということです。

では、なぜこんなことになるのか?

こうした災害に伴う不況の問題は、今回のような伝染病に限らず、様々な災害などの場面においても生じる現象です。例えば台風による広域災害、猛暑あるいは雪不足のような問題です。それらが景気を悪化させるのです。しかし、その原因について根本的に、あるいは経済の原点に立ち返って考えるような記事は、マスコミにはまったく見られません。お決まりの、どこかに書かれてあるような常識論が語られるだけです。しかし、経済のシステムの本質的な視点からこの現象を考えるなら、おそらく、現代資本主義の欠陥部分に行き着くのではないか、と思います。

現代の資本主義社会は市場経済であり、市場経済は、その原点が「交換によって成り立つ経済システム」「交換経済」です。つまり、それぞれの経済主体が生産した財(モノやサービス)を交換することでなりたちます。ということは、交換するための何かが常に必要であることがわかります。

そして、もし、ある経済主体が何らかの原因(災害など)によって財の生産ができなくなると、たちまち、この「交換システム」は機能不全になります。

例えば、AさんとBさんがいて、Aさんがお米を100生産し、Bさんがお魚を100生産し、互いにお米とお魚を50ずつ交換して生活していたとします。ある時、大干ばつがこの土地を襲い、Aさんはお米がまったく取れなかったとします。すると、AさんはBさんからお魚を得ることができなくなります。一方、Bさんはいつも通りにお魚100を生産しますが、Aさんがお米と交換できないため、取れた魚100のうち50は腐って捨ててしまいます。

はて、これがあたりまえなのでしょうか?今のマスコミに問えば「あたりまえ」「しかたない」と答えるでしょう。しかし、少し考えてみてください。

小さい頃、みなさんは、学校で「社会はそれぞれの人が分業して必要なものを生産しているのだ」という風な話を聞かされてきたのではないでしょうか。あるいは、なんとなく、そのように思い込んできたのではないでしょうか。社会は共同体であると。分業とは、互いに生産したものを分け合うことが前提となります。もし、みんなが必要とするものを、みんなで分業生産してるのだとしたら、仮にそのうちの誰かの生産が滞ったとしても、基本的には分業に携わってきた以上は、生産された財が、その人にも分配されるはずです。

例えば、今日では「会社」がこれに当たります。同じ会社に属して、様々な仕事を分業しているのですから、仮に会社のある収益部門の売り上げが何らかの理由で一時的に減少したとしても、その収益部門だけ報酬がなくなる、なんてことはありません。なぜなら、会社のような組織は「分業と分配」が基本システムにあるからです。もちろん、ある収益部門が慢性的に売り上げが少ない場合は、商品や販売組織の改変が必要なのは言うまでもありません。そうではなく、短期的な話です。つまり、一時的な生産の変動に対して、こうした「分業と分配」のシステムは、安定的であるという点が重要になりますです。

では、分業と分配という考えに基づいて、前例におけるAさんとBさんの場合について考えてみましょう。社会が生産共同体であるなら、Aさんはお米の分業を担ってきたと考えられます。そうなら、たとえ不運にしてAさんが干ばつでお米が生産できなかったとしても、Bさんの生産したお魚のうち、50がAさんに分配されるでしょう。そうすれば、生産されたお魚は無駄になりませんし、Aさんもお魚を得ることができます。これが分業と分配です。

ところが、現代の資本主義社会では、そうはなりません。BさんがタダでAさんにお魚をあげるのは「損した」ことになるわけです。なぜなら、頭が「交換経済」という考えに支配されているため、交換するものもないのに、与えることはできない、となるわけです。先ほどの会社の話を聞けば、会社組織における「分業と分配」には、みなさん、それなりに納得する点があると思うのですが、こと、市場における「交換経済」になると、「損した」となるわけです。常に交換するもの、代価がなければ成り立たない、これが市場経済の欠陥であり、それを前提として成り立つ現代資本主義の欠陥でもあるわけです。

つまり、子どもの頃に聞いたことがある「社会はそれぞれの人が分業して必要なものを生産しているのだ」は、実は嘘だったことがわかるのです。社会とは、実は、協働の場ではなく、交換の場に過ぎなかったわけです。あるいみ、それはコミュニティとは無縁の、何か殺伐とした無機質の機械のような印象を与えます。

一方で、社会主義(あるいは共産主義)の考え方は「分業と分配」であり、仮に何らかの災害によって、生産ができなくなってしまったとしても、その人たちにも、きちんと分配がされることになります。ただし、分業と分配に基づく社会主義経済は、市場の働きを無視する側面があるため、生産システムとして、資源の最適配分の機能に支障をきたすことは言うまでもありません。つまり、「交換の経済」と「分業と分配の経済」には、それぞれに一長一短がある、両者ともに不完全なシステムである、と考えられます。

では、現代資本主義の社会において、これに何らかの改善策はないのでしょうか?

実は、貨幣経済には、こうした市場経済の欠陥を和らげる働きがあります。市場経済は交換経済であり、基本的には生産した財を互いに交換することが求められます。しかし、貨幣経済においては、交換するものが財(モノやサービス)である必要はないのです。つまり、貨幣と交換することを介して経済が成り立つため、仮に財がなくても、貨幣があれば経済が機能することがわかります。これがいわゆる「売り上げ」です。

もちろん、これらの貨幣は、最終的には財と交換されることで、貨幣を仲介した財と財の交換を成立させるのですが、そもそも、貨幣の多くはため込まれて交換に利用されない場合も多いため、こと「交換」に関しては、ゆるい、タイムラグのある働きをしています。つまり、貨幣とは、交換経済において緩衝材のような性質も備えていると考えられるのです。

例えば、先ほどの例で言えば、仮にAさんがまったくお米を生産できなかったとしても、Aさんにおかね50があれば、それをBさんのお魚50と交換することで、Bさんは「損した」気分を味わうことなく、喜んでAさんにお魚50を渡すでしょう。だから経済が機能するのです。もちろん、実際にお米の生産が減っているわけですから、経済全体としての財の総生産は減っています。しかし、おカネさえあれば、災害が多方面に連鎖的に悪影響を与え、経済全体が悪化する事態は避けることができると考えられます。

つまり、Aさんがお金持ちであれば、経済への悪影響は軽減されます。貯蓄や内部留保をため込んでいる場合です。しかし、今の日本では貯蓄のない人も多いでしょう。資本主義社会では、災害保険がそれを補う働きをしています。仮に干ばつでお米が生産できなかった場合でも、Aさんが保険金として貨幣を外部から調達できるなら、影響は軽減されます。

しかし、保険はそれなりに高額ですし、すべての人が、そうした保険に加入するほど貨幣的な収入に余力があるとは限りません。今日のような慢性デフレ不況の状態では、ぎりぎりで、なんとかやりくりしている人も多いでしょう。ですから、自己責任だけで災害による不況を防ぐことは現実的とは思えないのです。そして、貨幣の調達は何も保険金に限る必要はありません。政府から調達することも可能なのです。

にもかかわらず、財務省は、なにかといえば「財源がない」と言ってカネを出し惜しみする。ゆえに、ウィルス騒動によって売り上げが落ち込んだ観光産業の人々の購買力が低下し、消費が落ち込み、それが引き金となって経済全体が連鎖的に不況になる。おそらく、緊縮と財政再建を企む今の官僚大国日本では、それが避けられないのです。実にばかばかしいと思います。

保険に頼ることなく、社会全体としてこうした事態に対応するために、政府が果たすことのできる役割は極めて大きいと考えます。なぜなら、貨幣の調達において、通貨発行権を有する「国家」こそ、最も強力だからです。何のことはありません、政府がおカネを発行すればいいだけです。何も特別なことではありません。今でも毎年のようにおカネは発行されているのですから、その量をすこし増やせばいいだけです。

具体的に言えば、例えば今回の新型肺炎ウィルスによる景気の落ち込みを回避するには、政府が通貨を発行し、観光産業の人々の所得が落ちないよう、あるいは、従業員が解雇されないような支援を行う方法があります。あるいは、政府が国民に旅行クーポンを発行して、中国人観光客の減少を日本人の観光の増加で補い、利用代金の支払いのために政府が通貨を発行する、といった方法もあると思います。

このように、貨幣は、経済を維持活性化するために利用できる手段の一つであり、あたかも貨幣を神聖視して出し惜しみするような真似はやめるべきです。貨幣を神聖視しても、私たちが貨幣の奴隷になるだけです。我々にとって大切なのは、貨幣の価値(貨幣の希少性)ではなく、経済活動そのものであり、財をより多く生産し、人々に行き渡らせることです。そのために、貨幣は利用すべき一つの手段にすぎません。

政府はカネを発行して国民に配りなさい。そんなことすらできないのであれば、経済システムとしての、今日の資本主義には重大な欠陥があると、断言せざるを得ないのです。<了>

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いや、まことにもっともであると首肯したいのです。

ご紹介まで。

 

3月7日(

【オリンピックは無理だろう…】

バンクーバーにご在住の岡本ヒロ氏が、「東京オリンピックは難しいのでないか」という感じの、懐疑的な方向での話をブログ上でしているのです。

私も個人的には同意する訳でありまして、つまりは、仮に日本で新コロ騒動が3月いっぱいくらいで無事に収束しても、世界ではまだまだ全然収束しておらず、5月くらいまで騒ぎは継続するのでないかと思われるからなのです。

そうなりますと、日本では一旦沈静化したにも関わらず、今度はオリンピックで世界中から再び感染者が日本に押し寄せて来るということになる訳でありまして、それはそれで大問題になるでしょうからなのです。

そういうことでありまして、世界中での新コロ感染のピークが4月上旬頃になり、それで収束が5月の上旬くらいになっていないと、こりゃもうタイムアウトになるのでないかと推測されるのです。

しかし、日本はともかく世界全体となりますと、そんなに早くに収束するのかなと。

どうなりますでしょうか、この世界における感染率の上昇は・・・。

とにかく問題は、日本国内でなく世界全体である、ということなのですから。

◆アゴラ◆
新型肺炎と東京オリンピック
(岡本裕明 2020年03月06日)
世の中、総自粛ムードが漂っています。便利だった日常生活がこれだけ制限されると我々はいかに便利な時代に生きているか、実感することになるでしょう。

安倍首相の公立小中高校の3月2日からの一斉休校のお願いに対しては賛否両論、熱く論じられています。個人的には小池百合子都知事が「もっと早く発表してもよかったんじゃない」とコメントしたことに同意しています。

日本(特に役所)は何か起きないと動かない「前例主義」が主導しており、「予防的(Preventive)」という発想はあまりありません。今回の賛否の議論の中でも「うちの県は誰も発症者がいないじゃないか」と食って掛かる知事も見受けられますが、そういうものではないのです。災いはどこからやってくるかわからないのです。もちろん、来ないことに越したことはありませんが、政府とはあらゆるものを天秤にかけた場合、国民の安全が第一だというスタンスであります。〇〇県は発症者が多いからここだけ重点的に行おうでは江戸時代の関所があるわけではないので今の時代、コントロールが不可能なのです。

今回の施策の背景には先日申し上げたように東京オリンピックの開催が頭にあると思います。そして開催国の日本がまずはこの問題をきれいにすることが当然の義務という強い姿勢から日本にしては珍しく「予防的対策」を取ったのであります。国会のバトルを聞いていると野党の質問者は本気で質問しているのか、精神状態を疑いたくなる人もいます。

わかりやすく言えば「津波が来そうです、皆さん避難してください」と政府が言っているのに「俺んところは大丈夫なはずなのになんで避難しなきゃいけないんだ」と食って掛かるようなものです。政府は国民の命が第一なのを野党はお忘れになったのでしょうか?野党が政権を取ったら国民は生きていける自信がありますか?

ところでその東京オリンピックですが、私は思った以上に懐疑的になりつつあります。なぜか、といえばオリンピックは世界中の人が集まるという意味で世界の新型肺炎が収まっていることが前提になるからです。日本ではなく世界であります。

オリンピック参加国には中国、韓国、イラン、イタリアのみならず北朝鮮もやってきます。北朝鮮についてはどうやら事実を隠していたことがばれ始めているようで一定数の死亡者がいるようでそこから逆算すると感染者は4ケタ台にあると推定できます。あの国がどのような対策を施しているのか全く分からないのでコメントしようがないのですが、一部の国家については数に表れるのは「氷山の一角」である可能性は否定できません。

今、その新型肺炎問題は北米でも一周遅れで大きな話題になりつつあります。本日は感染者がいる大型クルーズ船が寄港するカリフォルニア州で緊急事態宣言をしたほか、カナダの報道も日増しに肺炎関連のニュースが増えてきており、株式市場も大きく揺れ動いています。

相当数の選手団、観客が一堂に会するオリンピック、そのうち、屋内競技も多数ある中で本当に開催できるのか、といえば3月に入ってしまった今、世界でこれ以上拡大しないことを祈るしかないと思っています。

何かあった時の防疫対応はオリンピック期間中、ぎゅう詰めになるので対応がしにくくなるでしょう。船上ホテルもいまや誰も使いたくないと思います。ただ、予定通り開催しても、状況次第ではキャンセル続出になる気もしています。防疫やいざという時の対応という危機管理がしっかり準備しているのか、政府やオリンピック担当相にも聞いてみたいものです。

SARSの終息宣言は7月でした。今回は終息宣言を待っていては間に合いません。遅くても来月に世界レベルで終息と言えるような状態になることがキーではないかと思います。その間、日本はあらゆるケースシナリオについて対応できるだけの準備ができるか、ここにかかっています。教科書はどこにもありません。IOCもお手上げでしょう。

その中で開催を強行するならば完璧な準備を施せるかが開催国の手腕の見せ所であります。このような危機管理マニュアルは役人では作れないかもしれません。頭を下げてでも民間企業の専門家に手伝ってもらい、準備すべきではないでしょうか?

まさにフィンガークロス(うまくいきますように)だと思っています。

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いや、岡本氏ではないですが、こうなるともう祈るばかりです・・・。

本当に早く収束してくれないと、えらいことになるのですから・・・。

ご紹介まで。

 

3月6日(金)(2)

【メルケルの負の遺産…】

ドイツ在住の異色のジャーナリスト、川口マーン惠美女史の一文(現代ビジネス誌への寄稿文)が、EUの抱える闇を鋭く衝いて読み応えのあるものでしたのでご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
新型コロナ騒動のウラで、EUを蝕み続ける「メルケルの負の遺産」
~難民はEU崩壊をもたらす時限爆弾か~
(川口 マーン 惠美 2020.3.6)
■「学校休校」を非難すべきではない
本日はテーマが2つある。まずは新型コロナウイルス。

政府が、全国の学校を休校にするよう要請した途端、「いきなり何だ!」「子供を抱えている勤労者のことを考えろ!」と怒りの声が巻き起こった。これまで、政府の対策が「後手、後手」であると非難していた人たちは、いったい何を求めているのか?

この調子では、もし、政府が春節のときに早々と中国からの渡航者を制限していたとしても、「大げさな措置だ」、「国民の間に不安を撒き散らす」、「観光産業のマイナスを保証しろ」と、やはり非難の声が上がっていたのではないか。

伝染病でもテロでも、防御のための対策が成功すれば、結果として何も起こらない。何も起こらなかったということが、最大の効果だ。それを後になって、「何も起こらなかったのに大げさなことをした」と言えば、論理は破綻する。

最初の段階で中国からの渡航者を制限しなかったことは確かに「後手」で、その責任は大きいが、それを責めるならなおさら、今回の「先手」は受け入れるのが筋ではないか。先手でも後手でも政府を責めるというのはルール違反だ。

[…略…]

■「中東難民」でパンク寸前のトルコ
さて、もう一つのテーマは難民問題。世界がコロナウイルスで緊張している今、トルコとギリシャの国境が大変なことになっている。

2月末日、360万人もの中東難民を庇護しているトルコが、ギリシャとの国境を開くと宣言した。

トルコとギリシャの国境は、100km以上にわたり川が流れている。以来、難民はその川を超えてギリシャ側に押し寄せ、どうにかしてEUへ入ろうとしているが、ギリシャが設けている国境の塀に阻まれて進入できずにいる。なお、トルコ側にはすでに一万人以上の難民が押し寄せ、渡河の機を伺っているという。

メルケル首相が国境を開き、100万人近い難民がドイツに流れ込んだのは2015年の9月のことだった。しかし、これが瞬く間にドイツだけでなく、EU全体を混乱に陥れたため、慌てたメルケル首相は2016年3月、トルコとディールを結んだ。

その内容は、EUがトルコに60億ユーロを支払う代わりに、トルコは中東難民を国内に留めておくというもの。場当たり的で、しかもお金に任せて「臭いものに蓋」という印象が残るディールだった。

それから4年、トルコは約束を守り、トルコ経由の難民は減ったが、リビアから乗り出すアフリカ難民が劇的に増え、今もギリシャやイタリアを苦しめている。

なお、当時のトルコとのディールには、EU各国が手分けして、トルコから一定の数の難民を引き取るということも盛り込まれていたが、「そんな話はメルケルが勝手に決めたものだ」と引き取りを拒否した国が多かった。よってエルドアン大統領は、EUの取り決め不履行を前々より非難していた。

しかし、その後もEUは大きな亀裂を抱えたまま、難民問題の解決策を見出すことなく、時が過ぎた。問題のきっかけを作ったともいえるメルケル首相は、他人事のように「2015年の出来事が繰り返されてはならない」といい、結局EUも、極度に困窮するギリシャを放置した。

ところが現在、シリアでの戦闘の激化で、新たにシリアからトルコへと膨大な数の難民が移動し始めている。しかも、この4年の間、トルコが庇護している中東難民の数は100万人以上も増えている。そのトルコが、これ以上は面倒見切れないというのは、おそらく嘘ではないだろう。

■EUはもう難民を入れたくない
エルドアン大統領は、3月2日夜、メルケルと電話会談をし、「難民負担、および、難民に対する責任の公平な分担」を要求したという。しかし、その後のメルケル首相のコメントは、「トルコが一方的に国境を開けるのは承諾できない」、「エルドアン大統領は、難民を材料に政治的圧力をかけている」。

ちなみに、メルケルと意見を一にする緑の党も、経済制裁でも何でもしてエルドアンを締め上げ、難民を苦しめるのをやめさせるべきだと主張している。しかし、難民が苦しんでいるのはエルドアンだけのせいなのか?

3月3日、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長、欧州理事会議長のミシェル氏ら、EUの大御所が急遽、トルコとギリシャの国境に飛んだ。EUはギリシャに対して、即刻3.5億ユーロを融資。その他、国境防衛のための人員、ボート、ヘリコプターなども提供するという。「これはギリシャだけでなく、EUの国境でもあるから」だそうだ。

つまり、現在、催涙弾や放水車まで使って必死で国境の防衛を図っているギリシャを、EUは全面的に応援する方針だ。今まで放っておいたくせに、突然、「ありがとう、ギリシャ!」だというから、何とも白々しい。

一方、フォン・デア・ライエン委員長はトルコにも気を使い、「トルコは敵ではない」と懸命にアピールしている。一刻も早く国境を閉じてもらわなければ、事態は紛糾するばかりだから、機嫌を損ねるわけにはいかない。

しかも、トルコはNATOの一員でもあるから、ロシアとシリアによるトルコ攻撃が激化した場合、NATOはトルコに対する集団的自衛権を発動しなければならなくなる可能性さえある。つまりトルコは、EUにとってもNATOにとっても微妙な存在なのである。

翌4日には、EU全27ヵ国の内務大臣がブリュッセルの本部で緊急会議を持った。そこで確認されたことは、EUは難民をギリシャに入れない。入りそうになったら追い返す。

本来なら、EUは入ってきた難民の難民申請を受け、審査をしなければならないという決まりだが、ギリシャは現在、それも停止している。

なお、すでにギリシャに入った難民については、ケータイやお金を没収し、即刻トルコへ戻しているというが、そういう現在の強権的なギリシャ警察の措置についても、異議を挟む国は一国もなかったという。しかし、どういう理由で、シリア難民のすべてをトルコが引き受けなければならないのかの説明はなされないままだ。

■メルケル首相は沈黙したまま
数年前、国境防衛を謳ったトランプ大統領、ハンガリーのオルバン首相、あるいは、オーストリアのクルツ首相を、EUは、非人道的であるとして強く非難した。しかし、現在、行われている催涙弾の発射、寒い中での放水、無人地帯での放置は、塀を作るよりももっと残酷だ。

ドイツを含む一部の政治家が、未成年者と病人だけでも受け入れようと言い出しているが、EUの矛盾は覆い隠せない。おそらくそこから目をそらさせるためだろう、現在、EUの内相たちの間では、「トルコの圧力に負けてはいけない」という理屈が振り回されている。

また、かつて難民の無制限受け入れを頑と主張し、その「人道的行為」を世界に誇ったメルケル首相も沈黙したままだ。

実は、メルケルの迷走難民政策を批判する意見は多くあったが、これまで議論はなぜか抑えられてきた。しかし、16年という長期政権の最終段階に入った今、ようやくその責任について考察する空気が整ってきたような気がする。

今も、吹きさらしの無人地帯で、着の身着のままの難民が震えている。そして、それを中継している多くのジャーナリストたち。

EUはまもなく、彼らをただ追い返しているだけでは済まなくなるだろう。無言の圧力はどんどん高まっており、早急に何らかの対応をしなくては、さらに大きな悲劇が起こる。人道的措置を求める声も急速に高まりつつある。

難民はまさに、ほころびかけたEUが抱える時限爆弾のようになってきた。<了>

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「人道的支援、救済」という美名の下に難民を受け入れ、そして今、受け入れた難民による厄介な問題に頭を抱えて「もうこれ以上は受け入れない」と決意したメルケルEUと、そんなメルケルと取引し、そして裏切られて困惑しているトルコの妖怪エルドアンと・・・。

いずれにしても時限爆弾はいつか爆発するしかないのです。

いずれにしても耐用年数の切れたモノは壊れるしかないのです。

EUは、どこかの段階で大きく変質せざるを得なくなるのでしょう。

「世界連邦政府」という夢に向かって、その一歩となるEU作り上げ、その美しき理念に酔ったヨーロッパも、厳し過ぎる現実にはどうすることもできなくなっているようです。

トルコに滞留する膨大な数のイスラム系難民が、EUを破壊する時限爆弾になっているという指摘はおそらく間違いないのでしょう。

はて、そのEU、今年になってイギリスが離脱し、そしてイスラム系難民がそれぞれの国で問題を起こし、さらにトルコ、ギリシャに予備軍が押し寄せているという現実が・・・。

そして今、新たに新型コロナウイルス問題が勃発しさらなる混迷の度を深めるという。

時限爆弾のタイムリミットはもうすぐそこに迫っているのでないのかと・・・。

ご紹介まで。

 

3月6日(金)(1)

【残念力の人、だそうで…】

双日の吉崎達彦氏が、アメリカ大統領選挙についての読み応えのあるレポートをブログに書いてくれておりますので、ご紹介したいと。

◆溜池通信◆
Diary 「ブルームバーグ撤退」New!!
<3月4日>(水)
〇スーパーチューズデー、終わってみればバイデンの大逆襲。当欄の昨年12月8日分で、「バイデンはもしかしたら強い候補なのかもしれない」説(前嶋和弘教授)をご紹介しましたが、いや、ホントにそうだったのかも。2月29日のサウスカロライナ州予備選挙からほんの3日間、ブティジェッジ、クロブシャー、そんな人がいたことさえ忘れていたオルークの支持まで取り付けて、大逆襲とあいなりました。

〇それにしても、まさかテキサスで勝っちゃうとはねえ。さらにノースカロライナ、バージニア、マサチューセッツと大きいところで1位になり、テネシー、アラバマ、オクラホマ、アーカンソーで勝利。いや、恐れ入りました。かつて1992年のクリントンがスーパーチューズデーで復活し、「カムバックキッド」(復活野郎)の異名をとった顰に倣うと、これは「カムバック・グランパ」(復活お爺ちゃん)ですかね。

〇サンダースは最も大きなカリフォルニア州を抑え、コロラド州、ユタ州、そして地元のバーモント州で勝利しました。この3日間に行われた中道派のマジックは、「バーニー・ブラザーズ」から見たら「エスタブリッシュメントの奴らめ、なんてズルいことしやがるんだ!」と映っていることでしょう。だから今日の戦いは、「帝国の逆襲」ならぬ「エスタブリッシュメントの逆襲」というタイトルをつけてもいいでしょう。

〇5億ドルという巨額の選挙資金を投入したブルームバーグ氏は、ふたを開けてみたら2位にさえなれない体たらく。唯一、ここだけは勝てたのが米領サモアの党員集会、となったら悲しくなります。でも、彼は最初から「ブローカード・コンベンション」が狙いなので、こんなところで気持ちが折れることはないでしょう。まあ、「撒き餌」みたいなものです。党大会が近づいて、他の候補者が資金を使い果たしたときに勝機が出てくるという人ですから。

[…略…]

〇ということで、3月3日の「決戦の火曜日」はバイデン大復活となりました。しかるに代議員数の現状はここをご参照あれ。バイデンが453でサンダースは382でその差は思ったほどではありませぬ。この調子でいくと、代議員数の過半数、マジックナンバーたる1991に届くのはいつのことになるのやら。そうなると結局は党大会勝負となり、悪名高き「スーパーデリゲート」たち771人の出番となる。これは民主党としては望ましくない展開です。

〇だから共和党みたいに「ウィナー・テイク・オール」方式にすれば早く決まるのに。いつまでこの「比例配分方式、ただし15%未満は足切り」ルールにこだわるんですかねえ。おそらく2008年のヒラリー対オバマの時のような消耗戦になりますぞ。まあ、こっちはその分、長く楽しめていいんですけれども。

〇ところで今日の結果に対し、トランプさんが物議をかもしそうなツィートをしています。

「民主党エスタブリッシュメントが結託して、バーニー・サンダースを粉砕しやがった。しかも2度目だ。エリザベス・ウォーレンが諦めていないことがバーニーの痛手になって、スリーピー・ジョーが予想外にマサチューセッツで勝っている。まったくひどい偶然だ。まだいっぱい州が残っているからな、ジョー」

〇トランプさんがバーニーに肩入れするのは、これはまあ人情というものでしょう。そのほうが戦いやすいから。やっぱり一番やりにくい相手はバイデンなのでしょう。一方で、民主党で内紛が起こればメシが旨い、てなことも考えているらしい。まったく煮ても焼いても食えません。

<3月5日>(木)
〇一夜明けたら、ブルームバーグが選挙戦から撤退であるとのこと。すごいですね、スーパーチューズデーのたった1日のために、見切り千両ならぬ見切り5億ドル。とにかくトランプを倒すことが大事なので、バイデンが皆を代表してその役割を果たしてくれるのなら、自分はもう用がないとの割り切りなのでしょう。いやー、もったいない。使ったお金の千分の1でいいから俺にくれ、と思う人は少なくないでしょう。

〇一方でこの5億ドルが何に使われたかというと、ほとんどは地上波のCM料である。それがいかに効果がないものであるかが、今回、明らかになってしまった。はっきり言って、地上波は斜陽産業である。世論に対する影響力も低下しているのであろう。あんなものに広告費を払うのは、今時遅れてるよね、ということを身をもって示してくれた。各州のテレビ局にとっては、干天の慈雨であったかもしれませんが。

〇逆にバイデン候補77歳は、一度も足を踏み入れなかった南部諸州でも1位になっている。現物のバイデンを見てしまうと、「あー、やっぱり老けたなあ」とか、「昔はもっと早口で活舌が良かったものだが・・・」などと思われてしまうので、なるべくご当人が姿を現さないほうがいいのかもしれない。演説はさせない、討論会も出ない。本人を隠して選挙に勝つ。さすがは「残念力」の人。そういう新戦術もありかもしれません。

〇バイデンにそれほどまでに期待が集まったのは、「トランプに勝てそうな候補者だから」。ただしそれはケインズの言う美人投票のようなもので、「たぶん皆がそう思うだろうから」という計算の上に成り立っている。実際に戦ってみないと、本当のところはわからない。まだまだ山あり谷あり。そうでないと、アメリカ大統領選挙らしくありません。

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いやいや、どうもバイデン氏が最終的には勝ちそうな気配です。

そして本選ではトランプ氏との決戦になりそうですが・・・。

私はもう個人的にはバイデン氏を応援したいのです。

日本の国益という観点からはトランプ氏に勝ってもらった方がいいのでしょうが、世界の「世界益」という観点からするとトランプ氏ではダメだろうと。

はてさて、これからもドラマは続くという。

ご紹介まで。

 

3月2日(月)

【中国で日本の「新型コロナ全国一斉休校」が絶賛とか】

日本では安倍首相の「一斉休校要請」が賛否両論的な受け止め方をされているのですが、どうやらこれが中国人から「絶賛!」されているとかで、以下にご紹介したいと。

◆DIAMONDonline◆
中国で日本の「新型コロナ全国一斉休校」が絶賛されている理由
(王 青:日中福祉プランニング代表 2020.2.29) 
 安倍晋三首相が2月27日の夕方に表明した全国の学校に対する臨時休校の要請は、あまりに突然であり、多くの人々に衝撃を与えた。このニュースはほぼ同時に中国でも報道されたが、ネットやSNS上のコメントを見ると、ほぼ100%と言っていいほど賛同と理解を示す意見で占められている。なぜ、中国人はこれほどの理解を示すのか。その理由や背景について解説する。(日中福祉プランニング代表 王 青)

■中国でもほぼ同時に報道された日本の休校要請のニュース
 2月27日の夕方、安倍晋三首相は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、3月2日の月曜日から全国の小学校・中学校・高校・特別支援学校を臨時休校にするよう要請した。

 このニュースが日本で流れるとほぼ同時に中国の各主要メディアは一斉に報じ、SNSなどで拡散された。そして1時間もたたないうちに、SNSやネットメディアのコメント欄はたちまち数多くの発言であふれた。

「英断だ!安倍首相がやっと決断できたね!」

「3月2日から?どうしてすぐ明日からでないの?」

「日本もわが国のまねをしたねー。これは正しい判断だ!」

「もっと早く踏み込んでもよかったが、今からでも遅くない!」

「この判断は、ウイルスの感染拡大を食い止めるには、まるで恵みの雨だ!」

「これこそ、責任を負う決断だ!」

「早くそうしないと、東京オリンピックは本当に泡と消えるぞ」

「もし、学校が続く中で集団感染や家族への感染となったら、政府のせいにされ、それこそ安倍首相が辞任に追い詰められるだろう」

 などなど。

■中国のインターネットでは休校に賛成する意見がほぼ100%
 これらのコメントをざっと眺めて、多くの日本人は驚くに違いない。

 発言は、ほぼ100%と言っていいほど賛同と理解を示す意見で占められているからだ。反対する意見や批判の声はほとんど見られない。

 日本では、このニュースについては賛否両論。むしろ「場当たり的だ」「病院の看護師が子どもの面倒をみるために休み、結果的に医療崩壊を招く」「共働きの家庭に大きな負荷がかかり、社会を崩壊させる」「政権維持を優先した政治判断」などといった非難の声が目立っている印象がある。

 そうした声を見越したかのように中国のSNSでは、

「良い決断だが、日本のマスコミはまた政府を批判し、大騒ぎになるだろう…。日本政府は所詮、どんな政策を下しても、結局たたかれるから…」

 などのような発言さえあった。

 一時期の険悪な日中関係からは、とても想像できない発言ばかりである。本来、安倍首相は保守的であり、中国に対しても厳しい立場を取る人物だ。それなのに、コメントだけ読めば、どちらが安倍政権の肩を持つ日本人なのか、わからない印象さえある。

 今の中国では、日本の新型肺炎のニュースに対して非常に関心が高い。しかし、今回のニュースは従来以上に中国で報道されるスピードやSNSでの拡散が早く、コメントの数も多い。いかにこのニュースに関心を持つ中国人が多いかを示す証しであろう。

■大勢の中国人が休校措置を称賛する2つの理由
 なぜ、中国の人々は日本の学校休校のニュースに大きな反応をし、称賛と理解を示す声が多いのか。その理由は2つある。

 まず、中国では長年の一人っ子政策の影響で一人っ子がほとんどである。子どもはその家の「すべて」であり、どんなことがあっても子どもを最優先に考える傾向がある。ゆえに「子どもを守るため」という安倍首相のとてもシンプルな主張に、多くの中国の親たちが理解を示したのだ。

 実際、日本をよく知る中国人からは下記のようなコメントがある。

「学校は学生で密集する場所であるため、1人でも感染したらすぐ集団感染になるだろう。そして、中国と違って、日本の学生は電車での通学が多いため、学校と公共交通機関でダブルリスクを負う。そう考えると、自宅にいたほう間違いなく安全安心だ」

 また、中国の自称「教育ママ」という女性は、下記のようなコメントを寄せている。

「これまで子どもの勉強ばかり気にしてきたが、考え方が少し変わった。今回の新型ウイルスで、多くの人が突然命を失った。勉強よりもっと大事なことがたくさんある、子どもの健康と健全な人格が最も重要だ。だから、今は時間がある中で、普通ではなかなかできなかったことだが、読書やコミュニケーションなど、子どもとゆっくり対面ができてよかったと思っている」

 2つ目は、今回の新型肺炎では、中国の人々は日本に対して「特別な思い」を抱いているからだ。

 これまでの日本からの支援や応援に対し、多くの中国人はとても感動し、感謝してきた。また、自分たちの国が新型肺炎の震源地であり、多くの中国人が日本でマスクを買い占めたり、多くの日本人が中国に寄付したりした。その結果、現在、日本がマスク不足になっている状況に「とても申し訳ない」という気持ちを持っている。

 それに加え、中国人から見ると、日本の「インフルエンザと同じ対応」を取っているような「緩い対策」には、首をかしげたくなるようなケースが少なくなかった。

 例えば、人々が密集するお祭りやマラソン大会を開催したり、ダイヤモンド・プリンセスから下船した人を隔離観察なしで公共交通機関を使って自宅に帰らせた…などのニュースは、多くの中国人にとっては感染を広げるような、とても信じられない光景である。

 そうした様子を、多くの中国人はとても歯がゆく思っていたのだ。だからこそ、今回の「臨時休校のニュース」は「よくやった!」と思うのである。

 実際、SNSなどには、

「ぜひ我々の経験や失敗を生かしてほしい」

「武漢の二の舞を演じないでほしい」

 など、多数の応援の声が寄せられている。

■学校休校が大変という気持ちも中国人には痛切にわかる
 日本は民主国家であり、中国のように一斉に強制することができないことは、中国の人々も理解している。とはいえ、今回のウイルスはこれまでと違って、わからないところがあまり多いため、「軽視してはいけない」というのが本音である。

 もっとも、今回の安倍首相による休校の要請に対し、非難する人々の気持ちも多くの中国人は痛切にわかっている。

 そもそも中国の家庭は、ほぼすべてが共働きだからだ。そこへ来て今回の休校措置は、共働きの家庭にとっては困惑しきりの話だ。途方にくれる人も多いだろう。

 中国では、現在も多くの親が「外出禁止」と「在宅勤務」を実行中であり、「仕事と子守り」を両立しようと奮闘中である。

 筆者の知人である上海にいる女性は、4歳の息子と一緒で、自宅は「オフィス兼保育園」に様変わりしている。

 彼女は「自宅勤務は通勤しなくていいので楽そうだけど、実際には会社にいるときよりもはるかに大変で疲れている」と愚痴をこぼしている。

 なぜなら、パソコンで絶え間なく、取引先や同僚とやりとりを行い、社内のインターネット会議などにも参加し、ほぼ「24時間勤務」と同様の状態だからだ。その上、ずっと子どもの面倒も見なければならない。外食もできないので、1日3食の食事も作る。

 それでも、「国のこの措置を理解している。感染を阻止するにはこれしかないだろう。今はまさに我慢の時期だ」と話す。

 また、別の友人は、医療従事者のため自宅勤務ができないが、今は夫婦の親の協力を得て、交代で子どもの面倒を見てもらっている。

■中国では感染のピークは過ぎている
 中国では1月中旬から感染がどんどん拡大した中で、1月23日から武漢を閉鎖。その後、全国一斉に公共施設の閉鎖を実施したのに続き、「外出禁止」や「14日間隔離」「マスク着用」「在宅勤務」「学校の冬休み延長」など、一連の強制策で厳格な措置を始めた。

 中国の人々は「自宅軟禁状態」という不自由な生活を長らく強いられてきた。しかし、これらの対策が奏功したのか、今になって武漢以外の地域では感染者ゼロになり、武漢も治癒し退院する患者数が増えてきた。やっとピークを過ぎて「落ち着いてきた状況」となってきたのだ。

<以下略>

*********************

いやいや、そうですか・・・、と。

いずれにしても、感染のピークが後ろにずれて、しかも爆発的な感染拡大が防げるのなら、それもまた結果として「良い決断」となるのでしょうか。

私個人の見解としましては、「そこまでする必要はないのでないか…」という若干否定的な見方なのですが、はてさて、結果オーライとなるのならそれでもいいのかと・・・。

ご紹介まで。

 

2月29日(

【今週の”The Economist”誌から】
双日の吉崎達彦氏のブログ(溜池通信)に、今週号の”The Economist”誌の日本経済関係記事の抄訳が掲載されていまして、とても参考になる見解でしたので、ご紹介したいと。

(吉崎さん、グッジョブです、有り難うございます)

◆溜池通信◆
Report 「新型コロナウイルスへの個人的見解」New!!

<今週の”The Economist”誌から>
” Typhoon, pestilence and tax” Asia
「台風、疾病、増税」 February 20th, 2019
*今週号の The Economist 誌は、コロナウイルスが理由で到着が遅れています。以下はネットで見た分ですが、とのこと。まことに同感です。

<抄訳>
 今年で 7 年目になるアベノミクスに効果があったか、今も経済学者は論じている。ただし 2 つの教訓だけは議論の余地がない。①日本の債券市場は、巨大な政府負債にもかかわらず従順であること。②日本の家計部門は消費税に極度に敏感であること。昨年 10 月 1 日に政府が税率を 8%から 10%に上げたところ、第 4 四半期の GDP は年率 6.3%も低下した。
 増税は喫緊の課題ではなかった。対 GDP 比 240%の負債があっても、借り入れコストは安く、10 年物国債の金利はほぼゼロに留まっている。そのために日銀は国債を大量に買い入れているが、これも民間支出があまりに弱く、インフレ率が 0.8%と 2%の目標に遠く届かないからだ。ゆえに消費増税は二重に不思議なのである。政府が国債を減らすから、企業はますます物が売れなくなる。まるで浸水する船に重石を加えているようだ。
 2014 年の増税も同様な景気収縮を招き、リフレ効果を損なっている。同じ失敗を避けるために、政府は食料や新聞などに軽減税率を導入した。同時に保育費無償化やキャッシュレス・ポイント還元も行っている。その効果もあり、非耐久財消費の減少は 2014 年より小さくて済んだ。しかるにもう一つの要因で事態は悪化した。昨年 10 月のハギビス(台風 19号)である。その結果、民間企業投資支出は 6 年前の増税時以上に縮小したのである。
 景気の先行きは、さらに新型肺炎に脅かされている。既に 1 人が死に、73 人が感染している(除くクルーズ船)。中国の工場閉鎖に伴うサプライチェーン問題もある。7 月に東京五輪には景気も好転するとの見込みもあるが、3/1 の東京マラソンは規模縮小となった。
 財政と気象とウイルスの三重苦にどう対応すればよいのか。政府は災害対策を中心に、1200 億ドル規模の景気刺激策を宣言している。だが支出までには 1 年以上かかる。他方、日銀は手詰まりのように見える。インフレはなおも目標に届かず、緩和を止めることができないでいる。しかるに銀行の日銀口座に、段階的にマイナス金利を課すというシステムは、預金者にも銀行にも保険会社にも評判が悪い。これ以上、下げることは生産的でないだけでなく、既に苦労している金融機関に対して打撃を与えるだろう。
英コンサルタント会社による提言は、日銀は預金に対してより高いプラス金利を払い、銀行の収益性を向上させる、しかし残余の分は利下げをして、借り入れを刺激する。段階システムを強化することにより、スイス中央銀行は 0.75%の利下げに成功したという。
皮肉にも日本の三重苦、増税と台風とウイルスはいずれも物価には上昇圧力になる。このことはデフレ回帰を妨げるだろう。まさかスタグフレーションにはならないだろうが。<了>

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ご紹介まで。

 

2月28日(金)

【ドゴール将軍に学ぶ】

現代ビジネス誌にとても興味深い一文が掲載されていましたので、ご紹介したいと。
国際政治アナリストの伊藤貫氏(アメリカ在住)の著作からの再編集の一文ですが、「独立不羈」の気概を持ち続けたフランスの英雄、ドゴール将軍を紹介してくれているのです。

アメリカの「隷属国」となり果てている今の日本を、ドゴール将軍ならどのような目で眺めていることやらと・・・。

◆現代ビジネス◆
米中大戦争時代に日本が“隷属国”であり続ける「厳しすぎる現実」
~多極構造の世界を生き抜くために~
(伊藤貫 国際政治アナリスト 2020.02.20)
冷戦後のアメリカ政府の一極覇権戦略は破綻した。日本周囲の三独裁国(中国・ロシア・北朝鮮)は核ミサイルを増産し、インド、イラン、サウジアラビア、トルコが勢力を拡大している。ワシントンで長年、米・中の覇権外交の現実を観察した戦略家の伊藤貫さんは、「米・中30年戦争が始まった。自助努力を怠る日本は、隷属国となる」と警鐘を鳴らす。
日本が多極構造の世界を生き抜くために、「リアリズム外交」の思考パターンが有効である。リアリズム外交のエッセンスと現在の日本外交の苦境を理解するのに最も役に立つのは、ドゴールの外交思想と国家哲学だ。ドゴールは、どんな人物だろうか?

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■敗戦のトラウマ
本稿で採り上げる人物は、三回の敗戦によって自信喪失状態であったフランス国民に、「独立国フランスのアイデンティティを忘れるな!」と叱咤激励したシャルル・ドゴール将軍である。

フランスにとって1870年の普仏戦争、第一次大戦、第二次大戦は、すべて実質的な敗戦であった。二回の世界大戦において英米の参戦がなければ、フランスは隣国ドイツに叩きのめされていたからである。

この「三回連続の実質的な大敗」という屈辱は、フランス国民のアイデンティティの深いtrauma(精神的な後遺症)となった。統治者としてのドゴールが最も苦労したのは、このtraumaから生じたフランス国民のdefeatist(敗北主義者的)心理の治癒であった。

日本の護憲左翼、親米(拝米)保守、国粋保守も、1945年の敗戦traumaから未だに抜け出せない状態である。

筆者が『歴史に残る外交三賢人』を執筆した動機も、「日本人はビスマルク、タレーラン、ドゴールという三賢人の外交思想を理解して、1945年の敗戦traumaから抜け出してほしい」と願ったからである。

敗戦後の日本の外交論壇に存在してきた護憲左翼・親米(拝米)保守・国粋保守という三つの言論グループの外交思考は、真のリアリズム外交とは無縁のものであった。

本書をお読みいただければ、「明治維新以降の日本国内の外交議論は、リアリズム外交(バランス・オブ・パワー外交)の思考パターンから外れたものだった」ということが御理解いただけるはずである。

■ドゴールの生い立ちと性格
深い思考力・洞察力と大胆な企画力・行動力を兼備したシャルル・ドゴールは、とても魅力のある人物であった。彼は単に勇敢な軍人であっただけでなく、自分自身でフランスの歴史や国際政治のシナリオを構想する能力を持つ思想家であった。

そして彼は、自分の創作したシナリオを実際の国際政治において実現してみせる能力を持つ「行動する預言者」だったのである。

しかもドゴールは、文人・批評家・政治思想家としても傑出していた。

筆者は、ドゴールの思考力・洞察力の深さは、「リシュリュー、モンテスキュー、シャトーブリアン、トクヴィルのようなフランスの歴史に残る英才に匹敵するものだ」と感じている。

そのような深い思想家であり知性人であったドゴールが、ナチスに占領され踏みにじられて「究極の屈辱」を味わっていたフランスに、突然「poeticな救国の軍人」として登場したという歴史のドラマがとても面白いのである。

【*ドゴールのことを「poeticな軍人」と呼んだのは、彼の姉である。ドゴールには、機械化されて殺伐とした20世紀の陰惨な戦場よりも、12~14世紀的な「中世の騎士道物語」に登場したほうがふさわしいような、何となく滑稽で時代錯誤的な魅力がある。
ドゴールが存命中、ドゴールと激しく対立していた故ミッテラン仏大統領(社会党)は、「ドゴールは過去1600年のフランス史において、シャルルマーニュ大帝に次ぐ偉大なフランスの統治者であったと思う」と語っていた。ミッテランのように常に”ドゴールの宿敵”であった左派の政治家ですら、ドゴールの偉大さを認めざるを得なかったのである。】

ドゴールが哲学的な視野と古典的教養を備えた「poetic な軍人」となった最大の理由は、彼の恵まれた家庭環境にあった。

彼の先祖は、13世紀のフランス北部において騎士階級となった武闘派の下級貴族であった。しかしドゴール家は17世紀(太陽王ルイ14世の時代)になるとパリに移住して、フランス政府の文官(法服貴族)となった。

そしてフランス革命によって財産を没収され、政府の公職から追放されたドゴール家は、19世紀末になると、誇り高き貧乏貴族として学者や文人を輩出する知識人家庭となっていた(ドゴールが生まれたのは1890年である)。

ドゴールの祖父は歴史学者、祖母は大量の著作を遺した小説家であり、二人の叔父は英文学者(詩人)と生物学者、父親はパリの名門リセの校長を務めた哲学者・古典学者・文学者であった。

経済的にはミドルクラスであるが精神的・文化的にはリッチな上層階級に所属していたドゴールは、幼少の頃から、ギリシャ・ラテン・英仏独の5ヵ国語で、史書や古典劇や叙事詩を朗読し暗誦する教育を受けて育った。

過去2400年間の西欧文明の最も良質な知的・文化的な遺産を、ドゴールは連日、自宅のディナー・テーブルにおいて両親や親戚の会話から自然に吸収することができる家庭環境で育ったのである。

記憶力が抜群であったドゴールは、70歳を過ぎてもラテン語やドイツ語の古典文学を原文で引用して周囲を驚かせていた。

彼のこのような知性と教養は、厳格で熱心でしかも温厚な教育者であった父親から彼が相続した「目に見えない(invisibleかつintangible)文化的遺産」であった。

【*ドゴールの父親の教え子の多くが、フランスの著名な学者、思想家、法律家、軍人となっている。ドゴールの父親は真に卓越した教育者であった。】

[…略…]

ドゴールは回想録において、「私はフランスが、世界に対して毅然として直立することができる国家であることを示したかった」と述べている。

第二次世界大戦中、彼はチャーチルに対して、「フランスはあまりにも貧しくなった。だからこそ我々は卑屈な態度を取ることが出来ないのだ。……私の権力は限られており、しかも私は孤立している。そうであるからこそ私はより高い見地に昇り、そこから下降することを拒否するのだ」と語っていた。

「フランスが貧しいからこそ、卑屈になることを拒否する」、「無力であるからこそ、高い見地を維持する」というのが、ゴーリズム(ドゴールの政治思想)のエッセンスであった。

英政府のチャーチルとマクミランは、この「痩せ我慢に満ちたドゴールの傲慢な態度」を理解したが、フランクリン・ルーズベルトと米国務省官僚にとって、「無力なドゴールの滑稽な傲慢さ」は蔑視と嘲笑の的でしかなかった。

F・ルーズベルトの祖父は、中国を相手とする阿片貿易によって巨富を築いた成金の麻薬商人であった。無教養で冷酷で打算的なルーズベルトは、気位が高くて教養豊かな古典主義者であるドゴールを、強烈に嫌っていた。

功利的なマテリアリスト(物質主義者・拝金主義者)にすぎないルーズベルトや米国務省の官僚にとって、ドゴールの深い知性と文化的プライド、中世騎士道なasceticism は、「気取り屋のフランス人が振り回す、何の役にも立たない空虚なポーズ」にすぎなかったのである。

この第二次大戦中のドゴールとアメリカの対立は、ドゴールが死去するまで続いた。これは、過去2000年間のヨーロッパの知性と文化の維持を重視する古典的な教養人ドゴールと、洗練された西欧文化に無関心であり、実利主義的な態度で目先の利益を追求するアメリカ人との対立であった。この対立は本質的に「文明の衝突」であり、20世紀の後半期になっても解決されない深淵な人間観・世界観の対立であった。

【*ちなみに敗戦後の日本の親米保守と護憲左翼は、「我々は貧しいから、マテリアリスティックなアメリカ文明の真似をする」、「日本は無力だから、アメリカ帝国の保護にしがみついて生き延びる」という国策を選択してきた。日本の自民党・財務省・外務省・自衛隊、そして左翼と保守の言論人たちは、ゴーリズムとは正反対の生き方を選んだのである。】

■「救国の英雄」に大変身
ドゴールは「傲岸で謙虚」、「詩人的でリアリスト的」な人物であった。

彼は15歳の頃から、「自分はいずれ、祖国フランスの救国者となる運命にあるのだ」という過剰な自負心と使命感を抱くようになり、そのために着々と外交史、軍事史、政治思想史、哲学史、国際政治学等の勉強を積み重ねていた。

学究的な職業軍人であった彼は、人嫌い・社交嫌いであり、本当に親しい友人を一人も持たず、いつも孤高を守り続けた礼儀正しくて超然とした軍人であった。

そのドゴールが50歳の時(1940年の春)、フランス軍が(無様にも、あっという間に)ドイツに屈服して、ヴィシーに対独協力の傀儡政権を設立すると、単身イギリスに脱出して、「フランスは屈服していない! 我々は絶対に屈服しない! フランスは戦い続ける! そしてフランスは勝利する!」と叫んで、「救国の将軍」の役割を演じる大芝居を打ち始めたのである。普段は非社交的で禁欲的で、まるで中世の修道僧のような生活を送り、軍の内部でも孤立することの多かった学究的な戦略家が、突然、「祖国の勝利を確信する、情熱的な救国の英雄」に大変身したのである。

実はドゴールは小学生の頃から、詩作と観劇が大好きな文学少年であった。彼は学生時代、コルネイユやシャトーブリアンに心酔し、演劇部に所属してアマチュア俳優や劇作家の真似事をしていた。

演劇好きであった彼の青年時代のことを考えれば、軍隊内で「社交嫌いの気難しい理論家」という評判であったドゴールが、突然、コルネイユの悲愴な古典劇に登場するような「祖国存亡の危機に、たった一人で立ち向かう歴史的な英雄」という役割を演じ始めたのも、理解できないことではない。

【*YouTube で多数配信されているドゴールの演説や記者会見を観ると、彼の喋り方の巧みさに圧倒される。最近のサルコジやオランドやマクロンのように凡庸極まりないフランス大統領とは、まったく質の違う抜群の説得力である。子どもの頃から演劇好きであったドゴールは、明らかに「知的確信に満ちた談話のパフォーマンス」に習熟していた。】

それにしてもドゴールという人は、矛盾に満ちた奇人(そして貴人)であった。彼は冷たい知性と激しい情熱、謙虚さと傲慢、燃えるような愛国心と冷酷な意志力、厚顔不遜なエゴイズムと厳しい自己否定の戒律に満ちた人物であった。

ドゴールは1944~45年と1958~68年の約11年間、フランスで最強の政治権力を握った。普仏戦争(1870年)以降のフランスにおいて、最も権限が集中した統治を実行したのがドゴールである。

しかしドゴールの統治には、「権力の濫用」や「権力の腐敗」という現象がまったく見られなかった。国家最大の権力を握ったにもかかわらず、ドゴール家の経済状態は質素なミドルクラスのままであった。

ドゴールとは、「自分自身のエゴイズムを克服することに成功した、冷徹で傍若無人なエゴイスト」だったのである。

若い頃のドゴールは、ニーチェの思想から大きな影響を受けていた。それにもかかわらず彼は、ニーチェに強烈に反撥していた。もしかしたらドゴールは、「ニーチェ的なエゴイズムを峻拒するキリスト教的な超人主義」を目指していたのかもしれない。

性格的な矛盾に満ちた「傲岸なる謙虚」「孤高で孤独な同胞愛」「冷徹で熱烈な愛国心」を実践してみせたのが、”稀代の名優シャルル・ドゴール”なのであった。

※本稿は、伊藤貫著『歴史に残る外交三賢人』(中公新書ラクレ)の一部を、再編集したものです。

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ご紹介まで。

 

2月27日(木)

【籠池氏、大いに語る】

MSNニュースに以下の記事が載っていたのです。
元々は週刊誌の『週刊文春』の記事のようですが、『文春オンライン』で読めるようなんです。

大変興味深い記事でありまして、ご紹介したいと。

果たしてウソをついているのは、籠池氏なのか昭恵夫人なのか・・・。

◆文春オンライン◆
籠池泰典が初めて明かした「100万円事件」の真相と「昭恵さん」のこと
(「週刊文春」編集部 2020/02/27)
 8億円を上回る国有地の値引きがスクープされてから3年が経った。だが国有地を巡って時の首相夫人の関与が囁かれた一大疑獄は、いつの間にか理事長夫妻による補助金詐取に取って代わられた。地裁の判決直前、籠池氏が語り尽くした昭恵夫人による「神風」とは。

 ◆ ◆ ◆

■2週間後に判決を控えた心境は「不動心」
 2月上旬某日、新大阪駅付近のとあるホテルの一室で籠池泰典氏(67)は、小誌を含むマスコミ各社の取材に臨んでいた。ストライプ柄の黒の背広に水色のネクタイという出で立ち。隣にはピンク色のメガネをかけた妻・諄子氏(63)の姿もある。

 森友学園への補助金を詐取した疑いで詐欺罪などに問われた籠池夫妻には、懲役7年が求刑された。この日の二人は、約2週間後の2月19日に大阪地裁での判決を控える身。だが記者が、現在の心境を問うと、
「別に普段と変わりはなくてですね。不動心。うん。まさにそんな感じ」
 と、事も無げに言い放つ。続く諄子氏も「楽しみです!」と笑顔を浮かべている。

[…略…]

 2月13日には『 国策不捜査 「森友事件」の全貌 』(文藝春秋刊)を出版。作家の赤澤竜也氏の3年に及ぶ密着インタビューに応じ、約500ページ分もの“独白”をしている。
 その中で籠池氏は起訴事実である詐欺罪について、国の補助金詐取については全面的に否認しているが、大阪府と大阪市からの補助金詐取については、
「一部の事実については公判で認めている。よからぬ方法で補助金のかさ上げをした点について、あらためてここに陳謝したい」
 と反省の弁を述べている。

[…略…]

『国策不捜査』で赤澤氏は、籠池氏から昭恵氏に関する数々の詳細なコメントを引き出し、丹念に記録している。そこからは両者がいかに親密であったかがよく分かり、昭恵氏の存在こそが森友事件の核心であると改めて理解できる(※以下、籠池氏の発言は『国策不捜査』をもとに構成した)。

 籠池氏が昭恵氏と連絡を取り合うようになったのは11年10月頃からだ。森友学園のPTAの紹介だった。初めて直接会ったのは14年3月14日、場所は「ホテルオークラ東京」の老舗割烹「山里」だった。

 籠池氏が語る。
「ボクたち夫婦と安倍さん夫妻の4人の席を予約していたのだが、安倍さんは急用ができたとのことでドタキャンだった。昭恵夫人は午後6時くらいにお越しになり、懇談を始めたのだが、初対面とは思えないほど話が弾んだ」

 最初は「昭恵先生」と呼んでいたが、本人から、「『昭恵さん』と呼んでください」と言われ、そう呼ぶようにしたという。話題は教育、政治、果ては夫婦関係におよび、大いに盛り上がった。

■「安倍晋三記念小学校」はまずいのではないか
 だが途中で昭恵氏が、
「主人は現役の首相になってしまっているので、まずいのではないかと思っている」と切り出したという。

 実はこの頃、建設予定だった小学校を「安倍晋三記念小学校」と命名しようと籠池氏は考えていた。この案を考えついた時期は民主党政権下で、自民党は野党。安倍首相も当時は一衆院議員に過ぎなかった。しかし保守主義の思想を持ち、日本会議のメンバーにも名を連ねていた籠池氏にとって「安倍晋三」という政治家は特別な存在だったのだ。

 12年に入ると昭恵氏に連絡を入れ、学校名の許可を取り付けたという。それが一転して、この会合のときに昭恵氏が断りを入れてきたというわけだ。首相夫人の頼みとあり、籠池氏は即座に承諾したという。

 そんな最中、突然、昭恵氏の携帯が鳴った。安倍首相からだった。
「いつ帰るのか心配になった安倍さんから電話が入ったのだ。時計を見るとすでに午後10時過ぎ。これはさすがにまずいと思い、『お開きにしましょう』と申し上げた。すると昭恵夫人は畳に手をついて『今日はありがとうございました』
と言ってくださった」(籠池氏)

■「神風」を吹かせたスリーショットを撮影
 山里での会食から約1カ月後の4月25日に昭恵氏は初めて塚本幼稚園を訪問。「タイトな短いスカートのツーピースという出で立ち。お美しい方だと心から思った。園児に紹介するときも自然に『昭恵さま』という言葉が口をつく」(同前)ほど感激したという。

 同じ日に小学校の建設予定地も訪れ、空き地を見た昭恵氏の「いい田んぼができそうですね」との発言が「瑞穂の國記念小學院」という校名の由来になった。さらに、この時は首相夫人付き職員の谷査恵子氏も同行し、籠池夫妻と昭恵氏のスリーショットも撮っている。

 一方で当時の籠池氏は、小学校建設のために奔走する日々を送っていたが、苦戦を強いられていた。

 大阪府からは学校の設置認可が下りず、近畿財務局(財務省の下部組織で国側の窓口)とは国有地の賃借契約を巡って話がまとまらない。籠池氏自身も「大阪府と近畿財務局を行ったり来たり、という状態だった。本当に辛かった」と述懐している。

■学園の件は「財務省本省案件」に
 事態が動いたのは、昭恵氏と小学校予定地を訪問してから3日後の4月28日。この日、近畿財務局の担当者に籠池氏は、昭恵氏が予定地を視察した旨を告げている。途端に担当者の顔色が変わった。

「写真とかあるんですか」
 そう聞かれ、すかさず前述のスリーショットを見せたという。すると担当者は「コピーさせてもらってもいいですか。局長にも見せておかないといけないんで」と尋常ではないほど、興味を示してきた。

「写真を見せてからギアが3段くらい上がったのである。まさにこの日こそ神風が吹くキッカケの第1弾だった。スリーショット写真の提示以降、何もかもがスムーズに進むようになった。あまりにも近畿財務局の態度が変わったので、本当に驚いたものだ」(籠池氏)

 そしてこの頃から学園の件は、「財務省本省案件になった」というのだ。
 以後、破格の値引き問題が発覚する17年まで、籠池夫妻と昭恵氏は、引き続き蜜月関係にあった。

 山里での会合で、昭恵氏はとりわけ諄子氏と気が合ったという。その証拠に2人は頻繁にメールのやり取りをする仲になり、データが残っている16年6月から17年3月までの間だけでも昭恵夫人から34通、諄子氏から49通送られたことが確認されている。

■「文書にしてほしい」と伝えられ送ったファックス
「園長室で2人で話していると、昭恵夫人がカバンから封筒を取り出された。中を見ると金子が入っている。ボクが『いいんでしょうか』と聞くと、『安倍晋三からです』とお答えになった。さらに、幼稚園をあとにされてからは電話で『100万円の件は内密に』と念を押されたのだ」 14年12月6日に昭恵氏は塚本幼稚園に2度目の訪問をし「ファーストレディとして」とのタイトルで講演を行った。3度目の訪問となる15年9月5日に昭恵氏から100万円を渡され、瑞穂の國記念小學院の名誉校長就任の依頼も了承されたと籠池氏は語る。

 同じ頃には、籠池氏が証人喚問で暴露し話題になった、ファックスの端緒となる出来事も起きている。

 ファックスとは前述の夫人付き職員の谷氏が、籠池氏に宛てて送ったとされる文書のこと。

〈財務省本省に問い合わせ、国有財産審理室長から回答を得ました。(略)引き続き、当方としても見守ってまいりたい(略)。本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております〉

 昭恵氏への「報告」を明記した衝撃の内容だった。

 当時、国有地の賃借契約は結んだものの、学園運営の資金繰りに困っていた籠池氏。そこで、
「昭恵夫人に助けてもらおうと思い立ち、携帯に連絡を入れたところ、留守番電話となっていたため、『ちょっと急ぎます』と申し添え、用件を吹き込んだ」
 すると谷氏から折り返しの電話があり「昭恵夫人から『籠池さんがお急ぎのようなので連絡してほしい』と頼まれたので代わりにお掛けしました。大切なことなので文書にしてほしい」と伝えられたという。籠池氏は慌てて手紙に「国有地の賃借期間の延長」、「賃料の引き下げ」、「ゴミの撤去費用の立て替え分の早期の返還」などの要望を書きつけ10月26日に送付。それに対する回答が、前述の谷氏のファックスだった。

『国策不捜査』に書かれた籠池氏の告白を読み進めると、こうした昭恵氏の振舞いこそが、森友事件の火種を生んでいたことがよく分かる。

「昭恵夫人の写真とコメントを削除してください」
 では、17年2月、朝日新聞の初報によって森友事件が表面化して以降、籠池夫妻と昭恵氏との関係はどのように変化していったのか。

『国策不捜査』では、それを象徴する、新たな2つの逸話が明かされている。

 朝日報道をきっかけに全マスコミを巻き込む騒動となってから2週間が経った2月23日。籠池夫妻は財務省からの指示で大阪を離れ、京都に身を隠していた。

 そこに突然「安倍晋三事務所」の初村滝一郎秘書からの着信があり、2人の間ではこんな会話が交わされたという。
「おたくの『瑞穂の國記念小學院』のホームページに載っている昭恵夫人の写真とコメントを削除してください」
「急に外せと言われても……。昭恵夫人はどうおっしゃっているんですか」
「昭恵夫人も了解済みです。即刻、外してください。いいですね」

 記事を削除した籠池氏はこう明かしている。
「のちほど昭恵夫人と電話でやり取りしたのだが、やはり名誉校長退任を事前に聞かされてはいなかった。昭恵夫人は『私は今でも心の中では名誉校長なんです』と取り繕ってはくれたのだが、その言葉はむなしく響くだけだった」

■安倍首相の評価がコロっと変わり、批判的な答弁
 翌24日には、安倍首相が国会で「安倍晋三記念小学校」の校名について問われると、籠池氏を指して「非常にしつこい中において、非常に何回も何回も熱心に言ってこられる中にあって」と批判的な答弁をしている。つい1週間前、2月17日の国会では「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いております」と褒めそやす答弁をしたばかりだった。

 当時の心境を籠池氏が語る。
「ボクに対する安倍さんの評価がコロっと変わったのである。まさに手のひら返しが行われてしまった。一体何が起こってしまったんだ? ボクのなかで感じたことのない疑念が噴き上がってきた」

■昭恵夫人の記録が残った決裁文書が改ざんされたのは……
 確かに、この頃から籠池氏をめぐる状況は、加速度的に変化していった。共著者の赤澤氏が語る。

「この年の2月22日に官邸で菅義偉官房長官が安倍首相の指示を受け、会議を行っています。後に国会で明かされた参加者は、財務省の佐川宣寿理財局長(当時)、太田充官房総括審議官(同)、中村稔総務課長(同)。私はこの日を起点に、森友事件を巡る政府の動きが本格的に始まったと考えています。財務省が18年に公開した『改ざん調査報告書』をつぶさに読み込めば、理財局の幹部が昭恵夫人の記録が残った決裁文書の改ざんに踏み切ったのも、22日以降と考えられる。

 この見方を採れば、なぜ翌23日に初村秘書が籠池氏に電話をかけてきたのか、さらには24日に安倍首相が、籠池氏への急な手のひら返しとも取れる答弁をしたのか、すべて説明がつきます。ただ昭恵氏本人は、こうした政府の動きは知らなかったはずです」

■「そんな……」と絶句した昭恵氏
 3月15日の夜、東京から帰阪した籠池夫妻のもとに、昭恵氏から電話がかかってきた。

「私もわからなかったんです。知らなかったんです」
「でも、学校はだめになってしまいました」(籠池氏)
「頑張ってほしい、頑張って続けてほしかったけど無理だったんです。もう遅いんです」
「終わったことですからしかたないですね」(籠池氏)
「私は知らなかったんです。こういうことになっていくとは知らなかったんです。主人が、主人が……」

 そこで籠池氏が「もうこれ以上は守り切れません。もう守れません」と通告し、100万円を昭恵夫人から受領したことも表で言わざるを得ないと告げると「そんな……」と絶句したという。これが籠池氏と昭恵氏との最後の会話になった。

■籠池氏は「刑事事件については裁きを受け容れるつもり」
 ちなみに籠池氏は、後にこの100万円を昭恵氏に返却しに行ったが、その札束が上下の2万円以外はただの紙切れで、そのカラクリを撮られてしまう、という珍事も起きた。やはり怪しい人物だ、と思わせる場面だったが、籠池氏は反論する。

「(当時、広報兼アドバイザーのようになっていた)著述家の菅野完氏から『寸分の狂いもないものだから。本物と両方持っていくように』と言われたのだが、ボクは取り出すまで冗談だと思っていたので驚いた。本物のほうは、別のポケットに入っていたのだった」

[…以下略…]

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年2月27日号)

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はてさて真実、真相はどうなっていたのでしょうか、今はまだとりあえずこの話を「そうですか」として聞くしかないのです。

しかしもちろんこれを100%信じてしまって良いモノでもないでしょう。

昭恵夫人しても言いたいことはきっとあるのでしょうし・・・。
そして安倍首相ご本人にしても・・・。

ご紹介まで。

 

2月26日(水)

【民主党大統領選、サンダース陣営レポート】

日本では新型コロナウイルス問題で夜も日も明けないのですが、アメリカではそれどころじゃなく大統領選で夜も日も明けないようです。

ネバダ州でサンダース候補が3連勝して周囲を驚かせているのですが、明治大学の海野教授のレポートが入りましたのでご紹介したいと。

◆WEDGEInfinity◆
米国の20代は「社会主義者?」78歳サンダースが若者をひきつけるワケ
(海野素央:明治大学教授、心理学博士 2020年2月26日)
 今回のテーマは、「弱点を克服したサンダース候補」です。米民主党候補指名争いを戦っているバーニー・サンダース上院議員(無所属・東部バーモント州)は2月22日、西部ネバダ州で開催された党員集会で勝利を収めました。

 筆者は党員集会の2日前に、研究の一環としてネバダ州ラスベガスの南西部にあるサンダース選対に入り、電話による支持要請を行いました。そこで本稿では、選対での出来事を紹介しながら、サンダーズ氏勝利の原因を探ってみます。

■「社会主義者だからなんて言わないで」
 サンダース大統領候補はラスベカスだけで8つの選対を置き、資金と人材を投入しました。筆者が20日、南西部にあるサンダース選対を訪問すると、熱意のある20代の若者が党員集会に向かって準備を行っていました。

 早速スタッフに自己紹介をした後、筆者はアジア系米国人及び太平洋諸島の有権者を対象に選挙運動を行うチーム(AAPI)に入りました。チームリーダーはベトナム系米国人女性のアンジーさんです。彼女は昨年12月に、サンダース陣営の「オーガナイザー」として雇われました。

 オーガナイザーは、ボランティアの草の根運動員をまとめて、彼らが円滑に戸別訪問や電話による支持要請を行うことができるように支援します。

 アンジーさんは電話で標的となっている有権者に語る内容を説明すると、筆者に突然質問を投げかけてきました。

 「なぜあなたはバーニーを応援しているの?」

 筆者は思わずこう回答してしまいました。

 「社会主義者だからです」

 一瞬、アンジーさんとの会話に沈黙が生まれました。2人の会話を聞いていた他の運動員も沈黙してしまったのです。

 「しまった!」と心の中で思い、「バーニーは大学の授業料を無償化して、学生ローンを帳消しにするからです。労働者の賃金を上げるからです」と言ってフォローしました。

 アンジーさんは安心した表情を浮かべましたが、筆者にこう語って釘を刺しました。

 「社会主義者だなんて有権者に言わないで」

 サンダース候補は自身を民主社会主義と呼んでいます。サンダース支持の若者は社会主義を肯定的に捉えていますが、選対の中では同主義に敏感になっていました。米国社会では、大抵の有権者は社会主義を受容しないからでしょう。

 米NBC ニュース及び、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の共同世論調査(20年2月14-17日実施)では、社会主義者の候補に対して37%が「快適」と答えました。社会主義に「不快」を示す有権者が多数派ですが、約4割が肯定的に捉えているのには驚きです。

■「フロリダ州では勝てません」
 ・・・
■「目標は11月」
 ・・・
■社会主義と国民皆保険
 ・・・
■多人種・多民族の連合軍
 ・・・ 
[…略…]

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サンダース候補が健闘していることは事実なのですが、それでも、本選ではトランプ氏が圧勝するだろうというのが大方の予想のようです。

私もおそらくそうなるだろうと見ているのですが、それでも、前回大統領選では、「まさかトランプが・・・」という大方の予想を見事に覆してトランプ氏が勝利したのですから、確かに何が起こって来ても不思議ではないのです。

それにしても民主党は一体誰が最終候補者に残ってくるのでしょうか。
本選では誰が来てもトランプ氏で決まりになるようですから、むしろ見どころは「民主党候補は誰になるか?」ということにしかならなさそうです。

そしてこれは皆さん「???」になるようでして、ドングリの背比べ状態のようです。

当初の本命候補だったバイデン氏に勢いがなく、最終的にはサンダースvsブルームバーグになるのでしょうか。
(どちらにしてもトランプ氏には勝てないという…)

まぁ、もう、単なる興味本位での高みの見物状態ではあるのですが、

「そんなんでいいんか!アメリカ!!」
「結局次の4年間もトランプなんかい?!!」

と叫びたいのです。

しかし他にまともな候補者が誰も名乗りを上げないのですから、どうしようもないと。

(いやはや・・・、ダメだこりゃ・・・)

ご紹介まで。

 

2月23日(

【菅官房長官の胸の内は・・・】

たかが週刊誌、です。
しかし、されど週刊誌、でもあります。

以下の一文は、人間的な複雑な感情的齟齬と行き違い、名誉心と裏切り、出世と失脚、成功と転落などという儚い人間ドラマを浮き彫りにした、虚実を取り混ぜた観測、憶測記事なのです。

真実、真相はどこにあるのでしょうか・・・。
それはきっと永遠の闇の中、なのでしょう・・・。

一読に値する興味深い記事であると。

「たかが週刊誌、されど週刊誌・・・」

◆現代ビジネス◆
安倍よ、ただで済むと思うな…菅官房長官「最後の逆襲」が始まった
欲望と裏切りの永田町ドキュメント 
(2020.02.20)
政権の終わりが見えてきたと思ったら、一枚岩だったはずの政権幹部たちの関係が異様なまでに軋み始めている。自分が死ぬか、相手が死ぬか。五輪まで半年、永田町で本格抗争の号砲が鳴った。

■総理に呼ばれなくなった
「もう、あの人も終わりだよな」

ある自民党のベテラン議員が言う。官房長官・菅義偉のことである。官邸の守護神と言われたのも今は昔。

定例の記者会見では、記者の質問にもまるで上の空。「すみません、もう一回言って?」を繰り返すシーンは、毎度のこと。回答に窮し事務方からペーパーを差し込まれることも増えた。

この4ヵ月、菅はさんざんだった。菅原一秀や河井克行といった「側近」を無理矢理入閣させたものの、一気にスキャンダルに見舞われた。

重用してきた官僚が不倫騒動に追い込まれ、自分が肩入れしてきたIR問題でも、10年ぶりの国会議員逮捕という騒動に巻き込まれた。すべて菅の周りで醜聞が出たことから、「菅潰し」の声が囁かれた。

総理候補など夢のまた夢、スキャンダル処理にほとほと疲れた菅は、「このままやけくそで辞任するんじゃないか?」と噂を立てられる始末だ。

安倍総理との関係も決定的に軋みだした。昨年末から、菅が安倍に呼ばれる機会が減った。もちろん、朝、官邸で顔は合わせるものの、安倍は視線を合わせない。

要人との同席回数や接触時間は、かねてから菅との不仲が囁かれる今井尚哉秘書官のほうが格段に多くなった。

安倍に嫌われたのか。自分を嵌めたのは、今井ではなくて、安倍なのではないか。疑心暗鬼が、菅の胸中を交錯している。

官邸に2つあった危機管理ラインのもと、菅と今井は、修復不能な関係に陥った。今井は「菅さんは信用できないよ。総理の寝首をかく男だしね」と公言し、菅も「総理にぶら下がり会見なんてやらせて、本当にあのバカ」と今井を批判。だが、安倍は今井を選んだ。

「今井が官僚だからですよ。政治家とちがって、主君に取って代わろうとすることはありえない。総理にとって菅さんは不気味だが、今井は安心して使える。その結果、安倍総理と菅さんは『官邸内別居』状態になってしまった」(安倍側近)

[…略…]

安倍に切られそうになった実力者2人が、タッグを組み始めているのだ。

目下、安倍が4選を狙わないかぎり、岸田文雄への総理禅譲はほぼ確定的だとされる。

「岸田さんと犬猿の仲である菅さんは、ついに『タダの人』になる。そうなるくらいなら、自分が総裁選に出馬するか、あるいは同じ神奈川選出の河野太郎か小泉進次郎を担いで政権をつくり、幹事長に就き『キングメーカー』として生きながらえるしかない」(菅派議員)

隠れ菅派に加え、二階派はもちろん、岸田を見捨てた古賀誠率いる宏池会の古賀グループ、さらに竹下派や石破派も戦列に加わる――。人数的には、不可能ではない。針に糸を通すような繊細なやり方で、最後の一手を下す。

裏切られたなら、裏切り返すだけ。菅はいま、牙を研ぎ続けている。

(文中敬称略)

「週刊現代」2020年2月1日・8日合併号より

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ご紹介まで。

話は替わるのですが、私の個人的感想として、安倍首相、もう「私の手で憲法改正を!」などと言っていないで、潔く後進に道を譲った方がいいのでないかと。

別に野党を支持している訳ではないのですが、シンプルにそう感じるのです。

長過ぎるのも良くないですと。

ご紹介まで。

 

2月22日(

【自粛が新型コロナ不況を招く件】

新型コロナウイルスで世の中ずいぶん「イベントの自粛」が広がっているのです。
かくいう国家ビジョン研究会でも、2月の月例研究会を中止したのです。

それは致し方のない事情でそう決定した訳なのですが、もし世の中の多くのイベントが致し方のない事情で自粛せざるを得ない状況になってのことであるなら、それが経済的な不況を招く結果になるなら、それはもうどうしようもない不可避の災厄になるでしょう。

もちろん、政府の責任は小さくはないのでしょうが、それでも誰が政府の責任者になって事に当たっていたとしても、似たり寄ったりの対応しかできていないだろうと思われるのです。

難しい問題です。

この件では池田信夫氏が興味深い理系の判断をしているのでご紹介したいと。(もちろん、異論反論も多くあるのでしょうが)

◆アゴラ◆
自粛パニックで「新型コロナ不況」がやってくる
(池田信夫 2020年02月22日)
新型コロナウイルスの感染者はきのう100人を超えたが、クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」を除くと、国内で陽性になった人数は1日10~20人で、激増しているわけではない。激増しているのは、集会やイベントなどの自粛による2次災害である。

コンサートや会議が中止になり、レストランやホテルがキャンセルされ、就活の面接まで中止された。加藤厚労相は「政府として一律の自粛要請はしない」といいながら「主催者に開催の必要性を改めて検討していただきたい」と実質的に自粛を求めた。

日本経済新聞の報じたKDDIの調査によると、2月の休祝日に街を訪れた人数は前年より大阪・梅田が15%減、京都が14%減、東京が6%減、横浜が10%減となった。特に中国人観光客の多い関西で被害が大きい。

新型コロナは最大の感染症リスクではない。国立感染症研究所によると、今週発生したインフルエンザ患者は24万3000人。累計100人の新型コロナのリスクはその数万分の一だが、マスコミは被害を1人1人報道するので、人々は最大のリスクだと錯覚する。「みんな中止しているのにウチだけやるわけにはいかない」という横並びでイベントが中止され、それが連鎖反応を生む。

これは原発事故や金融危機などのブラックスワンに共通のパターンである。その原因は、こういう未知のテールリスク(確率がきわめて小さく被害の大きいリスク)については客観的なリスク評価ができないためだ。

■「ブラックスワン」が自粛の連鎖を呼んでパニックが生まれる
インフルエンザのような日常的なリスクは、

 リスク=ハザード(1回の被害の大きさ)×確率

という期待値で管理できるが、未知の現象に直面すると、人々は確率を無視してハザードを見て行動する。その典型が原発事故である。「原発事故は万が一起こったら大変だ」というハザードだけを見て、大事故が歴史上3回しか起こったことがないという確率分布は無視する。

金融危機も同じだ。2008年の「リーマンショック」のきっかけは、アメリカのサブプライムローンの不良債権というローカルな問題だったが、アメリカ財務省がリーマンブラザーズを破綻させるという予想外の事件で、世界中の仕組み債にデフォルトの疑いが発生した。

実際にはほとんどの債券は安全だったが、投資銀行は「万が一デフォルトになると巨額の損失が発生する」と考えて不動産債券を一挙に売却し、その売りが売りを呼んで債券価格が暴落した。

これを金融感染(financial contagion)と呼ぶが、今回の騒動に似ている。集会やイベントで新型コロナ患者と出会う確率はゼロに近いが、企業は「万が一感染したら大変だ」と考えて自粛し、それが他の企業の自粛を呼んでパニックに発展した。

こういうとき騒ぎを大きくする原因は、未知の現象だという恐怖である。今回の騒動で驚いたのは「インフルエンザには特効薬があるが新型コロナは未知だから恐い」という反応が多いことだ。ウイルス性の感染症に特効薬なんかない。インフルエンザも毎年ちがうので、薬がきくとは限らない。だから去年は3000人以上死んだのだ。

■政府のわかりやすい情報提供が経済危機を防ぐ
この意味で新型肺炎は特に凶悪な感染症ではないが、人々は確率のわからない現象については最悪の事態を想定して「ゼロリスク」を求め、その防護コストを考えない。こうしたパニックは指数関数的に拡大するので、あっという間に経済は崩壊する。

これはリーマン危機で誰もが経験したことだ。今回のサービス業の自粛は金融ほど壊滅的にはならないだろうが、横並び意識の強い日本人には、自粛が自粛を呼ぶ「乗数効果」が大きいので、予想以上に破壊的な結果をもたらすだろう。

多くのブラックスワンでも、コアの危機は大した問題ではない。サブプライムローンも福島第一原発事故も、実際の被害はそれほど大きくなかったが、危機が拡大するかどうかはそれとは関係なく、人々がリスクの確率分布を知らないことが致命的だった。

新型肺炎も感染症としては大した問題ではないが、この自粛パニックは大きな経済危機に発展するおそれが強い。昨年の第4四半期のGDP速報値では、成長率はマイナス1.6%(年率マイナス6.3%)と大幅なマイナスになったが、この調子では今年の第1四半期はさらに大幅なマイナスになるだろう。

こういうとき大事なのは、政府が新型肺炎の状況を詳細にわかりやすく公開し、客観的リスクを明らかにして過剰反応を止めることだ。「安全」を無視して「安心」を求める情報弱者に迎合してはいけない。それが金融危機と原発事故に共通の教訓である。<了>

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ご紹介まで。

 

2月21日(金)

【日本にとってベストな大統領候補は誰?】

日本では新型コロナウイルス問題で大騒ぎが続いているのですが、アメリカでは大統領選挙の序盤戦がたけなわなのです。

そんな中、ニューズウィーク日本版に興味深い記事が掲載されていたのでご紹介したいと。

何でも、グレン・カール氏という方の寄稿文で、「日本にとってベストな民主党候補者はブルームバーグである」という。

◆Newsweek◆
~CIAが視る世界 グレン・カール~
国際協調派ブルームバーグか、新星ブティジェッジか……日本にとってベストな民主党候補は誰?
(2020年02月20日)
<今回の民主党予備選は、保護主義に傾斜しがちな左派と自由貿易を支持する穏健派の戦い>

日本の人たちに朗報だ。民主党の大統領候補選びは始まったばかりだが、緒戦のアイオワとニューハンプシャーの両州の結果を見る限り、それなりに希望を持っていい。最後には自由貿易を守り、従来の同盟関係を維持する穏健派が勝つ可能性が高まったからだ。

今回の予備選は、保護主義に傾斜しがちで外交無策の左派と、自由貿易を支持し国際協調路線を取る穏健派の戦いだ。もしも日本の人に投票権があれば、きっと後者の候補に一票を投じるはず。その場合、優先順位の筆頭はマイケル・ブルームバーグ、次いでエイミー・クロブチャー、そしてピート・ブティジェッジという順になる。

今はまだ左派陣営も意気盛んだ。左派の多いニューハンプシャー州の有権者は、高齢ながらカリスマ的な上院議員バーニー・サンダースを選んだ。得票率は25.7%だが、ともかく1位だ。しかしサンダースは自称「民主社会主義者」。アメリカの政界で「社会主義」を名乗るのは自殺行為に等しい。やはり左派の有力候補であるエリザベス・ウォーレン上院議員も、前評判は高かったのに得票率9.3%で4位という無惨な結果に終わった。アイオワ州の党員集会でも勝てなかったから、打撃は大きい。

■実は穏健派が左派を圧倒

[…略…]

しかも、まだ第3の穏健派がいる。前ニューヨーク市長で億万長者のマイケル・ブルームバーグだ。彼は2月の予備選を回避して、有力州の予備選が集中する3月3日のスーパー・チューズデーに懸ける作戦だ。彼には重大な問題を解決してきた実績もある。財政規律を重んじる一方、社会政策では進歩的だ。彼が市長になったとき、ニューヨーク市は50億ドルの財政赤字を抱えていたが、彼が退任するときは40億ドルの黒字を計上していた。

日本にとってうれしいのは、ブルームバーグが自由貿易を信じ、TPP(環太平洋経済連携協定)への復帰を唱え、国連などの国際機関を支持していることだ。ロシアや中国、北朝鮮への対応でも、従来の同盟関係を重視している。彼は日米同盟を大切にするだろうし、中国と交渉し貿易関係を持つことが中国の態度を軟化させると信じている。各種の世論調査でも17%前後の支持を集め、サンダースとバイデンに次ぐ3位。バイデンが脱落すれば、穏健派の先頭に立てるかもしれない。

だから日本にとっては、ブルームバーグが最も望ましい。次はクロブチャー。彼女の経済政策は王道だし、国際社会でのアメリカの役割もよく承知している。ブティジェッジの売りは軍隊経験と現実主義だが、左派になびくこともある。

結論。日本にとってベストな候補はブルームバーグだ。

<本誌2020年2月25日号掲載>

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はてさて、とりあえず日本にとってはこれまでトランプ氏が大統領であったことがベストであった訳ですので、次の4年間もこの際トランプ氏で行って欲しいところでありますが、もし、仮に、民主党候補にトランプ氏が負けるとするなら、その場合にはブルームバーグ氏がベストということなのでしょうか。

いや、もうそんなことは無責任に言いたい放題の世界ですので、この人の言をナィーブに信用してしまうのはまったく良くないことですが、とりあえず参考意見ということで。

ご紹介まで。

 

2月20日(木)

【当事者へのキツイ批判の裏側】

2月も下旬に入った今日この頃、日本は新型コロナウイルス問題で上へ下への大騒ぎなのです。

昨日も、神戸大学の岩田健太郎教授がユーチューブ動画に大変強烈な「批判動画」をUPしたそうで、それが海外メディア(CNN)にも注目されてずいぶん大騒ぎになっていたそうです。
私自身はその動画を見ておりませんですのでよく分からないのですが、そしてその動画はもうご自身により削除されているとか。

そして今朝になって私はアゴラでこの件について、評論家の八幡和郎氏の抑制の利いた冷静な認識を知りまして、(なるほど…)といたく感心しましたので、ご紹介したいと思いまして。

◆アゴラ◆
岩田健太郎氏が全部正しいことはありえない
(八幡和郎 2020年02月20日)
神戸大学・岩田健太郎教授が、2月18日、ダイヤモンド・プリンセス号内の様子を動画をYouTubeにアップしで報告し百万回を超える再生回数を記録し、CNNでも紹介され大反響だ。

私も非常に強い印象を受けたが、しかし、拙速な評価は考え物だと考え、さっそくFacebookで次のように書いた。

❝それなりに説得力はあるが、一般論として一方的に自分の意見に固執する医者の意見は眉唾なので慎重に確認することにしています。セカンドオピニオンをよく聞き理解してから参考にしましょう。批判するときに、おそらく、厚生労働省はこのように考えてこうしているのだろうがというように説明されると割に信用するのですがこのトーンでは一方的すぎる。❞

<以下略>

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もう一つ、その岩田氏に批判的な記事をフェイスブックに書いている高山義浩医師のご見解をご紹介したいと。

◆ゆでるぽ◆
高山義浩医師Facebookで岩田健太郎医師への反論(内部事情)が冷静・客観的・大人と話題!

はてさて、日本政府のこの新型コロナウイルス問題への対応、対策につきまして、それが果たして賞賛するべき優れた対応だったのか、それともテレビなどの情報番組で批判されているように「情けないダメ対応」であったのか、その判断は難しいのです。

私自身は「万全で素晴らしい対応ではなかったにしても、誰がやってもこの程度のことしか出来なかったのではないか・・・」というような感じで、結論的には、「素晴らしくはないにしてもダメでもない」ということでしょうか。

細かく厳しく見て行くなら、それは確かに色々と厳しく批判されなけれなならないことが多くあるにしても、完璧な人間などいないように、完璧な政策、完璧な対応など求める方がいけないのでないかと思われるのです。

そういうことで、現場で必死に働いている人々や、現場で指揮をとる役所や政府を、部外者があれこれ厳しく言いたい放題批判することは、あまり芳しいことではないのだろうと思うのです。

そして八幡氏のようなバランスのとれた言説、認識こそ求められるべき知識人の仕事であるだろうなと。

グッジョブですと。

ご紹介まで。

 

2月18日(火)

(2)【新型コロナウィルス発生の謎】

中国ウォッチャーの近藤大介氏が現代ビジネス誌に大変興味深い記事を寄稿しておりまして、ご紹介したいと。

中国は武漢の「中国科学院武漢病毒研究所」こそが、新型コロナウィルス発生の震源地ではないのかという疑惑なのです。

もちろん現状では「疑惑」に過ぎないのですが、それでもそういう疑惑が取り沙汰されるだけの理由のある、怪しい背景事情があることも事実という。

◆現代ビジネス◆
新型コロナ、武漢「美人すぎる39歳の研究所長」が握る発生の謎
~やはり何らかの「事故」があったのでは~

(近藤大介『週刊現代』特別編集委員 2020.2.18)
■ある判決から沸いた「疑念」
いまや日本も中国も、新型コロナウイルスのニュース一色の感があるが、それと一見関係なさそうで、実は大いにあるかもしれない中国の話から始めたい。

先月3日、新型コロナウイルスの震源地である湖北省武漢市から2183kmも北上した吉林省松原市の中級人民法院(地方裁判所)で、「2015年第15号」と呼ばれる汚職事件の裁判の判決が出た。それは、李寧(リー・ニン)被告(57歳)に12年の実刑、及び罰金300万元(約4700万円)、かつ賄賂として得たすべてのものを国庫に上納させるという厳しい判決だった。

李寧被告は、中国の農業部門の最高学府である北京の中国農業大学の教授だった。私の友人に、中国農業大学の卒業生がいるが、確認したらクローン研究の第一線に立つスター教授だったという。

[…略…]

この1月3日に判決が出された刑事事件が、いま中国で、にわかに注目を集めている。それは、農業部門における中国の最高学府である中国農業大学でさえ、「実験を終えた豚や牛、牛乳を、密かに業者に売り渡していた」という事実が明らかになったからだ。業者はそれらを素知らぬ顔で市場へ持って行き、市場では他の豚や牛、牛乳と一緒に売られていたに違いない。

これと同じことが、新型コロナウイルスの発生源と言われる湖北省武漢の華南海鮮市場でも行われていたのではないか――そんな疑念が、中国のインターネットやSNS上で飛び交っているのである。

■「武漢病毒研究所」が怪しい
中国のネットやSNS上で飛び交う情報というのは、中国当局が指摘するように「流言飛語」の類も一部にはある。例えば私は「安倍晋三が突然死した」「金正恩が逮捕された」といった「ニュース速報」を見たこともある。

だが、後で振り返ると真実だったというニュースも少なくない。特に、新型コロナウイルスに関しては、中国全土で現在、「戦い」が続けられている最中であり、かつ多くの中国人が自宅待機を余儀なくされている。そのため、「伝えられていない正しい情報」を知ると、それを拡散させようとする傾向が強い。その結果、それらを一刻も早く削除しようとする中国当局との壮絶なイタチごっこが続いている。

そんな中、いまネットやSNS上で疑惑の目が向けられているのは、「中国科学院武漢病毒研究所」である。新型コロナウイルスの発生源とされる華南海鮮市場から、わずか15.8㎞しか離れていない。

中国科学院武漢病毒研究所のホームページによれば、いまの中国が建国されて7年後の1956年に創設された。中国で初めてのP4(国際的な生物安全の最高クラス)生物実験室を備えている中国最高峰の病毒学の研究所である。

[…略…]

美人所長が送った一斉メール
2月16日には、また一つ、「王延軼所長のメール」が暴露された。1月2日午前10時28分に、武漢病毒研究所の職員全員に宛てて、次のようなメールを打っていたというのだ。

メールのタイトルは、「重要提示 武漢の原因不明の肺炎に関する公開を厳禁する通知に関して」。

〈 最近、原因不明の肺炎が、すでに社会の騒動を引き起こしている。われわれは関連した業務を、現在進行している。衛生健康委員会が要求しているのは、メディア、インターネット、SNS、提携する技術会社などを含む外部に対して、今回の肺炎の状況を公布することを禁止するということだ 〉

このメールが本物ならば、すでに1月2日の段階で、中国政府の衛生健康委員会は事実を隠蔽するよう指示を出していたことになる。また、王所長が書いた「われわれは関連した業務を、現在進行している」という文字も意味深である。<了>

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はてさて真相はどうなのでしょうか・・・、おそらく当分は闇の中なのでしょうが、いずれ明らかになって行くのでしょう。

それにしても日本もそろそろ本格的に「大流行」の兆しが見えている訳でありまして、呑気に構えていられない時期になってきているのでしょうか・・・。

ご紹介まで。

 

(1)【現代日本の貧困実態】

どうもNHKスペシャルで「車中の人々〜駐車場の片隅で〜」という番組が放映されていたようなのです(2月15日)。

私は視聴していた訳でないのですが、どうもなかなか衝撃的な中身で私たちもそういう実態を知っておく必要があるのだろうと思った次第でありまして、そのエッセンスをご紹介したいと。

◆BLOGOS◆
かつては「ネットカフェ」今は「道の駅の駐車場」
~Nスペ「車中の人々」が示した”貧困”難民の滞留場所~
(水島宏明2020年02月16日)
■衝撃的だった「車中の人々」
 久しぶりに現在の日本社会の「貧困」の断面に切り込んだドキュメンタリーを見た。2月15日(土)に放送されたNHKスペシャル「車中の人々〜駐車場の片隅で〜」。

以下、番組の流れをふり返りながら、この番組が伝えた衝撃を見ていこう。

 冒頭、氷点下の「道の駅」で情報を受けた取材班が雪の降り積もった駐車場で車を探す場面から始まる。「駐車場で暮らす親子がいる」。灯りを消した黒いワンボックスカーには「おばさんが運転席。後ろの座席におばあちゃんが乗っている」と目撃者が証言する。車中生活は3年になるという。

 NHKの取材班は、2019年8月21日に上毛新聞に掲載された92歳の女性が車中で死亡したという事件がきっかけだったという。「3世代1年車上生活か」という見出しで家族3人が1年間も駐車場で生活していた実態の断片を伝えた。

こうした人々が他にもいるのではないかとNHKは全国の道の駅1160すべてを取材。事情があって長期間、車で生活する人たちが相当数に上ることがわかってきた。年齢層もバラバラで切実な声を拾っていた。

若い女性

「事情があって(会社の寮を)出なきゃいけなくて家がない」。

20代の男性

「友だちゼロで彼女もいない。人間関係は難しい」

60代男性

「布団で死にたいね。やっぱ最後は・・・」

 生きる場所が車しかない、と口々に語る人々。駐車場の片隅で起きている現実を追った。

 道の駅の駐車場は24時間無料で開放されている。トイレ、売店などもあり、長期で滞在が可能な環境が整っている。日中は家族連れのマイカーやトラック運転手などで賑わう道の駅の駐車場だが、夜間になると車の台数は減っていく。ある道の駅を取材してみると、夜間でも10台ほどの「動かないで駐車したまま」の車が見てとれた。その大半が目張りなどをしてあって「異様な感じ」だったという。道の駅の職員によると、1年近く駐車場にいる車もあった。その中にいた男性はまさに典型的な人だった。

■典型的だった66歳の男性
 7年前に妻に先立たれていた。トラック運転手として働いたが、再就職できずに行きづまったという。アパートの支払いが滞るようになり、「じゃあ、出るか」と車中泊を決意した。男性はカボチャやインゲンなどと一つひとつの支払いを細かく記録して、車中生活では自らゼリーをつくるなどの綿密ぶりで顔の部分にボカシが入っていたが、几帳面な生活が伝わってきた。男性の収入は年金が月10万円。アパート生活だと家賃(4万円)や光熱費(1.5万円)で支払い総額が月14万円になってしまい完全に赤字になるという。車中生活だと家賃と光熱費はかからないものの冷蔵庫がないために食費がかさんでいく。それで収支トントンでギリギリの生活を維持できる。番組では男性がつけた記録を元に。具体的な数字で男性の収支状況を示していた。

 NHKは放送内容の一部を「NEWS WEB」で公開している。上記の66歳の男性については車中の画像も見ることができる。

 興味のある人はそちらで確認してほしい。

 取材を始めておよそ2週間、群馬県内のある「道の駅」で66歳の男性に出会いました。軽乗用車の中で1年近く生活を続けているといいます。最初は取材を断られましたが、2週間通い、ようやく取材に応じてくれました。男性は、車の中を見せてくれました。

■頼ることができない生活保護
 こうした差し迫った状態で日本社会に用意されている最終手段が「生活保護」という制度。「最後のセーフティーネット(安全網)」と呼ばれる救済手段のはずだ。この66歳の男性は生活保護についても可能性を探ったようだが、以下のように証言する。

「知らない人は生活保護でも受ければいい」と簡単に言うけども、一回市役所に行って聞いたら「車を持っているんでしょ?それならだめですね」とぱっと切られて終わり。

 私自身生活保護について何度か取材した経験でいえば、いかにもありがちな行政側の対応だ。乗用車はどんなに長期間乗ったものでボロボロであっても「金銭に替えうるもの」と見なされてしまう。そうした所有財産を売却して、それでも困窮した状態が続いていないと生活保護の申請行為さえ認めてもらえないケースが実際には少なくない。弁護士などの支援者が同行して本人の窮状を伝えることで認めてもらえるケースも例外としてはあるが、むしろほとんどの場合で「車を所有しているなら生活保護はだめ」という画一的で機械的な対応をする自治体が圧倒的に多いのが実態だ。

 この番組では「車を手放したとしても、すぐに生活保護を受けられる保障はない」というナレーションが続く。生活保護行政の対応としては実態を反映した正確な説明だといえる。車を失と明日寝る場所もなくなってしまうのではないか。そう考えて男性は車中生活を続けざるをえなかったという。

■文字通り“さまよう”人
 圧巻の場面がこの後に登場する。ある日の深夜。男性が「ガス欠だから」と燃料を買いに出かける。この日は2ヶ月に1度の年金支給日。近くのコンビニまで歩いて、そのATMの前で午前0時の年金の振り込みを待っていた。

 手にした現金で5リットルのガソリンを購入。赤い容器に入れたガソリンを持って、1時間歩いた男性は車へと戻った。

 久しぶりのエンジン音を聞いた男性は「ここには戻らないでどこかよそに行く。いくらなんでもずっと止まったままじゃ相当目立っていると思う」と、迷惑はかけたくないと車を発進させて道の駅を去り、夜の闇に消えていった。 

 何気ないシーンだが、ドキュメンタリー制作という観点でいうと非常にすぐれた映像だ。

 こうした「車中の人たち」が「さまよい」「漂流する」姿をカメラで押さえている。人目を避けて移動を繰り返す車中生活者のリアリティを冷静な形で映像に収めている。

■全国にどのくらいいる?
 こうして各地を転々とする「車中の人」は全国にどのくらいいるのか。NHKの調査で「やむをえない事情を抱えて車中生活をする人」が過去5年間に目撃された===道の駅は全国1160カ所のうち29%===に上ったという。

 単身の男性が多い。だが中には女性、あるいは高齢の女性を抱える娘などもいる。夫婦や子ども連れもいた。

 その中には単なる経済的な貧困だけでなく、社会問題が背景になったケースも目立つという。

■認知症が背景も?
 認知症の夫とともに車中生活を続けていた女性が夫の死後も車内で暮らしているケースも紹介された。アパート生活をしていたものの認知症だった夫の火の不始末が心配になって車中生活になった。介護施設などの選択肢はなかったのだという。

■幼い子どもを抱えるケースも?
 幼い子どもを連れて車中生活していた30代の女性。所持金も少なく当時1歳の子どもを抱えていたが、子どもが夜泣きするため、ネットカフェでの宿泊は断念したという。冬に駐車場の寒空で夜泣きする子どもをあやす日々だった。

■自ら選択? 職場の問題?
 人間関係のわずらわしさを逃れるために車中生活を選んだという人も番組には登場する。

 熊本の駐車場にいた50代の元看護師の岡山さん夫婦のケース。一言で説明するなら職場の人間関係という言葉になるのかもしれない。7歳年上の夫が職場の病院で比較的ベテランになっても仕事でなかなか結果を出せないことに精神的に追い詰められていった。妻によると夫は職場で次第に精神を病んでいったとうことだ。深く関わらずに生きていける場所をと車中生活を選んだのだ言う。

 かつては看護師長として部下からも信頼されていたのに、その後に人員削減などで病院を転々とする中で精神を病んでいったというから、「職場」や「働き方」の問題が根っこには存在しているケースだとも考えられる。次第にいろいろな職場で「お荷物」になっていることを自覚するようになっていった。夫は今の生活を「人間関係がほとんどないのが一番気に入っている」と話す。持病の糖尿病が年々悪化するなか「死ぬときは最終的には車の中で見つかってもそれもいいかな」と言う。どこか自暴自棄な言葉だ。

 NPOなどでホームレスの支援活動をしている人たちも、こうした「車中の人々」の存在に戸惑いを隠せない。どこまで支援がを求めているのか、どこまで支援すべきなのかがわからないケースも多いからだ。

[…以下略…]

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いや、昔からホームレスとか、あるいは「ネット難民」なる言葉のような貧困層は一定数いた訳なのです。

ですので、この「車中生活」をする人たちを取り上げて今さら貧困に注目しなければならない訳ではないのですが、それでも中流庶民層を形成している私どものような者には見えない世界が繰り広げられているという事実は、知っておくべきことなのでなかろうかと。

ご紹介まで。

 

2月17日(月)

【アメリカ大統領選挙、現地レポート】

溜池通信の吉崎氏(双日)にご紹介されて読んだ記事(渡辺氏のレポート)がなかなかに読み応えのある素晴らしいものでしたので、こちらでもご紹介したいと。

◆笹川平和財団◆
【大統領選挙現地報告】
渡辺 将人(北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院准教授/ハーバード大学国際問題研究所客員研究員)

〇民主党主要候補集会の特質分析①
バイデン、ウォーレン
〇民主党主要候補集会の特質分析②
サンダース、ブデジェッジ

 

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共和党は現職のトランプ氏でほぼ決まりなのでしょうが、対する民主党が混沌とした状況のようであります。

これまで本命視されていたバイデン氏がどうも伸び悩んでいるようで、しかも2番手につけていたウォーレン女史もダメで、現状ではサンダース氏とブティジェッジ氏に勢いがあるとか。

う~む、本番ではどうなるのでしょうか。
それでも誰が来てもトランプ氏の優位は揺るがないような感じですが・・・。

ご紹介まで。

 

2月15日(

【ナショナル・コンサバティズム】
~アメリカ共和党の地殻変動~

アメリカ大統領選挙の前哨戦が始まり、アイオワとニューハンプシャーでの結果が出たのです。

共和党は現職のトランプ氏で決まりでノープロブレムなのでしょうが、民主党はどうにも「混迷」という感じで、最終的に誰が統一候補になるのか全く予想できない状況です。

ただ、誰が最終候補者になるにしても、本選ではトランプ氏が勝利するのでないかとの予想が優勢なようです。

さて、そうなりますと今後さらに4年間を共和党がアメリカ政治をリードしていくことになるのですが、その共和党の内部に大きな地殻変動が起こっているようなことでして、その分析記事をご紹介したいと。

気鋭のアナリストである池田純一氏の現代ビジネスへの寄稿文ですが、素晴らしい分析であると思われるのです。

キーワードは「ナショナル・コンサバティズム」、
そして「Big Tech(=Big 4)こそが諸悪の根源」という。

◆現代ビジネス◆
アメリカの変貌〜ポピュリズムの後にやって来るのはナショナリズムか
<ナショナル・コンサバティズムの台頭>
(池田 純一:コンサルタント 2019.09.02)

■ナショナリズムこそが鍵である
ポピュリズムの後はナショナリズムなのか?

そんな疑問を投げかけずにはいられないカンファレンスが先ごろ、ワシントンDCで開催された。7月14日から16日までの3日間行われた“National Conservatism Conference”がそれだ。

キーノート・スピーカーとしてトランプ時代の「新保守派」を彩る4人が登壇したことでも注目を集めた。その4人とは、ジョン・ボルトン、タッカー・カールソン、ピーター・ティール、そしてジョシュ・ホーリー。

ジョン・ボルトンは、現職の国家安全保障問題担当大統領補佐官。タッカー・カールソンは、トランプ支持派の急先鋒で知られるFox Newsの人気コメンテーター。ピーター・ティールは、言わずとしれた、シリコンバレーのテックタイタンの一人。2016年の大統領選では、リベラル支持が当然視されていたベイエリアで、早くからトランプ支持を表明し人びとを驚かせた。その後は、むしろ数少ないベイエリアの保守派の代表としての地位を築いている。

ジョシュ・ホーリーは、昨年(2018年)11月の選挙でミズーリ州から新たに選出された上院議員。39歳と最年少の議員でありながら、将来の共和党を背負ってたつ政治家の一人として、現在、最も注目を集める逸材だ。

カンファレンスの参加者の中には、レーガン政権以来、コンサバティズム(保守主義)を掲げてきた共和党の支持者たちが多数みられたが、カンファレンスの狙いは、これからの共和党にとってはナショナリズムこそが鍵であるというものだった。

その意図は、開始早々明らかにされた。

「今日は私たちの独立記念日だ。ネオコンサバティズムからの独立、ネオリベラリズムからの独立、さらにはリバタリアニズム、いわゆる古典的リベラリズムからの独立だ」と、カンファレンスのオープニングで高らかに宣言された。

こう述べたのは、イスラエルの政治学者で、昨秋、“Virtue of Nationalism(『ナショナリズムの美徳』)”という著書を刊行したヨラム・ハゾニ(Yoram Hazony)であった。

[…以下略…]

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これまで「GAFA」と呼ばれていたのが、ここ最近では「Big Tech(=Big 4)」などと呼ばれているそうです。

それが「諸悪の根源」とされるのですから、アメリカも「グローバリズム」が「国家にとって良くないもの」であると認識し始めているようです。

それにしても民主党のエリザベス・ウォーレン女史の主張を、共和党の若手論客達が警戒心をもって見守っているのですから、時代は大きく変わっているのです。

ジョシュ・ホーリー、
ピーター・ティール、

覚えておくべき名前のようです。

ご紹介まで。

 

2月14日(金)

【共産党の「無謬神話」】

「ベルリンの壁崩壊」以後、世界中で「共産主義、共産党」が退潮しているのは間違いないことであり、おそらくそれは今後も続き、最後には世界中から消えて無くなる運命であろうと、多くの人がそう考えていることでしょう。

しかし、唯一中国共産党だけが元気いっぱいで健闘しており、「共産党だけが中国を指導できる唯一の政党である」と気炎を吐いているのです。
(誰もそんなことは信じていないでしょうが・・・)

そんな中、我が日本でも「日本共産党」なる政党がいつも元気に存在感を見せているのです。

私個人とするなら、それはとても不思議なことであり、「なぜなんだ?」と首を捻るところなのですが、日本国民の多くはそれについてはまったく無関心であるようです。

そしてなお不思議なことに、その党首である志位氏などはもう20年近くも委員長職に座っているのです。それはあたかも「終身独裁者」であるかのような感じなのです。共産党という政党の異質性が際立つ事実なのです。そしてそれについても日本国民もマスコミも全然突っ込もうとはしないのです。不思議なことであると。

それはそうとしまして、評論家の池田氏がアゴラ誌上に興味深い論考を寄稿しておりましてご紹介したいと。

◆アゴラ◆
日本共産党はなぜ「暴力革命」の方針をとったのか
(池田信夫 2020年02月14日)

志位和夫
@shiikazuo
衆院本会議で、首相、「日本共産党は現在においても暴力革命の方針に変更はない」と攻撃した。昨年3月の公安調査庁の答弁を一言一句違わずにのべたもので、全面的に反論済みの代物→https://www.jcp.or.jp/web_policy/2019/03/post-801.html …
首相よ、わが党綱領を一度でも読んだことがあるか。卑劣でチャチなデマ攻撃に断固抗議する!

安倍首相が「共産党の暴力革命の方針に変更はない」と答弁したことに、志位委員長が怒っている。彼が「全面的に反論済み」という共産党国会議員団事務局の見解にはこう書かれている。

1950年から55年にかけて、徳田球一、野坂参三らによって日本共産党中央委員会が解体され党が分裂した時代に、中国に亡命した徳田・野坂派が、旧ソ連や中国の言いなりになって外国仕込みの武装闘争路線を日本に持ち込んだことがあります。

しかし、それは党が分裂した時期の一方の側の行動であって、1958年の第7回党大会で党が統一を回復したさいに明確に批判され、きっぱり否定されました。

彼らも1950年代に暴力革命をめざしたことは認めているが、それは「党が分裂した時期の一方の側の行動」であり、「党の正規の方針として「暴力革命の方針」をとったことは一度もない」という。これは歴史の偽造である。

当時、共産党が「所感派」と「国際派」と呼ばれる分派に分裂したことは事実だが、書記長は1953年まで(所感派の)徳田球一であり、彼と野坂参三が起草して1951年10月に開かれた5全協(第5回全国協議会)で採択された「51年綱領」は、明らかに党の正規の方針である。

そこには「日本の解放と民主的変革を、平和な手段によって達成しうると考えるのはまちがいである」 と明記され、軍事方針では「われわれは武装の準備と行動を開始しなければならない」と書かれていた。この方針にもとづいて山村工作隊や中核自衛隊などによる武装闘争が行なわれ、白鳥事件や三鷹事件など、共産党の破壊工作とみられる事件が相次いだ。

[…略…]

■武装闘争は朝鮮戦争の「後方攪乱」だった
このような暴力革命の方針が取られたのはなぜだろうか。共産党が分裂したのは、1950年1月の「コミンフォルム批判」 で当時の日本共産党の平和革命路線が批判されたことが発端だった。これはスターリンが書いたものだが、当時の日本で暴力革命が成功する可能性はまったくなかった。

スターリンが日本共産党に武装闘争をやらせようとした原因は、1950年6月に始まった朝鮮戦争だった。これは彼が金日成を使って始めた戦争だが、米軍の最大の後方拠点は日本の基地だった。それを共産党の武装闘争で後方攪乱することがスターリンのねらいだったのだ。

共産党の指導のもと、米軍基地に火炎瓶を投げたり、交番を襲撃したりするテロが行なわれた。多くの若者が共産主義の理想を信じて武装闘争に身を投じ、ブント(共産主義者同盟)などの極左の源流になった。

日本で暴力革命が成功する可能性は歴史上一度もなかったが、共産党は「プロレタリア独裁」の戦術や「前衛党」の組織原則を捨てなかった。そういう言葉は今は党の公式文書から消えたが、その誤りを総括したわけではない。それをよく表わしているのが「党が分裂した時期の一方の側の行動」という弁解である。

実際にはコミンフォルム批判を受け入れてスターリンの方針に従ったのは、宮本顕治などの国際派であり、彼らが6全協のあと主導権を握った。不破哲三などの構造改革派は党内闘争に敗れ、宮本のスターリニズムに従った。その後継者が志位委員長である。彼の脳内には、スターリンから受け継いだ無謬神話が生きているのだ。<了>

***************************

はてさてこの現代日本において、「共産党の不思議な存在感」はいつまで継続するのでしょうか。

いや、私個人としましては、ご近所の共産党の区議さんがとても誠実でイイ人でグッジョブしてくれていますので、個人としてはその人にとてもシンパシーを感じておりまして、「政治信条」と「人間関係」という二つの相克がまさにジレンマということになっておりまして、難しいことであると思っていたりするのです。

とにかく、共産党の関係者の皆さんは、ほとんどの方が誠実、真面目、イイ人でありまして、困ったことであるのです・・・。

ご紹介まで。

 

2月13日(木)

【国会がダメ過ぎる件】

私は特段に日本維新の会を政党として応援している訳でも何でもないのですが、ただ気鋭の若手政治家音喜多俊氏(参議院議員、維新の会)のご意見がまことにもっともであると思われまして、以下にご紹介したいと。

◆アゴラ◆
安倍総理の態度が不適切だとしても、野党に審議拒否する権利ってあるんですか問題
(音喜多俊 2020年02月13日)
こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

国会議員になって初めての通常国会。毎日の予算審議を注視しているわけですが、こんなにも連日どうしようもない事態が起こるとは正直予想外でした。

こんな国会で日本は大丈夫なんでしょうか?たぶんダメでしょう。

野党、首相やじで謝罪と撤回求める 立民・安住氏「容認できない」

こちらが該当のシーン。立憲民主党の公式アカウントが、誇示するように動画を作って拡散してますが、

<以下略>

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いやはや、日本の国会のひどい有り様は、一体誰の責任なんだと言いたいのですが、与党諸氏は「野党がダメだからだ!」と言い、野党諸氏は「与党がダメだからだ!」と叫ぶのでしょう。

しかし野党議員である音喜多氏は「安倍首相もダメだが、それ以上に野党がダメなのでないか?」と思われているようです。
そして私も同感なのです。

そして私はそこに「マスコミも全然ダメだ!」と言いたいのですが、当のマスコミさんは当然ですがそんなことは言わないのです。

いやいや、そこへもってきて野党支持評論家氏などには、「国民がダメだからダメ与党を選ぶのだ」と言う人もいるのですが、もちろん、与党であれ野党であれダメ政治家を選んでいるのが国民なのですからそれもまたある意味正しいと。

いや、誰がダメなのかは措いておくにしても、とにかく「国会がバカ」状態なのは否定できない事実であることは間違いないのでしょう。

もはや溜め息しか出ないと・・・。

ご紹介まで。

 

2月12日(水)

【内閣改造という悪習】

評論家の池田信夫氏が、長期政権を維持する一つの要因として「内閣改造」があると喝破し、それを「悪習である」と断罪しているのです。

非常に説得力のある論考でしたのでご紹介したいと。

◆アゴラ◆
「内閣改造」という悪習が無能な長期政権を生む
(池田信夫 2020年02月11日)
北村誠吾地方創生担当相(72)の答弁をめぐって、国会が紛糾している。野党は新型肺炎もそっちのけで彼の失言を引き出すことに熱中し、答弁を補助する官僚の「政府参考人」にも反対している。

こういう騒ぎは珍しいことではない。55年体制では野党が「爆弾質問」を出し、閣僚がそれに答えられないと審議を止めることは日常茶飯事だった。その対策として、局長級の官僚が政府委員として国会に出席する慣例ができた。

これが政治家の官僚依存をまねき、「それは大事な問題ですから政府委員に答弁させます」という閣僚も出てきたため、2001年に政府委員は廃止された。これは政治主導という理念からは当然だが、北村大臣のように当事者能力のない閣僚が多いため、官僚が答弁を準備して「大臣レク」する負担が増えた。

去年の森ゆうこ事件でも問題になったのは、このような国会運営の矛盾が霞ヶ関の現場を疲弊させているということだ。この問題を解決する方法は二つある。

1.政府委員を復活し、局長級の官僚が答弁する
2.官僚を排除し、自力で答弁できる専門家だけを閣僚にする

現状を考えると1しかないが、これだと55年体制に逆戻りだ。小泉内閣で政府委員を廃止したとき、想定していたのは2の方向だった。小泉首相は「1内閣1閣僚」として内閣改造は行なわない原則を掲げ、初期には閣僚の派閥推薦も受けず、当選回数と関係なく有能な人材を配置した。

しかしこれは長く続かず、第1次安倍内閣以降は昔の自民党に戻ってしまった。北村氏のように実績のない政治家にとって大臣ポストは選挙で生き延びるために必要であり、地方創生のような軽いポストなら、普通は問題が起こらない。ところが北村氏は公文書管理の担当だったため、桜を見る会の騒ぎの当事者になってしまった。

こういう問題が起こる根本的な原因は、内閣改造という悪習にある。

[…略…]

人事で求心力を維持するのは、長期政権を維持する強力な武器である。無能な閣僚が「みこし」として官僚機構に担がれると大きな決断はできないが、対米従属に徹すれば、国内政治で何もしなくてもアメリカの支持で党内基盤は守れる。この点でも、安倍政権は佐藤政権に似ている。

野党もこの悪習を批判しない。北村氏のような閣僚は、野党の絶好の餌食だからだ。無能な閣僚が無能な野党の揚げ足取りを誘発して空転する国会が、日本の政治が停滞する大きな原因である。<了>

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いや、日本の政治が戦後長い間ダメダメであったのには、いくつもの要因があったのでしょう。それは決して与党自民党だけがダメであった訳でも、野党(社会党など)だけが悪かった訳でもなく、双方に五分五分のダメさと、同時にマスコミのダメさもあり、さらに国民の側にも何らかのダメさがあったということだろうと思われるのです。

政権が長期であること自体は、それを「いいこと」であるとも「悪いこと」であるとも評せないのですが、いずれにしても「ダメ人材を大臣に任じざるを得ない」ようなことなら、それはもう「ダメなこと」であると断じざるを得ないのです。

本当に優秀で有為な人材が長く要職にあることはいいことですが、そういうことにならずにコロコロと大臣の首を挿げ替えることは、まったくダメなことであると。(例えば、グッジョブをしていた河野外務大臣をなぜ防衛大臣に配置換えしなければならないのかとか)

しかし、もし安倍首相が「そういうことでしか延命できないのだ。そしてそうすることが日本国にとって一番いいことなのだ」と認識して、そのダメ人事をあえてやっているのだとするなら、それもまた違うだろうと。

いずれにしても、そういうダメ内閣改造をいつまでもやっているのですから、ダメ自民党であると言いたくなるのです。

そしてそれをきちんと追及しない野党もマスコミも、結局同罪であると。

ご紹介まで。

 

2月10日(月)

【メディアの偽善とイラン政権の人権弾圧】

気鋭のイスラム研究者、飯山陽女史がNewsweek誌に寄稿した一文が、メディアの怠慢と偽善を鋭く抉っておりまして、ご紹介したいと。

◆Newsweek◆(ニューズウィーク日本版)
イランで迫害されるキリスト教徒を顧みないメディアの偽善
(飯山陽 2020.02.07)
<「棄教者は神と体制への反逆者」とされるイラン――信教だけでなく、表現や報道など自由を求める者たちが容赦のない口封じに遭っている>

反体制デモの続くイランで、メアリーの名で知られる21歳のキリスト教徒女性が当局に拘束されたと伝えられた。イスラム教からキリスト教に改宗した大学生の彼女は、SNSでの体制批判で知られていた。テヘランで拘束される直前にも、イラン人は体制が読ませたいニュースだけを読まされるという「ソフトな弾圧」に直面している、とツイートしていた。

イランではイスラム教を棄(す)て他の宗教に入信することは禁じられている。メアリーはキリスト教への改宗を理由に投獄された10人のイラン人についてツイートしたところ、昨年12月21日に大学から追放処分を受けた。1月12日に当局による拘束が伝えられた後、彼女の消息は完全に途絶えた。

キリスト教徒の迫害を監視するNGOオープン・ドアーズによると、2018年末からの1年間にイランで宗教を理由に拘束されたキリスト教徒は169人。同NGOが1月に発表した世界のキリスト教徒の迫害状況を報告する「ワールド・ウォッチ・リスト」で、イランは世界で9番目に迫害が苛烈な国とされた。上位10カ国にはアフガニスタン、ソマリア、リビア、パキスタン、イエメンなどイスラム諸国が並ぶ。

世界で昨年1年間に攻撃された教会などキリスト教関連施設は9488カ所、宗教を理由に投獄されたキリスト教徒は3711人、殺害されたキリスト教徒は2983人とされる。サハラ以南のアフリカでのイスラム過激派によるキリスト教徒への暴力の急増も指摘された。

■レイプ犯を銃殺した女性が絞首刑に
昨年末、「イスラム国」は指導者バグダディの死に対する報復として、ナイジェリアでキリスト教徒11人を横並びにし斬首する映像を公開した。1月18日に「イスラム国」が公開した映像では、覆面をした戦闘員が「全世界のキリスト教徒」に対して報復を宣言し、キリスト教徒を銃殺した。

キリスト教徒の信仰の自由が政府の規制や過激派の暴力で著しく制限されている例は、イスラム諸国では枚挙にいとまがない。

米国国際宗教自由委員会(USCIRF)は昨年9月の報告で、世界で最も迫害されている宗教の信徒はキリスト教徒であり、その迫害は加速していると警告した。だがメディアはキリスト教徒の迫害の実態をほとんど伝えない。

メアリーが訴え続けたように、イランには宗教の自由も、表現の自由、報道の自由もない。そうした自由を行使する者は、体制によって強制的に口を封じられる。女性は頭髪を覆うスカーフを取り外しただけで拘束され、同性愛者は処刑される。昨年12月には自分をレイプしようとした男を銃殺した女性に対し絞首刑が執行された。ハサン・ロウハニが大統領になって以来、処刑された女性は98人に上る。

■人権侵害にも見て見ぬふり
1990年にイスラム教の棄教を理由に絞首刑に処されたイラン人牧師フセイン・スードマンドの家族は今年に入り、マシュハドにあった彼の墓がいつの間にか撤去され更地にされたと訴えた。体制は家族が墓で彼を悼むことも認めない。棄教者は神と体制への反逆者だからだ。

年末年始にかけ、イランとアメリカの対立をめぐる問題は日本でも大きく報じられ、アメリカを責める論調が目立った。しかし、イランの体制に抑圧され犠牲となっているイランの市民はほぼ一顧だにしない。

トランプ政権の権力乱用を批判するリベラルメディアは、イランの体制の権力乱用、人権弾圧からは目を背ける。彼らはイランの体制を擁護し、自由や人権のために立ち上がる市民を見捨てている。

この偽善は深刻だ。

<本誌2020年2月11日号掲載>

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私たち日本人は、これまでいつだってイランなどのイスラム教徒に対して寛容でナイーブな対応をしてきているのです。

しかし、一般民衆がそういう「優しさ」をムスリムに対して見せることは良きこととして評されても、しかし日本のメディアがイランで行われている前時代的な愚かな弾圧と迫害を見許すとするなら、それは違うと言われなければならないのです。

善良なイスラム教徒と、悪辣なイスラム政権とを、明確に区別してこれを見ないといけないと女史は指摘するのです。

ご紹介まで。

 

2月9日(

【「日本こそ中華文明の継承者だ」の件】

私は知らなかったのですが、今回の新型コロナウィルス問題で日本は中国に大量のマスクなどの支援物資を送っているそうなのです。

で、その支援物資を入れた箱に、なんとも粋な一文(漢詩)が添えられていたとかで、中国でそれが話題になっているとか。

「山川異域 風月同天」
(山河は違えど、風も月も同じ天の下で繋がっている)

◆パンドラの憂鬱◆
中国「日本こそ中華文明の継承者だ」 1000年の時を超えた日本からのメッセージに感動の声が殺到

新型コロナウイルスの感染による肺炎の影響で、現在多くの地域でマスクや防護服などが不足している中国。日本からも企業や各自治体から支援物資が送られていますが、そのうち、中国語の検定試験を主催する日本青少年育成協会は、マスク約2万枚と赤外線体温計を提供しています。

そして、その支援物資を入れた箱には「山川異域 風月同天」の文字が(「山河は違えど、風も月も同じ天の下で繋がっている」という意味)。日本の長屋王が中国の鑑真に贈った1000着の袈裟に刺繍された漢詩の一部で、
これに心を動かされた鑑真が、日本行きを決意したとされています。

1000年以上の時を超えて再び送られた日本からのメッセージに、中国の人々から感動の声が殺到しています。その一部をご紹介しますので、ごらんください。

翻訳元■■■■

■ なんて美しい詩なんだ!!! +371

■ 「山川異域 風月同天」
  この漢詩のレベルの高さよ。
  詩人を標榜してる現代人は裸足で逃げ出すんじゃないか? +4012

■ 日本人は中国人より古代中国の漢詩や古典を理解してると思う。 +67

■ この詩に鑑真大和上が感銘を受けたって聞いた事がある。
  そして海を渡って日本に行く事を決断したらしい。 +6917

■ この漢詩を添えることを思いついた人は本当に凄い! +36

■ 高い教養を持つ人達というのは、粋な事が出来るもんだねぇ。 +20

■ 大和民族こそ漢と唐文化の継承者。 +4606

■ 今の中国人は日本人ほど漢詩に詳しくない。はぁ。。。 +9

■ 最近日本関連のニュースはやたらポジティブなものが多いな。
  そして俺はその傾向を嬉しく思ってる。 +33

■ 反日ドラマはもう放送しないでくれ!
  憎しみを植え付けるようなことはもう十分だ! +3309

■ 「山川異域 風月同天」
  英語だと表現がかなり難しいだろうと思う。 +12343

■ 英語だとこんなところか。
  Boarders set by mountains and rivers,
  but winds and the moon unite us under the same sky. +980

■ 英語にすると一気に趣がなくなるな……。 +9

■ この詩はただ英語に訳しても伝わらないよ。
  漢詩を読んだ時には「山月」で各地の風景を思い浮かべたり、
  「風」で敦煌の風砂を思い浮かべたりするものなんだ。
  中国人と日本人にはその含みの部分が理解出来る。 +363

■ 日本製不買を訴えてる人間は日本製のマスクを使うなよ。 +6713

■ 日本は古代中国の魅力を本当に多く残してるね。 +92

■ 漢字を捨ててしまった国には理解出来ない教養がこれ。 +96

「全文ひらがなは悪夢」 日本は漢字を廃止にするべきかどうかで外国人激論

■ 日本人と中国人の教養の差を思わずにはいられない。 +12

■ 漢と唐の文化は、もう日本にしか残ってないんだなぁ。 +10

■ 中国の事を世界で一番良く知ってる国は日本だ。
  つまり絶対に油断出来ない相手という事でもある。 +57

■ あまりにも美しい。
  1000年以上前に鑑真が仏教の発展の手助けのために海を渡って、
  今度は日本が中国を助けるために手を差し伸べてくれたんだね。 +66

■ こういうのを見ると、日本はアジア文明の光だって思うわ。 +13

■ 日本を韓国・台湾・香港と一緒にしてはいけない。 +50

■ ところで、「大東亜共栄圏」って悪くない名前だよな。 +10

■ いい詩だ。やはり日本こそが中華文明の真の継承者だな。 +10

■ インドで誕生した仏教を、日本人がより深く理解する手助けをするべく、
  中国出身の僧侶が海を越えて日本に渡った。
  ロマンを感じずにはいられない。 +22

■ 客観的に見て、建国以来中国は日本のお世話になってばかりだ。 +210

■ 告白しよう。俺は今、日本が大好きだ。
  言いたいのはそれだけ。
  よっしゃお前ら、好きなだけ叩けや。 +34

■ 古代中国の美しさを最も堪能出来る国は、日本だ。 +21

<以下略>

*******************

ご紹介まで。

 

2月7日(金)

【シニア婚が増えている件】

前回、孤独死が増えているという記事をご紹介したのですが、世の中では「シニア婚」が近年増えているというレポートを見かけまして、こちらもご紹介したいと。

◆BKOGOS◆
“終活”へ恋愛楽しむお年寄り シニア婚活市場はにぎわうも、子どもや社会の理解は不十分
(篠藤ゆり 2020.2.7)
~愛と経済~
幼い頃の初恋に、高齢者の熟年離婚ーー。「愛」には人それぞれ様々なかたちがあり、なかなか一言では語れないものです。これらを経済という観点から見たとき「日本人のイマドキ恋愛・結婚事情」が見えてきました。バレンタインデーの季節に、いま一度、色んな愛のかたちについて考えてみませんか。

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人口減とともに、加速する少子高齢化。65歳以上の人が人口に占める割合を示す高齢化率は2018年10月時点で28.1%と、1950(昭和25)年の4.9%から大きく伸びた。

これと並行して、独居の高齢者の数も増えている。内閣府の調査によると、1980年には約88万人だったものの、2010年には約593万人と7倍近くまで激増。離婚や死別、さらには熟年離婚の増加など背景は様々だ。

一方、こうした状況でにぎわいを見せているのが“シニア婚活市場”だ。現場の様子をのぞくと、75歳以上の後期高齢者となって新たなパートナーと出会うケースも珍しくない。「高齢になって一人意味でいる寂しさ」というシニア特有の事情が浮かんできた。

[…略…]

■10年間で会員数は約35%増 背景に東日本大震災

■増える70歳代の利用 離婚や死別経てなおパートナー探し

■入籍にこだわらないシニアのカップル その背景は

■年を重ねて一人の寂しさは当事者にしかわからない

■パートナーを得ることで残りの人生がより豊かに

■心配は子どもとの関係 結婚への理解、財産トラブルは…

■シニア婚活は“終活” 世の中の理解が可能性広げる
――著書では「シニア婚活は“終活”」と記しています。

この先、年を取れば心細さは増していきます。その時に手を取り合う人がいたら、人生が豊かになっていくと思います。婚活パーティに参加していた男性から聞いた「この歳での婚活は、ある意味で究極の終活」という言葉から、前向きでポジティブな考え方を感じました。

――シニア婚活をめぐる改善点はどういったものでしょうか。

子ども側の感覚に代表されるような、シニア婚活への認識の点でしょうか。世の中が全体的に「シニアの結婚か。そういうことも全然ありだな」って思えるようにならないと、当事者が気を使って躊躇してしまいます。実際に、子どもに気を使って泣く泣く我慢するケースもありました。

しかし、これから先、長生きする時代なので、一回の結婚で終わらない人もいるだろうし、若い頃は世界中を飛び回って結婚する暇がなかった人もいるかもしれない。何歳でも伴侶を見つけるという事は普通なんだと考えられるようになるといいなと思います。<了>

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先日、日曜夜、テレビで「ポツンと一軒家」なる番組を見ていたのですが、三重県の田舎の山の中のポツンと一軒家のその住人はいかにもご夫婦のような70歳代の男性と80歳代の女性の2人暮らしだったのですが、実はご夫婦ではなかったという。

何やら「事実婚」とでも言うのでしょうか、籍は入れていないが実質上の夫婦の暮らしなのです。

男性はバツイチで、女性は旦那を病気で亡くしていたのです。
その男性が60歳頃、女性も60過ぎで二人は認め合って共に暮らすようになったとか。(ともに子どもは別にいるのでした)

昔と違いまして、今は本当に寿命が延びてもう90歳オーバーの人などたくさんいるのです。

その人たちが幸運にも夫婦ともどもにあるのならいいのですが、片方を病で失う人も多いのです。(もちろん離婚組も多いのですが)

もしそれが50歳代、60歳代なら、残りの30年、40年を一人で生きていかなければならないのです。
それは確かにいかにも辛い話になるのです。
昔なら、(もう残り少ない人生だし、いいか・・・)となっていたのかもしれないのですが。

そういうことで、確かにシニア婚も世の中に増えて行くのでしょうと思うのです。
いや、正式な結婚という形態でなくてもいいと思えるのです、事実婚のような形でも。

そしてそれはいいことに違いないのです。
何より、孤独死を防ぐためにもいいことに違いないのです。

いやはや、「働かざるもでも食っていい」世の中になるの遠い未来でなく、そして「60歳代になって第2のロマンス」があってもいい時代になっているのです。

時代の変化は凄いなと。

ご紹介まで。

ではでは。

 

2月5日(水)

【孤独死が増えている件】

世の中新型コロナウイルスの件で、テレビのワイドショーなどはもちきりなのですが、世の中の問題はもちろんそれだけではないのです。

たとえば以下の記事に書かれてある事態なども、今後の日本社会の克服するべき難しい問題の一つなのでしょう。

ご参までにご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
孤独死する男性は「女性の3〜4倍」現場を見てわかった切ない理由
~亡くなった部屋に遺されていたもの~
(菅野 久美子 2020.02.04)

年間孤独死約3万人、孤立状態1000万人――。それがわが国が抱えている偽らざる現実だ。

筆者は特殊清掃現場を取材することで、孤独死という現象と向き合ってきた。その壮絶な「死」の現場から見えてきた日本社会が抱える問題点をリポートする。

■妻を亡くして
武蔵シンクタンクの塩田卓也氏は、原状回復工事に関わって10年以上になる。

この日、塩田氏は関東某所の賃貸マンションに向かっていた。そこは築50年は下らない鉄骨造の四階建てのすすけたマンションだった。ベランダや廊下は塗装が剥がれていて、一見廃虚のようだ。

マンションを囲むように作られたコンクリートの外構部分は、その上部まで大量のごみで溢れていて、足を踏み入れることとすら難しかった。一部の生ごみには野良猫たちが群がっている。このマンションは、近所でも有名な猫屋敷として知られていたようだ。

共有部分の廊下にもビニール袋に入ったゴミが幾層にも山積している。ゴミの中はコンビニの弁当のプラスチックや、スーパーの総菜の食べかすなどで、独特の腐敗臭を放っていた。亡くなったのは、この物件の持ち主で、70代の大家の男性である。

このマンションの居間の一室で、ゴミの中央に埋もれるようにして、男性はひっそりと孤独死していた。

遺族の話では、男性の様子がおかしくなったのは、数年前に妻を亡くしてからだった。

[…略…]

■「緩やかな自殺」へ向かう人たち
近所の住民の話では、夫婦はこの賃貸マンションを経営する大家で、妻は町内でも人気者だったが、一方の男性は、寡黙で内向的な性格だったという。マンション自体、手入れが全く行き届いていなかった様子で、男性の妻が亡くなってから、入居者も募集しなくなった。

男性にとって妻の存在は、計り知れないほどに大きいものだったに違いない。

「孤独死の現場で長年仕事をしていますが、男性の孤独死は女性に比べて、3倍ほど多いんです」

と塩田氏は語る。

妻との死別後、孤独死する男性は少なくない。伴侶を失ったという精神的ショックももちろん大きいが、男性のように妻を媒介にして社会と接点を持っていた人の場合、妻という拠り所がなくなると生活が荒れたり、ゴミを出す気力すら奪われる「セルフネグレクト」(自己放任)という状態になりやすい。

セルフネグレクトに陥ると、部屋がゴミ屋敷化したり、不摂生、医療の拒否などで健康を維持することができなくなるため、別名「緩やかな自殺」とも呼ばれている。

親族との死別や離婚、退職などをきっかけにして、精神的にも肉体的にも一気に崩れ落ちてしまうのだ。このセルフネグレクトが、孤独死の原因の8割を占めるとも言われている。

[…略…]

もちろん、一概に孤独死といっても、原因は個々の事情によって様々だ。しかし、孤独死の現場と向き合っていると、これだけの多くの人々が、日々誰にも看取られず亡くなっているという現実に打ちひしがれそうになる。

国はまず孤独死をきちんと定義づけ、実態把握をするべきできないか。そして、国家ぐるみで対策を立てるべきときにきていると、思わずにいられないのである。<了>

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いや、本当にどういう対策が必要なのでしょうか、政治家にはこういう問題についてもきちんと取り組んでもらいたいものだと。

ご紹介まで。

 

2月3日(月)

【ホワイト・プロパガンダが必要な時代】

気鋭の女性評論家、藤原かずえ女史のブログに鋭いマスコミ批判がUPされておりましたのでご紹介したいと。

◆マスメディア報道のメソドロジー◆
風評被害が生じるとする風評を流す朝日新聞-ナッジ理論の悪用
(2020.02.02)
2020年1月31日、経済産業省の有識者小委員会がトリチウム処理水について、海洋放出の優位性を示した取りまとめ案を概ね承認しました。これに対して、朝日新聞は2020年2月1日の社説で「風評被害が生じる恐れがある」「地元との対話に、政府が海洋放出ありきの姿勢で臨めば反発を呼ぶだろう」とする見解を述べています。これは朝日新聞の以前からの一貫した主張であり、非論理的な海洋放出反対の世論形成に大きな影響力を与えています。この影響力の背景には、行動科学分野で注目されている「ナッジ理論」の悪用があると考えます。
<冒頭写真は産経ニュースから引用>

■ナッジ理論とは
【ナッジ理論 nudge theory】とは、シカゴ大学のRichard Thaler(経済学)と Cass Sunstein(法学)の著書 “Nudge: Improving Decisions About Health, Wealth, and Happiness (2008)” によって広く知られるようになった著名な行動科学のアイデアです。

【ナッジ nudge】とは、行動の選択を禁じたり、インセンティヴを大きく変えることのない予測可能な方法で人間の行動を変える【選択アーキテクチャ choice architecture】です。簡単に言えば、人に何かを強制的にやらせるのではなく、背中を軽く押すことによって人に何かをするよう誘導する間接的情報をさす概念です。このような強制的でなく影響を与える行動は【リバタリアン・パターナリズム libertarian paternalism】と呼ばれます。人はナッジに誘導されているにも拘らず、自由意思で物事を選択した気になるのです。

ナッジの例としてよく挙げられるのが、男子トイレの便器に貼られている[ハエのシール]です(念のため、私は実物を見たことはありませんがwww)。アムステルダムのスキポール空港では、男子トイレの小用便器にこのシールを貼ったところ、清掃費が8割減少したそうです。男子の皆さんは、清掃費用削減のために、「何かしろ」と言われることもなく、何かを誘導させられたのです(笑)。

ナッジ理論では、複雑なアルゴリズムによって答えを出すのではなく、アルゴリズムの要所のみを使った単純な形で迅速に答えを出す【ヒューリスティック heuristics】という人間の思考回路が利用されます。上述のハエのシールの例では、いち早く得た情報を重視して意思決定する【能率的ヒューリスティック fluency heuristic】が利用されています。

■ナッジ理論を悪用する朝日新聞社説
朝日新聞はトリチウム処理水に関する経済産業省の小委員会の提言に対して次のような社説を書いています。
【…略…】

■ナッジにつられる小泉環境大臣
風評被害が発生する必要条件は、風評が発生することです。その風評を全力で抑止する最終的責任は政府にあります。経済産業省は風評の払拭をマスメディアを通して大々的に行うべきですが、まだ、そのような姿勢は見えてきません。その一方で、環境大臣が「風評被害が生じる恐れがある」というナッジを否定せずに、逆に助長しているのは不合理そのものです。2019年9月13日、小泉進次郎環境大臣は風評を払拭する努力をした原田義昭前環境大臣の海洋放出発言を漁連の組合長に謝罪し、風評被害の可能性を肯定しました。
【…略…】

安全性に関する科学的な論証を無視してこのような【同情に訴える論証 appeal to pity】を続ける限り、この問題は解決せずに長引くばかりです。今の政府に必要なのは、細野豪志議員の[主張]のような理路整然とした言説を正々堂々と大衆に向けて【ホワイト・プロパガンダ white propaganda】することに他なりません。

■常態化するマスメディアによるナッジ理論の悪用
【…略…】

■悪質なナッジに騙されないために
本来、ナッジ理論は、個人の偏見や先入観を除去して合理的な行動に誘導することを目的としたポジティヴな考え方です。それが日本のマスメディアによって悪用されている現状は憂慮すべきと言えます。このような悪質なナッジに騙されないためには、「私達の選択によって何かしらのネガティヴな事象が発生する可能性がある」とするマスメディアの言説に対して細心の注意を払い簡単に同意しないことです。私達が風評を振り撒かなければ風評被害は発生しませんし、批判すべきでないものを批判しなければ不公正な状況は発生しません。マスメディアはときに私たちを発信源とする【ブラック・プロパガンダ black propaganda】を実行しようとしているのです。試されているのは私達のメディア・リテラシーに他なりません。<了>

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藤原女史のマスメディア批判や日曜朝の『サンデーモーニング』批判はいつも痛快そのものなのです。

そしてそれが単なる感情的悪口のようなレベルの低いものでなく、心理学やマーケティング理論などの学的な裏付けのあるロジカルなものであるところが注目されるのです。

今回はその中でも【ホワイト・プロパガンダ white propaganda】、【ブラック・プロパガンダ black propaganda】なる言葉があることを知りまして新鮮だったのです。

そして今やホワイト・プロバガンダが必要な時代なのだとのご主張に「なるほど…」と感心したのです。

ご紹介まで。

 

2月2日(

【トランプ氏よりヒラリー女史の方が良かったのか…】

評論家の川口マーン恵美女史が、ドイツからとても興味深い記事を現代ビジネス誌に寄稿されていましたので、ご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
メディアと政治家の「トランプ嫌い」はトランプ本人よりもタチが悪い
~イラン司令官殺害に関して思うこと~
(川口 マーン 惠美 2020.1.31)
■アメリカの「作戦」は合法か
 2011年、アルカイダのウサマ・ビン・ラーディンが米軍の特殊部隊によって殺された時、ドイツメディアはそれを褒め称えはしなかったものの、たいして非難もしなかった。やり方は少し乱暴だが、ようやくテロリストの親玉が成敗されたという評価だったように思う。
 また、やはりアメリカが主導した同年のリビアや、2003年のイラクでの武力介入に対しても、それほど強硬な非難はなかった。
 私は、それが妥当だと言いたいわけではない。先日の、イランの革命防衛隊「クッズ」部隊の将軍、カセム・ソレイマニ殺害についての反応が、あまりにもこれまでとは違ったということを言いたいのだ。

なぜか? それは、作戦を主導した人の名がオバマでもブッシュでもなく、トランプだったからではないか。

[…略…]

しかし、一つだけ確実なのは、イランというのは、16歳の女の子をクレーンにぶら下げて処刑したり、同性愛者を死刑にしたりする国だ。ハメネイの甥の一人はパリに亡命しており、「殺人は、彼らが政権を取った最初の日から始まった。違うことを言った者は、ターバンを巻いていようが、ネクタイをしていようが、神の敵とみなされる。イスラムのエリートたちにとって、暴力は慣習、あるいは義務である」と述べている。

EUの政治家やジャーナリストたちは、トランプ憎しのあまり、何か勘違いをしていないだろうか。<了>

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それはそうとしまして、アメリカではアイオワ州とニューハンプシャー州で予備選が始まるようです。
大統領選の行方を占うとても重要な2州の選挙戦のようです。

とりあえず弾劾裁判も大方の予想通り「無罪」で終了するようでして、最終的にはトランプ現職大統領の再選が有力と見られているのです。

ですがそれがアメリカにとって、そして世界にとって「いいこと」なのか「悪いこと」なのか、その判断はきわめて難しいことになるのです。

今現在、イギリスがついにEUを離脱したのですが、それもイギリス国民にとって「いいこと」なのか「悪いこと」なのかの判断は、実はかなり難しいことになっているようなのです。

私自身、あのイギリスの国民投票で離脱派が勝利した時には、「イギリス国民もバカだよなぁ…」と単純に思っていたのです。
そして同様に、アメリカ国民がヒラリー女史でなくトランプ氏を大統領に選出した時も、「アメリカ、大丈夫なのか?あんな男を選んじまって…」としてその選択を愚かなことと判断していたのです。

ですが、本当にアメリカは「ヒラリーよりトランプを選んだことがダメ選択だったのか?」、イギリスは「ブレグジットするよりしない方が本当に良い選択だったのか?」と問われるなら、今現在ではどうもそうと断言できないような状況になっているのです。

むしろ結果的にその方が良かったのでないか、という見方すらあるのです。

ひょっとすると、両方とも結果として「塞翁が馬」のようなことになっているのかもしれないという・・・。

 

世の中の進歩的文化人諸氏は、こぞって安倍政権の「桜を見る会」のダメさを追求し、野党政治家ともども「そんな政権は一日に早く引きずりおろせ!」とテレビで、国会で叫んでいるのですが、果たしてそれが「正解」なのでしょうかと・・・。

私自身、ブレグジット問題とアメリカ大統領選問題では、底の浅い判断しかしていなかったと反省するのです。

世論が、国民が、常に愚かな判断をする訳でもなく、優秀な評論家や知識人たちが常に正しい判断をする訳でもないのだと、そこを踏まえて世の中のことを見て行かなければならないのでしょう。

いや、政治は難しいものであるのです。

そしてドイツ国民、日本国民以上に賢い生き方をしていると自負しておられるようですが、そのトランプ嫌いの徹底ぶりを見ていますと、(ちょっと危ないのでないか・・・)と心配になったりもするのです。

ご紹介まで。

 

1月31日(金)

【地球温暖化は本当に大問題なのだろうか?】

世の中、中国初の「新型肺炎問題」でてんやわんやの大騒動なのです。

ですがそれはおそらくしばらくすれば収束して行くでしょうから、それほどの大問題とも言えないような気がするのです。

地球温暖化についてはそれと比べものにならない大問題なのですが、世の中(世界的にも)どうも誤った方向で大騒ぎし過ぎているように思えるのです。

私は個人的にはこの点では池田信夫氏や武田邦彦氏の見解に大いに共鳴するのですが、世の中的にはまだごく少数派なのだろうと思われるのです。

先日(27日)池田氏がアゴラ誌上に以下の一文を寄稿しているのですが、IEA(国際エネルギー機関)の最新レポートなようでして、話題になっているそうですのでご紹介したいと。

◆アゴラ◆
地球温暖化のスピードは減速する
(2020年01月27日 池田信夫)
昨年11月に発表されたIEA(国際エネルギー機関)のWorld Energy Outlookが、ちょっと話題を呼んでいる。このレポートの地球温暖化についての分析は、来年発表されるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書に使われるデータベースにもとづいているので、その先行リリースともいえるものだが、これまで悲観的になる一方だった推定が楽観的になっているのだ。

2013年に発表されたIPCCの第5次評価報告書の最悪のRCP8.5シナリオ(温暖化対策なし)では、2100年の地球平均気温は2000年から2.6~4.8℃上昇すると推定されていた。この4.8℃がマスコミによく出てくる数字だが、今回のIEAの推定では、これが大幅に下方修正されている。

IEAの推定は2040年までだが、このCO2増加率がそのまま2100年まで続くと想定したHausfather-Ritchieの推定によると、図1のようにCO2の実質排出量は、IPCCの”No Policy”シナリオ(RCP8.5)の半分以下になる。

<以下略>

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◆池田信夫blog◆
地球温暖化は先進国では大した問題ではない
アゴラで紹介したIEAのレポートは、色々な反響を呼んでいる。従来0.6℃から6℃まで大きな隔たりのあった温暖化予測(産業革命以降)が、最大でも3℃上昇に縮まったことは、各国の政策協調にとっても望ましい、とWSJは歓迎している。

だがベストセラー”Uninhabitable Earth”の著者Wallace-Wellsは困惑している。それでは「地球はもう住めなくなる」という彼の本が売れなくなるからだ。

これまで地球温暖化に悲観的だったIEAの予測が大きく変わった最大の原因は、再エネ(特に太陽光発電)の爆発的な普及だが、もう一つの原因は天然ガスの急成長である。2000年代から始まった「シェール革命」で天然ガスの生産量は倍増した。

今後のエネルギー消費の増加の49%を再エネが占め、30%を天然ガスが供給するだろう。石炭の消費量は2014年をピークとして下がり始め、2030年には天然ガスが石炭を抜く、とIEAは予測している。同じころ再エネが原子力を抜いて非化石電源の主役になる。

これは人類にとってはグッドニュースだが、「このままでは人類は滅亡する」と騒いできたWallace-Wellsのようなアラーミスト(警告派)にとってはそうではない。今後2℃ぐらいの温暖化は、先進国では大した問題ではないからだ。

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はてさて、真実はどこにあるのでしょうか。

グレタさんを擁して、CO2悪玉説でがんがん攻撃してくる欧米系環境活動家の派手な行動が、世界的に多いに賛同者を集めて一大ムーブメントになっているようなのですが、日本では意外とそういう動きに眉を顰める大人も多いように見受けられて、私としてはいいことだろうなと思えているのです。

ご紹介まで。

 

1月29日(水)

【日本の土地が外国人にどんどん買われる件】

最近、韓国からの訪日旅行客が激減しているようですが、対馬も例外ではないようです。
ですが、その対馬では今でも土地が韓国人によって買われ続けているとか。
そういう気になる記事を見かけましたのでご紹介したいと。

◆NEWSポストセブン◆
韓国人客が消えても土地買収は続く…国境の島・対馬の現在
●取材・文/池田道大(フリーライター)2020.1.26.
「昨年9月と12月に対馬を訪問した際は島から韓国人旅行客が消えており、常駐しているはずの観光バスも見当たりませんでした。そんな対馬を見るのは初めてでした」──そう語るのは、『爆買いされる日本の領土』の著者で、産経新聞編集委員の宮本雅史氏。

 2019年に日本を訪れた韓国人旅行客は、前年比26%減の558万人だった。昨夏以降、韓国を席巻した「NO JAPAN」運動により、日本旅行を取り止めるケースが続出したためだ。

 その影響が直撃したのが、日本と韓国の国境に位置する離島・対馬(長崎県対馬市)だ。2018年に約41万人に達した対馬への韓国人旅行客は、日本製品の不買運動がスタートした昨年7月以降激減し、9月には前年同月比9割減となった。

 2008年から対馬を何度も訪れて、島の移り変わりを定点観測している宮本氏にとっても、今回の異変は予想を上回るものだった。

 その一方、 宮本氏が「いまも気がかりです」と語るのが、韓国資本による不動産買収だ。

「これまでも対馬は韓国資本による民宿や民家の買収が盛んでしたが、いまも水面下で買収が進んでいます。昨年の訪問時に現地の住民は、『この1年間でますます不動産買収が進んだ。10軒以上の民宿が買収された地域もあるし、20軒以上の民家に韓国人が住んでいる地域もある』と語りました。

 なかでも驚いたのは、島の中心地・厳原町に『民団長崎県対馬支部』という看板を掲げた建物が出現したことです。在日韓国人でつくる在日本大韓民国民団の長崎県地方本部対馬支部のことで、2018年10月に設立されたとのことです」(宮本氏)

 厳原町から福岡までは約138kmだが、島の北部の比田勝港から韓国の釜山までは最短距離で約50kmしかない。このため釜山と厳原を結ぶ国際航路が就航した1999年以降、韓国人旅行客は右肩上がりで増加した。時を同じくして韓国資本の進出が加速し、ホテルや民宿、釣り宿が次々と買収された。いまや厳原の歓楽地・川端通りや、比田勝港の国際ターミナル前には、韓国語の看板がズラリと並ぶ。

「好立地にあるホテルや飲食店は韓国資本が増えており、『川端通りはアリラン通りだ』と語る飲食店経営者もいます。そんな状況下、韓国人旅行客が激減して大きな打撃を被るのは韓国資本ですが、島の活気が失われたことも確か。『この機会に、国は国境離島の経済をどう活性化させるか考えてほしい』と多くの島民が訴えています」(宮本氏)

 国境離島の振興は国にとって大きな課題だ。2017年4月には有人国境離島法が施行され、離島島民が利用する際の航空運賃や航路運賃が大幅に引き下げられたが、宮本氏は「対馬ではこの法律施行は逆効果でした」と指摘する。

「そもそもは離島の生活支援を通じて領海などの保全をめざす名目でしたが、対馬から福岡への飛行機代やジェットフォイル代が4割ほど安くなった結果、博多に出て買い物をする島民が増え、地元の経済活性化にはつながっていません。過疎化や高齢化が進むなか、島を離れて本土で暮らすために墓じまいする島民も現れ、ますます日本人住民が少なくなっています。そうした状況で韓国資本の不動産買収が進むことを懸念する島民が少なくありません」(宮本氏)

 古事記や日本書紀にも登場する対馬は、古代より防衛の要衝として知られる。日清戦争後はロシアに対する前進根拠地として海軍の軍港が整備され、現在は陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊が配備される。2008年に海上自衛隊対馬防備隊本部に隣接する土地が韓国資本に買収され、リゾートホテルが建設された際には大きな問題となった。

 国土防衛の要となる島に外国資本の“上陸”が続く状況に宮本氏は警戒心を強める。

「軍の要衝でもあった対馬の状況は日本の安全保障に直結します。この重要な島から日本人がいなくなり、韓国資本が不動産買収を進めている現状にもっと危機感を持つべきです。島内には海峡を行き来する艦船や自衛隊を監視できる地域が点在しますが、すでにそのいくつかが韓国資本に買われたとの情報もある。日本人は、日韓関係の悪化で韓国人旅行客が減ることばかりに目を奪われず、水面下で起きていることを直視する必要があります」(宮本氏)

 韓国資本の動向に注意を促すことは、ヘイトスピーチのような排他的な思想を意味しない。むしろ問題は日本人の「領土意識」であると宮本氏は強調する。

「韓国資本がルールに基づいて対馬の不動産を買収することを“韓国はけしからん”と非難する気はありません。本質的な問題は、日本人の領土に対する意識が低いことです。外国資本の土地買収を法律で制限していないのは、アジアでは日本だけです。『領土・主権・国民』のひとつでも欠けたら、国民国家は成り立ちません。日本でも早々に、外国資本による不動産買収を制限する法律をつくるべきです」(宮本氏)<了>

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売る側としては、「日本人では買ってくれないので、買ってくれるなら外国人でも有り難い・・・」という感じでしょうか。あるいは、外国人には売りたくないけれど、「背に腹は替えられない」という部分もあるのかもしれませんが。

いずれにしても、北海道でも中国人がどんどん土地を購入しているようでありまして、数年前には「水源地が買い漁られている」という話もあったくらいでありまして、中国人や韓国人が日本の土地を買い漁っているという事実は看過すべからざる事態であろうと思われるのです。

しかし、政治家はどうも鈍感なのか分かっていないのか、野党議員も全然この問題を国会で取り上げようなどと思っていないようなのです。
大丈夫なのでしょうか・・・。

ご紹介まで。

 

1月28日(火)

【働かざる者食うべからず、か・・・】

おはようございます。
朝から小雨の煙る寒い一日です。

先日、ある会合で近未来の社会の在り様について話題になりまして、5G革命の話から自動運転技術の話からシンギュラリティの話から、さらにはベーシックインカムの話までどんどん出まして、とにかく「人間がもう働かなくてよい時代が来るかも」ということにまで至り、皆が「本当にすごい時代だな・・・」と唸ってしまったようなことだったのです。

ほんまに、AIの進化とロボット技術の進歩により、人類は「労働」から急速に解放されつつあり、近い将来には「人間が働かなくてもAI&ロボットによって食料など必要な物資が生産される時代」が来るのは間違いないようなことなのです。

そこにベーシックインカムの制度が導入されることによって、人間は「働きたい人だけが働けばよい」ことになる。つまり、「働かない者でも食ってよい」時代が来ることになるのです。
ということはすなわち、一昔前の価値観である「働かざる者食うべからず」という言葉がまったく意味をもたなくなるのです。

さらには、そうなると、日本国憲法の三大義務の一つとしてとして高らかに謳われている「勤労の義務」が、もはや義務である理由を失うということでもあるのです。
時代は、もう憲法の根本理念までも覆す勢いで変化しているということなのです。

そんな「激変の時代」に、そんな新しい時代を見据えてのまったく新しい「労働観(勤労観)」こそ求められているのですが、いまだ誰もそういう話を大真面目に唱える学者や知識人を見ることはないのです。

それは単に労働観だけがリフォームされなければならないだけでなく、幸福観、倫理観、人間観にまでさかのぼって新たに問われなければならないのですが、きっと今の知識人層もこういう激変の時代に対応しきれていないのだろうと推測されるのです。

これからぼちぼちそういう「新労働観」や「新価値観」、ひいては「新理念」なり「新人間観」というものを打ち出して行く人物が、またそういうことを主張する哲学者が現れてくるに違いないのです。
ですがそれはきっともう団塊世代や私のような60代以上の世代からではなく、30代、40代の若い世代から出てくることは、ま~ず間違いないのです。
私の知る限りでは、京都大学の藤井聡教授などはその最有力候補の学者でないかと思われるのです。(もう50代のようですが…)

それにしても、人はその生きがいや喜びというものの多くが、誰か人さまや社会に貢献することによって得られるものであることは間違いないことでありますので、人が年がら年じゅう自分の趣味や遊びで面白おかしく暮らしていても、そういう遊びの中には真の喜びや生きがいや満足が得られないので、人は「食うために働く」のでなく、「喜びを得るために働く」ということにシフトして行くのだろうと推測されるのです。

そして「働かなくてもいいなら俺は働かないよ…」というスタンスの人間は、働かないままに遊んで日を暮らしていてもそれで咎められることはないという・・・。

つまり、人は何を目的として、何を生きがいとして、何を喜びとして生きるのかということに尽きるのでしょう。
「楽(らく)」だけを求めて生きる人はそれでもよく、「苦を伴うにしても真の喜び」を求めたい人はそれを引き受ければよくと。

少なくとも、もはや勤労は義務ではなくなるのです。

いや、逆に言えば、さらに難しい時代に突入する、ということでもあるのです。
というのも、これまでの時代は、「何も考えなくても、とりあえず生きていくためには働かなければいけないので働く」というスタンスを取り得たのです。
それは「働かないと生きていけない」時代だったのです。それが「働かなくても生きていける」時代になるのです。

「じゃああなたは働く替わりに何をするの?」と問われなければならないのです。

そして本当に人は、遊んでばかりじゃ虚しさが残るのです・・・。

そうですねぇ、私の思うところ、「お百姓さん」の生き方が何か理想的な生き方のように思えるのです。
「晴耕雨読」という言葉があるのですが、そういう「食うための仕事」という概念から解放された、「百姓仕事の中に喜びを見出す」という感じの前向きな労働観でしょうか。

そこへ行くと都会の定年後サラリーマン諸氏は悲劇に近いのです。
なぜといって、毎日が日曜日で、「今日は何をして暇をつぶそうか・・・」という苦難を抱えて生きなければならないのですから・・・。

世の中「新しい時代」を迎えるにはいまだその「精神的準備」すらできていないという。
「科学技術」の進歩が人間の「考え」を置いてきぼりにして突っ走っているかのような状況なのです。そしてシステムが古めかしいままに人を縛っているという。

もはや「革命的変革」が迫られているのです・・・。

 

1月27日(月)

【若い女性がセクシー過ぎる服装をするのは…】

日本版ニューズウィーク誌に載っていた記事なんですが、興味深い話がありましてご紹介したいと。
なんでも「アメリカ版人生相談」という。
それについてちょいと感想を述べてみたく思いまして。(最後に)

◆Newsweek◆(ニューズウィーク日本版)
~スレート誌人生相談員、人生相談からアメリカが見える~
【人生相談】娘の服装が「セクシー過ぎ」だといけないの?(夫は反対するけど)
2020年01月12日(日)

<学校に行くとき以外、ショートパンツにホルタートップ。好きな格好をさせるのは間違いですか──。米小説家ミシェル・ハーマンのアドバイスは?>

Q:私はロサンゼルスに住んでいます。ティーンエージャーの娘2人は制服のある学校に行くとき以外、友人たちと同じくショートパンツにホルタートップという格好をしたがります。夫はそれに反対し、母親の私が服装を管理すべきだというのです。でも、娘たちの格好が「セクシー過ぎる」という批判には、性差別的な考えが透けて見えて、抵抗を感じます。私は場にふさわしい格好をするよう、危ない目に遭わないよう気を配ってはいます(不快な視線を感じたときのためにトレーナーを持ち歩いて、と娘たちには言っています)。

こうした自分の気持ちを夫にうまく説明できません。胸の谷間が見えようと超ミニだろうと、好きな格好をさせるのは間違いですか。
── 自信ある女性を育てたい母

A:ティーンエージャーの娘さんたちが言われるままに「場にふさわしい格好」をし、常にトレーナー持参とは驚きです。お伝えしておかなければなりませんが、それも長くは続かないでしょう。10代の子の服装を管理するなんて、無理な相談です。

たとえ管理できたとしても、夫の考えに潜む性差別に抵抗を感じるのは全く当然です。娘さんたちの体は彼女たち自身のもの。好きな服を身に着ける権利があります。あなたは間違っていないばかりか、夫に対して自分を正当化する必要もありません。

あなたは女性の身体をめぐる原則を本能的に理解しています。それを夫に説明するよりも(彼は娘の身体を管理するのは娘自身という考え方自体に抵抗するでしょうから)、問題は女性が何を着るかではないと言ってみてはどうでしょうか。問題は余計な干渉をする男性にあります。

今日から共に、誰もが理解するまで何度でも声を上げ続けましょう。女性が危険な目に遭うのは服装ではなく、女性に対する男性の振る舞いのせいだ、と。
── ミシェル・ハーマン(小説家、スレート誌人生相談員)

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さて、人は基本的に自由なのです。

もちろん、それが他人に迷惑をかけたり、社会に害悪を及ぼすような振る舞いをすることが自由として認められる訳ではありませんですので、何でもかんでも自由が許される訳でないのは当然なのです。

それでは、「若い娘がセクシー過ぎる服装をしたがる時」、それをいけないことだとして強制して止めることは良くないことなのか、という問いに対して、このミシェルさんのように答えることは「正しい答え」なのでしょうか。

私はちょいと間違っているのでないかと思うのです。

ただ、「強制する」ことが正しいことだとも思わないのです。
そうではなく、「それは良くないことであると教えること」までは正しいことだと言いたいのです。
しかし、親(母親であれ父親であれ)が娘にそれを教えたとき、それでも娘が納得しないで「自由でしょ!」として自我を通そうとするなら、それを「強制して止める」ことまでするのは良くないことだと言いたいのです。

なぜかということですが、まず、1つには「人は人からどう見られているかについて、正確にそれを認識することが大事である」と思っているからなのです。

もちろん、「人からどう見られ、どう思われているかなど、そんなこと気にする方がおかしい」という主張もあることは承知しているのです。
そしてそう思う人には、「そうかもしれませんね」としてそれをダメだとまで言うつもりはないのです。
というのも、自分が人からどう思われ、どう見られているかを十分知りながらも、そこにある種の危険性が存することも知りながら、それでも「それでいいのだ」として自らの振る舞いを決定しているなら、もう言うことはないのです。

ただ、そうではなく「自分が人からどう思われ、どう見られていて、それによってどのような危険を招き寄せているかについて無知なままに、自らの振る舞いを決定している」なら、それは良くない生き方になっているのです。

人は無知であるが故に大きな間違いを犯してしまうことがあるのです。

ですから、娘にきちんと「事の理非、どういうことが背景にあるのか」を教えることは大事なことであるのです。
しかし、その上でも、その事情を納得できず、あるいは、それ以上に「したいことをしたいのである」として自分の自由意志を尊重して振る舞いを決定していこうとするなら、それはもうその娘さんの自由として認めるしかないのです。つまりは、強制は良くないことであると。

話は少し替わるのですが、「入れ墨(タトゥー)」があるのですが、それを入れることは大きなリスクを伴うのです。
そのリスクを十分承知しながらも、そして入れた後でそのことによる大きなマイナス、ダメージを受けた後でも、「知ってた。分かってた。だから後悔などしない」という人もいるのですが、意外と多くの若者が、「分かっていなかった。入れるんじゃなかった。消したい」として、タトゥーを消す手術を受けるのです。

タトゥーを入れることについて、それをすることが後々どれほど大きなマイナスを時分にもたらすかの事前の認識がないままにそれをすると、そういう大きな代償を払うことにもなるのです。

今、若い女性がセクシーな服装をすることは、他人に「そういう服装をするということは、尻軽な女なんだな」という誤ったメッセージを送ることになっていることを承知しつつ、そして同時に男の「獣性」を触発し、レイプのような行為を誘発する一因になっていることを承知しつつ、それでもそういうリスクを覚悟で「好きなことをしたい」としてするなら、それはもう「後はご自由に」という世界になるでしょう。

話を最初の相談者に戻すなら、その娘さんの母親も父親も、「なぜそういう服装をしない方がいいのか」についてのレクチャーをして、それでもなお娘さんが「自由でしょ」と言って自分の振る舞いを決定して行こうとするなら、もうそれ以上の反対の強制はしないで見守ることにする、という対応がベストなのでなかろうかと思うのです。

そして、カウンセラー役のミシェル・ハーマン女史にはそういう回答をして欲しいところであると思うのです。

いやいや、人生において、若い時には、「知らないが故に」犯す大きな誤り、大きな間違いも多くあるのでして、何か行為をする前に、「お前、それはこんなリスクがあるのだよ」と教えてくれる人がいるといいのです。

もちろん、親切なそういう助言に逆らってまで「やりたいことをするのだ」というスタンスで人生を生きる人も多いのですので、それ以上は自己責任で生きてもらうしかないということになるのです。

そして今、多くの若い女性が、自分がどういう服装をするかについて、「好きな服を着る」というスタンスだけで生きているのですが、「自分が人からどう見られか」ということを勘定に入れて考えることは、誰にとっても大事なことだと思うのです。

もちろん、「個性の発揮」ということとそれが抵触していくなら、個性の発揮の方を重視する生き方もまた、尊重されるべき生き方であることは間違いないことなのですが。

日本社会ではどうしても、「みんなと同じでないと嫌だ」という傾向と、それはつまり「没個性の主張」ですが、それと裏返しで「みんなと違うことをする人を打つ」=出る杭は打つ、ということとが裏表の関係で傾向として強いのです。

人と異なった服装をする、ということを人と違ったことをしたいという良い意味での個性の発揮と捉えるなら、その1つとしてのセクシーな服装の選択ということも、それはそれで認められてしかるべき振る舞いではあるでしょう。
それはタトゥーを入れるということと同義でしょうか。

ですので一概に何かの是非を断じることは良くないことなのですが、とりあえず、「そうすることがどんな意味をもつことになっているのか」という背景事情をきちんと教える、認識することはそれ以上に大事なことであると思われるのです。

「取り返しのつかないこと」という大きなダメージを引き受ける前に、「知ってたらやらなかったのに・・・」ということを避けるために、大人が子どもにきちんと「事の理非」を教えて行くことが大事であろうと。
そしてそれが教育の1つの意味であるのだろうと思うのです。

つらつらとそんなことを考えた次第ですが、ご紹介まで。

 

1月25日(

【夫婦は別姓が日本の伝統だった件】

どうも国会では自民党女性議員からの品のないヤジが問題にされているようです。
私はそのヤジについて特段何かを言いたい訳でないのですが、そのヤジが「夫婦別姓問題」に絡んだ発言であることを知りまして、それでそこに興味を惹かれたのです。

それで「夫婦別姓話題」について池田信夫氏の動画(4分ほど)を視聴しまして、とても参考になる話だったのでご紹介したいと。

これは「日本では夫婦同姓は明治以降であり、それはフランスの伝統を真似しただけだ」ということを教えてくれているのです。

何やら江戸時代以前は夫婦別姓の方が日本では普通であったとか。
そして明治民法の由来はフランスに源流があるとか。

なるほど、言われてみれば確かに「日野富子」とか、「北条政子」とか・・・。

◆アゴラ◆
【Vlog】夫婦同姓はフランスの伝統

そういうことで、確かに夫婦同姓にこだわらなければいけない理由もないのかなと思える次第です。

そこはもう両人の自由選択に任せればいいのでないかと。

ご紹介まで。

ではでは。

 

1月18日(土)

【原発の安全性、再考】

アゴラに池田信夫氏が原発の安全性について興味深いデータを載せて論じていましたのでご紹介したいと。

何やらオクスフォード大学のウェブサイトに「ほとんどの人の信じるのとは逆に原子力はすべての主要なエネルギーの中でもっとも安全である」と書いてあるらしいのです。

◆アゴラ◆
原発の停止で数万人の生命が失われた
(池田信夫 2020年01月17日)
四国電力の伊方原発3号機の運転差し止めを求めた仮処分の抗告審で、広島高裁は16日、運転の差し止めを認める決定をした。決定の理由の一つは、2017年の広島高裁決定と同じく「9万年前に阿蘇山の約160キロ先に火砕流が到達した」からだという。裁判官は原発に9万年のゼロリスクを求めているのだろう。

しかし原発を止めても、エネルギー需要は変わらない。原発の電力が減った分は、輸入した化石燃料を余計に燃やすだけだ。原発の代わりに化石燃料を燃やすと、四国の人々の生活は安全になるのだろうか。

オックスフォード大学のウェブサイトは、医学的データにもとづいて「ほとんどの人の信じるのとは逆に原子力はすべての主要なエネルギーの中でもっとも安全である」と書いている。

[…以下略…]

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日本の裁判官がどこまで理系のデータを基にした冷静な判断を為しているか知らないのですが、池田氏に言われると確かに「定量的にものを考えられないでゼロリスクを求める文系オヤジ的判断」になっているのかも、と思われてくるのです。

本当に、今こそ正しい判断が求められているのですが、国民の多くもまだ「文系オヤジ的判断」で原発反対を叫んでいるような気がするのです。

オクスフォード大学にはもっともっと声高に原発の安全性を訴えてもらいたいものと思うのです。

ご紹介まで。

 

1月17日(金)

【若きプラハ市長の反骨…】

いつもドイツから刺激的な記事を寄稿してくれている川口マーン恵美女史が、今回もなかなか興味深い記事を現代ビジネス誌に寄稿しているのです。
是非ご紹介したいと思いまして。

◆現代ビジネス◆
中国との「ズブズブの関係」をリセットする、38歳プラハ市長の闘い
民主主義と人権を守るために
(川口 マーン 惠美作家 2020.01.17)

■若きプラハ市長の挑戦状
 東欧の国々が、中国の過大な投資ですっぽりと呑み込まれそうになっている事情が、最近、ドイツでもようやく報道されるようになってきた。
 しかし、肝心の東欧のどの政府も、それを真剣に修正しようと努力している風は見えない。あまりにも深く嵌りすぎて、方向転換はすでに手遅れなのだろう。
 ところが、チェコの首都プラハの市長が果敢にも、その中国に戦いを挑んでいる。
 ズデニェク・フジブ(Zdeněk Hřib)、38歳。海賊党。はっきり言って、これほどマイナーな党から、100万都市の市長が出たということ自体が稀代の出来事だ(海賊党=国民の権利の強化、著作権や特許権の改革、直接政治などを掲げて、2006年にスウェーデンでできた政党。ドイツでも一時話題になったが、今はどこも下火になっている)。
 ちなみに、フジブ氏の本業は医者。2017年からは、官と民の双方の組織で、医療の行政改革に携わっていたという。そして、2018年11月以来、プラハの市長だ。
 さて、それからほぼ1年が過ぎた昨年10月、フジブ氏は、プラハ氏が北京市と結んでいた友好都市協定を白紙に戻した。しかし、もちろん、このような行為を中国が許すはずはないし、中国寄りの政治家の顔も潰れる。
 また、チェコ人の投資家には、中国との商売で多大な利益を得ている人たちも少なくない。つまり、フジブ氏のことを快く思っていない人たちが、とくに政界、財界にはたくさんいる。
 そのフジブ氏が1月、ドイツの大手紙「Die Welt」に寄稿し、ドイツの読者にその経緯の説明を試みた。それが大変興味深かったので、この場で紹介したい。

[…略…」 

 さて、ついに1月13日、プラハ市は台北市と友好都市協定を結んだ。フジブ氏の寄稿の中で印象に残ったのは、「民主主義と人権を守るということが、我々のビロード革命の理念だった。それが国の指導者に踏みにじられている」という言葉。台湾への接近で、フジブ氏の政治生命は、さらに危うくなったと言えるかもしれない。それを思うと、この文章には悲壮感さえ漂う。
 東欧の小さな国の市長が、勇気を振り絞って頑張っているのに、人口も経済力も比べ物にならないほど大きな日本の政治家は、長い物に巻かれすぎていると感じる。そして、その政治家を選んだのは私たち日本国民だということを、私は今一度、思い出している。<了>

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「共産主義のメンタリティー」という言葉が出てきているのですが、なるほど、そういうものがあるのかと。

また、「日本の政治家は、長い物に巻かれすぎている」という言葉もあるのですが、そうかもしれないのです・・・。
果たして日本の「親中派」の国会議員諸氏はどのように考えているのでしょうか。

それにしても中国共産党のやり方は、とてもじゃないですが「目先自分たちがいかに得をするか」の観点からしか考えていないような感じなのですが、どうなのでしょうか。

中長期的にはそんなやり方では世界の人々から決してリスペクトされる訳もなく、結局は「中国なんか嫌いだ」として、世界中から軽蔑されるようなことになることが分からないのでしょうか、それともそれでいいとでも・・・。

ご紹介まで。

 

1月15日(水)

【ゴーン事件をどう考えるべき】

そろそろ一段落してきた感のあるゴーン氏事件ですが、評論家の八幡和郎氏がユニークな視点でこの事件を考えておりまして、たいへん説得力のある議論でしたのでご紹介したいと思い。

◆アゴラ◆
ゴーン事件が中国の日本人社長の事件だとすれば
(八幡和郎 2020年01月15日)
カルロス・ゴーンの逃亡には、一理あるのか、 英雄なのとか、レバノン政府やフランス政府はどうするべきなのかという議論が盛んである。このことに、明快な回答などない。なぜならば、国家と個人の関係をどう捉えるのかについて難しい判断を迫る境界線上の事件だからである。

いずれにしろ、ゴーンは逃亡という日本刑法に反する行いをしたのだから、世界もけしからんと声をそろえてもらわないとおかしいといったような、単純な話でないことは明らかである。

私は同様の問題が例えば中国で日本人に起こったとしたときに、日本政府や日本人がどう考えどう行動するか、また、行動するべきであるかということを考えれば、いま多くの日本人が言っているようなとんちんかんな発想は出てこないと思う。

例えば、中国を代表するような企業が倒産寸前になったとする。ドイツの自動車メーカーから提携についての話はあったが、最低の条件は51%以上の株式取得と役員総退陣であった。しかも、そのドイツの自動車メーカーは話し合いを途中で打ち切って撤退した。

そしてもはや存続が危ぶまれる事態になった。その時に、日本を代表する自動車メーカーが過半数の持分を要求しないという条件で救済してくれることになった。そして役員を社長として派遣することになった。

その社長は大胆な経営改革をして再建に成功した。もちろん、多くの従業員を減らし、取引先も減らした。そのことは、経営再建に不可欠と考えられていたが、中国人役員では大鉈を震えなかったことであった。

その結果について、中国人も非常に評価し、その社長をカリスマとたたえ中国で最もよく知られた日本人となった。そして、日本の本社の社長も兼ねることになった。

しかし、国際的なビジネスを展開する上でこの社長は…

[…略…]

….さて、こうした場合に、この日本人社長は英雄かどうかは別として、道義的に許されるべきでないことをしたと日本人はいうのだろうか。また、日本人はこの日本人社長を中国の要求に従って中国に引き渡しべきだと政府に言うのだろうか?

そうだという人がゴーンの脱出をあしざまにいい、引き渡すべきだというなら、それはひとつの見識だ。しかし、ほとんどの日本人はそうは考えまい。

そもそも、罪に問われたが無実だと思い司法制度では救われないと思ったときに脱獄するのは犯罪ではあるが、道徳的に許しがたいかといえば、そうは断定できない。そんなことを言ったら多くの文学作品のヒーローは単なる極悪人になってしまう。

同じようなケースで日本政府は、中国政府に対して脱獄を正面切って肯定するようなことは言わないだろうが、その一方、引き渡しもするまい。

個人の信念と司法、2つの国の法律の論理がぶつかったとき、そう簡単に物事は割り切れないのである。<了>

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どうも日本のワイドショーなどの報道を見ておりますと、いかにも中途半端なスタンスで、一体何を言いたいのかさっぱり分からないような切り口でこれを取り上げているのですが、困ったものであります。

ご紹介まで。

 

1月13日(月)

【人間は基本的にバカ…】

私がたまに読みに行くサイトに「基礎科学研究所」というサイトがあるのです。
何やら本拠地は関西にあり、学者さん達が運営しているサイトもようですが、そこの松田卓也氏という方のコラムがなかなか興味深いのです。

今しがた、数ヶ月ぶりに読みに行ったのですが、たまたま「人間は基本的にバカである」とい表題のコラムでありまして、読んでみれば中味は決してお手軽なものでなく、真面目な論考なんですが、ちょっと軽妙なタッチで面白く、かつ勉強になりましたのでご紹介したいと。

◆基礎科学研究所◆
人間は基本的にバカである
(松田卓也 2020年1月09日)
どういうことか?人間は自分が思うほど合理的でも論理的でも理性的でもないということである。合理的、論理的、理性的に物事を考える人を賢いというとしよう。だって非合理、非論理的な考えをする人を賢いとはいえないだろう。でもさまざまな証拠から大部分の人間の考えは合理的でも論理的でもないことが分かっている。だから人間は基本的にバカだということだ。それは私もそうだし、皆さんもそうだ。重要なことは、自分は基本的にバカであるということを認識することだ。これが本稿の結論だ。

■速い思考と遅い思考
2002年にノーベル経済学賞を受賞した心理学者のダニエル・カーネマンという人がいる。彼は「ファスト&スロー」という本を書いている。心理学者がなぜノーベル経済学賞を受賞したかといえば、彼の理論が元になって行動経済学という分野ができたからだ。それまでの経済学は人間の経済行動が合理的である、つまり人間は基本的に賢いという前提で組み立てられていた。つまり自分の利益を最大に、損失を最小にするように賢く合理的に行動すると考えられていた。例えば同じ性能や質の商品が2つあったとする。両者の値段が違えば、人間は安いほうを選ぶだろうということだ。それが合理的な行動だ。でも実験の結果は必ずしもそうでないのである。高いほうを買う場合も多いのだ。例えばネーミングが違うとか、宣伝の量とかによるのだ。

人間が物事を考えるときに2種類のモードがある。つまり考えるやり方には2種類ある。モード1の思考とモード2の思考である。あるいは速い思考と遅い思考ともいう。これがカーネマンの本のタイトル「ファスト&スロー」のゆえんである。もっと単純に言えばモード1の思考、つまり速い思考は直感的、感情的な考え方である。モード2の思考、つまり遅い思考は合理的、理性的な思考である。

速い思考は直感的、無意識的であり楽である。一方、遅い思考の典型例は数学の試験問題を考えるときだ。このときには感情ではなく理性を働かせてじっくりと合理的、論理的に考えなければならない。しかしそれは大変疲れることだ。数学の問題を考えるのが好きだという人は少ないだろう。人は速い思考を好み、遅い思考は嫌がるのである。

人は常になにか意思決定をしなければならない。例えば買い物でどちらの商品を買うか決めなければならない。その場合、損をしないためにはじっくりと理性的に考えねばならないが、多くの人は衝動的に買うのではないだろうか。

■アップルウオッチ
一例を挙げよう。私はアップルウオッチを持っている。これを買ったときのことを思い出す。現在の商品ではなく初代のものである。この商品の値段には最も安いもの、それよりも高いもの、そしてとてつもなく高いものの3種類があった。安いものは値段が4万円台、次は8万円台であるが、高いものはなんと100万円以上したのである。最高は218万円であった。このときに私を含む多くの人々はどれを買うであろうか?たぶん真ん中のものを買うであろう。100万円以上もする時計を買う人はまずいないだろう。しかも機械としての性能は同じなのであるから。だから人々は下の2商品を比べて、真ん中のものが最も安いものよりかなり割高であっても。一番高いものよりは圧倒的に安いので、割安に見えてしまうのだ。経済合理性でいえば一番安いものを買うのが正しくてもである。もっとも高い商品は、アップルは売る気はなく釣りなのであろうと思う。それで多くの人間は4万円台の安いものでなく、その倍もする8万円台のものを選んでしまう。私もそうした。アップルの術中にはまったのである。

■バカが多いのには理由がある
橘玲(たちばな あきら)という作家の書いた「バカが多いのには理由がある」という本がある。橘氏は速い思考しかしない、あるいはできない人をバカと定義して、日本人のほとんどはバカであると決め付ける。世の中のニュースや世論を見ても、とても賢明なものとは思えないようなものがまかり通っている。具体的な例を出すと差しさわりがあるので言わないが、私もそれには同感である。

しかしこれは日本人に限った話ではなく世界共通なのである。例えば米国でトランプ大統領が選出されたのも、英国でブレグジットが決まったのも、合理的、理性的な選択というよりは多くの人たちの皮膚感覚とか感情といったもので決まったのであろう。つまり速い思考で政治が動いているのだ。

[…略…]

■まとめ
思考には速い思考と遅い思考がある。速い思考は直感的な感情的な思考である。遅い思考は理性的、論理的な思考である。人々はほとんどのことを速い思考で済ませている。速い思考しかできない人をバカと橘氏はよんだ。しかし人間が速い思考を好むのは進化論的な理由がある。昔はそのほうが有利だったのだ。しかし複雑な現代の社会では事情が異なっている。バカは経済的にも政治的にも損をするのである。しかし人間が基本的にバカであることは避けられない。だから大事なことは、自分も人間だから、基本的にはバカなのだということを自覚することだ。そうすれば損をせずにすむかもしれない。<了>

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橘玲氏が『バカが多いのには理由がある』という本で、速い思考しかしない、あるいはできない人をバカと定義して、日本人のほとんどはバカであると決め付けているようですが、面白いことです。

私は私(自分)のことをよく「バカ」だと思っているのですが、橘氏にかかれば私もバカだと決めつけられても仕方ないのです(笑)。

しかし面白いことに、人は自分で自分をバカだと思っているときには何の腹も立たないのですが、人から「あんたバカだよね~」などと言われるなら、怒りの炎が心内に燃え広がるのを禁じ得ないのです。

そういうことで、「バカ」という言葉を使う時には注意が必要なのですが、とりあえず人はみんな、自分のことはたいてい(バカだよな~)と思っているのです。
そしてそれは当たっているのです(たいてい)。

それにしてもマーケティングの世界は、よく考えているものだなと。

ご紹介まで。

 

1月12日(

【イラン、混迷…】

何やらイランではソレイマニ司令官殺害を機に、反体制派が声を挙げ始め、デモなども起きているとかで、少々不穏な政情が醸し出されているようなのです。
気鋭のイスラム研究者の飯山陽女史のツイッターを読みに行きましたら、大変興味深い情報がUPされておりまして、ご紹介したいと。

◆飯山陽ツイッター◆
・昨日イランではソレイマニの写真を引きちぎり「ソレイマニは殺戮者!」と叫ぶデモが発生し、彼は「英雄」などではなかったことが露見。日本のメディアと「専門家」の結託による「反米イラン推し」フェイクニュースに対して、反証を挙げ徹底的に論駁しました。アゴラへの寄稿。

・ウクライナ機墜落で多くの学生が死亡したアミールカビール大学で、仲間を失った学生たちが抗議デモを行い、当局に対し報復を宣言、体制の打倒を呼びかけている。

・テヘラン市内で「我々の敵はここにいる!あいつら(体制)は敵はアメリカだと嘘をついている!」「革命防衛隊が罪を犯し、ハメネイがそれを支持している!」などと叫ぶデモ隊。

・イランの最高指導者に対し「ハメネイやめろ!」と叫ぶテヘラン市内、シャリーフ大学前で発生しているデモ隊。ローハーニー大統領に辞任を求めたり、嘘つきだ!と体制全体を非難する声も上がっている。<以下略>

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◆アゴラ◆
イラン情勢を巡る日本メディアの奇妙な偏向報道(特別寄稿)
(飯山陽 2020年01月12日)

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さてさて、どうも世の中、少しずつ少しずつ動き始めているようです。

結局、どこの国もみんな最終的には「民主化」されて行くのです、きっと。
それがどこの国の国民も等しく求め、願い、希求するものなのです。

そういうことで、イランだけでなく、北朝鮮も中国も、どこかもかしこも最終的に民主化の波に洗われるのです。
それはもう「遅かれ早かれ」の違いでしかないのです。

ただ、それがあまりに大きな混乱や悲劇を伴わずに、穏やかに、平和裏に実現したらいいのですが、そんなに甘いものでないだろうことは誰でも分ることなのです。

とりあえずイランですが、基本的に「イスラム法に支配されるイスラム教国家」というおかしなシステムである限り、どうしたっていつかはそういう体制は崩れ去って行くしかないのだろうと。

それは北朝鮮の3世代にわたる独裁国家が永遠に続いていく訳がないことと全く同義であろうなと。時間の問題であると。

ただ、「イスラム教絶対価値観」と「西欧民主主義的価値観」とが、どうにも相容れないものであることも確かなことであるようで、そこに巨大な深淵がぽっかり口を開けているようで、そこの対決は過去最大級の難問であると。

果たして世界中のムスリムは「アッラーに背く」ことが出来るのでしょうか・・・。
いや、難問過ぎる難問だ・・・。

それは極論すれば、「世界中のムスリムの洗脳が解けるのか」ということなのですから・・・。

それは人類最後の巨大な戦いになるかも、とすら思われるのです。
そして飯山女史の出番がますます増えることは疑いを容れないことであろうと。

ご紹介まで。

 

1月11日(

【階級社会、イギリス…】

何やらイギリスではヘンリー王子夫妻が「王室メンバーから抜ける決意」をしたとかいうニュースが飛び込んできたのです。

イギリス世論は賛否両論ですが、少々擁護派の方が多いとか。

『クーリエ』なるwebサイトがありまして、色々海外系の記事を掲載しているのですが、『ダウントン・アビー』なる映画の紹介記事がありまして、そこに「イギリス階級社会」についての興味深い話がありましたのでご紹介したいと。

◆COURRIER◆
身分違いの両親のもとに生まれて
~『ダウントン・アビー』の脚本家が語る、階級社会での生い立ちと葛藤~
 1月10日、イギリスの人気ドラマシリーズ『ダウントン・アビー』が映画となって公開された。国王夫妻の訪問という一大イベントに、グランサム伯爵家が使用人たちとともに豪勢な晩餐会の準備にあたる、というストーリーだ。
 華やかな場面の裏で、この作品が伝えたかったイギリスの「階級」とは? 自身も階級社会のなかで育ったという脚本家のジュリアン・フェローズが、その残酷さと葛藤について赤裸々に語った。

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『ダウントン・アビー』に携わったことは、私にとって間違いなく素晴らしい冒険だった。だが制作がはじまった10年前、これほど成功を収めると思ったか──答えはもちろん「ノー」だ。

プロデューサーのギャレス・ニームと私は当初、まったく違う企画を温めていた。でも紆余曲折の後ついにどうにもならなくなり、いっそ明るく忘却の彼方に葬ろうと、2人で夕飯を食べに行くことにした。ギャレスは、2001年に私が手がけた1930年代の狩猟パーティーが舞台の映画『ゴスフォード・パーク』の路線に戻って、それをテレビドラマ用にアレンジしてはどうかと提案してきた。

二番煎じっぽく思え、私はそれほど乗り気ではなかったが、最終的に当時のディレクターもそのアイディアを気に入ってくれて、制作開始となった。『ダウントン・アビー』シリーズのコンセプト、つまり貴族とその使用人たちの生活に焦点を当てるということは、私にとって「階級社会」を研究することを意味した。

■身分違いの両親のもとに生まれて
階級とは、自分では選ぶことができない1つの宿命だ。にもかかわらず、イギリス政府が最近実施したある調査によると、「階級」や「生まれ」は、人の人生を方向づける最大の単一要因だという。

階級の壁を乗り越える者もいる一方で、自分に有利なように利用する者もいる。だが私たちは皆、意識していようがいまいが階級と向き合わざるを得ない。

後になって気づいたのだが、私が階級に関心を持つようになったのは、身分違いの両親のもとに生まれたという身の上からくるものだろう。私の父は由緒ある貴族の家系で、父方の先祖には政府高官、上院議員、軍部の高官、廷臣、聖職者、地主などがいた。その子息たちはインドをはじめとする英国の植民地に赴いては、異郷で帝国の法を執行した。

そしてその妻たちはというと、作り笑いを浮かべてテープカットをしたり、窮屈なコルセットに身を包んで退屈な式典に参列したり、そして出産時に亡くなったりした。彼らの大半は生涯をかけて王室や教会に仕え、最善を尽くしたと言える。

■「毛並みの異なる存在」
私の祖父は1915年、塹壕のなかで髄膜炎のために亡くなった。そのため父は、若くして夫を亡くした母親、つまり私の祖母の手で育てられた。

祖母は、ヨークシャーの準男爵(世襲称号の中では最下位)の姪だった。父の叔父や叔母は私の祖母のことを認めず、幼くして、高貴な血筋の親を亡くした父が失ったものを何とか補完しようとした。

父は彼らのカントリーハウスによく滞在し、貴族のたしなみである狩や釣りを覚えた。彼らは、父が家の伝統にふさわしい職業や妻を選ぶものと期待した。

ところが彼らは、父の妻、つまり私の母のことも認めなかった。母は、いわば「中産階級の良家」の生まれだった。父親は郵便局で働く公務員だった。一方、母方の家系はもう少し立派で、マクダフ(シェイクスピアの『マクベス』に登場するマクダフのモデルとなった貴族)が先祖にいた。だが、父の叔父たちからすれば、それも充分ではなかった。

要するに母は、父方の親族とは「毛並みの異なる存在」だったのだ。母は社交界デビューしたこともなければ、王室の舞踏会に招かれたこともなく、財産もなかった。まさに三重苦だ。

■4人の息子を産んでも蚊帳の外
そんな母に対して、父の親族ははじめから反感を抱いていた。母は美しかったが、だからといって彼女を讃えることは決してなく、それどころか「不幸な甥っ子を誘惑して騙した女」としてしか見ていなかったのだ。例外的に1、2度、親切にしたことはあっても、彼女に対して温かい気持ちを抱くことはなかった。

父と母が結婚して、私を含む4人の息子が生まれた。私たちの誕生が『バーク英国地主ジェントリー名鑑』に厳かに記録されると、父方の親族と母の確執は解消されるものと思われたが、そう甘くはなかった。 
だがそんな親族たちの、私たち子供たちに対する接し方はまた異なるものだった。父の息子である私たちは「貴い血をひく存在」とみなされ、よく彼らの家にお茶に招かれた。だが母が招かれることはなく、子供たちを午後6時に迎えに来るよう言われるだけだった。

■それでも仲睦まじく
1959年、我が家がサセックスにある牧師館風の屋敷に引っ越してまもなく、大おばの一人がうちに泊まりに来た。正面玄関に足を踏み入れた彼女は、鼻をフンと鳴らし、母をまっすぐ見てこう言った。

「まあ、それなりに紳士のお宅と言ってもよさそうね」

当時10歳だった私ですら、よく母は玄関テーブルにあった中国陶器の皿を掴み、大おばの頭の上で割らなかったものだと思った。

そんな親族たちの母に対する冷遇も幸い、両親の幸福を奪うことはなかった。母は賢く、ウィットに富み、良き女主人で、両親は相性の良い夫婦だった。1980年に母が若くして亡くなるまで2人は仲睦まじく暮らした。

■舞踏室で踊り続けた日々
母は私に、自分が一番幸せだったのはアフリカ時代だったと打ち明けたことがある。アフリカは世界各地に派遣された父の滞在先の1つで、イギリスで展開される家族の“ゲーム”から遠く離れた場所だった。

この母の言葉を通して私は「階級」というものが持つ力と残酷さ、そしてその不寛容さを知った。

そしてそのことを知りつつも、やがて私は「デッブス・ディライト」(ロンドンの社交シーズン中、結婚相手としてふさわしいと思われる若い男性を指す呼称)の一覧に名を連ねた。その結果、イギリスにかろうじて残る舞踏室で踊り続けた。私はその世界に半分属し、半分傍観しながら、インサイダーであると同時にアウトサイダーであり続け、今日に至る。

[…略…]

いまとなってはほとんど残っていない、かつてのイギリスの生活のあり方を面白い形で表現できたなら幸いだ。私は、社会制度の暗い側面が本作のスパイスになっているのだと確信している。でなければダウントンという舞台は、感情移入するにはあまりに眩しすぎる場であったに違いない。私はそうならないよう心がけた。

『ダウントン』ファンの皆さんが、今度は映画で、お気に入りの登場人物がそれぞれに格闘する様子を見るのを楽しんでくださることを願っている。<了>

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さて、イギリスでは今もなお根強く階級社会の名残が残っているようなのですが、しかしそれどころではなくインドでは今もなおカースト制という露骨な階級が健在なのです。

そして日本でも、ついこの前ともいえる江戸時代まで、士農工商という身分制があったのです。

人間社会は実にどうも、不可避的に難しい要素を孕んで成立しているものなのだと、考えさせられるのです。

ヘンリー王子夫妻は、今後どういう道を歩んで行くのでしょうか。

私はとりあえず今回の決断を「いいんじゃないですか」という感じで肯定的に受け止めているのですが、もし我が日本で、それと似たような問題が生じるなら、日本国民はどういう受け止めをするのでしょうか。

いや、対岸の火事でなく、いずれ似たような状況が起こってくるような気もするのです。

ご紹介まで。

 

1月10日(金)

【イラン、その真実の姿】

昨日に引き続いてイラン問題関係ですが、気鋭のイスラム研究家の飯山陽女史が『文春オンライン』誌上に大変優れた考察を寄稿しておりましてご紹介したいと。

 

◆文春オンライン◆
現地SNSに溢れるハッシュタグ「イラン人はソレイマニが大嫌い」 メディアが“偏向報道”する「イランの真実の姿」
(飯山陽 2020/01/09)
 米軍によるイランのイスラム革命防衛隊・コッズ部隊司令官ソレイマニ殺害についての日本メディアの報道は、極度に偏向している。日本で最も視聴されるニュース番組とされるNHK「ニュース7」の1月3日放送分の当該報道を分析し、問題点を具体的に指摘したい。

■「ソレイマニは英雄」はイラン体制側の公式見解
 アナウンサーは「『英雄』ソレイマニ司令官」と大きく書かれた画面をバックに、「イランで絶大な影響力を持ち英雄と呼ばれる実力者をアメリカ軍が殺害しました。イランの精鋭部隊・革命防衛隊のソレイマニ司令官です」というリードで同事件を伝えた。

 この中ではソレイマニがトランプ大統領を罵る演説の映像が使われ、「国民から英雄と呼ばれた」と説明され、イラン情勢に詳しい専門家として慶應義塾大学の田中浩一郎教授の「(ソレイマニは)ある種のヒーローとして扱われている」というコメントも紹介された。田中教授はさらに「(中東に)もともと存在していた爆弾の導火線にアメリカが火をつけた格好」とも述べている。

 左上に「『英雄』を米軍が殺害」というテロップが出たままの状態でこのニュースを視聴した多くの人は、イランの国民的英雄を殺すなんてアメリカはひどい、トランプ大統領は実に愚かだ、戦争が始まりかねない、と思ったことであろう。しかし「ソレイマニは英雄」というのは、イランの体制側の公式見解である。NHKの問題は第一に、このイランの公式見解をそのまま報道している点にある。

■自由や人権は邪悪な外来の概念
 イランには表現の自由がない。

 イランで体制を批判したり、体制に抗議したりすれば、たちまち拘束され、投獄されて拷問されるか、処刑される。欧州議会が人権活動家に贈るサハロフ賞の受賞者でもある人権派弁護士ナスリン・ストゥーデ氏を筆頭に、現在もイラン当局によって拘束されている活動家は数千人にのぼる。

 なぜイランに表現の自由がないかというと、現在のイラン・イスラム共和国は、1979年に「イラン革命」で親米政権を打倒することによって誕生したイスラム国家だからである。国家の正統性はイスラム教に求められ、イスラム教の政治理論に従って国家が運営されており、我々に馴染み深い西洋由来の自由や人権は邪悪な外来の概念として否定されている。

 ゆえにイスラム革命以来、自由や人権、民主主義を求める数万人のイラン人が国外に亡命した。彼らは反体制派であるがゆえにイランへの入国を禁じられており、イラン国内の家族に会うためには多くの場合、第三国で落ち合うしかない。

■「イラン人はソレイマニが大嫌い」
 イラン国内でもしばしば反体制運動が発生してきた。昨年11月に発生したそれは、イラン建国以来最大級の規模に発展し、全国に拡大した。このデモ弾圧の指揮を取ったのが、NHKが「精鋭部隊」と紹介した革命防衛隊である。

 デモは平和的なものだった。しかし平和的であろうとなかろうと、イラン革命後の体制に反逆する民衆を粛清するのが革命防衛隊の重要任務だ。そもそもイランでは、体制を支持する集会のみが合法とされており、反体制デモは認められていない。

 人権団体やロイター通信は、これまでに反体制派1500人以上が殺害され、7000人以上が拘束されたと伝えている。革命防衛隊が遺体を秘密裏に処理しているとも伝えられ、実際の数はもっと多いと推測されている。

 イランの国内外の反体制派にとってソレイマニは「英雄」などではなく、独裁的なイラン革命体制の象徴だ。ソレイマニの死を受け、SNS上にはイラン人たちの喜びの声やトランプ大統領への感謝の声などがあふれた。同時に「イラン人はソレイマニが大嫌い」というハッシュタグをつけたツイートも目立った。

 もちろんソレイマニを英雄と称えるイラン市民もいる。母の胎内にいるうちから「アメリカに死を!」というシュプレヒコールを聞かされ、幼い頃から徹底した反米教育を受けているのだから、当然である。

■NHKの報道はダブルスタンダードである
[…略…]

■近隣諸国においてソレイマニは“最恐テロリスト”
[…略…]
 ソレイマニはイラン国民にとってすら必ずしも「英雄」ではないことは既述の通りだ。そして近隣諸国においては、彼は英雄どころか、最恐テロリストとして知られてきた。
[…略…]

■反体制派に対しソレイマニが使った残忍かつ非人道的作戦
[…略…]
 2011年から始まったシリア内戦では、アサド政権を支えるため中東各地からシーア派民兵を集めて投入し、反体制派を町ごと包囲して人々を飢えさせて降伏に追い込むという極めて残忍かつ非人道的作戦でマダーヤー、クサイル、ザバダーニーなど数々の反体制派拠点を陥落させた。毒ガスなどの化学兵器使用を指示したのも彼だとされる。これらの作戦により殺害されたり、故郷を追われたりした人は数十万人とも数百万人とも言われる。

 米国務省は、ソレイマニは600人以上のアメリカ人の殺害に関与したと発表したが、彼はそれよりはるかに多くのシリア人やイラク人、レバノン人、イエメン人などの虐殺・迫害に関与してきた。これら諸国の迫害された市民たちにとって、ソレイマニが「英雄」であるはずがない。

■米作戦は、ソレイマニが着火し中東で燃え広がっていた「火を消した」
 米当局は米権益へのさらなる攻撃を抑止するためにソレイマニを殺害したと発表した。しかしそれは同時に、彼の指令、工作活動により今後迫害される可能性のあった中東の多くの人々の命を救うことにもなった。中東での暴力の抑止効果は多大である。

 ソレイマニ殺害という米作戦は、田中教授の言うように中東に「火をつけた」のではない。ソレイマニが着火し中東で燃え広がっていた「火を消した」のだ。全く正反対である。

 イランは体制に敵対的な人物にはビザを発給しないし、国内での活動も認めない。NHKはテヘランに支局をおいている。田中教授やNHKは、イランの体制に咎められるような発言や報道をすると、今後の活動に支障が出ると勘案しているのかもしれない。彼らの「イラン贔屓」な発言は、それに起因している可能性もある。そうであるならば、正直に「イランの体制の見解を伝える」と言うべきであろう。

 イランがどのような国かを知らず、ましてやソレイマニなどという名は聞いたこともないという多くの日本人に、大学教授や報道機関という肩書や大義を掲げた存在が偏向した情報を「真実」として提供し、人々が「アメリカが悪い」「トランプが悪い」と思うように誘導するのは、プロパガンダにすらなりうる。個人や組織が反米思想を持つのは自由である。だがそれに立脚した報道は問題だ。

■第三次大戦が起こる可能性はほとんどない
[…略…]

 今回の事件に限らず、またNHKに限らず、日本メディアの中東報道は偏向しているように見える。日本人の多くは中東についての知識がないためそれに気付けない。騙されたり、不当に煽られて不安になったりしないためには、自ら知識をつけるしかない。<了>
(飯山陽/週刊文春デジタル)

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ご紹介まで。

 

1月9日(木)

【イラン問題、その深層】

イランが米軍基地を軍事攻撃したことで、イラン側もそれなりの報復をしたことになって一応一段落したかに見えるのです。おそらくこれ以上の軍事行動は双方ともしばらくはとらないだろうと予測されるようです。

今後の展開はまだまだ不透明ですが、「戦争」という本格的な最悪の事態までは至らずに済むのでないかと、私などは勝手にそう思っているのです。

さて、今しがたそのソレイマニ司令官殺害問題について、その背景事情について優れた分析記事を見かけまして是非ご紹介したいと。

要旨としましては、「ソレイマニ司令官はイラン国民にとっては英雄的な将軍であったかもしれないが、国際社会(アメリカ側)という観点から見るならテロリストの大親分以外の何ものでもない」ということでしょうか。

そしてトランプ大統領にとっては、「それは大統領選に使えるカード」ではなく、「アメリカ人をテロリストから守るという大義」の名の下に決定された決断だったという。

◆JBPress◆
米軍が殺害、ソレイマニは大量殺人テロの親玉だった
~「米国vsイラン」危機の深層~
(黒井文太郎:軍事ジャーナリスト 2020.1.6.)
 2020年1月3日、米軍の無人機がイラクの首都バグダッドにあるバグダッド国際空港を攻撃し、イラン革命防衛隊コッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官と、親イラン派民兵「人民動員隊」(PMF)のアブ・マフディ・ムハンディス副司令官を殺害した。
 コッズ部隊はイラン革命防衛隊の特殊工作部隊で、主に海外での破壊工作を担当している。PMFはそんなコッズ部隊の指揮下にあるイラクのシーア派民兵の集合体である。ムハンディス副司令官は、その中でも最強硬派の「カタイブ・ヒズボラ」の司令官だ。

■発端はイラクの「反イラン」デモ
 カタイブ・ヒズボラは2019年12月27日にイラク北部・キルクークの米軍基地をロケット砲で攻撃して軍属の米国人1人を殺害するなど、イラク駐留米軍への攻撃を繰り返していた。対する米軍は翌28日にカタイブ・ヒズボラの拠点を空爆。それを受けて、同31日からは、在バグダッド米国大使館へのデモが発生。デモ隊は大使館の壁を放火したり、大使館内への侵入を試みたりするほど激化したが、このデモもPMF支持者が動員されたものだ。
 こうした事態に、米国のトランプ大統領は対応を迫られた。米紙「ニューヨーク・タイムズ」によると、トランプ大統領は12月29日にエスパー国防長官らから複数のプランを提示されたが、31日に米国大使館がデモ隊に襲撃されたことに激怒し、民兵の拠点への爆撃以上の作戦の検討を指示。最終的に1月2日夕刻、ソレイマニ司令官殺害の命令を下したという。
 同紙によれば、ソレイマニ殺害計画はもともと、大統領の選択肢を増やす目的で、国防当局がとりあえず含めていたものだったらしい。
 ソレイマニ殺害はたしかに事件としては衝撃的だったが、当然、そこに至った経緯はある。なにもトランプ大統領が唐突に決めたわけではない。
 まず、もともとは近年、イランがイラクでの影響力を拡大し、ほとんど「支配」するに至ってきたという背景があった。
 サダム・フセイン打倒後にイラクの政権を握ったシーア派政権はもともとイランとの関係は深かったが、2014年から本格化したISとの戦いで、さらにイランの影響力が拡大した。ISとの戦いにはイラク政府軍に加えてシーア派民兵が参戦している。その民兵組織「人民動員隊」(PMF)はイラク革命防衛隊コッズ部隊の指導下にあった。その工作を指揮していたのがソレイマニ司令官である。

[…略…]

 なお、イランによるイラクやシリアでのこうした戦争犯罪行為は、ハメネイ最高指導者が細かく立案・指揮してきたわけではない。そのほとんどが、ハメネイ最高指導者の承認の下で、ソレイマニ司令官が立案・実行してきた。彼がいなければ、イランがここまで近隣国に露骨に介入して多くの人々を殺害することもなかったかもしれない。ソレイマニ司令官の罪はきわめて重い。

■ハメネイ最高指導者は報復を示唆
 ただ、米軍の今回の作戦への懸念もある。イランによる対外テロはトップの殺害で大きなダメージを受けるだろうが、ソレイマニ司令官はハメネイ最高指導者の子飼い的な大物であるため、革命防衛隊が報復に動くことが必至だからだ。
 実際、ハメネイ最高指導者はこの事態を受けてさっそく、報復を示唆するコメントを発表した。イランでは、ハメネイ最高指導者の言葉は重い。
 当面、イラク国内での米軍と親イラン派民兵との戦いは激しくなるだろう。
 このように、今回のイラン軍人殺害は、イランと米国の衝突のエスカレーションに繋がる危険があり、その評価には賛否両論ある。しかし、論点はまさにその部分だけだ。
 ソレイマニ司令官がこれまでどれほどテロ活動を主導してきたかを知れば、単に米国が一方的に理不尽な攻撃をしているとの批判はあたらない。前述したように、今回の攻撃への流れは、ソレイマニ司令官の配下の民兵組織が、反イラン・デモの高まりからイラク国民の目を背けるために米軍を攻撃したことから始まっている。
 また、彼がどれほど多くの人々の殺戮に直接手を染めてきたかを知れば、人道的にはソレイマニ司令官を排除したほうが、さらなる虐殺を防げることになるとさえいえる。

 1月3日、英国のラーブ外相は次のような声明を発表した。「われわれは常に、ソレイマニ司令官が率いたイランのコッズ部隊による好戦的な脅威を認識してきた」「ただし、彼の死後、すべての関係者に緊張緩和を要請する。さらなる対立は誰の利益にもならない」。
 日本のメディア解説では、中東専門家の多くが反米スタンスのため、とかくトランプ政権批判が中心になりがちだが、基本的にイランの問題は、核開発やテロ支援、宗派弾圧や独裁国支援のための戦争犯罪など、国際社会の安全に対して問題だらけの国家であるイランを、いかに封じるかの問題である。
 つまり、ソレイマニ殺害でイランを追い詰めることが、イラン対策上、戦略的に妥当か否かということで、そこは議論があるところだろう。<了>

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もう一つ、ちょいと古い記事ですが産経新聞の古森義久氏の記事がとても参考になるのです。
「イランとはこういう国である」という紹介としまして。

◆JBpress◆
「親日」に惑わされてはいけないイランの現実
~国際テロを支援し、「イスラエル抹殺」を宣言した国~
(2019.6.26 古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
 イラン(正式国名は「イラン・イスラム共和国」)が日本のメディアにしきりに登場するようになった。もちろん米国とイランとの対立が直接の原因である。米国とイランの対立は日増しに激しくなっており、米国政府は6月24日にイランの最高指導者ハメネイ師をも経済制裁の対象に加えた。日本の安倍晋三首相が、米国とイランの緊迫した対立を緩和しようと調停を図ったことも、日本でのイランへの関心を高めることとなった。
 では、日本にとってイランとはどんな存在の国なのだろう。日本の新聞やテレビがイランを紹介するときの決まり文句は「親日国」である。イランは日本に対して優しく親近感を抱いている国、ということだろう。日本とは共通点が多い国なのだという暗黙の前提もそこには感じられる。
 だが、その側面だけでイランを語っていいのだろうか。イラン国民の間に日本への友好の気持ちが強いことは確かだろう。イラン政府が日本に対しては利害をぶつけるような言動をとらず、穏健な姿勢をみせることも事実である。
 だがイランという国は、国際的にみるときわめて特殊であり、異端の存在である。日本や米国が共有してきた民主主義社会の価値観からははるか遠いところに立つのが今のイランであるといってよい。

<以下略>

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ご紹介まで。

 

1月8日(水)

【エネルギーミクスのグランドデザイン】

保守系の女性評論家の藤原かずえ女史のブログに、ユニークな「エネルギー問題への提言」が掲載されておりましたのでご紹介したいと。

日本のエネルギー問題についての総括的な分析と提言なのですが、前半はテクニカルな話で、そこにも(おう!)というアイデアがありまして良かったのですが、後半には日本のダメマスコミ、ダメテレビコメンテーターについて鋭い追及がなされておりまして、(その通り!)と同意されるものだったのです。

◆マスメディア報道のメソドロジー◆
2020年代の日本に必要なエネルギーミクスの再構築
(藤原かずえ 2020-01-02)
東日本大震災が日本のエネルギーシステムに大きなショックを与えた2010年代が終わり、新たなディケイドである2020年代が始まりました。いま一度この時代に不可欠なエネルギーミクスのグランドデザインについて考えてみたいと思います。

■再生可能エネルギーとダックカーヴの呪縛
マクロな観点から、太陽光発電・風力発電に代表される【変動性再生可能エネルギー VRE: Variable Renewable Energy】の導入量増大と温室効果ガスを排出する【化石燃料 fossil fuel】に対する抑制圧力が強まると予想される2020年代に日本が本格的に取り組む必要があるのは、春秋の電力需要の日変化曲線に特徴的に現れる【ダック・カーヴ duck curve】の対策に他なりません。ダックカーヴの問題は、エネルギーミクスを考える上でも避けて通れないものであり、包括的な解決方法が求められます。

ダックカーヴとは、日射量が多くなる昼間に太陽光発電による発電量が大きくなるために、在来電源の1日における電力需要が昼間に最小化し、夕方に最大化する現象です。この形がアヒルに似ているということで”ダック”カーヴと呼ばれています。

[…略…]

私のアイデアとしては、海岸近傍の都市の直下に、海を上部調整池、地下空洞を下部調整池とする大規模な【海水地下揚水発電所 seawater underground pumped storage plant】(パース)を建設し、変動性再生可能エネルギーのバッファとして利用するのが電力損失も少なく効率的ではと考える次第です。海を上部調整池にした地下揚水発電所は初のトライアルとなりますが、海水を利用した揚水発電は既に沖縄で電発が実証済みであり、下部調整池の安定性は原油地下備蓄やLPG地下備蓄の地下空洞で実証済みです。いくつかの大手ゼネコンはこのプロジェクトに関して90年代に概念設計を済ませています。なお、下部調整池への臨時の取水口を江東区の0m地帯設置しておけば、豪雨による堤防決壊時に緊急の溜池としても利用することができます。さらに、発電所としての利用が終了した後には、データストレージ用の空洞として利用することができます。

■そして、技術よりも高いハードル
さて、日本のエネルギー問題において、やはり一番大きな問題は、論理的な根拠もなく原発を悪魔化し、再生可能エネルギーを偶像化するマスメディアの存在です。2010年代は、原発再稼働・高レベル放射性廃棄物処分・福島原発処理水の問題等、マスメディア発のあまりにも非科学的な風評が頻繁に流布され、合理的な問題解決に進むことができませんでした。この間、理不尽に高い電気料金を支払わされたのは日本の庶民と企業です。

2019年12月13日、『報道ステーション』の後藤謙次氏はCOP25に関連した話題で次のようにコメントしました。

小泉大臣はCOP25で「日本は石炭火力をやめる」とダ~ンと発言しちゃえばよかった。政治は結果についてくる。小渕外務大臣が総理大臣になる前、対人地雷全面禁止条約にゴー・サインを出し、世界に知れた政治家になり、総理大臣の階段を上がった。小泉氏はホントに大きなチャンスを失った。

テレビのコメンテーターのあまりにも的外れな発言は本当に困ったものです。日本国民の生活および日本企業の生産性に大きく影響を与える電気料金に直結するエネルギーミクスを担当大臣でもない小泉進次郎大臣が国際会議の場でダ~ンと発言できるわけがありません。国民の生活など関係なく、私的な戦術として政治家に政治決断を勧める後藤氏のコメントは極めて無責任な公私混同であり、国民にとって有害です。そもそも後藤氏は石炭火力を変動性再生可能エネルギーで置き換えることができ、それで二酸化炭素の排出量も削減できると考えています。しかしそれは、この記事で示した通り、論理的に不可能です。

日本のマスメディアは、COP25の話題では小泉大臣やグレタ・トゥンベリ氏の不毛な発言を大きく取り上げましたが、多かれ少なかれ、その理解の程度は後藤氏と似たようなものです。問題の論点を語ることなく、常に登場人物の評価に終始するどうしようもない報道が続いています。このようなマスメディアの姿勢こそが国民の誤った理解を生み、日本のエネルギー政策を理不尽に停滞させる大きな要因となってきました。

2020年代のエネルギー政策の議論にあたってまず必要なことは、このような無知なテレビコメンテーターの無責任な発言に対して政府がいちいち論理的に反論すると同時に、国民が問題を正しく認識できるよう広報活動に努めることであると考えます。

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いやいや、【海水地下揚水発電所 seawater underground pumped storage plant】なるアイデアがあるとは知りませんでした、素晴らしいです。

もちろん、どこまで実現可能性が高いのかは分からないのですが、もしそれがけっこうグッドアイデアなら大いにそのプロジェクトを進めて頂きたいものです。(経産省辺りはの人はもうすでに知悉している事柄なのでしょうか。)

それから、日本政府の「対海外広報戦略」というものが、ずいぶん貧弱で情けないものであることはもうずいぶん昔から指摘されていることなのですが、どういう訳か一向に改善される気配が見えないのは、これはこれでどういう理由なのでしょうか・・・。

慰安婦問題にしても、韓国が凄い勢いで国連の場でロビー活動して「国際世論を味方に付ける」努力をしているのですが、日本は、どうも、何故か、政府政権は「・・・」という感じで一向に対策を講じる気配がないのです。

いや、それも私が無知なだけで、要路の人たちは「心配するな、着々と手は打っているのだ!」という感じでいるのでしょうか・・・。

いやいやいや、なんとも心許ないというか、私は全然信用できないのです。

野党政治家諸氏は、そういうことも十分承知していながら、「桜だなんだ!」と騒いでいるのでしょうか・・・。

政府政権に突っ込むならもっともっと建設的生産的な方面からする必要があるだろうにと。

ご紹介まで。

【参考】
◆WEDGEInfinity◆
暴落する「ガス(LNG)」価格、日本に好機到来か?
(中西 享:経済ジャーナリスト 2020.1.8)

 

1月6日(月)

【中東、緊迫…】

今日は正月明けの月曜日、世の中2020年の仕事始めで「いよいよ始動」というとことでしょうか。

はてさて中東情勢が緊迫の度を増しているのですが、この事態を冷静に分析してくれている吉崎達彦氏のブログ記事をご紹介したいと。

◆溜池通信◆2020/1/4
diary「すわ、戦争?」NEW!!○ワシが富山で諸方面の義理を果たしたり、上海馬券王先生と飲んだくれたりしている間に、世界は大変なことになっている。これはもうアメリカとイランは戦争状態ですな。えらいこっちゃ、です。

[…略…]

○次なる問題は、トランプさん自身の判断のブレである。昨年6月、米無人機がイランに撃墜されたときに、トランプさんは空爆を指示したが、「150人死にます」と言われて、「それでは釣り合わない」と思って急きょ取りやめた。このことで、「トランプは軍事行動ができない大統領だ」という印象を与えた。イランもそれで、米国をなめてかかっていたのかもしれない。

○昨年の11月から12月にかけて、イラクで米兵を標的とする攻撃が相次いだ。これがイラン革命防衛隊(IRGC)のスレイマニ司令官によるものだ、ということで今回の攻撃計画がクリスマス期間中に立案された。1月3日の未明にスレイマニ司令官がバグダッド空港に到着する、という情報がもたらされた。そこを米軍がドローンで攻撃した。トランプさんの頭の中では、「これはレッドラインを越えた」という認識であるらしい。とはいえ、それについて弾劾問題などの内政状態がどの程度影響していたかはわからない。

○要するに、彼一流の直感のなせる業なのであろう。戦争にはしたくない。でも戦争ができないヤツだとも思われたくない。戦闘行為には支持者はついてきてくれる。イランはたぶん冒険をしないだろう。それから、これを見たら北朝鮮のあやつもおとなしくなるはずだ・・・みたいな計算があったのではないのかな、と思う。所詮は「トランプ占い」の世界なので、どうとでも言えてしまうのだが。

○3番目の問題は、というかここが一番肝心なのだが、これでイランがどう動くかである。幸か不幸か、イランの現体制はしっかりしている。さっそく国連安保理を使ってきたあたり、まことに冷静である。彼らは無茶をしない。核開発だって、エスカレーション・ラダーをちょっとずつ登ってみせているが、北朝鮮のように既に持っているわけではない。そして北朝鮮よりもずっと大人の交渉をする。P5+1を手玉に取ったりする。

○ワシは以前に、イラン情勢をめぐるシンポジウムの席上で、「ハメネイは昭和天皇、革命防衛隊は関東軍。最高指導者は尊敬されているけれども、下の者たちが言うことを聞くわけではない、そういうことですか?」と尋ねてみたことがある。イラン情勢に詳しい田中浩一郎氏の答えは、「ちょっと違う」であった。ハメネイは実際にいろいろ指示を出しているし、なおかつ全能の指導者ではない。そして革命防衛隊は一枚岩であると考えていいらしい。

○最後の問題は、日本はどうするのか、である。ペルシャ湾に海上自衛隊を出すことを決めちゃったけど、急に心配になってきた。普通に行くと2月には現地到着となりそうなのだけど、とりあえずゆっくり準備することにしてはどうでしょう。急ぐことはありませんよ。こういうときの様子見は、少なくとも愚者の結論ではないはずです。<了>

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いや、難しいです。

それにしてもトランプ氏、この問題が今後大いに大統領選挙ではマイナスに作用するかもしれないのです。

もう少しまともな人物が次期大統領になってくれるなら、それはそれで結構なことなのですが、しかし、じゃあ民主党の候補者はどうなんだと言いますと・・・、これがまたドングリの背比べで皆さんイマイチでありましてどうなんだかと・・・。

日本にとっては結局「トランプ氏の方がマシかも・・・」といううようなことでもありまして、もう「どっちでもええやん!」となってしまうという・・・。

ほんまになんだかなぁ、だと・・・。

 

1月5日(

【イラン司令官殺害作戦、トランプ氏の決断】

中東情勢がにわかに緊迫の度を強めているのです。
ソレイマニ司令官殺害が、予想以上に強硬な反発を招いているのです。

この作戦の内幕について詳細にレポートしてくれている記事がありましたのでご紹介したいと。

◆BLOGOS◆WEDGE Infinity
ギリギリの賭けだった攻撃作戦、イラン、ソレイマニ司令官の抹殺の内幕 – 佐々木伸
(星槎大学大学院教授 2020年01月04日)
イラク当局者が一緒なら中止、いなければ決行―。
米ニューヨーク・タイムズなどが伝えるところによると、米軍のイラン革命防衛隊「コッズ」のカセム・ソレイマニ司令官の攻撃作戦は土壇場まで確認作業が必要な危険な賭けだった。戦争の引き金となるかもしれない作戦の綱渡りぶりが明らかになった。

■ゴルフ・リゾートから最終承認
同紙やワシントン・ポストによると、米政権内でソレイマニ司令官の抹殺が真剣に検討され始めたのは、昨年12月27日、イラク北部キルクーク近く軍事基地がロケット弾攻撃を受けた後からだ。この攻撃で、米軍事企業の米国人1人が死亡、米兵4人が負傷した。米国はイラクの民兵組織「カタエブ・ヒズボラ」が実行したとして報復爆撃、戦闘員ら25人を殺害した。

このロケット弾攻撃の背後にはソレイマニ司令官が介在していると確信した政権は司令官の居場所を特定するため監視・追跡を開始。監視・追跡には、秘密の情報員網や電子機器、偵察機などあらゆる手段が動員された。ソレイマニ司令官を抹殺することのメッセージは明確だった。「もし、米国が今行動しなければ、彼らは今後も自由にできると思うだろう」。

米当局者らはトランプ大統領がイランと戦争をしたくないと繰り返していたことを懸念するとともに、攻撃がイランとイラクから報復を招くリスクがある「大きな賭け」だと認識していた。トランプ大統領は攻撃が行われる前の2日午後5時(バグダッド時間3日未明)、フロリダのゴルフ・リゾート「マール・ア・ラーゴ」で、政治関係の側近らと再選に向けた会議を開いていた。

大統領は会議の途中で突然、別の会議に呼び出され、数分後に戻ってきた。その際、中座した理由については一切語らなかった。実はこの時、大統領は「外交政策の中で最も重大なものの1つ」を決断した。ソレイマニ司令官の抹殺作戦に最終承認を与えたのだ。

だが、この作戦には1つの大きな条件が付いていた。作戦を遂行する際に、司令官と一緒にイラク当局者がいれば、中止にするというものだった。作戦は土壇場までどうなるか分からない不確定要素に満ちていたことになる。米軍部隊が駐留するイラクの当局者を巻き込めば、イラク政府が反発し、米軍の駐留継続などに大きな支障が出る恐れを考慮したためだ。

ソレイマニ司令官がシリアからバグダッド国際空港に到着した際、イラク当局者は迎えに出ておらず、車には同乗していないことがほぼ確認された。賽は投げられた。米特殊作戦軍のドローン「リーパー」(死神)が司令官や「カタエブ・ヒズボラ」の指導者が乗った2台の車列にミサイルを発射した。燃え上がる車の残骸の中に血塗られた手がのぞき、金と赤い石の指輪が見えた。ソレイマニ司令官が愛用していた指輪とされる。

■ブレなかったトランプ
今回の作戦を通してトランプ大統領にブレはなかった。昨年6月、ペルシャ湾で米無人機がイランに撃墜された際、大統領はイランのミサイル基地などの攻撃を命じ、米軍機が攻撃態勢に入った。しかし、大統領は攻撃の10分前に突然中止命令を出し、国内や親米アラブ諸国から批判を浴びた。

また、トランプ大統領は昨年9月、サウジアラビアの石油施設が何者かの攻撃を受けた時にも、イランの犯行であることを主張しながら報復には出ず、サウジ側の不信を招いた。米当局者は、大統領がイラン攻撃を中止した決断に批判があったことを気にかけており、ソレイマニ司令官の抹殺作戦にブレがなかったのはこれも大きな要因ではないか、と指摘している。

トランプ大統領は1月3日「マール・ア・ラーゴ」で記者団に対し、ソレイマニ司令官の抹殺について言及。今回の作戦が「戦争を防ぐためであり、始めるためではない」と述べ、米国への攻撃を事前に摘み取るための自衛措置だったことを強調した。

大統領は一方で、司令官が過去20年間、中東全域でテロを実施してきたことを指摘し、「米国人に危害を企てるテロリストは見つけ出して殺害する」「もし米国人が恫喝された場合、イランの標的をすでに特定している」などとイランの報復行動をけん制した。

米メディアによると、米国はイランの報復に備えるため、中東に新たに3000人~4000人を増派する計画で、陸軍特殊部隊「レンジャー」の一団がすでに米国を離れた。ミリー米統合参謀本部議長は「ボールはイラン側にある」と述べ、いかなるイランの行動にも即応する姿勢を示した。

■イラクは米軍撤退を要求か
出方が注目されるイランは3日、最高指導者ハメネイ師の出席の下で最高安全保障委員会を開催し、対応を協議した。会議後の声明は「犯罪者には厳しい報復が待っている。適切な時期と場所で実行される」とし、「米国最大の戦略的な過ち」と非難した。しかし、具体的な対応については触れなかった。

[…略…]

トランプ大統領は、いったんはシリア駐留軍の撤退を公表したが、現在はシリアの石油を過激派組織「イスラム国」(IS)に入手させないようにするためとして、約700人を残留させている。シリア駐留軍が小規模の部隊で済んでいるのは、有事の際にはイラクからシリアに駆け付けることができるという選択肢があるからだ。

イラク駐留軍はテロとの戦いだけではなく、イランのイラクに対する影響力を阻止するためにも必要だろう。駐留軍が消えれば、イランは今以上にイラクで自由に振る舞うかもしれない。ソレイマニ司令官の抹殺は米中東政策の根幹を大きく揺るがせている。<了>

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それにしても「危険な賭け」であるなと。

ご紹介まで。

 

1月4日(

【プーチン氏の闇に斬り込んだ映画…】

令和2年、2020年が静かにすべり出しているのです。
世の中はどうも「ゴーン氏脱出劇」で盛り上がっているようですが、そこに問題の本質がある訳でもなく、なんとも・・・。

さて、「世界」という舞台で主役を張っている人物の一人に、最近はあまり存在感を見せていないプーチン氏がいるのです。
トランプ氏、習近平氏と並んで「大国ロシア」の指導者なのです。
そんなプーチン氏の闇に斬り込んだロシア映画が製作されているらしいのです。

ニューズウィーク誌を読みに行きましたら出てきたのです。
とても興味深い記事でしたのでご紹介したいと思い。

◆Newsweek◆
プーチンの闇に深く切り込むドキュメンタリー『市民K』
A Cautionary Tale
(デービッド・ブレナン 2020年1月4日)
<政権を批判したオリガルヒの失墜と再起を軸に、トランプのアメリカと重なるロシアの腐敗をあぶり出す力作>

アレックス・ギブニー監督は、個人や組織の権力乱用をテーマに世界各地で多くのドキュメタリーを撮ってきた。新作『市民K(Citizen K)』は、ソ連崩壊後のロシア政府の実態を探った力作だ。19年11月下旬からアメリカで公開されている。

映画はミハイル・ホドルコフスキーの成功と失墜、そして一応の再起に至る軌跡をたどる。ホドルコフスキーは、ソ連の共産党政権崩壊後の混乱に乗じて国家の資産を私物化し、財を成したオリガルヒ(新興財閥)の中でも最も成功し、権勢を誇った連中の1人だった。

だが彼は新たに現れた出世頭と衝突する。それは無名のKGB工作員から政権トップに上り詰めた男――ソ連崩壊後に成立したロシア連邦の初代大統領ボリス・エリツィンに後継者指名され、自らの時代を切り開いたウラジーミル・プーチンその人だ。

プーチン政権の腐敗を批判したホドルコフスキーは、自らが経営する石油会社ユコスに絡んだ複数の容疑で逮捕され有罪となり、10年間刑務所暮らしをした。2014年のソチ冬季五輪を前に13年、プーチンの恩赦で釈放され、現在はロンドンで亡命生活を送っている。今も莫大な個人資産を保有しているとみられ、反プーチン派の運動に資金援助を行っている。

映画公開前に本誌はギブニーに取材し、ドキュメンタリーの制作を通じてプーチンのロシアに対する認識がどう深まり、ひいてはドナルド・トランプ大統領時代のアメリカ政治をどう評価するようになったか話を聞いた。

■権力欲に取りつかれて
映画の導入部ではエリツィン時代の混乱した政治状況が描かれる。規制緩和と民営化でまんまと基幹産業を手に入れたオリガルヒは、政権に強大な影響力を及ぼすようになった。ロシア連邦初期の歴史は「警告の物語」だと、ギブニーは言う。国家が「無規制の資本主義」に走り、強権的な指導者が求められるようになったらどうなるかを示しているからだ。

当時多くのロシア人は、市場経済に移行すればすぐにも生活が豊かになると信じ、ソ連時代の手厚い福祉を失うことなど予想していなかった。結局のところ、自由化の恩恵を受けたのは少数の特権階級だけで、平均的なロシア人は移行期の経済の大混乱に耐えてその日その日を生きるのに精いっぱいだった。

エリツィンは健康悪化と支持率低下に苦しんだが、共産党の復権を恐れるオリガルヒが巨額の資金を提供し、96年の大統領選でどうにか再選を果たした。だが力尽きたエリツィンは99年に辞任。プーチン時代が幕を開ける。

プーチンは大統領の任期制限のために首相として実権を握った時期も含め、既に20年余り大国ロシアの政権トップに居座り続けている。

恐るべき政治力で権力の座にとどまってきたのは、富を貪るためや思想信条のためではなく、権力そのものへの異常な執着心からにほかならない、とギブニーはみる。

実際、もうカネは要らないはずだ。一部メディアによれば、プーチンの個人資産は2000億ドルで、世界一の大富豪とも言われている。

「彼は権力欲に取りつかれた人間で、権力の座に上り詰める方法を知り、欲しいものを手にした今、絶対に手放すまいとしている」と、ギブニーは言う。「政治家にはナルシシストが多いが、プーチンも例外ではなさそうだ」

[…略…]

■バレても嘘をつき通す
プーチンはメディアを支配下に置き、世論を味方に付けた。今や権力者に求められるのは話のうまさで、そこもトランプに共通すると、ギブニーは指摘する。「プーチンは長年の間に見事な話術を身に付けた。作り話でも全くのデタラメでもいい。何度も反復して聞き手を引き込めば、人々は信じ始める」

メディアが虚報を流し続ければ、有権者は報道を信じなくなる。アメリカのメディアも自戒が必要だと、ギブニーは警告する。「事実を突き止め知らせるか、政権批判を展開するか」。報道の役割をはき違えてはいけない、と。

フェイクニュースが飛び交い、法の支配が切り崩されるとどうなるかの一例としてギブニーが挙げるのは、昨年イギリスで起きたロシア人の元スパイとその娘の毒殺未遂事件だ。英当局はロシア軍情報機関の職員2人を容疑者と特定したが、ロシア側は否定。2人をテレビに出演させ、事件が起きた小都市には観光で訪れていたなどと語らせた。

そんな話を信じる人がいないのは分かりきっている。「これ以上あり得ないほどバカバカしい」言い訳だと、ギブニーは言う。ロシア政府はそれを承知で堂々と嘘をついた。「そこが怖い。トランプの流儀とそっくりだからだ」

<本誌2019年12月31日/2020年1月7日新年合併号掲載>

◆Citizen K | Official Trailer◆
映画『市民K(Citizen K)』予告編

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さて、プーチン氏はいつ失脚、あるいは引退して行くのでしょうか。
仮にどんな独裁者であっても、その政治が国民に幸せをもたらすなら、別に20年でも30年でもその地位に留まっていていいのでしょう。

しかしそうでないのなら、そんなに長く政権にしがみつくのは国民の不幸になってしまうでしょう。

そういう意味ではこれまでは、これまではプーチン氏は「よくやっていた」のでしょう。
ですので、「これから」どうロシアを良くして行くことができるかであろうかと。

どうなんでしょう、この記事を読む限りでは、プーチン氏には「強烈な権力欲」はあっても「真に国を良くしようという断固たる決意」はあまりあるように見えないのです。

何と言っても個人資産が2000億ドルで世界一の金持ちであるなどと聞くなら、(もしそれが事実なら)呆れてモノが言えないのです。

そういうことで、結局「不本意ながら追い出される」ような恰好で退場して行くのでしょう。
止むを得ないと。

それはカルロス・ゴーン氏が過去最大級の貢献を日産にしていたとしても、「飽くなき金銭欲」に基づくエゴイスティックな振る舞いをし続けるなら、それは確かに結局「会社から追放されなければならなくなった」のと同義でしょう。

プーチン氏、命脈が尽きるのは残りの任期が終わる時、でしょうか・・・。

話は替わるのですが、アメリカがイランの国家的英雄を「暗殺した」事件があったのですが、これについて一言。

◆AFP◆
イラン司令官殺害 イラク首都での葬列に多数の参列者、「米国に死を」と叫ぶ

 

やはりこれは「するべきじゃない作戦」だったのでないかと。
それはちょうどブッシュ(jr)政権がイラク戦争を開始したのと同じような。

どうなんでしょう、トランプ政権、これはトランプ氏主導の作戦だったのか、それとも政権中枢の要人たちの強い意思だったのか。

おそらく後者なのでしょうが、ダメだったのでないかと。
いうなら「火に油を注ぐ」的な。

いやいや、どうなんでしょうか・・・。

ご紹介まで。

 

1月2日(木)

【ゴーン氏の出国劇の件】

昨年末よりカルロス・ゴーン氏の出国劇が話題になっているのです。

この件、様々なご意見が飛び交っていますが、池田信夫氏のブログにとても参考になる一文がUPされておりましてご紹介したいと。

 

◆池田信夫blog◆
グローバル時代の正義
(2020年01年01日)

特に次の一文が興味深いのです。

「国際社会は本質的にアナーキーであり、国際法もヨーロッパ圏のローカルな正義にすぎない。ゴーンはそれを超える「グローバル人類」になるのでしょうか」

確かに、国際法などと言っても、それはそれを認める国々の間にだけ通用するものであって、氏の言われるように「ヨーロッパ圏のローカルな正義」とでもいうべきなのかもしれないと。

韓国が、「前の政権の約束は今の政権がそれを守る必要はない」というスタンスをとっているのも、いわゆる常識的な国際法を大きく逸脱するものであると思われるのですが、しかし韓国政権にはそういう認識はないのでしょう。

いや、そういうことで、世界はまだまだ本質的には「アナーキー」な世界なのでしょう、それは仰る通りであろうと。

 

さて、それはそうとして、この問題については私は「日本にとって良かったのではないか」と考えているのです。

もちろんそれは「全面的に」という訳でないのですが、しかし「長期的視点」、「大きな視点」から見るときには、これまでの日本の司法におけるダメ点が大きく国際的に問題視され、日本自身がその問題にメスを入れようとするいいきっかけになると思われるからなのです。

もちろん、日本のこれまでの「人質司法」の在り方を「それでいいのでないか?」と思われる方も多いのでしょうし、本当はそういうシステムでいいのかもしれないのですが、とりあえず私は「それはマズイだろう」と思っていますので。

かつての鈴木宗男氏、佐藤優氏、ホリエモン、村木厚子女史、その他多くの有名人が検察に拘束されて長期拘留を余儀なくされていたのです。
最悪だったのが村木厚子女史の件だったでしょうか。
本当に謂われなき真実無実、無罪の人たちが、この長期拘留によって苦しんできたのです。。
場合によってはやってもいない事件を「やりました」としてウソの自白さえさせられてしまうケースもあったのです。

いや、盾の両面でありまして、このシステムが悪辣な犯罪者の自白を引き出すためにプラスに機能してきたことも確かなことなのでしょう。
ですから、これまでの長期拘留、弁護士なし、接見も不自由という日本の司法システムの在り方を変えることは、そういうプラス面を犠牲にすることもあるのでしょう。

しかしまぁ、何でもかんでも「グローバルスタンダード」がいい訳ではないのですが、ことこの司法システムについては日本の従来の在り方はあまり良くない、変えた方がいいのだろうと思うのです。

そういうことで、ゴーン氏のとった今回の出国劇は、日本にとっては『塞翁が馬』になるような事案であると思うのです。

私は「そもそもゴーン氏がこれほどの屈辱を受け入れなければならないほど酷い犯罪を犯したのか」というなら、日本の検察と日産のタッグマッチによる「ゴーン氏逮捕劇」そのものがちょいとばかしダメ事案であったのだろうと考えているのです。

私はゴーン氏が高額な報酬を得ていることについては、元々それはダメなことだと思ってはいるのですが、しかし強欲資本主義の世界においては、それがグローバルスタンダードだとされる訳で、それ自体を違法だとか不正義だとする訳にいかないのですからそれを理由にゴーン氏を犯罪者にすることがいい訳でないのです。

ゴーン氏には確かに少々の違法行為があったのでしょうが、しかしそれは「逮捕されて、長期拘留されて、過酷な取り調べを受けなければならないほどの犯罪的ダメ行為であった」訳でもなかろうと思うのです。

そういうことで、私は心情的にはゴーン氏の「ふざけるな!」という気持ちは良く分かるのでありまして、今回の出国劇についてもそれをあまり責める気にならないのです。

もちろん、レバノン国民のように「よくやった!」という積極的賛意、応援団的受け止めではないのですが、しかし「まぁ、仕方なかったんじゃない・・・」的なことと受け止めているのです。

そして「これを機に日本の司法システムにメスを入れた方がいいでしょう」と。

ということは、政治家がこの問題について大きく取り上げて、何か変革の火種にならないといけないと思うのですが、どうなんでしょうか、こういう問題に「よし、俺が取り組もう!」という政治家は出てくるのでしょうか。

はてさて、もう少し様子を見守るしかないかと。

ではでは。

 

2020年1月1日(水)

謹んで初春のお慶びを申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

令和2年(2020年) 元旦

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午後2時半、今日の東京のお天気は快晴で風もなく、穏やかないいお正月日和です。
昼過ぎに久しぶりに多摩川土手にぶらっと出向いてみたのですが、グラウンドで凧揚げをしている親子などもいまして、確かにお正月の風情が今も少し残っていることが知れて良かったのです。(残念なことに風がなくて凧揚げにはあまりいい陽気ではなかったのですが)

さて、お正月早々ですが昨日から少し私の頭を占めている考えを忘れないうちにメモしておこうと思いまして。

それが、「幸せな人なんか、一人もいない」ということなんです。

いや、正月早々何を言い出すことやらと思われるかかもしれないのですが、どうも、そう言いたいのです。
幸せな人なんか、どこにいるのかと。

正直に申せば、私のうちはあまり幸せに恵まれているとも言えないのです。
もし「あなたのお家(うち)は幸せですか?」とストレートに尋ねられるなら、その答えは「まぁ、どうでしょう・・・、まぁまぁですかね」、くらいには答えるのでしょうか。
すなわち、「それほど明瞭明確に不幸な訳」ではないのです。
しかし「すいません、幸せなんです、ハハハ」と言ってのけられるほど絵に描いたような幸せでも、もちろんないのです。
正味は、どうなんでしょうか、「幸せな部分」もあるけれど、でも「心にかかる不幸せな部分」の方が多いのでしょうか。

そして、つらつらに周囲を眺めまわしてみるのですが、どうも、よく考えると、あの人もこの人も、あのウチもこのウチも、親戚縁者知り合い、知人友人、あの方この方、いやいや、どなたもこなたも「みんな不幸せを抱えている」ではありませんか。

つまり、「絵に描いたような幸せ」を享受している家(うち)など一軒もないことに気が付くのです。
それはきっと日本全国津々浦々、ほぼそうなっているのだろうと推測されるのです。

そして何より、何より、日本国のトップにおられる天皇家一族が、「不幸せ」を抱えていることに、それは象徴されていることに気が付くのです。

果たして絵に描いたような幸せを享受できている人など、本当にどこかにいるのでしょうか。

確かに、ご自身が若い時から中年くらいまでの20年ほどは、確かに絵に描いたような幸せに恵まれる人は多いのです。
ところが、人生は長いのです。
中年までの20年間などはあっという間に終わってしまい、さあこれからという人生の後半生に入った途端から、人は「あれっ?」と思うような不幸せの波に洗われ始めるのです。

個人が、個人として「あなたは幸せですか?」と問われるなら、きっと若い人や中年までの人は、「幸せです」と自信をもって答えられる人が多いのでしょう。
仕事も上手く行って、家庭的にもきれいな奥さんに恵まれ、子どもも小さくて可愛らしく、場合によっては勉強ができたりして自慢の息子や娘だったりするでしょう。休日には家族でどこかに出かけて人生をまさに「エンジョイする」ことも多いでしょう。
(実は私自身がそういう人生を歩んで来ていたのです)

しかし、50、60を迎える頃になると、どんどん事情は変わって行くのです。
病気や、さまざまな難しい事情や、精神的悩みや、いわゆる「思うようにいかない煩わしい問題」が噴出してくるのです。

そんな小さな難しい事情も、若い時には勢いとパワーで乗り切っていけるものなのですが、しかし、例えば「病気」やら「人間関係の問題」やら、あるいは「経済事情」やら、あるいは「身内の誰かの不幸」やら、何やらかにやら波が押し寄せるように押し寄せてくるのです。
(実は私がそういう波に洗われてきたのです)

そしてそろそろ老年期を迎えようとする70歳前のこの時期、そうなるともはや若い頃のように単純に「幸せです♪」などと間違っても言えない事情になっているのです。

そして先にも言いましたように、あのウチもこのウチも、親戚縁者知り合い、知人友人、あの方この方、いやいや、どなたもこなたも「みんな不幸せを抱えている」ではありませんか。

それは私の周囲の人間だけに留まらず、実は有名人や芸能人や知識人やハイソな暮らしをされている上流社会においても、もうほとんどのウチが「何らかの問題」を抱えていることに気が付くのです。

そして、問題なのが、その「何らかの問題」を抱えていることによって、その人は絵に描いたような幸せを手にしていないことを自覚するということなのです。

「絵に描いたような幸せ」というものは、あくまでも「心に抱える何らかの問題」をもたない人だけに当てはまる幸せなのです。
心に何らかの気にかかる、引っ掛かる、心を暗くするような問題を抱えているなら、その人はもうノー天気な「絵に描いたような幸せ」からは遠いところにいるのです。

つまり絵に描いたような幸せというものは、結局「理想形」としてあるだけで、それを我が身において実現している人など、おそらく一人もいないということなのです。
それはもう「完璧な人など一人もいない」ということと同義であろうと。

ところが、どうも、どうも日本人の常識的観念、常識的受け止めにおいては、「世の中の人はみんな絵に描いたような幸せを満喫していて、自分だけが満たされていない、自分だけが不幸の中にいる」ように見えている、思われているようになっているようなのです。

つまり、日本人は「みんな幸せなのに、何で自分だけ・・・」と、みんながそう思っているのであり、そしてそういう社会になっているように感じられるのです。

本当は、「幸せな人など一人もいない」のに、実は誰だって幸せじゃないのに、でも「世の中の人はみんな幸せそうに見え」て、そして「みんな絵に描いたような幸せな暮らしを満喫していて、自分だけが惨めったらしい負け組の中にいる・・・」ように思われているのでないかと。

テレビの中のコマーシャルで映し出されているマイホームの絵など、本当に絵に描いたような幸せなのです。
そしてテレビの中に映し出される観光地や賑わいを見せる行楽地の様子は、まさに「みんな幸せを満喫している」ように見せてくれるのです。そして「隣の芝生は青い」のです。

そして結局、どうも、どうも日本人は「みんなと同じ」でないと満足できず、そして「そのみんながみんな絵に描いたような幸せを満喫している」ように思えて、見えて、そうでない自分が「負け組だ・・・」として劣等感にさいなまれて、そしてついには「引きこもり」に陥って行ったりもすると。

いやいやいや、そういう風に思えてきたのです。

世の中、実は「幸せな人など、幸せなウチなど一つもない、一人もいない」のに、しかし「みんな絵に描いたような幸せ」な人生を送っているようにしか見えていないのであると・・・。

私はここらでちょいと認識を改める必要があるなと思い始めまして、それで自分を納得させるためにこれを書いているような部分もあるのですが、そうなのです、本当に「世の中に幸せな人など1人もいない」のが真実であると、そう認識するべきであると、そう思い始めているのです。

どうも、戦後、あの高度経済成長期から、日本人は「一億総中流階級」で、みんながみんな経済が好転して豊かで便利で恵まれた生活を送れるようになり、みんながみんなキレイな服を着て、こぎれいな家に暮らし、そして休日には温泉などに出向き、レストランでは美味しい料理に舌鼓をウチ、とにかくコマーシャリズム毒されたかのように画一的で「みんな一緒」の「幸せパターン」を刷り込まれ、みんなみんな「そういう絵に描いたような幸せ」が自分にもやってくるという幻想を抱いて暮らしてきたようなことなのでしょう。

ところが、今では時代は大きく変わりつつあり、そういう昭和・平成的な「絵に描いたような幸せモデル」など、一体どこにあったのかというような、つまりは「幻想」「夢」から覚めざるを得ない状況に立ち至ったということなのでしょう。

そして私が遅まきながらそういう「絵に描いたような幸せの理想形」というものの幻想であることに気が付いた、ということなのでしょう・・・。

問題は、そうなのです、「みんな幸せそうに見えるが、実はそうでないのであって、実はみんなみんな不幸の中に生きているのだ」という認識をこそもつべきであるのだと、そういうことなのです。

日本人がみんなみんな幻想の中に生きていたのであることを、自覚するべきだと、そんな幻想は早いこと打ち捨てるべきであるのだと。

氷川きよしが「ジェンダーレス」に生きようとしているのです。

LGBTの人たちが自分たちの生き方を勇気をもって生き始めているのです。
もう「みんなと同じ」などあまり意味がないことになっているのです。

そういうことで、「時代はどんどん多様化している」のであって、そして実際、「幸せな人など一人もいない」ということなのです現実の世の中は。

いやいやいや、ほんまに、秋篠宮家の眞子さまは、そんな日本人の「幸せ幻想」を打ち砕いてくれる象徴のような存在です。

秋篠宮殿下の苦悩と、眞子さんの「理不尽だ!」という思いは、本当にご同情申し上げるような深刻なアンハッピーなのです。

天皇家にしても、陛下も皇后陛下も、そして愛子さまも、3人が3人とも実は苦悩の人生を歩んでこられたのです。

幸せなウチなど一体どこにあるというのでしょうか。

いや、「絵に描いたような幸せ」など、それこそ「青い鳥」でしかないのであると。

本当の幸せは、そんな「形の幸せ」にあるのでなく、一人一人の「心の中」にしかないのでしょうが、人はどうしても「みんなと同じ」であることを望みたくなるのですから、ある程度は仕方がないのでしょう・・・。

人は人、我は我、よそ様のウチはウチ、我が家は我が家、そういう「一人称」の中で幸せを見ることが大事であるのだと。

ほんまに、そう思うのです。

 

さて、今年も頑張りまっしょい!!

一人一人の人が、みな幸せでありますように!

 

12月30日(月)

【海外メディアは日本をどう報じたか】

今年も色々ありまして、ネット界隈でも「2019年を振り返って思うところ」みたいな記事がちょこちょこ目に入るようになりました。

ここに最近ではユーチューブを利用した動画配信サイトでもそういう企画が多くありまして、もう全てに目を通すことなど到底できないほど様々な動画が配信されているのです。いや、テレビではあまり聴けない興味深い良質なものもありますので結構なことです。

 

さてそれはそうと、自己認識をどうもつかということは、とても重要、大事なことなのです。

自分が他人からどう思われているか、どう評価されているかを、出来るだけ正確に、客観的に認識しているかということが、実はその人に対する人物評価の重要な基準になっているのです。(と思っているのは私だけかもしれませんが)。

そういう意味で、日本人が他国にくらべて「自国が外国からどう見られているのか」について、異様に関心が高いということは、私はそれは決してダメなことでないと思っているのです。

ですが、まぁ、昨今のテレビでの「日本素晴らしいですね~!」番組が多いことには、確かにちょいと首を傾げる向きもあるのですが。

その件についてとても興味深い分析をされている記事を読みまして、ご紹介したいと。

 

◆BUSINESS INSIDER JAPAN◆
メガネ禁止、伊藤詩織さん、小泉環境相…2019年海外メディアは日本をどう報じたか
(渡邊裕子 2019/12/29)
昔、こんなジョークを聞いた。

ある教授が、「象についてのレポートを書きなさい」という宿題を出した。ドイツ人は「象の存在についての哲学的考察」、アメリカ人は「象を使ってできるビジネス」、中国人は「象の料理の仕方」、フランス人は「象の性生活について」というレポートを書いてきた。日本人は?というと、「日本人は象をどう見ているか。象は日本人をどう見ているか」だ……というオチだった。

人種差別的でステレオタイプ的なジョークだが、ある程度の真実も含んでいるだろう。「日本人は他からどう見られているかを非常に気にする民族だ」と揶揄(やゆ)しているわけだが、実際日本人はそういう部分が比較的強い気がする。

普段はNYに住んでいる私が、この数年日本に行くたびに感じるのは、「日本すげえ」「外国人が感動した日本の〜〜」「観光客が一番行ってみたい国・日本」「世界が注目する日本の食文化」という論調の本やテレビ番組が明らかに増えたということだ。

外国人にどう見られているかを知りたければ、海外での報道を読むのが手っ取り早いはずだが、大多数の日本人は、日常的には日本語の新聞やテレビしか見ていないのではないかと思う。

最近の海外の報道が描く日本の姿は、日本国内における「日本すげえ」のトーンとはギャップがある。英語圏だけとっても、日本社会についての記事には、辛口・苦言的なものが増えている気がする。

ここではこの1年を振り返って、特にアメリカ(及び多少イギリス)のメディアで日本がどのように取り上げられてきたか、いくつかのテーマに分けて整理してみる。

[…略…]

■伊藤詩織さんに対する関心の高さ
ジャーナリストの伊藤詩織さんの勝訴も海外では大きく報じられた。© GettyImages/Takashi Aoyama ジャーナリストの伊藤詩織さんの勝訴も海外では大きく報じられた。
ジェンダーギャップ指数のニュースが流れた翌日の12月18日、ジャーナリストの伊藤詩織さんの勝訴が報じられた。元TBS記者の山口敬之氏に性暴力を受けたとして、損害賠償を求めていた東京地裁における民事訴訟で、伊藤さんの訴えが認められ、山口氏には慰謝料330万円の支払いが命じられたのだ。

伊藤さんの事件がこれだけ有名になる前、よくアメリカ人に「日本での#MeTooはどうなってるの?」と聞かれた。

しかし、2018年に放映されたBBCの番組「日本の秘められた恥(Japan’s Secret Shame – Shiori Ito)」、そして2017年12月に掲載されたニューヨーク・タイムズの大きな記事「彼女は日本のレイプに対する沈黙を破った(She Broke Japan’s Silence on Rape)」がきっかけとなり、この事件は、「日本の#MeTooのシンボル」として知られることになった。

もちろん伊藤さん自身が英語で各国メディアのインタビューに積極的に答えたり、国連などの場で発信をしてきたことも大きい。

伊藤さんの勝訴を受け、多くの国のメディアがこの事件の顛末とその背景にある日本社会について報じている。アメリカ、カナダ、欧州諸国だけでなく、ざっと調べたところ中国、韓国、インド、バングラディッシュ、ネパール、シンガポール、タイ、トルコ、メキシコ、ベネズエラ、イラン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、レバノン、ガーナ、南アフリカまで、幅広く報じられている(米時間12月17日の段階でヒューマンライツ・ナウがまとめたリストはこちら)。

その中で主なものを紹介しよう。

ワシントン・ポスト:日本人ジャーナリストの伊藤詩織さん、象徴的なレイプ裁判において損害賠償を認められる(Japanese journalist Shiori Ito is awarded damages in landmark rape case)

「2017年、伊藤は自ら顔と実名を出して記者会見を行い、自分に起きたことについて述べた。日本では極めて異例なことだ。しかし、男性中心で、権力者贔屓の日本のメディアは、彼女の訴えを支持することに消極的であった。それどころか、彼女は、ソーシャルメディア、メール、電話による脅迫と侮辱、そして保守的な雑誌の記事によって攻撃を受けることになった)」

「日本の時代遅れな強姦罪や、男性が支配する保守的な社会で、性的不正行為について女性が申し立てるうえでの障害が浮き彫りになった事件」

CNN:日本の#MeTooのシンボル的人物、著名ジャーナリストに強姦されたとして訴訟してから2年後に民事裁判で勝訴(Japanese #MeToo symbol wins civil court case two years after she accused a prominent journalist of raping her)

「統計的に日本は性暴力の通報件数が比較的低い。2017年の内閣府の調査によれば、およそ13人に1人(7.8%)の女性がレイプされたことがあると答えたという。国立性暴力リソースセンターによると、アメリカでは5人に1人の女性が生涯のうちにレイプ被害に遭うという。ただし、日本人女性の場合、当局に話さない可能性が高い。同じ2017年の調査によると、性暴力被害者の約3.7%しか警察に通報しないという」

「性暴力には汚名がつきまとい、女性はしばしば、被害に遭ったことを恥と感じる。日本には伝統的に沈黙の文化があり、周囲と足並みを揃えることが求められる」

伊藤さんの裁判に関する海外の記事では、日本の法制度や捜査のあり方にも問題があるのではないか、という指摘が見られた。© Shutterstock/TK Kurikawa 伊藤さんの裁判に関する海外の記事では、日本の法制度や捜査のあり方にも問題があるのではないか、という指摘が見られた。
海外の報道を見て、それらに共通する特徴がいくつかあると思った。

「山口氏が安倍氏と近かったことから、特別扱いをされたのではないか?」という疑問に、日本の新聞に比べてストレートに突っ込んでいる。これは、先日の外国人特派員クラブの質疑応答でも感じられたことだ。
日本の法制度や警察機関に問題があるのでは、という指摘。特に、「警察で、等身大の人形を使って、レイプされた様子を再現させられた」という話に対する驚き。ニューヨークの国連のサイドイベントのパネルで伊藤さんがこの話をした時にも、アメリカ人の警察・法律関係者たちが愕然(がくぜん)としていたのを覚えている。
「暴行・脅迫」要件 のせいで、強姦が有罪とされるためのハードルが高くなっているという、日本の刑法に対する関心。
被害に遭った女性を黙らせようとする、日本の「沈黙の文化」、男性中心社会に対する批判。
私は、BBCの番組は本来ならば日本のメディアが作るべきものだったと思っている(英語の方が世界への影響力という意味では効果的だが)。ちなみにこのBBCの番組では、自民党の杉田水脈議員にインタビューしている。彼女は、伊藤詩織さんについて「女として落ち度がある」と述べているが、この番組のおかげで、杉田議員はイギリスでは一躍有名になったことだろう。

この事件が海外で広く報道されたことに対して、「日本の恥をさらすな」というようなコメントもSNS上で目にした。だが、本当に恥だと思うのであれば、こういうことが起きない社会にするしかない。

上記の伊藤詩織さんに関するワシントン・ポストの記事に対するコメント欄で、日本に長年住んでいたことがあるという人のこんな言葉があった。

「日本社会にはいいところもあるが、非常に病んでおり、虐待的で、内側から腐っている。虐待(いじめ)は文化の一部であり、誰も文句は言えない。出る杭は打たれるのだ」

■汚染大国と見なされる日本
COP25の議長を務めたチリのカロリナ・シュミット環境相と小泉進次郎環境相(2019年12月15日撮影)。© REUTERS/Nacho Doce COP25の議長を務めたチリのカロリナ・シュミット環境相と小泉進次郎環境相(2019年12月15日撮影)。

ジェンダーの問題と並んで、2019年、海外の日本報道で目についたのが、環境に対する日本の取り組みへの辛口報道だ。日本はいまや「気候変動対応の面で十分に行動していない国」と見られている。

9月に開かれた国連の「気候行動サミット」でも、12月にマドリッドで開かれた気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)でも、日本は批判の的になった一国だ。

現在、環境問題は欧州、そして若い世代を中心に、最も人々が広く強く団結している政策課題と言っていいだろう。他のことで一切政治的に意見の合わない人同士でも、「環境は喫緊の問題だ」という点では同意できる(「気候変動は起こっていない」と主張する人々を除く)。特にドイツでは現在、緑の党が若者を中心に支持を集めている。

国連の「気候行動サミット」に合わせ、9月20日には世界2500カ所以上でデモやイベントが行われ、世界中で400万人もが気候変動対策を訴えるデモに参加した。マンハッタンでは全米や世界から集まった約31万人(当初の予想は10万人と言われていた)がデモに参加。地球環境の保護を訴えるデモとしては、アメリカでは過去最大の規模だ。

9月20日、ニューヨーク以外でもベルリンでは27万人、アムステルダム、オーストラリアやカナダの都市などでも大規模なデモが行われた。© GettyImages/Carsten Koall 9月20日、ニューヨーク以外でもベルリンでは27万人、アムステルダム、オーストラリアやカナダの都市などでも大規模なデモが行われた。
日本でも、東京や大阪など26都市で約5000人が参加したと言われる。デモの習慣がない日本で5000人は大健闘に入るだろうが、欧米の他都市と比べると、桁が1つ少ない。日頃から、ヨーロッパ人の友人たちに、よく「日本は台風もあるし、温暖化の影響を受ける国なのに、どうして日本の若い人たちは環境問題にあまり関心がないの?」「日本はどうしてプラスチックの容器を減らそうとしないのか。どうしてあんなに過剰な包装をするのか」と聞かれ、いつも答えに困る。

その国連「気候行動サミット」に参加するためにニューヨークを訪れた小泉進次郎環境相の「気候変動対策は、かっこよくて楽しくてセクシーじゃなきゃ」という発言が大きく取り上げられたが、デモの盛り上がりや国連でのグレタ・トゥーンベリのパワフルな演説などがあった中でのこの一言は軽薄に聞こえた。

ロイター:気候変動に関する小泉の『セクシー』発言は、日本のある種の人々には空虚に聞こえる(Koizumi’s ‘sexy’ words on climate change ring hollow for some in Japan)

CNBC:日本の環境大臣は、失言を乗り越え、自国を石炭依存から脱却させることができるか?(Can Japan’s environment chief get past gaffes to ease country’s ironic dependence on coal?)

インディペンデント:日本の新環境相:気候変動との闘いは「セクシー」で「楽しく」あるべき(Climate change fight should be ‘sexy’ and ‘fun’, Japan’s new environment minister says)

タイムでも「今年の人」に選ばれたスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん。ニューヨークの国連本部でのスピーチは多くの人の心を動かした。© Getty Images / Spencer Platt タイムでも「今年の人」に選ばれたスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん。ニューヨークの国連本部でのスピーチは多くの人の心を動かした。
この「セクシー」発言云々より、小泉環境相について私がもっと深刻だと思うことが2つあった。

まず1つ目。「(気候変動に対して)今後半年から1年でどんな対策を打つか」という記者の質問に対し、小泉環境相は、「(石炭火力発電を)減らす」と答えた。問題は、そのあとのやりとりだ:

記者「どうやって?」

小泉「(長い沈黙)……。私は大臣に就任したばかりなので、同僚たちと話し合っているところだ」

この答えは、「何も準備しないで、ただニューヨークに来ました。何も具体的な考えはありません」と言ったも同然だった。このやりとりについては、英語の記事を探したが、見つけられなかった。あまりに内容がないので、記事にできなかったのではないか。

2つ目。小泉氏はニューヨーク到着早々ステーキハウスに嬉々として出かけ、ステーキを「毎日でも食べたい」と言った。このことが「環境問題の会議に来ているのに、あまりにも無神経」と批判されたわけだが、それに対し、「ステーキと気候変動、この質問って今までなかったと思いません?それだけで日本の中での環境問題っていうのを考えるいいきっかけになると思いますね」と言った。これまた、畜産業が環境に与える影響を知らないと思われても仕方のない不用意な発言だった。

国連演説を断られた安倍首相
東日本大震災によって大事故を起こした福島第一原発。原発政策の見直しで、日本は石炭を使った火力発電の依存度が増している。© REUTERS/Air Photo Service 東日本大震災によって大事故を起こした福島第一原発。原発政策の見直しで、日本は石炭を使った火力発電の依存度が増している。
11月になって報道されたことだが、9月の「気候行動サミット」で、日本政府が安倍晋三首相の演説を要望したが国連側から断られていたことが伝えられた。これは、日本の温暖化対策が、世界から問題視されていることの現れだろう。

東日本大震災を機に、日本の原発の多くはストップしており、温暖化ガスを排出する石炭、液化天然ガス、石油を使った火力発電に頼る状態が続いている。日本は国内の化石燃料依存の高さに加え、海外の石炭火力発電プロジェクトを支援していることでも批判されている。

インディペンデント:日本の新環境相:気候変動との闘いは「セクシー」で「楽しく」あるべき(Climate change fight should be ‘sexy’ and ‘fun’, Japan’s new environment minister says)

「日本は、気候変動に対し、これまでほとんど行動を起こしていない。その石炭依存、そして他国における石炭火力発電のプロモーションは、広く批判されている。

[…略…]

このCOP25で小泉環境相は、日本の石炭依存に対する世界的な批判については自覚しており、脱石炭に前向きに取り組むと述べたが、具体的な方策はまたしても提示できなかった。結果、この会議で日本には、世界の環境団体でつくる「気候行動ネットワーク」から、温暖化対策に後ろ向きな国として「化石賞」が贈られた。

ロイター:気候変動会議で、石炭を巡る批判に向き合う日本の小泉(At climate talks, Japan’s Koizumi confronts critics over coal)

WWF:日本は、気候変動危機への対策を(またしても)打ち出せず(Japan fails to respond to urgent call to address climate crisis – again )

「今日、小泉環境相は、COP25での演説の中で、いくつかのイニシアチブについて語りました。彼は、日本の石炭政策が世界から厳しく批判されていることを自覚していると述べはしましたが、それをどう変えるかについては明らかにしませんでした。『もし日本が脱石炭のために何ら行動を取れないのであれば、彼の話すイニシアチブは無意味です(WWFの気候エネルギー専門チームリーダー)」

2019年、日本はラグビーワールドカップでの日本代表選手らの活躍に沸いた。安倍首相は「2019年は、日本が世界の真ん中で輝いた年になった」と述べたが……。© REUTERS/POOL New 2019年、日本はラグビーワールドカップでの日本代表選手らの活躍に沸いた。安倍首相は「2019年は、日本が世界の真ん中で輝いた年になった」と述べたが……。

これまで述べてきたように、外から日本を見る目は、なかなか厳しいものがある。

今年はこれら以外にも、「桜を見る会」への参加者名簿が廃棄された問題が英語圏でも広く皮肉をもって報じられたり(MSN:「日本の首相、公的文書、そして非常に大きなシュレッダーをめぐる奇妙な物語」)、HSBCが外国人駐在員を対象に行った調査「住みたい、働きたい国ランキング」で、日本が33カ国中32位になった(「収入」「ワークライフバランス」と、子どもの「友だちづくり」「教育」はいずれもほぼ最下位)などという話もあった。

12月21日、安倍首相の「2019年は、日本が世界の真ん中で輝いた年になった」という言葉が報じられた。おそらくはラグビー・ワールドカップを成功させたことを指しての発言だろうと推測する。

ただ、毎日のように日本のテレビで流れている番組のように、「日本は世界から注目され、めちゃくちゃ愛されている」「日本すげえ」という、ぬるいナルシシズムに陥ったままでいいのだろうか。和食は世界中で愛されているし、安くてキレイな日本は観光客に人気かもしれない。アニメファンも、日本の芸術文化を素晴らしいと言ってくれる人たちも、確かに世界中にいる。

でも、日本の政治や社会を見る世界の目は、おそらく日本人が自覚している以上にシビアだ。<了>

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いやいや、きっとそういうことなのでしょう。

日本が決して「理想的な国」であることはなし、かといって「まるでダメな国」であることもないのです。要は「いいところもあるし、悪いところもある」という、つまりは「1人の人間」と同じようなことになっているということなのです。

ですので、日本人が、日本人の良いところをきちんと認識することは大事ですし、同様にダメなところもきちんと認識する必要もあるのです。

ただ、どうも戦後70年の間に、左翼系の戦後民主主義思想が日本を「ダメな国」であるかのように洗脳してきたことへの反動もあって、逆に国民が日本を「素晴らしい国だ!」と叫びたい心境になっているのかもしれないと思うと、まぁ、昨今の風潮も分かる気がするのです。

いや、そういうことで、外野からのこういう記事は、グッジョブであるなと。

ご紹介まで。

 

12月28日(土)

【韓国、その深層にあるもの】

評論家の池田信夫氏が「韓国はなぜ約束を破るのか」についての鋭い分析をしておりまして、まことに納得の行く優れた考察であると思われまして、ご紹介したいと思いまして。

私は最後の「むしろアジアでは、政権を超える約束を異常に重視する日本が特異な国である」という氏のご主張に驚いたのです。
いやいや、鋭いご指摘であると。

◆アゴラ◆
韓国は「政権を超える約束のできない国」
(池田信夫 2019年12月28日)
韓国の憲法裁判所は27日、2015年の日韓慰安婦合意が憲法違反だと確認するよう求めた訴訟で訴えを却下した。これについて混乱した論評が散見されるが、この決定は慰安婦合意を憲法裁が合憲と認めたものではない。

この訴訟は「民主化のための弁護士の会」が、慰安婦合意は元慰安婦の権利を侵害するものだとして起こしたものだが、これに対して韓国外交部は答弁書で「合意は法的拘束力のない政治的合意なので憲法上の権利は侵害しない」と主張した。

今回の決定はそれを認め、憲法裁は「合意は国家間の公式の約束だが法的拘束力をもつ条約ではない」ので、被害者の賠償請求権を侵害する可能性があるとはみなしがたいとした。つまり慰安婦合意は国会同意もへていない口約束にすぎないので、被害者の権利を侵害する効果もないというのだ。

もともとこの問題は、2011年に憲法裁が「韓国政府が慰安婦問題を解決しないのは憲法違反だ」という決定を下したのが始まりだ。これによって朴槿恵政権が日本との合意を求め、アメリカの仲介で安倍政権が慰安婦問題を「最終的かつ不可逆に解決」するために10億円を財団に拠出することで決着した。

この決定には日韓両国で批判が強かったため、外交文書は作成せず、日韓の外相が別々に記者会見を行うという異例の形で決着した。その後、日本は約束どおり10億円を財団に払い込んだが、韓国はソウルの日本大使館前の「慰安婦像」を撤去する約束も実行せず、文在寅政権は財団を昨年解散してしまった。

文政権は「慰安婦合意は朴政権の安倍政権に対する約束なので、現政権は守らなくてもよい」という立場であり、憲法裁もそれを確認したわけだ。これで「最終的かつ不可逆な解決」は白紙に戻った。

それは国内法の手続きとしては成り立つが、問題はそれがどういう外交的な効果をもたらすかだ。保守系の東亜日報は、その影響をこう懸念している。

法的効力は憲法裁が判断したとおりだ。しかし、条約で締結する外交合意があり、条約で締結しないのが適切な外交合意がある。憲法裁が、条約でないすべての外交合意を単純に政治的合意に格下げしてしまえば、今後どこの国が韓国と誠実な外交協議をしようとするだろうか。

外交的な約束には、おおむね次の3種類がある。

・外交文書をかわして議会が批准する「条約」
・外相が署名するが議会の批准しない「合意」
・公式文書を発表しない「密約」

慰安婦合意は条約ではないが、密約でもない。外交文書はないが記者会見の記録は残っているので、外交的に有効な合意である。日本は(よくも悪くも)密約もすべて守ることで知られているが、韓国は条約以外の約束は守らない国だと宣言したわけだ。

これは近代国家の常識では理解できないが、東洋的国家にはよくあるパターンだ。古代から中国には王朝を超える国家の継続性はなく、すべての約束は「政治的合意」でしかなかったので、王朝が崩壊するとすべての外交的約束はリセットされた。

韓国の政権交代は、東洋的な王朝の交代だから、そこに継続性はない。むしろアジアでは、政権を超える約束を異常に重視する日本が特異な国である。日本は沖縄返還のときの「有事の核持ち込み」の密約を、民主党政権でさえ破棄しなかった。

韓国のように国家としての継続性を否定する国とは、そういうつきあい方がある。朝日新聞のいうように「輸出管理強化を撤回して話し合おう」などというのは愚の骨頂である。そんな信頼関係は政権が代わったら無視されるので、こういう国には脅しと経済制裁で対抗し、政権ごとにアドホックな約束をするしかない。<了>

**************************

最後の「脅しと経済制裁」という部分では、「経済制裁」はするべきであろうが「脅し」はどうなんだろうかと、少々首を捻るのですが、しかしその点を除けばまことに真っ当なご見解であろうと思われるのです。

ご紹介まで。

 

12月27日(金)

【IR法案の闇、政治の闇…】

自民党現職代議士の逮捕から、どうも政治・政局が大きく動き出しそうな雰囲気です。

この問題について、興味深い視点から解説してくれている2本の記事をご紹介したいと。

一人は山本一郎氏というユニークなポジションで言論活動をしておられる論客と、一人は田中紀子氏というギャンブル依存症問題の専門家の方です。

◆山本一郎オフィシャルブログ◆
自民党議員・秋元司さんがカジノ絡みで中華からカネ貰ってタイホとか
(2019/12/26)
 筋論からすれば「残念でもないし当然」と言われるかもしれませんが、留寿都についてはかねてからオーストラリア人が現地リゾートをかなり見放し→落ち穂拾いの中国人や中華系ファンドが買い漁り→客層劣化で日本人減少というスパイラルになりそうなところを、地場で頑張っていた不動産業者にブローカーが食い込んで大変なことになっておりました。

https://web.archive.org/web/20191216114324/http://konnomasahiko.com/

 私も一昨年からちょぼちょぼ買っていたのですが、去年ぐらいから謎の中国人旅行者が長期滞在してるのに未払いとか事案が発生し、オーストラリア人ともども見事に貰い事故を喰らっていたんですけれども、ややこしさに拍車がかかっていました。どう考えても筋の悪い「北海道で世界的なカジノ」とか真顔で言ってる人たちがいたのは事実で、それが自民党系の衆議院議員複数にカネを包んでいたという話はおおっぴらに語られていたのです。
 本当に適当なことをやるよなあ、って。

[…略…]

 実際に起訴されて有罪になるのかは分かりませんが、一応は何らかの利益供与を行った事実ぐらいまでは認定されるとなると、ぶっちゃけIR推進については相応の冷や水はかかるんじゃないかと思いますし、差し戻しになる議論もたくさん出てくることでしょう。

 気になる話はたくさんありまして、特捜部がどのシナリオで、誰を本丸として目指しているのかがまだ分からない以上、延焼先はどうなるかってところでしょうか。だからさっさと解散総選挙しておけばよかったのに、と思うと、安倍晋三さんの歴史的使命もここまでなのかなとぼんやり感じたりも致します。<了>

 

◆アゴラ◆
早期、着実に進行など有り得ない!秋元司議員カジノ収賄事件
(田中紀子 2019年12月26日)
昨日、秋元司議員の収賄事件が日本中を驚かせましたが、私ももちろん驚いたのなんのって!

秋元先生は、東京都江東区が地元であってうちの事務所とは目と鼻の先。永代橋を越えたらすぐ秋元先生の事務所があるのでもちろん良く存じ上げております。
何度かお目にかかったこともありますし、なによりもIR法案が衆議院で可決した際には、議員会館で開催した、与野党の先生に集まって頂いた緊急シンポジウムには、自民党から秋元先生にご登壇頂いていたんですね。

この時、秋元先生らカジノ推進派の先生方は、「カジノをやる代わりにギャンブル依存症対策をしっかりやる」ということをしきりにおっしゃっていたんですよね。

私たちも、数の論理から言ってカジノを止めることなどできそうにないということが、ロビー活動をしていて骨身にしみて、よ~く分かっていたので、あとは「ギャンブル等依存症対策基本法を成立させるしかない!」と思っていました。

そして、さすがに「カジノができるんだからギャンブル依存症対策にも力を入れるだろう」と、この時の私は無邪気に信じていましたね。
今思えば推進派の政治家の恐ろしさ、二枚舌ぶりを全く分かっていなかったと思いますね。

そもそもカジノを強力に推進したい政治家というのは、国民の心の健康問題よりも関心を寄せているのは「金」なんですよね。ホントあの頃の私は甘ちゃんでした。

そして、ご存知の通りカジノ法案が通過すると共に「ギャンブル等依存症対策基本法」も成立にこぎつけたわけです。

これはですね、確かに甘ちゃんの私でしたけど、あの時できた最良の一手だったと、弱小団体が孤軍奮闘し必死に動き、よく法律を成立までこぎつけたと自負してます。何も作れぬままカジノ法案が通ってしまうより、法案が残せたことはずっとマシだったと今でも思っています。

しかしながらここからですね、推進派特に秋元司議員が所属する二階派が豹変、いやもしかしたら本来の姿を見せただけで、私たちに対する態度こそが借り物の姿だったのかもしれませんが、あっという間に、ギャンブル依存症対策などどこ吹く風、ギャンブル産業側とべったりとなって行きました。

衝撃的だったのは、以前記事にも書きましたが、二階さんがぱちんこ業界に大号令を出し、参議院選で「ぱちんこ族議員」を擁立させようとしたこと。

[…略…]

このように正確な情報も公開されぬまま、進められてきたカジノ法案。秋元議員はIR副大臣という要職に在りながら今回収賄事件が発覚したこと、しかもそれはまだ氷山の一角に過ぎないかもしれぬこと、そしてハッキリしたのは法案自体が、このような賄賂政治の中で決められていたこと。

頼りの官僚はご存知の通り、今や政権のご意向を守るために必死ですからね。IR法案が審議されていたころの内閣官房の人たちは、推進派側と近しい関係だったことは間違いないですね。

どれだけ推進派のプロパガンダイベントに出まくっていたことか!
私たち依存症団体に対するけんもほろろな態度と比較して、とても公平な立場とは思えませんでした。

今回人事異動があったので、是非とも賄賂議員を排除して真摯な態度で向き合って欲しいところです。

菅官房長官は、担当副大臣が収賄で逮捕されたにもかかわらず、IRを早期に着実に進めていくなどと仰天発言をしていますが、長期政権でここまで国民を馬鹿にした発言を平気でするようになったのか?とあきれるばかりです。

いやいや、収賄があったんですよ?賄賂で内容が汚染されていないか精査するのが普通でしょ?何事もなかったように蓋しちゃおう!なんてことに絶対ならないよう、私たちも頑張りますけど、是非世論も応援してください。<了>

田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生

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いやいや、どうも二階氏、大丈夫なんでしょうか・・・。

そしてアイヌ新法成立に尽力したという菅官房長官・・・。

安倍政権を支えるツートップが、どうにも・・・。

ご紹介まで。

 

12月26日(木)

【裏切りに、見える・・・】

ニューズウィークに興味深い記事が載っていましたのでご紹介したいと。
安倍政権が習近平氏を国賓待遇で招くことについて、「それをアメリカ政権はどう見ているか」という観点で批判的に論じる、中国人学者の寄稿文です。

◆Newsweek◆
【楊海英 ユーラシアウォッチ】
基本的人権の理念を捨て、習近平を国賓に迎える安倍政権
(2019年12月24日)
<ウイグル人弾圧、香港抑圧の習近平・独裁体制と「世界平和」を目指す安倍政権は、人権、民主主義の理念を捨てて経済的利益を優先するのか>

「日中両国はアジアや世界の平和と安定、繁栄に大きな責任を有している。(中略)この責任を果たすべきだとの認識を共有し、その意思を明確に示すことが国際社会から求められている」

この政治的常套句を口にしたのは、中国政府の気難しいスポークスマンではなく、日本の安倍晋三首相である。去る12月9日の記者会見で、来春に予定する中国の習近平(シー・チンピン)国家主席の「国賓」としての来日に方針変更はない、との決意を新たにした。

日中関係・日米関係に何が起きているか全く釈然としない──そう考える米シンクタンク勤務の私の友人が東京に来ていたときに、安倍首相は中国寄りの姿勢を一層強めて見せた。アメリカへの挑戦とも映る日本政府の昨今の動向は決して感情的な「反抗」ではなく、明確な意図に基づいた行動だ、とアメリカの関係筋はみているらしい。ダグラス・マッカーサー元帥が「12歳だ」と揶揄した時代から約70年がたち、日本がそろそろ「反抗期」に入っても誰にもとがめられない。問題は微妙なその時期だ。

トランプ米政権は今、中国との貿易戦争の真っ最中にいる。困難な協議を経て第1段階の合意に達したとはいえ、対立そのものが解消されたわけではない。何しろ、ペンス副大統領やポンペオ国務長官が繰り返し演説で表明しているように、アメリカは中国共産党そのものを悪の存在と見なし、体制に不信感を抱いている。経済分野の対立だけでなく、ウイグル人に対するホロコースト同然の弾圧や香港人に対する厳しい鎮圧は、まさに中国共産党の本質を物語る行為だと理解されている。

片や、安倍政権はアメリカの価値観と完全に相いれない独裁政権と「世界平和」を構築しようとしている。アメリカの識者たちの目には、戦前の大日本帝国がナチス・ドイツと秘密裏に交渉を続け、同盟を結んだ「悪の枢軸」を想起させてもいるようだ。

安倍首相を転向させたのは、いまだに「エコノミック・アニマル」の境地から脱出できていない経済界だろう。世界を代表するソニーとシャープは中国にウイグル人を監視する顔認証システムの部品を輸出してきた。無印良品とユニクロの製品には新疆ウイグル自治区で生産されていた綿花が利用されていた。そして、日本の大手飲料メーカーはビールの原料であるホップを同自治区で栽培していた。日本人が日常的に使う多くの製品にも、強制収容施設内に閉じ込められ、無理やり働かされたウイグル人の血と涙が染み込んでいる。

金儲けを優先する経済界は中国での利権を確保し続けたい。だから、人権や民主主義といった基本的な理念を捨てて、中国にべったりとなっている。そして、経済界からの支持で自らの「アベノミクス」の成功物語をレガシーに作り替えたい政権が、同盟国アメリカを「裏切る」方向へ舵を切りつつある──少なくともそう見える。

国際秩序と民主主義制度を否定しようとする中国に対し、NATOも一致団結するようになってきた。アメリカは最近、スパイ行為を行った中国人外交官2人を国外追放しているし、スウェーデンにも同様な動きが見られる。一方、「スパイ天国・東京」を中国の諜報関係者が闊歩し、中国系ビジネスマンたちは自衛隊駐屯地付近の土地を買いあさるが、日本の治安当局は沈黙を保ち続けている。世界一優秀と評価されていた日本の官僚や公務員たちの人事権が首相官邸に握られたからである。

「地獄を見ない限り、日本人は覚醒しないだろう」と、米シンクタンクの友人は吐き捨てて帰国の途に就いた。<了>

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果たしてトランプ氏はこれをどう見ているのでしょうか・・・。

北野公伯氏は、「日本政府は何も考えていない。しかしアメリカ政権から見れば、何も考えていないなどあり得ない!と思っている。つまり、日本が裏切り行為をしているとしか思えない」と分析しているのですが、おそらくそれが正解だと思えるのです。

せめてトランプ氏が、「いや、安倍の気持ちは俺がよく分かっている。安倍は中国にすり寄っている訳じゃない。大丈夫だ・・・」などと思ってくれているならいいのですが、その可能性はどれほどあるのかと・・・。

ご紹介まで。

 

12月25日(水)

【核融合が実用化か?】

ニューズウィーク誌に衝撃的なニュースが載っていたのでご紹介したいと。
なんと、中国が「核融合炉」の運転を開始するという。

もしこれが本当に稼働して、実用化できるようになるとするなら、これは革命的大成功、超ド級の大ニュースなのです。

ですが、私個人としては(あの中国だからなぁ…、悪いけど俄かには信用できないだろう…)として眉唾だと受け止めているのです。

ですが、ひょっとしたらひょっとする可能性もないことはないと。

いやいやどうなんでしょうか・・・。

◆Newsweek◆
中国で次世代の核融合装置「人工太陽」がついに誕生へ

(2019年12月24日(火)ハナ・オズボーン(サイエンス担当))
<核融合研究装置「HL-2M」は、太陽の中心で起こる反応を再現してエネルギーを生成する>
 2020年、ついに中国が次世代の核融合研究装置「HL-2M」の運転を開始する。この核融合装置は、太陽の中心で起こる反応を再現してエネルギーを生成することから、「人工太陽」とも呼ばれる。運転開始後、実験に成功すれば、核融合利用の究極の目標である無限、安い、クリーンという三拍子がそろったエネルギーの獲得に一歩近づく。
 06年からHL-2Mプロジェクトを進めてきた国有原子力企業、中国核工業集団公司(CNNC)は19年3月、年内にHL-2Mの建設を終えると発表。11月には、CNNC傘下で研究を請け負う核工業西南物理研究院の段旭如(トアン・シュイルー)院長が、プロジェクトは順調であり、「20年には運転を開始する」と述べた。同装置は太陽の中心温度の約13倍であるセ氏2億度以上を達成見込みで、別装置で18年11月に達した1億度を大幅に上回る。
 20年に「人工太陽」が中国にともれば、以後世界で造られる核融合炉は「メイド・イン・チャイナ」になるかも。
<本誌2020年01月7日新年合併号掲載>

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もう一つ、探しましたら出てきましたのでご参考まで、

◆Gigazine◆
2億度のプラズマを生み出せる核融合炉「人工太陽」が2020年に稼働開始する予定(2012.12.20)

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我が国家ビジョン研究会にはちゃんと「核融合エネルギー分科会」が設置されてありまして、これまで鋭意研究開発に協力してきているのですが、こんなんされたら・・・。

う~む・・・、どうなんでしょうか・・・。

ご紹介まで。

 

12月24日(火)

【移民、賛成 or 反対?】

今、ヨーロッパ諸国はドイツをはじめ、どこも移民・難民問題で大いに困っているのです。
「多文化共生」などという美しいスローガンは、もうすっかり色褪せて、「それは失敗だった」と烙印を押されているのです。

日本が今後、移民を受け入れるべきか否か、それはとても難しい問題でして、賛成派、反対派、の比率は果たしてどうなんでしょうか。

保守系の経済学者、評論家諸氏はおおむね「反対」の立場のようですが、それでも安倍政権は「ますます多く入れる」という方向でしょうか。

確かに、経済面だけを考えれば、移民を受け入れることが手っ取り早い経済発展の方策なのでしょうから。

今、「移民の子」の青春期を描いた本の著者へのインタビュー記事があるのですが、とても考えさせられる良記事でしたのでご紹介したいと。

◆COURRIER◆
『ふるさとって呼んでもいいですか』著者ナディに聞く
「イラン系日本人」の私がイランでラーメン屋を開きたくなった理由
(クーリエ・ジャポン2019.12.23)

著書『ふるさとって呼んでもいいですか 6歳で「移民」になった私の物語』が話題のナディ(35)は、1991年、イランから出稼ぎ労働目的の両親とともに来日して以来、29年間、日本で暮らしてきた。

彼女のアイデンティティは「イラン系日本人」。しかし最近、出生地のイランに滞在して、イランと日本の両国を見つめ直すことになったという──。

■「なんで謝るんですか」

──今年の夏にイランに滞在されたそうですね。

「日本が世界でいちばん素晴らしい国で、世界の国々は日本みたいになれば幸せになれるのに」とずっと思っていました。

そういう気持ちのまま、イランに6年ぶりに行きました。40日間も滞在したのは17年ぶりです。

イランは、日本ほどではないけれど、モノやインフラなどがすごく発展していて変わったなと思いました。

私自身の変化としては、この6年のあいだに2児の母になりました。

日本では、電車やバスに乗るのも大変です。2人目の子どもが生まれる前は、お腹が大きいままベビーカーも押していたんですが、バスに乗るときとか誰も手伝ってくれないし、声もかけてくれませんでした。

でも、イランは全然違いました。みんな本当に優しくて、ゆとりがあったんです。困ってそうな人に声をかける余裕がそこらじゅうにあるんです。

レストランでご飯を食べたとき、子どもたちがすごくこぼすので、日本でやるのと同じように「すいません、すいません」と謝りながら、テーブルの下を片づけていました。すると、お店の人が「なんで謝るんですか。子どもなんだから、いいんですよ。食べた証拠じゃないですか」と言ってくれました。

「食育」という言葉がイランにあるのかどうかは知りませんが、とにかくありがたかったです。

イランに行く前は、ママ友から「外国のほうが絶対いいよ、子ども育てやすいから」って言われても、私は「そんなことないよ、日本ほどいい国はない、安全でしょ」って返してたんです。

でも、イランで「こういうことなの?」ってちょっとずつ体感したんです。優先席やルールがなくても、「あなた、子どもいるから先にどうぞ」ってみんなが自然に行動できるのを見て、素敵だなと思いました。

■イランには「人情」があった

──ほかに、印象に残ったことはありますか?

アメリカによる経済制裁が厳しくなって、イランでは物価が3年前の10倍に上がっていると言われています。給料は上がらないのに、です。

貧富の差もあるし、食べ物を買うお金のない人がいます。それなのに、他人を思いやる気持ちというか、人情があると感じました。

関連記事:トランプ大統領はなぜそこまでイランを目の敵にするのか?

たとえば、今回のイラン滞在中にこんな光景を見かけました。

あるおじいちゃんが路面店のジュースを盗もうとしていました。テーブル席で食べていた家族のお父さんがそれを見て口笛を鳴らして、店の人にアイコンタクトをしました。くすねようとしているから気をつけて、と。

それで店の人が「おじいちゃん、お会計こっちだよ」と呼んで、おじいちゃんも仕方なくお会計に行ったら、その合図したお父さんが「それにお弁当もつけてあげて」って言ってまたアイコンタクトを店の人に送ったんです。「支払いは私がもつから」って。

■30年前、日本にもあった人情はどこへ?

──日本ではもう、なかなか見ない光景ですよね。

私が30年くらい前に日本に来たときは、まだたぶんそういう文化がありました。夏の暑い時期に、私たちきょうだい、つまり外国人の小さい子どもが3人、バス停に立ってたら、ジュースを買ってくれて「これみんなで飲みな」ってくれる人もいました。

でも、だんだん社会は変わっていきました。いまはもう「知らない人から物をもらってはいけない」となっています。

それと最近、法律で年5日の有給休暇取得が義務づけられました。休めって強制されないと年に5日すら休めないわけです。

イランでは、知らない人同士でも何気ない会話があるし、家族に何かあれば休みます。職場に家族から電話がくれば仕事中でも出ます。法律がなくても、無意識に優先順位を決めてやっているんです。

日本では、仕事中に家族からの電話に出るなんてありえないというのが普通です。でも、「そうじゃない生き方」も外の世界にはあって、それが心の余裕につながっているのではないかと思うようになりました。

日本に見切りをつけて外国に暮らしている日本人の友達が何人かいて、それまで私は「日本って豊かじゃん。路上で寝てる子どもいないじゃん。物売りしている子どもいないでしょ。こんな国ないよ。社会保障すごい証拠よ」って言っていたんです。

今回イランに行って、日本を出ていってしまう気持ちが初めて理解できました。子どもが生まれなかったら気づかなかったことだと思います。

「すみません、すみません」の社会よりも「ありがとう」の社会のほうが素敵だな、私はそういうところで生きていきたいなと思ったのです。

関連記事:「Mr.コレエダ、あなたはまだ日本に希望を抱いていますか?」

■イランで「ラーメン屋」を

──イランに「出稼ぎ」に行ってみたいと思ったとか?

イランも政治的にはいろいろ問題があります。イスラム教に沿うことしか認められないとか──「肌の露出ダメ」「スカーフしなきゃだめ」などがそうです。

でも国民は法律だから仕方なく従っているわけではなく、納得できないことには自分の権利を求めて闘うし、意思表示もします。

「変わってない」と現地の人たちは言うんですよ。でも6年ぶりにイランに行った身として言えるのは、確実に服装の規制も緩くなっているし、変化はあるんです。しかも彼らが自分たちでそうした変化をつくってきているんです。

関連記事:“波乗り美人”をとりまく「イスラムの矛盾」 この国で初めてサーフィンしたのは私です

そして「イランてすごい国だね」って言うと、「いやあなたはここで暮らしていないからわからない。イランはまだまだですよ。こんな問題があるんですよ」と満足していません。

理想が高いというか、もっとこうしたらいいのにというものを持っているから、妥協しないんです。

私はずっと「日本・イズ・ナンバーワン」だったのに、まさかの、「三流国家」(偏見ごめんなさい!)だと思っていたイランがかっこいいと思ってしまう日が来るなんて。

イランでラーメン屋さんやるのもありかなと思っています(笑)。かっこいいところで暮らしたいじゃないですか。

でも私のふるさとが日本であることに変わりはありません。なので、この国が「かっこ悪くなってる」と気づいたときには、変えていかなければと思っています。

■「外国人の視点」は日本を良くする

──日本はどうしたらかっこよくなれるんでしょうか?

いま多くの外国人が日本に働きに来ていますが、これは「外の視点」を取り入れるチャンスだと思うんです。

たとえば、日本では仕事中に水以外の飲み物を禁じている職場がありますよね。でも海外ではそんな話、ほとんど聞きません。人は仕事中に喉が渇いたら、どんな色の飲み物を飲んでもいいんですから。

仕事中に紅茶もコーラも飲めないくらい、がんじがらめの「やばい」ムードを作ってしまっている日本に、外国人労働者はびっくりするでしょう。彼らは、そういうことを当たり前としない社会で生きてきたのですから。

日本の常識と異なる社会とはどんなものなのか──それを外国人から聞いて、「暮らしやすい、働きやすい環境ってなんだろう?」ということを、彼らから教われる場面もあると思います。

『ふるさとって呼んでもいいですか 6歳で「移民」になった私の物語』

■人が育つ社会になっているか

──著書にはナディさん家族を助けてくれた日本人が何人も書かれていました。最近は外国人に厳しい日本社会の報道が多いので、ナディさんの周りには「いい日本人がいて良かった」と思ってしまいました。

いなかったら、うちの母親が私たちを連れてイランに帰っていたと思います。「あなたたちがいじめられてたら、日本にいなかったよ」と言っていましたから。本当に社会が私たちを育ててくれたんです。

ご近所の人たちから「なんだあいつら」と煙たがられていたら、外にも出ていけず、公園でも遊べず、結果的に日本語でのコミュニケーションもとれなかったと思います。

外国人に向かって「努力が足りない」とか「家でなんで日本語教えないのか」と言っても解決にはならないと思います。むしろ、日本社会はその外国人たちと「挨拶してますか」「交流してますか」という問いかけのほうが大事ではないでしょうか。

社会が「外国人嫌だ」という雰囲気を作ってしまったら、その先、日本人と外国人の関わり合いは減る方向にしかいきません。

私のほうも、外国人が不良だったら「国に帰れよ」と言われるので、とにかく良い子でいなきゃと思っていました。それは大人になってからも同じで、「私は求められていないんだ」「日本を良くしたいと思っても、そういうことは言っちゃいけないんだ」と思っていたんです。29年も日本にいたのに、です。

でも望月優大さんの『ふたつの日本──「移民国家」の建前と現実』を読んで変わりました。どこにいても、誰にでも、人権があり、感じたことを言ってもいいんだと知ったんです。

すべては社会のあり方次第なんだ、それがいま言いたいことです。みんなが「自己責任」で「もっとやれよ」という社会より、「がんばったね」「元気?」と言い合える社会のほうが、大人も子どもも過ごしやすいと思いませんか。そんな社会が人を育て、心のゆとりを生むと思うんです。

関連記事:「日本人」になれない外国ルーツの子供たち

■日本人もブルマを履かなくなった

──著書にはアイデンティティの揺れや葛藤も書かれていましたが、いま話を伺っていると、迷いがない印象を受けます。何か変わったんですか?

<以下略>

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もちろん日本はイイ国、最高の国には違いないのですが、それでも国民の中には、とても排斥的な、とても排外的なポリシーをもつ人たちも一部いる訳ですので、移民の子が日本の子にいじめられるというようなケースも、今後ますます増えることでしょう。

いや、移民を受け入れるだけの「余裕」が、実はもう日本人には残されていない、ということかもしれないのですが、どうなんでしょうか。
皆が自分のことだけでアップアップ、いっぱいいっぱいということで・・・。

ご紹介まで。

 

12月23日(月)

【俺達は嘘の歴史を教わったのか】

歴史認識というものは難しいものでありまして、韓国などの歴史認識ではどうにも「真実」よりも「自国粉飾」という類のポリシーで貫かれているような恰好ですが、それはどこの国でも多かれ少なかれそうなのでしょう。

アメリカでも、為政者は自国民に「自分たちの政策の過ち」はあまり見せたくないようでありまして、太平洋戦争の開戦理由を日本の非に求め、逆に自分たちが戦争を決意したのが「日本が真珠湾を攻撃したからだ!」という正当防衛であると教えて来ているようなのです。

しかし、近年、アメリカでも歴史を正当に見つめようとする識者もいるようで、あるシンクタンクがそういう研究を発表したところ、一般庶民が少々それを驚きをもって迎えているというニュースがありまして、ご紹介したいと。

◆パンドラの憂鬱◆
米国「俺達は嘘の歴史を教わったのか」 米研究所『真珠湾攻撃はアメリカの責任である』( 2019/12/14)
日本軍による真珠湾攻撃から78年となる今月7日(日本時間8日)、
オアフ島で追悼式典が行われ、犠牲者の家族や米軍の関係者などが、
発生時間に合わせて祈りをささげました。

この時期になると、毎年海外のネット上で話題になるのが、
太平洋戦争開戦時の米国の大統領フランクリン・ルーズベルトが、
日本がアメリカを攻撃するように仕向けたという説。

米国のシンクタンク「Independent Institute」もその説を支持しており、
「アメリカの経済制裁が真珠湾攻撃を引き起こした」
というタイトル&内容の記事を配信しています。

このシンクタンクの主張を取り上げた投稿や動画には、
アメリカ人から様々な反応が寄せられています。
その一部をご紹介しますので、ごらんください。

海外「米国史上最悪の過ち」 NYT紙『原爆投下は本当に必要だったのか?』

翻訳元■■■

■ルーズベルトは日本が真珠湾を攻撃することを知っていたのは確かだ。
  そしてそれはルーズベルトが長らく求めていた物だった。
  アメリカが大戦に介入する正当性を与えてくれたわけだから。 +24

■つまり、真珠湾攻撃は俺たちの責任だったという事だよね?

   ■「アメリカ国民」の責任ではないけどね。
     ルーズベルト大統領や閣僚やその他の人たちの責任だ。 +1

■結局スターリンを救うための戦争だったんだよ。
  ルーズベルトは自分の外交政策のために、
  一体どれだけ多くの命を間接的に奪ったんだ。 +2

■なぜ真珠湾は悲劇に見舞われてしまったのか。
  その理由を理解しておくのは非常に重要だと思う。 +4

■真珠湾攻撃前の禁輸措置が日本との関係を悪化させた。
  アメリカがやったことは明らかな挑発だったんだ。
  ルーズベルトは欧州戦線に参加したくて仕方がなかったし。 +3

■そう、アメリカが日本を追い込んだんだ。
  これは隠された歴史の真実の1つだ。 +1

■禁輸措置は戦争行為だよな。
  措置の実行は真珠湾攻撃が行われる前だったんだから。
  ルーズベルトが日本に攻撃してもらいたかったのは間違いない。 +10

■真珠湾攻撃に関しては記事の言う通りだろう。
  だけど日本が中国に侵攻していたのも事実だから。

「日本の統治は偉大だった」 日本統治下の満州の映像に海外から驚きと感動の声

■マッカラム・メモのことか……。
  日本にアメリカを攻撃させるための戦争挑発行動8項目。
  全ての項目は実際に行われ、結果望んだ形になった。 +3

■ニミッツ元帥の故郷であるフレデリックスバーグに住んでるんだが、
  この街ではデタラメばかりがまかり通っている。
  口を閉ざすことが大切だという処世術をここで学んだよ。 +7

   ■お気の毒に。ちなみにそれはドイツでも同じ。 +2

   ■ニミッツは少なくとも原爆の投下には反対したけどね。
     だけど記事で書かれてることが真実だろう。
     攻撃させるようにこちらから仕向けたんだ。 +4

■君たちの意見にいちいち反論してる時間はないが、
  アジアで暴れていた日本に禁輸措置を科したことが、
  本当に間違いだったと思ってるのかな? 😆+1

   ■だって他の国と組んで包囲網を敷いてたじゃん。
     あれは明らかに戦争行為だったと思うが。

■「地球平面説」と同じくらいのトンデモ論だな。 +2

「その発想はなかったw」 日本軍による真珠湾攻撃は不可能だった説が話題に

■これは別に秘密でも何でもない。よく言われてる事だし……。 +15

■あれっ、イランに対する経済制裁もまさか……? +2

■自分はこの記事には賛同できない。
  「アメリカが経済戦争をしかけたから」
  というのは日本による正当化であって、
  真珠湾攻撃を仕掛けた本当の理由ではない。 +4

   ■そう。日本が強大な武力でアジアを支配してたからこそ、
     アメリカは日本に対して禁輸措置を科したんだ。 +1

■アメリカに責任がある事を信じられない人たちの反応が大好きだ。
  もしアメリカを「聖人」のような国だと思ってるなら、
  この国のちゃんとした歴史を読んだ方がいい。 +92

■つまり俺たちは嘘の歴史を教わっていたのか。 +2

■衝撃的な事実だった。飲み込むまでに時間がかかったよ。
  記事の著者の真珠湾攻撃に関するレクチャーを全部見てみたい。 +3

海外「衝撃を受けた」 『大東亜戦争の真実』に外国人から賛否両論

■これこそ真珠湾攻撃の本当の歴史だ。
  政府は国民には無知のままでいて欲しいだろうけど。 +3

■俺もアメリカと同盟国による経済制裁は、
  間違いなく日本に深刻なダメージを与えたとは思ってるよ。
  だけどそれはアジアを支配下に置こうとする、
  日本の全体主義に対抗するためだったんだよ。 +1

■今ちょうど「真珠湾の真実:ルーズベルト欺瞞の日々」と、
  ジョン・トーランドの「真珠湾」を読んでる。
  一文一文に衝撃を受けてるよ。 +6 

   ■「真珠湾の真実」はすごい本だよな。
     著者が発掘した資料はまさに驚異的の一言。 +1

■自分も前に同じ話を聞いた。
  アメリカによる経済封鎖によって日本は追い込まれたってね。
  それこそが日本が真珠湾を攻撃した理由だろう。 +3

■真珠湾への攻撃が行われる6ヶ月も前に、
  「J.B.No.355」という日本爆撃作戦が計画されてたからね。
  その文書はネット上で見られるよ。 +2

■日本の領土的野心が戦争を不可避なものにしたんだが。 +4

海外「日本デカ過ぎだろ」 大戦中の世界の領土の変遷が分かる地図動画
   ■日本との戦争は不可避だったかもしれない。
     だけどアメリカは日本が実際に攻撃してくるまで、
     経済制裁とかに動くべきじゃなかったんだよ。
     結局は貪欲な戦争屋が戦争を引き起こしたんだ。 +6

■悪者にされてしまってる日本が可愛そう。 +11

■日本みたいに海上輸送に完全に依存してる島国にとって、
  禁輸措置は大量破壊兵器並みの威力がある。
  そのことをみんな理解するべきだ。 +17

■俺たちの指導者は、日本に先に攻撃して欲しかったんだよ。
  結局のところ、真珠湾攻撃の前からすでに戦争は始まっていたんだ。 +6

〇ここでの反応が米国の一般的な世論かと言えばそうではないと思いますが、様々な考えがあること、そしてインターネットの普及により、多くの人が多様な情報に触れられるようになった事は間違いなさそうです。<了>

*************************

ご紹介まで。

ではでは。

 

12月22日(

【ウイグル人問題】

今、トルコでは中国の『ウイグル人弾圧』に対する批判の声が澎湃として沸き起こっているとか。

ウィーン在住のコラムニスト長谷川氏のブログに詳報が掲載されていましたのでご紹介したいと。

 

◆ウィーン発 『コンフィデンシャル』◆
トルコで「ウイグル人への連帯デモ」
(長谷川良 2019年12月22日)
 今回はコラム「エジル選手『ウイグル人弾圧』を批判」(2019年12月17日)の補足編だ。サッカーの英国プレミアリーグの「アーセナルFC」に所属するメスト・エジル選手(31)は13日、中国新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル人が強制収容所に送られ、非人道的な扱いを受けていると指摘し、世界のイスラム教国に向かって、「コーランが焼かれ、モスクが閉鎖され、イスラム神学校が閉校させられ、聖職者たちが次から次へと殺され、兄弟(イスラム教徒)たちが強制的に収容施設へ送られている」(AFP通信)と説明し、「世界のイスラム教徒よ、ウイグル人を守れ」とアピールした。

 自身も敬虔なイスラム教徒のエジル選手(トルコ系)はイスラム教国でウイグル人の弾圧を糾弾する声が出てこないことに失望し、今回の異例のアピールとなったが、訴えは“荒野での叫び”には終わらず、大きな反響を呼んでいる。

 トルコのイスタンブール西部で20日、数千人の市民が中国共産党政権のウイグル人弾圧を糾弾するデモが行われた。デモを主催したのはトルコのイスラム教徒の非政府機関「人道支援基金」(IHH)だ。現地からの報道によると、デモ参加者は、「収容所を閉鎖せよ」と書かれたプラカードを掲げ、参加者の一部は中国の国旗を燃やしたという。

 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は先月24日、中国共産党政権の機密文書「チャイナ・ケーブルズ」(China-Cables)を公表したが、中国当局が同国北西部にウイグル人強制収容所を設置し、ウイグル人を組織的に弾圧し、同化政策を展開している」という内容が記述されていた。中国側の主張に反し、収容所は自由意思ではなく、強制的に送られた人々で溢れ、少なくとも1年間は収容されているという。

 また「国際アムネスティ」(IA)は「中国側の大規模な拘束は、同自治区で『脱過激化条例』が制定されたことが契機だった。同条例の下では、公私の場を問わず、イスラム教やウイグルの宗教や文化に関わる行為を『過激派』と見なされる。例えば、「普通でない」ひげを蓄える、全身を覆うニカブや頭を隠すヒジャブを着用する、定時の祈り、断食や禁酒、宗教や文化に関わる本や文書の所持などが「過激派」と受け取られる」と報告している。

 それに対し、中国共産党政権はウイグル人強制収容所の存在を一貫として否定し、「教育センター」であり、「職業訓練所だ」と嘘ぶいてきた。

[…略…]

朗報は、欧州連合(EU)欧州議会が人権や自由の擁護活動を称える「サハロフ賞」の今年の受賞者をウイグル族経済学者イリハム・トフティ氏と決定し、その授賞式が18日に行われたことだ。

 トフティ氏が現在、中国で国家分裂罪に問われて服役中のため、本人に代わって娘のジェウヘルさんが出席し、賞を受け取った。ジェウヘルさんは議会で演説し、「ウイグル人には学校にも公共の場にも家の中にも自由はない。100万人以上のウイグル人が抑留されて自分たちの信仰や言葉を捨てさせられ、拷問で死んだ人もいる」と訴えている(時事通信)。

 なお、ポンペオ米国務長官は7月18日、国連で演説し、ウイグル人ら数百万の強制収容について、「現代における最悪の人権危機で、まさに今世紀の汚点だ」と非難している。<了>

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中国政府には中国政府なりの主張が当然あるのでしょうが、それにしてもそれは歴史の厳しい目からはダメ政策として断罪されることになるのでしょう。

そういう意味では、ポンペオ氏が言うように「今世紀の汚点」というべきでしょうか。

もうほとんど忘れられた存在ですが、「ダライラマ14世」(84歳)という人が、未だに「亡命政府」としてインドで暮らしているのです。

私も数年前、ホテルニューオークラでの講演会に行って話を聴いたことがあるのですが、なかなか立派な人物であったのです。

チベットも、中国共産党政権によって厳しい弾圧の中にあったのです。胡錦涛氏がトップに上り詰められたのも、実はチベットでの弾圧政策が高く評価されて出世した、という話も聞くのです。

もうずいぶん昔ですが、チベットからは僧侶の「焼身自殺」という激しくショッキングな手段が抵抗運動の一環として生じ、それがしばしば先進諸国に報道されて伝わってきていたのです。

しかし、そういう事実も、もはや歴史の中に風化して行くのでしょうか。世界中の人はもうチベットの悲劇を忘れてしまっているのです。

そして今、ウイグルが第2のチベット化して、ついには歴史の中に風化して行くのでしょう・・・。

かつてリチャード・ギア氏が、チベット弾圧に抗議して中国政府に厳しく睨まれていたという事実もあったのですが・・・。

【参考】リチャード・ギア、反中国発言でハリウッド追放(2017.4.24)

はてさて、安倍首相はどこまで厳しく習近平氏に迫れるのでしょうか。

そして習近平氏はにこやかに微笑しながら今上陛下と握手を交わし、その画像が世界中に配信されるという・・・。
まさに習近平氏(中国共産党政権)の思う壺・・・。

う~~む・・・、安倍首相の算段は一体・・・。

 

12月21日(土)

【実は日本はもう遅れた国になっている…】

先日19日(木)に八幡和郎先生をお招きしての月例研究会がありまして、とても勉強になるお話を聞かせて頂いたのです。八幡先生は「平成の総括」という感じでお話してくれたのですが、幅広いジャンルを横断しての、いくつも鋭い切り口からの見方を教えられて驚いたのです。

さて、その中でも八幡先生がもっとも勘所として強調されておられたのが、「今の日本はちょうど江戸時代の日本と同じだ。世界からどんどん取り残されているのに気づかず、自分たちの生活がほどほど出来ていることに安住して危機感をもたずに暮らしている。今の日本は本当に遅れた国になっています」ということだったでしょうか。

言われてみれば確かにGDPの話などでは先進国中最低の伸びしか達成できていないのです。ほんまに「何でこうなった?!」として原因分析なり国の政策の反省を厳しくしていかなければならないのでしょう。

はてさて本当に日本の衰退はどういうところに原因があるのでしょうか、そして政治は今後どのような方向に動いて行けばいいのでしょうか、難しいところです。

併せて、我が国家ビジョン研究会がどうすれば真に日本再生のお役に立てるのか、私たちも真面目に考えて行かなければいけないと、思いを新たにした次第です。

ではでは。

 

12月18日(水)

【中国、遅れてやって来た帝国主義国家】

明治大学准教授の水谷尚子女史がNewsweek誌に一文を寄稿されておりまして、ご紹介したいと。

そこに次のような一節があるのです、
❝「遅れて来た帝国主義国家」の民族浄化を、外国人であるわれわれはどうやったら止めることができるのだろう❞
という。

かつてユーゴスラビア内戦の時代には、民族浄化(エスニッククレンジング)なる奇妙な名で他民族の抹殺のようなことが行われていたのですが、およそ「蛮行」というに相応しい悪行です。

それをユーゴスラビアなら「民兵」といういかがわしい組織がやっていたのですが、中国はなんと「政府」が主導して行っているのです。

中国政府はこれを糾弾されるなら、これをしも「内政干渉は許されない!」などとして反発するのでしょうか。

毛沢東による「文化大革命」という恐ろしい蛮行により、中国の歴史にぬぐえない汚点を付けた中国共産党政権は、21世紀の今日再び、拭えない汚点を付ける真似をしているのです。

これを我々自由主義諸国は漫然として傍観しているのです。

一人、アメリカが敢然としてこれを「許すまじ!」として立ち上がっているのです。

そこだけ見ればアメリカは正義のヒーローですが、もちろんそんなアメリカも、実はエゴイスティックに裏では汚い仕事も働いているのです・・・。

世の中のことは、ほんまに純粋真っすぐクンではなんとも。

日本は一人孤高の純粋真っすぐクンを演じているかのようです。

 

◆Newsweek◆
ウイグル弾圧は習近平だけの過ちではない
READING CHINESE CABLES
2019年12月17日(火)水谷尚子(明治大学准教授、中国現代史研究者)
<党上層部の作成した文書が流出したことによって世界的に国家主席への批判が高まっているが、ウイグル人の中国化政策は今に始まったことではない>

11月、中国共産党の新疆ウイグル自治区関連文書が大量流出した。新疆では2016年頃からウイグル人統治に関する行政文書が国外流出していたが、今回のものは党上級機関が作成した「重要文献」だ。

流出文書を公表したニューヨーク・タイムズ紙は11月中旬、「習近平(シー・チンピン)が(ウイグル人への弾圧を)容赦するなと、党幹部を対象とする非公開演説の席で述べていた」と暴露した。そして11月下旬には、国際調査報道ジャーナリスト連盟(ICIJ)が強制収容を共産党が国家政策として遂行していることを裏付ける流出文献を公開した。こうした一連の暴露によって現在、習近平国家主席への批判が世界規模で高まっている。

しかし、これまでの新疆史を見れば、共産党による新疆「一体化」は今に始まったことではなく、1人の政治家の誤りで片付けられる事柄でもない。1949年の中華人民共和国成立後、人民解放軍の新疆進攻、生産建設兵団の形成、西部大開発、ウイグル語による教育の廃止、「一帯一路」戦略そして今回のテュルク系民族強制収容……と、じわりじわりと「次の一手」を打ちつつ、一体化政策は今に至る。共産党は満人(満州族)が漢人化していったように、テュルク系ムスリムも漢人化できると思っているようだ。

[…略…]

■文書流出の女性に殺害予告が
星の数ほどの監視カメラを各地にちりばめたウイグル人監視システム「一体化統合作戦プラットフォーム」では、2017年6月中旬からさまざまなデータが集積され、分析結果が強制連行に使われた。データは自治区党委員会の「厳重取締り・敵地攻撃戦前線指揮部」という名の機関に集積されている。その名称から共産党は新疆政策を「敵地攻撃」と位置付けていることが分かる。システムには出入国記録や在外中国大使館の情報が記され、外国籍を取得したウイグル人も「国境地帯で規制を張り、入境したら身柄を確実に確保せよ」と強制連行の対象となることが流出文書に記されている。

今回の上層部文書の流出に関わったオランダ在住のウイグル人女性は現在、オランダ警察の庇護下にあるという。文書が公開されるまでの間、彼女は「中国当局から殺害予告を受けていた」と、ラジオ・フリー・アジア(RFA)に語っている。

「遅れて来た帝国主義国家」の民族浄化を、外国人であるわれわれはどうやったら止めることができるのだろう。

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ご紹介まで。

 

12月17日(火)

【スウェーデンを見習うべし】

今しがたアゴラ誌上で大変興味深い記事を読みまして、ご紹介したいと。それは、「スウェーデンでは最近、原発支持世論が急増している」という。

 

◆アゴラ◆
欧州で対照的なスウェーデンとドイツの原子力発電
諸葛 宗男:NPO法人パブリック・アウトリーチ・上席研究員 元東京大学特任教授(2019年12月17日)
■はじめに
 欧州の原子力発電政策は国ごとにまちまちである。昔は原子力発電に消極的だったスウェーデンが原子力発電を推進する政策を打ち出しているのもおどろきだが、ドイツの脱原発政策も異色である。
 原子力発電政策が対照的なこの2つの国の原子力発電政策を比較し、我が国の原子力政策の参考としたい。

■スウェーデンの原子力世論の急転換
 スウェーデンは米国のスリーマイル島事故を受け、1980年に稼働していた12基の原発全てを廃棄する決定を行った。
 ニュークリア・ルネッサンスの最中だったから誰しもが驚いた。このインパクトが大きいため、日本人の多くがいまだにスウェーデンは脱原発国だと思っている。
 しかし、事実は小説より奇なるである。スウェーデンが実際に停止したのは1999年のバーセベック1号機(Barsebeck:出力60万kW、1975年運転開始)と2005年のバーセベック2号機(出力60万kW、1977年)だけである。この2基の停止理由はデンマークに近いためとのことである。

【…略…]

■スウェーデンでは最近、原発支持世論が急増している
 スウェーデンで2019年に実施した世論調査では、78%が原子力を強く支持し、43%が新規建設に賛成し、35%が国の原子炉をフルに使い続けたいとしている。原発に否定的な人は世論調査対象者の11%に急減している。
 スウェーデン政府は2040年までに8基すべての原子炉を段階的に廃止する予定を変えていない。しかし、上述の世論調査結果はこの方針が世論を反映していない。
 原発反対者は長年にわたり約20%だったが今年の調査で11%という記録的な低さまで低下した。この結果は原発利用に幅広いコンセンサスがあるという事実を反映している。
 今回の世論調査は、ノーバスのランダムに選出されたパネルとのウェブベースのインタビューを通じて実施されました。18〜79歳の合計1027人が、10月24日から30日に実施された最新の調査に回答した。参加率は54%だった。

【…略…]

■原子力発電のゴールはエバキュエーション・フリーである
スウェーデンの世論の8割が原子力発電所を支持するようになったといっても原発推進者は手放しで喜んではいけない。ドイツは2022年、スウェーデンは2040年までに原子力発電所を全廃する計画は変っていないからである。

エバキュエーション・フリー(避難しなくても良い)の原子力発電所を実現しないと世論からの真の支持は得られない。原子力技術者はそれを目標としてこれからも努力しなければならない。<了>

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さて、世の中の動きは面白いものでありまして、すでに前からここでも紹介しているのですが、「フランスは国内電力の7割を原発で賄っている」という事実があるのです。

しかし、ドイツあたりは正反対で「脱原発」を官民挙げて血眼になって模索しているのです。

そこにきて、今度はスウェーデン世論は「原発容認」に舵を切っているとか。

こと原発問題につきましては、「世界標準(グローバルスタンダード)」が全然確立していないのです。

ただ、「CO2の排出だけは絶対NO!」という意見だけは世界標準化してきているのです。

だから日本の石炭火力発電が国際会議で非難されたりしているのです。(ただこれも仔細に見れば「謂れなき非難」とも言えるのですが。)

さて、原子力発電についてですが、国家ビジョン研究会の方は最終的(長期的)には全廃するべき(代替電源ができればですが)、短期・中期では存続させるべきというスタンスです。また、現実的には従来型の軽水炉型より、溶融塩路の方に活路を見出しており、そちらに注力しています。

さて、私個人としましては、現在日本で未稼働の原発は速やかに再稼働させるべきという認識なんですが、スウェーデンがいち早くその方向に舵を切ったという話を聞いて、(おう、賢明な・・・)となったのです。

スウェーデン国民は頭が柔らかいのでしょうか。(ということは、どうもドイツ国民は頭が固いのかと・・・)

いずれにしましても、日本はこの件ではドイツでなく、フランスとスウェーデンの方をこそ見習うべきであろうと思いまして。

ご紹介まで。

 

12月15日(

【アメリカの左翼エリートの欺瞞】

基本的に「自由第一優先=保守派、右派、資本家・金持ち層、アメリカ共和党、」、「平等第一優先=リベラル、革新、左派、労働者・貧困層、アメリカ民主党」という図式が世界的に一般的な傾向としてある訳です。

それはアメリカでもおよそ同様なのですが、アメリの左翼エリートがすこぶる欺瞞的であることを暴いている記事をご紹介したいと。

いずれにしても、ここにきて黒人層が民主党ではなく共和党を、トランプ氏を支持し始めているということは、すこぶる象徴的な出来ごとであると。

◆大紀元◆
【掛谷英紀コラム】
左翼エリートの選民思想(後編)
前回のコラム「左翼エリートの選民思想(前編)」では、左翼エリートにとって人権は手段であって目的ではないこと、心の底ではマイノリティや非エリートを見下していることについて述べた。今回は、そうした左翼エリートの欺瞞に対して、米国のマイノリティが逆襲を始めていることを紹介したい。

米国の主要テレビ局(FOXを除く)も日本と同様に左傾化しており、連日トランプ大統領批判を繰り返している。しかし、米国の国民も徐々にテレビ局の言うことを信用しなくなっている。トランプが黒人の失業率を史上最低にまで下げたことで、彼らもメディアの欺瞞に気づき始めたのだ。最近のエマーソンによる世論調査では、黒人の有権者におけるトランプ大統領の支持率が34.5%に上昇している。2016年の大統領選において、黒人でトランプに投票した人は8%しかいなかったことを考えると、この数字は驚異的である。

では、これまで黒人の失業率が高かったにもかかわらず、なぜ黒人は民主党に投票し続けてきたのか。黒人票が民主党に集まるようになったのはジョン・F・ケネディ大統領が公民権法を進めたのがきっかけである。しかし、その後の民主党政権の政策は、必ずしも黒人を幸せにするものではなかった。

このことを論理的に指摘しているのがラリー・エルダー(Larry Elder)である。彼は1952年生まれの黒人弁護士で、長年ラジオ番組のホストを務めた経験を持つ。民主党の政策の問題は、過剰な福祉により家庭を崩壊させたことだと彼は言う。実際、1965年の段階で黒人の婚外子は25%だったが、2015年には73%に上昇している。なお、白人でもその間、婚外子は5%から25%に上昇している。これが貧困と犯罪を再生産させる原因だと彼は指摘する。オバマ前大統領も演説で引用している通り、父のいない子供は貧困に陥り犯罪に走る確率が5倍、学校で落第する確率が9倍、刑務所に入る確率が20倍高いというデータがある。

では、なぜ離婚が増えたのか。その背景にリンドン・ジョンソン大統領(民主党)が1965年に始めた「貧困との戦い」プログラムがある。これにより、シングルマザーが政府から手厚い支援が受けられるようになり、男性が家庭に対する責任を安易に放棄するようになったのだ。ラリー・エルダーは、これを「女性が政府と結婚する」ようになったと表現する。実際、夫が失業したとき、公的支援を受けるためにソーシャルワーカーから離婚を勧められたというエピソードは、今も米国人のユーチューブ動画で時々紹介されているのを目にする。

さらに言うと、手厚い福祉で貧困が減ったわけでもない。1949年の時点で米国の貧困率は34%だったが、1965年時点では17%にまで減っていた。その後、福祉のために多額の予算を使ったにもかかわらず、今に至るまで貧困率は全く減っていないのである。

こうした民主党の問題を厳しく追及して、現在注目を浴びているのがキャンディス・オーウェンズ(Candace Owens)である。彼女は1989年生まれの黒人女性で、BLEXT(Black Exit from Democratic Party, 黒人の民主党からの脱出)運動の創始者である。これに先立つ類似した運動として、2018年6月に元民主党支持者でゲイの美容師ブランドン・ストラカ(Brandon Straka)が、極左化した民主党と訣別しようと訴えかけて始まった#WalkAway運動がある。

キャンディス・オーウェンズの主張は、彼女が2017年8月に公開した「民主党の植民地から脱出する方法 (How to Escape the Democrat Plantation) 」と題した動画によくまとめられている。黒人は学校とメディアが発する偏った情報によって洗脳されており、1865年に黒人の肉体は奴隷制度から解放されたが、今はその精神が奴隷化されていると彼女は語る。だから、インターネットを使って自分で調べて自分で考える必要があると彼女は言う。この点は、日本も全く同じであると言えよう。

歴史的には民主党は一貫して人種差別的で、上述のケネディ大統領による公民権法推進は例外であることを、彼女は具体的事例を挙げながら説明する。それを列挙してみよう。

[…略…]

私が現在最も注目している黒人言論人は、ユーチューバー(チャンネル登録者35万人)のアンソニー・ブライアン・ローガン(Anthony Brian Logan)である。彼も民主党支持からの転向組で、現在はトランプ大統領を強く支持している。彼がトランプを支持している理由は、経済政策に加えて、国境の壁建設に象徴される不法移民の取り締まり強化である。

米国の民主党とそのシンパのメディアは、不法移民の取り締まりを人権問題や人種差別と結び付けて厳しく糾弾する。しかし、トランプを支持する人たちが取り締まりを求めているのは「不法」移民であって、合法的な移民を排斥しようとしているわけではない。にもかかわらず、たとえ黒人であってもトランプを支持する人に対しては人種差別主義者とレッテルを貼るのが米国の左翼である。

実は、不法移民が大量に押し寄せて最も被害に遭うのは、ヒスパニックや黒人の米国市民である。不法移民の単純労働者が増えれば、ヒスパニックや黒人に多い単純労働者の賃金が低下したり、失業が増えたりする。治安も悪化して一般市民の多くが被害を受けるが、ゲーティッド・コミュニティ(壁で守られた街)に住むエリート層には全く影響はない。むしろ、単純労働の賃金低下は経営者にとっては得になる。

左翼政治家の狙いは、福祉に頼らなければ生きていけない人の数を増やし、その票で選挙に勝つことである。だから、不法移民を大量に国内に流入させ、彼らに市民権を与えて自分たちに投票させたいのである。しかし、そうやって左翼政治家の「精神的奴隷」にされた人たちは、福祉を受ける人の数が増えていく以上、一人当たりの取り分は増えないので、個々人の生活はいつまで経っても改善しない。逆に、景気改善と不法移民流入阻止政策により、雇用が確保され福祉依存から脱却すれば、生活水準を向上させることができる。そのことに気づいた元民主党支持者が、左翼エリートに反旗を翻し始めているのである。こうした動きが今後どのくらい盛り上がるかが、来年の米国大統領選の勝敗を決する鍵になるだろう。<了>

前編はこちら、

◆大紀元◆
【掛谷英紀コラム】
左翼エリートの選民思想(前編)

ご紹介まで。

 

12月14日(土)

【新しい扉を開くのか…】

イギリスで総選挙が行われ、保守党が大勝したことでブレグジットの道筋が見えてきたのです。

もうずいぶんイギリスはこの問題で混乱し続けていたのです。

ブレグジットそのものが、本当に賢明な政策であるのかないのか、もうそれ自体がどうでもいいような感じで、有権者はもう「グダグダはご免だ!」という感じで投票したように見受けられるのです。

そういうことで、「塞翁が馬」という言葉のように、ふたを開けてみれば結果的に、「それで良かったじゃん!」ということになる可能性だってあるのです。

そして今、「イギリス連合王国の解体」という大きな問題も視野に入ってきたということのようです。

確かに、スコットランドでは「独立派」が勝利したとのことです。

いや、確かに、もう「連合王国」自体が時代遅れの取り壊すべき「旧家」になっているのかもしれないのです。
言われてみるなら、私も(なるほど・・・、そうかもねぇ・・・)と思えてきたのです。

以下にその辺を分析している記事をご紹介したいと。

◆Newsweek◆
離脱強硬派ジョンソン勝利でイギリス「連合王国」解体か
Is This the Last U.K. Election?
(ジョシュア・キーティング 2019.12.13)
<EU離脱の「脅威」から逃れようとスコットランドは独立へ、アイルランドは統一へ。イングランドの政治家も、もはや「連合王国」を維持する熱意がない>

イギリスは12月12日、事実上、ブレグジットの是非をもう一度問う総選挙を行った。2016年6月に国民投票でブレグジット(EU離脱)を選択したのだが、こじれにこじれてここへ至った。結果は、離脱強硬派のボリス・ジョンソン首相率いる保守党が下院の過半数を制し、来年1月の離脱にお墨付きを得た。

だが、そんな変化は序の口だ。ブレグジットのおかげで、イギリスはひとまとまりの「連合王国」としての存在を終えることになるかもしれない。

[…以下略…]

***********************

イギリスの4つの地域が分離独立するなら、それは「中央集権」から「地方分権」への体制変換ということです。

なら、日本でもこの際、北海道、本州、四国、九州の4つがそれぞれに独立して「連邦国家」という枠組みに体制変換したらどうなのだろうと考えるのです。

それはもうずいぶん昔から大前研一氏が「道州制」といことで提唱していた訳でありまして、決してダメアイデアではないのです。

戦後、歴史は色々な体制変換を経験しているのです。

東西ドイツが統合し、ソ連邦が解体し、ベトナムが統一し、そして近い将来には朝鮮半島も統一に向かうのでしょう。

中央集権か地方分権かは、それぞれに一長一短があるのでして、いわばトレードオフ的な構造です。

ならば一度地方分権に舵を切るのもいいかもしれないのです。

そしてついには、あの巨大国家、中国も、4つくらいの連邦国家として分離独立して行けばいいのにと思うのです。

もう14億などという巨大人口が、一つにまとまっていること自体がおかしいのです。

1億人ずつに分離するなら14個の独立国家ができてもいいのです。

いやいや、人類の歴史はまだまだ大きな体制変換を経験して行くに違いないのです。

中国が分離分裂して行くのは、もう不可避でしょう。

ただ、それが何年先になるかだけの話でして。

まぁ、遅くとも100年後くらいにはきっとそうなっているでしょう。

ですから、今はまだ共産党政権が「中国の未来は我々が作る!」などと自信満々でいるようなのですが、長い歴史的視点で見るなら、アホかと・・・。

ではでは。

 

12月13日(金)

【習近平氏を国賓待遇で招く件】

ここ最近、保守系の論客から習近平氏を国賓待遇で招くことに対して、大いなる反発の声が挙がっているのです。

かくいう私も大きな疑念をもってこれを眺めているのですが、今日は遠藤誉女史がNewsweek誌に「すべきでない」と声を大にご主張しているのです。

是非ご紹介したいと。

◆Newsweek◆
習近平を国賓として招聘すべきではない――尖閣諸島問題
2019年12月13日 遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
 安倍首相は9日の記者会見で、習近平を国賓として招聘することに関し、尖閣問題など「習主席に直接、提示している」として、国賓招聘の意思は変わっていない。今回は尖閣問題という視点から考察する。

安倍首相の記者会見
12月9日、臨時国会閉会に際し、安倍首相が記者会見を行った。

(記者)
 ブルームバーグニュースのレイノルズですけれども、日中関係についてお聞きしたいと思います。中国の習近平国家主席が、来春、国賓として来日すると思います。日本人の拘束問題や尖閣諸島周辺海域での中国公船の行動を受けて、自民党内からも反対する声があります。このような懸念はどのように受け止めますでしょうか。

(安倍総理)
 日中両国はですね、アジアや世界の平和、安定、繁栄に共に大きな責任を有しています。習近平国家主席を国賓としてお招きをすることについては、様々な声があることは承知をしております。・・・

[…略…]

 図2を見れば歴然としているが、2010年前後に、経済的に強くなった中国は日本を見下し、言葉とは裏腹に日本国の領土である尖閣諸島周辺を侵犯し始めるのである。
 2012年に、いわゆる尖閣諸島の「国有化」が成されたことを口実に、中国の尖閣諸島の領海・接続水域への侵入は絶えたことがない。
 今では中央テレビ局CCTVでは、毎日、毎時間、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の天気予報を「中国の領土領海の天気予報」として流し続けている。これで、「日中関係が正常な軌道に戻った」のだろうか。
 安倍首相は、まるでお呪(まじな)いのように、この言葉を繰り返しているが、これが「正常な日中関係」なのか?習近平はアメリカの制裁で困り果てて、日本に微笑みかけているだけだ。このような時にこそ、日本は毅然と構え、「会いたければ、先ずは尖閣問題を解決してからにせよ」と習近平に言わなければならない。
 だというのに、こちらから跪いて「私を国賓として読んでください」と頼み(4月26日付コラム<中国に懐柔された二階幹事長――「一帯一路」に呑みこまれる日本>)、今度は習近平を国賓として招聘する。
 安倍首相は、かかる国際情勢の中、なぜ習近平を国賓として招聘しなければならないかを、日本国民に、そして世界に説明しなければならない。

[…略…]

 日中の間で最も重要なのは、安全保障問題だ。ピュー・リサーチセンターがこのほど、34カ国の3万8000人以上を対象に、今年5月13日から10月2日にかけて行った対中感情に関する調査結果を発表している。それによれば、中国の軍事力に対して脅威を感じている国のトップは日本だった。「脅威を感じる」が90%もいる。2007年では80%。ここ10年で、脅威は10%も増しているのである。
 安倍首相は人気取りのために習近平を国賓として招聘したいと思っているのだとしたら、大間違いだ。習近平を国賓として招聘することは、日本国民の利益に適ってないのである。そのことを肝に銘じて、即刻、国賓としての招聘を中止すべきである。
<了>

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いやいや、安倍首相、そしてそのバックの二階幹事長・・・、

う~~む・・・。

自民党議員さんたちよ、あなたたちはみんなこれを支持しているのですかと。

野党もダメだが自民党もダメだこりゃ・・・。

ご紹介まで・・・。

 

12月12日(木)

【イギリス、混迷…】

どうもイギリスが収拾不能のような政治状況に陥っているのです。

どういうことなのでしょう、この体たらくは・・・。
我が日本も他人事でなく、もう政治状況はダメダメなのですが、どそれ以上の混乱で・・・。

政治状況がダメダメなのは、実はアメリカもドイツの似たようなものでして、おそらくフランス、イタリアにしても五十歩百歩の世界なのでしょう。

要するに世界中の先進国がダメダメになっているのです、政治的に。

う~む、せめて日本だけでもまともであっていて欲しいのですが、肝心の安倍首相までもが習近平氏を国賓待遇で招くなどという、あまり芳しくない、むしろダメでないのか思われる政策を取ろうとして訳でありまして、(ムムム・・・)とならざるを得ないのです。

以下、イギリスの混乱っぷりを描いた記事をご紹介したいと。

◆Newsweek◆
コリン・ジョイス Edge of Europe
英総選挙は予測不能……ブレグジット賛否でねじれにねじれたイギリス世論
2019年12月10日
<ブレグジットはイギリスという国を分断しただけでなく、主要政党間の境界も切り裂いてしまった>

アメリカ人作家ジョセフ・ヘラーは恐らく、不条理で解決不能な難問という意味の「キャッチ22」という言葉を作り出したことで最もよく知られている。だがここ1年で僕の頭によく浮かんだのは、それよりややオリジナル感に欠ける彼の言葉――「I don’t know(私は分からない)」だ。小説『輝けゴールド』(邦訳・早川書房)で、初めて政治の世界に足を踏み入れ、理解の及ばない状況にぶち当たる主人公が口にする。ところがこの言葉は、同僚たちの間で流行する(「We didn’t know you could say that!(そんなこと言ってもいいとは分からなかった!)」という具合に)。

この言葉は、今こそまさにぴったりだ。今のイギリスの政治について言えば、この言葉は適切、どころか唯一の良識ある表現。政治ジャーナリストのアンドルー・マーが最近言ったように、もしも誰かが(12月12日に行われる)英総選挙の結果が分かるぞ、などと言ってきたら、「片眉を上げ、丁重にほほ笑んで、立ち去るのがよろしい」というわけだ。

独自の考えを売り込みたいコメンテーターたちだけが、大胆予想を繰り広げている。ジェレミー・コービン労働党党首の急進的な「希望のマニフェスト」は選挙戦を活性化した、有権者はボリス・ジョンソン首相の大言壮語を見破り始めた、スコットランド民族党(SNP)のニコラ・スタージョン党首は見放されつつあるが思い上がり過ぎてそれに気付いていない……などだ。

真実は誰にも分からない。選挙結果がどうなるのかだけでなく、スコットランド独立や英議会の主権、現在ある政党の今後、といった多岐にわたる政治的課題がどうなるのか全く見えてこない。

たぶん大事なのは、「何が」起こるか分からないという点ではなく、「なぜ」分からないのかという点だろう。どうして情報に基づく予想や知識に裏打ちされた推測が、かつてなく外れまくるようになったのか、ということだ。

■労働党に背を向ける労働者
まず明らかに、ブレグジット(イギリスのEU離脱)は全てをひっくり返した。国家を分断しただけでなく主要政党間の境界も切り裂いてしまった。しぶとくブレグジットに反対し続ける保守党支持者もいて、彼らはジョンソンを許せない。これまではずっと労働党に投票してきたものの熱心なブレグジット支持者で、労働党のブレグジットへの曖昧な姿勢と国民投票再実施の主張に業を煮やして今回は労働党に票を入れないと言う人々もいる。

EU残留支持を明言しているSNPと自由民主党でさえ、足並みはそろっていない。例えば自由民主党支持者の3分の1は、2016年の国民投票で離脱に票を投じた。残留派の党(彼らのスローガンは「ブレグジット、くだらん!」)という立場を取ることで、彼らは二兎を追ううちに手持ちの一兎さえ逃しそうだ。
[…以下略…]

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労働者が労働党を支持せず、そして富裕層が保守党を支持しないという・・・。

ほんまに(どこへ行く、イギリス・・・)、(大丈夫か、イギリス・・・)、です。

 

12月11日(水)

【ザッカーバーグの予言】

中国ウォッチャーとして高名な近藤大介氏が現代ビジネスに寄稿している一文が、とても興味深い内容でしたのでご紹介したいと。

話は中国が導入を急いでいる「デジタル人民元」についてですが、近藤氏はアメリカがザッカ―・バーグ氏のリブラを潰してしまったことで、このままいけば将来国際金融の分野では中国がドルにとって替わってデジタル金融覇権を握ってしまうのでないか、と警鐘を鳴らしているようなことなのです。

いや、その可能性は十分に高いだろうと思われるのです。
果たしてトランプ政権はそういう高度な戦略的な問題について、後手を踏まずに的確な対応策を打ち出して行けるのでしょうか。

どうもそうではないような感じです。
というより、むしろ実は深刻にやばいのでないかと・・・。

ファーウェイにしても、アメリカは本気で潰しにかかっているのでしょうが、どうも現実にはそうならないような感じです。(いや、5Gでは負けても6Gでは優位に立つという戦略をとっているようでもあるのですが)

いや、本当に深層ではどういうことになっているのでしょうか・・・。

◆現代ビジネス◆
中国・習近平政権が「デジタル人民元」導入を急ぐ5つの理由
~これから数年内に世界は激変する~
(近藤 大介『週刊現代』特別編集委員 2019.12.10)
■ザッカーバーグの「予言」
 ストックホルム時間の12月10日夕刻(日本時間11日未明)、吉野彰・旭化成名誉フェロー(71歳)のノーベル化学賞授賞式が行われる。周知のように吉野さんの受賞理由は、スマートフォンなどに不可欠なリチウムイオン電池の開発だ。
 だがいま、リチウムイオン電池が入ったスマートフォンを利用したデジタル通貨を、世界に先駆けて導入しようとしている国がある。それは中国だ。
 デジタル通貨と言えば、今年6月18日にフェイスブックが、仮想通貨「リブラ」(Libra)を流通させると発表したことが、世界中で話題を呼んだ。フェイスブックは10月15日、リブラを管理運営していく21社・団体を発表した。
 だが、その翌週の10月23日、フェイスブックのザッカーバーグCEOは、アメリカ連邦議会下院金融サービス委員会の公聴会に、出頭を命じられた。そして、6時間以上にわたって質問攻めに遭ったあげく、リブラの事実上の計画延期を余儀なくされてしまったのである。
 その時、仮想通貨に反対する議員たちを前に、ザッカーバーグCEOが悔しさを滲ませた様子で言い放った言葉が印象的だった。

「中国は、今後数ヵ月で、われわれと同様の考えを立ち上げるために、急速に動いている。われわれは座視しているだけではダメだ。現在まで、アメリカがイノベーションなくしてリーダーであり続けることはできなかったからだ。リブラは、主にドルに裏付けられている。私はこのことが、アメリカの金融リーダーとしての地位を拡張し、世界の民主的な価値につながると信じている。アメリカがいまイノベーションを起こさなければ、もはやアメリカの金融リーダーとしての地位は保証されなくなる」

 このように、ザッカーバーグCEOは、もしもリブラを早期に導入できなければ、デジタル金融覇権を中国に奪われてしまうと、切々と訴えたのだった。このザッカーバーグCEOの「予言」が的中するのかは不明だが、中国が早急に、デジタル通貨を導入しようとしていることは間違いない。
[…以下略…]

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日本にしても、手をこまねいているような現状で本当に大丈夫なのだろうかと。

ご紹介まで。

 

12月10日(火)

<なんとかならんのか、お粗末国会政治>

臨時国会が閉幕したのですが、なんとも実りのない無駄な議論に終始したような感じです。

私はもうとうに日本の国会の無能ぶりにほとほと愛想を尽かしているのですが、若い新田氏がこれに強い憤怒をネット上で吐露しているのです。

これはご紹介しない訳にいかないと。

◆アゴラ◆
「八百長国会」に全政党の支持者も無党派層もキレてよい:臨時国会総括
(新田 哲史 2019年12月10日)
第200臨時国会は9日閉幕した。野党による内閣不信任案提出が、解散総選挙の引き金になる可能性も含めて、会期末最大の焦点のはずだったが、与野党国対政治の馴れ合い交渉の結果、閉会中審査で「桜を見る会」問題について話し合うことを条件に、不信任案提出は見送られた。このニュースを聞いた時点で「八百長」の3文字が脳裏に浮かんだ。

■「戦闘体制」でないのに政権打倒とすごむ野党の欺瞞
「桜」で安倍政権を散らすつもりの意気込みで連日わめきちらしていたのはなんだったのか。結局、立民と国民(あるいは社民も含めた)の合流に目処が立たず、いま解散総選挙に突入したら勝ち切る自信がないからではないか。

そもそもこの両党が本気で政権を取る気がないのは、全国の衆院選挙区の支部長空白地域がいまだに多いことからも明白だ。たとえば妻・河井あんり氏の選挙違反疑惑で、法相を辞任した河井克行氏の広島3区。いまこそ千載一遇の好機というのに、国民民主党時代の塩村あやか氏がバックれたあと、立民も国民も支部長が確定していない。いや、それどころか立民に至っては広島県内7区の支部長が誰もいないようだ(9日現在、党サイト参照)。このことをひとつ取ってみても、枝野代表が口に出す「政権交代」など妄想だ。

いや、本人たちの妄想だけならまだよい。院外の国民に対しては威勢の良いことをいい、院内の国対政治で取引をする。閉会中審査での「桜」追及は内閣委員会が舞台になるが、当初から内閣委でやるべきという意見に耳をかさず、関係性の低い予算委での追及に血道を上げていた。

だったらなぜ最初から内閣委でやらないのか?予算委のテレビ中継目当てだということくらい、ネットをやる国民は気づいている。本気で政権交代を狙う野党支持者がいるのであれば、この詐欺的なパフォーマンスに怒らずしていつ怒るのだ。

■ネットの自民支持層の離反に拍車
与党も与党だ。原英史さんから報告があったとおり、森ゆうこ氏の懲罰請願は「保留」扱い。このまま審査未了となり、参考資料として一緒に提出された66,624名の皆さんの署名ともども封殺されることに決まった。

すでに前回の記事を書いて以来、大なり小なり安倍政権を支持してきた人たちも愛想を尽かしはじめている。特に保守層の失望は予想外に大きい。「安倍総理は信じているが、森山国対委員長は許せない」と、自分に言い聞かせるように一縷の望みを首相にかける者も散見されるが、森山氏が官邸の制御外で動くことはありえず、彼らが現実を受け入れて冷めるのも時間の問題だろう。

[…略…]

■やり場のない「絶望」
ネット選挙解禁から7年、政治のネット世論を観測してきたが、こんなことは初めての経験だ。ネットの保守層と安倍自民の信頼関係にヒビを入れた点では、森ゆうこ氏のモンスターぶりはそれだけメガトン級だったのかもしれない(同時に野党側のイメージ悪化も炸裂したが)。しかし、笑いごとではない。いまの野党にとても政権を託せるものではない。

[…略…]

子どもの頃から政治ニュースは好きな方で、いまは政治の世界に仕事として関わっている私ですらサジを投げたい。ここ数日、政治ニュースを熱心にみている中道〜保守の人たちも失望の声でネットは溢れかえっている。これもかつてない経験だ。政治に関心が薄く冷めた目で見ている多数派の国民は言わずもがなだ。皆、やり場のない失望…いや絶望感を抱きつつある。

[…以下略…]

新田 哲史 アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長
読売新聞記者、PR会社を経て2013年独立。大手から中小企業、政党、政治家の広報PRプロジェクトに参画。2015年秋、アゴラ編集長に就任。著書に『蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?』(ワニブックス)など。Twitter「@TetsuNitta」

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どうしたらいいのだろうと、私も長年頭を悩ませているのですが、すぐに「こうしたらいい!」などという名案が浮かぶはずもなく、過去ずっと眉間にしわを寄せて考え込んでいるだけなのです。

我が国家ビジョン研究会が、こういう閉塞気味の日本の政治状況に風穴を開けられるような、そういう有意義な動きができればいいのですが、もちろんそんなことは言うは易く行うは・・、なのです。

本当にどうしたもんだか・・・、なのです。

国民全体の知恵が底上げされることしかないのでしょうか。

マスコミの企みに騙されず惑わされず、与党野党の「政党エゴ」優先のバカ政治を監視し、本当に正しい政策を実行実現しようとする有為有能な政治家だけを国会の送り込むような、そういう賢い国民になることが先決なのでしょうか。

う~~む、難しい問題です・・・。

それにしても何か、できることはあるはずだと・・・。

とりあえず新田哲史氏にエールを送りたいと。

ではでは。

 

12月9日(月)

「社会主義の復権」

アメリカの大統領選予備選では、共和党の方はもう現職のトランプ大統領で決まりですので、興味はもう民主党が誰になるかになっているのです。

今朝の吉崎氏のブログ記事で色々と分析されているのですが、それでもまだ決定的な方向性は見えてきていないようです。

さて、その民主党では現在3位にバーニー・サンダースなる候補が付けているのです。
サンダース氏はどうも「私は社会主義者である」と公言しているようですが、それゆえにか、若者層に人気があるようです。

世界的には、ソ連崩壊とともに「共産主義」なる思想がその権威を失い、もはや中国共産党一人が気を吐いているような状況ですが、それでも各国には「社会党」や「社会民主党」などという形で旧来型の「共産主義ではない社会主義」を標榜する政党が生き延びているのです。

そんな社会主義に今一度光を当てようとする勢力が浮上してきていると、評論家の河東哲夫氏が興味深い記事をニューズウィーク誌に寄稿しておりまして、ご紹介したいと。

◆Newsweek◆
河東哲夫 外交官の万華鏡
「怒れる中間層」が復権させる社会主義は、今度こそ機能するのか
(2019年12月07日)
<格差拡大の不満は各国で社会主義の復権を引き起こしているが、それはかつてのソ連が実践していた思想とは違う>

香港の燃える大学に警官隊が突入する画像を見て、筆者の学生時代、50年前の「東大安田講堂陥落」事件(反体制の学生を機動隊が放水と催涙弾で排除)を思い出した。当時、アメリカではベトナム反戦運動とヒッピー、西欧と日本では学生運動の時代。繁栄する資本主義社会の中で、学生たちはカウンター・カルチャーのような自由を求めていたのだが、日本では共産主義革命を起こそうとする者もいた。

その後、筆者はモスクワに勤務して、ソ連型社会主義のありさまをつぶさに見た。投資で生産力を伸ばすより、今あるものを分配する社会では、ろくな商品がつくられない。西側の外交官とコネをつくっては、西側の「ショートしないテレビ」などを手に入れようとするソ連市民や、「生産計画を達成」することばかりに熱心で製品の品質には無関心の企業など、ソ連型社会主義が機能する制度だとは思えなかった。

案の定、1991年末にソ連は崩壊してしまう。半世紀以上も食品などの生活用品価格を補助金で安く抑える一方、消費財生産への投資を怠ってきたツケは、2年で6000%のハイパー・インフレとなって表れ市民の生活を破壊した。「社会主義は駄目だ。実行不可能」が世界の定説になった。

■格差解消と成長の「いいとこ取り」
皮肉なことに、資本主義のほうもほぼ同時に、成長の限界を示していた。しかしその根本原因は技術革新・人口増加の停滞、そして製造業の流出にあり、市場経済のメカニズムが時代遅れになったためではない。

だが、西欧諸国では若者の失業が進み、その不満は「反グローバリズム」運動として表れた。08年の世界金融危機で、西側社会における格差の問題は深刻化した。

不満は学生だけでなく中産以下の階層にも広がり、西欧諸国では移民の問題を中心に据えた新興諸政党が政治をかき回す。アメリカでは、民主党の地盤だった中西部の重工業地帯の白人中産・労働者階級の不満をうまくすくい上げたドナルド・トランプが大統領となった。それを見た民主党では今、エリザベス・ウォーレン上院議員が格差是正を正面から掲げて大統領選に挑む。

「怒れる中間層」は、左右その他政党の間で取り合いの状況で、格差解消を錦の御旗にする「社会主義」が復権したのである。

とはいえ、その「社会主義」は、中国や、今はなきソ連のものとは違う。それは、民間企業同士の競争、つまり市場経済の上に存在している。このメカニズムの中で格差を縮小し、同時にそれなりの成長も可能とする、いいとこ取りは可能なのか?

(以下略)

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さて、この「新しい社会主義」が今後どのように機能して行くのでしょうか。

それは私にも何とも言えないのですが、しかし、現行の強欲資本主義がこのままずっと続いて行っていい訳がないのは火を見るより明らかです。

ですので、格差是正のためには、これまでの野放図な「自由」をなんとか飼いならす必要がある訳でして、そういう観点から「新しい社会主義」にその役割を担わせるなら、それはそれで十分意味のある動きだと思えるのです。

強欲資本主義でなく、人道的資本主義というものが構築されるなら、それが一番妥当なシステムになるであろうと。

ご紹介まで。

 

12月8日(

今朝の産経新聞朝刊の一面に以下の記事が載っておりまして、ご紹介したいと。

◆産経新聞web◆
【あめりかノート】古森義久 対中融和唱える日本の異端
(2019.12.8 ワシントン駐在客員特派員)
米国の中国への政策がますます対決を強めてきた。西欧諸国が多数の北大西洋条約機構(NATO)29カ国も中国の軍事膨張を挑戦とみて正面から対峙(たいじ)することを初めて宣言した。こんな国際情勢の中で主要民主主義国家群でもほぼ唯一、中国との融和を唱える日本の異端が目立ってきた。

 米国では議会とトランプ政権が一体で中国の人権弾圧を糾弾する鋭い動きが広がった。香港人権民主主義法、チベットやウイグルの人権弾圧への制裁、台湾の民主主義の称賛などである。

 米国は対中政策では後戻りのないルビコン川を渡った。中国共産党政権の人権弾圧部分に糾弾の焦点を絞ることは、経済、外交、軍事での中国非難のさらに先を進む心臓部への攻撃だからだ。共産党の独裁支配は人権抑圧なしには無期限に保てない。

 トランプ政権の対中政策のこれほどの先鋭化は10月末のマイク・ポンペオ国務長官の演説が象徴していた。

 「米国はこれまで中国共産党政権の人権弾圧とその基礎となるイデオロギーの民主主義陣営への敵対性を過小評価してきた。米中間の諸課題はもはやそのイデオロギーの基本的な相違に触れずには論じられない」

 「中国共産党のイデオロギーは米国など民主主義諸国との闘争と世界制覇を企図し、そのためには軍事力の行使や威圧をも辞さない。だから米国は全世界の民主主義国と共同で中国の脅威と対決する必要がある」

 米国は日本にも中国との対決の姿勢を求めるというわけだ。中国には軍事面で無力な日本が米国並みの対決ができないことは自明だが、いまその中国共産党の最高指導者の習近平国家主席を国賓として招くことを喜々として言明する日本政府の態度が、米国の構えとは正反対に近いことも自明だろう。

 安倍政権の対中接近がトランプ政権の中国の抑止や封じ込めに逆行することは米国側でも懸念をこめて指摘されるようになった。米国の対中政策を阻害するという反応も出てきた。

[…略…]

 中国をこうみる米国にとって、習近平氏の国賓としての日本側の歓迎は実利的にも象徴的にもあまりにも有害と映ることだろう。

<了>

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安倍政権は来年、習近平氏を国賓として受け入れることを決定しているのですが、古森氏は「それはダメなことでないのか」とご主張しているのですが、私もまったく同感なのです。

もはや安倍首相にも、自民党中枢にも、およそ「外交戦略」というものが無いのでないかと思えるのです。

消費税増税も中止できず、そして「桜を見る会」では攻められまくっている安倍政権ですが、ここで習近平氏を国賓待遇で招くようなら、私ももうさすがに支持する気になれないのです。もう十分長く政権にいたのですからそろそろ退陣して頂いた方がいいのではないかと思う今日この頃です。

 

12月7日(土)

ドイツにご在住の川口マーン惠美女史が、現代ビジネス誌上に連載コラムを掲載しているのですが、今週のそれがなかなかシビアなドイツ政界事情のレポートなのです。

我が日本の政治状況も決して褒められたものでなく、与党も野党も国家議員の資質不足が目立って情けない実態なのですが、ドイツはそれ以上に「政党政治」が限界状況に至っているような感じなのです。

 

◆現代ビジネス◆
川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」
死に体の「元国民政党」が連立を組むドイツ政府の悲惨な実態
~EUを牛耳ってきた大国の内情は…~
 11月30日、SPD(社民党)が党員の投票によって新しい党首を決めた。党首の選出を党員全員の投票に委ねたのは、1993年以来のことだとか。
 全党員のうち、投票したのが約半数。そのうえ接戦での決着だったので、新しい党首を支持しているのは、SPD党員の中でも4人に1人という計算になるらしい。
 なのに、これが、後述するように、8000万の人口を抱えるドイツの国政に大きな影響を与える可能性がある。なぜかというと、現在、SPDは、与党として国政に参加しているからだ。
 SPDは、今年5月、前党首アンドレア・ナーレスが党首の座を放り出して以来、後継者が出ず、幹部3人が臨時で党を運営していた(そのうち一人は9月に病気で離脱)。
 なぜ、ナーレス氏が党首の座を降りたかというと、5月の欧州議会選挙でのSPD惨敗の責任を取らされる形になり、頭にきたからだ。確かに、欧州議会選挙の不成績はナーレス氏の責任ではない。彼女が頭にくるのは当然だった。

[…略…]

 そのニュースの最後の方でチラリと、ボスニア・ヘルツェゴビナとEUとの国境で絶望的なほど溜まってしまっている難民のことが報じられた。EUは国境警備を強めているので、行き場を失った彼らは、ぬかるみの中の粗末なテントに押し込められている。
 冬の到来が迫っており、想像を絶する悲惨さだ。このままでは死人が出ても不思議ではない。
 ここまで来たのは、もちろん彼らの勝手だが、責任の所在はどこにあれ、どう見ても、こちらの方が非常事態ではないか?
 フォン・デア・ライエン委員長の気候非常事態宣言は、私には、他の問題から目をそらす煙幕のように思えてならない。<了>

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ご紹介まで。

ではでは。

 

12月6日(金)

毛沢東という人物がどのような人物であったのか、私は「少々は」知っていたのですが、実像、ということからするならあまり知っていたとは言えないのです。

ですが、ひょんなことから以下にご紹介するサイトを知り、読んでみればそこに書かれてある内容が迫真の事実であると思われ、私は改めて「人間・毛沢東の実像」というものを知ることが出来たのです。

それでご紹介したいと。

 

フランスの田舎から世界を見ると
~土野繁樹の21世紀探訪~
2016年11月26日
歴史探訪 その13 毛沢東の実像

 

かつて私たち日本人の高齢者にとっては、中国には2人の偉大な指導者がいると常識的に思っていたものなのです。

それが毛沢東と周恩来の2人です。

そこに鄧小平が加わって、この3人が現代中国を作り上げてきた「偉大な指導者群」であると、そう思わされてきたのですが・・・。

確かに周恩来と鄧小平の2人は偉大であったかもしれないのですが、毛沢東は決して偉大どころか、ゲスな人間であったと言うしかないのでないかと。

それはむしろヒトラーやスターリンと並び称されてもいいほどなのでないのかと。

そしてもしそうなら、今、習近平氏による毛沢東礼賛など、あってはならない愚挙であると言わなければならないでしょう。

本当に習近平氏は毛沢東の実像を知っているのだろうかと・・・。

ご紹介まで。

 

12月5日(木)

~事業規模26兆円 政府、経済対策を閣議決定~

この度政府が経済対策の具体案を発表したようで、池田信夫氏がそれについてブログでご批判をされているのです。

どんな案にも必ず賛否両論の反応があるのですから、池田氏の批判もきっと理のあることだろうと思われるのです。

ただ、だからと言って「やらない方がいい」かというなら、それはきっとやった方がいいには違いないのだろうとも思うのです。

しかし、池田氏は「どうせやるならもっと効果が大きい金の使い道があるだろう」ということなのでしょう。

これ以上は専門家の議論に任せるしかないのですが・・・。

◆池田信夫blog◆
バラマキ財政の正しいばらまき方
(2019年12月4日)
政府は「アベノミクスのエンジンを再点火する」という経済対策の案を与党の会合で提示した。財政措置(財政投融資を含む)で13兆円、事業規模で25兆円。「真水」と呼ばれる財政支出(国・地方の歳出)は7~8兆円だが、大不況というわけでもない時期に、これほど大規模な補正予算を組むのは異例である。

ところが野党やマスコミから「バラマキ財政だ」とか「財政規律が失われる」という、いつもの批判がほとんど聞かれない。桜を見る会で手一杯なのかもしれないが、MMTなど最近の「反緊縮」の動きが影響を与えているのかもしれない。

マクロ経済学的には、長期金利がマイナスの状態で国債を増発するリスクは大きくない。日銀が財政ファイナンスで金利リスクを負担してくれる限り、国債増発はフリーランチである。問題はその中身だ。

提示された政府案では、堤防強化・遊水池整備・電線地中化など、災害対策と称する土木事業が多いが、こういう裁量的支出をどさくさまぎれに補正予算で支出することは好ましくない。マクロ経済対策としては、全国民に一律5%ポイント還元するような無差別のバラマキが望ましいのだ。
<以下はメルマガ>

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我が国家ビジョン研究会の方では、代表理事の無尽が「フォーサイト」に一文を寄せておりまして、そこでユニークな経済再生対策案を提示しているのです。

ご興味のある方はどうぞフォーサイトの方をお読みなって下さいますよう。

ご紹介まで。

 

12月2日(月)

~EUを崩落させるほどの破壊力~

日本ではまだまだ深刻化していない問題ですが、実は「移民・難民問題」は重大な国際問題としてこの先,日本にも降りかかってくる大問題です。

この件に関して遠くドイツから、実体験した者としての立場から警鐘を鳴らしてくれているのが川口マーン恵美女史です。

非常に読み応えのある記事をご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
ドイツの「失敗移民政策」の轍を踏まないために日本がいますべきこと  移民・難民問題を甘く見てはいけない

(川口 マーン 惠美 2019.11.29)
■EUを崩落させるほどの破壊力
ドイツのブレーメン、エッセン、ベルリンなどで暗躍していたレバノン・マフィアのボス、イブラヒム・ミリが、7月、ようやくレバノンに母国送還された。ショバ代の恐喝、麻薬取引、武器の取引、売春のための人身売買などで有名な組織犯罪グループのボスだ。

ドイツにはレバノンの組織犯罪グループが多い。1980年代、ドイツはレバノン内戦を逃れてきた難民を多く受け入れたが、その一部が、マフィアのような血族集団的な暴力団となった。ミリ・ファミリーも、1980年代に出来た犯罪組織の一つで、現在は、約30の同族ファミリー、計2600人のメンバーで成り立っているという。

[…略…]

なお移民については、日本でも最近、議論が行われている。結論を言うなら、私は、日本は将来、移民の導入を避けては通れないと思っている。外国人抜きで必要な労働力を確保することは、就労者が減り、老人ばかり増えていく今の日本では、どう考えても無理だ。50年前の経済成長期にできたからといって、今、またできるとは思えない。

移民は、送り出し国と受け入れ国の両方に、メリットとデメリットを与える。50年も前に、最初はイタリア、ポルトガルなどから、そのうちトルコや旧ユーゴスラビアからと、大量の移民を入れ始めたドイツは、経済的には大発展した。

しかし、その一方で、治安の悪化、学力の低下、社会の亀裂など多くの問題にも見舞われた。その多くは、日本人には想像もできないような深刻さだ。現地に暮らす私はそれらを逐一、眼で見て、肌で感じており、少なくともドイツの移民政策は失敗だと思っている。

だからこそ日本は、今のうちに、なるべく双方に利益をもたらす最善の受け入れ方を模索すべきだろう。今やらなければ、手遅れになる。
(以下略)

*************************

はてさて北朝鮮が体制崩壊して難民が日本海に漂流することは、かなりの確率で予測されるのです。

おそらく日本はその時に彼らを救助して受け入れて行くことになるのでしょうが、それはきっとそれほどの大問題にはなって行かないのでしょう。

問題はむしろ「イスラム系経済移民」であると・・・。

こちらの方がはるかに大問題として浮上してくると私には思えているのです。

いずれにしても「その時が来てから泥縄式に」では、ダメの骨頂でしょう。

川口マーン女史の警告を大真面目に受け止めるべきでありましょう。

政府関係者・政治家諸氏は大真面目にこの問題に取り組んでもらいたいと。

「桜がどうだ・・・」などはもう・・・。

 

11月29日(金)

「データは誰のものか?」

『サピエンス全史』、『ホモ・デウス』を書いたユヴァル・ノア・ハラリ氏の大変興味深い一文が東洋経済オンライン誌に載っていましたのでご紹介したいと。

 

◆東洋経済online◆
ユヴァル・ノア・ハラリが警告する「データの罠」
~所有権統制なければ権力と富はなお集中する~
(2019/11/26)
・・・
人間と機械は完全に融合し、人間はネットワークとの接続を絶たれれば、まったく生き延びられないようになるかもしれない。子宮の中にいるうちからネットワークに接続され、その後、接続を絶つことを選べば、保険代理店からは保険加入を拒否され、雇用者からは雇用を拒否され、医療サービスからは医療を拒否されかねない。健康とプライバシーが正面衝突したら、健康の圧勝に終わる可能性が高い。

あなたの体や脳からバイオメトリックセンサーを通してスマートマシンへ流れるデータが増えるにつれて、企業や政府機関は簡単にあなたを知ったり、操作したり、あなたに代わって決定を下したりするようになる。なおさら重要なのだが、企業や政府機関は、すべての体と脳の難解なメカニズムを解読し、それによって生命を創り出す力を獲得しうる。そのような神のような力を一握りのエリートが独占するのを防ぎたければ、そして、人間が生物学的なカーストに分かれるのを防ぎたければ、肝心の疑問は、誰がデータを制するか、だ。私のDNAや脳や人生についてのデータは私のものなのか、政府のものなのか、どこかの企業のものなのか、人類という共同体のものなのか?

<以下略>

***************

21世紀も中葉を迎えようという今日この頃、時代は凄い勢いで進んでいるのです。特に「テクノロジー」の面では、およそ「近未来」と思われていた事がらがどんどん実現してきているのです。

そんな現代において「個人データ」という情報をどう考えるかということは、本当に難しいことであるのです。

日本の国会は、お気楽ノー天気に「桜を見る会」の何がどうだこうだと、およそ「政権攻撃」だけが我が使命であると考えているような野党議員諸氏が活躍しているのですが、彼らはこういう大問題を真面目に考えたことがあるのでしょうか・・・。もちろん、与党議員にしてもそうではあるのですが・・・。

国会にユヴァル・ノア・ハラリ氏を招いて講演してもらいたいと。

 

11月27日(水)

昨日26日は月例研究会がありまして、田村秀男氏の話を聞かせてもらったのですが、大変勉強になる有意義な話で良かったのです。

その話の中で「日本はここ30年ほとんど経済成長していない。こんな国はどこにもないです」というようなことがあったのですが、それを改めて実感させてくれるような記事がありましたのでご紹介したいと。

 

◆YAH!JAPANニュース◆
在外邦人も危惧。おめでたい「日本すごい」幻想を脱しないと手遅れになる
(’11/11(月)ハーバービジネスオンライン)
■在外邦人から見たニッポンはビジネス的にアウト!?
 日本でのビジネスで成功を収める外国人がいる一方、海外で働く日本人も少なくない。日本社会を外から見るからこそわかる、日本経済の世界的評価を在外日本人に聞いた。

 香港で15年以上駐在員を続ける“そんぷ~”さんは語る。

「僕の知り合いの中国人女性は日本の大手広告代理店で働いていますが、『入社5年目の私よりも、新卒で上海のIT企業に入社した妹のほうが給料が高い。何のために日本語を勉強したんだろう』ってボヤいていました」

 日本への留学や就職は、以前ほどの価値がなくなっており、東大や京大ですら、中国人エリートにとっては北京大学の“滑り止め”という位置づけだ。

 上海駐在5年になる小島寛さん(仮名)も同様な意見だ。

「本当に優秀な富裕層の子弟はそもそも日本の大学ではなくアメリカに行きます。日本の大学や語学学校に来るのはもはやアメリカに行かせる余裕もなく、かといって中国の最難関に受かるのも厳しい層か、あるいは純粋にアニメとか日本文化が好きな若者でしょう」

 日本への外国人観光客数は過去最高を記録しているが、それも単純に喜べる話ではない。

■日本には「安いから」行く
「彼らが日本に来る最大の理由は、“安いから”。ホテルもレストランも、先進国のなかでは抜群にコスパがいいんです」(そんぷ~さん)

 一方、安上がりすぎて富裕層向けビジネスは立ち遅れている。

「最高級ホテルを比較したら、日本はタイやシンガポールにも劣ります。カネに糸目をつけない人たちからすると小粒で物足りないのです。今後日本で新たな観光客向けサービスを展開するならコスパよりラグジュアリー感を意識すべき」(同)

 まだ少し残っているかのような「爆買い」も、かつてのように「良質な日本製品をたくさん購入」から、「本国で買うより安いから大量に買っていく」フェイズに移っているのが現実なのだ。

「日本製品=高品質」は過去の勲章
 15年前から中国・華南地方でコンサルティング業を営むTさんは、日本製品の価値が低下していると指摘する。

「日本の家電に憧れがあるのは’50~’70年代生まれまで。現在の白物家電は中国製の3倍の値段で低機能、特にIоTへの対応が遅れているので、日本製品=高品質というイメージは、10~20代の中国人の間ではそれほど強くありません。それなのにいまだに『日本の高品質な電化製品を爆買いしに来る中国人』といった意識でいる日本人が多いのは驚きます」

[…略…]

「経済的に日本のほうが格上だ」というおめでたい思い込みをアップデートしていかないと、経済はどんどん取り残され、過去の栄光と勘違いだらけの「クール・ジャパン」という不毛な夢想の中で徐々に沈んでいくのは間違いない。<了>

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これは由々しき事態です。

日本が長期低落傾向にあることは承知していたのですが、こういう実態を知らされると改めて衝撃を受けるのです。

本当にそろそろ日本は再び立ち上がらなければなりません。

まさに「日本再生」という・・・。

 

11月23日(土)

(1)「半属国」の悲哀…

GSOMIA問題について昨日の段階で一定の結論が見えた訳です。

私は、ムンジェイン大統領が結果として土壇場で「屈した」ようになっているのを見て、(なんで?、突っ張る予定じゃなかったのか?)という感じで、少々いぶかしく思っていたのです。

そして今、JBpressの近藤大介氏の記事を読みまして、(なるほど、そういうことだったのか…)という感じて納得できましたので紹介したいと。

◆JBpress◆
急転直下、韓国GSOMIA延長の舞台裏
~東アジア「深層取材ノート」~(第12回)
(近藤大介 2019.11.23)
「一言で言えば、日本も韓国も、完全な独立国ではないということだ」

「青瓦台」(韓国大統領府)の金有根国家安全保障室第一次長が、11月22日午後6時から、「8月23日に日本に対して行ったGSOMIA(軍事情報包括保護協定)協定終了の通告を停止する」と発表した。その苦々しい表情と、わずか数分で終わらせた会見に、この決定が「青瓦台」の本意ではなかったことが窺えた。

■日本も韓国も「宗主国」には逆らえない
 今月に入ってから、日韓GSOMIAの終了は、もはや既定路線と思われてきた。それは、文在寅政権の態度が頑なだったためだ。

 それだけに、GSOMIA失効6時間前の韓国政府の発表は、意外に思えた。そこで同日晩に、日本政府関係者に電話したら飛び出したのが、冒頭のコメントだった。その言わんとするところは、「日本も韓国も、『宗主国』であるアメリカの意向には逆らえない」ということだ。

 思えば、前任の朴槿恵政権との間で「修復不能」と言われた慰安婦問題で、4年前の暮れに日韓合意に達したのも、アメリカの強力な「圧力」によるものだった。

[…以下略…]

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確かにそうなのです、

日本も、韓国も、アメリカの「属国」のような立場にある、という。

形式上は立派な「独立国」であり、「主権」もあり、決して他国から内政干渉される筋合いにある訳でないのですが、しかしそれはあくまでも「形式上」のことでありまして、「内実」では違うのです。

「名と実」と、いうなら、「名」は独立国でも「実」は半属国であるという。

大体のことは独立国として主権を行使できるのですが、根本的、根源的なところではアメリカにより手足を縛られているという。

「アメリカのポチ」などという不名誉な呼ばれ方をされても、実は誰もそれを否定できないという、悲しい現実を私たちは胸に刻んでおかなければいけないのです。

それに対して声高に「それではダメだろう!」と声を上げていたのが、かの西部邁氏であり、今の伊藤貫氏なのです。
つまり、「反米保守」を標榜する論客です。

ただ、これまでの日本では「反米保守」の立場は少数派に甘んじておりまして、圧倒的に「親米保守」が主流派だったのです。

私自身もつい最近までは親米保守の立場であったのです。

その立場からするなら、そういう属国的な在り方を「仕方ないのでないか?」という感じ、あるいは「それが最も合理的なスタンスでないのか?」という感じでお気楽に構えていられるのです。

とにかく「戦争に負けたんだから仕方なだろう・・・」という。

そして今日まで、日本はずっとアメリカの言いなりになって来ていたのですが、私もそろそろ、「もう、真に独立を果たすべき時である・・・」と思い始めてきているのです。

今回は韓国がアメリカの意思を「受け入れざるを得ない」立場に立たされたのですが、いつなんどき、今度は日本が苦渋の決断を迫られるかもしれないのです。

トランプ氏は平気で安倍首相に「~~してくれ。頼むぜ!」と、理不尽な要求をしてこないとも限らないのです。

これまで、常に日本はアメリカ政権によって煮え湯を飲ませて来たのです(北野氏の言を待つまでもなく)。

そういう意味で、今回、ムンジェイン大統領はまったく不本意ながらこの決断をなしたのでしょうが、それは日本にとって決して「他人事」、「対岸の火事」ではないのです。

安倍首相も、官邸も、全国会議員が、そして日本国民が、「明日は我が身・・・」を肝に銘ずるべきであろうと。

 

そういえば、もう1つご参考までに以下の記事をご紹介します。

◆アゴラ◆
速報解説:GSOMIAは80%勝利だが徴用工問題は進展せず
(八幡和郎 2019年11月22日)
http://agora-web.jp/archives/2042807.html

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(2)習近平氏を国賓として招くこと

習近平氏を国賓として招待しようという政府方針については、それをヨシとしない人たちも多いのです。

中でも私は若手の国際関係アナリストである北野幸伯氏の見解を高く評価しているのです。

その北野氏がダイヤモンドオンライン誌上に読み応えのある一文を寄稿していましたのでご紹介したいと。

◆DIAMONDonline◆
習近平の国賓訪日を中止すべき4つの理由、魂胆は「天皇の政治利用」
(北野幸伯:国際関係アナリスト、2019.11.22)
来春に予定されている習近平の「国賓訪日」に、反対の声が上がっている。佐藤正久前外務副大臣は11月11日、「香港問題」「邦人拘束問題」「尖閣問題」「日本食品の輸入規制問題」を挙げ、「4つのトゲを抜かないと国賓というわけにはいかない」と述べた。40人の自民党議員が参加する「日本の尊厳と国益を護る会」(代表幹事・青山繁晴参議院議員)も、同じ理由で反対を表明した。筆者も、習近平の国賓訪日に反対している。なぜなら、中国は天皇を政治利用した過去があるからだ。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

■米中戦争の最中に中国に接近する日本
 筆者が習近平の国賓訪日に反対する理由は4つある。
 1番目の理由は、中国への過度の接近が、同盟国である米国との関係を破壊するからだ。日本人はほとんど意識していないが、世界は2018年から「米中覇権戦争の時代」に突入している。トランプは2018年7月、8月、9月と、連続して中国製品への関税を引き上げた。これで、世界は「米中貿易戦争が始まった」と認識した。

 そして、同年10月、ペンス大統領がハドソン研究所で行った「反中演説」後、「米中新冷戦」という用語が世界中で使われるようになった。

 問題は日本政府の動きだ。安倍首相は2015年4月、米国における議会演説で、以下のように演説した。(太線筆者、以下同)

<米国国民を代表する皆様。
私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。
米国と日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。
 希望の同盟――。
 一緒でなら、きっとできます。>

 非常に感動的なスピーチで、結果、日米関係は劇的に改善された。しかし、今となっては、「口だけ」と批判されても仕方ない状況になっている。というのも、米国が中国に「宣戦布告」した直後から、日中関係は「劇的」といっていいほど改善されている。

 戦争の最中に、同盟国が敵国に接近する行為を一般的に何というだろう?そう、「裏切り」である。日本は中国に急接近することで、同盟国米国を「裏切って」いるのだ。

 それで、米国の日本への態度も変わり始めた。トランプは、大統領就任後封印していた「日米同盟破棄論」や「同盟不平等論」を、再び主張し始めている。

■人権侵害国家のトップと天皇陛下の談笑シーンは悪夢だ
 10月22日に行われた天皇陛下の「即位礼正殿の儀」には、世界各国から国王、王妃、大統領、首相などが集結した。しかし、米国が派遣したのは「運輸長官」だった。

 もともとペンス副大統領が出席する予定だったが、意図的に「格下」の大臣を送ってきたのだ。日本政府は、米国政府の「シグナル」に気がついて、中国への接近を止めなければならない。

 2つ目の理由は、「ウイグル問題」だ。中国は昔から「人権侵害超大国」だった。しかし、米国はこれまで、この国の人権を問題視することはほとんどなかった。「チャイナマネー」が欲しかったからだろう。だが、「米中覇権戦争」が始まったので、中国の人権問題がクローズアップされるようになってきた。

 その最たるものが「ウイグル問題」だ。具体的には、中国政府がウイグル人約100万人を強制収容所に拘束していること。これは、米国の対中「情報戦」に利用されているが、「事実」でもある。

<国連、中国政府がウイグル人100万人拘束と批判
 BBC NEWS JAPAN 2018年09月11日
 中国政府が新疆ウイグル自治区でウイグル人を約100万人、テロ取り締まりを「口実」に拘束していると、国連は懸念を強めている。
 国連人種差別撤廃委員会は8月末、最大100万人のウイグル人住民が刑事手続きのないまま、「再教育」を目的とした強制収容所に入れられているという指摘を報告した。
8月半ばにスイス・ジュネーブで開かれた同委員会の会合では、信頼できる報告をもとに中国政府が「ウイグル自治区を、大規模な収容キャンプのようにしてしまった」と委員たちが批判。>

 日本政府は、21世紀の現在、中国でナチスドイツやスターリン時代のソ連のような人権侵害が行われていることを問題視すべきだ。

 習近平が訪日する頃、この問題は、もっと盛り上がっているだろう。そして、天皇陛下が、100万人を拘束する国の独裁者と談笑する映像が、世界に配信される。「日本国の天皇は、独裁者と歓談している」と非難されることは容易に想像できる。そうなった時、天皇陛下にはもちろん何の非もない。非難されるべきは、会談を設定した日本政府だ。

■中国政府は昔から天皇を政治利用してきた
 しかし、国際社会は、そのようには受け取らず、「天皇が自らの意思で独裁者と談笑している」と理解するだろう。なぜなら、外国人は普通、「天皇に政治的決定権は一切ない」という知識を持ち合わせていないからだ。

 第3の理由は「香港問題」だ。習近平は11月4日、上海で、香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官と会談した。彼は、「中国中央政府は林鄭氏に高度の信頼を寄せている。この暴動を止めること、そして秩序を回復することが、依然として香港で最も重要な任務だ」と述べ、彼女を激励した。

 林鄭月娥は、国家主席から直々に「暴動を止めろ」「秩序を回復しろ」と言われ、「どんな手段を使ってもデモを鎮圧する」と決意したことだろう。

 この会談後、香港警察はデモ隊鎮圧に実弾を使用するようになり、この原稿を書いている時点で2人の死者が出たと報じられている。習近平が訪日する頃、香港情勢はさらに悪化しているだろう。そして、力を使ってデモを弾圧する中国への風当たりは、さらに強くなっているはずだ。

 そんな時期に、天皇陛下は「民主化デモを武力で弾圧する国のトップ」と会談させられる。日本政府は、国際社会がこれをどう受け取るか、熟考するべきだろう。

 第4の理由は、中国政府が天皇陛下を政治利用するからだ。これは、にわかには信じがたい話かもしれないから、少し過去を振り返ってみる必要がある。

 米中関係は、1970年代にニクソンと毛沢東が和解した後、ずっと良好だった。毛の後を継いだ鄧小平は、日本、米国から資金と技術を思う存分受け取り、中国経済を奇跡的成長に導いた。日米は、中国に「金と技術を無尽蔵に恵んでくれる存在」なので当然、日中、米中関係も良好だった。

 しかし、1980年代末から1990年代初めにかけて、2つの理由で米中関係は悪化する。

 1つ目の理由は1989年6月4日に起きた「天安門事件」。人民解放軍はこの日、デモを武力で鎮圧した。中国共産党は、犠牲者の数を319人としているが、英国政府は1万人以上としている。これで、中国は国際的に孤立した。

 2つ目の理由は、1991年12月の「ソ連崩壊」。そもそも米国が中国と組んだのは、ソ連に対抗するためだった。しかし、その敵は、崩壊した。それで当然、「なぜ我々は、中国のような一党独裁国家と仲良くし続ける必要があるのか」という疑問が、米国内から出てきた。

■天皇訪中に助けられた後日本を裏切った中国
 さて、中国は、この苦境をどう克服したのか?

 ナイーブな日本政府に接近したのだ。江沢民は1992年4月に訪日し、天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)を中国に招待した。そして1992年10月、天皇皇后両陛下が訪中された。

 これを見た欧米諸国は、「日本は、中国市場を独占するつもりではないか」と焦りを感じるようになる。

 中国の賃金水準は当時、日米欧の数十分の一であり、将来世界一の市場になることも確実視されていた。だから、欧米は、「金もうけと人権」の間で揺れていたのだ。

 中国は、天皇陛下を政治利用することで、日米欧を分断させ、日本だけでなく欧米の態度を和らげることに成功した。 

 これは、筆者の想像ではない。1988年から10年間外交部長(外務大臣)を務めた銭其シンは、その回顧録の中で、天皇訪中が西側諸国による対中制裁の突破口であったことを明かしている。

 話がここで終われば、「中国に一本取られた」程度だった。しかし、問題はここからだ。日本と天皇陛下に救われた江沢民は、恩をあだで返した。どういうことか?

 中国政府は1994年、「愛国主義教育実施要綱」を制定。1995年から、徹底した「反日教育」を行うようになった。そして、中国は、世界における「反日プロパガンダ」を強化していく。アイリス・チャンの『ザ・レイプ・オブ・南京』が大ベストセラーになり、「南京大虐殺」が世界中で知られるようになったのは1997年のことだ。同年、江沢民は真珠湾を訪問し、日本の中国侵略と、真珠湾攻撃を非難した。

 この動きは一体何だろうか?なぜ、日本に救われた江沢民は、「反日教育」「反日プロパガンダ」を強力に推進したのか?日本を「悪魔化」するためだろう。日本を悪魔化すると、米中関係はよくなる。

■クリントン政権の本音は「米中で日本を共同支配」
 2度の世界大戦の前と戦中、米中関係(当時は中華民国だった)は、日本という「共通の敵」がいて良好だった。そして、1970年代から1980年代末までは、ソ連という「共通の敵」がいて、やはり良好だった。しかし、天安門事件とソ連崩壊後、中国が米国の主敵になる可能性が出てきた。

 そこで中国は、「日本を米中共通の敵にしよう」と決意したのだ。

[…略…]

■ナイーブな政府が日本を滅ぼす
 平成は、1989年1月8日に始まった。同年6月4日に「天安門事件」が起き、中国は世界的に孤立した。

 令和は、30年後の2019年5月1日に始まった。中国は今、ウイグル問題、香港問題で孤立している。香港問題を語る際、しばしば「第二の天安門は起こるか?」といった表現が使われている。

 30年前、中国は日本政府を操り、天皇陛下を政治利用することで危機を乗り越えた。そして30年後、中国は再び日本に接近し、天皇陛下を政治利用することで、危機を乗り越えようとしている。習近平が来春「国賓訪日」すれば、天皇陛下に「近い将来の訪中」を要請する可能性は極めて高い。天皇陛下は立場上、これを拒否できないだろう。

 習近平の国賓訪日に続く天皇陛下の訪中で、日米の亀裂は、さらに深まる。日米同盟を破壊することで、中国は現在の危機を乗り越えるだけでなく、覇権に向かって大きく前進することになるだろう。

 日本政府はどうすればいいのか?これは簡単で、平成の間違いを繰り返さないことだ。つまり、習近平の国賓訪日を断り、天皇陛下の訪中、つまり政治利用の可能性を事前に根絶する。口実は、何とでもなる。「邦人拘束問題、尖閣問題、ウイグル問題、香港問題などで、保守派議員の反発が激しい」と言えばいいだろう。

 人も国家も間違いを犯す。しかし、優れた指導者は過去の間違いから学び、同じ過ちを2度と繰り返さない。日本政府は今、無意識のうちに30年前の過ちを繰り返そうとしている。安倍内閣が、過去の教訓から学び、賢明な判断を下すことを心から望む。

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どうなのでしょうか、もちろん、経済界などの習近平氏訪日を歓迎する向きもあることは承知していますし、それはそれで短期的には大いに国益に叶うことであることも承知しているのですが、しかし・・・。

評論家諸氏や政治学者、あるいは政治家の一部などがこうして「反対だ」と騒いでいても、おそらく政府官邸は「粛々と」その実現に向けて動いて行くのでしょう。

しかし、仮に大手マスコミがこぞって「反対だ!」と叫び出すなら、政府官邸は驚いて「こりゃまずいのか??」として翻意するようになるかもしれないのです。

ですが、いかんせん、マスコミがこの問題について「スルー」です。
マスコミはバカなのでしょうか・・・。

本当に一部政治家、一部評論家、一部庶民がこうしてワーワー騒いでいるに過ぎないのです。

あ~、どうなのでしょうか・・・。

北野氏などの懸念が、杞憂で終わることを願うばかりです。

 

11月22日(金)

「日本の和服はなぜ呉服といわれる?」
「長江はなぜ揚子江といわれる?」

この2つの問いにすぐに答えられる人はかなりの教養人とお見受けされます。
かくいう私自身も尋ねられれば「???」として首を捻るしかないのですが、それに対する答えが次の記事に。

来月の月例研究会に講師としてお招きされる八幡和郎氏の、アゴラへの寄稿記事がなかなか趣き深いものがありましたのでご紹介したいと。

八幡氏は現在中国へご旅行中でして、そこから配信されているようです。
今回の記事は「揚州」に行ったときのご様子を紀行文風に。

◆アゴラ◆
中国江南に日本人と日本文化の故郷発見
(八幡和郎 2019年11月21日)
揚州は隋の煬帝が愛し殺された場所でもある江都である。また、近世にあっては清国の乾隆帝もたびたび滞在した。気候が良く風光明媚であるのが理由だ。経済的には大運河の終点であり、安徽省出身の商人たちが拠点とした。近江商人が大阪で活躍したようなものだ。

また、グルメ都市としても遊興都市として知られている。唐の詩人・杜牧は、「江湖に落魄して酒を載せて行く 楚腰繊細掌中に軽し 十年一たび覚む揚州の夢」と青春の思い出を詠っている。

このあたりの水郷となだらかな丘陵の織りなす風景は、西日本出身者にとっては、懐かしい気分にさせてくれる。少なくとも東日本の風景よりはそうだ。私は日本人の大半は時期はかなり長い間に少しずつだが、江南からやってきた稲作農民を先祖にしていると思っているが、今回の旅行でますますその感を深めた。和風のものというのは、唐以前だとか南宋時代の中国文化が独自発展したもので、元・明・清時代に北方化したのが中国文化なのだ。

鑑真和上がいた大明寺へ行ったが、伽藍は日本の仏教界の援助などで近年、整備されたようだ。鑑真時代を想起するものはない。驚いたのは、お賽銭がいまやキャッシュレスで、仏様の前にQRコードが貼り付けていることだ。

[…略…]

揚子江は長江のうち揚州のあたりのことだけをいったのを、イギリス人が勘違いして長江の別名として使ったらしい。

その揚子江で揚州の対岸にあるのが鎮江だ。あいだに中州があるが、それを含めて三キロほどの橋で結ばれている。

鎮江は山西省と並んで黒酢の産地として知られているが、恒順というメーカーを見学。10年ものを土産に買ってきたがさすが。

揚子江に面した北固山という小山の上にある甘露寺というのは、三国時代の劉備と孫権の会見場としても知られる。眺望が優れているのはいうまでもない。

[…略…]

全般的な印象として、中国の若い人たちの感覚は日本化していると思う。また、漢服の流行面白い。日本の和服を呉服というのは、漢代あたりの中国の風俗を継承するものだ。中国ではその後、遊牧民族の詰め襟とか細い手の部分の服が標準になった。それを民族の本来の漢服を復興させようという動きだ。写真は一例だが、和服に刺激を受けたのも間違いない。<了>

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さすがに博覧強記、さまざまなジャンルにおいて優れた見識を有する八幡氏です。

ご紹介まで。

 

11月20日(水)

環境問題は、きわめて今日的な重要問題です。

地球温暖化というマクロスケールのよく分からない問題もですが、最近では「プラゴミ」問題が世界的にクローズアップされているのです。

さて、日本はこの問題では世界から見てどのように位置付けられているのでしょうか、ということについてバンクーバー在住の日本人社長である岡本氏がブログで次のように語っておられまして、非常に示唆に富む一文でありましたのでご紹介したいと。

結論としましては、「日本はプラゴミ問題については世界から周回遅れになっている」という。

もしそれが事実なら困ったことでありますが・・・。

 

◆外から見る日本、見られる日本人◆
日本は環境問題にセンシティブなのか、鈍感なのか?
(2019年11月20日)
日本は分別ごみに非常にうるさい国です。決められた日に決められたものをきちんと捨てないと近所から苦情が来るのですから日本人のまじめさがよくわかります。シェアハウスを運営していて何が大変といえば外国人へのゴミの仕訳と捨てる日を教えること、また、道路脇のごみ捨ての場所と捨てる時間を守るという日本独特のローカルルールの徹底には実に骨が折れます。特にラテンの人にはゴミ捨ての認識がかなり違う人も多く、時として泣かされます。

さて、日本は環境問題にセンシティブか、鈍感か、というお題に対して鈍感とは何事か、とお怒りになる方もいらっしゃると思います。確かに分別すること、それをリサイクルしていると考えられている点においては確かに世界でもトップクラスだと思っています。

ではそれほど優秀な国民なのになぜ、大阪湾でレジ袋300万枚、ビニール片610万枚もある(読売より)と報じられているのでしょうか?あるいは深刻な琵琶湖の廃プラゴミ問題でも今年6月にゴミさらいをしたら6割がプラゴミだった(京都新聞)という報道もあります。これらは氷山の一角で日本全体レベルでみれば環境に優しいとは言えない可能性はあります。

韓国では18年8月からカフェなどで店内での使い捨てカップの使用が禁じられています。持ち帰りならいいのですが、店内で飲むのに使い捨てカップはだめなのです。あるいは韓国の大型スーパーではもはや持ち帰りの袋が有料化どころか、ビニールそのものを提供すると違反になります。

カナダでスーパーに買い物に行くときは買い物袋やカート、ラックはマストのアイテムとなりました。もちろん、ビニール袋を求める客はいますが、有料だからというより「ビニール、使うの?」という冷たい空気を感じます。最近は酒屋(BC州は原則州が経営する半官半民の経営です)で酒を買っても「ビニール袋、いるの?」と確実に聞かれます。プレッシャーを感じるのです。その点、来年からスーパーのビニールが有料化になると報道される日本はすでに周回遅れもいいところなのであります。

[…以下略…]

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確かに日本のコンビニやスーパーにおける「包装」の過剰気味な傾向はなんとかしないといけないと思われます。

「便利さ」と「贅沢」は、どうも「環境」や「自然」とトレードオフの関係にあるように思えるのですが、もしそうなら日本人は改めて「生活の質」という問題を考え直してみた方がいいかもしれないと思えるのです。

さて、小泉ジュニア氏が環境大臣に就任されたのですが、こういう問題については強いリーダーシップを発揮する余地があるように思えまして、活躍を期待したいと。

ご紹介まで。

 

11月19日(火)

先日、ここで外交評論家である河東哲夫氏のニューズウィーク誌への寄稿文をご紹介したのですが、今日その河東氏が現代ビジネス誌上に寄稿している大変興味深い一文を読みまして再びご紹介したいと。

題して、「トランプが「核の傘」放棄発言をしたことにお気づきですか?」という。

 

日本にとって「安全保障問題」はきわめて重要な問題でありまして、外交素人の私にとっても「知りませ~ん」という無責任なことでいい訳でないのです。

私は、日本が自前で核武装することがベストな選択であるとは思っていないのですが、それでも、安全保障を考える上において「核の問題」についてはしっかり考えておく必要があると思っているのです。

そういうことで、この河東氏の一文も大変参考になるものであると思えましたのでご紹介したいと。

 

◆現代ビジネス◆
トランプが「核の傘」放棄発言をしたことにお気づきですか?
~核武装させるのかカネを取りたいだけか~
(河東哲夫 2019.09.26)
■日本メディアでは気がつかない爆弾発言
8月25日、G7先進国首脳会議の際に行われた日米首脳会談の際、両首脳は共同で記者の質問に答えた。その時トランプは何気なく、しかし実は大変なことを言ったのである。

「北朝鮮のミサイルで米国に届くような長距離のものは脅威だが、中距離以下のものについては安倍総理の問題だ」と。

これまで「拡大抑止」とか「核の傘」とか言われてきたもの、つまり日本の核武装を認めない代わりに、米国の核兵器で日本に「傘をさしかける」という政策を、トランプはたった一言で引っ繰り返したのだ。

もちろん、米国防省は核の傘はこれまで通り有効であるという説明を繰り返すだろうが、トランプの本音はこれで明らかになった。

彼はこれまでのやり方を反故にして、日本に核武装を認めるつもりなのか。また、たとえそうだとしても、日本は核武装できるのだろうか? 必要なのだろうか?

トランプの発言に、横にいた安倍総理は顔をしかめたが、言葉で反応することはしなかった。日本のメディアも、ことの重大性に気づいていないかのように、何もフォローしていない。

そして9月11日の内閣改造では、外相に茂木敏光・前経済再生担当相、防衛相に河野太郎・前外相という、米国とのコネの深さを競り合う2者が指名され、13日には国家安全保障局局長に警察出身の北村滋氏が任命された。

警察官僚は、核問題を外交・安全保障戦略の一環として考えることはないし、情報畑出身の彼は情報を下僚とシェアするよりは下僚から情報をただ吸い上げて、あとは上司とブラック・ボックスの中で処理するというアプローチを取るだろう。それでは、安全保障政策について政府内の調整はできない。

今後、核戦略で日米のすり合わせが始まると、日本の外相、防衛相、国家安全保障局局長の3者が米側とばらばらに連絡を取り合い(それぞれカウンターパートが違う)、功を焦って安易な妥協をしてしまう可能性がある。

また核戦略についての報道は、国際情勢、核戦略についての知識と経験を必要とするが、政治部主体の日本のメディアは、もっぱら日本の国内政治の文脈でしか報道せず、結局は日本政府の手を縛り、米国の核の傘に対して日本がカネを支払うだけという「ざんねんな」結果で終わらせてしまうだろう。
[…以下略…]

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本当に、トランプ大統領の「ディール外交」に振り回されないよう、同時に「米・中・露」間のそれぞれのエゴイスト外交戦略に振り回されないように、日本も真に戦略的な思考に基づく外交を展開して行かなければならないのだと痛感させられるのですが、はて、安倍新内閣はその任に堪え得るのだろうかと・・・。

習近平氏を「国賓」として迎えることに決めた、などということを聞くと、(う~む・・・)と首を捻らざるを得ないのです。

少なくともそれは誤った選択でないのかと・・・。

ご紹介まで。

 

11月16日(土)

「劣化するマスコミ」・・・

本来、国家としての重要な問題や政策論議をするべき国会が、どうでもいいようなつまらぬ問題(桜を見る会など)で振り回されていると感じるのは、野党やリベラルを自称するマスコミにとっては「そう感じる方がおかしい」として非難されるようなことになるのでしょうか。

この件について池田氏が鋭いマスコミ批判をしている一文を見かけましたのでご紹介したいと。

◆JBpress◆
「桜を見る会」でワイドショー化する国会
~劣化するマスコミが民主主義を殺す~
2019.11.15(金)
(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)
 国会は「桜を見る会」で盛り上がっている。共産党が「安倍首相の後援会関係者が招待されたのは会の私物化だ」と追及したのが始まりで、野党が「追及チーム」を作って追及し、首相は来年(2020年)の開催を中止すると決めた。

 やりきれないのは、こんなスキャンダルで野党が騒ぎ、また森友・加計問題のように国会審議が空転することだ。首相が中止を決めたのもそれを防ぐためだろうが、この流れは止まりそうにない。

■政策論争をあきらめた野党
 桜を見る会は吉田茂首相が1952年に始めた毎年恒例の行事で、民主党政権でも開催された。安倍政権で規模が大きくなって今年は1万8000人を超えたが、首相の関係者を招待することは違法でも不正でもない。

 そのコストが予算5500万円を超過したのも、政府にとっては誤差の範囲である。それより1100兆円以上の政府債務を抱える中で、800兆円を超える社会保障会計の「隠れ債務」がさらに膨張している問題のほうがはるかに大きい。

 しかし野党は国会で、社会保障の問題は追及しない。数字ばかり出てくるむずかしい問題は、マスコミが取り上げてくれないからだ。政治家にとって大事なのは政策論争ではなく、次の選挙で生き残ることなのだ。

 与党の政治家は地元への利益誘導で集票できるが、それができない野党にはマスコミで目立つという手段しかない。そしてマスコミは野党の政策には興味をもたない。野党の出す法案が実現する可能性はないからだ。

 そんな弱小野党でも、政府と対等に戦えるのがスキャンダルである。政策を知らない有権者でも、政治とカネの問題には敏感だ。田中金脈事件やリクルート事件では内閣が倒れた。

 野党が躍進できるのは、こうした大型疑獄事件の後である。リクルート事件で自民党の政治家が次々に摘発される中で行われた1989年の参議院選挙では、初めて野党が過半数となり、これが1993年の政権交代の大きな原因となった。

 だが政策論争で倒れた内閣はない。特に安倍首相の打ち出している経済政策は、世界的にみるとリベラルな「大きな政府」であり、野党がこれに反対することはむずかしい。

 外交・防衛でも、安倍政権はタカ派とはいえない。2015年に大荒れになった「安保国会」でも、野党は安倍内閣を解散に追い込めず、政権はかえって盤石になった。今や政治的な争点がなくなり、野党は政策論争をあきらめたのだろう。
<以下略>

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もちろん、マスコミだけに問題がある訳ではないのですが。

とりあえずご紹介まで。

 

11月15日(金)<2本目>

〇地球温暖化について

ネットニュースをチェックしていたのですが、「「温暖化対策」100兆円をドブに、日本はバカなのか?」、という刺激的見出しを発見して読みに行ったのです。

実は今朝の産経新聞の「正論」に、同じような趣旨の記事も載っていたのです。

それは、「温暖化プロバガンダに警戒を」という表題の記事でして、日米近現代史研究家の渡辺惣樹氏の寄稿している一文です。

この問題については世界的にはさすがに「犯人はCO2、排出規制が絶対必要だ」と主張する勢力が圧倒的であろうと思われるのですが、それでも世の中にはその主張に対して懐疑的なポジションをとる科学者も一定数いるのです。(たとえば武田邦彦氏のように)

いずれにしても、今日偶然にもこの問題についての批判的立場の方の主張が2本も目につきましたので、ご紹介したいと。

 

◆MSNニュース◆
JBpress
「温暖化対策」100兆円をドブに、日本はバカなのか?
(渡辺 正 2019/11/15)
 スウェーデンの高校生、グレタ・トゥーンベリさんがスピーチで激しく怒りをぶつけた地球温暖化問題。もともとは国連の組織「IPCC」が火をつけた騒動だ。日本は国連の言うことをみじんも疑うことなく無条件に飲み込んでいる。東京理科大学の渡辺正教授(東京大学名誉教授)はこの状況を「カルト宗教めいた状況」と批判する。日本は効果のない膨大な温暖化対策費をいつまで捨て続けるのか?(JBpress)

◎本稿は『「地球温暖化」狂騒曲』(渡辺正著、丸善出版)の本文および『「地球温暖化」の不都合な真実』(マーク・モラノ著、渡辺正訳、日本評論社)の「訳者あとがき」から一部を抜粋・再編集したものです。

■日本が使う100兆円、その効果は?
 過去ゆるやかに変わってきて、今後もゆるやかに変わる地球環境を気象や気候の研究者が論じ合うだけなら実害は何もない。私たち部外者のほうも、ときおり聞こえてくる研究の成果を楽しませてもらえばよい。まっとうな研究者なら、大気に増えるCO2とじわじわ上がる気温のプラス面をきっと教えてくれるだろう。

 だが、1988年、国連のもとにある「IPCC」(気候変動に関する政府間パネル)という集団が温暖化を「人類の緊急課題」にしてしまった。各国の官公庁と主力メディアがたぶん国連の権威に屈した結果、問題視するまでもないことに巨費が投入されつづけることになった。その巨費が生む「おいしい話」に政・官・財・学会がどっと群がり、日頃は政府を攻撃したがる一部メディアも声をそろえてカルト宗教めいた状況になったのが、地球温暖化騒ぎの素顔だと思える。

 いま日本では年々5兆円超(1日に150億円!)の「温暖化対策費」が飛び交っている。

 日本の「温暖化対策」は2016年秋のパリ協定発効をにらんだ同年5月13日の閣議決定をもとにしている。日本は温室効果ガス(大半がCO2)の排出量を2013年比で、2030年に26%だけ減らすのだという。

 内訳は、「エネルギー起源CO2」が21.9%、「その他温室効果ガス」が1.5%、「吸収源対策」が2.6%だという。3番目は「森林がCO2を吸収する」という非科学だが、こまかい考察をしても空しいだけなので無視したい。要するに日本は、2013年から2030年までの17年間に、CO2排出量を21.9%だけ減らすと宣言した。減らせるはずはないけれど、減らせたとしたらいったい何が起こるのだろう?

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◆産経新聞◆
温暖化プロパガンダに警戒を 
~日米近現代史研究家・渡辺惣樹~(2019.11.15)
 ≪「地球温暖化」先導した人物≫
 地球温暖化について論議する上で1人の人物の歩みを取り上げたい(以下文中の敬称は略す)。

 1929年4月、モーリス・ストロングは、カナダ・マニトバ州の田舎町オークレイクに生まれた。この半年後にニューヨーク証券取引所を舞台にした株価の暴落が始まった。20年代、第一次世界大戦で潤った米国は「狂騒の20年代(roarig 20’s)」と呼ばれる未曽有の好景気に沸いた。行き過ぎた信用拡大は、29年10月24日(暗黒の木曜日)の株価暴落をきっかけに一気に収縮した。

 米国は長い不況に陥り、カナダをも巻き込んだ。両親も財産のすべてを失い借金に苦しんだ。ストロングは学業優秀で14歳で高校課程を終え大学奨学金を得たが、そのお金は父の借金の返済に充てた(43年)。

 この時代の一部知識人の典型である「資本主義嫌い」を心に深く刻んで成長した。紙幅の関係で彼のその後の生い立ちは省くが、ストロングはカナダ石油開発業界の重鎮となった。富を築いた彼が近づいたのはカナダ政界だった。63年、都合のよいことに首相には左翼思想を持つレスター・ピアソンが就いた。ピアソンを通じてカナダエリート社会と強い結びつきを持った。

 69年、地球環境保全に熱心なスウェーデンがストロングにアドバイスを求めた。スウェーデンは世界規模での環境会議を開きたかったが、開発途上国は環境保全どころではなかったし、先進国も競争に打ち勝つことに精いっぱいの時期だった。スウェーデンの訴えを聞く国はなかった。

 ストロングは環境会議(ストックホルム会議)の議長に就任すると、先進国による工業化支援を約束することで開発途上国を納得させた。ソビエトの科学者を科学アドバイザーに迎えてモスクワも籠絡した。彼を過激社会主義者と疑う先進国(とりわけ英国)の説得には米マサチューセッツ工科大学(MIT)の科学者グループの研究「成長の限界」(72年)を利用した。

 ストロングは地球環境をモニターする国連組織(UNEP)の立ち上げに成功した(72年)。本部は意図的にアフリカ(ケニアのナイロビ)に置いた。

 ≪美しきスローガンに沈黙≫

 92年、国連はリオデジャネイロで地球サミットを開催した。

 議長はストロングだった。各国の保守派は、社会主義者による究極の大きな政府(世界政府)づくりの一環だと警戒したが、美しきスローガン(地球環境保全)の前に沈黙した。生物多様性尊重、気候変動(温暖化)・砂漠化防止をテーマにしたサミットは成功した。

 ストロングは、環境保全を「梃(てこ)」にして、国連に米国以上の権限をもたせられると確信した。彼の理想は、豊かな先進国(とりわけ米国)から開発途上国への富の移転だった。そのためには米国内にも協力者が必要だった。彼はアル・ゴアに目を付けた。

 そしてシカゴに開設される(二酸化炭素=CO2)排出権取引所(Chicago Climate Exchange 民間企業)を利用した。ゴアはこの取引所の株主となった(2003年)。二酸化炭素を、地球温暖化の悪者に仕立て上げたのは、それによって取引所の株主が儲けられるからだった。

 06年、ゴアはドキュメント映画「不都合な真実」を製作し、優しい心を持つ世界の人々を怯(おび)えさせた。京都議定書(1997年調印)の発効(2005年)1年にタイミングを合わせた公開だった。10年、排出権取引所は売却されたが株の3%を所有するゴアには十分な利益があった。

 京都議定書では、狙い通り先進国だけに二酸化炭素排出削減義務を課し、工業化を求める開発途上国の義務は免除された。富の再分配スキームの完成である。

 ≪中国に逃げたストロング≫

 06年、ストロングは国連石油食糧交換プログラムの資金100万ドルを横領し有罪(米連邦裁判所)になると中国に逃げた。彼は、共産主義国家中国こそが米国に代わって世界覇権を握る理想の国と信じていた。

 だからこそ京都議定書策定プロセスで中国を開発途上国に分類し、30年まで削減義務を負わせなかった。中国共産党が彼を歓待したことはいうまでもない。ストロングは、米国の訴追を逃れながら故国カナダに戻り、15年11月オタワで死去した。

 彼の亡くなった年、パリ協定が締結された。この協定でも中国には30年まで二酸化炭素削減の義務はない。ゴアが「洗脳」に成功した米民主党は、脱炭素社会実現の旗振り役に変貌した。

 […以下略…]

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果たして真実は奈辺にあるのやら・・・。

慎重な判断が求められる問題です。

ご紹介まで。

 

11月15日(金)<1本目>

〇シンクタンクについて

当会(国家ビジョン研究会)も、一応「シンクタンク」を名乗っておりまして、ここ数年は大掛かりなシンポジウムを主宰することもなく、ボチボチという感じの動きしかできていないのですが、それでも自称はあくまでも「シンクタンク」ではあるのです。

そんなシンクタンクについて、真正面からその存在意義を問う一文がありまして、ご紹介したいと。

◆Newsweek◆
<河東哲夫 外交官の万華鏡>
霞が関が支配する日本の行政、シンクタンクに存在意義はない?
(2019年11月12日)
<アメリカでは絶大な力をふるう民間の政策集団であるシンクタンク。では日本のシンクタンクはどうか。その知られざる役割と限界を明かす。本誌「シンクタンク大研究」特集より>

シンクタンクと言ってもさまざまだ。シンクタンクをめぐる状況は日本、アメリカ、欧州、中国、ロシアでそれぞれ異なり、それに応じて果たす役割も変わってくる。

日本では政府の諸省庁が、それぞれの担当分野で最大のシンクタンクとなっている。官僚は国家試験で採用され、年功序列の終身雇用(内部の競争は熾烈だが)であり、アメリカのように政治任用で民間と政府の間を出入りすることはほとんどない。

だから、いくつかある国際関係についての民間シンクタンクは、政治家や官僚、財界、マスコミのOBをトップに頂き、若手は大学などでの安定した職を求めつつ、数年間ここで研鑽に励む──となりやすい。では、日本のシンクタンクの存在意義は薄いのか。

そうでもない。まずシンクタンクの研究者は官僚より自由に発言できる。だから彼らの主宰するセミナーやシンポジウムは、筆者のように政府の外にいる者にとって貴重な情報収集の場となるし、本音の議論を通じて自分の意見を磨く機会にもなる。そのような議論は多数の専門家が共有するから、日本の世論形成にも資する。

そして日本のシンクタンクの人たちは、外国のシンクタンクと交流したり、海外のシンポジウムに出席したりすることで、種々の問題について国際世論の形成にも参画している。日本の存在を印象付けることも大事な仕事だ。これを「トラック2」のチャンネルと言う。「トラック1」が政府間協議の公式チャンネルであるのに比し、トラック2ではさまざまな仮説を議論し、柔軟な意見交換ができる。

このように、日本のシンクタンクは国内でも国外でも情報の伝播、世論形成において不可欠な存在なのである。

一方、実際の政策形成に日本のシンクタンクがどこまで関わっているかと言ったら、そこは別の話になる。実際の政策というものは、ナタで手術をするようなもので、メスで細かい作業をやっている時間はない。大まかな方向を決めたら、政治家や官僚の仕事のほとんどは既得権益集団の説得、その手段としての予算の獲得、与野党内の根回し、マスコミの抱き込み、少々の出血は致し方ない……となる。

そういう「鉄火場」にいる官僚や政治家に、シンクタンクのしかつめらしい「何々はこうするべし」という政策論は、ただ煩わしいだけ。高層ビル建築に例えるなら、政府にとって欲しいのは設計者より地上げ屋なのだ。
[…以下略…]

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当会としましても、大真面目に受け止めなければいけない内容の記事ではあるのです。

ムムム・・・

ナムアミダブツ・・・、

ご紹介まで。

 

11月14日(木)

日本も世界も、目的地を見失ってしまった航海を漂流しているような感じで今日も今日とて流動しているのです。

日本の漂流っぷりもなかなかなのですが、ヨーロッパ世界の優等生ともいえるドイツも、現状なかなかの漂流っぷりなのです。

そんなドイツから、かつて西ドイツだったシュトゥットガルトからライプツィヒに引っ越した川口マーン惠美さんが、そんな旧東ドイツからの視点で今のドイツの様子をレポートしてくれているのでご紹介したいと。

かつて、「ベルリンの壁」崩壊のニュースを私も興奮しながらニュース映像を見ていたのです、その折のベルリンの様子なども描写されておりまして読み応えがあるのです。

 

◆現代ビジネス◆
ベルリンの壁崩壊から30年、「東西ドイツ統一」は夢のままなのか、~11月9日の「熱狂」と期待外れの現状~
(川口 マーン 惠美 2019.11.08)
■歴史を変えた「勘違い」
30年前の1989年11月9日の夜、ベルリンの壁が落ちた。これによって、東西ドイツの統一がなされただけでなく、共産圏が崩壊し、ソ連が消滅したのだから、世界を変えた無血革命であった。

しかし、この重要な出来事が、東独のスポークスマンの「勘違い」から始まったということを知っている人は少ない。

当時の東ドイツは、ひどく混乱していた。民主化を求めてライプツィヒで始まった月曜デモが急速に拡大したため、独裁者ホーネッカー書記長が武力鎮圧を命じたが、人民軍はすでに従わなかった。

ライプツィヒの抵抗運動は稲妻のように他都市に広がり、11月4日、東ベルリンで10万人デモが起こった。この日、全土で行われていたデモを合わせれば、参加者は100万人を超えていたと言われる。

政府の幹部たちはこの波に抵抗できないことをようやく察し、ならば改革は自分たちの主導で行おうと、ベルリンのアレクサンダー広場に作られた野外ステージでスピーチを試みたが、集まった市民の怒声で二進も三進も行かなかった。そんな屈辱は経験したことがない彼らは呆然とし、極度に浮き足立っていった。

10万人デモの2日後の11月6日、政府は予てよりの懸案であった「旅行法案」を提出した。国民の「西側への旅行を許せ」という要求に対する「飴」政策のつもりだった。

しかし、この法案には出国のみで、再入国についての規定がなかった。それを知った国民は憤り、政府に対する突き上げがさらに激しくなった。政治家は右往左往し、翌7日はシュトーフ首相が解任され、モドロフが後任となった。

[…以下略…]

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いずれ東アジアの朝鮮半島でも、北朝鮮と韓国がなんらかの形で「統一」されて行くのでしょうが、しかし統一後の艱難辛苦の道がどれほどのことなのか、このドイツですらこうなのですから、もう推して知るべし、いや、その何倍もの混乱や困苦困難悲劇が待ち受けているのだろうと推測されるのです。

朝鮮半島が真に平和で豊かで素晴らしい国になるまで、きっと後200年くらいは楽勝でかかるのでないかと・・・。

いや、それでも歴史はもっともっと長く、きっと後数千年は続いて行くのでしょうから、200年などという期間も「神の視点」からするなら瞬間でしかないようなことかもしれないのですが・・・。

ご紹介まで。

 

11月13日(水)

14日から「大嘗祭」なる儀式が皇居で行われるとか。

私はこれまであまり興味関心を惹かれることがなかったもので、それがどういうものなのかほとんど知らないまま来ているのです。

これについて冷泉彰彦氏がニューズウィーク誌に寄稿されている一文がありましたのでご紹介したいと。

◆Newsweek◆
<冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代>
~大嘗祭には国のかたちを深く知る手がかりが残されている~
2019年11月12日(火)
<新米を神前に供える大嘗祭は基本的には「収穫祭」で、稲作文化を国の根幹とする日本の価値観を象徴している>

天皇即位に伴う一連の儀式は、11月10日の祝賀御列の儀(パレード)で一段落したように見えますが、そんなことはありません。11月14、15日には、宮中祭祀の中でも重要とされる大嘗祭が予定されているからです。

この大嘗祭ですが、30年前の平成への代替わりの際には、政教分離に違反するという論争があり、ハンストを行って抗議するグループがあったり、そのグループに対して保守派が抗議したりというような動きがありました。今回は、そのような対立のドラマが起きる気配はありません。これは平成の30年間において、平和国家における象徴天皇制度が安定した支持を獲得した結果だと思われます。

その一方で大嘗祭には、宗教行事であるのに国家予算が使われることへの批判がありました。確かにそのような批判はあり得ると思いますが、宮中祭祀というのは貴重な無形文化財という考え方もできるわけで、その伝統を維持して継承することには社会的な利益があると考えれば、公的な費用が支出されることにも理屈は通るという解釈は可能です。

ただ、せっかく巨額の費用を使って伝統を維持しているのですから、大嘗祭という興味深い「無形文化財」について研究や情報公開を進めることは必要ではないでしょうか。

大嘗祭は基本的には収穫祭です。亀卜(きぼく)、つまり亀の甲羅を焼いて占った結果に基づいて、全国から旧国名で2カ所を選び、そこで特別に生育された稲を刈り取ってできた精米が重要な役割をするのです。ちなみに、今回は下野国(栃木県)と丹波国(京都府丹波地方)でした。

では、単に収穫した米を炊いて神前に供える儀式かというと、そう単純なものではありません。即位した新天皇は、大嘗祭のために作られた大嘗宮の中で、様々な儀式を行い何度も沐浴をし、そうした儀式は深夜にまで及ぶのです。そして、そのほとんどは非公開です。

儀式自体が非公開であり、また宗教性があることを考えると、一種のスピリチャルなパワーを保つために非公開が適当というのは理解できます。そうではあるのですが、21世紀の現在、事後でもいいので儀式の詳細を分かりやすく公開しながら、様々な議論がされてもいいように思います。

注目したい点は2つあります。

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もう一つご参考までに次の記事をご紹介。

◆nippon.com◆
神秘的な皇室行事「大嘗祭」:新天皇が神々と対座

<天皇陛下が皇位継承に伴い、一世に一度だけ行う皇室伝統の大がかりな神事、大嘗祭(だいじょうさい)が11月14日夕から翌日夜明け前まで、皇居・東御苑で古式ゆかしく行われる。新天皇が神々に新穀をお供えし、国家・国民の安泰と五穀豊穣(ほうじょう)を感謝し祈る。奈良時代以前から続く“神秘的”な皇室行事である。>

[…以下略…]

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さて、この「大嘗祭」をどのように受け止めるべきかということは、難しいことです。

冷泉氏の文中にもありますが、これに抗議するグループがあったり、またそれに保守派が抗議したりと。

とりあえず30年前と比べてずいぶん論争は下火になっているようですが、それでも相当な金額の国費が使われるのですから、一定の批判が生じるのも当然でしょうか。

そうですねぇ・・・、私自身の個人的感想では、もうそろそろ、もう少し式を簡素化、簡略化して、費用をもう少し低額に収まるように改革した方がいいのでないか、ということなのですが、どうなのでしょうか。

いや、専門家のご意見をもう少し聞いてみる必要もありそうです。

ご紹介まで。

 

11月12日(火)

ご紹介したい記事がありまして。

 

◆池田信夫◆
「定住革命」の終わり
(2019年11月11日)
人類の歴史上最大の変化は産業革命ではなく、約1万年前に狩猟採集生活から定住生活に移行した定住革命である。従来はこれを「農業革命」の結果と考えたが、最近の研究では農耕の始まりは定住より数千年も遅いことがわかってきた。つまり農業革命は定住革命の結果であって原因ではないののだ。

では定住が始まった原因は何か。今のところ決定的な説はないが、戦争だったという説が有力である。
近代国家も基本的には国境で区切られた領土の中で土地の所有権を分配する農業国家であり、それを発展させる方法は対外的な領土の拡張、すなわち植民地支配だった。 土地は産業革命でも生産要素の一つになったが、その供給量には制約があるので、今では大して重要ではない。

20世紀は人的資源がもっとも重要な生産要素になった時代といえようが、21世紀に重要になったのは情報や権利などの無形資産(intangible assets)である。これをコントロールする上では土地は無意味であり、人的資源もITで代替できる。GAFAに代表されるグローバルIT企業の資産の大部分は知的財産権と個人情報であり、その配分を最適化するように人間がグローバルに移動する。1万年前に始まった定住革命が終わろうとしているのだ。

[…略…]

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いや、本当に時代(世の中、世界、社会)は凄いスピードで変わっているのです。

世界では「革命的」といってもいいような大変化が起こりつつあるのです。

そういう中、日本は大きく立ち遅れてしまっているのです。

まずいのです、よろしくないのです。

しかるに、国会ではスケールで見るならバカバカしいようなレベルの話が議論されているのです。

日本はもっともっと本格的に危機感をもって新しい時代に立ち向かっていかなければならないというのに、国会は何をやっているのかと。

そっちこそ深刻な問題だろうと。

本当に、日本の政治状況は最低レベルにあると・・・。

危機感がつのるばかりです・・・。

ではでは・・・。

 

11月11日(月)

昨日は即位のお祝いのパレードがあったのです。

私もちょっとした用事で東京駅前の丸ビルまで出かけていたのですが、たまたま帰りがパレードが終了してそれを見物に来ていた大勢の人々が東京駅に押し寄せている時間帯とがっちゃんこしたため、駅改札入り口が大混雑で大変だったのです。

 

それはいいのですが、その前日、土曜日の夜の奉祝式典をテレビニュースで時差遅れて少し眺めていたのですが、とても違和感を強く感じたことがありましたので書いておきたいと思いまして。

それは天皇皇后両陛下が二重橋を退出する際に、何やら万歳三唱の声が何べんも何べんも繰り返されていたことなのです。

私は万歳三唱をすること自体にはそれほど違和感を感じることもなく、(まぁ、それが日本の伝統様式なのだから・・・)ということですんなり受け入れることはできるのですが、しかし、あそこまで繰り返しそれが流されるとさすがに違和感を感じまくりまして、(ちょっと違うんじゃないの?)と主催者側の式典進行に文句を言いたくなったのです。

歳が行った私のような者ですらそう感じるのですから、若い世代はどうなんだろうかと。

それはそうとしましても、私は(次は一体誰が即位するのであろうか・・・)と、心配する必要もない20年、30年ほど先の時代に思いを馳せていたのです。

何かの事情で、秋篠宮殿下が「私は辞退したいのですが・・・」と仰られないとも限らない訳でして。

はてさて日本の50年先はどのような世の中になっているのでしょうか・・・。

それが素晴らしい時代になっていることを望みたいのですが、そうは簡単に問屋が卸してくれないということも考えられる訳でありまして。

いや、新しい令和の時代が始まったばかりであるというのに、そんな先のことまで今から心配するのは如何なものか、なのですが。

とりあえず、令和の御代が素晴らしい時代になりますようにと。

ではでは。

 

11月9日(土)<その2>

しばらく前から「あいちトリエンナーレ2019」の問題が世の中で話題になっていたのです。

私はあまり興味を惹かれていませんでしたので、チラッと目をやる程度でほぼスルーしていたのです。

ですが、昨日、バンクーバーご在住のヒロ氏と、ウィーンご在住の長谷川氏とのブログを読みまして、ちょっとご紹介したくなったのです。

どうもウィーンの方では「日本の現代芸術展 Japan Unlimited」という展覧会が催されていたようなのですが、それが最近になって中止されたとか。

ヒロ氏も長谷川氏もおそらく政治的スタンスは「保守系」の方だと思われるのですが、私は(それではこの問題について左系の人たちはどのように考えているのだろうか・・・)と思いまして、リテラという左派系のサイトを覗いてみたのですが、確かに出ていたのです。

で、併せてそちらもご紹介したいと。

 

◆外から見る日本、見られる日本人◆
表現の自由って何だろう?
(2019年11月8日)
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で表現の自由が大きく議論されました。この行方はいまだに明白ではありません。が、はっきりしていることは「表現の自由」はどこまで自由なのか、結論が出ない議論が続く可能性であります。

日本国憲法第21条第1項では「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」第2項は「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」であります。ここだけを見るとなんでもアリという風に読めます。ところが憲法第13条に「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とあります。この「公共の福祉」がキーワードです。
[…以下略…]

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◆ウィーン発 『コンフィデンシャル』◆
日本大使館が「反日芸術展」を支援?
(2019年11月8日)
 ウィーン市7区にあるミュージアム・クオーター(MQ)で9月26日から「オーストリア・日本国交樹立150周年」を記念したイベントの一環として、日本の現代芸術展「Japan Unlimited」(ジャパン・アンリミテッド)が開催中だが、19人の芸術家(日本、イタリア、オーストリアの芸術家)が展示した作品が日本を明らかに中傷、誹謗する内容だということで、同記念イベントを支援してきた駐オーストリアの日本大使館はこのほど支援を中止する旨を通達したことが明らかになった。

 同記念イベント開催は日本大使館からのメールで知っていた。“現代芸術展”というので、あまり行く気がしなかったが、オーストリア国営放送や日刊紙が紹介し、展示会で日本への批判が強い作品が多く展示されていると聞いたので、MQに行ってみることにした(同展示会は入場無料)。

 展示会に足を一歩踏み入れると、入口に最も近い場所に2人の日本人男性の全裸写真が掲載されている。展示会場はうす暗い。「これが現代の日本芸術展か」という深い失望と、「なぜこのような芸術展がオーストリア・日本外交150周年の記念イベントとして開催されているのか」といった思いが湧いてきた。

 芸術展の紹介には「日本社会には本音と建前がある。この展示会では日本社会の本音を紹介する」と記述されていたが、会場に展示された作品は偏見なく言えば、芸術品ではなく、製作者の個人的な左翼イデオロギーを表現したもの、といった印象を受けた。安倍晋三首相に似せた人物がインターナショナル・アセンブリーで演説するところを可笑しく描いた動画、北海道共産党支部を訪問した作者がそこで共産党員と共産主義の未来、マルクスについてなどインタビューしている動画、東京電力会社の幹部が謝罪表明している動画など、これは明らかに安倍政権を批判し、反原発、反日といった典型的な左派イデオロギーに基づいた展示品だ。「Hirohito,s New Clothes」というタイトルの作品では昭和天皇らしき人物が軍艦の前で軍人と並んでいる写真が映っている、といった具合だ。

[…中略…]

 陽気で饒舌なイタリア人の同氏は「どうか誤解しないでほしい」と繰り返し語っていた。当方は「誤解している」とは思っていない。展示会を見た正直な感想を述べ、質問しただけだ。同芸術展は芸術の名を借りた政治的プロパガンダに過ぎない。それをなぜ日本大使館は歓迎し、支援し、そして急転直下、支援を取り下げたかだ。今後の海外でのこの種の展示会を阻止するためにも「愛知トリエンナーレ」と「ウィーン美術展」から日本の外交官は教訓を学ぶべきだろう。「芸術」という名に騙されてはならない。<了>

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◆リテラ◆
ウィーン芸術展公認取り消しを会田誠、Chim↑Pomらが批判! あいトリ以降相次ぐ“検閲”はネトウヨ・極右政治家の共犯だ
(2019.11.07)
また安倍政権による検閲だ。オーストリアのウィーンで開催中の展示会「Japan Unlimited」をめぐり、在オーストリア日本大使館が公認を取り消した。文化庁が「あいちトリエンナーレ2019」の補助金を取り消したのに続く、国による“事実上の検閲”としか言いようがない。

 そもそも「Japan Unlimited」は、オーストリアと日本の外交関係150周年を記念し、政治・社会批判の芸術の自由と限界に立ち向かうアーティストを紹介するという趣旨(公式サイトより)。イタリア人のマルチェロ・ファラベゴリ氏がキュレーターを務めている。

 同展には「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」にも参加していた美術集団Chim↑Pomや、現代芸術家の会田誠氏、美術作家の三田村光土里氏のほか、オーストリア、イタリア、ドイツなどから約20のアーティストが出展していた。

[…中略…]

 実は「Japan Unlimited」については、いくつかのネトウヨ系ブログが内容を問題視し、SNSでもネトウヨたちが「反日プロパガンダ」「反日左翼活動家のヘイト展示」などと騒ぎ立て、外務省への抗議を呼びかけていた。

 さらには、政治家の関与も判明している。たとえば自民党の長尾敬衆院議員はTwitterで、ネトウヨ系アカウントからの情報を受けて、〈外務省として対応すべき事柄を指示し報告を待っています〉〈不快感しか覚えない作品?が両国友好に資するとは思いません。追及を続けます〉〈日本とオーストリア友好150周年に相応しくない、JAPAN unlimitedに関して、経過報告をさせて頂きました〉などと投稿していた。長尾議員は朝日新聞に対して、外務省に問い合わせをしたことを認めたうえで「外務省の認定取り消しの判断は正しいと思っている」などと話している。

 また、同じく自民党の大西宏幸衆院議員も自身のブログで、先月30日、党の国防・内閣・外交合同会議で同展を問題視し〈説明を改めて要求しました〉と報告していた。ブログによれば、この要求によって外務省から対応説明に来ることなった。実際、7日付の東京新聞によると、大西議員は〈一般市民からの問い合わせやネット上で議論になっている内容を踏まえ、十月末に電話で同省に事実関係を確認〉したという。

 ようするに、外務省は一度は公認を与えていたにもかかわらず、ネトウヨの電凸や極右政治家の働きかけによって、その認定を取り消したということだろう。まさに、文化庁が一度採択した補助金を後になって異例の全額取り消しをした「あいちトリエンナーレ」と同じ構図ではないのか。<了>

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皆さんそれぞれのお立場でご意見を述べておられるのです。

私は、そこに政治的な意図があるにしてもないにしても、そういう政治的スタンスや芸術家の意思を超えて、「それが美的に優れて人々の感性に訴えるものかどうか」という見方であらゆる「美術、芸術」を鑑賞する立場なのです。

そういう目でそれら展覧会の陳列物を見るなら、私には全然「美しい」とも「芸術的である」とも思えないのです。

ですので、そういう作品が陳列されている展覧会にはおそらく行こうとはしないでしょう。

しかし、ピカソの『ゲルニカ』が反戦の意図が明瞭であったことは有名な話でありまして、芸術家と政治というものも、決して切り離して考えることはできないのでしょうから、ある程度そういう「背景」も含めて鑑賞する必要があるのでしょうか。

ただ、主催者が「展覧会を開催するに当たって、それら作品が公序良俗に反するものかどうか」という判断を迫られるなら、その判断は難しいものになるに違いないと思えるのです。

かつて昭和の中期だったでしょうか、今でいうポルノ映画に対して、「猥褻かどうか」という問題が大きな社会問題になったこともあるのでして、それが司法の場にまで持ち込まれたのです。

そういうこともありまして、ことが「主観的な部分に大きく依存するもの」については、それを客観的物差しにおいてその「正義、不正義」「理非」「正邪」、「正誤」を判断することが、そもそも無理筋な話のようにも思えるのです。

たとえば、ある料理を「美味しいと思う」かどうか、ある芸術作品を「好きになれるかどうか」というようなことにおいて、それらを「美味しいと判断するのが正しい」とか、「好きになるべき、感動するべき」などということ自体がナンセンスになるということなのです。

 

ただ、まぁ、為政者においてはそういうことを「ほったらかし」にすることはできないのですから、どうしても「好き嫌い」や「主観的な感性に属することがら」についても、「それは公序良俗に反する」とか「公共の福祉に反する」というような「理非」の観点において判断して行かなければならないのですから大変です。

いや、いずれにしても芸術を政治に利用しようという意図があるかないかは、それは仮にあるとしても仕方ないことだと思えるのです。

そしてその利用を好ましいと思わない人たちが、それを阻止しようとすることも仕方ないことだとも思うのです。

とりあえず私自身のスタンスは、ヒロ氏や長谷川氏に共感するスタンスではあるのです。

ご紹介まで。

 

11月9日(土)<その1>

久しぶりに“切り込み隊長”さんこと山本一郎氏のブログを読みに行ったのですが、日本の「現実政治」の内部的な動き(永田町と霞が関との連携)について、とても参考になる情報を提供してくれているのです。

それでご紹介したいと。

それを読みますと、「ほんまにこんなんでええんか…」、「深刻やな…」という感じで暗澹たる思いになるのです。

どうも、日本の「現実政治状況」はマズイ、と言うしかないように思えるのです。

どうしたらいいのでしょうか、この情けないていたらくは・・・。

◆やまもといちろうオフィシャルブログ◆
~政策論争と品格~
(2019/11/6)
https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/13239247.html
 先日、情報法制研究所の共同研究先でのシンポジウムや政策調整会議(らしきもの)があり、永田町をハシゴする機会がありました。

 話自体はまっとうな内容であり、先生がたも相応に真剣に取り組まれる中で「いますぐ法律にして政治家としての仕事をまっとうすること」と「そうは言っても、現実はすでに悪化しているのだから、目の前で起きている問題が直接解決できること」との相克を乗り越えなければ「法律ができて、その問題がきちんと解決する」という救済にはならないわけです。

 そうなると、現状維持でいいと考える人や、場合によっては利害関係において正反対の人たち両側からの議論を受けて審議することになるわけですけれども、例えばプロバイダ責任制限法があったとして、これの改正をするべきか、改正をするとしてどういう内容にするべきかという議論が出ます。もちろん、既存のプロバイダの人たちはこれ以上ネット上の変なことでいちいち法務対応することのないよう改正に後ろ向きな一方、このプロ責法ゆえにいろんな問題を解決できない人たちは早く改正しろよと働きかけるのです。

 さらに、関係する役所は多岐に渡り、そこに介在する政治家さんも複数出てきます。メルカリなどC2Cの件でも、金融庁、警察庁、消費者庁に総務省、経済産業省、場合によっては財務省と、いろんな役所がエアポケットに入るので何か一つ変更しようとすると大変なことになります。最近ではパブリックアフェアーズなどと言いますけれども、つまりはロビイング活動をしながら各役所に呼ばれたり政党に行ったり議員会館で議員さんにお願いしたりということで、面倒は多くなります。

 で、そういう話をしていると「先日、ここに誰それが来て、こんなことを言っていった」という話と共に、かなりの割合で欠席裁判が始まるのです。何それ怖い。自分のいないところで何を言われているのか分からんぞと思うわけですけれども、議論の道筋があって、政策論争があれば、誰それが何を言い、有識者として業界関係者は紅組、この大学教授は白組だということで、いわゆる「陣営」が決まってきます。これはもう、しょうがないことだと思うんですよね。

[…以下略…]

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こういう実態を知るたびに、ふつふつと危機感が湧き上がるのです・・・。

(なんとかしなければ・・・)と。

ご紹介まで。

 

11月8日(金)

おはようございます。

昨日の産経新聞に興味深い記事が載っていましたのでご紹介したいと。

中国籍で日本に帰化した石平氏のコラムでして、テーマが「中国流愛国心のジレンマ」という。

まずはさわりを以下に。

 

◆産経新聞◆
中国流「愛国心」のジレンマ
(石 平 2019.11.7)
 先月下旬、中国ボクシング界の王者・鄒市明選手の言動が国内のネット上で物議を醸した。発端は10月19日、彼が中国版ツイッターの「微博」で今の香港情勢に関連して、デモの鎮圧に当たっている香港警察への支持を表明すると同時に「私はわが祖国を愛している。一刻たりとも私とわが祖国を切り離すことはできない」と、自らの愛国心をアピールしたことである。

 しかし意外なことに、この発言は「愛国者」たちの集まるネット上で反発を食らうこととなった。その理由は、鄒さんの3人の息子が全員外国生まれで、1人は米国籍となっているからである。

 ネット上では「子どもを外国で産み、米国籍を取らせるような人間に“愛国”を語る資格があるのか」とのツッコミが殺到し、鄒さんの熱っぽい「愛国発言」は完全に裏目に出たわけである。

[…略…]

 中国の場合、芸能界・スポーツ界・財界・学術界を問わず、成功した有名人の多くは子どもをアメリカで産んだり、本人が外国籍に入ったりするケースが多い。ずっと前からそれが一種の風潮とさえなっている。その一方、彼ら中国の有名人たちは立場上、何かあるたび常に「愛国」を高らかに語らなければならない。

 彼らの語る「愛国」は本気なのか建て前なのかは別として、中国人エリートの多くは本心のどこかで、欧米や日本などの文明度の高い先進国に憧れている。そして自分たちの子どもの未来を、「わが愛すべき祖国」に託そうとは決してしない。欧米や日本などの外国に託したいと切説に願っているのである。

 「愛国」を盛んに語りながら自分たちの国の未来に希望と自信をもたない。自分は「愛国」しているつもりだが、子どもに「愛国」させようとはしない。それはすなわち中国流の「愛国心」の大いなるジレンマである。「愛国者」でさえ子どもの未来を託したくないこの国に、「未来」があるとはとても思えない。<了>

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いやいやいや、鋭いご指摘です。

中国人の多くが公的な場では「愛国」を語るが、それは実は建て前であり本音では「祖国を信じてもいないし愛そうともしていない」のでないかということのようです。

いや、言われてみれば確かにそうなんだろうなと思われるのです。

もちろん、日本人だって本音と建て前はずいぶん使い分けている訳でして、そして本音では日本人だってそんなにみんな利他的でいい人ばかりでないことは当然なのですが、しかし、それにしても日本は中国に比べて、本音で日本を愛し日本のために自己犠牲を払おうとしている人の割合が、はるかに多いだろうと推測されるのです。

そういう話に関連して次のような話も周知されているのです。

それは、共産党幹部の中には、その利権を利用して凄い勢いで私腹を肥やす者が多く、しかもその資産をみんな外国に移して保全しようとする者も多いということなのです。

あの温家宝元首相ですら、親族の財産を含めれば途方もないといえるほどの巨額の私財を貯め込んでいたと言われているのです。

そういう風潮はおそらく戦後の共産党政権になってから始まった、ということでなく実は昔からそういう傾向があったのでないかと思われるのです。

どうも中国や韓国などでは、一族の者が立身出世すると、その者に連なる一族一党には出来る限りの利益をもたらすことが、むしろ使命のようにして要求されるということのようです。

日本では「恥」と感じられるような振る舞いが、中国や韓国では全然そういう受け止めがなされない、というようなことなのでしょうか。

いや、これはあくまでも推測の話ですので誤った認識かもしれないのですがどうもそのように感じられるのです。

どうも両国は、日本とはずいぶん異なったメンタリティーなり文化なりのお国のように感じられるのです。

そういう国民性や文化は、私にとっては残念なものに感じられるのでありますが、当の中国や韓国の人たちにはそうでもなく、それが当然のように受け止められているのでしょうか、もしそうならそれは少々悲しいことであるなと・・・。

石平氏も、さぞや複雑な心中でしょう。

いや、考えさせらる記事だったのです。

ご紹介まで。

ではでは。

 

11月7日(木)

ドイツ在住の女性ジャーナリスト、川口マーン惠美が現代ビジネスに欧州のエネルギー政策事情について興味深いレポートを寄稿しているのです。

フランスは世界でも珍しい原発大国です。
そしてお隣のドイツは断然原発大反対の国です。
この2ヶ国の対照的っぷりは面白いのです。

で、フランスはマクロン大統領が今後原発をさらに推進しようとしているとか。逆にドイツはさらなる脱原発を進める方針だとか。

原発推進国はフランスだけでなく、あの中国が凄い勢いで国中に原発を作り続けているのです。

果たして、ドイツ的方向性が正解なのか、それともフランス、中国、フィンランドなどが正解なのでしょうか。

日本でも原発を巡っては国論が大きく2分しているのです。

そして確かに困難な問題です。

 

◆現代ビジネス◆
~マクロン仏大統領の「原発新設計画」にドイツが反対する不思議~
by川口マーン惠美(ジャーナリスト、作家)2019.10.25
■15年をめどに計6基を建設
EDFは世界で2番目に大きいフランスの電力会社だ。2004年から民営化されているが、今でも国が株の8割以上を所有しているから、ほぼ国営といって良いだろう。世界各地で発電事業に関わり、15.8万人の従業員を抱えている。

そのEDFに対してマクロン仏大統領が、新たなEPR原発の建設計画を策定するよう求めているということを、いくつかのメディアが報じている。具体的には、これから15年をめどに、2基ずつ3ヵ所、計6基のEPRを建設するということらしい。

EPR(European Pressure Reactor)というのは加圧水型原子炉のことで、世界でもっとも進歩的といわれる。かつてフランスのフラマトム社とドイツのシーメンス社がアレヴァという会社を作り、共同で開発した。その後、シーメンス社はこのプロジェクトから降りてしまい、フランスのオラノ社(旧アレヴァ)が事業を引き継いでいる。
 ちなみに、フランスの原子力事業の雄であるオラノ社には、フランス政府のほか、三菱重工や日本原燃なども出資しているから、同社のプロジェクトの動向は、日本人にとっても他人事ではない。

[…略…]

■日本のエネルギーは大丈夫か
EUはパリ協定で、2030年までに90年比で温室効果ガスの排出を40%削減するという目標を掲げている。そこで、EUではその達成のため「Horizon Europe」というプロジェクトを立ち上げ、温暖化防止に役立つ研究やプロジェクトに莫大な助成金をつけることを決めた。2021年から27年までのEUの助成金予算1000億ユーロのうちの4分の1が、これに充てられるそうだ。

CO2削減には、当然、原子力の役割も重要となり、EUのエネルギー担当局の局長マッシモ・ガリーバ氏は、「欧州委員会は原子力エネルギーの潜在的可能性を認識している」と述べている。

現在EUでは、14ヵ国で126基の原子炉が稼働しているし、東欧でも、原発の建設がおもに中国の投資で進んでいる。フランスの新原発計画も、今ならEUの助成金の恩恵に与れるかもしれない。

翻って日本。中東情勢がここまで切迫しているのだから、石油やガスが滞った時の心配をもっとするべきではないか。石油の備蓄は半年。天然ガスは備蓄できないので、中間流通段階でせいぜい2週間のストックがあるに過ぎない。

エネルギーが切れれば、停電になる。停電になったら、日本という国はあっけなく崩壊するだろう。日本にはエネルギーがないのだ。国家の崩壊を防ぐためには、少しでも原子力を強化するべきだということは、中学生でもわかりそうなものなのに。

このままでは、いよいよ目が覚めたときには、すでに原発建設のノウハウも失われてしまっていて、原発大国の中国の力を借りて、必死で国の復興を目指すということになりかねない。

本来なら、現在、化石燃料の購入に掛かっている膨大な経費を少しでも減らし、その分を、これからますます増えそうな災害に備えるための国土強靭化に回すべきではないか。<了>

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川口女史は「原発推進」のお立場のようですが、それはそれで当然、もっともな部分があるのです。

一方、国内的には小泉元首相のように「断固反対!」のお立場の方もいますし、世論もどちらかというなら反対が趨勢なのでしょうか。

国家ビジョン研究会のスタンスは、前代表の中西真彦が「中長期では脱原発、短期(10~20年)では稼働維持」という方向性だったのですが、現状、国家ビジョン研究会としましては「溶融塩路分科会」という専門分科会を設けていますように、従来型の「軽水炉型」でなく「溶融塩路型」というニュータイプの原子炉を大いに推進しようとしている訳でありまして、そういう意味では短期でも従来型の原発については縮小撤廃の方向に舵を切っているともいえるでしょうか。(ただ、それでも一気に全てを止めてしまっていいかについては議論が分かれるところでしょうが)

いずれにしても「技術」の観点からは今後も多いに、全力を挙げて放射能の危険の少ない新型原子力の開発に向けて注力していく必要があると思われます。

ご紹介まで。

 

11月5日(火)

アメリカ政府(トランプ政権)の国際外交政策がどのように構築されているのかについて、その内幕(トランプ氏の本音)を暴露してくれている貴重な情報がありましたのでご紹介です。

◆MSNニュース◆
トランプ大統領が韓国を大嫌いな理由
マティス国防長官のスピーチライター衝撃の暴露本
(2019.11.5(火)高濱 賛 JBpress)
■金正恩は好き、文在寅は嫌い
 ドナルド・トランプ米大統領はことあるごとに「金正恩(朝鮮労働党委員長)が好きだ」とツィートしてきた。それに反して金委員長との間を取り持ってくれた「文在寅大統領の韓国」については好きだとも嫌いだとも言ったことがない。なぜか。
 文在寅氏が北朝鮮の非核化よりも南北朝鮮統一を視野に入れた民族の融和を優先しようとする「コリア第一主義」に対する苛立ちからくるのか。あるいは文在寅政権を含む歴代韓国政府がどうも面従腹背的な対米姿勢をとってきたことへの抜き差し難い不信感があるのか。
 朝鮮戦争以降、韓国を共産主義の侵略から守るという名目で米国が兵力とカネをつぎ込んできた米韓軍事同盟の「片務性」に対する不満からくるのか。これまで日米韓の外交専門家たちは、その要因を突き止めようとしてきた。しかし、理由はこれだ、という確固たる証拠は出ていない。
 前述の3つすべてからトランプ大統領は韓国が嫌いなのだ、といった漠然とした見方しかなかった。大統領の「生の声」がなかったからだ。

[…以下略…]

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果たして安倍首相に対してトランプ氏はどういう本音を隠し持っているのでしょうか。

それはそれとしまして、トランプ氏という人がどういう人であるのかを熟知した上で、日本も国際外交政策を構想しないといけないことは論を俟たないのです。

とりあえず「対中戦争継続」というスタンスは、トランプ氏1人の決意でなく、アメリカ議会をも巻き込んだ「オールアメリカ」の根本的政策なのでしょうから当分その方向性は変わらないのでしょう。

日本はそれを踏まえて上で国策を展望しなければならないのですが、安倍政権はどうも・・・。

さて来年、トランプ氏は再選されるのでしょうか・・・。

それもまた不透明な話・・・。

いずれにしても日本が真に独立を果たすことこそ肝要なことでしょう。

ご紹介まで。

 

11月4日(月)

すでに来春、習近平氏を国賓として日本に招くことは決まっているのです。
そして安倍首相は「日本と中国の関係は最高に良くなっている」と発言したりしているのです。

そういう日本政府の対中スタンスは、同盟国アメリカの神経を逆なでしているといっても言い過ぎではないかもしれないのです。

確かに、どなたかが仰っているように、トランプ大統領がそれにつむじを曲げて、「もうアベは友達じゃない!」などと言い出したらどうするのだ?という疑念も生じざるをえないのです。

こういう日本側の親中スタンスについて大きく警鐘を鳴らしている動画を見かけましてご紹介したいと。

◆奥山真司の地政学「アメリカ通信」◆

~アメリカ、中国に近づく安倍政権への警戒をはじめた…日本は「米中20年戦争」を認識せよ!~

(2019/10/31配信、10分)

 

日本は対中国においてどのようなスタンスで臨むことが戦略的に正解となるのか、識者においてもみな異なった見解を有しているのですから、一概にああだこうだ言えないのですが果たしてどうなんでしょうか。

いずれにしても難しい問題であるに違いはないのです。

ご紹介まで。

 

11月2日(土)

先日の台風被害で、川の氾濫により大きな被害が出たのですが、私は東京の地下鉄はどうなんだろうかと、少々心配していたのです。

というのも、もし路面に水が溢れたら地下鉄の入り口からどんどん水が流入していっぺんにやられてしまうのでないかと。

しかし、最近の地下鉄入り口には以下のような対策が講じられていることを知り、なるほどと思ったことがありまして、ご紹介したいと。

 

◆パンドラの憂鬱◆
~海外「世界よ、これが日本だ!」 日本の災害対策は次元が違うと海外ネットで話題に~
 今回は、「日本が本当に未来に到達しているという証明がこちら」
と題された投稿からで、日本の地下鉄の駅や商業施設に設置された、
起伏式防水板が稼働している様子を収めた写真が複数枚取り上げられています。
 防水板はほぼ全ての地下鉄の駅の出入り口に設置されており、
近年は、住宅や店舗や事務所などに設置する場合には、
多くの自治体が設置工事費の助成を行なっています。
 日本では徹底した災害対策が行われているという点に加え、
単純に見た目がカッコいいという事で、海外で大きな話題になっています。
[…以下略…]

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それから都心のオフィス街での洪水対策での設備が凄いのにも驚いた次第です。

いや、最新技術は凄いです。

ご紹介まで。

 

10月30日(水)

テレビなどのメディアではあまり報道されていないようですが、ネット界隈では「森山ゆうこ議員問題」がけっこう盛り上がっているようです。

この件では池田信夫氏が真面目な議論をされておりまして、大変有意義で参考になる一文がアゴラに載っておりましたのでご紹介したいと。

◆アゴラ◆
与野党の談合する「国対政治」が官僚を疲弊させる
(池田信夫 2019.10.28)
国会の騒ぎは、野党のいう「情報漏洩」の根拠がツイッターの日付の誤認だとわかって、急に静かになった。野党が国会で政策論争をしないでスキャンダルたたきに熱中するのは今に始まったことではないが、その起源は意外に古い。

明治憲法では、帝国議会にほとんど権限がなかった。大正デモクラシーで政友会と民政党の二大政党が交代する慣行ができたが、法案も予算も内閣がつくり、議会はそれに「協賛」するだけで修正できなかったため、注目を集める予算審議がスキャンダル暴露の場になった。

こういう傾向は、1928年の普通選挙で悪化した。巨額の選挙資金が必要になったため、政治腐敗が拡大した。官僚も政治任用で主要ポストは政権党が決めるようになり、各官庁や全国の地方官庁が政党に系列化された。

一般の有権者は政策なんか知らないので、誰でもわかる金銭スキャンダルが投票に大きな影響を及ぼし、議会は劇場型政治になった。腐敗して何も決められない二大政党に代わって「第三極」による「維新」運動が盛り上がり、その結果が青年将校のクーデタや大政翼賛会による「近衛新体制」だった。

この反省で新憲法では国会の権限が強化され、官僚人事の自律性が強まったが、野党に予算を修正する権限も能力もないのは戦後も同じだ。法案も予算案も閣議決定で完成しているので、与党はその利益を地元に分配するだけのロビイストであり、野党は国会で騒ぎを起こしてその分け前にあずかる総会屋のようなものだ。

それでも憲法では、国会は主権者たる国民を代表する「国権の最高機関」ということになっているので、野党はヒアリングと称して官僚を呼びつけていばり散らし、与党は答弁作成で官僚を酷使する。篠田英朗氏も指摘するように、これはデモクラシーの限界ともいえる。

形式的な権威をもつ国会と実質的な権力をもつ官僚の関係がねじれているので、与野党は対立しているようにみえるが、国会の官僚機構に対する優位を誇示するという点では利害を共有している。自民党の森山国対委員長が野党に妥協するのも、野党を「おさえる」能力を示して、与党の役所に対する政治的優位を示すためだ。

その原因が、国会運営を国対委員長会談の談合で決める国対政治である。野党が暴れて審議を止め、それを防ぐために自民党が細かい所まで詰めた答弁を求める。その辻褄を合わせるために官僚が毎日残業し、徹夜で答弁を書く。その原因には役所の完璧主義という悪弊もある。

[…以下略…]

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日本の情けない国会の体たらくを、なんとかしないといけないと多くの国民が考えているだろうと思われるのですが、どこからどう変えて行けばいいのかということになりますと、実際なかなか難しい案件ではあるのです。

いずれにしても、これを大真面目に議論しなければいけないと思われるのですが、日本の大手マスコミはこの件についてはおよそ「無視」を決め込んでいるように見えるのは、どういうことなのでしょうか。

困ったものであると…。

 

10月29日(火)

アメリカのトランプ政権がISISの指導者バグダディ氏を特殊部隊による急襲で殺害したことが世界に発信されたのですが、アメリカはシリアからの撤退という大きな政策転換も行っているのです。

いずれにしてもアメリカが次期大統領に誰を選ぶかが、世界にとっても実に重大な問題になっていると言えるでしょう。

そして中国中南海の要人たちは、それ以上に深刻にこの問題を注視しているようです。

以下、現代ビジネスに寄稿された中国通の評論家、近藤大介氏の現状分析をご紹介したいと。

◆現代ビジネス◆
~米副大統領の「中国共産党激烈批判」に、習近平政権はどう反論したか~
中国も恐れる「超強硬派」が再び吠えた
(近藤大介 2019.10.29)
■ペンス副大統領が再び吠えた
 アメリカ東部時間の10月27日午前9時(日本時間同日午後10時)、ドナルド・トランプ大統領が、緊急会見を開き、ISの最高指導者バグダディ氏の殺害に成功したと発表した。
 その模様を、インターネットTVで生放送で見たが、特に長い記者との問答で、トランプ大統領の「焦り」を感じた。これまで好き勝手にやってきたツケが出て、連邦議会による弾劾手続きが進んでいることに対する焦りである。
 しばらく前まで、来秋の大統領選ではトランプ再選が当然のような雰囲気があったが、いまやかなりぐらついてきた。
 もしもトランプ再選がないとしたら、次期大統領の最有力候補に浮上するのが、マイク・ペンス副大統領である。そのペンス副大統領の中国に関する演説が、アメリカ東部時間の10月24日昼(11時51分~12時28分)、ワシントンDCのコンラッドホテルで行われた。著名シンクタンクのウッドロー・ウイルソンセンターが主催したものである。
 ペンス副大統領の名を一躍有名にしたのが、昨年10月4日に、やはりワシントンの著名シンクタンクであるハドソン研究所の主催で、41分にわたって中国批判の演説をぶったことだった。

[…略…]

 中国がいま、米中対立に関して何より懸念しているのは、重ねて言うがペンス大統領の誕生である。
 中国は、トランプ大統領を「通商強硬派」、ペンス副大統領を「軍事強硬派」、そして民主党で台頭しているエリザベス・ウォーレン上院議員を「人権強硬派」と見なしている。
 中国から見て、恐い順に並べたら、ペンス、ウォーレン、トランプの順なのである。これだけアメリカと対立していても、消去法によって、来秋のアメリカ大統領選では、トランプ大統領に再選してほしいのだ。
 日本時間の10月27日夜、トランプ大統領が「バグダディ容疑者を殺害した」と緊急会見開き、久々に雄姿を見せつけたことに、中国は安堵したかもしれない。ISの最高指導者が始末されたというより、トランプ大統領が久々の勇姿を見せたことに対してだ。
 そのトランプ大統領と習近平主席は、チリAPEC(11月16日、17日)で会談する予定だ。6月の大阪G20での米中首脳会談に続いて、再び世界が注視するものになりそうだ。<了>

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この、中国がアメリカ次期大統領になって欲しくない順を挙げれば、それは「1位ペンス氏、2位ウォーレン女史、3位トランプ氏」という話は興味深いのです。

なるほど、と。

いや、チリAPECでの会談会談が注目されるのです。

ご紹介まで。

 

10月28日(月)

前回、伊藤貫氏の話をご紹介したのですが、その中でオバマ前大統領が暗殺指令をバンバン出していたということがあったのです。その一つにあの有名な「ビンラディン暗殺計画」があったのです。

そして先日、アメリカ大統領の許可の下、ある要人の暗殺計画が実行されたのです。
それが特殊部隊によるバグダディ殺害計画の実行です。

 

◆AFP◆
IS最高指導者・最期の作戦「まるで映画」 トランプ氏が詳細明かす
(2019年10月28日 12:09 発信地:ワシントンD.C.)
【10月28日 AFP】暗闇の中、敵地を低空飛行する8機のヘリコプターから始まった作戦は、2時間後に世界の最重要指名手配犯の一人が米兵たちに追い込まれ、自爆したことで終結を迎えた。
 数千マイル離れた米国では、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領がホワイトハウス(White House)のシチュエーションルーム(緊急対応室、Situation Room)で、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の最高指導者アブバクル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)容疑者の驚愕の最期を映像で見届けたと発表した。

「まるで映画を見ているかのようだった」──トランプ氏は、そう語った。映像はマイク・ペンス(Mike Pence)米副大統領や軍高官らとともに見たという。
 27日の会見後の質疑応答でトランプ氏は、バグダディ容疑者が「数週間にわたって監視下にあった」と明かした。
 同容疑者の位置情報が確認されると、特殊部隊による急襲作戦が26日に開始された。トランプ氏によると、「大規模」な部隊が任務に就いた。「ヘリコプター8機に加え、多くの艦艇や戦闘機も出動した」という。

[…以下略…]

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かつてオバマ大統領がビンラーディンを殺害した時と似たようなシチュエーションで、トランプ氏は映像を眺めていたようです。

それは許される作戦であるのかもしれないのですが、しかし、クルド人を見放して、クルド人を裏切ってクルド地域から撤退することは、許されないことでないのかと思われるのです。

パックンがこれについて嘆きの一文を寄せているのですが、分かるのです。

裏切られ続けるクルド人の苦境に思うこと(byパトリック・ハーラン)(2019年10月24日)

アメリカが世界の警察官であることを放棄することまでは許せるにしても、相手を裏切ることは良くないのです。

エルドアンもエルドアン、トランプもトランプ、そして習近平も習近平・・・。

世界のレベルが低すぎるのでないのかと・・・。

もはや世界にはまともなでしっかりした、立派な政治家など一人もいないかのように見えるのです・・・。

困ったことであると・・・。

 

10月27日(

おはようございます。

昨夜、ある動画を視聴したのですが、これがなかなか刺激的な中身でありまして、是非皆さまにもご視聴頂きたいと思いまして。

チャンネル桜が配信しております動画でして、「伊藤貫」氏(国際政治アナリスト)のアメリカ外交政策の深層解説です。

伊藤氏のスタンスは西部氏のそれと同じ「反米保守」というものです。自民党のこれまでの本流が「親米保守」であったことを思いますと、反主流派の立ち位置にいたと言えるでしょうか。

私はこれまで、田久保忠衛氏や岡崎忠彦氏などをリスペクトしていたのですが、どうも伊藤氏はそれらの人達を一刀両断しているのです。

それはそうとしまして今回、伊藤氏のアメリカとアメリカ大統領の「裏話」を聞きまして、さすがに少々衝撃を受けたのです。

アメリカ合衆国という国家が、いかに偽善的国家であるのか、オバマ大統領がどれほどヒドイ大統領であったのか、どれだけの日本人がそれを知っているのだろうかと。

もちろん、伊藤氏の話が「100%正しい」という前提で聞いてはいけないのでしょうが、しかし、八割方は真実であろうと思われるのです。

人には、「表」と「裏」がありまして、建て前で言っていることと、本音で思っていることの乖離は誰にでもある不可避のことなのですが、そして政治家ならなおのことその傾向は強くならざるを得ないことは承知しているのですが、それにしてもオバマ氏のそれとアメリカという国家のそれは「とてつもない」と断じざるを得ないのです。

 

◆チャンネル桜◆
【令和元年秋 特別対談】
~伊藤貫氏の警告、パックス・アメリカーナと中華思想の間で摩滅する「商人国家日本」~
[桜R1/10/26]

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太平洋戦争当時、アメリカが日本降伏後の対日政策をすでに戦争中頃から構想し始めていたという事実を知り驚いたことがあったのですが、実は今も日本にはそういう「中長期戦略」というものが全然無いということに、今さらながら驚くのです。

本当に日本は、伊藤氏が嘆くように「子どもじみた目先の損得だけでウロウロしているバカな政治家(自民党含め)に振り回されている」かのように見えるのです。

それとも、政権中枢には「言えないこともある・・・。大丈夫だ、我々は全てを知ってやっているのだ」と言えるような確固とした「戦略」があるのでしょうか。とてもそうとは思えないのです。

 

今こそ、「中長期戦略」を構想するべき時に来ているのでないかと。

それを単に政府政権にだけ任せていてよいはずがないと。

もちろん、ノー天気な国会議員諸氏にも任せられないと。

国家ビジョン研究会の出番であると。

 

10月26日(土)

この度の大雨によりまして、千葉、福島など関東・東北地方に再び大きな被害が出ていることにつきまして、被災地の方々には心よりお見舞い申し上げます。

本当に弱り目に祟り目のようなことになっている訳でありまして、大自然を恨んでも仕方ないことなのですが、「恨たくもなる…」ような心情もよく分かるのです。

さて、先日24日の月例研究会では、西岡力氏に「今の韓国情勢」について詳しいお話をお伺いして大変勉強になったのですが、今日になりまして八幡和郎氏がユーチューブ動画で「戦後の日韓関係」ということで大変興味深いお話をされているのを視聴しまして、ご紹介させて頂きたいと。

 

◆松田政策研究所チャンネル◆
特番『様々な誤解を解く!戦後日韓関係の本当の歴史とは?』
ゲスト:歴史家・評論家 八幡和郎氏
(2019/10/24 配信、約36分)

 

八幡和郎氏には12月の月例研究会にお出で頂く予定になっているのですが、多くの分野で大変優れた見識をおもちで有りまして、この動画での韓国問題についての知見も大変価値あるものに思われます。

ご参考まで。

 

10月25日(金)

昨日は西岡力先生をお招きしての「朝鮮半島問題」についての研究会だったのです。

西岡先生の最近情勢についての情報量の多さとその分析には驚いたのです。また出席した方々も大きく頷いて聴き入っていたのです。

韓国のムン大統領が極端な左寄り政策を採っている限りは、どうにも事態の好転は望めないのですが、韓国内での保守勢力もさすがに黙っていられないようで、ローソクデモ以上の大規模な反ムン政権のデモを行っているようでありましてお先真っ暗でもないようなことだったのです。

そして「アンチ反日」の動きも出ているようでして、高校生も反日教育をしてくる教師陣に対して反発の動きを見せ始めているとか。そしてユーチューブ動画が大きな影響力をもち始めているとかで、保守系の人々がどんどん独自の情報発信をしているようですが、その点は日本でも全く同じような状況になっていると思えまして、なるほどと納得だったのです。

わが国家ビジョン研究会も、動画配信の構想はあるのですが、なかなか手が付かない状況です。現在、事務局としては鋭意その方向に努力しておりますので、年内中には第1回配信をできるのではないかと。

 

来月は田村秀男委員にお出で頂く予定になっています。

11月26日(火曜日)の予定になっていますが、どうぞご期待下さい。

 

10月22日(火)

<神戸の教師イジメ問題について>

しばらく前より、神戸での教師によるイジメ問題が世間を騒がせているのです。

難しい問題です。

この問題は単なるイジメ問題ということでなく、「小中学校の先生(教師)をどのように選抜したら良いのか」という、より根本的より重大な問題を示唆するものであろうと思われます。

端的に言うなら、この問題の原因はイジメた側の教師の資質の問題に帰着すると思われるのです。

要するに、そんなことを仕出かすようなレベルの人間を教師として採用してしまった、ということになると。(こういう言い方は少々問題なのでしょうが、あえて)

私がまだ若い頃には、「でもしか教師(先生)」という言葉があったものなのです。

「教師にでもなろうか」、「教師にしかなれない」という意味で、本来なら尊敬されるべき立派な人物が先生になるべきなのですが、そうではなく、「一流企業に入れないから仕方なく教師を選んだ」、というような元々志の低い教師の一群が居た、ということなのです。

本当なら、教師、先生というのは誰からも納得してもらえるような「人間として立派な人」がなるべき職業であると思うのです。

それは例えば医者がそうであるべきように。

しかし、現実はどうもそうはなっていないのです。

そうなっている一つの大きな理由として、教師の待遇が「それほど良くない」、報酬が「それほど高くない」ということが挙げられるでしょう。

もし仮に、教師の給料が他の公務員より3倍増しで多ければ、もうそれだけで優秀な人材が集まることは火を見るより明らかなのです。

しかし、現実はそうではないのです。

教師への待遇・報酬が、他の普通の市役所の職員と同じレベルであるなどということは、私にとってはありえないバカげた話なのですが、戦後日本ではそれが受け入れられていたのです。

「教師は聖職なんかではない」と言われていたのです。

要は、日本全体が「でもしか先生でもいいじゃん!」と受け止めていた、ということなのです。

そういう流れできていますので、優秀有能で、立派な人物が教職界に行かなかったのは、もう当然過ぎるほど当然なことなのです。

一流、優秀、有能、立派な人材は、それ相応の見返りのある職業をこそ選択するのです。

それが合理的な選択なのです。

そういうことで、問題の本質は「教師、先生へのリスペクトがなさ過ぎる風潮にある」と言えるのでないでしょうか。

世に、「教育こそ国家百年の大計」などと言われるのですが、ならば教育にこそしっかり予算を付けるべきでしょう。

そしてそれは施設設備や環境を整える以上に、教師・先生の質をこそ最優先で考えるべきであるということなのです。

もし今、「先生の給料を3倍増しにする」とするなら、それだけでもういやでも優秀な人材が集まるのです。

「でもしか教師」などというふざけた言葉が存在すること自体が不名誉なことなのです。

そういうことで、教育改革というなら、そこにも大きな改革のメスを入れるべきであろうと思われるのです。

 

それにしても教師が教師をイジメるなどと、考えられない事態が生じたものです。

世の中の変化が急であることの一つの表れでもあるのでしょう。

改革が急がれるのです。

国家ビジョン研究会に課せられた使命も重いのです。

 

10月21日(月)

<ラグビーワールドカップのこと>

美しいということは、凄いことだと思うのです。

「美しさ」、というと、普通は「芸術」的な「美」をイメージするのですが、最近、私はそういう芸術的な美とは異なる種類の美に惹かれているのです。

どういうことかということですが、それは「日本は美しい」といことなんです。

それは、日本の自然が美しいとか、日本の文化や芸術が美しいということでなく、「日本人が美しい」ということなんです。(それは日本人が身体的に美しいということでなく)

今、日本でラグビーのワールドカップが行われているのですが、そんな中、次のネット上の記事を見かけまして、私はその本質が「日本人の美しさ」にあると思い至ったのです。

◆パンドラの憂鬱◆

海外「これこそ本物の愛国心だ!」 国歌斉唱で感涙する日本のラグビーファンに世界が感動

■ 素晴らしい!
  これこそ魂であり、誇りであり、情熱なんだ。
  日本はなんて美しい国なんだろうか。 +6 イングランド

■ 涙を流していた男性に神のご加護がありますように🥰
  日本人である事に誇りを感じるのは当然だよ🇯🇵 +1 イングランド

■ 私たちもみんな、もらい泣きしております。 +2 オランダ

■ 日本代表には、ラグビーに興味がない人さえも、
  ラグビーの大ファンにしてしまう魅力がある。
  あと、日本人の情熱と全ての参加国に対するサポートは、
  今後のW杯運営の模範になるんじゃないかしら。
  日本には本当に脱帽です🇯🇵❤️ +24 ニュージーランド

■ 人が情熱を滾らせる姿は何度見ても素晴らしい。 UAE

■ 日本人には本当に感銘を受けました。
  スコットランド戦での選手たちの戦いぶりは、
  まさに日本人の国民性を象徴していた。 +77 イングランド

■ こういった光景は本当に美しいと思う……!!! +3 アルゼンチン

■ 正直言うと俺はラグビーは全く好きじゃない。
  だけどこのシーンには心打たれるものがあった。 イングランド

■ まだ試合が始まる前なのに凄いね。
  試合に勝った後の彼のリアクションも見たかったよ👏 アイルランド

■ 国を心から愛する男の誇りが見て取れる。 +4 イタリア

■ 国歌に感動して涙を流してる人を見ると、
  いつもこっちまでジーンとなってしまう。 +8 フランス

■ こんな国歌があるんだ。
  そりゃあ日本にハカは必要ないよな。 +99 国籍不明

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世界が日本に感動するのは、それは日本人が美しいからなんだと。

そして日本人が美しいということ、それは日本人の「心」が美しいということなんだと。

そしてその美しさが、世界の人々に日本が「素晴らしい国」なんだと気づかせてくれるのだと。

日本人は、世界のどこの国の人より、「隣人に良くしてあげたい」と思っている人々なんだと。

そしてそれこそが「心の美しさ」の本質なんだと。

それが人々を魅了するのだと。

そして「美の本質」は、それは「助ける心」であると。

心の美しさ、その本質は「優しさ」であり「思いやり」であり、何より「良くしてあげたい」というサービスの心、おもてなしの心であると。

そしてそれを一言で言うなら、すなわち「愛」であると・・・。

日本チームは残念ながらベスト4には進めなかったのですが、それでも十分過ぎる結果を出してくれたのではないでしょうか。

本当にナイスファイトでした。

サンクス!日本代表です。

10月19日(土)

10月も中旬になり、ようやく秋も本格化してきた感じで、ここ数日はだいぶ気温も下がっているのです。

それはそうと、今現在の日本経済の現状はどうなっているのか気になりまして、「1人当たりGDP」を調べてみたのです。
ネットは有り難いもので、それが一目瞭然で分る便利なサイトがあり、しばらく眺めていたのですが色々と感ずるところがありましてご紹介したいと思ったのです。

◆グローバルノート◆
世界の1人当たり名目GDP 国別ランキング・推移(IMF
(データ更新日2019年10月17日)

1 ルクセンブルク  115,536
2 スイス       83,162
3 マカオ       81,728
4 ノルウェー     81,550
5 アイルランド    78,335
6 アイスランド    74,515
7 カタール      70,379
8 シンガポール    64,579
9 アメリカ合衆国  62,869
10 デンマーク    60,897
(以下略)

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本当に、色々考えさせられるデータなんです。
10位のデンマークまでが6万ドル以上という。

日本がなかなか出て来ないので私は少々訝しんだのですが、ようやく26位に顔を出したのです。
3万9000ドルという。

イギリス、ドイツ、フランスなど主要先進国がみな4万ドルを超えている中、1人日本だけが3万ドル台です。

いつの間にか追い抜かれていたのです。

さらに私が驚いたのが、なんと、韓国が28位で3万3000ドルということだったのです。

いやいやいや、韓国経済が急伸してきたのと、日本経済が停滞しっぱなしであったことの証明でしょうか。

それにしても、先進諸国の中で日本だけが1人3万ドル台という事実が重いのです。

これは政治の責任であると言われても仕方ないことなのでしょう…。
そういう意味では安倍政権はあまり芳しい結果を出せていないということなのでしょう。

アベノミクスと言っても、第3の矢が全然飛んでいないのですから、しょうがないのです。

いや、もちろん安倍政権だけの責任というのは言い過ぎなのでしょうが、それにしても(何でだ・・・)と。

さて、これからの日本、どうして行けばいいのでしょうか。

それから、アフリカ諸国は未だに「3けた」の数字しかない国がいっぱいあるのです。(1000ドル未満ということ)

世界といっても、経済格差はひどいのです。

先進国と途上国の格差は、絶望的と言ってよいほどにひどいのです。

私はここにも深いため息をつかざるを得ないのです。

いや、世界は遅れているのです・・・。

ご紹介まで。

10月18日(金)

今日も涼しい陽気で、ようやく秋の気配が感じられるこの頃です。

海外ニュースのご紹介ですが、どうもエアカナダでは機内放送で「レディース&ジェントルマン」の呼びかけを廃止するとか。

CNN
エア・カナダ、「レイディース&ジェントルメン」の呼びかけ中止 性別問わない用語に
CNN) カナダの航空会社エア・カナダは、これまで機内放送で乗客への呼びかけに使っていた「レイディース&ジェントルメン」という用語の使用をやめ、性別に対して中立的な「エブリバディ(皆さん)」の用語に切り替える方針を決めた。CNNと提携するCTVが伝えた。

エア・カナダの広報はCTVに対し、「機内放送の現代化を図り、性別を特定した言い方を排除する」と説明。「全従業員にエア・カナダの貴重な一員であると感じてもらい、我々を選んだお客様には快適なおもてなしを保証することに努める」としている。

性別を巡っては、身分証明書や出生証明書で性別の選択肢を増やす国や州が増えている。
[以下略]

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世の中は「LGBT」という言葉が生じましたように、ずいぶん変わってきておりますが、世界の方が日本よりずっとこの趨勢が強いのだろうと思われます。

古い伝統や価値観と、新しいライフスタイルや考え方と、よりよく調和させて行くことが肝要なのでしょうが、難しいことも多く出てくるでしょう。

その軋轢を乗り越える知恵こそが、今求められている最重要なことがらなのでしょう。

日本に、期待したいものです。

10月16日(木)

この度の台風19号では大きな被害が出たのですが、被災した皆さまには心よりお見舞い申し上げます。また、被災された皆様が、一日も早く平常の生活に戻ることができますようお祈り申し上げます。

それにしても大きな被害が出たことに驚いているのです。死者の数も想像以上に多く、水害の怖さを思い知らされたのです。

さて、昨日になって「東京オリンピックでのマラソンと競歩を札幌でやってはどうか?」というような話がIOCから出されたとのことで、日本では大騒ぎになっているのです。

いや、関係者にしてみれば「今さら何を言うか、やってられん!」としてお怒りになられるのは分かるのです。ですが反面、どこかの局でやっていたマラソン選手の話として、「アスリートにリスペクトがない人たちが酷暑の地での開催を決定している・・・」という形で、ドーハでの開催を批判しているのを聞けば、できれば涼しいところで開催した方がいいのではないかと思う気持ちも分かる訳でして、難しい判断になりそうです。

私個人としては、アスリートの健康を第一義に考えて、今からでも札幌でできることならそちらで開催することにしたらいいのでないかと思っているのですが、関係者にするなら「そんな無責任は発言は止めてくれ!」となるのかもしれないのです。

それにしても、諸悪の根源はオリンピックがアメリカの巨額マネーに翻弄されているという構図にあるのでありまして、そこから改革しないことにはどうしようもないと考えられるのです。

オリンピックが、「選手優先」よりも「ビジネス優先」で行われるようになって久しいのですが、それこそがオリンピックをダメにしている根本理由なのでないかと思うのです。

IOCを超える権力を有する組織が現れて、アメリカマネーの独善的振る舞いを許さないシステムに作り替えることができないものかと、真面目に思案するのですが、当面はどうすることもできないのでしょう。

結局スポーツであるオリンピックも政治に翻弄されるしかないのだと、少々憂鬱な感慨をもたざるをえないのです。

世界は本当に遅れているのです。

政治よ急げ、日本よ頑張れと!

ではでは。

10月12日(日)

昨日は台風19号が上陸して大変なことだったのです。

私も自分のブログに少しプライベートなことを書いたのですが、いやはや、多摩川の増水騒ぎでテンヤワンヤだったのです。

しかし、今後も地球温暖化の影響でしょうか、これまでになく異常気象が多発するようですが、大変なことです。

時として「自然」を恨めしく思うようなこともあるのですが、しかしそれは人間の都合に合わせた勝手な考えですので、あまり自然様に文句を付けたり不足不満をもつことは慎んだ方がいいようにも思えるのです。

もし仮に地球温暖化がCO2の排出という人為的なことに原因があるとするなら、それは人間の側に理由があるのですから、自業自得ともいえるのです。

しかしどうも武田邦彦氏などによれば、CO2の排出は決して悪いことではないとのことでもあり、地球温暖化をどう考えるべきなのかは、実は難しい問題なようです。

話は飛ぶのですが、国連でグレタさんが厳しい演説をして欧米では喝采を博しているようですが、私としましては個人的な印象としては好ましく思えなかったのです。ロジカルな面でもエモーショナルな面でも。

地球温暖化問題、はて、これからどう動いて行くのでしょうか…。日本はまたどういうスタンスをとればいいのでしょうか、難しい問題だなと。

ではでは。

10月11日(土)

今日は台風19号が関東付近に上陸ということで、朝から風雨が強まっているのです。窓の外、屋根を叩く雨音がだんだん大きくなってきて接近を告げています。

千葉の方ではブルーシートで屋根を覆っている15号で被災した方々がさらなる被害の予想に心を曇らせていることでしょう。

本当に被害の少ないことを祈るばかりです。